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HARP-2試験:期待されていたスタチン、空振り(解説:倉原 優 氏)-262

スタチンがARDSの発症リスクを下げるのではないかと唱える研究者も少なからずいる。そのため、現在も世界各国でスタチンの研究が行われている。 スタチンが持つ抗炎症作用が注目され、数年前からあらゆる疾患においてトピックになった1)。 たとえば、私は呼吸器内科医でありCOPDを多数診療するが、COPD急性増悪の予防にも有効ではないかと考える医師も多かった。私が記憶する限りは、COPDの世界では5~6年前からスタチンが取り上げられる機会が増えてきた2)。分野を問わず、ビタミンDとスタチンの論文をやたら目にするようになったのだ。しかしながら、スタチンにはCOPD急性増悪を予防するパワーがないことがその後判明した3)。 そして、同時期に報告されたARDSに対するロスバスタチンのSAILS試験。この試験の結果も同様で、ロスバスタチンは敗血症に関連したARDSの予後を改善しなかった4)。 これらのNew England Journal of Medicine の臨床試験は、スタチンの抗炎症作用がCOPDやARDSに効く可能性があるとした複数の試験の結果をしっかりと検証することが目的だった。そのため、New England Journal of Medicineは論説の中で、世間で取り沙汰されているトピックが本当に正しいかどうか確認するために必要な試験だったと述べている5)。 今回のHARP-2試験も大方の予想通りの結果で、シンバスタチンは臨床アウトカムの改善をもたらさないことが明らかになった。ゆえに、現時点ではARDSに対するスタチンのルーチンの投与には臨床的な利益はないと考えられる。これでARDSに対するスタチンの過熱もいったんは収束するだろうか。

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中国、日本は他国より疼痛有病率・治療率が低い

 米国・Kantar Healthが実施したNational Health and Wellness Survey(NHWS)によると、新興国と先進国のいずれにおいても、疼痛はQOLや機能、活動、労働生産性などすべての健康状態の評価項目に影響していることが明らかになった。また、新興国の中国、先進国の日本はともに、他の国よりも疼痛有病率と治療率が低いことも報告された。同社のAmir Goren氏は報告で、「今回の結果は世界における疼痛の疾病負荷を幅広く理解する助けになる」とまとめている。Pain Medicine誌オンライン版2014年9月12日号の掲載報告。 2011~2012年に実施されたNHWSのデータを用い、疼痛(神経障害性疼痛、線維筋痛、腰痛、手術痛、関節炎疼痛)の有無別に社会人口統計学的特性、QOL、労働生産性、活動機能障害および医療財源の使用について解析し、新興国(ブラジル、中国、ロシア)と先進国(EU、日本、米国)とで比較した。 主な結果は以下のとおり。・疼痛有無の回答は、先進国では、疼痛なし12万8,821例、疼痛あり2万9,848例、新興国では、疼痛なし3万7,244例、疼痛あり4,789例であった。・疼痛有病率および治療率は、中国がそれぞれ6.2%および28.3%、日本が4.4%および26.3%で、他の国々(≧14.3%および35.8%)と比べて低かった。・疼痛は先進国および新興国のいずれにおいても、QOLの重大な障害、生産性および医療財源使用と関連していた。・先進国では生産性と身体的な健康状態、新興国では精神的健康状態と医療財源使用に対する影響がより大きかった。

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ホモ型家族性高Chol血症、PCSK9阻害薬で改善/Lancet

 新規開発中のコレステロール低下薬エボロクマブ(AMG 145)について、ホモ接合型家族性高コレステロール血症でスタチン療法などの継続的な脂質低下療法を受けている患者に投与することで、LDLコレステロール(LDL-C)値が約3割低下することが示された。南アフリカ共和国・Witwatersrand大学のFrederick J Raal氏らが第III相無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、報告した。エボロクマブは、LDL-Cの能力を低下する前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)を阻害する。Lancet誌オンライン版2014年10月2日号掲載の報告。エボロクマブを4週間ごと12週投与 試験は、北米、欧州、中東、南アフリカの10ヵ国17ヵ所の医療機関を通じて行われ、12歳以上のホモ接合型家族性高コレステロール血症の患者を対象とした。被験者は、スタチン療法(全患者が受けていた)などの脂質低下療法を4週間以上受けており、LDL吸着療法を受けていた患者は登録時に除外された。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、エボロクマブ 420mgまたはプラセボを、それぞれ4週間ごと12週にわたり皮下注で投与した。無作為化は、LDL-C値11mmol/L未満または以上で分類して行った。 主要エンドポイントは、12週時点におけるLDL-C値のベースラインからの変化だった。12週時点のLDL-C、エボロクマブ群でプラセボ群より30.9%減少 試験適格患者は50例、そのうち49例が試験を終了した(そのうちエボロクマブ群は33例)。 12週間時点のエボロクマブ群のLDL-C値は、プラセボ群に比べ30.9%減少した(95%信頼区間:-43.9~-18.0%、p<0.0001)。 治療下で発生した有害事象は、プラセボ群10例(63%)、エボロクマブ群12例(36%)だった。また、重大有害事象の発生や抗エボロクマブ抗体の発現は認められなかった。

