ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:183

米国の非急性PCIの不適切施行、5年で大幅減/JAMA

 米国における2009~14年の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行動向を調べた結果、非急性PCIの不適切施行は26.2%から13.3%に有意に減少していたことが、イェール大学医学部のNihar R. Desai氏らによる調査の結果、明らかにされた。一方で、非急性PCIの不適切施行率の病院間のばらつきは、2014年時点でも5.9%~22.9%にわたっており解消されていなかった。本検討は、2009年にリリースされたAppropriate Use Criteria for Coronary Revascularizationを踏まえて、PCI施行の動向を初めて調査した結果だという。JAMA誌2015年11月17日号掲載の報告。

CKDリスクを予測する新たなバイオマーカーの可能性/NEJM

 可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ受容体(suPAR)の上昇は、ベースライン時の腎機能正常者において、慢性腎臓病(CKD)の発症および推定糸球体濾過量(eGFR)の加速度的な低下と有意に関連することが、米国・エモリー大学医学部のSalim S Hayek氏らの検討で示された。血漿中のsuPARの高値は、多様な病態の患者集団において、不良な臨床転帰や巣状分節性糸球体硬化症、糖尿病性腎症と関連することが知られている。これらの知見はまだ検証中であるが、腎臓病におけるsuPARの広範な役割が示唆されている。NEJM誌2015年11月12日号(オンライン版2015年11月5日号)掲載の報告。

PCIは虚血性心疾患患者の長期生存に寄与するか/NEJM

 安定虚血性心疾患患者の初期管理において、至適な薬物療法に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を併用しても、薬物療法単独に比べ長期的な生存率に差はないことが、米国・ニューヨーク退役軍人省健康管理ネットワークのSteven P Sedlis氏らが行ったCOURAGE試験の拡張調査で確認された。PCIは、ST上昇急性心筋梗塞患者の生存率を向上させ、非ST上昇心筋梗塞患者の長期生存を改善して早期および晩期の心イベントを低減することが示されている。一方、安定虚血性心疾患患者では、PCIは狭心症を軽減し、心筋虚血の領域を減少させるが、生存の改善を示した臨床試験はないという。NEJM誌2015年11月12日号掲載の報告。

新規抗血栓システムREG1、開発中止に/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の新規抗血栓システムとして開発中のREG1は、重篤なアレルギー反応と関連することが明らかとなり、試験が早期に中止となったことが報告された。米国・クリーブランドクリニック研究センターのA Michael Lincof氏らがbivalirudinに対する優越性を検討していた。なお、試験の早期中止により統計的検出力に限りがあるものの、REG1がbivalirudinと比較して虚血性イベントや出血を抑制するとのエビデンスは示されなかったという。Lancet誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。

第Xa因子阻害薬の中和薬、抗凝固活性の抑制効果を確認/NEJM

 第Xa因子阻害薬の抗凝固作用に対する中和薬として開発が進められているandexanet alfaについて、カナダ・マックマスター大学のDeborah M. Siegal氏らによる健常高齢者ボランティアを対象に行った臨床試験の結果が報告された。アピキサバン、リバーロキサバンのいずれの抗凝固薬に対しても数分以内で中和作用を示し、臨床的毒性作用は認められなかったという。第Xa因子阻害薬治療では出血の合併症が伴うことから、中和薬の開発が期待されている。NEJM誌オンライン版2015年11月11日号掲載の報告。

緊急時の心臓マッサージ、持続的 vs.断続的で転帰は?/NEJM

 院外心肺停止の成人に対し救急医療スタッフが心肺蘇生(CPR)を行う際、持続的胸部圧迫を行っても、断続的胸部圧迫を行った場合に比べて退院時の生存率や神経学的機能が良好である確率は増大しないことが示された。米国・ワシントン大学のGraham Nichol氏らが、救急医療(EMS)事業者を対象に行った無作為化試験で明らかにした。院外CPR時の断続的に行う徒手的心臓マッサージは、血流量および生存を低減する可能性があることから、研究グループは、胸部圧迫と陽圧換気を連続的に行ったCPRと、胸部圧迫を30回行い換気を2回行う間欠的なCPRの場合とでアウトカムが異なるかを調べた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

リードレス心腔内経カテーテルペーシング、高い安全性・有効性確認/NEJM

 リードレス心腔内経カテーテルペーシングシステムは、安全性・有効性ともに高いことが確認された。米国・オクラホマ大学健康科学センターのDwight Reynolds氏らによる、725例を対象にした多施設共同前向き試験で示された結果で、経静脈ペースメーカーと比較しても合併症発生率はおよそ半分だった。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

