ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:227

約7割の医学専門誌で「試験登録」が論文投稿の条件となっていない/BMJ

 投稿要件として「試験登録」を課している医学専門誌の割合を調べたところ、200誌中55誌と28%にとどまることが、英国・Sideview社パブリッシャーコンサルタントのElizabeth Wager氏らによる調査の結果、明らかになった。前向き試験登録は、出版バイアスを低下することが可能であり、ヘルシンキ宣言によって推奨され、現在一部の主要医学専門誌では出版公表の必要条件としている。2005年に国際医学誌編集者委員会がこの要件を必要とし始めてから、試験登録はかなり増加した。しかし特定の専門誌を対象に行われた小規模の先行研究では、試験登録を要件として示した雑誌はわずか16~33%であったことが報告されていた。BMJ誌オンライン版2013年9月6日号掲載の報告より。

さすがに4剤を1つの配合剤にすると服薬継続率も良くなるだろう/JAMA

 心血管疾患(CVD)またはその高リスクを有する患者への降圧・脂質低下・抗血小板薬の固定用量配合剤投与(fixed-dose combinations:FDC)治療戦略は通常ケアと比較して、アドヒアランスを有意に改善すること、血圧と脂質の臨床値の改善は有意だがわずかであったことが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSimon Thom氏らによる無作為化試験「UMPIRE」の結果、示された。CVD患者の大半は、推奨薬物療法が長続きしない。FDCによるアドヒアランス改善効果はその他領域で報告されており、心血管系FDCについてはこれまで、プラセボあるいは未治療と比較した短期効果の検討は行われていた。JAMA誌2013年9月4日号掲載の報告より。

A群髄膜炎の新ワクチン、集団接種で罹患率94%低下/Lancet

 A群髄膜炎菌-破傷風トキソイド結合型ワクチン(PsA-TT)の集団接種は、A群髄膜炎の罹患率を9割以上減少させ非常に有効であることが、チャド・Centre de Support en Sante InternationalのD. M. Daugla氏らにより報告された。PsA-TTは、サハラ砂漠以南のワクチン開発プロジェクトにより開発された。2009年にインドで承認され2010年にはWHOによる安全性と免疫原性の事前承認を得て、現在“アフリカ髄膜炎ベルト地帯”で、本研究にも資金を提供しているビル&メリンダ・ゲイツ財団などの支援の下、接種キャンペーンが展開されているという。Lancet誌オンライン版2013年9月12日号掲載の報告より。

心原性ショック急性心筋梗塞へのIABP、12ヵ月死亡率も低下せず/Lancet

 心原性ショックを伴う急性心筋梗塞への大動脈内バルーンパンピング(IABP)は、12ヵ月後の死亡率を低減しないことが明らかにされた。ドイツ・ライプツィヒ大学のHolger Thiele氏らが、患者600例を対象とした非盲検無作為化比較試験「IABP-SHOCK II」の結果、報告した。すでにIABP-SHOCK IIの結果として、IABPによる30日死亡率の低下が認められないことが示されていた。しかし心原性ショックの先行研究において、延長フォローアップにおいてのみ死亡率のベネフィットが示されたことがあり、著者らは本試験についても6、12ヵ月の評価を行った。なお、最新の国際ガイドラインでは、レジストリデータに基づき心原性ショックを伴う急性心筋梗塞へのIABPの推奨ランクは引き下げられている。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告より。

電子タバコは禁煙達成に本当に有効なのか/Lancet

 2004年に発売された「ニコチン入り電子タバコ」は、数百万人の愛煙家がいるとされ、やめるために吸っている人も多く(英国では禁煙に取り組む人の27%が利用)、10年以内にその売上高は一般的なタバコを凌駕するのではと言われるほど急増しているという。しかし、喫煙コントロールにおける電子タバコの位置づけには議論の余地があり、信頼性の高いデータも不足しているのが現状である。そこでニュージーランド・オークランド大学のChristopher Bullen氏らは、ニコチン入り電子タバコの有効性と安全性について評価するプラグマティックな無作為化対照優越性試験を行った。Lancet誌オンライン版2013年9月9日号の掲載報告より。

新規静注抗血小板薬の実力はいかに/Lancet

 新規静注P2Y12阻害薬カングレロール(国内未承認)について、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後30日間の有害心イベント予防に関する臨床ベネフィットが報告された。フランス・パリ第7大学のPhilippe Gabriel Steg氏らCHAMPION研究グループが、カングロレルの有効性と安全性について検証された3つの大規模二重盲検無作為化試験「CHAMPION-PCI」「CHAMPION-PLATFORM」「CHAMPION-PHOENIX」についてプール解析を行い報告した。解析の結果、カングレロールは対照群[クロピドグレル(商品名:プラビックス)またはプラセボ]と比較して、PCI周術期の血栓合併症を減少することが示された。一方で出血の増大も認められたという。カングレロールは、強力で急速、可逆的な抗血小板作用を特徴とする。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告より。

