内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:106

自慰行為の進化上の利点とは?

 快楽のための行為と見なされがちな自慰だが、実際には、進化において重要な役割を果たしている可能性があるようだ。ヒトを含む霊長類の自慰行為は、少なくとも雄にとっては、生殖の成功率を高めるとともに性感染症(STI)への罹患リスクを低減させる効果のあることが、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のMatilda Brindle氏らによる研究で示唆された。この研究結果は、「Proceedings of the Royal Society B」6月7日号に掲載された。

医療裁判にも影響か?肝機能の指標がALT>30に

 肝機能検査として血液検査で汎用されるALT値。今後、これが30を超えていたら、プライマリ・ケア医やかかりつけ医による肝疾患リスクの確認が必要となる―。6月に開催された第59回日本肝臓学会総会にて、ALT>30を指標とする『奈良宣言』が公表された。これは、かかりつけ医と消化器内科医が適切なタイミングで診療連携することで患者の肝疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的に、さまざまなエビデンスに基づいて設定された。記者会見では吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器内科学 教授/日本肝臓学会理事)らが本宣言の背景や目的を説明しており、今回ケアネットでは日本肝臓学会理事で本宣言での特別広報委員を務める江口 有一郎氏(江口病院 ロコメディカル総合研究所 所長)に独自取材を行った。

糖尿病発症年齢が若いほど認知症リスクが高い

 前糖尿病は認知症リスクが高いものの、糖尿病への移行を防ぐことができれば、認知症リスクの上昇を抑えることができる可能性を示すデータが報告された。また、より若い年齢で糖尿病に移行した場合は、認知症リスクがより高くなることも示された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学大学院のMichael Fang氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に5月24日掲載された。  前糖尿病は、血糖値が基準値よりは高いものの、糖尿病の診断基準は満たしていない状態のことで、月日の経過とともに糖尿病に移行しやすい。前糖尿病では肥満などの影響のために、血糖値を下げるホルモンであるインスリンに対する感受性が低下する「インスリン抵抗性」を生じていることが多い。

肥満2型DMでのチルゼパチド、体重減少にも有効/Lancet

 過体重または肥満の2型糖尿病患者において、チルゼパチド10mgおよび15mgの週1回72週間皮下投与は、体重管理を目的とした他のインクレチン関連薬と同様の安全性プロファイルを示し、臨床的に意義のある大幅な体重減少をもたらしたことが示された。米国・アラバマ大学バーミンガム校のW Timothy Garvey氏らが、7ヵ国の77施設で実施された第III相国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SURMOUNT-2試験」の結果を報告した。肥満2型糖尿病患者の健康状態を改善するためには、体重減少が不可欠である。チルゼパチドは持続性のGIP/GLP-1受容体作動薬で、非2型糖尿病の肥満患者を対象としたSURMOUNT-1試験では、72週間のチルゼパチドによる治療で体重が最大20.9%減少することが認められていた。Lancet誌オンライン版2023年6月24日号掲載の報告。

lecanemab、アルツハイマー病治療薬として米国FDAよりフル承認を取得/エーザイ・バイオジェン

 エーザイとBiogen(米国)は2023年7月7日、米国商品名「LEQEMBI」注射100mg/mL溶液(一般名:lecanemab)について、アルツハイマー病治療薬としてフル承認に向けた生物製剤承認一部変更申請を米国食品医薬品局(FDA)が承認したことを発表した。今回の「LEQEMBI」のフル承認は、エーザイの大規模グローバル臨床第III相検証試験であるClarity AD試験のデータに基づいている。  「LEQEMBI」は、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、継続的に蓄積される最も神経毒性の高いAβ(Aβプロトフィブリル)をターゲットとして除去し、既存のプラークを除去するとされる。2023年1月6日にFDAより迅速承認を取得しており、さらに6月には臨床第III相Clarity AD検証試験の結果が本剤の臨床上のベネフィットを示すエビデンスであることを、FDAの末梢・中枢神経系薬物諮問委員会(PCNS)が全会一致で支持していた。今回の承認により、「LEQEMBI」は、アルツハイマー病の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを示し、フル承認を取得した世界初かつ唯一の治療薬となる。

