ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:196

頭蓋内動脈狭窄へのバルーン拡張型ステントは転帰不良/JAMA

 頭蓋内動脈狭窄症の患者に対し、内科的治療+バルーン拡張型ステント治療は、内科的治療のみに比べ、12ヵ月間の同一部位の脳卒中やTIAのリスク増大、また30日間のあらゆる脳卒中やTIAのリスク増大に至ったことが報告された。米国・ウィスコンシン医科大学のOsama O. Zaidat氏らが無作為化比較試験の結果、示された。これまで、無作為化試験による、同比較の検討は行われていなかったという。著者は今回の結果について、「症候性頭蓋内動脈狭窄症の患者には、バルーン拡張型ステントの使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌2015年3月24・31日号掲載の報告より。

僧帽弁術中のアブレーション、術後に好影響/NEJM

 僧帽弁手術を受ける持続性心房細動患者に対し、術中に外科的心房細動アブレーションを行うことで、術後6ヵ月および12ヵ月の心房細動の無発生率が大幅に増大することが示された。ただし、永久ペースメーカー植込みリスクも上昇が示された。米国・クリーブランドクリニックのA. Marc Gillinov氏らが、260例の心房細動患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。僧帽弁手術を受ける患者のうち30~50%に心房細動がみられる。心房細動に対する外科的アブレーションは広く行われているが、安全性、有効性に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌2015年4月9日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。

CADへのエベロリムスPCI vs.CABG~アジアでのRCT/NEJM

 多枝冠動脈疾患の患者へのエベロリムス溶出ステントによる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、長期アウトカムが不良であることが明らかにされた。韓国・蔚山大学校のSeung-Jung Park氏らが、880例の患者について行った無作為化非劣性試験の結果、報告した。これまで多くのPCI対CABG比較試験が行われているが、第2世代薬剤溶出ステントを用いた検討は行われていなかった。NEJM誌2015年3月26日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。

アリロクマブ併用による長期のLDL-C改善効果/NEJM

 米国・アイオワ大学のJennifer G Robinson氏らODYSSEY LONG TERM試験の研究グループは、心血管リスクの高い患者の治療において、新規LDLコレステロール(LDL-C)低下薬アリロクマブ(alirocumab、国内未承認)を最大耐用量のスタチンと併用すると、長期にわたりLDL-C値が有意に減少し、心血管イベントが抑制されることを確認した。アリロクマブは、前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に対するモノクローナル抗体であり、第II相試験では短期的投与(8~12週)により、スタチン治療を受けている患者のLDL-C値を40~70%減少させることが示されている。NEJM誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。

CADへのエベロリムスPCIの長期転帰、CABGと同等か/NEJM

 多枝冠動脈疾患に対するエベロリムス溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期的な死亡リスクは、冠動脈バイパス術(CABG)とほぼ同等であることが、米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らの検討で示された。多枝冠動脈疾患患者の長期的死亡率は、CABG施行後のほうがPCI施行後よりも低いことが、臨床試験や患者登録研究で報告されているが、それらの解析では第2世代薬剤溶出ステントによるPCIの評価は行われていないという。NEJM誌2015年3月26日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。

エボロクマブ追加でLDL-Cが長期に減少/NEJM

 脂質異常症の標準治療に新規のLDLコレステロール(LDL-C)低下薬であるエボロクマブ(承認申請中)を追加し約1年の治療を行うと、標準治療単独に比べLDL-C値が有意に減少し、心血管イベントが 抑制されることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMarc S Sabatine氏らOSLER試験の研究グループの検討で明らかとなった。エボロクマブは、前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体であり、短期的な臨床試験でLDL-C値を約60%減少させることが確認されていた。NEJM誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。

末期腎臓病への腎代替療法が急増中/Lancet

 2010年に、末期腎臓病(end-stage kidney disease)で腎代替療法(renal replacement therapy:RRT)を受けていた患者は世界で260万人以上に上り、2030年にはこれが倍以上に増加する可能性があることが、オーストラリア・シドニー大学のThaminda Liyanage氏らの検討で示された。末期腎臓病は世界的に発症率が高く、主要な死亡原因であり、今後、数十年で有病率およびRRTの施行数が急激に増加すると予測されている。患者へのサービス供給戦略を確立するには、疾病負担やRRTの施行状況を知り、将来のRRTの需要を予測する必要がある。Lancet誌オンライン版2015年3月13日号掲載の報告より。

