ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:218

高度貧困地域からの転出、男児は精神障害リスクが増大/JAMA

 米国の高度貧困地域に住む子供が、家族と共に低所得者居住地域に引っ越すことで、男児では思春期におけるうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった精神障害の発症リスクが2~3倍増大することが報告された。一方で女児については、同引っ越しにより、思春期のうつ病や行為障害の発症リスクが4~9割減少した。米国・ハーバードメディカルスクールのRonald C. Kessler氏らが、小児約3,700例について行った前向き無作為化比較試験の結果、報告した。高度貧困地域の子供は思春期に心の問題を抱える青少年が多い。本検討は、地域への介入について、地域が与える影響を理解することを目的に、小児期への住環境介入とその後の思春期の精神障害との関連を調べた。JAMA誌2014年3月5日号掲載の報告より。

出生前検査、非侵襲的DNA検査は低リスク妊婦でも優れる/NEJM

 低リスクを含む一般妊婦集団を対象に、出産前DNA検査について、大量並列塩基配列決定法による母体血漿無細胞DNA検査(cfDNA検査)と標準的スクリーニングの検出力を比較検討した結果、同集団でもcfDNA検査群のほうが、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)の偽陽性率は有意に低く、陽性適中率は有意に高いことが明らかにされた。米国・タフツ大学病院のDiana W. Bianchi氏らが、全米14州21施設から登録された妊婦1,914例を対象とした検討の結果、報告した。非侵襲的な出生前検査であるcfDNA検査は、高リスク妊婦においては胎児の常染色体異数性を正確に検出することが知られる。しかし、低リスク妊婦における同検出力については不明であった。NEJM誌2014年2月27日号掲載の報告より。

大腸がんスクリーニング、年齢で推奨するのは不適切/BMJ

 大腸がんスクリーニングの実施を年齢ベースで推進することは適切ではないことを、米国・退役軍人(VA)アナーバーヘルスケアシステムのSameer D Saini氏らが、後ろ向きコホート研究の結果、報告した。米国で最大の統合ヘルスケアシステムのVAヘルスケアシステム加入者を対象に行った検討において、75歳以降では実施が顕著に低下しており、75歳で健康に問題がある人では過剰に、76歳で健康な人では過小に行われているなどの状況が示されたという。現在、同システムでは50~75歳でのスクリーニング実施が推奨されており、全米、英国でも同様に広く行われている。しかし、今回の結果を踏まえてSaini氏は、単に年齢ではなく、もっと個々人の臨床的なリスク・ベネフィットに着目した質的指標を開発すべきであると述べている。BMJ誌オンライン版2014年2月26日号掲載の報告より。

気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ

 気道感染症に対する抗菌薬治療では、即時的処方に比べ待機的処方で抗菌薬服用率が顕著に低いが、症状の重症度や持続期間に差はないことが、英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らの検討で示された。同国のプライマリ・ケアでは、気道感染症の治療の際、抗菌薬の不必要な使用を抑制するために非処方または待機的処方という戦略が一般に行われている。一方、文献の系統的レビューでは、待機的処方は即時的処方に比べ症状の管理が不良であり、非処方よりも抗菌薬の服用率が増加する可能性が示唆されている。待機的処方には、服用に関する指示書を付して処方薬を渡したり、再受診時に渡すなどいくつかの方法があるが、これらの戦略を直接に比較した試験は、これまでなかったという。BMJ誌オンライン版2014年3月5日号掲載の報告。

早期前立腺がん、根治切除の長期生存ベネフィットが判明/NEJM

 根治的前立腺切除術は、前立腺がん患者の長期的な生存を実質的に改善することが、スウェーデン・ウプサラ大学のAnna Bill-Axelson氏らが進めるScandinavian Prostate Cancer Group Study Number 4(SPCG-4)の最長23年以上に及ぶ追跡調査で確認された。SPCG-4は前立腺特異抗原(PSA)の臨床導入以前に診断された患者を対象とし、すでに15年のフォローアップにおける根治的前立腺切除術の生存ベネフィットが示されている。一方、PSA検査導入初期に行われたProstate Cancer Intervention versus Observation Trial(PIVOT)では、手術による12年後の全死亡、前立腺がん死の改善効果は得られておらず、PSA検診の影響の大きさが示唆されている。NEJM誌2014年3月6日号掲載の報告。

糖尿病による脳卒中リスクに男女差はあるか?/Lancet

 脳卒中のリスク因子としての糖尿病について、性差による違いがあるかどうかを調べた結果、男性よりも女性のほうが受ける影響が強いことが明らかになった。オランダ・ユトレヒト大学のSanne A E Peters氏らがシステマティックレビューとメタ解析にて、被験者77万5,385例、うち脳卒中1万2,539例を含む64コホートを分析し報告した。糖尿病は脳卒中の強力なリスク因子であるが、これまで性差により違いがあるのかについては検討されていなかった。Lancet誌オンライン版2014年3月7日号掲載の報告より。

