ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:229

5α還元酵素阻害薬、前立腺がん発症を予防、生存は改善せず/NEJM

 フィナステリド(Proscar、国内未承認)の予防投与は、前立腺がんの発症率を長期的に抑制するが、生存率は改善しないことが、米国テキサス大学サンアントニオ健康科学センターのIan M Thompson氏らが実施した「前立腺がん予防試験(PCPT)」の長期追跡の結果により示され、NEJM誌2013年8月15日号で報告された。フィナステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する2型5α還元酵素を阻害することで前立腺がんの発症を抑制すると考えられている。すでにPCPTでは、本薬により前立腺がんのリスクが24.8%低下するが、高悪性度病変のリスクは26.9%上昇することが確認され、2003年、同誌で報告されている。

雇用不安は冠動脈疾患発症のリスク因子/BMJ

 雇用への不安の自覚と冠動脈疾患(CHD)の発症には緩やかであるが関連があることが、フィンランド・労働衛生研究所のMarianna Virtanen氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにされた。同関連の一部は社会経済的状況が低いことに起因しており、著者は、「雇用不安を持つ人においては、好ましくないリスク因子である」と報告している。BMJ誌2013年オンライン版2013年8月8日号掲載の報告より。

リナグリプチン、高齢2型糖尿病患者にも有効/Lancet

 高齢の2型糖尿病患者へのDPP-4阻害薬リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)投与について、英国・Heart of England NHS Foundation Trust糖尿病センターのAnthony H Barnett氏らによる無作為化二重盲検パラレル並行国際共同第3相試験の結果、安全性と有効性が確認された。安全性プロファイルはプラセボと同程度であり、血糖値はHbA1cレベルで-0.64%の有意な降下が示された。結果を踏まえて著者は「高齢糖尿病患者において、個別の血糖目標を最小リスクで達成することが可能な治療であると言ってよいだろう」と結論している。2型糖尿病患者の多くは65歳以上の高齢者にもかかわらず、これまで同群の大半は血糖降下薬の臨床研究から除外されていた。Lancet誌オンライン版2013年8月13日号掲載の報告より。

PTSDを伴うアルコール依存症への組み合わせ治療の効果/JAMA

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)を伴うアルコール依存症の治療について、ナルトレキソン(国内未承認)投与によりアルコール摂取(日単位)を減じられることが、米国・ペンシルベニア大学のEdna B Foa氏らによる無作為化試験の結果、明らかになった。その際、PTSDの認知行動療法の一つである持続エクスポージャー(Prolonged Exposure:PE)療法を同時に行っても、アルコール摂取の助長にはつながらないことも示された。アルコール依存症とPTSDは併存している割合が高いが、その最良の治療方法についてはほとんど明らかになっていない。アルコール依存症でPTSDを伴う患者は治療抵抗性が認められ、一方でPTSDのためのPE療法は、アルコール摂取を助長する可能性が懸念されていた。JAMA誌2013年8月7日号掲載の報告より。

高血糖は非糖尿病者でも認知症リスク因子か/NEJM

 糖尿病の有無にかかわらず、血糖値が高いほど認知症の発症リスクが上昇することが、米国・ワシントン大学のPaul K Crane氏らの検討で明らかとなり、NEJM誌2013年8月8日号で報告された。「認知症は肥満や糖尿病の帰結として発症するのか」との問いに答えることが喫緊の課題となっている。糖尿病は認知症のリスク因子とされるが、「非糖尿病者でも、高い血糖値は認知症リスクを増大させる」との仮説はこれまで検証されていなかった。

乳酸菌やビフィズス菌に抗菌薬関連下痢症の予防効果なし/Lancet

 抗菌薬関連下痢症(AAD)およびクロストリジウム・ディフィシル感染による下痢症(CDD)の予防治療として、乳酸菌とビフィズス菌を含む微生物製剤は有効ではないことが、英国・スウォンジー大学のStephen J Allen氏らが行ったPLACIDE試験で示された。広域抗菌薬を処方されている高齢の外来患者ではAADが高頻度にみられるが、CDDの場合は生命を脅かす病態が引き起こされる可能性がある。根本的な疾患メカニズムが完全には解明されないなか、AADの予防策として微生物製剤の検討が進められているが、有効性に関するデータは十分ではないという。Lancet誌オンライン版2013年8月8日号掲載の報告。

H7N9型鳥インフル、初のヒト間感染の可能性/BMJ

 新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの初めてのヒト間感染と考えられる事例を、中国・江蘇省疾病管理予防センターのXian Qi氏らが確認し、BMJ誌オンライン版(2013年8月6日)で報告した。H7N9型ウイルス感染のほとんどは散発的に発生している。動物実験では、H7N9型ウイルスは飛沫を介して伝染する可能性が示唆されているが、これまでヒト間感染を示す明確なエビデンスはなかった。

