外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

乳がん術後放射線療法、最適な分割照射法は?/BMJ

 乳がん術後放射線療法において、中等度寡分割照射(MHF)は通常分割照射(CF)と比較して腫瘍学的な治療アウトカムが同等でありながら安全性、美容およびQOLを改善し、超寡分割照射(UHF)はMHFやCFと比較した無作為化比較試験は少ないものの、短期間の追跡ではその安全性と腫瘍学的有効性は同程度であった。シンガポール国立大学のShing Fung Lee氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「治療期間の短縮、患者の利便性の向上ならびに費用対効果などを考慮すると、MHFおよびUHFは適切な臨床状況ではCFよりも好ましい選択肢とみなされなければならない。これらの知見を確かなものにするためにはさらなる研究が必要である」とまとめている。BMJ誌2024年9月11日号掲載の報告。

HR+/HER2-転移乳がんへのSG、アジア人での第III相試験(EVER-132-002)

 転移/再発のHR+/HER2-乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン(SG)の有用性を検討したTROPiCS-02試験において、SGが化学療法に比べ無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善したことが報告されているが、本試験にはアジア人患者が3%しか登録されていない。今回、アジア人患者を対象とした無作為化第III相試験(EVER-132-002)で、SGが化学療法と比べPFSおよびOSの有意かつ臨床的意義のある改善を示したことを、中国・Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical CollegeのBinghe Xu氏らが報告した。Nature Medicine誌オンライン版2024年10月1日号に掲載。

出産数・初産年齢とマンモグラフィ濃度の関連~22ヵ国1万1千人のデータ

 年齢やBMIはマンモグラフィ濃度(MD)に強く影響すると同時に乳がん発症リスクとも関連することが確立されているが、出産数、初産年齢、授乳歴とMDとの関連は明らかになっていない。今回、アイルランド・RCSI University of Medicine and Health SciencesのJessica O’Driscoll氏らが、International Consortium of Mammographic Density(ICMD)で検討した結果、出産数とMDは逆相関、初産年齢とMDは正相関し、乳がんリスクとの関連性と一致することが示された。Breast Cancer Research誌2024年9月30日号に掲載。

切除可能胃・食道胃接合部がん、術前化学放射線療法の追加は有効か/NEJM

 切除可能な胃または食道胃接合部の腺がんの治療において、周術期化学療法単独と比較して、周術期化学療法に術前化学放射線療法を追加しても全生存期間および無増悪生存期間は改善せず、治療関連の毒性作用の発現は同程度であることが、オーストラリア・メルボルン大学のTrevor Leong氏らが実施したTOPGEAR試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2024年9月14日号で報告された。  TOPGEAR試験は、10ヵ国(オーストララシア、カナダ、欧州)の70施設で実施した無作為化第II/III相試験であり、2009年9月~2021年5月に参加者を登録した(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]などの助成を受けた)。第II相の結果はすでに公表されており、今回は第III相の最終結果が報告された。

pMMR/MSS大腸がん、免疫検査陽性例はペムブロリズマブ上乗せが奏効(POCHI)/ESMO2024

 pMMR(ミスマッチ修復機能正常)およびMSS(マイクロサテライト安定性)の転移大腸がん(mCRC)は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果が低いとされ、現在の1次治療は化学療法と分子標的薬となっている。一方、pMMR/MSS 大腸がんの約15%は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)高値であり、ICIの感受性がある可能性がある。さらにオキサリプラチンなどの化学療法によって誘導される免疫原性細胞死や、ベバシズマブなどの血管新生阻害薬による免疫調整によってICIの有効性が高まる可能性もある。  こうした背景から、免疫検査で陽性だった切除不能pMMR/MSS mCRC患者を対象に、1次治療としてのCAPOX+ベバシズマブにペムブロリズマブを上乗せするレジメンの有効性を評価するPOCHI試験が計画された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)でフランス・ポワティエ大学病院のDavid Tougeron氏が本試験の暫定の解析結果を発表した。

やりがい?ワークライフバランス?若手医師が専攻領域を選んだ理由・変更した理由

 医師の総数は増加をしている中、外科などの一部診療科の増加が乏しいことに対して、どのような対策が考えられるか。9月20日に開催された厚生労働省の「第6回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」では、これらの課題を考えるうえでの参考資料として、厚生労働科学特別研究「日本専門医機構における医師専門研修シーリングによる医師偏在対策の効果検証」から、「現在の基本領域を選択した理由」や「希望していた基本領域を選択しなかった理由」について聞いた専攻医へのアンケート結果が示された。本稿では、その内容の一部を紹介する。

HR陽性早期乳がん、内分泌療法中断中の出産・授乳の安全性(POSITIVE)/ESMO2024

 妊娠・出産を希望するホルモン受容体陽性早期乳がん患者における、これまでで最大規模の前向きコホート研究で、内分泌療法を中断して出産した女性の約3分の2が母乳育児をしており、短期的には母乳育児の乳がん無発症期間(BCFI)への影響は認められないことが明らかになった。イタリア・European Institute of OncologyのFedro A. Peccatori氏が、POSITIVE試験の副次評価項目についての結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。  POSITIVE試験は、乳がんStageI~IIIで術後補助内分泌療法期間が18~30ヵ月の、妊娠を希望する42歳以下の女性を対象として行われた。2014年12月~2019年12月に1ヵ月以内に内分泌療法を中止した女性が組み入れられ、3ヵ月間のウォッシュアウト期間、妊娠・出産(±母乳育児)のための最大2年までの休薬期間を経て内分泌療法を再開した。

フルキンチニブ、切除不能大腸がんに承認/武田

 武田薬品は2024年9月24日、VEGFR1/2/3選択性の経口チロシンキナーゼ阻害薬フルキンチニブ(商品名:フリュザクラ)について、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は主に、米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施された国際共同第II相FRESCO-2試験の結果に基づいている。  同試験では、転移を有する既治療の大腸がん患者を対象としてフルキンチニブ+ベストサポーティブケア(BSC)群とプラセボ+BSC群を比較検討した。結果、有効性の主要評価項目および重要な副次評価項目はすべて達成し、前治療の種類にかかわらず、フルキンチニブ投与患者で一貫したベネフィットが示された。

乳がん術前療法でのDato-DXdからの逐次治療、HR・免疫反応・DRD全陰性例で対照群より優れる(I-SPY2.2)/ESMO2024

 StageII/IIIの高リスクHER2-乳がんの術前療法において、datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)単独治療で始める3ブロックの逐次治療戦略により、38.1%で病理学的完全奏効(pCR)を達成し、その約半数がDato-DXd単独治療後に達成したことが第II相I-SPY2.2試験で示された。また、ホルモン受容体(HR)・免疫反応・DNA修復欠損(DRD)がすべて陰性のサブタイプでpCR率が対照群を上回ったという。米国・University of Alabama at BirminghamのKatia Khoury氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。本結果はNature Medicine誌オンライン版2024年9月14日号に同時掲載された。