医療一般|page:65

2週間のジョギングなどが冷え性と睡眠の質を改善/山口県立大学

 日常生活における女性の悩みの1つに冷え性がある。とくに若年の女性では、通年を通じて困っている人も多い。こうした症状の改善にはどのような方法があるのだろうか。山口県立大学の山崎 文夫氏(看護栄日常生活における女性の悩みの1つに冷え性がある。養学部 教授)らの研究グループは、冷え症の若年女性を対象に、ジョギングなどの有酸素運動介入をすることが、睡眠の質を改善し、冷えによる不定愁訴を減少させるかどうかの検討を行った。その結果、短期の有酸素運動は末梢四肢冷感症状を緩和し、主観的な睡眠の質を改善した。Journal of Physiological Anthropology誌2023年9月29日の掲載。

携帯電話の頻回な使用は精液の質を低下させる?

 スイスの研究者らが10年分以上のデータを解析した結果、携帯電話を頻回に使用する若い男性では携帯電話をあまり使用しない男性に比べて、精子濃度が低く、総精子数も少ないことが明らかになった。ジュネーブ大学(スイス)遺伝子医学・発達部門のRita Rahban氏らによるこの研究の詳細は、「Fertility and Sterility」に10月31日掲載された。  この研究の背景情報によると、過去50年間に精子濃度は、平均して精液1mL当たり9900万個から4700万個に減少したという。この現象は、環境要因(内分泌かく乱物質、農薬、放射線)と生活習慣(食事、アルコール、ストレス、喫煙)の双方が影響を及ぼした結果と考えられている。Rahban氏らは、この50年で使用が劇的に増加した携帯電話の使用もその一因ではないかと考え、今回の研究を実施した。携帯電話から発せられる電磁波については、健康に有害である可能性が指摘されている。

アミロイド陽性アルツハイマー病患者の皮質萎縮に対する炭水化物制限の影響

 インスリンレベルを低下させる炭水化物制限は、アルツハイマー病(AD)発症を遅らせる可能性がある。炭水化物の摂取を制限するとインスリン抵抗性が低下し、グルコースの取り込みや神経学的健康が改善すると考えられる。ADの特徴は、広範な皮質の萎縮だが、アミロイドーシスが確認されたAD患者において、正味炭水化物摂取量の低下が皮質萎縮の軽減と関連しているかは、明らかとなっていない。米国・Pacific Neuroscience Institute and FoundationのJennifer E. Bramen氏らは、炭水化物制限を行っているアミロイド陽性アルツハイマー病患者を対象に、中程度~高度の炭水化物摂取の場合と比較し、皮質厚が厚いとの仮説を検証した。Journal of Alzheimer's Disease誌2023年10月号の報告。

既治療の転移TN乳がんへのペムブロリズマブ、健康関連QOLへの影響(KEYNOTE-119)

 既治療の転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対してペムブロリズマブを化学療法と比較したKEYNOTE-119試験では、主要評価項目である全生存期間がペムブロリズマブは化学療法と同等であったが、ペムブロリズマブの治療効果はPD-L1発現レベルが高いほど大きかったことが報告されている。今回、本試験における健康関連QOLを解析した結果、臨床アウトカムと一致しており、PD-L1陽性スコア(CPS)10以上の患者の結果に左右されるようであると英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University of LondonのPeter Schmid氏らが報告した。European Journal of Cancer誌2023年12月号に掲載。

税負担が重過ぎる!どんな節税対策している?/医師1,000人アンケート

 年末調整に確定申告…。年末から春にかけては税金を意識する機会が増える。さらに、最近では定額減税や新NISAスタートなど、税金に関する話題が増加している。ケアネットでは、会員の勤務医(勤務先病床数:20床以上)1,021人を対象に、「今年行った、来年やりたい節税対策」についてアンケートを実施した(調査日:10/6~8)。  「Q1.今年(2023年)の所得について、確定申告をする予定ですか?」という設問には、9割以上の医師が「はい」と答えた。確定申告の条件である「年収2,000万円超」「年間20万円以上の副収入」にほとんどの回答者が当てはまっているようだ。