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ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM

 ICU入室の重症患者への早期栄養療法について、経静脈ルート(静脈栄養法)と経腸ルート(経腸栄養法)を比較した結果、30日全死亡率などのアウトカムは同等であることが示された。低血糖症と嘔吐の発生については、静脈栄養療法群で有意に低率だった。英国・Intensive Care National Audit and Research Centre(ICNARC)のSheila E. Harvey氏らが、ICU患者2,400例について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。同早期栄養療法については、いずれのルートが最も効果的かについて明らかとなっていなかった。NEJM誌オンライン版2014年10月1日号掲載の報告より。入院36時間以内~5日まで栄養療法を実施 検討は、英国33ヵ所のICUに緊急入室した成人重症患者2,400例を登録して行われた。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には早期静脈栄養を、もう一方には早期経腸栄養を、それぞれ入院36時間以内から行い最長5日まで継続した。 主要アウトカムは、30日後の全死亡率だった。30日全死亡率は両群とも33~34% 被験者のうちデータが得られた2,388例(99.5%、静脈栄養群1,191例、経腸栄養群1,197例)について分析を行った。 30日全死亡率は、静脈栄養群が33.1%(393/1,188例)、経腸栄養群が34.2%(409/1,195例)であり、両群で同等だった(静脈栄養群の相対リスク:0.97、95%信頼区間:0.86~1.08、p=0.57)。 低血糖症の発生率については、静脈栄養群が3.7%(44例)に対し経腸栄養群が6.2%(74例)、嘔吐はそれぞれ8.4%(100例)と16.2%(194例)と、いずれも静脈栄養群で有意に低率だった(それぞれp=0.006、p<0.001)。 しかしながら、平均治療感染性合併症件数(0.22vs. 0.21、p=0.72)や90日死亡率(37.3%[442/1,184例]vs. 39.1%[464/1,188例]、p=0.40)、およびその他14項目の副次アウトカム、有害事象発生率については、両群で有意差は認められなかった。 なお、両群のカロリー摂取量は類似しており、いずれもほとんどの患者で摂取目標値には達しなかった。

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ビフィズス菌で不安症状が改善

 最近の研究では、ストレス関連精神疾患に常在菌の摂取が好影響を与える可能性があることが示唆されている。しかし、特定の細菌が不安や抑うつ症状にどのような影響を及ぼすかは不明であった。アイルランド・コーク大学のH M Savignac氏らは、2種類のビフィズス菌の不安・抑うつ症状に対する影響や抗うつ薬との比較を行った。Neurogastroenterology and motility誌オンライン版2014年9月24日号の報告。 先天的不安BALB/cマウスに、ビフィドバクテリウム(B.)ロンガム1714またはB.ブレーベ1205、抗うつ薬エスシタロプラム、溶媒を用いた治療を毎日6週間実施した。行動評価には、ストレス誘発性高体温試験、ガラス玉覆い隠し行動試験、高架式十字迷路試験、オープンフィールド試験、尾懸垂試験、強制水泳試験を用いた。また、急性ストレスに対する生理的反応も評価した。 主な結果は以下のとおり。・両ビフィズス菌治療およびエスシタロプラム治療は、ガラス玉覆い隠し行動試験において不安の軽減が認められた。また一方、B.ロンガム1714治療は、ストレス誘発性高体温を低下させた。・B.ブレーベ1205治療は、高架式十字迷路試験において不安の低下をもたらした。一方、B.ロンガム1714治療は、尾懸垂試験において抗うつ様行動を引き起こした。・しかし、グループ間のコルチコステロンレベルに差はなかった。 以上より、2種類のビフィズス菌が不安マウスの不安を減少させることが示唆された。これらの結果は、各細菌株が内因性の効果を有すること、特定の障害に特異的に有益であることを示している。関連医療ニュース 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学 効果不十分なうつ病患者、次の一手のタイミングは  担当者へのご意見箱はこちら

