ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:278

新型インフルエンザワクチンの安全性、市販後調査で確認:中国

中国・疾病管理予防センターのXiao-Feng Liang氏らは、2009年9月21日に優先すべき集団を対象に、新型インフルエンザ[インフルエンザA(H1N1)ウイルス]感染に対するワクチン(異なるメーカー10社から入手)接種が開始された予防接種プログラムの、安全性に関する評価を行った。結果、同プログラムにおいて有害事象例は観察されず、ギランバレー症候群のリスク増加のエビデンスも認められなかったと報告した。NEJM誌2011年2月17日号掲載より。

ステージ3+の未熟児網膜症へのベバシズマブ単独療法の有効性は?

未熟児網膜症(ROP)に対する血管内皮増殖因子阻害薬ベバシズマブ(商品名:アバスチン 本邦では抗がん薬としてのみ保険適応)硝子体内投与による単独療法について、従来のレーザー治療法(confluent laser therapy)と比較する多施設共同前向き無作為化層別比較対照試験が行われ、NEJM誌2011年2月17日号で発表された。ROPは世界的に幼児期失明の主要な原因となっており、特にゾーンI発症のROPは、従来レーザー治療では周辺部網膜の恒久的な損失が不可避で、大半が近視を有することとなり、成功例は50%とすべての症例で失明を免れるというわけではないと報告されている。一方で、血管内皮増殖因子阻害薬を用いて治療した一連の症例から、これらの薬剤が未熟児網膜症の治療に有効である可能性が示唆されており、米国・テキサス大学ヘルス・サイエンス・センターのHelen A. Mintz-Hittner氏ら「BEAT-ROP」共同研究グループが、有効性を評価する試験を行った。

小児入院の約3%が退院後1年以内に4回以上再入院、小児入院医療費の約23%に:米国

米国小児病院の入院患児の約3%が、退院後1年以内に4回以上の再入院を繰り返し、それにかかる医療費は小児入院医療費全体の約23%、入院件数にして約19%に上ることが明らかにされた。また再入院を繰り返す小児の大半は、同一器官系の問題によるものだったという。米国・ハーバード・メディカルスクールのボストン小児病院総合小児科のJay G. Berry氏らが、全米の小児病院に入院した32万児弱について行った、後ろ向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。

米国高齢者の退院後30日以内の再入院率、黒人患者は白人患者の1.13倍

高齢者の急性心筋梗塞、うっ血性心不全、肺炎による入院について、人種および病院間の退院後30日以内の再入院率を調べたところ、黒人は白人に比べ1.13倍に上り、また黒人患者の割合が高い病院の方が、そうでない病院よりも高率だったことが明らかになった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院ヘルス政策マネジメント部門のKaren E. Joynt氏らが、米国の高齢者向け公的医療保険であるメディケアの出来高払い制プランに加入する、310万人以上のデータを分析し明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。

院外心肺蘇生におけるリアルタイム音声画像フィードバックシステムの有効性

院外心配蘇生(CPR)中のリアルタイム音声画像フィードバックシステムは、その手技をガイドラインにより即したものへと変化させることは認められたが、自己心拍再開やその他臨床転帰の改善には結びつかなかったという。米国・ピッツバーグ大学救急医学部のDavid Hostler氏らが、前向き集団無作為化試験を行った結果から報告した。BMJ誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)より。

自動血圧測定でプライマリ・ケアにおける白衣高血圧が減少

プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の血圧測定法として、現行の手動診察室血圧測定よりも、自動測定装置を用いた診察室測定の方が質や正確度が優れ、白衣高血圧が減少することが、カナダ・トロント大学のMartin G Myers氏らの検討で示された。日常診療で医療従事者が手動で行う血圧測定の正確度への関心が高まるに従い、自動測定装置による家庭や外来での血圧測定に対する信頼が増しているという。診察室での自動測定装置を用いた血圧測定を、患者が静かな部屋で落ち着いた状態で独りで行うことで、手動測定の欠点の多くが解消することが示唆されている。BMJ誌2011年2月12日(オンライン版2011年2月7日号)掲載の報告。

収縮期血圧は世界的に微減するも、低~中所得国で高い傾向に

世界全体の平均収縮期血圧(SBP)は1980年以降わずかに低下傾向にあるが、その変動には地域や国によって大きなばらつきがあり、近年は低~中所得国でSBPが高い傾向がみられることが、アメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院疫学科のGoodarz Danaei氏らによる系統的な解析で判明した。血圧が食事やライフスタイル、薬理学的決定因子に及ぼす影響を解明して介入の優先順位を決め、国の健康プログラムを評価するには血圧の変動に関するデータが不可欠だが、世界規模で実施された血圧の変動傾向に関する解析はほとんどないという。Lancet誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)掲載の報告。