駆出率保持の心不全へのニトロ投与、逆効果/NEJM

 駆出率が保たれた心不全患者に対し、一硝酸イソソルビド(商品名:アイトロールほか)を投与しても、プラセボを投与した場合と比べて日常生活動作レベルやQOL(生活の質)の向上はみられず、逆に1日の活動時間が減少し、日常生活動作レベルにも低下傾向が認められたという。米国・メイヨークリニックのMargaret M. Redfield氏らが、110例を対象に行った多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験の結果、明らかにした。同患者へのニトロ処方は運動耐性を十分なものとするために一般的に行われているが、日常生活動作に対する効果の検証はこれまで不十分であった。NEJM誌オンライン版2015年11月8日号掲載の報告より。

僧帽弁の形成術 vs.置換術、2年後のアウトカムは?/NEJM

 重度虚血性僧帽弁逆流症に対する僧帽弁の形成術と置換術では、2年後の死亡率や左室収縮終期容積係数(LVESVI)は同等だが、中等度~重度逆流症の再発率は形成術群が大幅に高率であったことが報告された。心不全関連の重度有害事象や心血管関連の再入院も、形成術群で高率だった。米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のD. Goldstein氏らが行った無作為化比較試験の結果、示された。同試験については術後1年における結果がすでに発表されており、LVESVI、生存率、有害イベント発生率のいずれも両群で同等だった。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号で発表した。

肺動脈ワイヤレス・モニタリングの長期有効性を確認/Lancet

 埋込式圧センサーで肺動脈圧をモニタリングする「CardioMEMS」システムについて、NYHA心機能分類III患者を対象とした無作為化試験CHAMPIONの延長フォローアップ試験の結果が発表された。通常ケアのみと比べて心不全による入院発生は有意に低く、長期的ベネフィットが確認されたという。米国・オハイオ州立大学のWilliam T Abraham氏ら試験グループが報告した。同試験については6ヵ月時点で、通常ケアと比較して心不全入院発生の有意な低下が確認されていた。研究グループはシステムの長期有効性を調べるため、モニタリング群を18ヵ月時点で評価する延長試験を、また対照群について圧情報アクセスをオープンとしてその臨床的効果を調べるため13ヵ月間の追加試験を行った。Lancet誌オンライン版2015年11月6日号掲載の報告より。

厳格降圧のベネフィットは高リスク患者ほど大きい/Lancet

 中国・北京大学第一病院のXinfang Xie氏らは高血圧治療に関する最新のシステマティックレビューとメタ解析を行い、厳格降圧療法は標準降圧療法と比べて血管保護効果が大きいことを報告した。最近改訂された現行の高血圧ガイドラインは、心血管疾患や腎疾患、糖尿病などを有する高リスク患者の降圧目標について、以前とは推奨を逆転させている。検討グループは、このガイドラインの変化が厳格降圧療法戦略に対する疑念を提示したものとして、厳格降圧療法の有効性と安全性を評価するため本検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年11月7日号の掲載報告より。

入院医療費が高額な医師ほど訴訟リスクは低い/BMJ

 同じ専門科の中で医療資源の使用(入院医療費)が高額の医師のほうが、低額の医師に比べ、翌年の医療過誤訴訟の発生リスクが低い傾向にあることが明らかにされた。産科婦人科については、帝王切開実施率が高い医師ほど、同訴訟リスクが低かった。米国・ハーバード大学医学校のAnupam B. Jena氏らが、約2万5,000人の医師について行った観察試験の結果、報告した。先行研究で、多くの医師が自衛的医療を行っていることが明らかになっていたが、医療資源の使用と医療過誤訴訟リスクとの関連については検討されていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告より。

新生児期の百日咳感染、てんかんリスク増大/JAMA

 百日咳の病院診断歴のある新生児は、一般集団と比較して10歳時のてんかんリスクが1.7倍高いことが、デンマーク全国患者レジストリ(DNPR)の長期追跡データの分析から示された。ただし絶対リスクは1.7%と低かった。同国オーフス大学病院のMorten Olsen氏らが報告した。新生児における百日咳罹患は脳症およびけいれん発作と関連するが、その後の小児てんかんリスクについては不明であった。JAMA誌2015年11月3日号掲載の報告。

マントル細胞リンパ腫の初期治療、レナリドミド+リツキシマブが有効/NEJM

 マントル細胞リンパ腫の初期治療について、レナリドミドとリツキシマブの生物学的製剤併用療法が有効であることが示された。2年無増悪生存率は85%、推定全生存率は97%だった。米国・コーネル大学医学部のJia Ruan氏らが、患者38例を対象に行った、第II相多施設共同単群導入・維持試験の結果明らかにした。マントル細胞リンパ腫の多くは治癒が困難で、初期治療は標準化されておらず、通常、殺細胞性化学療法などが行われている。一方、免疫調節薬レナリドミドと、抗CD20抗体リツキシマブは、再発マントル細胞リンパ腫患者における活性が認められており、研究グループはその併用療法の第1選択薬としての可能性について評価を行った。NEJM誌2015年11月5日号掲載の報告より。