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大腸がんの予後、血中循環腫瘍細胞と関連

 大腸がん患者において、血中循環腫瘍細胞(CTC)数で全生存期間(OS)を予測できるかどうか、関心が持たれている。イタリアのラ・サピエンツァ大学のAdriana Romiti氏らは、限局型および切除不能な大腸がん患者において、予後予測におけるCTC数の役割を検討した。その結果、大腸がん患者におけるCTCの存在は予後不良に関連することが認められた。Journal of gastrointestinal and liver diseases誌2014年9月号の掲載報告。 著者らは、組織学的に大腸がんと診断された患者を登録した。CTC数は、ベースライン時と化学療法開始1ヵ月後に、定量的免疫蛍光法を用いて測定し、末梢血7.5mLあたり2単位以上を陽性とした。 主な結果は以下のとおり。・合計75例の大腸がん患者が登録され、stage I~IIIが54例、stage IVが21例であった。・21例(28%)がベースライン時のCTCが陽性であり、陰性であった患者に比べ有意に予後不良と関連していた(OS:36.2ヵ月vs 61.6ヵ月、p=0.002)。・患者の22.4%は化学療法後もCTCが陽性のままであり、OSの独立した予後因子であった(p=0.03、ハザード比:3.55、95%CI:1.1~11.5)。

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産後うつ病への抗うつ薬治療、その課題は

 産後うつ病に対する抗うつ薬治療は安全に行うことができるのか。英国・ロンドン大学のEmma Molyneaux氏らは、産後うつ病の抗うつ薬治療について、複数の抗うつ薬の有効性を評価し、それぞれの有効性についてその他のあらゆる治療、プラセボまたは標準治療と比較した、レビュー論文のアップデート(前回は2001年に実施)を行った。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年9月11日号の掲載報告。 レビューは2014年7月11日時点で、Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Group's Specialized Register(CCDANCTR)を検索し、分娩後6ヵ月以内にうつ病を呈し、抗うつ薬(単独または複数の組み合わせ)治療と他の治療、プラセボまたは標準治療を受けた女性が参加した無作為化試験(RCT)論文を適格とした。 2名のレビュワーがそれぞれ試験報告からデータを入手。また、不足情報については、可能な限り研究担当者から入手し、intention-to-treat解析が可能となるデータの探索を行った。比較試験であることが特定されたデータをプールし、ランダム効果メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・レビューに組み込んだのは6試験、被験者596例であった。・全試験が、無作為化対照並行群間比較試験で、2件が英国で、3件が米国、1件がイスラエルで行われたものであった。・メタ解析は、抗うつ薬とプラセボを比較した試験から反応率と寛解率のプールデータについて行った。その他の比較は、識別できた試験数が少なくメタ解析はできなかった。・4試験(計233例)が、SSRIとプラセボの比較試験であった(セルトラリン使用が2件、パロキセチン使用1件、フルオキセチン使用1件)。・このうち2試験では、試験薬群、プラセボ群ともに精神療法も受けていた。・3試験(146例)のデータに基づくプールリスク比(RR)は、SSRIはプラセボよりも反応率(RR:1.43、95%信頼区間[CI]:1.01~2.03)、寛解率(同:1.79、1.08~2.98)が高いことを示した。残る1試験は反応率および寛解率のデータが報告されていなかった。・1試験(254例)では、抗うつ薬治療と、標準治療(当初4週間)+その後に聞き取り訪問を行った介入との比較が行われていた。結果、抗うつ薬治療は、標準治療(当初4週間)よりも改善率が有意に高率であった。しかし、その後の聞き取り訪問とでは差は認められなかった。・さらに、セルトラリンと三環系抗うつ薬ノルトリプチリンを比較した1試験(109例)があったが、有効性に差は認められなかった。・副作用は、多くの被験者女性が経験していたが、全試験の治療群間の有害反応数にエビデンスとして意味がある差は認められなかった。また、有害事象について、母乳を与えられた新生児に関するデータは限定的で、長期追跡したものはなかった。・1件を除く全試験で、高率または不確かな漸減バイアスと選択的なアウトカム報告が認められた。また、1件のプラセボ対照試験では途中脱落が50%超であった。 本結果を踏まえ、著者らは「SSRI投与を受けた群の反応率、寛解率がプラセボよりも高率であるとの所見が得られた。しかし、レビュー対象の試験が少なく、重要なアウトカム、とくに子供への影響の可能性に関する情報がほとんどなく、限定的な結論しか得られなかった」とまとめ、さらなる大規模長期の無作為化試験の必要性を提言している。関連医療ニュース 日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 栄養補助食品は産後のうつ病予防に有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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新しい形のがん患者支援キックオフ

