精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスク~JPHC研究

 果物や野菜には、ビタミンC、α-カロテン、β-カロテンなどの抗酸化ビタミンが豊富に含まれている。果物や野菜の摂取が認知症リスクに及ぼす影響を評価したプロスペクティブ観察研究はほとんどなく、結果には一貫性が認められていない。筑波大学の岸田 里恵氏らは、日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスクとの関連を調査した。The Journal of Nutrition誌オンライン版2024年4月8日号の報告。  2000~03年(ベースライン時)に50~79歳の4万2,643例を対象としたJPHCプロスペクティブ研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)においてフォローアップ調査を実施した。食事による果物および野菜の摂取量、関連する抗酸化ビタミン(α-カロテン、β-カロテン、ビタミンC)の摂取量は、食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて収集した。認知障害の診断は、2006~16年の介護保険制度における認知症に係る日常生活障害の状況に基づいて行った。認知障害に関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、潜在的な交絡因子で調整した後、エリア層別Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。摂取量の最低四分位と比較した最高四分位の多変量HRを算出した。

双極性障害や統合失調症における向精神薬治療関連の重篤な薬剤性有害事象

 気分安定薬や向精神薬は、重篤な薬剤性有害事象(ADE)を引き起こす可能性がある。しかし、その発生率は明らかではない。スウェーデン・ウメオ大学のPetra Truedson氏らは、双極性障害または統合失調感情障害の患者における重篤なADEの発生率、リチウムの影響、原因を明らかにする目的で本研究を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年4月3日号の報告。  本研究はLiSIE(Lithium-Study into Effects and Side Effects)レトロスペクティブコホート研究の一部として行われた。2001~17年、スウェーデン・ノールボッテン地方で双極性障害または統合失調感情障害と診断された患者を対象に、重大な結果をもたらした、麻酔後ケアユニットまたは集中治療を要した、向精神薬による重篤なADEをスクリーニングした。重篤なADEの発生率は、1,000人年当たりで算出した。

統合失調症患者における入院中の抗精神病薬切り替えと再入院リスク

 米国・コロンビア大学のYihe Nina Gao氏らは、統合失調症入院患者における抗精神病薬の切り替えパターンを調査し、抗精神病薬の切り替えと再入院リスクとの関連を評価した。Schizophrenia Research誌2024年5月号の報告。  対象は、2017~18年にニューヨーク州メディケイド請求より抽出した入院前後の44日間(1ヵ月+猶予期間14日間)で抗精神病薬を処方された統合失調症または統合失調感情障害の入院患者3,295例。初回入院前後に抗精神病薬の継続または変更を行った患者を特定した。患者の特徴に合わせ調整した後、抗精神病薬継続群と切り替え群との比較を行った。

レビー小体型認知症における抗コリン負荷と長期認知機能低下との関連

 トルコ・University of Health SciencesのCemile Ozsurekci氏らは、レビー小体型認知症(DLB)患者における1年間のフォローアップ期間中の抗コリン負荷(ACB)と認知機能変化との関連を調査するため、コホート研究を実施した。Clinical Neuropharmacology誌2024年3・4月号の報告。  対象には、DLBと診断され、tertiary geriatric outpatient clinicに入院した患者を含めた。認知機能、機能的パフォーマンス、栄養状態の評価は、ベースライン時、フォローアップ期間中の6ヵ月目、12ヵ月目に評価した。ACBを評価し、ACB≧1とACB=0に層別化した。

統合失調症における服薬アドヒアランスと自傷暴力行為との関係~12年間コホート研究

 服薬アドヒアランスは、十分な治療効果を得るために重要である。しかし、服薬アドヒアランス不良と自傷行為との関連性については、あまり知られていない。中国・四川大学のChuanlong Zuo氏らは、外来統合失調症患者において服薬アドヒアランス不良が自傷暴力行為に及ぼす影響、およびこの関連性が用量依存的な関係を示すかを評価するため、本研究を実施した。BMC Medicine誌2024年3月25日号の報告。  中国西部の地域在住統合失調症患者29万2,667例を対象としたコホート研究を実施した。服薬アドヒアランスの指標として定期服薬の割合(PRM)を用いた。PRMは、フォローアップ期間中における抗精神病薬の定期的な服薬回数を投与期間で割り、算出した。服薬アドヒアランス不良と自傷暴力行為との関係の評価では、服薬アドヒランスは閾値0.8PRMの2値変数として指定し、用量依存的な関係の評価では、服薬アドヒアランスは5つのカテゴリと連続変数として指定した。交絡因子の制御および生存分析には、逆確率重み付けおよび混合効果Cox比例ハザードモデルを用いた。

