精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:357

認知症発症リスクと心臓疾患との関係

 複数の心血管リスク因子が、認知症やアルツハイマー型認知症(AD)のリスクを増大することが知られるが、心臓疾患が及ぼす影響については不明なままであった。東フィンランド大学のMinna Rusanen氏らによる住民ベースのコホート研究の結果、高齢期の心臓疾患は、その後の認知症やADリスクを増大することが明らかにされた。結果を受けて著者は、「心臓疾患の予防と効果的な治療は、脳の健康や認知機能維持の観点からも重要であると考えられる」とまとめている。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2014年5月13日号の掲載報告。

抗精神病薬、気分安定薬の暴力犯罪抑制効果は?/Lancet

 英国・オックスフォード大学のSeena Fazel氏らは、世界中で広く精神疾患患者に処方されている抗精神病薬および気分安定薬と、暴力犯罪リスクとの関連について、スウェーデンの状況について調べた。その結果、暴力犯罪の抑制に寄与している可能性が判明したという。精神疾患患者へのこれらの薬の処方に関し、疾患の再発予防や症状の軽減については明確な有効性のエビデンスが示されているが、暴力犯罪など有害アウトカムへの効果については明らかにされていなかった。結果を受けて著者は、「精神疾患患者の治療選択において、これらの薬の暴力や犯罪への効果について考慮がなされるべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年5月8日号掲載の報告より。

期待の新規不眠症治療薬、1年間の有効性・安全性は

 新規不眠症治療薬スボレキサント(MK-4305)の1年間にわたる治療について、おおむね安全であり忍容性も良好で、自覚的な睡眠導入で評価した有効性もプラセボと比較して有意であったことが示された。米国メルク社のDavid Michelson氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。スボレキサントはオレキシン受容体阻害薬で、先行研究において治療3ヵ月間の有効性は示されていた。Lancet Neurology誌2014年5月号の掲載報告。

統合失調症患者への抗精神病薬、神経メカニズムへの影響は

 統合失調症患者の記憶を含む認知機能は、機能的転帰と強く相関している。長期増強(LTP)は、記憶のための生理学的基礎であると考えられる神経メカニズムのひとつである。抗精神病薬は、ドパミン作動性伝達を変化させることにより、このLTPや認知機能を損なう可能性がある。カナダ・トロント大学のRae Price氏らは、LTPに対する抗精神病薬とD2アンタゴニストとの関係を評価するために、系統的レビューを実施した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌オンライン版2014年5月10日号の報告。

成人ADHDをどう見極める

 成人の注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、双極性障害(BD)や境界性パーソナリティ障害(BPD)との鑑別が容易ではなく、しばしば同時に罹患している場合もある。そのため、誤診や効果のない治療を施すことにつながる可能性があり、場合によっては重篤かつ有害な転帰に至ることもある。ADHDおよびBD、BPDのいずれもが健康や機能性を大幅に損なうこと、またBDとBPDは自殺傾向と関連していることが知られていることから、英国・ロンドン大学のPhilip Asherson氏らは臨床医に最新の情報を提供するために検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2014年5月7日号の掲載報告。

統合失調症患者の睡眠状態を検証

 カナダ・Riviere-des-Prairies病院のFabian Guenole氏らは、睡眠期(dissociated stages of sleep:DSS)を定量化することで、統合失調症における睡眠の機能的不安定性を特徴づけること、およびそれら特徴と精神病理との相関性を調べる検討を行った。その結果、統合失調症とレム睡眠期にみられるニューロンコントロールメカニズムとに有意な相関が認められることを明らかにした。Schizophrenia Research誌2014年5月号(オンライン版2014年4月13日号)の掲載報告。

ビタミンDと透析患者の抑うつ症状との関連

 うつ病は、末期腎不全(ESRD)患者において最も広く知られている心理的問題である。また、うつ病とビタミンD不足との関連が示唆されていた。中国・浙江大学のJisheng Zhang氏らは、透析患者における高感度C反応性蛋白(HsCRP)値、ビタミンD値とうつ病との関連を検討した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年4月28日号の掲載報告。