 新しい形のがん患者支援「maggie's tokyoプロジェクト」のキックオフミーティングが、先月(2014年9月)都内で開催された。ミーティングではmaggie's tokyo代表である秋山 正子氏と鈴木 美穂氏らが講演、プロジェクトの趣旨説明と設立・運営寄付への協力を呼びかけた。 マギーズセンターは、乳がん患者であった英国の造園家マギー・K・ジェンクス氏が、当時の担当看護師のローラ・リー氏(現CEO=最高経営責任者)とともに、がん患者、家族らのための空間と専門家のいる場所を造ろうと、入院していた病院の敷地内に小屋を借り、誰でも気軽に立ち寄れる空間を作ったのが始まり。1996年に、「マギーズ・キャンサー・ケアリング・センター」としてオープンした。 マギーズセンターは、がん患者や家族、医療者などが、いつでも無料で利用できる。カウンセリングや栄養、運動の指導などの専門的な支援が無料で受けられ、助成金や医療制度の活用など生活についても相談することができる。その活動は広がり、2014年現在、英国では15ヵ所のセンターが運営されている。さらに、2013年には英国外で初めてのセンターが香港に開設された。 秋山氏は看護師。家族のがん看護の経験から訪問看護に従事する。その中で、患者や家族の情報伝達不足を実感。より早い時期に患者や家族が相談でき、さまざまな情報が届けられる場が必要と考えていた。そんな折、マギーズセンターの存在を知る。「いつでも行ける相談の場」という施設のあり方に感銘を受けたという。その後、日本でもマギーズセンターを作りたいと、同センターの環境と新しい相談支援の形を取り入れた「暮らしの保健室」を東京都内に立ち上げた。 鈴木氏は自身も乳がんサバイバー。闘病を通し、一人ではないと思えることの心強さを知り、若くしてがんに罹患した人たちの出会いの場を作りたいとフリーペーパー「STAND UP」、団体「Cue」を立ち上げる。そのような中、マギーズセンターの存在を知る。日本でマギーズセンターを作れないかと考え、すぐに秋山氏にコンタクトしたという。そして、「暮らしの保健室」と「Cue」共同でmaggie's tokyoプロジェクトを立ち上げることとなった。 マギーズ東京はすでに設立候補地が決定し、NPO法人の設立準備中である。運営費はチャリティで賄う。寄付会員という継続的な寄付方式のほか、クレジットカードやクラウドファンディングなどを活用した随意寄付を受け付ける体制を整え、資金調達に挑戦している。maggie's tokyoプロジェクトHPmaggie's tokyoプロジェクトFaceBookmaggie's tokyo プロジェクトクラウドファンディング(READYFOR

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レスベラトロールがにきび治療のオプションに?

 過酸化ベンゾイルとの比較において、レスベラトロールの持続的な抗菌活性と細胞毒性の減少が認められたことが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のEmma J. M. Taylor氏らによる検討の結果、示された。著者は、「今回示された結果は、レスベラトロールが、にきび治療の新たな治療オプションまたは補助療法として可能性があることを示唆するものである」とまとめている。抗酸化物質のレスベラトロール(3,5,4’-trihydroxystilbene)には、抗菌特性を含む多様な生物学的効果が含まれていることが知られている。Dermatology and Therapy誌オンライン版2014年9月17日号の掲載報告。 にきびは毛包脂腺系の疾患で、アクネ桿菌(P. acnes)に対する炎症性宿主免疫反応を特徴とする。 研究グループは、レスベラトロールのにきび治療薬としての可能性を明らかにするため、レスベラトロールもしくは過酸化ベンゾイルで治療したアクネ桿菌について、コロニー形成ユニット(CFU)アッセイと透過型電子顕微鏡を用いた、抗菌効果の評価を行った。また、ヒト健康ボランティアから血液の提供を受け、MTSアッセイで単球とケラチノサイトの細胞毒性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・レスベラトロールは、アクネ桿菌に対して持続的な抗菌活性を示した。一方、にきびの抗菌治療に一般的に用いられる過酸化ベンゾイルの殺菌効果は短期的であった。・レスベラトロールと過酸化ベンゾイルの組み合わせは、初期の抗菌活性が高く、細菌の発育を持続的に抑制した。・レスベラトロールで治療されたアクネ桿菌の電子顕微鏡による観察で、細菌形態の変化(膜の消失、細胞外の線毛構造の崩壊)が確認された。・レスベラトロールの細胞毒性は、過酸化ベンゾイルより少なかった。

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LABA/ICS vs. LABAの長期有効性を観察/JAMA

