医療一般|page:58

テレワークでの育児ストレス、出社より高い

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。  主な結果は以下のとおり。

日本の片頭痛治療におけるフレマネズマブのリアルワールドエビデンス

 抗CGRP抗体であるフレマネズマブのみに焦点を当てたアジアにおけるリアルワールド研究は、これまでほとんど行われていなかった。慶応義塾大学の大谷 星也氏らは、日本のリアルワールドにおけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果から、日本人の片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性および安全性が確認され、フレマネズマブ治療により約半数の患者において片頭痛関連症状の改善が認められたことを報告した。BMC Neurology誌2023年11月14日号の報告。

赤ワインで頭痛が生じる人がいるのはなぜ?

 ホリデーシーズンには数え切れないほどのコルク栓が開けられ、たくさんのワインが飲まれることになるが、ほんの少しの飲酒でもひどい目にあう人がいる。それは、たとえ小さなグラス1杯でも赤ワインを飲んだときにだけ頭痛が起きる人だ。こうした中、米カリフォルニア大学デービス校ブドウ栽培・醸造学部のApramita Devi氏らが、このような「赤ワイン頭痛」が引き起こされる原因の解明につながり得る研究結果を、「Scientific Reports」に11月20日発表した。それによると、果物や野菜に含まれているフラボノールの一種であるケルセチンが、赤ワイン頭痛を引き起こしている可能性があるという。

麻疹患者が世界的に急増、2022年の死者数は13万6,000人に

 麻疹(はしか)の予防接種率が数年にわたり低下し続けた結果、2021年と比較して、2022年には麻疹の患者数が18%、死亡者数が43%増加したことが、世界保健機関(WHO)と米疾病対策センター(CDC)が「Morbidity and Mortality Weekly Report」11月17日号に発表した報告書で明らかにされた。この報告書によると、2022年の麻疹患者数は900万人、死亡者数は13万6,000人と推定され、そのほとんどは小児であったという。  CDCの世界予防接種部門のディレクターであるJohn Vertefeuille氏は、「麻疹のアウトブレイク(突発的な発生)と死亡者数の増加は驚異的であるが、残念ながら、ここ数年の麻疹ワクチンの接種率の低下に鑑みると、予想された結果ではある」とCDCのニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「場所を問わず、麻疹患者の発生は、ワクチン接種が不十分なあらゆる国や地域社会に危険をもたらす。麻疹の発生と死亡を予防するためには、緊急かつ的確な取り組みが重要となる」と語る。

食後に椅子に座らなければエネルギー消費が1割増える

 食後に立っているだけで、座って過ごすよりもエネルギー消費が1割増えるというデータが報告された。ただし、糖尿病でない人を対象に行われたこの研究では、食後の血糖値には有意差が認められなかったことから、代謝性疾患の予防という点では単に立っているだけでなく、軽い運動を加えた方が良い可能性があるという。岐阜大学教育学部保健体育講座の河野寛也氏、上田真也氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」に10月17日掲載された。

転移乳がんへのnab-PTX、3投1休vs.2投1休

 HER2陰性転移乳がん患者を対象に、nab-パクリタキセルの2投1休と3投1休スケジュールを比較した無作為化第II相試験の結果、2投1休スケジュールでより良好な抗腫瘍活性と安全性プロファイルが示された。中国・北京大学のYaxin Liu氏らによるOncologist誌2023年12月11日号への報告。  本試験では、HER2陰性転移乳がん患者がnab-パクリタキセルの2投1休群(1・8日目に125mg/m2、1週間休薬)および3投1休群(1・8・15日目に125mg/m2、1週間休薬)に1:1で無作為に割り付けられた(病勢進行または治療不耐性まで投与)。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。

