精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:345

てんかんに効くサプリメント、低用量EPA+DHAが発作を抑制

 低用量の魚油(EPA+DHA 1,080mg[3カプセル/日])は、てんかん発作を抑制し、その改善効果は薬剤抵抗性てんかん(DRE)における抗てんかん薬に関する最近の試験結果と同程度であったことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のChristopher M DeGiorgio氏らによる低用量と高用量をプラセボと比較した第II相無作為化クロスオーバー試験の結果、報告された。高用量魚油に関する試験はこれまでにも行われているが、その効果は示されていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「低用量魚油はてんかん発作を抑制し、てんかん患者の健康を改善することが示された」と述べ、「DREにおける低用量魚油(1,080mg/日未満)の大規模な無作為化試験の実施が正当化された」とまとめている。Journal of Neurol Neurosurg Psychiatry誌オンライン版2014年9月8日号の掲載報告。

ビフィズス菌で不安症状が改善

 最近の研究では、ストレス関連精神疾患に常在菌の摂取が好影響を与える可能性があることが示唆されている。しかし、特定の細菌が不安や抑うつ症状にどのような影響を及ぼすかは不明であった。アイルランド・コーク大学のH M Savignac氏らは、2種類のビフィズス菌の不安・抑うつ症状に対する影響や抗うつ薬との比較を行った。Neurogastroenterology and motility誌オンライン版2014年9月24日号の報告。

ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか

 うつ病に対する抗うつ薬の有効性は、準至適(suboptimal)である。うつ病では一貫して血漿中ホモシステイン高値が認められ、ある種のビタミンBによる治療は明らかにその値を低下させることは知られていた。西オーストラリア大学のOsvaldo P. Almeida氏らは、大うつ病患者において、ビタミン剤が抗うつ薬の効果増強に有用であるか否かを検討した。その結果、ビタミンB6、B12および葉酸をシタロプラムに併用することにより、1年間(52週間)にわたりシタロプラムの効果が増強、維持され、ビタミンB追加の有用性が示唆された。結果を踏まえて著者は、「今回の所見は、中高年の大うつ病に対して安全かつ安価な追加選択肢として、治療ガイドラインへの適用を促すものであった」とまとめている。British Journal of Psychiatry誌オンライン版2014年9月25日号の掲載報告。

運動認知リスク症候群(MCR)は認知障害の発症リスクを予測した

 運動認知リスク症候群(MCR)は、遅い歩行速度と軽度の認知異常を特徴とし、各国で新しく説明されている前認知症症候群である。米国・イェシーバー大学のJoe Verghese氏らは、MCRの頻度および認知症との関連を明らかにすることを目的に、17ヵ国の22コホートのデータを基に解析を行った。その結果、MCRは高齢者で頻度が高いこと、MCRは認知機能低下を強力かつ早期に予測しうることを報告した。Neurology誌2014年8月号の掲載報告。

産後うつ病への抗うつ薬治療、その課題は

 産後うつ病に対する抗うつ薬治療は安全に行うことができるのか。英国・ロンドン大学のEmma Molyneaux氏らは、産後うつ病の抗うつ薬治療について、複数の抗うつ薬の有効性を評価し、それぞれの有効性についてその他のあらゆる治療、プラセボまたは標準治療と比較した、レビュー論文のアップデート(前回は2001年に実施)を行った。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年9月11日号の掲載報告。

認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較

 オランダ・アムステルダム大学医療センターのLL Smits氏らは、認知症のタイプ別に認知機能低下の経過を長期に観察し、コントロールと比較検討した。その結果、認知症のタイプにより記憶、言語、注意、実行機能、視空間機能、全般的認知などの低下において、それぞれ特徴がみられることを報告した。今回の結果について著者は、「アウトカム評価として神経精神学的データを使用するケースが増えているため、認知症自然経過の推定は、臨床試験をデザインするうえで重要な意義がある」と考察している。Psychological Medicine誌オンライン版2014年9月17日号の掲載報告。

新規不眠症治療薬は安全に使用できるか

 不眠症治療薬として米国で認可されたオレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサント(MK4305、2014年9月26日に国内でも承認、商品名:ベルソムラ)の有効性と安全性を評価するため、米国・ニューヨーク医科大学のL. Citrome氏が、システマティックレビューを行った。その結果、スボレキサントは、ポリソムノグラフィによる客観的評価および患者による主観的評価の両方で、プラセボに比べ入眠時ならびに睡眠維持において優れること、主な有害事象として傾眠に注意が必要であることを報告した。International Journal of Clinical Practice誌オンライン版2014年9月18日号の掲載報告。

統合失調症治療、ドパミンD3の可能性は

 ドパミンD3受容体は、統合失調症の治療ターゲットとして有望であり、同受容体と既存の抗精神病薬の結び付きについて知識を改めることは、新薬およびより選択的な治療薬の開発において重要となる。ブラジルのリオグランデ・ド・スル国立大学のGeancarlo Zanatta氏らは、抗精神病薬ハロペリドールと、ヒトのドパミンD3受容体との結合について、改良版量子力学/分子力学(QM/MM)計算法を用いた検討を行った。本報告は、新たな統合失調症の治療薬発見にインパクトをもたらすQM/MM法という、コンピュータ量子生化学的なデザイン手法を用いた第一段階の検討であった。ACS Chemical Neuroscience誌オンライン版2014年9月18日号の掲載報告。

長引くせん妄、その関連因子は

 これまで、せん妄回復例については研究されてきたが、持続するせん妄に関連する因子については十分な研究は行われていなかった。スイス・チューリッヒ大学病院のSoenke Boettger氏らは、せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および治療法を比較し、せん妄の持続に関連する因子について検討を行った。その結果、「高齢」「認知症の既往」「脳がん」「がん終末期」「感染症」などの存在がせん妄の持続に関連していることを報告した。Palliative and Supportive Care誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。

ベンゾジアゼピン系薬とアルツハイマー病リスク/BMJ

アルツハイマー病リスクの増大に、ベンゾジアゼピン系薬の使用が関連していることが、フランス・ボルドー大学のSophie Billioti de Gage氏らによるケースコントロール試験の結果、示された。ベンゾジアゼピン系薬は先進諸国では使用の頻度が高く、勧告にもかかわらず高齢者では慢性的に投与されている。ベンゾジアゼピン系薬使用者での認知症リスクの増大は確認されているが、因果関係については明らかになっていない。著者は今回の結果を踏まえて、「保証のないベンゾジアゼピン系薬の長期使用については、公衆衛生問題として検討するべきである」と指摘し、「高齢者におけるベンゾジアゼピン系薬の処方は、診療ガイドラインに準じるべきである(半減期が短い薬を優先して短期的に用いる)」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年9月9日号掲載の報告より。