 66歳以上慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象とした住民ベースの長期コホート試験の結果、とくに喘息を有しており長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の治療を受けていない患者で、長時間作用性β2刺激薬(LABA)+吸入ステロイド薬(ICS)組み合わせ投与はLABA単独投与と比べて、死亡またはCOPD入院の複合アウトカムの発生リスクが有意に低かったことが示された。カナダ・サニーブルックヘルスサイエンスセンターのAndrea S. Gershon氏らが報告した。JAMA誌2014年9月17日号掲載の報告より。66歳以上住民コホートを2.7年、2.5年追跡 LABA/ICS組み合わせ治療の長期ベネフィットを、LABA単独投与と比較した検討は、2003~2011年に、カナダのオンタリオ州で行われた。健康管理データでCOPD症例定義を満たしていた66歳以上の住民を対象とした。傾向スコア適合後、新規投与開始のLABA/ICS治療群8,712例を中央値2.7年、同じく新規LABA単独治療群3,160例を同2.5年、それぞれ追跡した。 主要評価項目は、死亡およびCOPD入院の複合アウトカムだった。LABA/ICS群で死亡・COPD入院リスクが低下 主要アウトカムは、LABA/ICS群5,594例、LABA単独群2,129例について観察された。結果、LABA/ICS群では、死亡3,174例(36.4%)、COPD入院2,420例(27.8%)、LABA単独群では死亡1179 例(37.3%)、COPD入院950例(30.1%)が観察された。 新規LABA/ICS群は新規LABA単独群と比べて、わずかだが死亡・COPD入院のリスクが減少した(5年時点の複合アウトカム差:-3.7%、95%信頼区間[CI]:-5.7~-1.7%、ハザード比[HR]:0.92、95%CI:0.88~0.96)。 両群差は、喘息疾患が併存している患者(同:-6.5%、-10.3~-2.7%、0.84、0.77~0.91)、LAMA治療を受けていない患者で大きかった(同:-8.4%、-11.9~-4.9%、0.79、0.73~0.86)。 著者は、「COPDは管理が可能な呼吸器疾患であるが、世界の主要な死因で3番目に多い。どの処方薬が、COPD患者の健康アウトカム改善に最も効果があるのかを知っておくことが、健康アウトカムを極限まで増すための基本となる」と述べるとともに、今回の所見について無作為化試験で確認すべきであるとまとめている。

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長引くせん妄、その関連因子は

 これまで、せん妄回復例については研究されてきたが、持続するせん妄に関連する因子については十分な研究は行われていなかった。スイス・チューリッヒ大学病院のSoenke Boettger氏らは、せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および治療法を比較し、せん妄の持続に関連する因子について検討を行った。その結果、「高齢」「認知症の既往」「脳がん」「がん終末期」「感染症」などの存在がせん妄の持続に関連していることを報告した。Palliative and Supportive Care誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 研究グループは、Memorial Delirium Assessment Scale(MDAS)を用いてせん妄の回復に関連する因子を、またKarnofsky Performance Status(KPS)を用いて機能改善に関連する因子を明らかにする検討を行った。被験者は、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)の精神科から登録、ベースライン時(T1)、2~3日目(T2)、4~7日目(T3)に、MDASおよびKPSの評価を実施。せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および医学的変数を比較した。 主な結果は以下のとおり。・111例中26例に持続的なせん妄がみられた。患者背景として「高齢」「男性」「認知症併存」の割合が高かった。・せん妄患者のうち、がんと診断された者では、「脳がん」および「終末期」が、せん妄の持続または反応遅延に関連していた。・「消化器がん」については、せん妄回復との関連がみられた。・せん妄の治療において、感染症を有する場合は反応が遅く、通常1週間かかった。・せん妄持続例はベースラインから1週間の重症度がより高かった。・ベースライン時のMDASスコアは、せん妄持続例は20.1、T2およびT3におけるせん妄回復例は17~18.8、治療1週後(T3)のスコアはそれぞれ15.2、4.7~7.4であった。・ 治療1週後、せん妄持続例は意識、認知、臓器、知覚、精神運動行動、睡眠-覚醒サイクルのドメインにおいてより重度の障害がみられ、さらに機能障害も重篤であった。・高齢、認知症の既往、脳がん、がん終末期、感染症は結果に有意差をもたらした。・せん妄の重症度は、せん妄の持続または反応遅延に関連しており、せん妄の経過の延長と難治性を示すとともに、治療1週後の重度の機能障害と関連していた。関連医療ニュース せん妄管理における各抗精神病薬の違いは がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬  担当者へのご意見箱はこちら

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家族性乳がんとPALB2遺伝子変異(解説:藤原 康弘 氏)-251

PALB2(Partner And Localizer of BRCA2)遺伝子はBRCAやPTENなどの次に高い乳がんリスク因子であることはすでに知られている(乳がんの遺伝子異常を俯瞰している最近の優れた総説はScience 2014年3月28日号を参照されるとよい)。 本論文では英連邦を中心とする世界14施設のデータを元に、PALB2の機能喪失型変異と乳がん(男性乳がんも含む)発症の生涯リスクが明らかにされた。 本論文で推定されているリスクは、一般集団の中でのPALB2遺伝子変異の頻度とPALB2遺伝子変異以外の理由による家族性リスク(遺伝、環境、生活習慣)の程度によって変わってくるため、日本人でのPALB2遺伝子変異の十分なデータがない現状では、結果をそのまま日本人集団へ適用できるとは限らない。その点に注意が必要である。 さらに、BRCA1、2遺伝子変異の診断に基づく医療と同様、日本の国民皆保険制度のもと、遺伝子変異に基づき乳がん発症の予防介入(抗エストロゲン剤の内服や、予防的乳房切除や卵巣・付属器切除)を積極的に実践するまでには、大規模コホートでのデータ集積、遺伝情報に基づく保険加入や就労を巡る差別禁止の法令整備、遺伝子検査の質確保など多くの障害をクリアする必要がある。

