米国・ノースイースタン大学のNada S. Al-Qadheeb氏らは、ICU入院中の患者にみられるせん妄の持続期間を短縮させる介入が45日以内の短期死亡の減少に寄与するのか否かを明らかにするため、2001~2012年に実施された無作為化試験のレビューを行った。その結果、介入によりせん妄の持続期間は短縮するものの、せん妄期間短縮と短期死亡率減少は関連しないことを報告した。Critical Care Medicine誌オンライン版2014年2月19日号の掲載報告。
レビューは、2001~2012年までのCINHAHL、EMBASE、MEDLINEおよびCochraneのデータベースを検索して行った。検索対象とした文献は、登録症例が重篤な疾患の成人患者で、少なくとも毎日せん妄の評価が行われており、せん妄の期間や短期死亡(45日以内)について、せん妄の軽減を目的とした薬物的介入または非薬物的介入と標準的ケア(またはコントロール)の比較結果が報告されているものとした。試験の特徴と結果を要約したものを正副2通作成し、コクランのバイアスリスクツールを用いて試験の質を評価した。また、ランダム効果モデルによりメタ解析とメタ回帰分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・17試験2,849例が解析に組み込まれた。薬物的介入が13試験(デキスメデトミジン6件、抗精神病薬4件、リバスチグミン2件、クロニジン1件)、多様な介入が2試験(自発的覚醒2件)、非薬物的介入が2試験(早期運動療法1件、灌流増加1件)で評価された。
・平均せん妄期間は介入群で短く(差:-0.64、95%信頼区間[CI]:-1.15~-0.13、p=0.01)、3日以上の短縮が3試験、0~1日など3日以内の短縮が6試験、0日の短縮が7試験、0日以内の短縮が1試験でみられた。
・短期死亡の状況が報告された13試験において、介入による短期死亡の減少は認められなかった(リスク比:0.90、95%CI:0.76~1.06、p=0.19)。
・死亡率が報告された13試験において、せん妄期間と短期死亡の減少は関連しないことがメタ回帰分析で示された(p=0.11)。
・最近のエビデンスのレビューにより、ICUにおいてせん妄の期間を短縮させる介入が短期死亡率を減少させることを支持する結果は得られなかった。この関連を明らかにするためには大規模比較試験が必要である。
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(ケアネット)