ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:44

コロナ軽症でも、高頻度に罹患後症状を発症/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による感染症の急性期後6~12ヵ月の時期における、患者の自己申告による罹患後症状(いわゆる後遺症、とくに疲労や神経認知障害)は、たとえ急性期の症状が軽症だった若年・中年の成人であってもかなりの負担となっており、全体的な健康状態や労働の作業能力への影響が大きいことが、ドイツ・ウルム大学のRaphael S. Peter氏らが実施した「EPILOC試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年10月13日号に掲載された。  EPILOC試験は、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州の4つの地域(人口計約270万人)で行われた住民ベースの研究で、2020年10月1日~2021年4月1日にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査でSARS-CoV-2陽性と判定された18~65歳の集団が解析の対象となった(バーデン・ビュルテンベルク州Ministry of Science and Artの助成を受けた)。

ルキソリチニブクリーム、白斑に有効/NEJM

 白斑に対するJAK阻害薬ルキソリチニブ(本邦では骨髄線維症、真性多血症の適応で承認)のクリーム製剤は、基剤クリーム(対照)よりも病変部の再色素沈着を拡大したことが示された。安全性については最も多く報告された有害事象は、塗布部におけるにきびやかゆみであった。米国・タフツ医療センターのDavid Rosmarin氏らによる、2件の第III相二重盲検溶媒対照無作為化試験の結果で、同剤については白斑成人患者を対象に行った第II相試験で、再色素沈着をもたらしたことが報告されていた。著者は今回の結果を踏まえて、「有効性および安全性について、より大規模かつ長期の試験を行い確認することが必要である」とまとめている。NEJM誌2022年10月20日号掲載の報告。  2試験は、Topical Ruxolitinib Evaluation in Vitiligo Study 1(TRuE-V 1)と2(TRuE-V 2)で、北米および欧州で、12歳以上、総体表面積の10%以下に色素脱失を有する非分節型白斑患者を対象に行われた。  患者を2対1の割合で、ルキソリチニブ1.5%クリーム群または対照群に無作為に割り付け、顔面および体幹のすべての白斑病変部に1日2回、24週間塗布した。その後は、全患者について52週までルキソリチニブ1.5%クリーム塗布を可能とした。  主要エンドポイントは、ベースラインから24週時点の顔面Vitiligo Area Scoring Index(F-VASI、範囲:0~3、高スコアほど顔面の白斑面積が大きいことを示す)の低下(改善)が75%以上(F-VASI75)とした。主な副次エンドポイントは5つで、Vitiligo Noticeability Scale(VNS)の改善などが含まれた。

喫煙妊婦、金銭的報奨で禁煙率が2倍以上に/BMJ

 英国の妊娠中の喫煙者では、現行の禁煙サービスに加え、妊婦の禁煙のための最大400ポンドの金銭的報奨を提供すると、禁煙率が2倍以上に向上し、重篤な有害事象は増加しなかったことが、英国・グラスゴー大学のDavid Tappin氏らが実施した無作為化試験「CPIT III試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年10月19日号で報告された。  CPIT III試験は、妊婦向けの禁煙支援としての金銭的な報奨の有効性の評価を目的とする実践的な単盲検無作為化第III相試験であり、2018年1月9日~2020年4月4日の期間に、スコットランド、北アイルランド、イングランドの7つの産科病院で参加者の登録が行われた(Cancer Research UKなどの助成を受けた)。

医療者ほか最前線労働者、デルタ・オミクロン株へのワクチン効果は/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタおよびオミクロン変異株に感染した米国の必須(essential)/最前線(frontline)労働者では、感染前149日以内のmRNAワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])の2回または3回接種は未接種と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状は軽度で、ウイルスRNA量は少なかったことが、米国疾病予防管理センター(CDC)のMark G. Thompson氏らHEROES-RECOVERネットワークの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年10月18日号に掲載された。  本研究は、COVID-19に対するmRNAワクチンの2回または3回接種と、その症状およびSARS-CoV-2のウイルスRNA量との関連の評価を目的とする前向きコホート研究であり、2020年12月14日~2022年4月19日の期間に、米国の6州(アリゾナ、フロリダ、ミネソタ、オレゴン、テキサス、ユタ)でSARS-CoV-2に感染した患者が登録されたHEROES-RECOVERネットワークのデータが使用された(米国国立予防接種・呼吸器疾患センターなどの助成を受けた)。