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慢性腰痛、背側枝神経根切断術は安全かつ有効

 椎間関節に由来する慢性腰痛に対する神経根切断術の有効性を、中国・人民解放軍総合病院第一付属病院のZhen-Zhou Li氏らが検討した。その結果、内視鏡下の背側枝神経根切断術は安全かつ有効であり、保存的治療よりも優れていると示唆されたことを報告した。Clinical Neurology and Neurosurgery誌オンライン版2014年8月18日号の掲載報告。 2011年4月~11月に、腰椎椎間関節に由来する慢性腰痛と診断された後、腰椎内側枝ブロック(MBB)で80%超の疼痛軽減が得られた58例を対象に検討を行った。 45例には内視鏡下で背側枝神経根切断を行い(手術群)、13例には保存的治療を行った(保存的治療群)。 術前および術後の、疼痛強度(視覚的アナログスケール[ VAS ]による)、疼痛改善率およびMacNabスコアを分析するとともに、解剖学的変化などを記録した。 主な内容は以下のとおり。・手術群では、術後の任意の時点における疼痛(腰および腰に起因する)のVASスコアがMBB前より有意に低かったが(p<0.05)、MBB後とは差がなかった。・保存的治療群では、同様に保存的治療後のVASスコアがMBB前より有意に低く(p<0.05)、MBB後より有意に高かった(p<0.05)。・手術群の術後の任意の時点における疼痛改善率は保存的治療群より有意に高かった(p<0.01)。・手術群における1年間の追跡調査において、MacNabスコアは、保存的治療群より高かった。・手術群では、内側枝に4ヵ所の解剖学的変化が観察された。

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統合失調症と強迫性障害の関連が明らかに

 統合失調症と強迫症/強迫性障害(OCD)が併存していることは少なくないが、これまで両障害の臨床的および病因学的な関連性はほとんど解明されていなかった。統合失調症と強迫性障害が共有する病因学的因子を調べることは、臨床医、研究者および患者に有用な情報の提供に結びつく可能性がある。デンマーク・オーフス大学のSandra M. Meier氏らは、統合失調症のリスク因子としての強迫性障害について、全国的な調査を行い、同国の強迫性障害の診断が統合失調症および統合失調症スペクトラム障害との関連性が高いことを報告した。著者は、「観察されたリスクの増大は、強迫性障害、統合失調症、統合失調症スペクトラム障害がおそらく共通の原因パスウェイ上に位置することを示すものである」と述べている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年9月3日号の掲載報告。強迫性障害の既往歴が統合失調症のリスク増大と関連 著者らは、強迫性障害患者は統合失調症および統合失調症スペクトラム障害の発症リスクが強いのかを評価し、また、強迫性障害の家族歴が統合失調症と統合失調症スペクトラム障害のリスク因子であるかを調べた。デンマーク全国レジスターからの個人データを追跡し、総計4,500万人年を対象とした前向きコホート研究を行った。全生存解析は、性別、年齢、暦年、両親の年齢、出生地で補正して行った。主要アウトカムは、強迫性障害の既往歴、統合失調症および統合失調症スペクトラム障害の最初の診断(病院、外来クリニック、緊急医療部門での精神科による)のリスクで、発生率比(IRR)と95%信頼区間(CI)を算出して相対リスクを評価した。 統合失調症のリスク因子としての強迫性障害についての調査の主な結果は以下のとおり。・検討は、1955年1月1日~2006年11月30日に生まれた総計300万人を対象に行われ、1995年1月1日~2012年12月31日まで追跡した。・同期間中に、統合失調症または統合失調症スペクトラム障害の発症は、3万556例であった。・強迫性障害の既往歴は、後年の統合失調症(IRR:6.90、95%CI:6.25~7.60)、統合失調症スペクトラム障害(同:5.77、5.33~6.22)の発症リスク増大と関連していた。・同様に、両親に強迫性障害の診断歴があることは、統合失調症(同:4.31、2.72~6.43)、統合失調症スペクトラム障害(同:3.10、2.17~4.27)のリスク増大と関連していた。・これらの結果は、精神疾患の家族歴や本人の病歴で補正後も変わらなかった。

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原因不明の脳梗塞患者に潜む心房細動(解説:高月 誠司 氏)-247