ピロリ菌の逐次的治療、7日間3剤併用に比べ良好/BMJ

 ヘリコバクター・ピロリ菌に対する逐次的治療の除菌効果は、7日間3剤併用治療に比べ優れるが、より長期の3剤併用治療やビスマス製剤ベース治療との間には差はないことが、イタリア・ヴェルシリア病院のLuigi Gatta氏らの検討で示された。標準治療であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)+クラリスロマイシン+アモキシシリン(またはメトロニダゾール)による3剤併用療法の除菌率は、現在、当初の目標値である80%に達しない状況にあるという。逐次的治療は、ピロリ菌の除菌治療薬として確立された既存薬を、同時ではなく逐次的に投与する方法で、クラリスロマイシン耐性菌に高い効果を示し、標準治療よりも優れた除菌効果をもたらす可能性が示唆されている。BMJ誌オンライン版(2013年8月7日)掲載の報告。

重症ANCA関連血管炎、リツキシマブは長期に有効/NEJM

 抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の重症(臓器障害)例の寛解導入と維持の長期(18ヵ月間)有効性について、リツキシマブ(商品名:リツキサン)の1コース(週に1回を4週間)単独投与の治療が、継続的に免疫抑制薬を投与する従来の免疫療法と、同程度の効果があることが明らかにされた。米国・メイヨークリニック財団のUlrich Specks氏らが、多施設共同無作為化二重盲検ダブルダミー非劣性試験「RAVE」を行い報告した。ANCA患者は大部分が最終的に再発するため、導入療法の選択においては、寛解までの期間、再発の重症度、治療の累積による毒性が重要な因子となる。RAVE試験では、6ヵ月時点の寛解達成がリツキシマブ治療群において優れていたことが報告されていた。NEJM誌2013年8月1日号掲載の報告より。

特発性テント上脳内出血への早期手術は生存利益あり?/Lancet

 脳室内出血のない特発性テント上脳内出血への早期手術によるアウトカム改善について検討したSTICH IIの結果が、英国・ニューカッスル大学のA David Mendelow氏らにより報告された。大きな改善は示されなかったが、臨床関連の生存アドバンテージがある可能性が示されたという。同患者への早期手術によるリスクとベネフィットの釣り合いについては、これまで明らかにされておらず、STICH IIにおいて初期保存療法との比較で検討が行われた。Lancet誌2013年8月3日号(オンライン版2013年5月29日号)掲載の報告より。

高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫、早期介入が有用/NEJM

 くすぶり型多発性骨髄腫の高リスク例については、レナリドミド(商品名:レブラミド)、デキサメタゾン(同:レナデックス)を用いた治療を早期に開始したほうがベネフィットを得られることが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らによる検討の結果、明らかにされた。くすぶり型多発性骨髄腫に対する治療は、有効な治療薬がほとんどなく、利用可能な治療薬は長期毒性への懸念があり、症状が発現するまでは経過観察が標準とされている。背景には、同疾患の活動性疾患への進行リスクが低い(年率10%)ことがあるが、研究グループは、これまで研究ターゲット集団として検討されていなかった、同患者の40%を占める高リスク例(進行する確率が2年で50%)について、早期介入の有用性を検討する第3相無作為化オープンラベル試験を行った。NEJM誌2013年8月1日号の掲載報告。

肺保護的換気法、腹部大手術アウトカムを改善/NEJM

 術後肺合併症のリスクがある腹部大手術施行患者では、術中の肺保護的な換気法により臨床アウトカムが改善され、医療資源利用が抑制されることが、フランス・クレルモンフェラン大学中央病院(CHU)付属エスタン病院のEmmanuel Futier氏らが行ったIMPROVE試験で示された。低1回換気量および呼吸終末陽圧(PEEP)による肺保護的な換気法は、重症患者に対する最良の換気法とされるが、麻酔下に大手術を施行された患者における役割は、これまで知られていなかった。NEJM誌2013年8月1日号掲載の報告。

血圧変動が大きい高齢者は認知機能が不良/BMJ

 心血管疾患リスクを持つ高齢者では、平均血圧とは無関係に、診察室血圧の変動が大きい集団で認知機能が不良であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのBehnam Sabayan氏らが実施したPROSPER試験で示された。血圧変動は心血管イベントの独立のリスク因子とされる。また、診察室血圧の変動が大きいほど、無症候性および臨床的に明らかな脳血管障害のリスクが高くなることが知られている。BMJ誌オンライン版2013年7月29日号掲載の報告。