小児感染症に対する抗菌薬、多くはもはや効果を見込めず

 薬剤耐性菌の増加に伴い、一般的な小児感染症の治療において長らく使用されてきた抗菌薬の多くがもはや効果を失っていることが、新たな研究で明らかにされた。論文の筆頭著者であるシドニー大学(オーストラリア)感染症研究所のPhoebe Williams氏は、「抗菌薬の使用に関する世界的なガイドラインにこの結果を反映させる必要がある」と述べるとともに、乳幼児や小児用の新しい抗菌薬の開発に重点を置くべきだと呼び掛けている。この研究結果は、「The Lancet Regional Health - Southeast Asia」に10月31日掲載された。

移動式脳卒中ユニットは脳卒中からの回復の可能性を高める

 現在、米国の一部の大都市で導入されている移動式脳卒中ユニット(mobile stroke unit;MSU)は、脳卒中が疑われる患者の病院への搬送中に検査や組織プラスミノゲンアクチベーターを用いた血栓溶解療法(t-PA療法)を行うことができる、特別な救急車だ。米ワイル・コーネル・メディシンなどの研究グループは、脳卒中疑いの患者を通常の救急車でER(救急救命室)まで搬送する場合と比べてMSUで搬送する場合では、t-PA療法が中央値で37分早く開始され、それにより患者が脳卒中から回復するか、あるいは症状が迅速に消失する可能性の高まることが示されたと、「Annals of Neurology」に10月6日発表した。

セマグルチド製剤の最適使用推進ガイドラインを公表/厚労省

 社会的に痩身目的での糖尿病治療薬の使用が散見され、本来必要な患者に治療薬が届かないといった事態が起こっている。そのような中でセマグルチド製剤のウゴービ皮下注が肥満症治療薬として承認され、2023年11月22日に薬価収載された。これらの事態を懸念し、厚生労働省は医療機関および薬局に対する周知を目的として、本剤に関する「最適使用推進ガイドライン」を11月21日に公表した。  本ガイドラインには、ウゴービ皮下注を肥満症に対して使用する際の留意事項が記載されており、その使用に際し、ガイドライン内容に留意するよう促している。

ワルファリン・DOAC、重大な副作用に「急性腎障害」追加/厚労省

経口抗凝固薬の添付文書について、2023年11月21日に厚生労働省が改訂を指示。国内で販売されている直接経口抗凝固薬(DOAC)4剤(アピキサバン、エドキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン)とワルファリンカリウムの添付文書の「副作用」に重大な副作用として急性腎障害が追記された。  経口抗凝固薬の投与後に急性腎障害が現れることがある。本剤投与後の急性腎障害の中には、血尿や治療域を超えるINRを認めるもの、腎生検により尿細管内に赤血球円柱を多数認めるものが報告されている。

日本における慢性疼痛・片頭痛患者の医療アクセスへの障壁

 慢性疼痛および片頭痛は、患者のQOLや生産性の低下などの経済的な負担が大きいにもかかわらず、十分に治療されていないケースが少なくない。治療を受けない理由を明らかにすることは、介護を求める行動を改善するための介入を可能にするためにも重要である。しかし、日本において、疾患特有の治療を受けない理由に関する報告は限られている。順天堂大学の唐澤 佑輔氏らは、慢性疼痛および片頭痛を有する未治療の患者における医療アクセスへの障壁を明らかにするため、調査を行った。その結果から、痛みに伴うリスクとその原因、安価な治療選択肢の利用の可能性、適切な治療施設へのアクセスについて患者教育を行うことで、治療率が向上する可能性が示唆された。Frontiers in Pain Research(Lausanne, Switzerland)誌2023年10月3日号の報告。