痩身目的のオンライン診療でのトラブルが急増/国民生活センター

 痩身目的での糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬)の不適切処方が問題視され、厚生労働省などから適正使用への注意喚起がなされている。さらに最近では、痩身をうたうオンライン診療でトラブルが急増し、国民生活センターが警鐘を鳴らしている。  同センターへ寄せられた年度別相談件数では、2021年度は49件、2022年度は205件、2023年度は10月31日までで169件と多く、21年から22年では約4.2倍も急増していた。  痩身目的などのオンライン診療に関する相談では、処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が十分でないまま、初診時に数ヵ月分の処方薬が処方されるなど、不適切なケースがあると同センターは報告している。

高齢者肺がんに対するアテゾリズマブの有用性(IMpower130・IMpower132統合解析)/ESMO Asia2023

 高齢者および腎機能が低下した非扁平非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、アテゾリズマブ+化学療法の有用性を評価した第III相試験の統合解析が示された。  肺がん患者は高齢者が多くを占めるが、高齢進行NSCLCに対する第III相臨床試験は少ない。そのような中、75歳以上のNSCLC患者におけるアテゾリズマブ+化学療法の有効性と安全性を評価した事後解析が、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2023)で発表された。

10代での妊娠とうつ病~JECS研究

 10代での妊娠は、さまざまな要因によりうつ病リスクを増加させる可能性がある。若年成人期の妊娠は、高齢期の妊娠と比較し、複数のうつ病リスク因子に影響を及ぼすと考えられる。しかし、若年成人期の妊娠におけるうつ病関連のデータは不足している。国立成育医療研究センターの石塚 一枝氏らは、10代および若年成人期の妊娠とうつ病との関連を調査した。その結果、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクが高いことが示唆された。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2023年11月22日号の報告。

インターネットの使用はメンタルヘルスに有害か

 ネットサーフィンはメンタルヘルスに悪影響を与えると考えられがちだが、インターネットの使用が心理的ウェルビーイングやメンタルヘルスに大きな脅威を与えることはないことを明らかにした、画期的な研究結果が報告された。これは、国レベルでのインターネットおよびブロードバンドの利用状況を、世界各国の数百万人の心理的ウェルビーイングやメンタルヘルスと比較した上で導き出された結果であるという。英オックスフォード大学インターネット研究所のAndrew Przybylski氏らによるこの研究の詳細は、「Clinical Psychological Science」に11月27日掲載された。  この研究は、インターネットの使用と心理的ウェルビーイングおよびメンタルヘルスとの関連を二つの研究で検討したもの。一つ目の研究では、まず2005年から2022年の間に実施された調査データを基に、168カ国、243万4,203人(15〜89歳)の心理的ウェルビーイングを、人生に対する満足度、ポジティブな経験、およびネガティブな経験の3つの側面から評価。得られた結果を、国民1人当たりのインターネット利用者数とモバイルブロードバンドの契約者数の時系列データと照らし合わせ、過去20年におけるインターネットとモバイルブロードバンドの使用が心理的ウェルビーイングにどのような影響を与えたのかを検討した。

ミシガン州の5人の女性で眼梅毒、感染源は同一の無症候性梅毒男性

 「Morbidity and Mortality Weekly Report」11月24日号に、米ミシガン州で2022年3月から7月の間に5人の女性において確認された眼梅毒の症例に関する報告書が掲載された。この報告書をまとめた、米カラマズー郡保健地域サービス局(KCHCSD)のWilliam Nettleton氏らは、これらの女性がいずれも、無症候性梅毒の同一の男性と性的関係を持っていたこと、および眼梅毒自体が非常にまれなことから、この男性が持っていた梅毒菌(Treponema pallidum)の株が眼合併症のリスクを高めたのではないかと見ている。  梅毒菌は、感染しても多くの場合、症状がすぐに現れることはないため、気付かないうちに他者を感染させてしまうことがある。梅毒の症状は、時間とともに全身に進行していき、視力の永久的な損傷など深刻な神経症状を引き起こす可能性がある。