日本人の不眠症状と関連する要因~山形コホート研究

 不眠症は広くまん延しており、生活習慣病の発症や早期死亡のリスク因子となっている。不眠症を改善するためには、不眠症に影響を及ぼす因子を特定する必要がある。山形県立米沢栄養大学の鈴木 美穂氏らは、日本人の一般集団における不眠症の症状と精神的、身体的、環境的因子との関連を調査した。Heliyon誌2024年3月15日号の報告。  対象は、2021年12月~2022年3月に睡眠関連項目を含む健康とライフスタイルに関するアンケートに回答した日本人一般集団7,873例。不眠症状の定義は、アテネ不眠尺度(AIS)スコア6以上とした。不眠症状と独立して関連する因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。

抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の治療~メタ解析

 高プロラクチン血症は、精神疾患患者における一般的な抗精神病薬誘発性の有害事象の1つであり、最適な治療法に関する臨床研究の質には、ばらつきがある。中国・首都医科大学のQitong Jiang氏らは、現在の臨床エビデンスを適切にサマライズするため、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症に関する研究のシステマティックレビューおよびメタ解析の包括的レビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年3月5日号の報告。  対象基準を満たすレビューおよびメタ解析をPubMed、Cochrane Library、PsycINFO、Scopus、EMBASEより検索した。関連データを抽出し、含まれるすべてのメタ解析を包括的にレビューした。メタ解析の品質は、PRISMAスコアおよびAMSTAR 2品質評価を用いて評価された。最後に、最適な治療法に関する臨床エビデンスを要約し、ディスカッションを実施した。

コロナ後遺症での運動制限は不要

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症のある患者に対する運動は、制限ではなくむしろ励行すべきであることを示唆するデータが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のAndrea Tryfonos氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に4月4日掲載された。  COVID-19急性期以降にも遷延する後遺症(post-COVID condition;PCC)のある状態での運動は、倦怠感の悪化や筋肉痛などを来しやすいことが知られている。そのため、「世界保健機関(WHO)などはPCC患者への運動を積極的には推奨していない」と、論文の筆頭著者であるTryfonos氏は解説。しかし、運動を控えることで筋肉量や筋力が低下して、状態がより悪化してしまうことも考えられる。そこで同氏らは、PCC患者では運動が本当に悪影響を及ぼすのかを確認する研究を行った。

アルツハイマー病に対するレカネマブ10mg/kg隔週投与の有効性と安全性~メタ解析

 アルツハイマー病は、60歳以上で多くみられ、認知症の中で最も多く、記憶力や認知機能を著しく損なう疾患である。世界におけるアルツハイマー病の患者数は2050年までに3倍になると予想されており、効果的な介入を開発することは急務とされる。アミロイドβを標的としたモノクローナル抗体であるレカネマブは、アルツハイマー病の進行抑制に期待される薬剤の1つである。ポジティブな臨床試験での結果は、患者に希望を与えており、疾患の理解と介入の可能性を拡大させるために進行中の研究を加速させる。エジプト・アレクサンドリア大学のKarim Abdelazim氏らは、知見のアップデートのために、レカネマブ10mg/kgにおける有効性および安全性に焦点を当て、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurological Sciences誌オンライン版2024年4月3日号の報告。

若い頃の不安定な勤務形態が中年期の健康悪化に関係か

 不安定な勤務形態で働いていた若い頃の経験は、中年期の健康に影響を及ぼす可能性のあることが、米ニューヨーク大学教授のWen-Jui Han氏の研究で示された。若い頃に午前9時から午後5時までの標準的な勤務時間ではない、変動的な勤務時間で働いていた人では、50歳の時点で睡眠の質の低下や抑うつ症状が現れている人の多いことが明らかになったという。この研究の詳細は、「PLOS ONE」に4月3日掲載された。Han氏は、「人並みの生活を維持するための資源をもたらすはずの労働が、健康的な生活に脆弱性をもたらしている」と話す。  Han氏は今回の研究で、調査参加者が22歳のときから30年以上にわたって健康状態を追跡調査したNLSY79(National Longitudinal Survey of Youth-1979)のデータを用いて、7,336人のデータを分析した。その結果、22歳から49歳にかけての勤務形態として、1)ほとんど働いていない(10%)、2)20代は標準的な勤務時間だったが、30代に入ると不安定な雇用形態に規定された変動的な勤務時間(夕方勤務や夜間勤務のような標準的ではない勤務時間やシフト勤務のような不規則な勤務時間など、勤務時間の定まらない不安定な勤務形態)での労働が主となった(17%)、3)20代は標準的な勤務時間だったが、30代に入ると不規則な勤務時間での労働が主となった(12%)、4)ほとんどは標準的な勤務時間だったが、たまに変動的な勤務時間での労働があった(35%)、5)常に標準的な勤務時間で働いていた(26%)の5パターンに分類されることが明らかになった。