ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:135

術前血栓溶解、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/NEJM

 虚血性脳卒中の患者に対し、発症後4.5時間以内の血栓除去術前のtenecteplase投与は、アルテプラーゼ投与より再灌流率が高くアウトカムが良好であることが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のB.C.V. Campbell氏らが、202例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年4月26日号で発表した。虚血性脳卒中に対する血管内血栓除去術前の血栓溶解にはアルテプラーゼの静脈内投与が行われている。tenecteplaseは、アルテプラーゼと比べてフィブリン特異性が高く、作用時間が長く、ボーラス投与ができ、血管再灌流率が上昇する可能性が示唆されていた。

2040年のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成には?/Lancet

 米国・ワシントン大学のJoseph L. Dieleman氏らGlobal Burden of Disease Health Financing Collaborator Networkは、保健医療費、および保健医療費とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(universal health coverage:UHC)との関連について、将来のシナリオを作成し、すべての国が持続可能な保険財源を持つことが、UHCの達成に重要であることを報告した。UHCの達成には、家計への過度の金銭的負担を強いることなく主要な医療サービスを提供する、保険医療システムが必要とされている。しかし、どのような財源が将来的なUHC達成を可能とするのか、あるいは制限するかについては、明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2018年4月17日号掲載の報告。

高リスク悪性黒色腫の術後補助療法でのペムブロリズマブ:第III相試験/NEJM

 再発リスクが高いStageIIIの悪性黒色腫に対する術後補助療法において、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと、最長1年間)はプラセボと比較して無再発生存期間(RFS)を有意に延長し、新たな毒性はないことが認められた。フランス・サクレー大学のAlexander M. M. Eggermont氏らが、術後補助療法としてペムブロリズマブの有効性および安全性を評価した無作為化二重盲検第III相試験「EORTC 1325/KEYNOTE-054試験」の結果を報告した。ペムブロリズマブは、進行悪性黒色腫患者の無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を延長することが、これまでの研究で確認されていた。NEJM誌オンライン版2018年4月15日号掲載の報告。

早期NSCLC、ニボルマブによる術前免疫療法が有望/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の治療法には、過去10年間、ほとんど進展がないという。米国ジョンズ・ホプキンス大学のPatrick M. Forde氏らは、ニボルマブによる術前補助療法は副作用が少なく、計画された手術を遅延させず、切除腫瘍の45%に病理学的奏効をもたらしたとの研究結果を、NEJM誌オンライン版2018年4月16日号で報告した。早期肺がん患者では、PD-1経路の遮断により、宿主免疫の適合能が増大し、腫瘍のクローン不均一性が減弱するため、抗腫瘍効果が増強する可能性がある。また、原発巣は、腫瘍特異的T細胞の増殖と活性化、および微小環境の全身的な監視の抗原源として活用される可能性があるため、術前免疫療法は興味深いアプローチとされる。

死亡リスクが低い飲酒量、ロング缶で週5本まで?/Lancet

 アルコール摂取の低リスク推奨量は、各国のガイドラインで大きな差があるという。英国・ケンブリッジ大学のAngela M. Wood氏らは、約60万人のアルコール摂取状況を解析し、死亡リスクが最も低い閾値は約100g*/週であることを示した。研究の成果は、Lancet誌2018年4月14日号に掲載された。国ごとで低リスク推奨量にばらつきがあるのは、最も死亡リスクが低い飲酒量の閾値の曖昧さや、心血管疾患のサブタイプに関連する、アルコール摂取に特異的な帰結の不確実性を反映している可能性があるためとされる。

COPDの3剤併用療法、2剤併用と比較/NEJM

 COPDに対する3剤併用療法(吸入ステロイド+LAMA+LABA)は、2剤併用療法(吸入ステロイド-LABA、またはLAMA-LABA)よりも有益なのか。米国・グラクソ・スミスクラインのDavid A. Lipson氏らによる第III相無作為化二重盲検並行群間試験「IMPACT試験」の結果、3剤併用療法(フルチカゾン+ウメクリジニウム+ビランテロール)は、2剤併用療法(フルチカゾン-ビランテロール、またはウメクリジニウム-ビランテロール)よりも、中等度~重度のCOPD増悪を有意に抑制したことが示された。また、COPDによる入院も低減したという。NEJM誌オンライン版2018年4月18日号掲載の報告。

2型DMの死亡率、SGLT2 vs.GLP-1 vs.DPP-4/JAMA

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬の使用は、DPP-4阻害薬使用、プラセボ、未治療と比べて、死亡率が有意に低いことが示された。また、DPP-4阻害薬の使用は、プラセボ、未治療よりも、死亡率は低下しないことも示された。英国・Imperial College Healthcare NHS Foundation TrustのSean L. Zheng氏らによるネットワークメタ解析の結果で、JAMA誌2018年4月17日号で発表された。2型糖尿病治療について、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬を比較した臨床的な有効性は明らかになっていなかった。