侵襲的冠動脈造影とCT、MACEリスクに性差はあるか/BMJ

 侵襲的冠動脈造影(ICA)のために紹介された、安定胸痛を有する閉塞性冠動脈疾患(CAD)の検査前確率が中程度の患者において、初期画像診断に用いるCTはICAと比較して、有害心血管イベントのリスクは同等であることがすでに報告されているが、その有効性に男性と女性で差はないことが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のKlaus F. Kofoed氏ら「DISCHARGE試験」グループが報告した。CTは、CADの検査前確率が低~中程度の患者において、閉塞性CADを除外することが可能であるが、男性より女性で精度が低くなる可能性があり、CADの診断および臨床管理において、CTとICAの臨床転帰に関する有効性の男女差はこれまで不明であった。BMJ誌2022年10月19日号掲載の報告。

6ヵ月~5歳児へのモデルナワクチン、第II/III相中間解析/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNA-1273ワクチン(モデルナ製)25μgの2回接種は、生後6ヵ月~5歳の小児において安全であり、免疫原性は18~25歳の若年成人に対して非劣性であることが認められた。米国・エモリー大学医学部のEvan J. Anderson氏らが、6ヵ月~12歳未満の小児を対象に実施している第II/III相試験「KidCOVE試験」の6ヵ月~5歳児のコホートにおける中間解析結果を報告した。同試験の6~12歳未満のコホートにおける中間解析結果は、すでに報告されている。NEJM誌オンライン版2022年10月19日号掲載の報告。

妊娠高血圧症候群、出生児は全死因死亡リスクが26%高い/BMJ

 妊娠高血圧症候群(HDP)、とくに子癇および重症妊娠高血圧腎症の母親から生まれた児は、最長41年間(中央値19.4年)の追跡期間における全死亡、ならびに消化器疾患、周産期に起因する疾患、内分泌・栄養・代謝疾患および心血管疾患による原因別死亡のリスクが高いことが、中国・復旦大学のChen Huang氏らによるデンマークの国民健康登録を用いたコホート研究の結果、示された。HDPは、母体および胎児の発病や死亡の主な原因の1つであるが、母親のHDPが児の出生から青年期以降の長期にわたる死亡に及ぼす影響については明らかになっていなかった。BMJ誌2022年10月19日号掲載の報告。

ブースター接種後もコロナ重症化リスクが高い人は? /Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの2回接種のみと比較して、初回ブースター接種により新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院/死亡(重症COVID-19)のリスクは低下するが、高齢者、複数の疾患あるいは特定の基礎疾患を有する人は、初回ブースター接種完了後でも、重症COVID-19のリスクは高いという。英国・セント・アンドルーズ大学のUtkarsh Agrawal氏らが、前向きコホート研究の結果を報告した。

内視鏡での大腸がん検診、がんリスクを減らせるか/NEJM

 大腸がんのスクリーニングとして大腸内視鏡検査を勧められた集団は、スクリーニングを受けなかった集団と比較して、10年後の大腸がんによる死亡リスクには大きな差はなかったが、大腸がんの発症リスクが18%低下したことが、ノルウェー・オスロ大学のMichael Bretthauer氏らが実施した「NordICC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年10月9日号で報告された。  NordICC試験は、大腸内視鏡によるスクリーニング検査が大腸がんのリスクを改善するかの検証を目的とする実践的な多施設共同無作為化試験であり、2009年6月~2014年6月の期間に、4ヵ国(ポーランド、ノルウェー、スウェーデン、オランダ)で参加者が募集された(ノルウェー研究評議会[RCN]などの助成を受けた)。この報告では、オランダを除く3ヵ国のデータの解析結果が示された。

