内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:504

入院医療費が高額な医師ほど訴訟リスクは低い/BMJ

 同じ専門科の中で医療資源の使用(入院医療費)が高額の医師のほうが、低額の医師に比べ、翌年の医療過誤訴訟の発生リスクが低い傾向にあることが明らかにされた。産科婦人科については、帝王切開実施率が高い医師ほど、同訴訟リスクが低かった。米国・ハーバード大学医学校のAnupam B. Jena氏らが、約2万5,000人の医師について行った観察試験の結果、報告した。先行研究で、多くの医師が自衛的医療を行っていることが明らかになっていたが、医療資源の使用と医療過誤訴訟リスクとの関連については検討されていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告より。

英国プライマリケアでの処方の安全性、施設間で差/BMJ

 英国一般診療所の代表サンプル526施設を対象に処方の安全性について調べた結果、患者の約5%に不適切処方がみられ、また約12%でモニタリングの記録が欠如していることが、英国・マンチェスター大学のS Jill Stocks氏らによる断面調査の結果、明らかになった。不適切処方のリスクは、高齢者、多剤反復処方されている患者で高く、著者は、「プライマリケアにおいて、とくに高齢者と多剤反復投与患者について処方のリスクがあり適切性について考慮すべきであることが浮かび上がった」と述べている。英国では、プライマリケア向けに処方安全指標(prescribing safety indicator)が開発されているが、これまで試験セットでの検討にとどまり、大規模なプライマリケアデータベースでの評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月3日号掲載の報告。

インフルエンザ関連肺炎による入院に対する予防接種の効果は?(解説:小林 英夫 氏)-451

かつて本邦では予防接種不要論を唱える向きもあったが、CDCもWHOもインフルエンザ予防接種を推奨し、2015年には本邦でも4価インフルエンザワクチンが導入されている。すでに接種が有効か無効かを議論する時期ではなく、どのような接種対象者にどのような有用性が高いのかを検討していく段階になっている。たとえば本邦では、2009年まで妊婦への接種が推奨されていなかったことも記憶に新しい。未解決点が存在する理由として、インフルエンザ疫学研究における多くのバイアスの介在が挙げられる。対象集団設定、流行規模、抗原変異など、さまざまな因子を一定化することは困難であり、多数の研究を蓄積していくことでしか解決はなしえない。

SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行 氏)-450

最近の各国の高血圧ガイドラインにおいては欧米のそれを中心に、従来の降圧目標値を上方修正する傾向にある。今回の解析対象には含まれていないが、より心血管疾患のリスクの高い糖尿病合併例においては、ACCORD-BP試験の結果から、わが国以外ではおしなべて降圧目標値を上方修正した経緯がある。米国では2016年秋に改訂ガイドラインが公表される予定だが、このSPRINT試験はその傾向に再考を促す結果となり、大なり小なりこの試験の結果を包含した内容になると考えられる。

降圧目標120mmHg vs.140mmHgの結果:SPRINT/NEJM

 50歳以上で非糖尿病・心血管イベント高リスクの患者について、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧療法が同140mmHg未満の標準降圧療法よりも、致死的・非致死的重大心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に抑制したことが、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のJackson T. Wright氏らによるSPRINT試験(米国立衛生研究所[NIH]助成)の結果、示された。一方、厳格降圧療法群では、低血圧症、失神、電解質異常、急性腎障害/腎不全といった重度有害事象の有意な増大がみられた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

米国における主要6要因の死亡率の変化/JAMA

 1969~2013年の米国死亡統計データを分析した結果、全死因(心疾患・がん・脳卒中・不慮の外傷・糖尿病の統合)の年齢標準化死亡率は減少の傾向が認められたという。米国がん協会のJiemin Ma氏らが報告した。ただし、心疾患、脳卒中、糖尿病の減少割合は鈍化がみられ、また同期間中COPDの死亡率は増大していた。JAMA誌2015年10月27日号掲載の報告。

SPRINT試験:厳格な降圧が心血管発症を予防、しかし血圧測定環境が違うことに注意!(解説:桑島 巖 氏)-446

これまで、フラミンガム研究あるいはわが国の久山町研究、HOMED-BP研究などの観察研究では、収縮期血圧120mmHg以上から心血管合併症が増えてくることが明らかにされており、120mmHgが至適血圧値とされてきた。しかし、降圧薬治療でこのレベルまで下げることの是非については、多くの議論があった。とくに、高齢者では降圧目標値は高めにすべき、という意見は少なくなかった。しかし、本研究は、高齢者や冠動脈疾患の高リスク症例ほど収縮期血圧120mmHgという厳格な降圧が、140mmHgというこれまでの標準値とされたレベルまでの降圧治療よりも、心不全発症を含む心血管合併症の発症予防効果が大きく、生命予後を改善することを示し、J曲線の存在を否定した点で意義がある。