ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/30

 

 慶應義塾大学精神・神経科学教室の竹内 啓善氏らは、Clinical Antipsychotic Trials in Intervention Effectiveness(CATIE)のデータを基に、非定型抗精神病薬の血漿中濃度から推定されるドパミンD2受容体の占有率と患者の服薬態度との関連について検討した。その結果、非定型抗精神病薬の種類により傾向は異なるものの、ドパミンD2受容体占有率が統合失調症患者の服薬態度に影響を及ぼす可能性を示唆した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年9月9日号の掲載報告。

ドパミンD2受容体占有率とDAI-10スコアの関連を371例で解析

 本研究は、統合失調症患者において、血漿中の非定型抗精神病薬濃度から推定されるドパミンD2受容体の占有率と主観的な体験/服薬態度との関連を、横断的かつ縦断的に評価することを目的としたものであった。解析に用いたCATIEの横断的データの対象は、治療開始6ヵ月後にDrug Attitude Inventory(DAI-10)による評価を完了し、血漿中抗精神病薬濃度を測定できた、リスペリドン、オランザピンまたはジプラシドン(国内未承認)の投与を受けている371例であった。DAI-10総スコアと血漿中濃度から推定されるドパミンD2受容体占有率との関連について、スピアマン順位相関を用いて解析した後、重回帰解析を行った。さらに、DAI-10スコア変化とドパミンD2受容体占有率との関連を明確にするため、6~12ヵ月の間に抗精神病薬を増量した45例の縦断的データを解析した。血漿中抗精神病薬濃度に基づく平均ピーク濃度とドパミンD2受容体占拠のトラフ濃度の推定は、母集団薬物動態解析により行った。

 ドパミンD2受容体の占有率と主観的な体験/服薬態度と主な評価は以下のとおり。

・横断的データにおいて、ジプラシドン投与患者で、ドパミンD2受容体占有率とDAI-10総スコアとの間に正の関連が認められた(rs=0.395、p=0.001)。
・一方、縦断的データにおいて、オランザピン投与患者でドパミンD2受容体占有率とDAI-10総スコアとの間に負の関連が認められた(rs=-0.534、p=0.010)。
・リスペリドン投与患者、また横断的および縦断的データの両方の点からみた全体においても、有意な関連は認められなかった。
・統合失調症患者では、ドパミンD2受容体占有率が主観的な体験/服薬態度に影響を与える可能性がある。抗精神病薬の種類により傾向が異なるため、さらなる検討が必要である。

(ケアネット)