ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:181

中皮腫の初回治療、ベバシズマブ上乗せでOS延長/Lancet

 悪性胸膜中皮腫の初回治療について、標準療法であるシスプラチン+ペメトレキセドの併用療法へのベバシズマブの上乗せは、全生存期間(OS)を有意に改善することが、フランス・カーン大学のGerard Zalcman氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。毒性効果として循環器系の有害事象が増えるものの、著者は、「予想の範囲内のものであり、ベバシズマブの上乗せは適切な治療と見なすべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年12月21日号掲載の報告。

既治療PD-L1陽性NSCLCへのpembrolizumabの有効性を確認/Lancet

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、pembrolizumabは標準治療に比べ全生存期間(OS)を延長し、良好なベネフィット・リスク比を有することが、米国・イェール大学医学大学院のRoy S Herbst氏らが行ったKEYNOTE-010試験で示された。免疫療法はNSCLCの新たな治療パラダイムであり、活性化B細胞やT細胞表面のPD-1受容体を標的とする免疫チェックポイント阻害薬が有望視されている。pembrolizumabは、PD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体であり、米国では第Ib相試験(KEYNOTE-001試験)のデータに基づき、プラチナ製剤ベースレジメンによる治療中または治療後に病勢が進行した転移性NSCLCの治療薬として迅速承認を取得している。Lancet誌オンライン版2015年12月18日号掲載の報告。

イブプロフェンは尿路感染症の代替治療となりうるか/BMJ

 単純性尿路感染症の女性患者の初回治療において、イブプロフェンによる対症療法はホスホマイシンによる抗菌薬治療に比べ抗菌薬の使用を抑制するが、症状の緩和効果は低く、腎盂腎炎の発症が増加する傾向がみられることが、ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのIldiko Gagyor氏らの検討で示された。単純性尿路感染症の女性患者には通常、抗菌薬治療が行われるが、本症は無治療で回復する症例も多く、耐性菌増加の防止の観点からも、抗菌薬の処方の抑制対策が進められている。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であるイブプロフェンは、パイロット試験において、症状消失に関して抗菌薬治療に対し非劣性で、3分の2の患者で抗菌薬の処方なしに回復したことが報告されていた。BMJ誌オンライン版2015年12月23日号掲載の報告より。

肺/消化管の神経内分泌腫瘍へのエベロリムスの効果:RADIANT-4/Lancet

 肺または消化管原発の進行性神経内分泌腫瘍に対しエベロリムス(商品名:アフィニトール)を投与することで、病勢進行/死亡リスクは半減し、無増悪生存を有意に改善することが示された。安全性に関する所見は、エベロリムスにみられる既知の副作用だった。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJames C. Yao氏らが行った第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験「RADIANT-4」の結果、報告した。肺または消化管原発の高分化型進行性神経内分泌腫瘍患者への効果的な全身療法はなかったが、今回の結果を踏まえて著者は「エベロリムスが同疾患に対する初となる標的薬剤である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年12月15日号掲載の報告。

大腿骨頚部骨折による入院日数と死亡リスクの関係/BMJ

 50歳以上の大腿骨頚部骨折で入院した患者のうち、入院期間が11~14日の患者は1~5日の患者に比べ、退院30日死亡リスクが約1.3倍増大することが、また14日超では約2倍強増大することが示された。米国・ロチェスター大学のLucas E. Nikkel氏らが、米国ニューヨーク州で大腿骨頚部骨折により入院した患者約18万例を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果、報告した。これまでにスウェーデンの試験で、大腿骨頚部骨折による入院日数が短いほど死亡リスクが増大するという結果が発表されている。今回、それとは逆の結果が示されたが、著者は、その背景には医療システムの違いがあるのではないかと考察している。BMJ誌オンライン版2015年12月10日号掲載の報告。

難治性クローン病への造血幹細胞移植、効果認められず/JAMA

 難治性クローン病患者に対する自家造血幹細胞移植(HSCT)は通常療法と比較して、1年時点の寛解維持でみた有効性について統計的有意差は認められず、むしろ顕著な毒性との関連が示されたことを、英国・ノッティンガム大学クイーンズメディカルセンターのChristopher J. Hawkey氏らが、無作為化試験の結果、報告した。症例/シリーズ報告では、難治性クローン病患者に対してHSCTが有望である可能性が示されていたが、著者は「試験の結果、難治性クローン病患者へのHSCTの広範な適用を裏付ける所見は示されなかった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2015年12月15日号の掲載報告。

非浸潤性乳管がんでもアロマターゼ阻害薬は術後の選択肢に/Lancet

 非浸潤性乳管がん(DCIS)の閉経後女性における術後の再発予防では、アナストロゾールとタモキシフェンの効果に明確な差はなく、アナストロゾールは治療選択肢となりうることが、オーストラリア・ニューカッスル大学のJohn F Forbes氏らが行ったIBIS-II DCIS試験で示された。マンモグラフィ検診導入後の数十年間で、DCISの診断率は実質的に上昇しており、検診で検出される乳がんの約5分の1を占めるという。浸潤性乳がんの術後の再発予防では、第3世代アロマターゼ阻害薬はタモキシフェンよりも有効性が高いとされるが、DCISにおけるアナストロゾールの優越性は確証されていなかった。Lancet誌オンライン版2015年12月11日号掲載の報告。