パニツムマブの負の効果予測因子、KRAS以外にもある可能性/NEJM

 上皮増殖因子受容体(EGFR)を標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体であるパニツムマブ(Pmab、商品名:ベクティビックス)は、KRAS遺伝子エクソン2の変異を有する転移性大腸がん(mCRC)患者では効果が低いことが報告されている。フランス・Institut de Cancerologie de l’ Ouest(ICO)Rene GauducheauのJean-Yves Douillard氏らは、PRIME試験についてバイオマーカー解析を行い、KRAS遺伝子エクソン2変異以外の遺伝子変異も、Pmabの負の効果予測因子となる可能性を示した。NEJM誌2013年9月12日号掲載の報告。

女性にも薬剤溶出ステントは有効か?/Lancet

 冠動脈疾患の男性患者だけでなく女性患者においても、薬剤溶出ステント(DES)はベアメタルステント(BMS)に比べ有効性と安全性が優れることが、スイス・ベルン大学病院のGiulio G Stefanini氏らの検討で確認された。冠動脈疾患の治療におけるDESの安全性と有効性はさまざまな無作為化試験で検討されているが、登録患者に占める女性の割合が約25%と低いため、女性におけるDESの有用性を評価する十分なパワーを有する単一の試験はないという。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告。

予後予測能が高まるeGFR算出法/NEJM

 シスタチンC値の単独またはクレアチニン値との併用による推定糸球体濾過量(eGFR)算出は、多様な集団において、死亡および末期腎不全(ESRD)リスクなどの転帰予測を改善することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichael G. Shlipak氏らがメタ解析の結果、報告した。これまで、シスタチンC値にクレアチニン値を加味することが、eGFR算出精度を改善することは知られていた。しかし、多様な集団における慢性腎臓病(CKD)患者の検出や病期分類およびリスク層別化にもたらす効果については明らかではなかった。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告より。

メタ解析で一部の対照群の除外は、解析結果をねじ曲げることもある/BMJ

 ネットワーク・メタ解析において、プラセボ/未治療などの治療対照群を除外することは、解析結果に重大な影響をもたらす可能性が明らかになった。治療効果はプラセボ/未治療群除外の場合で1.16~3.10倍の違いがみられたという。カナダ・オタワ大学のEdward J Mills氏らによる検討の結果で、「仮に重要な治療比較群が失われていれば、臨床医にもたらされる研究の有用性が減弱される可能性がある」とまとめている。ネットワーク・メタ解析は、複数の介入について効果を比較することが可能でますます普及が進んでいる手法だが、解析に組み込む介入を都合よく選択することもあるとされていた。BMJ誌オンライン版2013年9月5日号掲載の報告より。

新旧抗凝固薬とアスピリンの効果比較:静脈血栓症の二次予防/BMJ

 近年発売された抗凝固薬と抗血小板薬は、プラセボや経過観察と比較して静脈血栓症(VTE)の二次予防効果が認められることが、カナダ・オタワ大学のLana A Castellucci氏らによる、12試験・被験者総数1万例超のシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかになった。同解析において効果が最も高かったのは標準補正用量ビタミンK拮抗薬だったが、一方で重大出血リスクも最も高かった。また、効果が最も低かったのはアセチルサリチル酸であったという。これまで抗凝固薬・抗血小板薬の静脈血栓症二次予防効果については、意見が分かれていた。BMJ誌オンライン版2013年8月30日号掲載の報告より。

低線量ヘリカルCTは早期肺がん検出能が高い/NEJM

 低線量ヘリカルCTによる毎年の肺がん検診は、胸部X線によるものに比べ、陽性適中率は低いものの、早期肺がんの検出能が高い傾向が明らかにされた。米国・カリフォルニア大学のDenise R. Aberle氏らが、低線量ヘリカルCTと胸部X線の肺がん検診のアウトカムを調べる全米肺検診試験(National Lung Screening Trial:NLST)の結果を分析し報告した。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告より。

レニン阻害薬、動脈硬化進展を抑制せず/JAMA

 冠動脈疾患を有する高血圧前症患者へのレニン阻害薬アリスキレン(商品名:ラジレス)投与はプラセボと比較して、アテローム性動脈硬化の進展を抑制しないことが、南オーストラリア健康・医療研究所(SAHMRI)のStephen J. Nicholls氏らによる無作為化試験AQUARIUSの結果、示された。著者は、「今回の結果は、アテローム性動脈硬化症の退縮または予防についてアリスキレン使用を支持しないものであった」と結論している。JAMA誌オンライン版2013年9月3日号掲載の報告より。

DPP-4阻害薬、糖尿病の虚血性イベント増減せず/NEJM

 DPP-4阻害薬サキサグリプチン(商品名:オングリザ)は、心血管イベント既往またはリスクを有する2型糖尿病患者の治療において、心不全入院率は上昇するが虚血性イベントは増大も減少もしなかったことが、米国・ハーバードメディカルスクールのBenjamin M. Scirica氏らによるSAVOR-TIMI 53試験の結果、示された。著者は「サキサグリプチンは糖尿病患者において、血糖コントロールを改善するが、心血管リスクを低下させるにはその他のアプローチが必要である」と結論している。本研究は、2013年9月2日、オランダ・アムステルダム市で開催された欧州心臓病学会(ESC)で報告され、同日付けのNEJM誌オンライン版に掲載された。