発症6h以降の脳底動脈閉塞、血栓除去術で脳出血が増加か/NEJM

 脳底動脈閉塞に起因する脳梗塞の症状発現から6~24時間が経過した患者では、血栓除去術は内科的治療と比較して、90日時の機能状態が良好な患者の割合が高かったが、手技に伴う合併症と関連し、脳出血を増加させたことが、中国・首都医科大学宣武医院のTudor G. Jovin氏らが実施した「BAOCHE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年10月13日号に掲載された。  BAOCHE試験は、中国の医師主導非盲検無作為化対照比較試験であり、アウトカムの評価は盲検下に行われた(中国科学技術部の助成を受けた)。参加者は、2016年8月~2021年6月の期間に登録された。

コロナ罹患後症状、120万人のプール解析/JAMA

 2020年および2021年に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した症候性患者において、Long COVID(新型コロナウイルス感染症[COVID-19]の罹患後症状、いわゆる後遺症)の主要な症状クラスター(身体的痛みや気分変動を伴う持続性疲労、認知に関する問題、持続する呼吸器症状)のいずれかを有する割合は全体で6.2%と推定され、女性および入院を要したSARS-CoV-2初感染者で高いことが、米国・ワシントン大学のSarah Wulf Hanson氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Disease)Long COVID Collaboratorsの解析で明らかとなった。2021年10月、世界保健機関(WHO)は、SARS-CoV-2感染から3ヵ月経過後も認められる、少なくとも2ヵ月以上持続し他の診断では説明がつかない症状として、「post COVID-19 condition」の定義を発表。しばしば「Long COVID」と呼ばれるこれらの症状について、これまでの研究では個々の症状や症状数に関する報告が最も多く、症状の持続期間や重症度、重複症状に関する報告は少なかった。JAMA誌オンライン版2022年10月10日号掲載の報告。

脳底動脈閉塞の予後改善、発症12時間以内の血栓除去術vs.薬物療法/NEJM

 中国人の脳底動脈閉塞患者において、脳梗塞発症後12時間以内の静脈内血栓溶解療法を含む血管内血栓除去術は、静脈内血栓溶解療法を含む最善の内科的治療と比較して90日時点の機能予後を改善したが、手技に関連する合併症および脳内出血と関連することが、中国科学技術大学のChunrong Tao氏らが中国の36施設で実施した医師主導の評価者盲検無作為化比較試験の結果、示された。脳底動脈閉塞による脳梗塞に対する血管内血栓除去術の有効性とリスクを検討した臨床試験のデータは限られていた。NEJM誌2022年10月13日号掲載の報告。

アロプリノール、痛風歴ない虚血性心疾患患者も改善させる?/Lancet

 痛風の既往がない60歳以上の虚血性心疾患患者において、アロプリノールは標準治療と比較し、非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・心血管死の複合アウトカムに差はないことが、英国・ダンディー大学のIsla S. Mackenzie氏らが実施した「ALL-HEAT試験」の結果、示された。アロプリノールは痛風の治療に用いられる高尿酸血症治療薬であるが、これまでの研究でいくつかの心血管パラメーターに関して好ましい効果があることが示唆されていた。Lancet誌2022年10月8日号掲載の報告。  ALL-HEAT試験は、イングランドおよびスコットランドの地域の医療センター18施設で実施された多施設共同前向き無作為化非盲検試験である。2014年2月7日~2017年10月2日の期間に、プライマリケア診療所424施設において、60歳以上で痛風の既往がない虚血性心疾患患者5,937例を登録し、アロプリノール群と標準治療群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

経口コロナ薬2剤、オミクロン下での有効性/Lancet

 香港では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株亜系統BA.2.2が流行している時期に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者へのモルヌピラビルまたはニルマトレルビル+リトナビルの早期投与が、死亡および入院中の疾患進行のリスクを低下したことが、さらにニルマトレルビル+リトナビルは入院リスクも低下したことが、中国・香港大学のCarlos K. H. Wong氏らによる後ろ向き症例対照研究で明らかとなった。SARS-CoV-2オミクロン株に対する経口抗ウイルス薬のリアルワールドでの有効性については、ほとんど示されていなかった。Lancet誌2022年10月8日号掲載の報告。