インターネット研修、抗菌薬処方を抑制/Lancet

 プライマリ・ケア医に対しインターネットを利用した気道感染症治療に関する2つの研修を行うことで、抗菌薬の処方率が大幅に抑制されることが、英国・サザンプトン大学のPaul Little氏らGRACEコンソーシアムの検討で示された。プライマリ・ケアにおける大量の抗菌薬処方は、薬剤耐性の重大な促進要因とされる。処方は医師や患者への教育によって低下する可能性があるが、高度に訓練された教育担当員を要する場合が多いことから、簡便で効果的な研修法の開発が望まれている。Lancet誌オンライン版2013年7月31日号掲載の報告。

末梢動脈疾患、21世紀の世界的な重要課題に/Lancet

 末梢動脈疾患(PAD)の世界的な有病率は21世紀初頭の10年ほどで20%以上増加し、2010年の患者数は2億人以上に及ぶことが、英国・エジンバラ大学のF Gerald R Fowkes氏らの調査で示された。喫煙が最大のリスク因子であることもわかった。世界的な人口の高齢化や、低~中所得国における慢性疾患のリスク因子の広がりにより、今後10年間で非伝染性疾患の疾病負担の急激な上昇が予測されている。なかでも下肢のPADは、アテローム性動脈硬化症に起因する心血管疾患として、冠動脈疾患、脳卒中に次いで3番目に多く、その世界的な罹患状況の把握が急がれていた。Lancet誌オンライン版2013年8月1日号掲載の報告。

てんかん患者の若年性死亡リスクは11倍/Lancet

 てんかん患者の若年性死亡リスクは、そうでない人に比べ、11倍超に増大することが明らかになった。外因性の死亡は15.8%で、そのうち75.2%において、うつ病など精神疾患の共存症が認められた。英国・オックスフォード大学ウォーンフォード病院のSeena Fazel氏らが、約7万人のてんかん患者について調べた検討で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2013年7月19日号で発表した。

情報提供でプライマリでの抗菌薬使用が3割低下/BMJ

 急性呼吸器感染症への抗菌薬処方について、特別に訓練を受けた一般開業医が訓練を受けていない一般開業医に対して情報提供をすることで、同割合がおよそ3割低下した。抗菌薬を処方した場合でも、より狭域な抗菌薬であるペニシリンV投与の割合が増加した。ノルウェー・オスロ大学のSvein Gjelstad氏らが、400人弱の一般開業医を対象に行った無作為化試験の結果で、現状では急性呼吸器感染症に対し、過度な抗菌薬処方が広く行われているという。BMJ誌オンライン版2013年7月26日号掲載の報告より。

血小板反応性とステント血栓症発生との関連が明確に/Lancet

 米国・コロンビア大学医療センターのGregg W Stone氏らは、冠動脈への薬剤溶出性ステント留置が成功した患者への、アスピリンとクロピドグレル(商品名:プラビックス)併用療法時の血小板反応性と臨床転帰との関連について調べた。その結果、アスピリン、クロピドグレルそれぞれの高い血小板反応性とステント血栓症などの発生との違いについて明らかにした。ステント血栓症の発生は心筋梗塞や死亡の高率な発生と関係しているが、植え込み後の血小板反応性とステント血栓症や大出血、その他の重大事象との関連については明確にはされていなかった。今回の結果を受けて著者は、「より高い抗血小板のベネフィットが得られるよう、安全な薬剤あるいは強力な薬剤使用のテーラーメイド戦略を開発しなければならない」と提言している。Lancet誌オンライン版2013年7月26日号掲載の報告より。

高齢者の障害リスク、不健康な生活習慣により増大/BMJ

 不健康な生活習慣は身体障害リスクを増大し、そのリスクは不健康な生活習慣の数が多いほど上昇することが、フランス・INSERMのFanny Artaud氏らによる同国高齢者を対象としたコホート研究データからの解析の結果、明らかになった。これまで、不健康な生活習慣およびその数が慢性疾患や突然死などのリスクを高めることは示されていたが、障害との関連について調べた研究はほとんどなかった。BMJ誌オンライン版2013年7月23日号の掲載報告より。

腎結石の女性、CHDリスクが増大/JAMA

 腎結石を有する女性は冠動脈心疾患(CHD)のリスクが有意に増大しているが、男性にはこのような関連は認めないとの研究結果が、JAMA誌2013年7月24日号に掲載された。これまでの検討では、腎結石の既往歴とCHDリスクの上昇との関連について一貫性のある結果は得られていないという。今回、イタリア・Columbus-Gemelli病院(ローマ市)のPietro Manuel Ferraro氏らは、米国の医療従事者を対象とした3つの大規模な前向きコホート試験のデータを解析した。