難治例へのクロザピン vs 多剤併用 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/10/27 治療抵抗性統合失調症患者に対し、ともするとクロザピンの代替として、抗精神病薬の多剤併用療法などの推奨されない治療が行われている。米国テキサス大学のDawn I Velligan氏らは、クロザピン単独療法と抗精神病薬多剤併用による治療およびコストについて比較を行った。Psychiatric services誌オンライン版2014年10月15日号の報告。 検討にはMedicaid MarketScanのデータベースを用いた。対象は、18~64歳の統合失調症患者(ICD-9-CM診療コード295.XX)のうち、2006年7月~2009年1月の間に第二世代抗精神病薬の多剤併用またはクロザピン単独療法を開始し、治療前6ヵ月および治療後12ヵ月のデータを取得できた患者。研究アウトカムは、疾患特異的入院、すべての原因による入院、救急部門(ED)受診、コストとした。分析には、人口統計学的要因、対象期間以前の薬剤使用率、併存疾患によって調整したロジスティック回帰分析と一般化線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・対象症例はクロザピン単独療法群479例、抗精神病薬多剤併用群2,440例。クロザピン単独療法群では、抗精神病薬多剤併用群よりも「若年、併存疾患が少ない、対象期間前の薬剤使用率が低い、非白色人種、男性」などの特徴がみられた。 ・ベースラインの差をコントロール後の分析では、クロザピン単独療法において精神疾患関連のED受診(OR:0.75、95%CI:0.60~0.95)、統合失調症関連のED受診(OR:0.70、95%CI:0.54~0.90)のより低いオッズと関連していたが、入院やすべての原因によるED受診との関連は認められなかった。 ・総医療費はクロザピン単独療法のほうが多剤併用よりも有意に低かった(すべての原因による医療費:-2万1,315ドル、精神疾患関連:-1万7,457ドル、統合失調症関連:-1万582ドル)。 関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」 治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dawn I Velligan, et al. Psychiatric services (Washington, D.C.). 2014 Oct 15. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 多剤併用のリスク回避は患者教育が大事 医療一般(2018/12/05) 強迫症状に注意が必要な第二世代抗精神病薬は 医療一般(2014/11/13) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)