ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:47

冠動脈の中等度狭窄、FFRガイド下PCI vs IVUSガイド下PCI/NEJM

 虚血性心疾患が疑われる中等度狭窄患者において、冠血流予備量比(FFR)ガイド下での経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は血管内超音波法(IVUS)ガイド下と比較し、24ヵ月時点での死亡・心筋梗塞・再血行再建術の複合イベントの発生に関して非劣性であることが示された。韓国・ソウル大学病院のBon-Kwon Koo氏らが、韓国および中国の18施設で実施した無作為化非盲検試験「Fractional Flow Reserve and Intravascular Ultrasound-Guided Intervention Strategy for Clinical Outcomes in Patients with Intermediate Stenosis trial:FLAVOUR試験」の結果を報告した。冠動脈疾患患者のPCI評価において、血行再建術およびステント留置の決定にFFRまたはIVUSによるガイドを用いることができるが、両目的のためにどちらか一方のガイドを用いた場合の臨床アウトカムの差異は不明であった。NEJM誌2022年9月1日号掲載の報告。

鼻腔拭い液のコロナ検査、自己採取と医療者で結果は異なるか/JAMA

 4~14歳の小児が簡単な説明資材を視聴した後に自己採取した鼻腔拭い液からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出率は、医療従事者が採取した鼻腔拭い液での検出率とほぼ一致したことが、米国・エモリー大学のJesse J. Waggoner氏らが実施した横断研究の結果、示された。SARS-CoV-2の検査が拡大しているが、小児の自己採取が検査の精度に及ぼす影響が不明であるため、14歳未満の自己採取による鼻腔拭い液を用いた検査は緊急使用許可(EUA)が得られていなかった。JAMA誌オンライン版2022年8月26日号掲載の報告。

リウマチ性心疾患AF、ビタミンK拮抗薬がリバーロキサバンより有効/NEJM

 リウマチ性心疾患のAF(心房細動)患者において、ビタミンK拮抗薬治療はリバーロキサバン治療よりも、心血管イベントまたは死亡の複合発生率が低く、出血の発生率は両群で有意差はないことが、カナダ・マックマスター大学のStuart J. Connolly氏らによる4,565例を対象とした非盲検無作為化試験の結果、示された。リウマチ性心疾患の心房細動患者における心血管イベントの予防について、第Xa因子阻害薬の試験は限られていた。NEJM誌オンライン版2022年8月28日号掲載の報告。  研究グループは、心エコーでリウマチ性心疾患が確認された心房細動で、CHA2DS2VAScスコアが2以上(スコア範囲0~9、高スコアほど脳卒中リスクが高い)、僧帽弁口面積2cm2以下、左心房もやもやエコー、左房血栓のいずれかが認められた患者を登録し試験を行った。

SGLT-2阻害薬、全心不全患者の心血管死・入院を抑制/Lancet

 心不全患者に対するSGLT-2阻害薬は、駆出率や治療施設の違いにかかわらず、心血管死または心不全による入院リスクを有意に低減することが示された。米国・ハーバード・メディカル・スクールのMuthiah Vaduganathan氏らが、駆出率が軽度低下または駆出率が保持された心不全をそれぞれ対象にした大規模試験「DELIVER試験」「EMPEROR-Preserved試験」を含む計5試験、被験者総数2万1,947例を対象にメタ解析を行い明らかにした。SGLT-2阻害薬は、駆出率が低下した心不全患者の治療についてはガイドラインで強く推奨されている。しかし、駆出率が高い場合の臨床ベネフィットは確認されていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「SGLT-2阻害薬は、駆出率や治療施設の違いにかかわらず、すべて心不全患者の基礎的治療とみなすべきである」と述べている。Lancet誌2022年9月3日号掲載の報告。

前十字靱帯損傷、リハビリより外科的再建術が有効/Lancet

 膝関節の不安定性による症状が持続している非急性期の前十字靱帯(ACL)損傷患者の管理法として、外科的再建術はリハビリテーションと比較して、臨床効果(KOOS4)が優れ費用対効果も良好であることが、英国・オックスフォード大学のDavid J. Beard氏らが実施した「ACL SNNAP試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年8月20日号で報告された。  ACL SNNAP試験は、膝関節の不安定性の症状が持続する非急性期のACL損傷患者において、再建手術と非外科的治療のどちらが最適な管理法であるかの検証を目的とする実践的な無作為化対照比較試験であり、2017年2月~2020年4月の期間に、英国の29ヵ所の国民保健サービス(NHS)セカンダリケア病院の整形外科で参加者の募集が行われた(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価計画の助成を受けた)。