重症大動脈弁狭窄へのTAVR、5年転帰良好/Lancet

 手術非適応の重症大動脈弁狭窄(AS)に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)vs. 標準治療を検討した無作為化試験PARTNER1の5年アウトカムが、米国・クリーブランドクリニックのSamir R Kapadia氏らにより報告された。TAVRの有益性が示され、著者は、非手術適応患者の生存および機能を改善するためにTAVR施術の検討を強化すべきであると提言している。また、患者の適切な選択により、TAVRの有益性を最大限に引き出すことになり、重篤な併存疾患による死亡を抑制することにもつながるだろうと述べている。すでにPARTNER試験の早期評価の結果で、TAVRが重症AS患者で手術非適応の患者について忍容性のある治療であることは報告されているが、より長期の臨床アウトカムに関する情報は限定的であった。Lancet誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。

乳房生検、病理医による診断の精度は?/JAMA

 乳房生検について、病理医による診断vs. 参照診断の一致率は75.3%であったことが、米国・ワシントン大学のJoann G. Elmore氏らにより報告された。検討は、病理医115人が行った240症例のスライド標本の診断6,900件について、3人のエキスパート病理医から成るコンセンサスパネルが下した診断との一致を調べて行われた。一致率は、浸潤がんで高く、非浸潤性乳管がん(DCIS)や異型過形成では低いことも判明した。結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、これら一致率と患者マネジメントとの関連について理解する必要がある」と述べている。乳房の病理診断の結果は、治療やマネジメント決定の根拠となるが、その精度については十分に解明されていなかった。JAMA誌2015年3月17日号掲載の報告より。

PCI前の血栓除去は有効か?RCTの結果/NEJM

 プライマリPCIを受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者への、ルーチンの用手的血栓除去の実施は、180日間の心血管死や心筋梗塞の再発などの複合アウトカムを改善しなかったことが示された。一方で、30日以内の脳卒中発生率は、用手的血栓除去により約2倍増大した。カナダ・ハミルトン総合病院のS.S. Jolly氏らが、1万732例について行った無作為化試験の結果、報告した。プライマリPCI時の用手的血栓除去は遠位塞栓を抑制し、微小血管の循環を改善するとされる。先行研究の小規模試験では、血栓除去による臨床転帰の改善が示唆されたが、大規模試験では相反する結果が報告されていた。NEJM誌2015年4月9日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。

狭心症疑い、CT冠動脈造影で診断確度アップ/Lancet

 冠動脈性心疾患(CHD)で狭心症が疑われた患者に対し、コンピュータ断層撮影を用いた冠動脈造影(CTCA)を実施することで、診断確度が増大することが示された。CTCAにより介入ターゲットが明確になり、有意差は示されなかったが将来的な心筋梗塞リスクを低下可能であることが示されたという。英国・ボーダーズ総合病院のDavid Newby氏らSCOT-HEART研究グループが、4,146例を対象に行った無作為化試験の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。

経カテーテル大動脈弁置換術の5年転帰/Lancet

 高リスク大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は、標準治療である外科的大動脈弁置換術(SAVR)とほぼ同等の臨床転帰をもたらすことが、米国・Baylor Scott & White HealthのMichael J Mack氏らが実施したPARTNER 1試験で示された。本試験では、TAVRの1年死亡率は、非手術例では標準的非手術療法よりも優れ、手術を行った高リスク例ではSAVRに対し非劣性であり、これらの知見は2年、3年時も維持されていた。研究グループは今回、高リスク例における5年時の臨床転帰の解析を行い、Lancet誌オンライン版2015年3月15日号で発表した。

急性冠症候群、経橈骨動脈アクセスの安全性/Lancet

 急性冠症候群(ACS)患者に対する侵襲的処置では、経橈骨動脈アクセスが、経大腿動脈アクセスに比べ臨床的有害事象の抑制効果が優れることが、オランダ・エラスムス医療センターのMarco Valgimigli氏らが行ったMATRIX Access試験で確認された。ACS患者に対する抗血栓療法を併用した早期の侵襲的処置の重要な目標は、出血イベントを抑制しつつ効果を維持することである。侵襲的処置で頻度の高い出血部位は心臓カテーテル検査時の大腿動脈穿刺部であり、経橈骨動脈アクセスは技術的な困難を伴うが止血の予測がしやすいとされる。2つのアクセス法の有害事象を比較した試験では、相反する結果が提示されているという。Lancet誌オンライン版2015年3月13日号掲載の報告。

