維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/10/10 統合失調症の維持療法において、必要なドパミンD2受容体占有率は明らかになっていない。慶應義塾大学の猪飼 紗恵子氏らは、ベースライン時、リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)を投与された統合失調症患者の臨床転帰を3年間追跡し、ドパミンD2受容体占有率を調査し、血漿中薬物濃度を推定した。Psychopharmacology誌オンライン版2016年9月8日号の報告。 オリジナル横断的研究に参加した統合失調症外来患者52例の3年間の臨床転帰を調査するため、2015年4~9月の間にカルテをレビューした。対象患者は、3年間クロルプロマジン換算200mg/日超の抗精神病薬を併用されていないRLAIで治療継続した統合失調症外来患者。簡易精神症状評価尺度(BPRS)を含むフォローアップ評価を行い、リスペリドンと9-ヒドロキシリスペリドンの血漿中濃度を使用したトラフ時の推定ドパミンD2受容体占有率を求めた。データは、3年前に採取し、同一患者で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・52例中、14例(27%)が、RLAIでの外来治療を継続していた。 ・血漿サンプル提供に応じた10例(19%)において、リスペリドンと9-ヒドロキシリスペリドンの血漿中濃度平均値±SDは、22.9±15.6から31.8±17.5ng/mLへと有意に上昇した(p=0.02)。 ・推定ドパミンD2受容体占有率は、63.0±10.9%から69.0±11.0%へと上昇した(p=0.12)。 ・これらの患者において、BPRS合計スコアの有意な悪化が観察された(平均±SD:34.3±12.7から46.5±16.9、p=0.003)。 著者らは「血漿中濃度の増加は、臨床転帰の有意な悪化と関連することが示唆された。統合失調症の維持療法におけるD2受容体遮断の最適なレベルについて、さらなる調査が必要である」としている。 関連医療ニュース 統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか LAIは死亡率を上昇させるのか:藤田保健衛生大 LAIを適切に使用するための5つのポイント (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ikai S, et al. Psychopharmacology (Berl). 2016 Sep 8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 医療一般 日本発エビデンス(2013/09/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 急性脳梗塞、再灌流後のtenecteplase動注は有益か/JAMA(2025/01/23) 妊娠糖尿病、メトホルミン±SU薬vs.インスリン/JAMA(2025/01/23) 透析中の骨粗鬆症患者へのデノスマブは心血管イベントリスクを上げる可能性/京都大(2025/01/23) MASLD患者の転帰、発症リスクに性差(2025/01/23) 25種類の治療抵抗性うつ病治療の有効性比較〜ネットワークメタ解析(2025/01/23) タバコを1本吸うごとに寿命が22分縮む?(2025/01/23) 米アルツハイマー病協会が新たな診療ガイドラインを作成(2025/01/23) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)