PCI前の血栓吸引、STEMI患者の予後を改善しない/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行前の血栓吸引はPCI単独に比べ、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の予後を改善しないことが、スウェーデン・エーレブルー大学病院のOle Frobert氏らが実施したTASTE試験で示された。STEMI患者に対する初回PCI前の冠動脈内血栓吸引は、血流やST上昇を改善する可能性があり、簡便で迅速に施行可能で、相対的に安価との指摘があるが、これは一般的な見解ではないという。1,071例を対象に単施設で行われたTAPAS試験では、STEMI患者における生存ベネフィットが示唆されているが、むしろ高額であるとの指摘や、脳卒中リスクを増大させるとのメタ解析の結果が報告されていた。本研究は、2013年9月1日、オランダ・アムステルダム市で開催された欧州心臓病学会(ESC)で発表され、同日付けのNEJM誌オンライン版に掲載された。

新規抗凝固薬、ワルファリンに非劣性-静脈血栓塞栓症の再発-/NEJM

 経口第Xa因子阻害薬エドキサバン(商品名:リクシアナ)は、症候性静脈血栓塞栓症(VTE)の治療において、有効性がワルファリンに非劣性で、安全性は優れていることが、オランダ・アムステルダム大学のHarry R Buller氏らが行ったHokusai-VTE試験で示された。VTEは、心筋梗塞や脳卒中後にみられる心血管疾患として3番目に頻度が高く、北米では年間70万人以上が罹患しているという。従来の標準治療は低分子量ヘパリン+ビタミンK拮抗薬だが、ヘパリンの前投与の有無にかかわらず、新規経口抗凝固薬の有効性が確立されている。本研究は、2013年9月1日、アムステルダム市で開催された欧州心臓病学会(ESC)で報告され、同日付けのNEJM誌オンライン版に掲載された。

DPP-4阻害薬、糖尿病の心血管リスク増大せず/NEJM

 新規DPP-4阻害薬アログリプチン(商品名:ネシーナ)は、直近の急性冠症候群(ACS)既往歴のある2型糖尿病患者の治療において、心血管リスクを増加させずに糖化ヘモグロビン(HbA1c)を改善することが、米国・コネチカット大学のWilliam B. White氏らが行ったEXAMINE試験で示された。糖尿病患者では、血糖値の改善により細小血管合併症リスクが低下する可能性があるが、大血管イベントへの良好な効果は示されておらず、米国FDAをはじめ多くの国の監督機関は、新規の抗糖尿病薬の承認前後で、心血管系の安全性プロフィールの包括的な評価を求めている。本研究は、2013年9月2日、オランダ・アムステルダム市で開催された欧州心臓病学会(ESC)で報告され、同日付けのNEJM誌に掲載された。

低線量CT画像上の肺結節のがん確率を正確に推定するモデル開発/NEJM

 低線量CTスクリーニングで検出された肺結節が悪性腫瘍である確率を正確に予測する方法として、カナダ・バンクーバー総合病院のAnnette McWilliams氏らが開発した患者の背景因子や結節の特性に基づくモデルが有用なことが示された。低線量CTによる肺がんスクリーニングの主要課題は、陽性の定義および検出された肺結節の管理とされる。また、初回スクリーニングで20%以上に再検査を要する肺結節がみつかり、1万人に4.5人の割合で重篤な合併症が発現するとされ、全米肺検診試験(NLST)では外科的に切除された結節の25%が良性であったことから、結節が悪性腫瘍である確率を正確に予測する実用的なモデルの構築が求められている。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告。

古くて新しい薬コルヒチン、急性心膜炎の頻発・再発リスクを半減/NEJM

 急性心膜炎に対し、アスピリンなどによる従来抗炎症療法に加えてコルヒチンを投与すると、頻発性・再発性心膜炎の発生リスクは半減することが明らかになった。症状持続率や入院率も、コルヒチン投与により大幅に減少することが示された。イタリア・マリア・ビットリア病院のMassimo Imazio氏らが、急性心膜炎の患者240例を対象に行った無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。コルヒチンは痛風の古典的な治療薬だが、近年、再発性心膜炎に有効であることが示され推奨されている。急性心膜炎に対する効果も支持する報告がされているが確定的データはなかった。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。

機械弁患者にはダビガトランよりワルファリン/NEJM

 人工心臓弁置換術を行った人に対し、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)投与はワルファリン(同:ワーファリンほか)投与に比べ、血栓塞栓症・出血イベントリスクが増大することが明らかになった。カナダ・マックマスター大学のJohn W. Eikelboom氏らがダビガトラン用量検証のための第2相臨床試験を行った結果、報告した。ダビガトランは心房細動患者においてワルファリンに代わる選択肢になることが示されている。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。