PCV13、高齢者市中肺炎にも有効/NEJM

 高齢者への13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種について、ワクチン型の肺炎球菌性、菌血症性、および非血症性の市中肺炎と、ワクチン型の侵襲性肺炎球菌感染症の予防に有効であることが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのM.J.M. Bonten氏らが、8万4,496例の65歳以上高齢者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。PCVワクチンは、新生児において肺炎球菌感染症の予防が認められているが、65歳以上高齢者の肺炎球菌性市中肺炎の有効性は明らかにされていなかった。試験の結果では、あらゆる原因による市中肺炎へのワクチンの有効性は示されなかったが、著者は「ワクチン型の市中肺炎が46%減少しており、高齢者の市中肺炎の減少に寄与すると思われる」とまとめている。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。

BMS後のDAPT延長、虚血性イベントを抑制せず/JAMA

 米国・クリスト病院心血管センターのDean J. Kereiakes氏らはDAPT無作為化試験(Dual Antiplatelet Therapy Randomized Clinical Trial)の結果、ベアメタルステント(BMS)留置後12ヵ月間のアスピリン+チエノピリジン系薬の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の忍容性を認めた患者について、さらに同療法を18ヵ月間延長しても、ステント塞栓症、主要有害心・脳血管イベント(MACCE)、中等度~重度の出血の発生に関して、プラセボと比較して統計的に有意な差はみられなかったことを報告した。ただし今回の結果について著者は、BMSサブセットの検出力の不足を指摘し、さらなる検討が必要だとまとめている。JAMA誌2015年3月17日号掲載の報告より。

冠動脈疾患の検出、CT血管造影 vs.機能的検査/NEJM

 冠動脈疾患(CAD)が疑われる症状を有する患者への非侵襲的検査について、CT血管造影(CTA)と機能的検査(運動負荷心電図、運動/薬剤負荷心筋シンチ、負荷心エコー)を比較した結果、追跡期間中央値2年間の患者の臨床的アウトカムに違いはみられないことが示された。米国・デューク大学のPamela S. Douglas氏らが無作為化試験の結果、報告した。CADの示唆的な症状は多くの患者でみられ、診断検査が行われる頻度は高いが、治療ガイドのための無作為化試験のデータは限定的であった。NEJM誌オンライン版2015年3月14日号掲載の報告より。

アスピリン・NSAIDsと大腸がんリスクの関連メカニズム/JAMA

 遺伝子と環境の相互作用を考慮したゲノムワイド研究で、アスピリンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の単独または両薬の常用と、大腸がんリスク低下との関連が遺伝子レベルで明らかにされた。米国・インディアナ大学のHongmei Nan氏らが報告した。検討により、染色体12と15の一塩基多型(SNP)で、常用とリスクとの関連は異なることが示され、遺伝子型によっては常用でリスクが高まる人がいることが明らかにされた。所見を受けて著者は「被験者を追加した検討で今回の所見が確認されれば、ターゲットを絞った大腸がんの予防戦略を促進するだろう」と述べている。JAMA誌2015年3月17日号掲載の報告より。

エナラプリル+葉酸、脳卒中を有意に低下/JAMA

 降圧薬エナラプリル(商品名:レニベースほか)単独よりも、葉酸を併用したほうが、高血圧患者の脳卒中初発が有意に低下したことが報告された。中国・北京大学第一病院のYong Huo氏らが、同国高血圧患者で脳卒中または心筋梗塞の既往歴がない2万702例を対象に行った無作為化二重盲検試験CSPPTの結果、報告した。これまで、脳卒中1次予防に関する葉酸の効果については、データが限定的および一貫性がないため不明であった。JAMA誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。

ステント留置後DAPTの至適期間は?/Lancet

 薬剤溶出ステント留置後1年超の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、心筋梗塞およびステント塞栓症のリスクは低いが、死亡リスクは増大することが明らかにされた。同群の死亡増大は、心臓死の減少分よりも非心血管死の増大分が大きかったためであった。イタリア・ボローニャ大学のTullio Palmerini氏らがネットワークメタ解析の結果、報告した。直近の試験報告でも、ステント留置後DAPTの至適期間は不明なままであった。Lancet誌オンライン版2015年3月13日号掲載の報告より。

クロ-ン病の新規経口薬、臨床的寛解を維持/NEJM

 クローン病に対する新規開発経口薬のモンジャーセン(mongersen)について、第II相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、寛解維持および臨床効果の達成割合が有意に高いことが示された。イタリア・トルヴェルガタ大学のGiovanni Monteleone氏らが報告した。モンジャーセンは、経口SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドで、回腸および結腸のSMAD7を標的とすることが示されていた。クローン病に関連する炎症は、免疫サイトカインのトランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)の活性低下によって特徴付けられ、TGF-β1の低下は、SMAD7の発現量が増加しTGF-β1シグナルを阻害するためであることが知られていた。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。