非浸潤性乳管がん、術後ホルモン療法の5年QOL評価/Lancet

 閉経後の非浸潤性乳管がん(DCIS)の術後の再発予防において、タモキシフェン(商品名:ノルバデックスほか)とアナストロゾール(同:アリミデックスほか)のQOL(身体機能、心の健康)に差はないが、薬剤関連症状には違いがみられることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のPatricia A Ganz氏らが実施したNSABP B-35試験で示された。2002年に本試験が立案された時点のDCISの標準治療はタモキシフェンの5年投与であったが、同年、ATAC試験により、浸潤性乳がんの術後補助療法ではアナストロゾールがタモキシフェンに比べ無病生存期間を延長し、毒性も良好であることが明らかにされた。NSABP B-35試験では、最近、60歳未満の患者においてアナストロゾール5年投与による無乳がん期間の、わずかだが有意な改善効果が確認されている(1月4日公開記事参照)。Lancet誌オンライン版2015年12月10日号掲載の報告。

TAVR導入で既存臨床はどう変わったか/NEJM

 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)導入の臨床への影響を調べた結果、TAVRの施行増大に伴う外科的大動脈弁置換術(SAVR)の減少はわずかであった。また、TAVR患者はSAVR患者よりも高齢で手術リスクが高く、院内死亡率は両群ともに減少していたが、TAVRのほうが減少の程度が大きかったことなどが判明した。ドイツ・アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクのJochen Reinohl氏らが、同国における2007~13年の動向を調べ報告した。NEJM誌2015年12月17日号掲載の報告。

院内でコーヒーを最もよく飲む診療科は?/BMJ

 院内で医師が飲むコーヒーの年間摂取量は、外科医が内科医より多い傾向があり、専門科医別にみると整形外科医が最も多く、最も少ないのは麻酔科医だった。また、若手医師よりも、経験5年超のベテラン医師のほうが摂取量は多いこと、部門トップが最も多くおごっていることなどが判明したという。スイス・Kantonsspital St. Gallen社のKarlmeinrad Giesinger氏らが、ある教育病院に所属する医師800人弱について、1年間の院内カフェテリアにおけるコーヒー購入状況を調べ報告した。BMJ誌オンライン版2015年12月16日号クリスマス特集号掲載の報告より。

非浸潤性乳管がん、アナストロゾールの再発予防効果を確認/Lancet

 閉経後のホルモン受容体陽性非浸潤性乳管がん(DCIS)で、乳腺腫瘤摘出術と放射線療法を行った患者に対するアナストロゾール(商品名:アリミデックスほか)投与は、タモキシフェン(同:ノルバデックスほか)投与に比べ、有意な再発予防効果が認められたことが報告された。両者の差は5年を過ぎてから確認され、また60歳未満患者に対してアナストロゾールの有意な治療効果が認められた。カナダ・マギル大学のRichard G. Margolese氏らが実施した無作為化二重盲検試験、National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project(NSABP)B-35試験の結果、示された。現在、DCISに対する標準治療は、腫瘤を切除後、放射線療法および補助療法(通常タモキシフェン)とされている。研究グループは、補助療法としてアナストロゾールがより安全で、効果があるのではないかとして、両者を比較する検討を行った。Lancet誌2015年12月10日号掲載の報告。

過去20年で健康寿命が4年前後増加/Lancet

 英国・ニューカッスル大学のCarol Jagger氏らは、イングランドにおける1991~2011年の高齢者の健康寿命(主観的健康感、認知機能、日常生活動作[ADL]障害で評価)の変化を調べた。10年ごと2回にわたったCognitive Function and Ageing Study IおよびIIの結果を分析した結果、認知機能障害のない期間と主観的健康感は増大、ADL障害についてはあまり変化していないことが明らかになったという。こうした結果の背景要因として著者は、「明らかではないが、先の10年に肥満者が増大したことが考えられる」と分析したうえで、「われわれの所見は、政府、雇用者そして個人に重要な示唆を与える。とくに勤続年齢の引き上げに関して、また地域医療サービスや軽症~中等度の障害者を支える家族介護者に対して重要な示唆を与える」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。

経鼻インフルエンザワクチン、卵アレルギー児も接種可?/BMJ

 卵アレルギーのある未成年者(2~18歳)を対象に、卵成分を含む弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)の安全性について検討した結果、卵アレルギーのある児でLAIVによる全身性アレルギー反応が起きるリスクは低く、またコントロール良好な喘息児への同接種について忍容性が認められるとの見解が示された。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンPaul J Turner氏らが国内30施設778例を対象とした非盲検第IV相介入試験の結果、報告した。英国では小児予防ワクチンスケジュールに経鼻LAIVが導入されたが、卵アレルギーは頻度が高く、就学前児童では2~6%に及ぶとされる。卵アレルギーや喘息を有する未成年者へのLAIV接種に関する安全性データは限定的で、ガイドラインの中には、喘息持ちの5歳未満児でのLAIV接種は避けるよう勧告するものもあった。BMJ誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。

