循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

DOAC投与中の心房細動患者への併用、ジルチアゼムvs. メトプロロール/JAMA

 アピキサバンまたはリバーロキサバンを投与中の65歳以上の心房細動患者において、ジルチアゼム併用はメトプロロール併用と比較して重篤な出血のリスクが高く、とくにジルチアゼムの投与量が120mg/日を超えるとさらにリスクが高まることを、米国・ヴァンダービルト大学のWayne A. Ray氏らが後ろ向きコホート研究の結果、報告した。心房細動患者に一般的に投与されるレートコントロール薬のジルチアゼムは、アピキサバンおよびリバーロキサバンの排泄を阻害し過剰な抗凝固作用を引き起こす可能性があることが示唆されていた。JAMA誌オンライン版2024年4月15日号掲載の報告。

Supra-annularの自己拡張弁はバルーン拡張弁に対して狭小弁輪患者のTAVIで優位に立てるか?(解説:上妻謙氏)

重症大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、低侵襲かつ有効な治療のため、ほとんどすべてのAS単独手術患者に関して標準的な医療となってきた。今まで自己拡張型バルブでもバルーン拡張型バルブでも外科手術に対する優位性を示してきたが、本論文は北米、欧州、中東の83施設で行われた重症大動脈弁狭窄症を登録して行われたメドトロニックが主導した臨床試験である。自己拡張型デバイスであるEvolut Pro/Pro+/FXとバルーン拡張型デバイスであるSAPIEN3/SAPIEN3 Ultraを1:1で無作為化して比較した現役の人工弁によるデータである。

TAVIとSAVRの比較試験をただちにやめてガイドラインを改訂すべき時である(解説:上妻謙氏)

重症大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、低侵襲かつ有効な治療のため世界中で外科手術(Surgical AVR=SAVR)との無作為化試験が行われ、手術高リスクのみならず低リスクの患者においても明確な安全性を示し、ほとんどすべての生体弁を植え込むAS単独手術患者に関して標準的な医療となった。そういった無作為化試験は、メーカー主導で行われたものが代表的な試験2つと医師主導で行われたものがいくつかあるが、本論文はドイツの38施設で行われた症候性重症ASを登録して行われた医師主導の試験である。

心房細動の再発に歯周病が関与?

 心房細動のアブレーション治療後の再発に、歯周病が関与していることを示唆するデータが報告された。アブレーション治療のみを受けた人に比べて、歯周病の治療も受けた人では、心房細動の再発が61%少なかったという。広島大学保健管理センターの宮内俊介氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に4月10日掲載された。同氏は、「歯周病の適切な管理は心房細動の予後を改善する可能性があり、その恩恵を受ける人が世界中に多数存在しているのではないか」と述べている。

スタチンで糖尿病発症リスクは本当に増加する?

 スタチン療法により、糖尿病の新規発症リスクが約10%増加すると報告されているが、そのタイミングやどのような患者でリスクが高いかは明らかでない。英国・Cholesterol Treatment Trialists'(CTT)Collaborationの研究者らは、大規模な無作為化比較試験の個々の参加者データを用いたメタ解析を実施し、結果をLancet Diabetes & Endocrinology誌2024年5月号に報告した。  対象となったのは、追跡期間2年以上で1,000人以上が参加するスタチン療法に関する二重盲検無作為化比較試験。メタ解析では、糖尿病の新規発症(糖尿病関連有害事象、新規血糖降下薬の使用、血糖値[空腹時血糖値≧7.0mmol/Lまたは随時血糖値≧11.1mmol/Lが2回以上]、HbA1c値[≧6.5%が1回以上]により定義)、糖尿病患者における血糖値悪化(ケトーシス関連の有害事象または血糖コントロールの悪化、ベースラインから≧0.5%のHbA1c値上昇、血糖降下薬の強化で定義)に対するスタチン療法の影響を評価した。