MTX維持療法中のolokizumab、関節リウマチの改善率は?/NEJM

 メトトレキサート(MTX)による維持療法を受けている関節リウマチ(RA)患者において、インターロイキン-6(IL-6)を直接の標的とするヒト化モノクローナル抗体であるolokizumabを併用すると、12週の時点における米国リウマチ学会基準の20%の改善(ACR20)の達成に関して、プラセボと比較して優越性を示し、ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体アダリムマブに対し非劣性であることが、オーストリア・ウィーン医科大学のJosef S. Smolen氏らが実施した「CREDO2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年8月25日号に掲載された。

再発性多発性硬化症の再発率をublituximabが低減/NEJM

 再発性多発性硬化症の治療において、抗CD20モノクローナル抗体ublituximabはピリミジン合成阻害薬teriflunomideと比較して、96週の期間における年間再発率を低下させ、MRI上の脳病変を減少させる一方で、障害の悪化リスクを抑制せず、インフュージョンリアクションを増加させることが、米国・スタンフォード大学のLawrence Steinman氏らが実施した「ULTIMATE I/II試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年8月25日号で報告された。  ULTIMATE I/II試験は、再発性多発性硬化症患者におけるublituximabの有効性と安全性を、teriflunomideとの比較において評価することを目的とする、同一デザインの2つの二重盲検ダブルダミー無作為化実薬対照第III相試験であり、2017年9月~2018年10月の期間に、10ヵ国の104の施設で参加者の登録が行われた(米国・TG Therapeuticsの助成による)。

人工関節置換術後のVTE予防、アスピリンvs.エノキサパリン/JAMA

 股関節または膝関節の変形性関節症で人工関節置換術を受けた患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の予防では、アスピリンはエノキサパリンと比較して、90日以内の症候性VTEの発現率が統計学的に有意に高く、死亡や大出血、再入院、再手術の頻度には差がないことが、オーストラリア・インガム応用医学研究所のVerinder S. Sidhu氏らが実施した「CRISTAL試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年8月23日号に掲載された。  CRISTAL試験は、人工股関節置換術(THA)および人工膝関節置換術(TKA)に伴うVTEの予防における、アスピリンのエノキサパリン(低分子量ヘパリン)に対する非劣性の検証を目的とするレジストリ内クラスター無作為化クロスオーバー試験であり、2019年4月~2020年12月の期間に、オーストラリアの31の病院で参加者の登録が行われた(オーストラリア連邦政府の助成を受けた)。

米国成人の脂質値は改善傾向だがアジア人は変化なし/JAMA

 米国成人において、2007~08年から2017~18年の10年間で脂質値は改善しており、この傾向は非ヒスパニック系アジア人を除くすべての人種・民族のサブグループで一貫していたことが、米国・ハーバード大学医学大学院のRahul Aggarwal氏らの解析で明らかとなった。脂質高値は、心血管疾患の修正可能なリスク因子であるが、米国成人における過去10年の脂質値および脂質コントロールの傾向や、性別や人種・民族別の差異はほとんど知られていなかった。JAMA誌2022年8月23・30日号掲載の報告。  研究グループは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)の2007~08年から2017~18年のデータを用い、米国成人を代表するよう重み付けされた20歳以上の米国成人3万3,040例を対象に、連続横断分析を行った。

がん負担の世界最大のリスク因子は喫煙/Lancet

 2019年の世界におけるがん負担に寄与した最大のリスク因子は喫煙であり、また、2010年から2019年にかけて最も増大したのは代謝関連のリスク因子(高BMI、空腹時高血糖)であることが、米国・ワシントン大学のChristopher J. L. Murray氏ら世界疾病負荷研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2019 Cancer Risk Factors Collaboratorsの解析で明らかとなった。Lancet誌2022年8月20日号掲載の報告。  研究グループは、GBD 2019の比較リスク評価フレームワークを用い、行動、環境・職業および代謝に関連したリスク因子に起因するがん負担について、2019年のがん死亡および障害調整生存年(DALY)を推定するとともに、これらの2010年から2019年までの変化を検討した。