第2世代抗うつ薬と認知行動療法、アウトカムは同等/BMJ

 大うつ病性障害の初期治療において、第2世代抗うつ薬投与および認知行動療法(CBT)の治療効果や有害作用は同等であることを、米国・ノースカロライナ大学のHalle R. Amick氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。すでに第2世代抗うつ薬およびCBTの、大うつ病性障害における効果および有害性は実証されている。しかし、プライマリケア医からは、最適な治療オプションを選択できるよう質の高い治療比較のエビデンスを求める声が寄せられていた。BMJ誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。

高齢者のSU薬とワルファリンの併用、低血糖リスク増大/BMJ

 高齢者のワルファリンとスルホニル尿素薬(SU薬)の同時服用は、SU薬単独服用時に比べ、低血糖による病院救急部門受診・入院リスクを約1.2倍に増大することが、また、転倒リスクも約1.5倍に増大することが明らかにされた。米国・南カリフォルニア大学のJohn A. Romley氏らが、65歳以上のメディケア出来高払いプラン加入者の保険請求データを基に後ろ向きコホート試験を行った結果、示されたという。著者は、「結果は、これら薬物間の重大な相互作用の可能性を示唆するものだ」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年12月7日号掲載の報告。

重症肺気腫に気管支バルブ治療は有用か/NEJM

 気管支バルブ治療が葉間側副換気がない重症肺気腫患者の、肺機能および運動耐容能を有意に改善したことが、オランダ・フローニンゲン大学のKarin Klooster氏らによる無作為化試験の結果、報告された。一方向性の気管支バルブを用いた気管支鏡下肺容量減少療法は、重症肺気腫患者の治療として有望視されているが、これまでに報告された有益性はわずかなものであった。一方で先行研究において、葉間側副換気がない患者における有益性の可能性が示唆されており、研究グループはその仮説について検証した。NEJM誌2015年12月10日号掲載の報告。

過度のHbA1c検査が糖尿病治療の過剰化をもたらす/BMJ

 血糖コントロールが安定した2型糖尿病患者の多くでは、糖化ヘモグロビン(HbA1c)の検査回数が多過ぎ、そのため血糖降下薬による治療が過剰となる可能性があることが、米国メイヨークリニックのRozalina G McCoy氏らの検討で示された。米国では、インスリン製剤を使用せずに血糖コントロールが達成、維持され、直近の糖尿病関連の急性合併症がみられない成人2型糖尿病患者(妊婦を除く)には、年に1~2回のHbA1c検査が推奨されている。一方、HbA1cの検査回数が多いと保健医療における冗長性(redundancy)や無駄が増えることが報告されているが、これらの試験は規模が小さいため、過剰なHbA1c検査が治療に及ぼす影響の評価は難しいという。BMJ誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。

大腸がんスクリーニングの受診率を高めるには/Lancet

 英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのJane Wardle氏らは、NHS大腸がんスクリーニングプログラム(ASCEND)の受診に関する、社会経済的格差低減のための戦略を明らかにするため、4つのエビデンスのある受診勧奨の介入(小冊子配布など)について検討を行った。その結果、効果が認められたのは、スクリーニングの申し込みを再度促すバナー付きリマインダーレター送付の介入であったという。英国では国家的な大腸がんスクリーニングプログラムが行われているが、受診状況は社会経済的状況によってばらつきがあるという。研究グループは、スクリーニングの健康ベネフィットを改善するため、この格差を低減するための4つの介入について検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。

幸せだと長生きするとは本当か?/Lancet

 幸福であることで寿命が伸びたり、ストレスによる苦痛が死亡を早めることはないとの研究結果が、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBette Liu氏らにより報告された。幸福や、精神的負担感(ストレス)が少ない、落ち着いて、くつろぎ感(リラックス)のある生活は、死亡率を低下させることが示唆されている。一方、不幸は、喫煙、アルコールの過剰摂取、肥満、運動不足など、疾患の危険のある生活様式をもたらす可能性があるが、むしろ不健康が不幸の原因となる逆因果関係の重要性が指摘されており、これらの交絡因子で補正すると、不幸は死亡率の上昇とは関連しないとする研究もあり、統一的な見解は得られていないという。Lancet誌オンライン版2015年12月9日号掲載の報告。

若年性皮膚筋炎、プレドニゾン+MTXが有益/Lancet

 新規発症の若年性皮膚筋炎に対し、プレドニゾン+シクロスポリン併用またはプレドニゾン+メトトレキサート(MTX)併用は、いずれもプレドニゾン単剤と比較して有効であるが、安全性プロファイル、ステロイド節約効果においてプレドニゾン+MTX併用が支持されることが明らかにされた。イタリア・Istituto Giannina GasliniのNicolino Ruperto氏らが、22ヵ国54施設が参加した無作為化試験の結果、報告した。これまで皮膚筋炎および若年性皮膚筋炎の治療に関するデータは、大半が散発的で非無作為化によるケースシリーズ報告しかなかった。Lancet誌オンライン版2015年11月27日号掲載の報告より。