心房細動の生涯リスク、直近10年で増加/BMJ

 デンマーク住民約357万人の追跡調査により、心房細動(AF)の生涯リスクは20年間で増大しており、AF発症後の残りの生涯において約5人に2人が心不全を、5人に1人が脳卒中を発症し、そのリスクは時間が経過しても変化がない、もしくはわずかな改善しかみられなかったことが示された。デンマーク・オールボー大学のNicklas Vinter氏らが、同国の患者登録データを用いた住民ベースのコホート研究の結果を報告した。AFを発症した場合、患者ケアは脳卒中のリスクに焦点が当てられるが、心不全や心筋梗塞も含めたAFに付随する長期的な影響について、さらなる検討が求められていた。結果を踏まえて著者は、「AF患者では、脳卒中リスクと心不全予防への戦略が必要である」とまとめている。BMJ誌2024年4月17日号掲載の報告。

小児~成人期のnon-HDL-C高値、中年期の心血管イベントと関連/JAMA

 小児期から成人期まで、持続的な非HDLコレステロール(non-HDL-C)高値の脂質異常症を有する人は心血管イベントのリスクが高かったが、成人期までにnon-HDL-C値が改善した人は脂質異常症ではなかった人と心血管リスクは同程度であることが、オーストラリア・メルボルン大学のFeitong Wu氏らによる、International Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究で示された。non-HDL-C上昇は小児によくみられ、成人期の心血管リスクを増大することが知られる。しかし、小児期のnon-HDL-C上昇が成人期までに改善することが臨床的な心血管リスクの低下と関連するかどうかは不明であった。著者は今回の結果から、「小児期のnon-HDL-C上昇を予防・軽減するための介入が、早発性心血管疾患の予防に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年4月12日号掲載の報告。

左室駆出率が保たれた急性心筋梗塞、β遮断薬の長期投与は有効か/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が保たれている(≧50%)急性心筋梗塞患者では、長期のβ遮断薬投与は投与しなかった場合と比較して、全死因死亡と新たな心筋梗塞の発生の複合主要エンドポイントを改善せず、安全性のエンドポイントには差がないことが、スウェーデン・ルンド大学のTroels Yndigegn氏らが実施した「REDUCE-AMI試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年4月7日号で報告された。  REDUCE-AMI試験は、3ヵ国(スウェーデン、エストニア、ニュージーランド)の45施設で実施したレジストリーベースの前向き非盲検無作為化並行群間比較試験であり、2017年9月~2023年5月に患者を登録した(Swedish Research Councilなどの助成を受けた)。

olezarsen月1回投与、トリグリセライドを50%減/NEJM

 olezarsenは、開発中のアポリポ蛋白C-III(APOC3)mRNAを標的とするN-アセチルガラクトサミン結合型アンチセンス・オリゴヌクレオチド。米国・ハーバード大学医学大学院のBrian A. Bergmark氏らBridge-TIMI 73a Investigatorsは、「Bridge-TIMI 73a試験」において、主に中等度の高トリグリセライド(TG)血症を有し心血管リスクが高い患者集団では、本薬の月1回投与によりプラセボと比較して、TG値を有意に低下させ、安全性に関する重大な懸念は生じないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年4月7日号に掲載された。

約90%の心血管疾患患者はナトリウムを摂取し過ぎ

 心血管疾患の治療にはナトリウムの摂取を控えることが重要であるが、ほとんどの心血管疾患患者は摂取量を制限できていないようだ。新たな研究で、心血管疾患患者は概して、推奨されている1日当たりのナトリウム摂取量の2倍以上を摂取していることが明らかになった。ナトリウムは、人間の健康に不可欠ではあるが、過剰摂取は血圧を上昇させ、血管にダメージを与え、心臓の働きを悪くする上に、体液の貯留を引き起こして心不全などの症状を悪化させ得ると研究グループは指摘している。米Piedmont Athens Regional病院のElsie Kodjoe氏らによるこの研究結果は、米国心臓病学会(ACC 24、4月6〜8日、米アトランタ)で発表された。