英国プライマリケアでの処方の安全性、施設間で差/BMJ

 英国一般診療所の代表サンプル526施設を対象に処方の安全性について調べた結果、患者の約5%に不適切処方がみられ、また約12%でモニタリングの記録が欠如していることが、英国・マンチェスター大学のS Jill Stocks氏らによる断面調査の結果、明らかになった。不適切処方のリスクは、高齢者、多剤反復処方されている患者で高く、著者は、「プライマリケアにおいて、とくに高齢者と多剤反復投与患者について処方のリスクがあり適切性について考慮すべきであることが浮かび上がった」と述べている。英国では、プライマリケア向けに処方安全指標(prescribing safety indicator)が開発されているが、これまで試験セットでの検討にとどまり、大規模なプライマリケアデータベースでの評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月3日号掲載の報告。

乳頭状腎細胞がん、遺伝子解析で特徴付けが判明/NEJM

 腎細胞がんの15~20%を占め、1型と2型の存在が示されている乳頭状腎細胞がんは、これまでその遺伝子レベルの特性はほとんど解明されておらず、また病勢進行における有効な治療法はない。米国国立がん研究所のW. Marston Linehan氏ら、がんゲノムアトラス研究ネットワークは、161例の患者について分析を行い、1型と2型では臨床的および生物学的に異なること、さらに2型については3つのサブタイプがあることなどを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。

降圧目標120mmHg vs.140mmHgの結果:SPRINT/NEJM

 50歳以上で非糖尿病・心血管イベント高リスクの患者について、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧療法が同140mmHg未満の標準降圧療法よりも、致死的・非致死的重大心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に抑制したことが、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のJackson T. Wright氏らによるSPRINT試験(米国立衛生研究所[NIH]助成)の結果、示された。一方、厳格降圧療法群では、低血圧症、失神、電解質異常、急性腎障害/腎不全といった重度有害事象の有意な増大がみられた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

急性虚血性脳卒中への血栓除去 vs.t-PA:メタ解析結果/JAMA

 急性虚血性脳卒中に対し、血栓除去術による血管内治療は、tPA療法による標準治療と比較して機能的アウトカムを改善し、血管造影上の血行再建率は高率だが90日時点の症候性頭蓋内出血または全死因死亡に有意差はなかった。カナダ・トロント大学のJetan H. Badhiwala氏らがメタ解析の結果、報告した。急性虚血性脳卒中に対する血管内治療は血行再建を改善する。しかし血管内治療について検討した試験での機能的アウトカムはばらつきがみられ、サブグループに対する治療効果についてはさらなる定義付けが必要とされていた。JAMA誌2015年11月3日号掲載の報告より。

安全かつ有効な冠動脈ステント内再狭窄の治療法は?/BMJ

 冠動脈ステント内再狭窄の治療は、薬剤被膜バルーンと薬剤溶出ステントが臨床的および血管造影アウトカムに優れ、有効性は同程度であることが報告された。イタリア・カターニア大学フェラロット病院のDaniele Giacoppo氏らが、無作為化試験24件・患者4,880例を包含したシステマティックレビューと階層的ベイジアンネットワークメタ解析の結果、示した。ステント内再狭窄の治療については、過去20年間でさまざまな戦略が提案されてきたが、それらを比較した無作為化試験の結果は混合しており、断定的なものはない。研究グループは最も安全かつ有効な介入治療を明らかにすることを目的に今回の検討を行った。BMJ誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。

前立腺選択的α遮断薬、転倒・骨折リスクと関連/BMJ

 前立腺選択的α遮断薬は、転倒および骨折のリスク増大とわずかだが有意に関連していることが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBlayne Welk氏らによる住民コホート試験の結果、明らかにされた。また、頭部外傷、低血圧症のリスク増大も認められた。前立腺選択的α遮断薬は高齢男性の前立腺肥大症の治療薬で、これまでに、重篤有害事象の1つとして低血圧症があり、それが重大な転倒・骨折、頭部外傷の誘因となっている可能性が指摘されていた。しかし先行観察研究では、前立腺選択的α遮断薬にフォーカスした検討はされておらず、また治療開始と転倒・骨折リスクに関して相反する結論が報告されていた。BMJ誌オンライン版2015年10月26日号掲載の報告。