小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:120

HPVワクチン、複数回接種の費用対効果/JAMA

 2価と4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの、接種回数と費用対効果について、英国・イングランド公衆衛生局(Public Health England:PHE)のMark Jit氏らが伝播モデルをベースに検討した。その結果、仮に2回接種による防御効果が10年しか持続せず、3回接種の効果が生涯持続するのなら、そのほうが費用対効果は高いこと、一方で2回接種の効果が20年超持続するのなら、2回接種が最適な選択肢であることを明らかにした。2価/4価HPVワクチンは、長期にわたりHPV16/18への防御効果をもたらす可能性が示されているが、その正確な期間・規模について、3回接種の場合と比較した検討はこれまで行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年1月7日号掲載の報告より。

1型糖尿病への強化治療、長期死亡を低減/JAMA

 1型糖尿病への血糖コントロール強化治療は、長期的な全死因死亡の低下に結び付くことが示された。米国・ピッツバーグ大学のTrevor J. Orchard氏らDCCT/EDIC研究グループが、同試験で平均6.5年間強化治療を行った被験者1,441例を、平均27年間追跡した結果、ハザード比(HR)0.67と死亡発生の低下が認められたという。また、血糖値と死亡との有意な関連も判明した。これまで、1型糖尿病への強化治療が死亡に影響するかどうかは明らかにされていなかった。JAMA誌2015年1月6日号掲載の報告より。

4価HPVワクチン接種、多発性硬化症と関連なし/JAMA

 4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種は、多発性硬化症などの中枢神経系の脱髄疾患の発症とは関連がないことが、デンマーク・Statens Serum研究所のNikolai Madrid Scheller氏らの調査で示された。2006年に4価、その後2価ワクチンが登場して以降、HPVワクチンは世界で1億7,500万回以上接種されているが、多発性硬化症のほか視神経炎、横断性脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、視神経脊髄炎などの脱髄疾患との関連を示唆する症例が報告されている。ワクチンが免疫疾患を誘発する可能性のある機序として、分子相同性や自己反応性T細胞活性化が指摘されているが、HPVワクチンが多発性硬化症のリスクを真に増大させるか否かは不明であった。JAMA誌2015年1月6日号掲載の報告。

小児ピーナッツアレルギーは中~高所得世帯で多い

 ピーナッツアレルギーは食物アレルギーを有する小児の約4分の1で認められ、より重篤な反応を示すものの耐性を獲得しにくいこと、また、有病率は人種および世帯収入などにより差があることが、米・ノースウェスタン大学のAshley A Dyer氏らにより報告された。ピーナッツアレルギーは最も一般的な食物アレルギーの1つであるが、小児の一般集団における包括的な疫学調査は行われていなかった。Allergy and asthma proceedings誌2015年1月掲載の報告。

高リスクの小児慢性疾患、総合的ケアで医療費減/JAMA

 慢性疾患を有する高リスクの小児に対し、患者・家族中心の医療(medical home)に基づき専門的治療を含めた総合的なケアの提供は、通常ケアの提供と比較して、重篤な疾患およびコストの低減に結び付くことが、米国・テキサス大学医療センターのRicardo A. Mosquera氏らによる無作為化試験の結果、示された。患者・家族中心の医療は成人または小児慢性疾患における有害転帰やコストの低減には結び付かないとされている。研究グループは、高リスクのとくに小児慢性疾患では、費用対効果が優れる可能性があるとして本検討を行った。JAMA誌2014年12月24・31日号掲載の報告より。

低体温療法の強化、新生児HIEの転帰を改善せず/JAMA

 低酸素性虚血性脳症(HIE)の新生児に対して72時間/33.5℃の低体温療法を行うと、死亡や機能障害が44~55%低減することが報告されているが、動物モデルでは冷却期間がより長く、冷却体温をより低くするほど良好な神経保護作用が得られる可能性が示唆されている。そこで、米国・ウエイン州立大学ミシガン小児病院のSeetha Shankaran氏らは、より強力な低体温療法の有用性を検討したが、アウトカムの改善は得られなかった。JAMA誌2014年12月24・31日号掲載の報告より。

個別遺伝子診断データを国で共有するのは有用か/Lancet

 遺伝子診断は現在、希少な疾患の臨床診断に応用され始めているが、一方で、個々の研究解析で得られたゲノム所見は共有されるべきものなのか、いくつのカテゴリーで共有されるべきものなのかといった問題が国際的な議論のトピックとなっている。また、臨床的に重要な異型を確認し共有するための強固な分析ワークフローの開発も重要な課題となっている。英国・Wellcome Trust Genome CampusのCaroline F Wright氏らは、発達障害に焦点を当てた分析ワークフローの開発に取り組み、その概要と臨床的有用性について報告した。Lancet誌オンライン版2014年12月16日号掲載の報告より。

小児への維持輸液、等張液とすべき/Lancet

 入院中小児患者への維持輸液について、等張液(ナトリウム濃度140mmol/L)の使用が低張液(同77mmol/L)使用よりも、低ナトリウム血症の発生リスクを低下し有害事象を増大しないことが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSarah McNab氏らが無作為化対照二重盲検試験の結果、報告した。小児への維持輸液をめぐっては、低張液使用が低ナトリウム血症と関連しており、神経学的疾患の発生や死亡に結び付いていることが指摘されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「小児への維持輸液は、等張液を使用しなければならない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。