スルピリドをいま一度評価する

 スルピリドは、有害事象の頻度が低く、統合失調症の陰性症状に有効とされる比較的古い抗精神病薬である。相対的に安価でもあるスルピリドは、いくつかの新規非定型抗精神病薬と神経薬理学的プロファイルが類似する。中国・上海交通大学医学院のJijun Wang氏らは、統合失調症に対するスルピリドの有用性をプラセボと比較評価するメタ解析を行った。その結果、プラセボに対する優越性を示すエビデンスはきわめて限られており、著者は、「良好なエビデンスが得られるまでは、臨床試験ではなく実臨床のデータを参考として使用すべきであろう」と報告している。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2014年4月11月号の掲載報告。 スルピリドの精神疾患に対する効果をプラセボと比較 本研究は、統合失調症および重大なその他の精神疾患に対するスルピリドの効果をプラセボと比較評価することを目的として行われた。Cochrane Schizophrenia Group Trials Register(2008年9月)、ならびに引用から特定されたすべての試験のreferenceを検索した。製薬企業や著者と連絡をとり追加情報も得た。検索は、2012年11月7日時点でアップデートし、統合失調症および統合失調症様の精神疾患を対象としたスルピリドとプラセボの無作為化比較試験(RCT)すべてを検索対象とした。主要アウトカムは、全般的状態の臨床的に有意な改善とした。文献と抄録を独自に詳細に調査して文献を入手し、再調査してそれらの質を評価した。データはIMOとJWを用いて抽出。ランダム効果リスク比(RR)を用いて二分法のデータを解析し、95%信頼区間(CI)を算出した。連続変数データが含まれている場合は、ランダム効果平均差(MD)を95%CIとともに解析した。 スルピリドの優越性を示すエビデンスはきわめて限られていた スルピリドの効果をプラセボと比較した主な結果は以下のとおり。 ・2012年の検索において、新しい試験は含まれていなかった。 ・レビューしたところ、スルピリドとプラセボの短期比較を行った2件の試験(計113例)が含まれていた。 ・いずれの試験においても、主要アウトカム(全般的状態:臨床的に有意な改善)および副次アウトカム(QOL・重篤な有害事象・安全性評価)に関する報告はなかった。 ・精神状態に関しては、陽性症状、陰性症状とも2群間で明らかな差はみられなかった。 ・Manchester scaleで測定した陽性症状は分布に偏りがあったため、メタ解析には含めなかった(18例、RCT 1件、エビデンスの質:きわめて低い)。 ・Manchester scaleで測定した陰性症状もまた明らかな差は示されなかった(18例、RCT 1件、MD:-3.0、95%CI:-1.66~1.06、エビデンスの質:きわめて低い)。 ・試験を3ヵ月間継続していた者はほとんどいなかった(113例、RCT 2件、RR:1.00、95%CI:0.25~4.00)。 ・Current Behaviour Schedule(CBS)により、プラセボ群における1つのサブスコアで、社会的行動の有意な改善が認められた(18例、RCT 1件、MD:-2.90、95%CI:-5.60~-0.20)。 ・全般的アウトカム、サービスの使用、有害事象など多くの重要なアウトカムに関するデータはまったく報告されていなかった。 ・以上、スルピリドは効果的な抗精神病薬であるものの、無作為化比較試験によるプラセボに対する優越性を示すエビデンスはきわめて限られていた。

統合失調症患者の過度なカフェイン摂取、どう対処すべき

 先行研究において、統合失調症患者は一般集団よりもカフェイン摂取率が高いことが示されている。しかし質的研究は行われていなかったことから、オーストラリア・Neami NationalのLisa Thompson氏らは、統合失調症患者におけるカフェイン摂取の影響に関する検討を行った。その結果、個々のカフェイン摂取に対する信条や行動が明らかとなり、個々人へのアプローチが大切であることを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年4月16日号の掲載報告。

「笑い」でうつ病診断が可能に

 「笑い(laughter)」は、うつ病および潜在的な精神疾患の発症および進展の診断ツールとして有用である可能性が、スペイン・Aragon Institute of Health ScienceのJ. Navarro氏らにより報告された。笑いは医学分野において、健康へのよい影響をもたらすことや重大疾患の予防や治療の手法としては研究されてきたが、疾患の予測指標となる可能性や診断ツールとしての可能性については検討されていなかった。Journal of Affective Disorders誌2014年5月号の掲載報告。