 脳梗塞症例のうち20~40%は、適切な診断評価を行っても原因が不明とされ、これをCryptogenic stroke(原因不明の脳梗塞)という。心房細動による心原性脳梗塞は再発の頻度が高く、しかも重篤な症状を残すことが多い。初回脳梗塞発作時に適切に心房細動と診断し適切な抗血栓療法を行えば、患者の予後を改善する可能性がある。しかし発作性心房細動症例では脳梗塞発症時に洞調律に戻っていると、その診断に苦慮することがある。 本研究は55歳以上で心房細動と診断されたことがない、6ヵ月以内に原因不明の脳梗塞、一過性脳虚血発作を起こした症例を対象に、24時間ホルター心電図検査を施行する群(コントロール群)と30日間のループ式イベントレコーダーを施行する群(インターベンション群)に無作為に割り付け、30秒以上持続する心房細動の有無を比較した(EMBRACE試験1))。このイベントレコーダーは着用型で胸部に乾燥型の電極付きのベルトを巻き付け、イベント発生時最長2.5分の心電図を記録するものである。結果的に90日以内に30秒以上の心房細動はインターベンション群で280人中45人(16.1%)、コントロール群で277人中9人(3.2%)で検出(p<0.001)。2.5分以上持続する心房細動に関してはインターベンション群で284人中28人(9.9%)、コントロール群で277人中7人(2.5%)で検出された(p<0.001)。経口抗凝固薬による治療はインターベンション群で280人中52人(18.6%)、コントロール群で279人中31人(11.1%)に行われ、インターベンション群で有意に多かった。 New England Journal誌の同号には同じように原因不明の脳梗塞症例を対象にした植込み式ループレコーダーとホルター心電図による半年間の心房細動検出率を比較した研究(Crystal AF試験)が掲載されている2)。結果はループレコーダー群で221人中19人(8.9%)、ホルター群で220人中3人(1.4%)と有意にループレコーダー群で高かった。数値的にはCrystal AF試験の植込み型ループレコーダーよりも、EMBRACE試験で使用された着用型レコーダーのほうが心房細動の検出率が高い。これはEMBRACE試験の対象患者が72.5±8.5歳で、Crystal AF試験の対象患者の61.6±11.4歳より高齢であるということに主として起因するが、着用型レコーダーの実用性も十分に示されたと考えてよいだろう。 この研究は短時間の心房細動と脳梗塞の発症との因果関係を明らかにしたわけではなく、また結果的に抗凝固薬の使用が患者の予後改善に結び付くのかという点も明らかではない。ただし3ヵ月間の長期的なモニタリングは、原因不明の脳梗塞患者の潜在的な心房細動の診断に有用であることは明確に示された。今後の原因不明の脳梗塞患者のマネジメントに一石を投じる研究である。

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糖尿病高齢者に多い皮膚病変とは

 65歳以上高齢者における糖尿病と関連した皮膚疾患の有病率を調べた結果、慢性の皮膚潰瘍、脚部の褐色斑、かゆみが多いことが示された。台湾・高雄退役軍人総合病院のH-W. Tseng氏らが、退役軍人施設に入所する313例について調査し報告した。著者は、「糖尿病にみられる皮膚の特徴を観察することで、糖尿病患者の状態をより完全に評価することが可能である。糖尿病に関連した皮膚の情報は、適切な治療と看護を提供するための基本である」とまとめている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2014年9月1日号の掲載報告。 研究グループは、高齢の男性における皮膚疾患と糖尿病および糖尿病に関連した皮膚疾患の統計的な関連性を調べた。 台湾の退役軍人施設で断面調査を行い、入所者の皮膚の症状、主な全身性疾患を記録。年齢、BMI、顕著であった全身性疾患で補正後、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い、オッズ比(OR)とp値を求めて統計的関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、65歳以上男性313例で、そのうち70例(22.4%)が糖尿病を有していた。・糖尿病被験者に最もよくみられた皮膚の症状は、真菌感染症(77%)、脚部の褐色斑(38.3%)であった。・補正後ORの評価により、糖尿病との有意な関連が認められたのは、慢性の皮膚潰瘍(AOR:4.90、95%CI:1.82~13.19、p=0.002)、脚部の褐色斑(同:6.82、3.60~12.89、p<0.001)、かゆみ(同:12.86、4.40~37.59、p<0.001)であった。・糖尿病被験者では、細菌感染症、疥癬、スキンタッグのリスクがわずかだが高かった。