降圧薬はいつ服用?朝vs.就寝前でCVアウトカムを比較/Lancet

 降圧薬の服用は朝(6~10時)でも就寝前(20~24時)でも、主要心血管アウトカムは同等であることが、英国・ダンディー大学のIsla S. Mackenzie氏らによる前向き無作為化非盲検試験「TIME(Treatment in Morning versus Evening)試験」の結果、示された。先行研究では、降圧薬の服用は就寝前が朝よりもアウトカムが良好の可能性が示唆されていた。TIME試験は高血圧患者における通常降圧治療薬の就寝前服用が、朝の服用と比べて主要心血管アウトカムを改善するかどうかを検討する目的で行われたが、結果を踏まえて著者は、「患者には、望ましくない影響が最小限となるのであれば、都合の良い時間に定期的に服用可能であることをアドバイスできるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年10月11日号掲載の報告。

ブースター接種はオミクロン関連入院に有効/BMJ

 米国では2022年の当初半年間における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのブースター接種者は、オミクロン変異株関連のCOVID-19の入院について、プライマリシリーズのみ接種者を上回るベネフィットを得ていたことが、米国疾病予防管理センター(CDC)のKatherine Adams氏らによる検査陰性デザイン・ケースコントロール試験の結果、示された。ブースター接種が推奨される中で、オミクロン変異株は2021年12月26日時点でSARS-CoV-2の優勢な変異株となっており、ブースター接種の有効性に関するデータ提示が必要とされていた。BMJ誌2022年10月11日号掲載の報告。

フルオロキノロン系抗菌薬で自殺念慮リスクが増大?/BMJ

 2016年、米国食品医薬品局(FDA)は、フルオロキノロン系抗菌薬の枠囲み警告(boxed warning)の改訂において、自殺念慮のリスク増大との関連を示唆した。米国・ハーバード大学医学大学院のJunyi Wang氏らは、この関連について検討し、フルオロキノロン系抗菌薬の使用は、自殺念慮のリスクを実質的に増加させないことを確認した。研究の成果は、BMJ誌2022年10月4日号で報告された。  研究グループは、フルオロキノロン系抗菌薬の投与開始と、自殺傾向による入院または救急診療部受診との関連の評価を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(米国・ブリガム&ウィメンズ病院などの助成を受けた)。

2型DM、メトホルミンにリラグルチド追加の有効性は?/BMJ

 無作為化臨床試験であるGRADE試験を模倣した観察研究において、メトホルミンの投与を受けている2型糖尿病患者では、リラグルチドの追加投与は、グリメピリドやシタグリプチンを追加した場合に比べ、糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)値≧7.0%に到達するまでの期間が300日以上長いことが、米国・メイヨークリニックのYihong Deng氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2022年10月3日号に掲載された。  研究グループは、すでに終了しているが、その時点で論文が発表されていない無作為化臨床試験GRADE(Glycemia Reduction Approaches in Diabetes: A Comparative Effectiveness Study)を模倣することによる試験結果の予測を目的に、実臨床データを用いた後ろ向き観察研究(効果比較研究)を行った(米国食品医薬品局などの助成を受けた)。

育児期の母親の超加工食品摂取で子の肥満リスク増/BMJ

 育児期の母親の超加工食品摂取は、母親および子のライフスタイルリスク因子とは関係なく、子の過体重や肥満のリスク増加と関連するという。米国・マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学医学部のYiqing Wang氏らが、3つの前向きコホート試験データを解析して示した。著者は、「さらなる研究を行い、今回示された所見を確認し、根底にある生物学的メカニズムおよび環境決定要因を解明する必要がある」と述べるとともに、「いずれにせよ今回のデータは、子の健康を守るために、妊娠可能年齢の女性の食事に関する推奨事項の重要性と、栄養を改善するためのプログラム開発を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2022年10月5日号掲載の報告。

グラム陰性菌尿路感染症、CFPM/enmetazobactamがPIPC/TAZに優越性/JAMA

 グラム陰性菌が原因の複雑性尿路感染症(UTI)または急性腎盂腎炎の患者において、セフェピム/enmetazobactam(CFPM/enmetazobactam)はピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)と比較して、臨床的治癒と微生物学的根絶の主要アウトカムに関して非劣性および優越性の基準を満たした。米国・Robert Wood Johnson Medical SchoolのKeith S. Kaye氏らが世界90施設で行った第III相無作為化二重盲検実薬対照非劣性試験の結果を報告した。