内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:505

静脈血栓塞栓症が経口剤単剤で治療可能に

 深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)は密接に関連するため、総称して静脈血栓塞栓症(VTE)と呼ばれる。このVTEの治療および再発抑制に対して、選択的直接作用型第Xa因子阻害薬のイグザレルト(一般名:リバーロキサバン)が9月24日に適応追加承認を取得したことを受け、プレスセミナーが10月28日、都内で開催された(主催:バイエル薬品株式会社)。そのなかで、三重大学医学部附属病院 循環器内科科長 山田 典一氏が、日本初の経口シングルドラッグアプローチの有効性と、治療戦略の変化について解説した。

目まぐるしく進歩する、肺がん治療

 2015年10月30日都内にて、「肺癌分子標的治療の変遷と最新治療」と題するセミナーが開かれた(主催:アストラゼネカ株式会社)。演者である中西 洋一氏(九州大学大学院医学研究院臨床医学部門内科学講座呼吸器内科学分野 教授)は、肺がん治療の変遷を中心に講演。免疫チェックポイント阻害薬の登場により、免疫療法が薬物療法の表舞台に立とうとしている現状に触れ、「将来的には判定方法や副作用への対応など、学会、国の方針自体を整備していく必要がある」と述べた。

国の所得格差と心血管疾患2次予防薬の入手のしやすさ/Lancet

 世界の中・低所得国では、いまだに心血管疾患の2次予防薬が入手できない地域が多く、また世帯収入に比べ価格が高く入手しにくい状況も多いことが明らかにされた。パレスチナ・ビルゼイト大学のRasha Khatib氏らが、18ヵ国596ヵ所の都市部・農村部コミュニティが参加した前向き疫学調査「PURE研究」の結果、報告した。すでにPURE研究の結果として、心血管疾患の2次予防薬の利用率が世界的に低いことが報告されている。一方でWHOでは2025年までに、心血管疾患の2次予防薬が入手可能な地域の割合を80%に、服用適応者の服用率を50%にそれぞれ引き上げることを目標に掲げている。Lancet誌オンライン版2015年10月20日号掲載の報告より。

脳出血再発予防における積極的降圧の可能性(解説:有馬 久富 氏)-442

脳出血再発予防における血圧コントロールの重要性を示す報告が、JAMA誌に掲載された。本研究は、脳出血生存者を対象とした前向きコホート研究である。1994~2013年にマサチューセッツ総合病院へ入院した脳出血患者のうち、90日以上生存した1,145例を平均約3年間追跡し、血圧コントロール状況および到達血圧と脳出血再発との関連を検討している。その結果、治療中の血圧が140/90mmHg以上(非糖尿病)あるいは130/80mmHg以上(糖尿病)であったコントロール不良例では、脳出血再発のリスクが3.5~4.2倍上昇していた。到達血圧と脳出血再発の検討では、再発の最も少ない至適血圧レベルは120/80mmHg未満であった。

がん疑い患者、緊急紹介制度活用で死亡率低下/BMJ

 英国で、がんの疑いがある患者を緊急に専門医に紹介する制度「緊急紹介制度」(urgent referral pathway)を活用する一般診療所の患者は、あまり活用しない一般診療所の患者に比べ、がんの初診断・治療開始から4年以内の死亡率が低いことが明らかにされた。英国・ロンドン大学のHenrik Moller氏らが、コホート試験の結果、報告した。同緊急紹介制度は2000年代初めから始まったが、制度ががん患者の生存率に与えた影響については、これまで検討されていなかった。BMJ誌オンライン版2015年10月13日号掲載の報告。

アルツハイマー病への薬物治療、開始時期による予後の差なし

 世界中で何百万人もの高齢者がアルツハイマー病(AD)で苦しんでいる。治療薬にはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンがあるが、その臨床効果は限られており、早期に薬物療法を開始することが長期的に良好な予後につながるかどうかも不明である。そこで、中国・香港中文大学のKelvin K.F. Tsoi氏らは、AD患者に対する早期治療の有効性について、前向き無作為化比較試験のメタ解析を行った。その結果、約6ヵ月早くAD治療薬の投与を開始しても投与開始が遅れた場合と比較して、認知機能、身体機能、行動問題および臨床症状に有意差は認められなかった。この結果について著者らは、「追跡期間が2年未満の早期AD患者の割合が比較的高かったためと考えられる」と指摘したうえで、「長期に追跡した場合の有効性について、今後さらなる研究が必要である」とまとめている。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2015年9月18日号の掲載報告。

TG値1,000mg/dL以上を示す患者の臨床的特徴

 金沢大学附属病院で過去10年間に1,000mg/dL以上の高トリグリセリド(TG)値を示した215例の調査によると、全体の7.9%に冠動脈疾患の既往、5.6%に膵炎の既往があり、55.3%に脂肪肝が認められたことがわかった。また、多くが何らかの2次的要因によるTG上昇であることがわかった。深刻な高TG血症は、さまざまな状況により引き起こされる可能性があるため、潜在的な2次的要因を探ることの重要性が示唆された。Journal of clinical lipidology誌7・8月号掲載、金沢大学附属病院 多田 隼人氏らの報告。

青年期の運動能力と筋力は血管疾患や不整脈イベントと関連するか(解説:三浦 伸一郎 氏)-439

Dr. Anderson氏らは、青年期の運動能力と筋力が高い群では、共に低い群に比較して、将来の血管疾患イベントが有意に減少していたという興味深い結果を報告した。従来、中高年者の中で運動能力が高い人では、心血管疾患の罹患率や死亡率がそうでない人と比べて有意に低下していることはよく知られていた。しかし、今回の報告のように、青年期の運動能力と筋力が予後に関与するかについての報告はなかったため、このことがBMJ誌に掲載された1つの理由であろう。しかし、今回の結果は、いくつかの点を熟慮しなければならない。