平均BMI値は世界的に上昇傾向、肥満者は5億人以上に

1980年以降、平均BMIは世界的に増加傾向にあるが、その変動の傾向や直近の2008年の値には大きな差がみられることが、アメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院生物統計学科のMariel M Finucane氏らによる系統的な解析で明らかとなった。過体重は公衆衛生学上の重大な関心事だが、BMIの長期的な変動を世界規模で検討した解析はほとんどなく、直近の全国的な健康診断調査のデータに基づくものは皆無だという。Lancet誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)掲載の報告。

市販の遺伝子検査が購入者に与える影響

消費者が直接購入できる、疾患リスクを評価する市販の全ゲノムプロファイリングをめぐって、米国Scripps Translational Science InstituteのCinnamon S. Bloss氏らが、購入使用者の心理面、行動面および臨床面に与える影響を調査した。市販全ゲノムプロファイリングの使用については論争の的となっており、消費者にもたらす影響はほとんど明らかになっていない。NEJM誌2011年2月10日号(オンライン版2011年1月12日号)掲載より。

エベロリムス、進行性膵神経内分泌腫瘍患者の無増悪生存期間を延長

プラセボ対照の第3相国際共同二重盲検無作為化試験「RADIANT-3」の結果、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害薬であるエベロリムス(商品名:免疫抑制薬としてサーティカン、抗悪性腫瘍薬としてアフィニトール)は、進行性膵神経内分泌腫瘍患者の無増悪生存期間を有意に延長し、重篤な有害事象の発生率は低いことが示された。米国テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのJames C. Yao氏ら試験グループが報告した。エベロリムスの進行性膵神経内分泌腫瘍についてはこれまで、二つの第2相試験で抗腫瘍活性が示されていた。NEJM誌2011年2月10日号掲載より。

CABG直後のCK-MBやトロポニン上昇は中・長期死亡率を増大:大規模メタ解析より

冠動脈バイパス術(CABG)後24時間以内のクレアチンキナーゼMB(CK-MB)分画やトロポニン値の上昇は、中・長期死亡率増大の独立予測因子であることが明らかになった。CK-MB分画は最も強力な独立予測因子で、術後30日から1年後の死亡率は、正常値上限を超え5ポイント増加するごとに、死亡リスクは1.17倍程度増大するという。米国マウントサイナイ大学のMichael J. Domanski氏らが、1万9,000人弱対象の大規模メタ解析の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月9日号で発表した。

センチネルリンパ節転移の浸潤性乳がん、非腋窩郭清でも全生存は同等

センチネルリンパ節転移が認められる浸潤性乳がんに対し、ランペクトミー後に腋窩郭清を実施しなくても、実施した場合に比べて全生存に関して非劣性であることが示された。米国Saint John’sヘルスセンターJohn Wayneがん研究所のArmando E. Giuliano氏らが、約900人について行った無作為化試験の結果から明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月9日号で発表した。

心房細動患者のリスク層別化にはCHA2DS2-VAScスコアの方が優れる

心房細動患者のリスク層別化に、CHA2DS2-VAScスコアがCHADS2スコアよりも優れることが報告された。デンマーク・コペンハーゲン大学Gentofte病院循環器部門のJonas Bjerring Olesen氏らが、デンマーク国内登録心房細動患者データをベースにコホート研究を行った結果による。CHADS2スコアは脳卒中リスクの層別化に最もよく用いられてきたが、その限界も指摘され、2006年以降のACC・AHA・ESC各ガイドラインでは、その他リスク因子を加味することが示され、その後エビデンスが蓄積しCHA2DS2-VAScスコアとして示されるようになっていたという。BMJ誌2011年2月5日号(オンライン版2011年1月31日号)掲載の報告より。

院外心肺停止のバイスタンダー心肺蘇生、人工呼吸併用の従来法で良好なアウトカム

 その場に居合わせた者(バイスタンダー)が行う人工呼吸+胸骨圧迫による心肺蘇生(CPR)は、胸骨圧迫単独によるCPRに比べて良好なアウトカムをもたらすことが、奈良県立医科大学健康政策医学講座の小川俊夫氏らが行った観察試験で示された。バイスタンダーによる救急救命処置としては、現在、胸骨圧迫単独によるCPRが唯一の方法として普及しているが、院外心肺停止患者では従来のマウス・トゥ・マウスによる人工呼吸と胸骨圧迫を併用するCPRとの効果の差は明確でないという。BMJ誌2011年2月5日号(オンライン版2011年1月27日号)掲載の報告。

