ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:34

早期乳がん、アントラサイクリン+タキサン併用が最も有効~メタ解析/Lancet

 乳がんの再発と死亡の減少にはアントラサイクリン系+タキサン系併用療法が最も有効であり、とくにアントラサイクリン系+タキサン系の累積投与量が多いレジメンで最大の効果を得られることが、英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏らEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)が行ったメタ解析で明らかにされた。早期乳がんに対するアントラサイクリン系+タキサン系併用療法は、化学療法を行わない場合と比較して生存を著明に改善するが、アントラサイクリン系薬剤の短期および長期の副作用に対する懸念から、アントラサイクリン系薬剤を含まないタキサン系レジメンの使用が増加しており、有効性が損なわれる可能性があった。

中等症~重症円形脱毛症、ritlecitinibで改善/Lancet

 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)3/TECファミリーキナーゼ阻害薬ritlecitinibは、12歳以上の円形脱毛症患者に有効で忍容性も良好であることを、米国・イェール大学のBrett King氏らが、日本を含む18ヵ国118施設で行われた第IIb/III相無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験「ALLEGRO-2b/3試験」の結果、報告した。円形脱毛症は、頭皮、顔または体毛の非瘢痕性脱毛を特徴とするT細胞を介した自己免疫疾患である。これまで円形脱毛症に対する治療法はほとんどなかったが、JAK1/JAK2阻害薬バリシチニブが、2022年6月に米国および欧州で成人の円形脱毛症の治療薬として初めて承認された。

CLDN18.2+HER2-進行胃がんの1次治療、zolbetuximab併用で予後改善/Lancet

 CLDN18.2陽性、HER2陰性で、未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がん患者において、CLDN18.2を標的とするモノクローナル抗体zolbetuximabとmFOLFOX6(5-FU+レボホリナートカルシウム+オキサリプラチン)の併用療法は、mFOLFOX6のみ投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に延長した。国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らが、20ヵ国215施設で実施された国際共同第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SPOTLIGHT試験」の結果を報告した。著者は、「zolbetuximab+mFOLFOX6併用療法は、CLDN18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん患者において、1次治療の新しい選択肢となるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月14日号掲載の報告。

骨粗鬆症患者の2型DM発症リスク、デノスマブvs 経口ビスホスホネート製剤/BMJ

 骨粗鬆症患者において、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤デノスマブの投与は経口ビスホスホネート製剤を投与した場合と比較して2型糖尿病(DM)の発症リスクが32%低下したことが、中国・The Chinese PLA General HospitalのHouchen Lyu氏らによるコホート研究で示された。2型DMのリスクが高い前糖尿病状態または肥満の患者では、デノスマブにより糖尿病発症リスクはさらに低下することも示唆され、著者は、「本研究は、デノスマブが経口ビスホスホネート製剤と比較し、糖代謝に対して付加的な有益性をもたらすというエビデンスを示している」とまとめている。これまで、観察研究や無作為化臨床試験の事後解析において、血糖変動に対するデノスマブの効果が示唆されていたが、デノスマブが2型DMのリスクを減少させるかどうかは明らかになっていなかった。BMJ誌2023年4月18日号掲載の報告。

進行転移胆道がんの1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS改善(KEYNOTE-966)/Lancet

 未治療、切除不能な局所進行または転移のある胆道がんの1次治療として、ゲムシタビン+シスプラチンの標準化学療法と比較して、ペムブロリズマブを加えた併用療法は全生存期間(OS)を統計的に有意に改善したことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のRobin Kate Kelley氏らによる第III相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験「KEYNOTE-966試験」の結果で、著者は「標準化学療法+ペムブロリズマブの併用療法は、進行転移胆道がん患者の1次治療として新たな選択肢となる可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年4月16日号掲載の報告。

2型DM患者、砂糖入り飲料多飲で死亡リスク2割増/BMJ

 2型糖尿病(DM)患者における飲料別の全死因死亡および心血管疾患(CVD)アウトカムとの関連が明らかにされた。砂糖入り飲料の多量摂取が全死因死亡およびCVDの発症・死亡と関連する一方で、コーヒー・紅茶・淡水・低脂肪乳の摂取は、摂取量と全死因死亡が逆相関であるという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のLe Ma氏らが、2つの大規模前向きコホート試験、Nurses' Health StudyとHealth Professionals Follow-Up Studyの解析結果を報告した。著者は、「示された結果は、成人2型DM患者におけるCVDおよび早期死亡のリスクを管理するうえで、飲料の健康的な選択が果たす潜在的な役割を強調するものであった」とまとめている。BMJ誌2023年4月19日号掲載の報告。

輸血ドナーの性別、レシピエントの死亡率には影響せず/NEJM

 血液ドナーの特性が輸血レシピエントのアウトカムに影響を及ぼす可能性を示唆する観察研究のエビデンスが増えているという。カナダ・モントリオール大学のMichael Chasse氏らは「iTADS試験」において、女性の赤血球ドナーからの輸血を受けた患者と男性の赤血球ドナーからの輸血を受けた患者で、生存率に有意差はないことを示した。研究の詳細は、NEJM誌2023年4月13日号で報告された。  iTADS試験は、カナダの3施設が参加した二重盲検無作為化試験であり、2018年9月~2020年12月の期間に患者の登録が行われた(カナダ保健研究機構の助成を受けた)。

