ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:133

閉経前乳がん術後、卵巣機能抑制の上乗せ効果/NEJM

 閉経前の乳がん患者に対する内分泌療法では、タモキシフェン単独に比べ、タモキシフェン+卵巣機能抑制により、無病生存率と全生存率が改善することが示された。無病生存率はタモキシフェン単独に比べ、エキセメスタン+卵巣機能抑制でも改善が認められた。オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのPrudence A.Francis氏らが、閉経前乳がん患者への内分泌療法について行った2つの無作為化試験、SOFT試験とTEXT試験の最新の結果をまとめたもので、NEJM誌オンライン版2018年6月4日号で発表した。

大腸がん死亡率、術後フォローアップ頻度の影響は?/JAMA

 StageII/IIIの大腸がん患者において、術後のフォローアップ検査(CT画像検査と腫瘍マーカーCEA検査)の頻度を多くしても、少ない場合と比べて、結果として5年全死因死亡率や大腸がん特異的死亡率は有意に低下しないことが、デンマーク・Abdominal Disease CenterのPeer Wille-Jorgensen氏らによる無作為化試験「COLOFOL試験」の結果、示された。大腸がんの根治手術を受けた患者に対するインテンシブなフォローアップは、臨床において日常となっているが、生存ベネフィットのエビデンスは限定的であった。JAMA誌2018年5月22日号掲載の報告。

コントロール不良DMの血糖管理、 SMSによる介入で改善/BMJ

 テキストメッセージ(SMS:short message service)を活用した糖尿病自己管理サポートプログラムは、コントロール不良の成人糖尿病患者の血糖コントロールをわずかだが改善したことが、ニュージーランド・オークランド大学のRosie Dobson氏らによる無作為化試験の結果、示された。高コストで長期にわたる、コントロール不良の糖尿病関連の合併症が増大していることに対し、有効な糖尿病自己管理サポートが求められている。SMSは、自己管理サポートにおいて理想的なツールであるが、これまで糖尿病の自己管理サポートに対する有効性は不明であった。BMJ誌2018年5月17日号掲載の報告。

抗うつ薬は長期の体重増リスク/BMJ

 抗うつ薬処方と体重増加の関連を10年間フォローアップした結果、抗うつ薬処方は長期にわたる体重増のリスクと関連している可能性が示された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのRafael Gafoor氏らが、同国のプライマリケア・データベースを利用した住民ベースのコホート研究の結果、明らかにしたもので、BMJ誌2018年5月23日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「抗うつ薬治療の必要性を示す場合は、体重増加の可能性を考慮すべきである」とまとめている。肥満は世界的な課題で、抗うつ薬の使用は広がりつつある。これまで短期試験において、抗うつ薬使用と体重増加の強い関連性が示されているが、個々の抗うつ薬に関する長期的リスクのデータは存在していなかった。

飲酒と心血管疾患・脳卒中、関連は逆?/BMJ

 アルコール摂取は、非致死的な冠動脈疾患(CHD)と負の相関がみられた一方、複数の脳卒中サブタイプとは正の相関が認められたことが、WHO国際がん研究機関のCristian Ricci氏らによる検討の結果、明らかにされた。著者は、「示された結果は、アルコール摂取と心血管疾患(CVD)の関連は種々存在することを強調するものであり、アルコール摂取の低減方針のエビデンスを強化するものである」とまとめている。BMJ誌2018年5月29日号掲載の報告。

米国の若年肺がん罹患率、女性のほうが高い/NEJM

 歴史的には男性のほうが女性よりも肺がん罹患率は高い傾向にあったが、1960年代半ば以降に生まれた非ヒスパニック系白人とヒスパニックでは逆転していることが示された。この理由は喫煙では説明できず、今後、若年女性で肺がん罹患率が高い理由を明らかにするための研究が必要だという。米国がん協会のAhmedin Jemal氏らが、北米がん中央登録所協会(NAACCR)のデータを分析し、報告した。先行研究において、米国における若年の肺がん罹患率は男性より女性で高いことが示唆されていたが、この傾向が現代の出生コホートでも認められるか、その場合、喫煙行動で十分説明できるかどうかは不明であった。NEJM誌2018年5月24日号掲載の報告。

FDAに義務付けられた新薬市販後調査の実態/BMJ

 米国・Yale-New Haven HospitalのJoshua D. Wallach氏らが、米国食品医薬品局(FDA)が承認した新薬/生物学的製剤に義務付けられている市販後調査(postmarketing requirements:PMR)について検証した断面解析の結果を報告した。その結果、米国における新薬/生物学的製剤のPMRは、簡潔に述べられていることが多く、研究デザインに関する情報が十分ではないことが、また、前向きコホート研究、登録研究および臨床試験としてPMRの約4分の3はClinicalTrials.govに登録されていたが、結果が公表または論文発表されていたのは完了した試験の約4分の3で、調査が義務付けられている研究の少なくとも4分の1は、公的に発信されていないことが示されたという。FDAは製薬会社に対し、新薬/生物学的製剤の安全性および有効性に関する重要な疑問に回答するためPMRの実施を要求できるが、その遂行やエビデンスの厳密さについて懸念が高まっていた。BMJ誌2018年5月24日号掲載の報告。