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病診断、有望な血液検査法を開発

 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の診断のための血液検査法が、イギリス・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン神経学研究所のJulie Ann Edgeworth氏らによって開発され、今回、その有用性が確認された。vCJDは牛海綿状脳症様プリオンの曝露に起因する致死的な神経変性疾患で、プリオン感染後は長期の臨床的に無症状な潜伏期間がある。無症候性のプリオン感染者数は把握されておらず、輸血、血液製剤、臓器や組織の移植片、汚染された医療機器を介する他者への感染リスクが懸念されている。Lancet誌2011年2月5日号(オンライン版2011年2月3日号)掲載の報告。

CRP濃度は、スタチンの血管ベネフィットに影響しない:HPS試験サブ解析

ベースラインのC反応性蛋白(CRP)濃度はシンバスタチン(商品名:リポバスなど)治療の血管ベネフィットに影響を及ぼさないことが、Heart Protection Study(HPS)の研究グループが行ったサブグループ解析で示された。CRP濃度に基づく炎症状態はスタチン治療の血管保護効果に影響を及ぼすことが示唆されている。特に、CRP濃度が高い患者はスタチンのベネフィットがより高く、CRPとLDLコレステロール値がいずれも低値の場合は、スタチンは無効との見解もあるという。Lancet誌2011年2月5日号(オンライン版2011年1月28日号)掲載の報告。

4価HPVワクチンは男性にも有効

 ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に対するHPVワクチン接種は、男性に対しても有効で、外性器病変の予防に有効であることが示された。米国H. Lee Moffittがんセンター研究所のAnna R. Giuliano氏らが16~26歳の男性を対象に、女性において持続感染や生殖器疾患に有効な4価ワクチンの有効性を検討した試験の結果による。少年および男性の生殖器HPV感染の割合は女性と同等だが、免疫応答に性差があり、自然感染では男性の方が抗体の力価は低い(HPV血清陽性:女性17.9%、男性7.9%)という。NEJM誌2011年2月3日号掲載より。

乳がん患者のセンチネルリンパ節における潜在性転移の有無と臨床転帰との関連

潜在性リンパ節転移が、乳がん患者の再発あるいは生存期間の重要な予後因子であることは、後ろ向き研究や観察研究で示唆されているが、これまで、センチネルリンパ節における潜在性転移と臨床転帰の関連について、前向きに検討した無作為化試験のデータはなかった。米国バーモント医科大学のDonald L. Weaver氏らは、5,611例の乳がん女性を、センチネルリンパ節生検+腋窩郭清群と、センチネルリンパ節生検単独群に無作為に割り付け全生存率などに関する両群の同等性を検証した試験「NSABP試験B-32」のコホート解析を行い、潜在性転移の臨床的重要性について評価を行った。NEJM誌2011年2月3日号(オンライン版2011年1月19日号)掲載より。

米国高齢リウマチ患者、DMARDs服用率は63%

米国の公的高齢者向け医療保険メディケアのマネジドケア・プラン加入者で、抗リウマチ薬DMARDsを服用しているのは、リウマチの診断を受けた人の63%であることが明らかにされた。服用率は、性別や人種、社会経済的状況、加入する保険プランによって異なることも明らかにされた。これまでに発表されたDMARDs服用率に関するデータは、社会経済状況が低い層や、単一の保険プラン加入者のみに関するもので、服用率は30~52%程度と報告されていた。米国スタンフォード大学のGabriela Schmajuk氏らは、リウマチ患者全体の実態を把握すべく、2005年に導入され、米国医療保険プランのほとんどが加入し、治療やサービスの質評価の指標として活用する「Healthcare Effectiveness Data and Information Set(HEDIS)」のデータを用いて分析を行い、JAMA誌2011年2月2日号で発表した。

米国の営利ホスピス、低ケアニーズの患者の割合が高く、利用期間はより長期

米国のホスピス利用者について、営利ホスピスと非営利ホスピスとを比較したところ、営利ホスピスでは、ケアニーズのスキルが低い患者の割合が高く、また利用期間がより長期であることが明らかになった。米国ハーバード大学医学部付属ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター総合医療・プライマリ・ケア部門のMelissa W. Wachterman氏らが、約4,700人のホスピス利用者について調べ明らかにした。調査は、米国の公的高齢者向け医療保険メディケアが、ホスピスに対して定額日払い制の償還をしており、その“特別手当”が集中的ケアの必要がより少ない患者を選んだり、より長期の利用を生み出している可能性を調べるため、また営利、非営利ホスピスにより“特別手当”に関して違いがみられるかを調べるために行われた。JAMA誌2011年2月2日号で発表された。