最適な降圧薬は人によって異なるのか/JAMA

 高血圧患者における最適な降圧療法は個人によって異なるか、個別に目標を定めた降圧療法は有益性を最大化できるかという問いには、いまだ明確な解答は得られていないという。スウェーデン・ウプサラ大学のJohan Sundstrom氏らは「PHYSIC試験」において、高血圧に対する4つの異なるクラスの降圧薬による単剤療法の血圧反応にはかなりの異質性があり、これは高血圧治療における個別化治療の進展の可能性を示唆するものであることを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年4月11日号に掲載された。

多枝病変ACSへの完全血行再建術、即時vs.段階的/Lancet

 急性冠症候群および多枝冠動脈疾患を有する患者において、即時完全血行再建術は、責任病変のみに行う段階的完全血行再建術に対して、主要複合アウトカムに関して非劣性であり、心筋梗塞および予定外の虚血による血行再建術の施行を低減したことが示された。オランダ・エラスムス大学医療センターのRoberto Diletti氏らが、前向き非盲検非劣性無作為課試験「BIOVASC試験」の結果を報告した。急性冠症候群および多枝冠動脈疾患を有する患者では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による完全血行再建術施行が臨床アウトカム改善と関連することが示されている。研究グループは、非責任病変へのPCIをindex手術中に行うべきか、段階を踏んで行うべきかを調べる目的で本検討を行った。Lancet誌2023年4月8日号掲載の報告。

重症化リスクの高いコロナ患者、ニルマトレルビルで入院・死亡減/BMJ

 重症化リスクの高いSARS-CoV-2感染者へのニルマトレルビル投与は非投与と比較して、ワクチン非接種者・接種者、ブースター接種者、再感染者において、30日時点の入院または死亡のリスクが低下していたことが明らかにされた。米国・VA Saint Louis Health Care SystemのYan Xie氏らが、米国退役軍人省の全国ヘルスケアデータベースを活用し、電子カルテを用いた無作為化ターゲット模倣試験(emulation of a randomized target trial)で明らかにした。ニルマトレルビルの有効性の検証は、オミクロン変異株が優勢となる前、ワクチン非接種のSARS-CoV-2感染者とSARS-CoV-2感染歴のない人々を対象に行われたものであった。BMJ誌2023年4月11日号掲載の報告。

不全流産に対する子宮鏡手術vs.真空吸引法/JAMA

 再びの妊娠を希望する不全流産を経験した患者への子宮鏡手術は、真空吸引法と比較し、その後の妊娠や安全性プロファイルの向上とは関連しておらず、かつ子宮鏡手術はすべての症例で実施できるとは限らないことが、フランス・パリ・シテ大学のCyrille Huchon氏らが実施した多施設共同無作為化単盲検試験「Effectiveness of Hysteroscopy in the Treatment of Intrauterine Trophoblastic Retentions:HY-PER試験」の結果で示された。真空吸引法は、不全流産患者の子宮内妊娠組織遺残物(RPOC)を除去するために一般的に用いられるが、子宮腔の瘢痕化が起こり将来の生殖能力を損なう可能性があるため、この処置に代わる方法として子宮鏡手術が普及している。著者は、「本試験は、妊娠初期の不全流産に対しては、真空吸引法が標準治療であるというエビデンスを提供しており、エビデンスレベルが低いにもかかわらず頻繁に用いられる手術手技の評価が急務であることを強調するものである」とまとめている。JAMA誌2023年4月11日号掲載の報告。

重症コロナ患者、ACEI/ARBで生存率低下か/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症成人患者において、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の投与は臨床アウトカムを改善せず、むしろ悪化させる可能性が高いことを、カナダ・University Health NetworkのPatrick R. Lawler氏ら「Randomized, Embedded, Multifactorial, Adaptive Platform Trial for Community-Acquired Pneumonia trial:REMAP-CAP試験」の研究グループが報告した。レニン-アンジオテンシン系(RAS)の中心的な調節因子であるACE2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の受容体であることから、RASの過剰活性化がCOVID-19患者の臨床アウトカム不良につながると考えられていた。JAMA誌2023年4月11日号掲載の報告。

重症コロナ患者へのRAS調節薬、酸素投与日数を短縮せず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院し低酸素症を呈した重症の成人患者において、開発中の「TXA-127」(合成アンジオテンシン1-7)または「TRV-027」(アンジオテンシンII受容体タイプ1に対するβアレスチンバイアス作動薬)投与によるレニン-アンジオテンシン系(RAS)の調節は、プラセボ投与と比較して酸素投与日数を短縮しなかった。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのWesley H. Self氏らが、2つの無作為化試験の結果を報告した。前臨床モデルで、SARS-CoV-2感染によってRASの調節不全(アンジオテンシン1-7に比べてIIの活性が増大)が引き起こされることが示唆され、新型コロナ病態生理の重要な要因である可能性が仮説として示されていた。