コロナワクチン全額公費接種を3月31日に終了/ヌバキソビッド供給終了/厚労省

 厚生労働省は12月25日、新型コロナワクチン接種体制確保事業に関する自治体向け説明会にて、2024年3月31日に新型コロナワクチンの特例臨時接種による全額公費の接種を終了することを発表した。2023年9月20日以降は、生後6ヵ月以上のすべての人を対象に、オミクロン株XBB.1.5対応1価ワクチンの全額公費による接種が行われていたが、2024年4月1日以降(令和6年度)から、65歳以上および重い基礎疾患のある60~64歳(インフルエンザワクチン等の接種対象者と同様)を対象に、秋冬に自治体による定期接種が行われる。特例臨時接種終了の情報提供として、リーフレットも掲載された。

次世代mRNAコロナワクチン、国内第III相で有効性・安全性を確認/Meiji Seika

 Meiji Seika ファルマは12月21日付のプレスリリースにて、同社が国内における供給・販売を担う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する次世代mRNAワクチン(レプリコンワクチン)「コスタイベ筋注用」(ARCT-154)について、追加免疫国内第III相試験の結果がThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年12月20日号に掲載されたことを発表した。  本試験は、既存mRNAワクチンを接種済みの成人を対象とし、次世代mRNAワクチンと既存mRNAワクチンの追加接種を比較した初めての臨床試験だ。本試験の結果、ARCT-154の5μgの追加接種が、コミナティ(ファイザー製)の30μgの追加接種と比較して、武漢株(Wuhan-Hu-1)に対して非劣性を示し、オミクロン株BA.4/5株に対して優越性を示すことが認められた。

手袋をしたままのアルコール擦式消毒、効果は?

 世界保健機関(WHO)が推奨する5つのタイミング(患者に触れる前、清潔/無菌操作の前、体液に曝露された可能性のある場合、患者に触れた後、患者周辺の環境や物品に触れた後)で手袋をしたままアルコール擦式消毒を行うことは、ゴールドスタンダードである手袋の交換と比較すると効果は劣ったが、試験参加者が通常行っている対応と比較すると大幅に汚染を減少させた。米国・メリーランド大学のKerri A. Thom氏らによるInfection Control & Hospital Epidemiology誌オンライン版2023年11月23日号の報告。  著者らは、成人および小児の外科、中間治療、救急治療ユニットを有する4つの病院の医療従事者を対象に、混合研究法を用いた多施設共同無作為化比較試験を実施した。参加者は介入群(WHO推奨の5つの手指衛生タイミングで、手袋の上からアルコール消毒し、手をこする)、ゴールドスタンダード(GS)群(WHO推奨の5つの手指衛生タイミングで、手袋を外し、手指衛生を実施し、新しい手袋を着用する)、通常対応群(参加者が通常行っているとおりに手指衛生・手袋の交換を行う)の3群に無作為に割り付けられ、総コロニー数および病原性細菌の有無を評価。GS群と介入群および通常対応群と介入群が比較された。

7時間以上の座位で乳がんリスク36%増/京都府立医科大

 日本人を対象とした大規模研究により、座っている時間が1日7時間以上だと乳がんの罹患リスクが36%上昇し、余暇の運動量・頻度や歩行時間が多くてもリスクは依然として高かったことを、京都府立医科大学の富田 仁美氏らの研究グループが明らかにした。Cancer Science誌オンライン版2023年12月2日号掲載の報告。  日本人の乳がんの罹患原因のうち、約5%は運動不足に起因していると言われている。しかし、年齢や性別、筋肉量は個々人によって差があるため、適切な身体活動量定量化することは難しい。そこで、研究グループは、座位時間と乳がん罹患との関連を明らかにし、さらに身体活動がその関連に影響を及ぼすかどうかを調査した。