世界における保健医療費とHIV/AIDS関連費の傾向:188ヵ国調査/Lancet

 1995~2015年において世界的に増加している総保健医療費は、とくに中所得国での1人当たりの増加が最も急速であった。こうした国家間格差は比較的よく知られているが、低所得国は高所得国や中所得国と比較し、健康やHIV/AIDSに対する1人当たりの支出が少なく、そのうえHIV/AIDSも含めた健康に関する開発支援の減少が続いており、その減少速度はさらなる開発支援の削減によって速められ、世界および国家目標の前進を遅らせる危険性があるという。米国・ワシントン大学のJoseph L. Dieleman氏らが、188ヵ国における、健康に関する開発支援を含む財源別の保健医療費増加額を推定するとともに、初めてHIV/AIDSの予防および治療に対する支出を資金源ごとに算出し、報告した。保健医療費を同等に推算することは、医療システムの評価や保健資源の最適な配備のために重要である。保健医療費の調査手法は進化を続けているが、疾患全体の支出配分に関してはほとんど知られていなかった。Lancet誌オンライン版2018年4月17日号掲載の報告。

強化脂質低下療法はベース値が高いほど有益/JAMA

 米国・Inova Heart and Vascular InstituteのEliano P. Navarese氏らは、被験者約27万例を含む34件の無作為化試験のメタ解析において、LDLコレステロール(LDL-C)低下療法の強化は非強化と比べて、ベースラインのLDL-C値がより高い患者で、総死亡(total mortality)および心血管死のリスクを低下させることを明らかにした。また、ベースラインのLDL-C値が100mg/dL未満では、この関連性は確認されず、著者は「LDL-C低下療法で最も大きなベネフィットが得られるのは、ベースラインのLDL-C値が高い患者である可能性が示唆された」とまとめている。JAMA誌2018年4月17日号掲載の報告より。

NSCLC 1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS延長:第III相試験/NEJM

 EGFR/ALK変異のない転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の未治療患者に対し、ペメトレキセド+プラチナ製剤ベースの標準化学療法にペムブロリズマブを追加することで、化学療法単独よりも、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが示された。米国・ニューヨーク大学のLeena Gandhi氏らが、616例の患者を対象に行った第III相二重盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年4月16日号で発表した。変異を伴わない進行NSCLC治療の第1選択は、プラチナ製剤ベースの化学療法である。免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブは第2選択薬として承認されているが、PD-L1の発現が50%以上の患者では、化学療法に代わって第1選択とすることが認められている。化学療法へのペムブロリズマブの追加について第II相試験では、化学療法単独よりも有意に高い奏効率と、PFSの有意な延長が認められていた。

死亡リスク予測、24時間血圧 vs.診察室血圧/NEJM

 24時間自由行動下収縮期血圧(ABP)は診察室血圧よりも、全死因死亡および心血管死について、より強い予測因子であることが示された。血圧値の1標準偏差(SD)上昇当たりの全死因死亡に関するハザード比は、24時間ABPが1.58だったのに対し、診察室血圧では1.02だったという。また、「仮面高血圧」(診察室血圧は正常値だが24時間ABPは高値)の全死因死亡に関するハザード比は2.83で、持続性高血圧の1.80よりも高かった。また、「白衣高血圧」(診察室血圧が高値で24時間ABPは正常)の同HRも1.79で良性とはいえないことが示されたという。スペイン・マドリード自治大学のJose R. Banegas氏らが、約6万4,000例を対象に行った大規模な前向きコホート試験の結果で、NEJM誌2018年4月19日号で発表した。24時間ABPが予後に与える影響について、これまでに発表されているエビデンスは、主に住民ベース試験や比較的規模の小さい臨床試験に基づくものだったという。

医師の政治信条、終末期治療に影響を及ぼすか/BMJ

 米国では、医師の政党支持は、全国規模の医療施策に関する見解の違いと関連することが知られている。米国・ハーバード大学医学大学院のAnupam B. Jena氏らは、医師の政党支持と入院患者への終末期治療の関連を検討し、支持政党の違いは終末期の支出や強化終末期治療の施行状況などに影響を及ぼさないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2018年4月11日号に掲載された。医師の政党支持は、二極化した医療上の争点を反映した仮想的な臨床シナリオにおいて、治療の推奨と関連するとの報告があるが、医師の政治信条の終末期の治療への影響は、これまで知られていないという。

有病率8.6%。中国のCOPD有病率とリスク因子/Lancet

 中国の20歳以上の成人における慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有病率は8.6%に達し、喫煙、環境大気汚染、痩せ、小児期の慢性咳嗽、親の呼吸器疾患歴、小学校以下の教育歴がリスク因子であることが、中国・中日友好病院呼吸器医療センターのChen Wang氏らが行ったChina Pulmonary Health(CPH)研究で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年4月9日号に掲載された。2002~04年に行われた40歳以上の中国人の調査では、COPDの有病率は8.2%(男性:12.4%、女性:5.1%)と報告され、リスク因子として環境大気汚染や喫煙の重要性が指摘されている。一方、若年成人におけるCOPD有病率の上昇を示唆する報告があるが、40歳未満の中国人のデータはこれまでなかったという。