2型DMの追加処方に有益なのは?~816試験をメタ解析/BMJ

 中国・四川大学のQingyang Shi氏らはネットワークメタ解析を行い、2型糖尿病(DM)成人患者に対し、従来治療薬にSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を追加投与する場合の実質的な有益性(心血管系および腎臓系の有害アウトカムと死亡の減少)は、フィネレノンとチルゼパチドに関する情報を追加することで、既知を上回るものとなることを明らかにした。著者は、「今回の結果は、2型DM患者の診療ガイドラインの最新アップデートには、科学的進歩の継続的な評価が必要であることを強調するものである」と述べている。BMJ誌2023年4月6日号掲載の報告。

糖類の過剰摂取、心代謝疾患リスクを増大/BMJ

 食事による糖類(単糖類、二糖類、多価アルコール、遊離糖、添加糖)の過剰な摂取は、一般的に健康にとって益よりも害が大きく、とくに体重増加、異所性脂肪蓄積、心血管疾患などの心代謝疾患のリスク増大に寄与していることが、中国・四川大学のYin Huang氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年4月5日号で報告された。   研究グループは、食事による糖類の摂取と健康アウトカムの関連に関する入手可能なすべての研究のエビデンスの質、潜在的なバイアス、妥当性の評価を目的に、既存のメタ解析のアンブレラレビューを行った(中国国家自然科学基金などの助成を受けた)。

高齢の急性心筋梗塞患者、所得格差が生存率に影響か/JAMA

 高齢の急性心筋梗塞患者では、高所得者層は低所得者層と比較して、生存率が実質的に良好で、救命のための血行再建術を受ける可能性も高く、入院期間が短く再入院が少ないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のBruce E. Landon氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年4月4日号に掲載された。   研究グループは、急性心筋梗塞の高齢患者では、治療パターンとアウトカムが、低所得者層と高所得者層で異なるかを明らかにする目的で、6ヵ国(米国、カナダ[オンタリオ州、マニトバ州]、イングランド、オランダ、イスラエル、台湾)において連続横断コホート研究を行った(米国国立老化研究所[NIA]などの助成を受けた)。

ドキシサイクリン曝露後予防、男性間性交渉者の細菌性性感染症に有効か/NEJM

 男性間性交渉者(MSM)では、ドキシサイクリン曝露後予防(doxy-PEP)は標準治療と比較して、細菌性性感染症(STI)の発生率が有意に低く、有害事象プロファイルや安全性、受容性に関する懸念はないことが、米国・ザッカーバーグ・サンフランシスコ総合病院・外傷センターのAnne F. Luetkemeyer氏らが実施した「DoxyPEP試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年4月6日号で報告された。  DoxyPEP試験は、サンフランシスコ市とシアトル市の4つの施設で実施された非盲検無作為化試験であり、2020年8月~2022年5月の期間に参加者の登録が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

PM2.5曝露で認知症リスク増加の可能性~メタ解析/BMJ

 直径2.5ミクロン未満の微小粒子状物質(PM2.5)への曝露が認知症リスクの増加と関連する可能性があり、ややデータが少ないものの二酸化窒素と窒素酸化物への曝露にも同様の可能性があることが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のElissa H. Wilker氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年4月5日号に掲載された。  研究グループは、認知症リスクにおける大気汚染物質の役割の調査を目的に、文献の系統的レビューとメタ解析を行った(Harvard Chan National Institute of Environmental Health Sciences Center for Environmental Healthなどの助成を受けた)。

IgA腎症での尿蛋白減少、sparsentan vs.イルベサルタン/Lancet

 IgA腎症の成人患者において、新規の非免疫抑制性単分子エンドセリン受容体・アンジオテンシン受容体デュアル拮抗薬sparsentanの1日1回投与は、イルベサルタンとの比較において尿蛋白を有意に減少させ、安全性はイルベサルタンと類似していた。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J. L. Heerspink氏らが、18ヵ国134施設で実施された無作為化二重盲検第III相試験「PROTECT試験」の、事前に規定された中間解析結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「今後、2年間の二重盲検期間完了後の解析により、今回示されたsparsentanの有益な効果が長期的な腎保護作用につながるかどうかが示されるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年4月1日号に掲載の報告。

60歳以上への2価RSVワクチン、下気道・急性呼吸器疾患を予防/NEJM

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価融合前F蛋白ベース(RSVpreF)ワクチンは、60歳以上の高齢者において、RSV関連下気道感染症およびRSV関連急性呼吸器疾患を予防し、安全性への明らかな懸念はないことが示された。米国・ロチェスター大学医療センターのEdward E. Walsh氏らが、日本を含む7ヵ国240施設が参加し行われた無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「RENOIR試験」の中間解析結果を報告した。RSV感染症は、高齢者に重大な疾患を引き起こすが、高齢者集団におけるRSVpreFワクチンの有効性と安全性は不明であった。NEJM誌オンライン版2023年4月5日号掲載の報告。