統合失調症、維持期では用量調節すべきか:慶應義塾大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/04/30 抗精神病薬による65%以上のドパミンD2受容体遮断は、統合失調症患者にとって最適な臨床効果と関連付けられている。しかし最近のデータでは、統合失調症の維持療法において、閾値はより低いことが示唆されている。慶應義塾大学の坪井 貴嗣氏らは、ドパミンD2受容体の持続的な高遮断が、統合失調症の維持治療において必要かどうかを検討した。Schizophrenia research誌2015年5月号の報告。 本研究は、リスペリドンまたはオランザピンによる治療で臨床的に安定している統合失調症患者を、持続的D2遮断群(D2遮断レベルの推定トラフ値>65%)と非持続的D2遮断群(推定トラフ値<65%、かつ推定ピーク値>65%)に無作為割り付けを行った、52週間の単盲検ランダム化比較試験。著者ら自身が開発したモデルを用い、割り付けられたD2遮断レベルに必要な抗精神病薬の経口投与量をランダム血漿中薬物濃度から推定し、調整を行った。精神病理作用および副作用は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度(SAS)、異常不随意運動評価尺度(AIMS)を用い、ベースラインと1年後で評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・68例(各群34例)が登録された。 ・持続的D2遮断群26例、非持続的D2遮断群31例が試験を完了し、両群間で有意な差はなかった。 ・評価スケールのいずれにおいても、両群間で有意な差は認められなかった。 ・投与量変更の度合いは、両群において小さかった。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症の維持治療におけるドパミンD2受容体遮断は、65%より低くできることが示された。これらの予備的結果は、より長期の追跡を行う大規模な二重盲検比較試験で検討する必要がある」とまとめている。 関連医療ニュース 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か 統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tsuboi T, et al. Schizophr Res. 2015;164:149-154. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 医療一般 日本発エビデンス(2013/09/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査を用いた検診は胃がん予防に有効か(解説:上村直実氏)(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)