治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/02/18 韓国・高麗大学校のChangsu Han氏らは、初回抗うつ薬治療に部分的反応もしくは反応しなかった大うつ病性障害(MDD)患者について、患者の選択により、(1)アリピプラゾール増強(AT群)、(2)他の抗うつ薬を追加(AC群)、(3)異なる抗うつ薬に切り替える(SW群)の3つの中から選択をしてもらい、有効性、忍容性を検証した。その結果、ATを選択した患者が最も多く、臨床的有益性も同群が最も大きかったことを報告した。このような検討は、これまで行われていなかったという。Journal of Psychiatric Research誌2014年2月号の掲載報告。 本検討は多施設共同にて行われた。初回抗うつ薬治療に部分的反応もしくは反応しなかったMDD患者について、患者の選択により、AT、AC、SWを選択してもらい評価を行った。主要有効性評価項目は、8週後に、Clinical Global Impression-Clinical Benefit(CGI-CB)スコアの改善を示した患者の割合とした。副次有効性評価項目は、CGI-CBの変化、CGI重症度(CGI-S)の変化、および主観的な満足度スコアの変化などであった。また、寛解および治療反応の分析も行われた。 主な結果は以下のとおり。 ・合計295例の患者が登録された。 ・患者が最も好んだ治療戦略は、ATであった(156例、52.9%)。続いてAC(93例、31,5%)、SW(46例、15.6%)であった。 ・スコア改善者は、AT群が74.1%と、AC群の48.1%と比べて有意に高く(p<0.001)、SW群(73.5%)とは同程度であった(p=0.948)。一方、AC群とSW群の間に有意差はみられなかった。 ・同様の結果は、副次エンドポイントの大半においてもみられ、ATのACに対する優位性、およびATとSWの間に差はないことが示された。 ・忍容性プロファイルは、3群全体で類似していた。しかしながら、平均体重増加量はSW群(-0.1kg)が、AC群(1.3kg)よりも有意に少なかった(p<0.05)。 ・以上のように、大うつ病性障害患者は抗うつ薬治療の効果が得られなかったとき、ACまたはSWよりもATを選択した。これら3つの治療戦略において、全体的にATは、ACまたはSWよりも臨床的な有益性が大きかった。 ・今回の知見について著者は、「方法論的に限界があった。強固な確証を得るには、検出力が適切であり管理が良好な臨床試験が望まれる」とまとめている。 ■関連記事 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 SSRI+非定型抗精神病薬の併用、抗うつ作用増強の可能性が示唆 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証 (ケアネット) 原著論文はこちら Han C et al. J Psychiatr Res. 2014 Feb;49:75-82. Epub 2013 Nov 12. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)