関節リウマチに対するJAK阻害薬、実臨床下で有効性を確認

 関節リウマチ(RA)に対する治療薬の中では比較的新しいJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬は、その効果を疑問視する声があったものの、実臨床下において全般的に大きな効果を上げていることが、新たな研究で明らかになった。JAK阻害薬は、体内での炎症に関わっているサイトカインの細胞内伝達に必要な酵素であるJAKの働きを阻害することで炎症を制御する内服薬。神戸大学医学部附属病院の林申也氏らによるこの研究結果は、「Rheumatology」に11月1日掲載された。  RAは、免疫系が体内の関節組織を誤って攻撃することにより引き起こされる自己免疫疾患で、関節の痛み、腫れ、こわばりなどを引き起こす。炎症が全身に広がると、時間の経過とともに、心臓、肺、皮膚、目など、体の他の部位にも問題が生じる可能性がある。RA治療薬の多くは、免疫反応の一部を標的とすることで関節障害の進行を遅らせる。JAK阻害薬もそのような治療薬の一つだ。しかし、本研究には関与していない、米Rheumatology AssociatesのStanley Cohen氏は、「JAK阻害薬は、RA治療の第一選択肢とは考えられていない」と言う。

脳の活動はZoomよりも対面での会話の方が活発化する

 Web会議システムとして広く使われているズーム(Zoom)で誰かと話をする場合、相手はもちろん生身の人間だ。しかし、脳にとっては、対面での会話と同じとはいかないようだ。高度なイメージングツールを使った新たな研究によると、対面で会話をしている際の脳活動は、ズームで会話をしている際の脳活動とは異なることが示された。論文の上席著者である米イェール大学精神医学、比較医学、神経科学分野教授のJoy Hirsch氏は、「われわれの研究により、人間の脳の社会的な活動に関わる神経回路や領域は、ズームでの会話よりも対面での会話の方が活発化することが明らかになった」と述べている。この研究の詳細は、「Imaging Neuroscience」に10月25日掲載された。

猛暑日の増加で心血管疾患による死者が劇的に増加?

 夏に猛暑日が続くのが当たり前のようになりつつあるが、これから数十年のうちに米国では、暑熱に関連した心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死者数が劇的に増加するとの予測が、米ペンシルベニア大学医学部のSameed Khatana氏らの研究で示された。この研究の詳細は、「Circulation」に10月30日掲載された。  専門家の間では、熱波がしばしば脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を引き起こし、その発症例は特にリスク因子を持つ人で多いことが知られている。これは、Khatana氏によると、心臓や血管(心血管系)が体温調節で中心的な役割を果たしているためだという。体がオーバーヒートすると、発汗によって熱を放出するために、心臓はより激しく働いて血液を体の末梢まで行きわたらせようとするが、脆弱な人にはそれが過剰な負荷となることがある。

パクスロビドのCOVID-19罹患後症状の予防効果に疑問符

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として知られるパクスロビド(一般名ニルマトレルビル・リトナビル、日本での商品名パキロビッドパック)のCOVID-19の罹患後症状(post-COVID-19 conditions;PCC)に対する効果に疑問を投げかける研究結果が報告された。COVID-19の重症化リスクや死亡リスクが高い患者に処方されることが多い抗ウイルス薬のパクスロビドを投与された患者と投与されなかった患者の間で31種類のPCCについて比較したところ、肺塞栓症・静脈血栓塞栓症以外はリスクが同等であることが示されたのだ。米Veterans Affairs Puget Sound Health Care Systemおよび米ワシントン大学消化器学分野のGeorge Ioannou氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に10月31日掲載された。

乳がん死亡率とスタチン使用、コレステロール値の関係

 スタチン使用と乳がん死亡率との関連が報告されているが、コレステロール値が考慮されている研究はほとんどない。フィンランド・Tays Cancer CentreのMika O Murto氏らは、乳がん死亡率と血清コレステロール値およびスタチン使用との関連を調査するコホート研究を実施し、結果をJAMA Network Open誌2023年11月1日号に報告した。  本研究には、フィンランドで1995年1月1日~2013年12月31日に新たに浸潤性乳がんと診断され、ホルモン受容体についての情報と少なくとも1回のコレステロール測定値が記録されていた女性患者が含まれた。主要評価項目は、乳がん診断日から2015年12月31日までの乳がん死亡率と全死亡率であった。