ニルマトレルビル治療、65歳以上のコロナ重症化を予防/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で重症化リスクが高くニルマトレルビル治療の適応があると評価された患者において、ニルマトレルビル治療により65歳以上ではCOVID-19による入院および死亡が有意に減少したが、40~64歳では有益性は認められなかった。イスラエル・Clalit Research InstituteのRonen Arbel氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析し、報告した。ニルマトレルビル治療は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のデルタ変異株(B.1.617.2)に感染した高リスクでワクチン未接種の患者において有効性が示されているが、オミクロン変異株(B.1.1.529)によるCOVID-19の重症化予防に関するデータは限られていた。NEJM誌オンライン版2022年8月24日号掲載の報告。

糖尿病性神経障害性疼痛、併用薬による効果の違いは?/Lancet

 糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)に対する鎮痛効果は、アミトリプチリン+プレガバリン、プレガバリン+アミトリプチリン、デュロキセチン+プレガバリンで同等であり、単剤療法で効果不十分な場合に必要に応じて併用療法を行うことで、良好な忍容性と優れた鎮痛効果が得られることが、英国・シェフィールド大学のSolomon Tesfaye氏らが英国の13施設で実施した多施設共同無作為化二重盲検クロスオーバー試験「OPTION-DM試験」の結果、示された。DPNPに対しては、多くのガイドラインで初期治療としてアミトリプチリン、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチンが推奨されているが、最適な薬剤あるいは併用すべきかについての比較検討はほとんど行われていなかった。OPTION-DM試験は、DPNP患者を対象とした過去最大かつ最長の直接比較のクロスオーバー試験であった。Lancet誌2022年8月27日号掲載の報告。

メポリズマブ、好酸球性喘息の小児患者で増悪を低減/Lancet

 都市部の低所得地域に居住する増悪を起こしやすい好酸球性喘息の小児患者において、インターロイキン-5(IL-5)に対するヒト化モノクローナル抗体であるメポリズマブによる表現型指向の治療法は、以前に成人で観察された有効性に比べれば劣るものの、プラセボとの比較で喘息増悪の回数の有意な減少をもたらすことが、米国・ウィスコンシン大学医学公衆衛生大学院のDaniel J. Jackson氏ら国立アレルギー・感染病研究所(NIAID)Inner City Asthma Consortiumが実施した「MUPPITS-2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年8月13日号に掲載された。  MUPPITS-2試験は、増悪を起こしやすい好酸球性喘息の小児患者の治療における、ガイドラインに基づく治療へのメポリズマブの上乗せ効果の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、米国の都市部9ヵ所の医療センターが参加し、2017年11月~2020年3月の期間に患者の登録が行われた(米国NIAIDとGlaxoSmithKlineの助成を受けた)。

昇降式仕事机を活用した介入で、1日の座位時間が短縮/BMJ

 内勤職員の健康増進を目的とする座位時間の短縮のための介入において、SMART Work and Life(SWAL)と呼ばれる方法を導入すると、この介入を行わない通常の仕事の形態と比較して1日の座位時間が有意に短くなり、さらにSWALに高さの調節が可能な仕事机を加えると、SWAL単独よりも短縮効果が約3倍に増大することが、英国・レスター大学のCharlotte L. Edwardson氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年8月17日号で報告された。  研究グループは、SWALが日常的な座位時間に及ぼす効果を評価し、昇降式仕事机の有無で座位時間の短縮効果に差があるかの検証を目的に、3群クラスター無作為化対照比較試験を行った(英国レスター大学の助成を受けた)。

妊娠中のコロナワクチン接種、早産等のリスク増大なし/BMJ

 妊娠中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種しても、非接種と比較して早産、在胎不当過小(SGA)児の出生、死産のリスクは増加しないことが、カナダ・オタワ大学のDeshayne B. Fell氏らの後ろ向きコホート研究で示された。妊娠中のCOVID-19ワクチン接種による妊娠アウトカムについては、大規模比較研究のエビデンスが限られていた。著者らは「今回の結果は、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種のリスクとベネフィットに関してエビデンスに基づく意思決定に役立つものである」とまとめている。BMJ誌2022年8月17日号掲載の報告。

