精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:354

抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学

 これまでに、統合失調症患者において長期の抗精神病薬服用により骨粗鬆症/骨減少症の高リスクが引き起こされる可能性を示唆するエビデンスが蓄積されてきた。しかし、抗精神病薬服用がどの程度、骨密度(BMD)低下を引き起こすのかについては明らかになっていなかった。千葉大学の沖田 恭治氏らは、統合失調症患者における第二世代抗精神病薬と骨代謝との関連について検討した。その結果、統合失調症患者のBMD低下について複雑な原因を示唆する知見が得られたことを報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月30日号掲載の報告。

ADHD女性に対する薬物治療、その課題は

 英国・南エセックスパートナーシップ大学NHS財団トラストのFrank M C Besag氏は、出産可能年齢女性の注意欠如・多動症(ADHD)薬物治療に関する課題を提起した。ADHDに対する薬物治療が胎児や新生児に及ぼす影響に関する情報が少ないとしたうえで、治療継続あるいは治療中止が母子に及ぼす影響を慎重に考慮することの重要性を強調している。Drug Safety誌2014年6月号の掲載報告。

治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学

 統合失調症患者のうち抗精神病薬が無効の治療抵抗性患者は20~25%を占めると推定されている。漢方薬の抑肝散は、D2および5-HT1Aの部分的作用、5-HT2Aとグルタミン酸の拮抗作用を有しており、最近行われた試験において、認知症やその他の神経精神症状と関連した行動および精神症状の治療において、安全かつ有用であることが示されていた。今回、島根大学の宮岡 剛氏らによる多施設共同二重盲検プラセボ対照の無作為化試験の結果、治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性が実証された。結果を踏まえて著者は、「抑肝散は、治療抵抗性統合失調症の補助的治療戦略となりうることが示された。とくに、興奮や敵愾心の症状改善に有用と思われる」とまとめている。Psychopharmacology誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。

日本人の気質は精神状態にどう影響するのか:順天堂大学

 状態ではなく気質を同定するよう設計されているTEMPS-A 気質評価質問紙(Temperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris and San Diego-auto questionnaire)について、これまでに、非臨床集団では精神状態が影響を及ぼす可能性が示唆されていた。順天堂大学の馬場 元氏らはTEMPS-Aの完全バージョンとさまざまな抑うつ尺度、あるいは躁病評価尺度との関連性を調べた。Journal of Affective Disorders誌2014年6月号の掲載報告。

遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見

 遅発性ジスキネジア(TD)は遅延的かつ潜在的に不可逆的な運動合併症であり、抗精神病薬やメトクロプラミドなどの中枢ドパミンD2受容体拮抗薬を慢性的に投与された患者において発現することがある。TDにおける古典的なドパミンD2受容体過敏仮説は、げっ歯類の研究に端を発しており、ヒトにおける証明は不十分なままである。カナダ・モントリオール大学のSouha Mahmoudi氏らは、TDの神経科学的基礎調査を行うため、霊長類を用いた研究を行った。 Movement disorders誌オンライン版2014年5月16日号の報告。

非定型うつ病は肥満になりやすい~前向きコホート研究

 うつ病と肥満の関連性はたびたび報告されているが、そのメカニズムや経時的な順序はよくわかっていない。スイス・ローザンヌ大学病院のAurelie M Lasserre氏らは、肥満の発症とBMI・ウエスト周囲径・体脂肪量の変化を調査し、うつ病におけるサブタイプ(メランコリー型、非定型、混合型、特定不能)が肥満発症の予測因子となるかどうかを検討した。その結果、非定型うつ病が肥満の強力な予測因子であることが示された。JAMA psychiatry誌オンライン版2014年6月4日号に掲載。

日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究

 海外の追跡研究では、地中海式食事法がアルツハイマー病のリスクを減少させるという報告がみられ、乳製品の摂取は控えめがよいとされている。しかし、久山町研究では、大豆・豆製品および牛乳・乳製品の摂取量が多い食事パターンと認知症予防との関連が報告されている。このうち、牛乳・乳製品の認知症予防に対する効果を検討するため、九州大学の小澤 未央氏らは、高齢の日本人集団での認知症発症における牛乳・乳製品の摂取の効果を検討した。その結果、牛乳や乳製品の摂取量が多いほど、認知症とくにアルツハイマー病のリスクが低下することが認められた。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版6月10日号掲載。

他の精神科医は薬剤の選択基準をどこに置いているのか

 統合失調症患者に対する抗精神病薬治療のベネフィット・リスク評価にあたり、精神科医はどのように判断を定量化しているのだろうか。また、患者のアドヒアランスはこの判断にどのような影響を及ぼしているのか。米国のMichael A Markowitz氏らが、その答えを明らかにすべく検討を行った結果、精神科医は当然ながら治療法選択にあたって陽性症状の改善を最も重視しており、アドヒアランス低下時には剤形の選択がより重要となることが示された。Psychiatric services誌オンライン版2014年5月15日号の掲載報告。