アルコール依存症に関連する自己スティグマが症状に及ぼす影響

 アルコール使用に対するスティグマの相関関係や影響は複雑である。通常、アルコール使用障害は、羞恥心、罪悪感や否定的な固定概念などのさまざまな要因による自己スティグマを伴う。しかし、自己スティグマとアルコール関連アウトカムとの関連を実証的に調査した研究は、これまでほとんどなかった。米国国立衛生研究所のMadeline E. Crozier氏らは、アルコール依存症に関する自己スティグマとアルコール摂取および欲求の重症度との関連を調査した。その結果、自己スティグマが高いほど、アルコール使用障害がより重篤であり、アルコール摂取量の増加、アルコール関連の強迫観念や強迫行動の増加につながることを報告した。BMJ Mental Health誌2023年11月22日号の報告。

ヘディングが脳機能の低下に関連

 サッカーのヘディングの危険性を示すエビデンスが増え続けている。米コロンビア大学放射線学教授および生物医学工学分野のMichael Lipton氏らは、サッカーのヘディングにより測定可能な脳の構造が変化し、機能が低下することを示した2件の研究結果を、北米放射線学会年次総会(RSNA 2023、11月26~30日、米シカゴ)で発表した。  Lipton氏は、「脳損傷全般、特に、サッカーのヘディングが長期にわたって脳に悪影響を与える可能性については、世界的に大きな懸念がもたれている。そうした懸念の大部分は、若年期の脳の変化が中年期以降の神経変性や認知症のリスクをもたらす可能性に関係している」と説明している。

幼児期初期の自閉症をAIが高精度で診断

 米ルイビル大学の研究グループが、特殊なMRI画像から生後24カ月から48カ月の幼児の自閉症を98.5%の精度で診断する人工知能(AI)システムを開発したと発表した。同大学神経学教授で米ノートン小児自閉症センター所長のGregory N. Barnes氏らによるこの研究結果は、北米放射線学会年次総会(RSNA 2023、11月26〜30日、米シカゴ)で発表された。  この研究グループの一員である同大学のMohamed Khudri氏は、「われわれの開発したアルゴリズムは、自閉症の子どもと正常に発達している子どもの脳のパターンを比べて異なるところを見つけ出すように訓練されており、その結果に基づいて自閉症かどうかを診断するものだ」と述べている。

2023年、がん専門医に読まれた記事は?Doctors’Picksランキング

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」は、2023年の1年間で、がん専門医によく読まれた記事ランキングを発表した(対象期間は2023年1月1日~12月19日)。  昨年まで上位に入っていた新型コロナ関連の話題はトップ10から姿を消し、国内外の臨床腫瘍に関する学会の話題や、注目の臨床試験の結果を掲載したジャーナルの紹介記事が上位にランクインしている。 【1位】第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023|CareNet.com(2/22公開)  2023年3月16~18日に開催された日本臨床腫瘍学会学術集会。2月16日に開催されたプレスセミナーで、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが注目演題を発表した。

新型コロナ、免疫回避能の高いJN.1へ急速に進化

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株BA.2.86(ピロラ)から派生したJN.1は、フランス、米国、シンガポール、カナダ、英国など全世界で急速に拡大しており、世界保健機構(WHO)は2023年12月18日付で、JN.1をVOI(注目すべき変異株)に追加した。中国・北京大学のSijie Yang氏らの研究グループは、JN.1のウイルス学的特徴を解析したところ、親株のBA.2.86よりも高い免疫回避能を獲得しており、それが受容体結合ドメインの変異(L455S)によるものである可能性が示唆された。The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年12月15日号に掲載の報告。  本研究では、XBB感染後に回復した人の血漿を用いて、疑似ウイルスに基づく中和アッセイを行い、JN.1の体液性免疫回避能を調べた。対象となったのは、不活化ワクチン(Sinovac製)を3回接種後にXBBにブレークスルー感染(XBB BTI)していた27例、および、ワクチン3回接種後にBA.5またはBF.7に感染し、その後XBBに再感染(XBB再感染)していた54例。