急性期脳梗塞、遠隔虚血コンディショニングで機能予後改善/JAMA

 中等症の急性期脳梗塞成人患者において、症状発現後48時間以内に両側上肢を電子自動制御カフで圧迫・解除を繰り返す遠隔虚血コンディショニング(remote ischemic conditioning:RIC)治療を加えることで、通常の治療のみと比較し90日後の神経学的機能良好の可能性が有意に増加することを、中国・人民解放軍北部戦区総医院のHui-Sheng Chen氏らが、中国の55施設で実施した多施設共同無作為化非盲検試験「Remote Ischemic Conditioning for Acute Moderate Ischemic Stroke Study:RICAMIS試験」の結果、報告した。これまで、前臨床試験でRICが脳梗塞を抑制し神経学的アウトカムを改善することが示され、いくつかの臨床試験においてRICの安全性が報告されていたが、急性期脳梗塞患者におけるRICの有効性に関して明らかなエビデンスは得られていなかった。なお著者は、「RICの有効性を結論付ける前に、今回の結果を別の試験で再現する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年8月16日号掲載の報告。

コロナvs.インフル、入院患者の血栓塞栓症リスク/JAMA

 米国・ペンシルベニア大学のVincent Lo Re III氏らによる、米国の公衆衛生サーベイランスシステムのデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、COVID-19入院患者はワクチンの導入前か実施期間中にかかわらず、2018/2019シーズンのインフルエンザ入院患者と比較し、入院後90日以内の動脈血栓塞栓症リスクに有意差はないものの静脈血栓塞栓症リスクが有意に高いことが示された。これまで、COVID-19患者における動脈血栓塞栓症および静脈血栓塞栓症の発生率は不明であった。JAMA誌2022年8月16日号掲載の報告。

妊娠糖尿病の診断基準、低vs.高血糖値でLGA児リスクの差は?/NEJM

 妊娠糖尿病の診断基準として低めの血糖値を用いても、高めの血糖値を用いた場合と比較し、在胎不当過大(LGA)児を出産するリスクは低下しないことを、ニュージーランド・オークランド大学のCaroline A. Crowther氏らが無作為化試験「Gestational Diabetes Mellitus Trial of Diagnostic Detection Thresholds:GEMS試験」の結果、報告した。妊娠糖尿病の治療は母子の健康を改善するが、その診断基準ははっきりしないままであった。NEJM誌2022年8月18日号掲載の報告。  研究グループは、2015年4月~2020年8月の期間に、妊娠24~32週の妊婦を、妊娠糖尿病の診断基準として低めの血糖値を用いる群(低基準値群、2,022例)と高めの血糖値を用いる群(高基準値群、2,039例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

固形がんの第I相試験、20年間で奏効率2倍に/Lancet

 2000~19年に行われた固形がんに関する第I相臨床試験の奏効率は、治療関連の死亡率を増大することなく2倍近くになっていることが判明した。一方で、同期間の奏効率の改善は、がんの種類、治療薬、試験デザインなどさまざまな要因によるばらつきも認められたという。米国・国立がん研究所(NCI)のDai Chihara氏らが、がん治療評価研究プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program:CTEP)の患者データを分析し明らかにした。Lancet誌2022年8月13日号掲載の報告。  研究グループは、2000年1月1日~2019年5月31日に行われたNCIが資金を提供した研究者主導の固形がんに関する第I相臨床試験のCTEPから患者データを集めて分析した。治療関連死(「おそらく」・「十中八九」・「明確に」治療に起因するGrade5の毒性による)、治療中の全死亡(がん種にかかわらずプロトコール治療中の死亡)、Grade3-4の毒性、全奏効の程度(完全奏効および部分奏効)、対象期間中(2000~05年、2006~12年、2013~19年)の完全奏効率、および経時的傾向を評価した。

イベルメクチン、メトホルミン、フルボキサミンはコロナ重症化を予防せず/NEJM

 メトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミンはいずれも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連した低酸素血症や救急外来受診、入院または死亡の発生に対する予防効果はないことが、米国・ミネソタ大学のCarolyn T. Bramante氏らが行った第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。3剤は、SARS-CoV-2感染早期の外来患者への投与でCOVID-19重症化を予防できるのではと期待されていた。NEJM誌2022年8月18日号掲載の報告。  研究グループは2×3要因デザイン法を用いて、SARS-CoV-2感染確認から3日以内、発症から7日以内の外来成人患者に対し、メトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミン3種の薬剤のドラッグ・リパーパシングとして、COVID-19の重症化予防効果を検証した。被験者は30~85歳で、過体重または肥満だった。