デュピルマブ、コントロール不良喘息にも有用/NEJM

 コントロール不良の喘息患者において、ヒト抗インターロイキン-4受容体αモノクローナル抗体のデュピルマブはプラセボと比較して、重度喘息増悪の頻度を減らし、肺機能および喘息コントロールを改善することが示された。米国・ワシントン大学のMario Castro氏らが、約1,900例の患者を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年5月21日号で発表した。

脳卒中ケアユニット、所得・重症度によらず生存率を改善/Lancet

 低・中所得国では、脳卒中のエビデンスベースの治療や診断、および脳卒中ケアユニットが、一般的に活用されていないことが明らかにされた。一方で、脳卒中ケアユニットへのアクセスや抗血小板療法の適切な使用は、早期回復と関連していることも示された。英国・グラスゴー大学のPeter Langhorne氏らが、32ヵ国・約1万3,000例の脳卒中患者を対象に行った観察試験で明らかにしたもので、Lancet誌2018年5月19日号で発表した。これまで、低・中所得国では脳卒中が人々にもたらず影響にばらつきがあることが示唆されていた。高所得国では、脳卒中のケアとアウトカムは改善が報告されているが、低・中所得国の診療状況およびアウトカムは明らかになっていなかった。

プロカルシトニン値は抗菌薬使用の指標となるか/NEJM

 下気道感染症が疑われる患者への、プロカルシトニン値を指標とする抗菌薬の開始/中止の決定は、抗菌薬曝露量を削減しないことが、米国・ピッツバーグ大学のDavid T. Huang氏らが行った「ProACT試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年5月20日号に掲載された。プロカルシトニンは、ウイルスに比べ細菌感染によって上昇するペプチドで、上昇の程度は感染の重症度と相関し、感染の改善に伴って経時的に低下する。欧州の試験では、プロカルシトニンに基づくガイダンスは、明確な有害性を呈することなく抗菌薬の使用を抑制することが報告されている。米国食品医薬品局(FDA)は、これらの試験を含むメタ解析の結果に基づき、2017年2月、下気道感染症疑い例における抗菌薬使用の指標としてプロカルシトニン測定を承認したが、日常診療への適用の可能性は不明だという。

心臓手術中の左心耳閉鎖、脳卒中リスクを減らせるか/JAMA

 心臓手術を受ける患者において、左心耳閉鎖(left atrial appendage occlusion:LAAO)の併施群は非併施群と比較して、その後の脳卒中および全死因死亡リスクが有意に低いことが、米国・メイヨー・クリニックのXiaoxi Yao氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。LAAOは、心臓手術中に行われる可能性があるが、長期的な脳卒中リスクとの関連に関するデータはほとんど存在せず、一方で術後の心房細動(AF)との関連を示唆するエビデンスが示されていた。今回の結果を受けて著者は、「無作為化試験を含む検討を行い、外科的LAAOの役割を明確にする必要がある」と述べている。JAMA誌2018年5月22日号掲載の報告より。

外来でのポイントオブケア、慢性心不全の診断精度は?/BMJ

 英国・オックスフォード大学のKathryn S. Taylor氏らは、外来でのポイントオブケアによるナトリウム利尿ペプチド(NP)検査の慢性心不全の診断精度について、系統的レビューとメタ解析による評価を行った。その結果、プライマリケアにおいて感度0.99、特異度0.60であることが示されたが、「現状ではプライマリケア試験および検査値データが不十分で、方法論的な限界もある。大規模なプライマリケア試験を行い、ポイントオブケアNP検査の役割を評価するとともに、疑い例を含む慢性心不全患者のケアを改善するための適切な閾値を明らかにする必要がある」という。BMJ誌2018年5月21日号掲載の報告。

FAME2試験、5年追跡調査の結果は?/NEJM

 安定冠動脈疾患患者において、冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)ガイドによるPCI戦略は薬物療法単独と比較し、5年間の複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、緊急血行再建術)の発生を有意に低下させた。ベルギー・アールスト心血管センターのPanagiotis Xaplanteris氏らが、無作為化非盲検試験FAME 2試験の5年追跡結果を報告した。血行動態的に著しい狭窄のない患者は、薬物療法のみでも長期転帰は良好であったという。NEJM誌オンライン版2018年5月22日号掲載の報告。

