小児の非心原性の院外心停止、胸部圧迫に人工呼吸を併用する心肺蘇生が有効
院外で非心原性の原因で心停止をきたした子どもに対する処置として、胸部圧迫に人工呼吸を併用する従来の心肺蘇生(CPR)は、胸部圧迫のみのCPRに比べ神経学的予後が良好な生存の可能性を高めることが、京都大学保健管理センターの北村哲久氏らが実施したコホート試験で明らかとなった。アメリカ心臓協会(AHA)は、成人の院外心停止例にはその場に居合わせた目撃者による胸部圧迫のみのCPRを推奨しているが、子どもはその限りでない。これは、成人の心停止は心原性の場合が多く、従来型CPRと胸部圧迫のみのCPRに生存率の差はなく、また胸部圧迫単独の方が簡便であるのに対し、小児の心停止は心原性よりも呼吸器疾患(窒息、溺水など)を原因とする場合が多く、動物実験では呼吸器疾患による心停止には人工呼吸併用CPRの方が予後が良好なことが示されているためだ。Lancet誌2010年4月17日号(オンライン版2010年3月3日号)掲載の報告。