どのCKDステージにおいてもワルファリンは有用/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)で急性心筋梗塞後に心房細動を呈した患者へのワルファリン治療は、CKDの重症度にかかわらず、出血リスクを高めることなく転帰を改善することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJuan Jesus Carrero氏らによる2万4,317例を対象とした多施設共同前向き観察試験の結果、示された。ワルファリン非使用群と比べた1年時点の複合アウトカム(死亡・心筋梗塞・虚血性脳卒中)ハザード比(HR)は0.57~0.87であり、出血リスクのHRは0.52~1.10だった。これまで、CKDが進行した心房細動患者に対する、ワルファリン治療と死亡・虚血性脳卒中発生との関連については、相反するエビデンスが報告されていた。JAMA誌2014年3月5日号掲載の報告より。

ACTH非依存性クッシング症候群に関与する遺伝子変異が判明/NEJM

 プロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットの遺伝子変異が、両側性副腎過形成や片側性コルチゾール分泌副腎皮質腺腫に関与していることが、ドイツ・ヴュルツブルク大学のFelix Beuschlein氏らが行った検討により判明した。副腎皮質の腫瘍や過形成は、コルチコトロピン非依存性のクッシング症候群を引き起こす。しかし、その分子学的発生機序は解明されていなかった。NEJM誌オンライン版2014年2月26日号掲載の報告より。

川崎病、インフリキシマブ併用も治療抵抗性は減少せず/Lancet

 急性川崎病の一次治療においてインフリキシマブ(商品名:レミケード)を併用しても、治療抵抗性は減少しなかったことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAdriana H Tremoulet氏らによる第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。ただしインフリキシマブ投与の安全性および忍容性は高く、また発熱期間、C反応蛋白などいくつかの炎症マーカー、左冠動脈前下行枝(LAD)Zスコア、静脈免疫グロブリン反応速度については有意な減少がみられた。Lancet誌オンライン版2014年2月24日号掲載の報告より。

米国で試行のメディカルホーム、その効果は?/JAMA

 米国では、チーム医療でより質の高いプライマリ・ケアを、効果的に実施することを目的とした「メディカルホーム」が試験的に行われている。米国・RAND CorporationのMark W. Friedberg氏らによる検討の結果、従来型のプライマリ・ケアに比べ、その効果は限定的であることが報告された。結果を踏まえて著者は、「メディカルホームの仕組みについて、改善する必要があるようだ」と述べている。JAMA誌2014年2月26日号で発表した。

MMR生ワクチンは不活化混合ワクチンより全感染症入院を減少/JAMA

 麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)生ワクチン接種は、最新のワクチンである不活化混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib)接種と比べて、全感染症入院の減少と関連することが示された。デンマーク・Statens Serum Institute社のSigne Sphirup氏らがデンマークの小児コホートを対象とした分析の結果、報告した。これまで、低所得国において、生ワクチンMMR接種が麻疹以外の感染症死亡率を低下したことが報告されている。研究グループは、「そのような非特異的なワクチン効果が、高所得国における小児の健康についても重要な意味をもたらす可能性がある」として検討を行った。JAMA誌2014年2月26日号掲載の報告より。

学士号取得看護師60%で看護体制6対1なら院内死亡約30%減/Lancet

 コストカット目的での看護スタッフ減員は、患者アウトカムに悪影響をもたらす一方で、学士号取得の看護師配置を手厚くすると院内死亡は減少するという研究報告が発表された。米国・ペンシルベニア大学看護学部のLinda H Aiken氏らが、ヨーロッパ9ヵ国で行った後ろ向き観察研究の結果、明らかにした。病院の支出リスクを最小とするための厳格な尺度とヘルスケアシステムの再構築は、患者アウトカムに悪影響を与えることが示唆されている。Aiken氏らは、患者対看護職員比率(看護体制)、および看護師の教育レベル(看護師配置)を調べ、院内死亡率との関連について調べた。Lancet誌オンライン版2014年2月26日号掲載の報告より。

前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ

 非転移性の前立腺がんについて、根治的前立腺摘除術を受けた患者のほうが放射線療法を受けた患者よりも長期の生存アウトカムは良好であることが示された。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のPrasanna Sooriakumaran氏らが、同国で行われた15年間の観察研究に基づき報告した。結果を踏まえて著者は、「より若く、併存疾患が少なく、中程度~重度リスクの局所前立腺がんを有する患者では、全摘のほうがより大きな恩恵を受けると思われる」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月27日号掲載の報告より。