温泉地での集中的健康管理で身体の諸指標と睡眠の質が改善

 最近、温泉は、リゾートとしてヨーロッパなどでは健康増進の目的で利用されている。そこで、中国・重慶医科大学公衆衛生学のYu Chen氏らの研究グループは、温泉地での慢性疾患ハイリスク者の身体検査指標と睡眠の質に対する集中的健康管理の効果を検証し、その結果を報告した。International Journal of Biometeorology誌2023年10月6日に掲載。  本研究では、慢性疾患のリスクが高いボランティア114例を介入群57例、対照群57例に分けて検証。介入群には4週間(28日間)、重慶の統景温泉で定期的な日課、バランスの取れた食事、適切な運動、的確な健康教育など、包括的な健康管理介入を行った。

回復期リハビリテーション病棟でのせん妄に対する向精神薬の減量

 川崎こころ病院の植松 拓也氏らは、同施設の回復期リハビリテーション病棟に転院してくる患者さんの多くが、急性期病棟入院時にせん妄に対する向精神薬処方が行われている現状を踏まえ、精神科医、薬剤師、リハビリテーション医が協力し、向精神薬減量への取り組みを行った。その結果から、急性期病棟で処方されている向精神薬の種類および用量を回復期リハビリテーション病棟で減量できる可能性があることを報告した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年10月26日号の報告。  対象は、2021年4月~2022年3月に川崎こころ病院の回復期リハビリテーション病棟を退院した患者88例。診療記録より基本的情報および向精神薬処方状況を抽出した。

米FDAが全身型重症筋無力症治療薬のジルビスクを承認

 米食品医薬品局(FDA)は10月17日、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の全身型重症筋無力症の成人患者に対する治療薬として、補体5(C5)阻害作用を有する自己投与型の皮下注ペプチド製剤ジルビスク(一般名ジルコプラン)を承認した。  全身型重症筋無力症はまれな自己免疫疾患で、神経筋接合部における機能障害と損傷を特徴とする。全身型重症筋無力症の病態は、補体カスケードの活性化や免疫細胞の過剰反応、病原性のIgG(免疫グロブリンG)自己抗体の作用など複数の要因によって引き起こされると考えられている。

30代で糖尿病と診断されると寿命が14年短くなる?

 人生のより早い時点で2型糖尿病と診断されるほど、寿命が短くなることを示唆するデータが報告された。30代で診断された場合、50歳時点の余命が14年短くなる可能性があるという。英ケンブリッジ大学のEmanuele Di Angelantonio氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Diabetes & Endocrinology」10月号に掲載された。性別で比較した場合、女性でより大きな影響が認められるという。  この研究では、2件の大規模疫学研究を統合したデータが用いられた。そのうち1件は、心血管疾患に関連する潜在的なリスク因子探索のための国際共同研究(Emerging Risk Factors Collaboration)であり、別の1件は英国で行われている「UKバイオバンク」。高所得国を中心に19カ国、151万5,718人(平均年齢55.0±9.2歳、男性45.6%)のデータが解析された。

認知機能維持にゴルフやウォーキングが有望か

 歳を重ねる中で思考力を保つためにするべきことは何なのか。その答えは、ゴルフ、2本のポールを持って行うノルディックウォーキングや通常のウォーキングであることが、新たな研究で明らかになった。東フィンランド大学(フィンランド)のJulia Kettinen氏らによるこの研究結果は、「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に10月12日掲載された。  一過性の有酸素運動により、運動の強度や実施時間、種類に関係なく認知機能が向上する可能性が過去の研究で示唆されている。この研究では、5日間にわたるランダム化クロスオーバー試験により、認知的要求度の高い3種類の高齢者に適した有酸素運動(18ホールのゴルフ、6kmのノルディックウォーキング、6kmのウォーキング)が認知機能に及ぼす即時的な効果が検討された。対象者であるゴルフを趣味とする健康な高齢者25人(平均年齢69±4歳、男性16人)には、3種類の運動の全てを、各運動の間に1日のウォッシュアウト期間を挟みながら、実際の生活環境の中で自分のペースで行ってもらった。運動の際には、フィットネスモニターにより距離、時間、ペース、エネルギー消費量、歩数を測定し、ECG(心電図)センサーにより心拍数も測定した。