マラリア感染、殺虫剤抵抗性媒介蚊脅威に2つの対策/Lancet

 マラリア対策は、広範囲にわたる殺虫剤抵抗性マラリア媒介蚊の存在によって、進展が脅威にさらされている。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のNatacha Protopopoff氏らは、近年開発された2つのマラリア媒介蚊の対策製品である、共力剤ピペロニルブトキシド(PBO)含有長期残効性殺虫剤ネットと、殺虫剤ピリミホス-メチルの長時間屋内残留タイプの噴霧製品を評価する検討を行った。いずれも、標準的な長期残効性殺虫剤ネットと比べて、ピレスロイド系薬抵抗性媒介蚊によるマラリアが流行している地域で、マラリア伝播コントロールの改善が示されたという。Lancet誌オンライン版2018年4月11日号掲載の報告。

米国の健康状態、州レベルで格差拡大/JAMA

 米国における疾病負荷について、州レベルで格差が認められることが、米国・ワシントン大学のChristopher J. L. Murray氏らUS Burden of Disease Collaboratorsによる検討で明らかにされた。特異的疾患やリスク因子(薬物使用障害、BMI高値、貧しい食生活、空腹時高血糖、アルコール使用障害など)が増大しており、さらなる注意喚起が必要だという。米国の健康アウトカム調査は複数あるが、州ごとの健康評価を統合したものはなかったという。JAMA誌2018年4月10日号掲載の報告。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、新たな遺伝子サブグループを同定/NEJM

 米国・国立衛生研究所のRoland Schmitzらは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の腫瘍組織の遺伝子解析を行い、遺伝子型、エピジェネティックおよび臨床像の異なる4つの遺伝子サブタイプを同定した。著者は、「DLBCLのプレシジョン・メディシンを可能にする疾病分類を提供するものである」とまとめている。DLBCLは、表現型的にも遺伝学的にも不均一であるが、遺伝子発現プロファイリングにより、化学療法や分子標的薬への反応の違いに関わる起始細胞に基づくサブグループ(活性型B細胞型[ABC]、胚中心B細胞型[GCB]、未分類)が同定されている。研究グループは、共通する遺伝子異常に基づく遺伝子サブタイプを同定することで、腫瘍遺伝学に基づいたDLBCLの治療脆弱性を明らかにすることを試みた。NEJM誌2018年4月12日号掲載の報告。

タバコの50%値上げ、健康や経済に有益/BMJ

 タバコの値上げは、所得上位層20%よりも所得下位層20%に対して、健康や財政面の利益を提供しており、タバコ税増税は非感染性疾患および貧困に関する持続可能な開発目標(sustainable development goals:SDGs)を支持し、疾病に対する生活資金的な保障を提供する。カナダ・セント・マイケルズ病院のSujata Mishra氏らが、タバコの50%値上げによる影響を検証した研究結果を報告した。タバコ税増税は、2030年までに非感染性疾患の死亡率を3分の1まで低下させるというSDGs達成に重要であるが、タバコ税増税による健康や財政面への影響に関する研究はほとんどなかった。BMJ誌2018年4月11日号掲載の報告。

ジカウイルス、症候性男性精液の3割から検出/NEJM

 蚊媒介性のジカウイルス(ZIKV)は、症候性の男性約3割の精液中に、また約4%の尿中に存在していたことが明らかにされた。6ヵ月以上残存する男性もいたという。一方で、感染性ZIKVが検出されたのはごくわずかで、そのすべてが発症後30日以内に検体が採取された男性だった。米国疾病管理予防センター(CDC)のPaul S. Mead氏らが、185例の男性患者を対象に行った前向き試験の結果で、NEJM誌2018年4月12日号で発表した。ZIKVは蚊媒介性の新出現フラビウイルスで、有害な出生アウトカムとの関連が報告されている。

固形燃料での料理や暖房、心血管死リスク2~3割増/JAMA

 中国農村部では、料理や暖房に使用している石炭などの固形燃料が、心血管系疾患死や全死因死亡リスクを増大していることが明らかにされた。そうしたリスクは、クリーン燃料へ切り替えたり、換気付き料理用コンロを使用している人では低い可能性も示唆された。中国・華中科技大学同済医学院のKuai Yu氏らが、5つの農村部の住民約27万例を平均7.2年間追跡した前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2018年4月3日号で発表した。屋内での固形燃料の燃焼は、大量の微細粒子状の汚染物質を生成することが知られている。

小児期の過体重、何歳まで続くと2型糖尿病リスクが高まるか/NEJM

 7歳時に過体重の男児は、思春期以降まで過体重が持続した場合に限り、成人2型糖尿病のリスクが増大することが、デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのLise G. Bjerregaard氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2018年4月5日号に掲載された。小児期の過体重により、成人期の2型糖尿病リスクが増加する。世界の小児の23%以上が過体重または肥満であることから、小児期の過体重が2型糖尿病のリスクに及ぼす有害な影響は、成人期に至る前に正常体重に回復した場合は減少に転じるか、またインスリン感受性が著明に低下する思春期の体重増加が、後年の2型糖尿病の発症に主要な役割を担うかを検証することが重要とされる。