高齢者の片頭痛患者に対する抗CGRP抗体の安全性・有効性

 抗CGRPモノクローナル抗体は、片頭痛治療において顕著な有効性および忍容性が認められているが、高齢者に対する使用データについては、臨床試験では暗黙の年齢制限があり、リアルワールドのエビデンスも限られていることから、十分であるとは言えない。スペイン・バルセロナ大学のAlbert Munoz-Vendrell氏らは、65歳以上の片頭痛患者を対象に抗CGRPモノクローナル抗体であるエレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブの安全性および有効を評価するため、検討を行った。その結果、リアルワールドにおける65歳以上の片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、安全かつ効果的な治療法であることを報告した。The Journal of Headache and Pain誌2023年6月2日号の報告。

ワインは心血管に良い影響?22試験のメタ解析

 アルコール摂取と心血管イベントにはJ字型、U字型の関連があるという報告もあり、多量のアルコール摂取は心血管に悪影響を及ぼす一方、少量であれば心血管に良い影響を及ぼす可能性が指摘されているが、結果は一貫していない。また、ワインの摂取が心血管の健康に及ぼす効果についても、意見が分かれている。そこで、スペイン・Universidad de Castilla-La ManchaのMaribel Luceron-Lucas-Torres氏らは、ワインの摂取量と心血管イベントとの関連について、システマティックレビューおよび22試験のメタ解析を実施した。その結果、ワインの摂取は、心血管イベントのリスク低下と関連していた。また、年齢や性別、追跡期間、喫煙の有無はこの関連に影響を及ぼさなかった。Nutrients誌2023年6月17日号の報告。

「AIドクター」が退院患者の再入院リスクを高い精度で予測

 人工知能(AI)コンピュータープログラムを使って、電子カルテに記録された医師のメモから患者の死亡リスクや入院期間などを高い精度で予測できることが、新たな研究で示された。米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルス病院では、実際に、退院した患者が1カ月以内に再入院するかどうかの予測にこのAIプログラムを使っているという。NYUデータサイエンスセンターのLavender Jiang氏らによるこの研究の詳細は、「Nature」に6月7日掲載された。

セマグルチド+cagrilintide配合皮下注、HbA1c低下に有効/Lancet

 2型糖尿病患者に対するセマグルチドとcagrilintideの皮下投与配合剤CagriSemaは、臨床的に意義のある血糖コントロール(持続血糖モニタリング[CGM]パラメータなど)の改善に結び付いたことが、米国・Velocity Clinical ResearchのJuan P. Frias氏らが行った、第II相多施設共同二重盲検無作為化試験で示された。CagriSemaによるHbA1c値の平均変化値は、cagrilintide単独よりも大きかったが、セマグルチド単独とは同等だった。体重は、CagriSema治療がcagrilintideやセマグルチドと比較して有意に大きく減少した。結果を踏まえて著者は、「今回のデータは、同様の集団を対象とした、より長期かつ大規模な第III相試験で、CagriSemaに関するさらなる試験を行うことを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年6月23日号掲載の報告。

COVID-19罹患前の睡眠状態が長期的な罹患後症状に影響

 多くのCOVID-19生存者が長期にわたる罹患後症状を経験しており、公衆衛生上の深刻な問題となっている。これまでのところ、COVID-19罹患後症状の状態に影響を及ぼすリスク因子の特定はあまり進んでいない。イタリア・ラクイラ大学のFederico Salfi氏らは、COVID-19の長期的な罹患後症状の発生に対する感染前の睡眠の質や時間、不眠症の重症度の影響について評価を行った。その結果、感染前の睡眠の質/量および不眠症重症度には、罹患後症状の発生数と用量依存的な関連性があることが示唆された。著者らは、「睡眠の健康状態の予防的な改善がCOVID-19の罹患後症状を軽減できるかを判断するためには、さらなる研究が必要である」としている。Brain, Behavior, and Immunity誌8月号の報告。