腎デナベーション、降圧薬服用患者への効果を確認/Lancet

 降圧薬を服用中の高血圧患者において、主要腎動脈および分岐部の腎除神経(腎デナベーション)は、偽処置(シャム)と比較し、重大な安全性イベントを伴うことなく血圧を有意に低下させることが示された。米国・Piedmont Heart InstituteのDavid E. Kandzari氏らが「SPYRAL HTN-ON MED試験」の結果を報告した。カテーテルを用いた腎デナベーションの試験では、これまで一貫した有効性は報告されておらず、降圧薬服用中の患者における有効性は不明であった。Lancet誌オンライン版2018年5月23日号掲載の報告。

Immunoscore、大腸がん再発リスクを高精度に予測/Lancet

 腫瘍浸潤T細胞の評価により得られる「Immunoscore」は、大腸がん再発リスクの推定において信頼性が高いことが示唆された。フランス・パリ第5大学のFranck Pages氏らが、Stage I~IIIの大腸がん患者を対象とした同スコアの予後予測精度の検証結果を報告した。大腸がんの再発リスクの評価は改善が望まれており、免疫パラメータの導入には、強固な免疫スコアの定量化が必要とされていた。著者は、「今回の結果は、ImmunoscoreをTNM分類の新たな構成要素とすることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年5月10日号掲載の報告。

腎デナベーションは、降圧薬に代わりうるか/Lancet

 降圧薬服用を中止した軽度~中等度の収縮期/拡張期高血圧が認められる患者に対し、腎デナベーションを行うことで、2ヵ月後の収縮期血圧がシャム群に比べて有意に低下したことが示された。フランス・パリ第5大学のMichel Azizi氏らが行った「RADIANCE-HTN SOLO試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年5月23日号で発表された。初期の試験では、高周波腎デナベーションが、中等度の高血圧患者の血圧を低下することが示されている。研究グループは、腎デナベーションが、降圧薬服用を中止した外来高血圧患者の血圧を下げる代替治療技術となるのかを検討した。

内視鏡による進行腺腫あり vs.なし、大腸がんリスクに有意差/JAMA

 軟性S状結腸鏡検査(FSG)が陽性で大腸内視鏡検査を受けた結果、進行腺腫が認められた人は、腺腫が認められなかった人に比べて、その後の大腸がんリスクが有意に高かった。一方で非進行腺腫の有無と同リスク増大には関連は認められない可能性が示されたという。米国・ピッツバーグ大学のBenjamin Click氏らが、FSGの結果が陽性だった1万5,935例を対象にした試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年5月15日号で発表した。腺腫ポリープがある人は大腸がんを予防するために、定期的な大腸内視鏡検査を受けるよう勧められる。しかし、検査受診時の腺腫有無と、長期の大腸がん発症との関連は明らかになっていなかった。

軽~中等度認知症への運動介入、進行遅延効果はなし?/BMJ

 軽度~中等度認知症に対する、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの介入には、認知障害の進行を遅らせる効果はないことが、英国・オックスフォード大学のSarah E. Lamb氏らによる無作為化試験「Dementia And Physical Activity:DAPA試験」の結果で示された。筋トレのプログラムで体力の改善は認められたが、その他の臨床的アウトカムの明らかな改善は認められなかったという。認知症者の認知低下の遅延に果たす運動の役割について、これまで臨床に反映できる十分な規模と方法論に基づく無作為化試験は行われていなかった。BMJ誌2018年5月16日号掲載の報告。

発症時間不明の脳梗塞、rt-PAで転帰改善か/NEJM

 発症時間不明の急性脳卒中患者において、脳虚血領域のMRI拡散強調画像とFLAIR画像のミスマッチを根拠に行ったアルテプラーゼ静脈内投与は、プラセボ投与と比べて、90日時点の機能的アウトカムは有意に良好であることが示された。ただし、頭蓋内出血は数的には多く認められている。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのGotz Thomalla氏らによる多施設共同無作為化二重盲険プラセボ対照試験「WAKE-UP試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2018年5月16日号で発表された。現行ガイドラインの下では、静脈内血栓溶解療法は、発症から4.5時間未満であることが確認された急性脳卒中だけに施行されている。研究グループは、発症時間が不明だが、MRI画像の特色として発症が直近の脳梗塞と示唆された患者について、静脈血栓溶解療法はベネフィットがあるかを検討した。

ESUS後の脳卒中再発予防、リバーロキサバン vs.アスピリン/NEJM

 塞栓源不明の脳塞栓症(embolic stroke of undetermined source:ESUS)の初発後の、脳卒中の再発予防において、リバーロキサバンにはアスピリンを上回るベネフィットはないことが、カナダ・マックマスター大学のRobert G. Hart氏らが実施した「NAVIGATE ESUS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年5月16日号に掲載された。塞栓源不明の脳塞栓症は、虚血性脳卒中の20%を占め、高い再発率と関連する。抗凝固薬は、心房細動患者の脳塞栓症の予防に有効であることから、塞栓源不明の脳塞栓症後の脳卒中の再発予防において、抗血小板薬よりも高い効果が得られる可能性があるとの仮説が提唱されている。