精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:347

うつになったら、休むべきか働き続けるべきか

 うつ病を有する就業者について、疾病休業(absenteeism)と継続出勤による労働遂行能力低下(presenteeism)のコストおよび健康アウトカムについて比較した結果、サービス利用費を除くと両者間に有意な差はみられなかったことが示された。ただし、仕事によっては有意性に違いがみられた。オーストラリア・タスマニア大学のFiona Cocker氏らが、マルコフモデルを使用したコホート・シミュレーションの結果、報告した。うつ病で働き続けていてもメンタルヘルス改善は可能だが、集中力の低下や疲労感、仕事中のパフォーマンス低下によるリスクおよびコストをもたらす。しかし、出勤についてエビデンスに基づく推奨はなく、出勤が個人と事業者にもたらす有益性に関するデータは不足していた。PLoS One誌オンライン版2014年9月2日号の掲載報告。

強迫的行動の抑制にセロトニン5-HT2Aが重要

 スケジュール誘発性多飲(SIP:Schedule-induced polydipsia)は、ラットの強迫的行動を研究するために確立されたモデルである。セロトニン作動薬は、SIPにおける強迫的な多飲を効果的に減少させる。また、SIPにより選別された強迫性多飲が高度なラットでは、セロトニン作動性の脳活性に違いがみられる。しかし、SIPの強迫的行動を調節する、特異的なセロトニン作動性受容体は依然不明である。スペイン・アルメリア大学のSilvia Victoria Navarro氏らは、ラットのSIPモデルを用い、強迫性SIP行動におけるセロトニン2AまたはC(5-HT2A/C)受容体の役割について検討を行った。その結果、セロトニン5-HT2A受容体活性化が強迫性多飲を減少させることを報告した。Psychopharmacology誌オンライン版2014年8月26日号の掲載報告。

テストステロンは統合失調症治療の標的となるか

 攻撃的行動と陰性症状は、ホルモンを背景とする統合失調症の二大特徴である。クロアチア・Vrapce大学精神科病院のMirna Sisek-Sprem氏らは、統合失調症患者における陰性症状および攻撃的行動とテストステロン値との関連について検討を行った。その結果、攻撃性の患者ではテストステロン値とこれらパラメータとの間に関連はみられなかったが、非攻撃性の患者ではテストステロン値と陰性症状の重症度が負の相関を示し、興奮、敵意、衝動的行動と正の相関を示すことが判明した。結果を踏まえて、著者は「統合失調症の陰性症状に対して、テストステロンをターゲットとした治療戦略が有用な可能性がある」と示唆している。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2014年8月25日号の掲載報告。

統合失調症患者の感情は損なわれていない

 これまで、統合失調症では感情プロセスが障害されていることが示されていた。しかし、それら障害が認知障害によるものかについては不明であった。米国・Nathan Kline InstituteのFabien Tremeau氏らは、統合失調症患者では損なわれているとされる感情の刺激について健常対照との比較を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年8月23日号の掲載報告。

SSRI依存による悪影響を検証

 セロトニン再取り込み阻害薬(SRI)関連依存症の発生が増大しているが、その発生は低率だとみなされており、また多種薬剤依存症患者における実質的な影響は明らかになっていない。緊急救命部門に搬送された多種薬剤依存症患者を対象とした検討から、SRIの曝露が、セロトニン症候群および人工呼吸器装着のリスク増大と有意に関連していることが明らかにされた。フランス国立保健医学研究所(INSERM)のSebastien Beaune氏らが報告した。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2014年8月22日号の掲載報告。

アルツハイマーの早期発見が可能となるか

 アルツハイマー病(AD)は最も一般的な神経変性疾患で、認知症の主因である。灰白質病変に加えて白質の変化が、疾患発生における重要な病理学的特徴として認識されている。ADの病因として白質異常の重要性に対する認識は高まっているものの、白質変性の原因は依然として不明であった。米国コロンビア大学のLyndsey E Collins-Praino氏らは、AD剖検例の白質中可溶性Aβ濃度をコントロールと比較し、ADの病因としての白質変性の原因を検討した。その結果、AD患者では白質中の可溶性Aβ-42濃度およびAβ-40濃度がコントロールと比べ高値であり、白質Aβペプチドが灰白質の原線維アミロイド病変とは独立して蓄積することを報告した。この所見から著者は、「灰白質萎縮に先立つ白質変性がADの早期のマーカーとなる可能性がある。また、白質減少を引き起こすメカニズムとリスクファクターを把握できれば、ハイリスク例の特定と疾患形成過程における早期介入に役立つであろう」とまとめている。Acta Neuropathologica Communications誌オンライン版2014年8月17日号の掲載報告。

ブロナンセリンの薬理学的メカニズムを再考する

ブロナンセリンはセロトニン5-HT2A受容体よりもドパミン-D2/3受容体に対し高い親和性を示し、その他のセロトニン5-HT2A/ドパミン-D2受容体アンタゴニストと薬理作用が若干異なる。名城大学の肥田 裕丈氏らは、統合失調症動物モデルを用いてブロナンセリンの視覚認知ならびに記憶障害に対する作用とその分子メカニズムを検討した。その結果、ブロナンセリンはフェンシクリジン(PCP)に誘発される視覚認知と記憶の障害を改善すること、その背景にはドパミンD3受容体とセロトニン5-HT2A受容体の両方の阻害が関わっていることを示唆した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2014年8月14日号の掲載報告。

統合失調症の陰性症状改善は何と相関するか

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のKenneth L. Subotnik氏らは、新規発症の統合失調症の陽性および陰性症状に対する、第二世代抗精神病薬のアドヒアランスの影響について調べた。その結果、高い服薬アドヒアランスは陰性症状レベル低下と関連しており、これは陽性症状との関連性で説明しうる、とまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年8月6日号の掲載報告。