NSCLCに対する術前化学療法によって5年生存率改善/Lancet

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の“術前”化学療法は、全生存、遠隔再発までの期間、無再発生存を有意に改善することが、英国・NSCLCメタ解析共同研究グループによる検討の結果、示された。これまで同患者について、“術後”化学療法のメタ解析において生存を改善することは示されていた。解析には、無作為化試験被験者の92%のデータが組み込まれ、stage IB~IIIAの患者が主であったことなどを踏まえて、研究グループは「今回の結果は、術前化学療法が有効な治療オプションとなりうることを示すものである」とまとめている。なお、毒性作用については本検討では評価できなかった。Lancet誌オンライン版2014年2月24日号掲載の報告より。

輸血を必要としたPCI施行患者の転帰/JAMA

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者における赤血球輸血の施行には、かなりのばらつきがあること、また輸血を受けた患者において入院中の有害心イベントリスクの増大と関連していることが明らかにされた。米国・デューク大学臨床研究所のMatthew W. Sherwood氏らが、米国内病院でPCIを受けた患者について調べた結果、判明した。著者は、「今回観察された所見は、PCI患者の輸血戦略に関する無作為化試験実施の根拠となりうるものである」と述べている。JAMA誌2014年2月26日号掲載の報告より。

結節性多発動脈炎の原因遺伝子を特定/NEJM

 アデノシンデアミナーゼ2の機能喪失性劣性突然変異が、結節性多発動脈炎(PAN)の原因となりうることが判明した。イスラエル・Shaare Zedek Medical CenterのPaulina Navon Elkan氏らが、PAN患者の遺伝子配列を解析し明らかにした。PANは全身性壊死性血管炎だが病因については十分に解明されていない。発症は中年成人が一般的だが小児においてもみられ、グルジア・コーカサスを祖先とするユダヤ人では、小児の発症が頻繁に観察されていた。研究グループも先行研究にて、全身性または皮膚型PAN患者が家族内に複数認められる6家族を特定しており、いずれも常染色体劣性遺伝が認められ、小児期の発症が大半を占めていたという。NEJM誌オンライン版2014年2月19日号掲載の報告より。

骨折リハビリ後の高齢者に在宅運動療法は有用か?/JAMA

 股関節骨折後に通常のリハビリテーションを行った高齢者について、理学療法士(PT)指導管理下の在宅運動療法を6ヵ月間実施したところ、電話での栄養指導のみ群と比べて、わずかだが有意に身体機能が改善したことが示された。米国・ボストン大学のNancy K. Latham氏らが無作為化比較試験の結果、報告した。高齢者では多くが股関節骨折後、長期にわたって運動機能が制限される。これまで、骨折リハビリ後に最小限の管理体制で行う在宅運動療法の効果については不明だった。JAMA誌2014年2月19日号掲載の報告より。

膠芽腫へのベバシズマブ上乗せ、無増悪生存は改善したが/NEJM

 新たに診断された膠芽腫患者の治療において、標準治療のテモゾロミド(商品名:テモダール)+放射線療法に、ベバシズマブ(同:アバスチン)を追加しても、生存期間は延長しないことが、フランス・エクス=マルセイユ大学のOlivier L. Chinot氏らによる第3相無作為化プラセボ対照試験の結果、示された。テモゾロミドに放射線療法を追加する現在の標準治療は2005年に導入されたが、予後のさらなる改善は報告されていなかった。研究グループは、第1/2相試験において、再発例および新規診断例に対するベバシズマブの上乗せ効果が期待できる結果が得られたことから、今回、新規診断例に対するプラセボとの比較による第3相試験を行った。NEJM誌2014年2月20日号掲載の報告。

出産後の血栓イベント、高リスクはいつまで?/NEJM

 出産後の血栓イベントリスクは、少なくとも12週間は有意に高く続くことが明らかにされた。ただし、6週以降の絶対リスクの増加は小さいことも判明した。産後の女性は、血栓イベントリスクが増大することが知られている。米国・コーネル大学のHooman Kamel氏らは、その期間について、従来定義されている6週間以降どの程度継続するかを明らかにするため、後ろ向きクロスオーバーコホート研究を行った。NEJM誌オンライン版2014年2月13日号掲載の報告より。

早期の緩和療法、進行がん患者の終末期の満足度を改善/Lancet

 進行がん患者に対する早期の緩和療法による介入は、がん治療のみの場合に比べ全般的にQOLや患者満足度を改善する傾向がみられることが、カナダ・トロント大学のCamilla Zimmermann氏らの検討で示された。進行がん患者はQOLが低下し、終末期に向かって増悪する傾向がみられる。従来のがん緩和医療の観点からは、がん治療と緩和治療の共同介入は最終末期に限定されていたが、最近は早期の総合的な介入によりQOLや患者満足度の改善がもたらされる可能性が示唆されている。Lancet誌オンライン版2014年2月19日号掲載の報告。