診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。
43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。
ひつじ先生
43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。
72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。
ヤギ先生
72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。
第28回 不動産ごと引き継いで欲しい!で難易度アップ
漫画・イラスト:かたぎりもとこ
地方の診療所では自宅と診療所が同じ建物にある場合が多く、売り手から「医業承継時に不動産ごと引き継いで欲しい」という希望が寄せられることが多くなります。実際、弊社にお問い合わせいただく案件の3割程度がそうしたケースです。
一方、買い手で「最初から不動産を所有して診療所運営を行いたい」という希望者は全体の2割程度です。
つまり、「不動産ごと引き継いで欲しい」という条件を付けることで買い手候補が全体の2割に絞られ、承継の難易度が上がってしまうのです。
なぜ買い手の8割が「不動産を所有しない(=テナント形式)で開業したい」と考えるのでしょうか?
診療所の開業には、新規開業と承継開業の2種類があります。このうち承継開業を選択する主な理由(メリット)は下記の2点です。
1)初期投資額を抑えられる
2)初期段階から黒字経営が見込める(売り手の患者を引き継げるため)
「不動産ごと引き継ぐ」という選択によって、2つのメリットのうち「1)初期投資額を抑えられる」が失われてしまうのです。
新規開業をテナント形式で行う場合、初期投資額は高くても1億円程度です。一方、承継開業をテナントで行う場合、初期投資額は4,000万円程度となります。それが「不動産付きの承継開業」となると、初期投資額は新規開業と同レベルの1億円超まで跳ね上がってしまうのです。
これが都心の不動産であれば、不動産価格の値上がりを期待して、1億円超でもリスクを取って開業しよう、という買い手が現れるかもしれません。しかし、現実には、このような不動産付きの承継案件の大半は地方にあるのです。買い手候補がそもそも少ない地方において、承継開業のメリットを見いだしにくい不動産付きの承継案件は、なかなか成立しません。
弊社では、このようなケースでは「不動産は売却せず、賃貸契約にする」といった方法も提案しています。さらに難易度が高いエリアの場合は診療所の承継を諦め、一般居住用として不動産を売却する、という提案をすることもあります。
医業承継とは?
医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。
買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。
売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。
医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。
医業承継の基本の流れと要する期間
ケアネット医業承継チーム
ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。
ケアネットの医業承継事業の特長
ケアネットの会員医師23万人(2024年5月現在)の中から最適な候補者を紹介します。
これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。
医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。
事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。
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