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せん妄管理における各抗精神病薬の違いは

 せん妄の管理において、定型抗精神病薬と各非定型抗精神病薬ではどのような違いがあるのか。スイス・チューリッヒ大学病院のSoenke Boettger氏らは、せん妄に対する定型抗精神病薬(ハロペリドール)と非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール)の有効性と副作用プロファイルを比較検討した。その結果、有効性は同程度であったが、副作用プロファイルに関しては相違がみられ、ハロペリドールでは錐体外路症状(EPS)、オランザピンでは鎮静の発現頻度が高いことを報告した。Palliative and Supportive Care誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 研究グループは、せん妄の管理において、定型抗精神病薬のハロペリドールと非定型抗精神病薬のリスペリドン、オランザピンおよびアリピプラゾールの有効性ならびに副作用プロファイルを比較検討した。ベースライン時(T1)、2~3日後(T2)、4~7日後(T3)に、The Memorial Delirium Assessment Scale(MDAS)、the Karnofsky Performance Status(KPS)scaleおよび副作用の程度を評価した。解析対象症例は、年齢、認知症の既往、ベースラインのMDASスコアをマッチさせた21例とした。 主な結果は以下のとおり。・各薬剤群でベースライン特性に差はなかった。・平均年齢は64.0~69.6歳の範囲であり、認知症を23.8~28.6%に認め、ベースラインのMDASスコアはハロペリドール19.9、リスペリドン18.6、オランザピン19.4、アリピプラゾール18.0であった。・T3時の投与量はハロペリドール5.5mg、リスペリドン1.3mg、オランザピン7.1mg、アリピプラゾール18.3mgであった。・1週間を通して、各薬剤とも同程度のMDASスコア低下を示し、T2またはT3時点でMDASスコア間に差はみられなかった。・1週間後のMDASスコアはハロペリドール6.8、リスペリドン7.1、オランザピン11.7、アリピプラゾール8.3であった。・T2時点においてせん妄の回復が42.9~52.4%に、T3時点では61.9~85.7%の症例に認められ、薬剤間で評価の差はみられなかった。・副作用としてEPSがハロペリドールで19%、リスペリドンで4.8%に、また、鎮静がオランザピンで28.6%に報告された。・せん妄の管理において、ハロペリドール、リスペリドン、オランザピンおよびアリピプラゾールの有効性は同程度であった。ただし、副作用プロファイルは異なり、ハロペリドールではEPSが、オランザピンでは鎮静が、それぞれ最も高頻度に発現した。関連医療ニュース 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬 高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクは? 高力価vs低力価、有効性の違いは

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一般市民に皮膚科医はどう思われている?

 米国市民の約半数は、皮膚科医は皮膚がんの治療に大半の時間を費やしており、プライマリ・ケア医よりも職業的重要性は低いと認識していることなどが、米国・カリフォルニア大学デービス校のElizabeth A. Brezinski氏らによる調査の結果、明らかにされた。収入についてはプライマリ・ケア医よりも多いが心臓外科医や形成外科医よりは少ないと思っていることなども示された。著者は、「皮膚科医の専門性についてよりきちんと知らしめる必要がある」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年8月27日号の掲載報告。 皮膚科医とその他専門医に対する一般市民の認識を比較することを目的とした調査は、全米市民を対象に、RDD(random digit dialing)方式での電話調査で行われた。  主な結果は以下のとおり。・10個の市外局番から無作為に選択した2,353件に電話をかけ、計800人(34%)の成人から回答を得られた。・全体的に回答者の46%が、皮膚科医は皮膚がんの治療に大半の時間を費やしていると認識していた。・皮膚科医が審美的な処置を行うことに大半の時間を費やしていると認識していた回答者は27%であった。・プライマリ・ケア医のほうが皮膚科医と比較して、重大な職業であると回答したのは63%(より難しい仕事であるとの回答は54%)、また92%がより長時間働いていると認識していることが示された。・心臓専門医との比較においても、同様の結果がみられた。・また市民は、皮膚科医はプライマリ・ケア医よりも収入が多いが、心臓専門医や形成外科医よりは少ないと認識していた。・なお本調査結果について著者は、回答者と非回答者の間にpotential differencesが存在する可能性を指摘している。

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Vol. 2 No. 4 オメガ3系多価不飽和脂肪酸製剤の臨床応用 そのエビデンスと各種ガイドラインにおける位置づけ

田中 知明 氏千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学 千葉大学医学部附属病院糖尿病・内分泌代謝内科はじめにグリーンランドや千葉県下でのエイコサペンタエン酸(EPA)の有効性を明らかにした疫学調査をきっかけに、わが国では魚油をエチルエステル化した高純度EPA製剤が開発され、1990年には「閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善」、1994年には「高脂血症」に対する医療用医薬品として臨床の現場に登場した。さらに、欧州、米国などで「高トリグリセライド血症」の効能・効果を有する医薬品として承認されていた高濃度オメガ3製剤(主成分としてEPA・DHAを含有)も2013年に国内で承認され、日常臨床に広く普及しつつある。これらオメガ3製剤の臨床応用におけるエビデンスとしては、高純度EPA製剤の冠動脈疾患に対する発症予防効果を検証した日本人対象の大規模臨床試験JELIS1)に加えて、Circulation、Lancetに報告されたイタリアのGISSI-Prevenzione Trial、GISSI-HF Trialなど、多くのエビデンスが蓄積されている。そこで、本稿ではオメガ3系多価不飽和脂肪酸製剤の臨床応用の骨格となる重要な大規模臨床試験とそのメタ解析におけるエビデンスを解説し、EPA製剤の各種ガイドラインにおける位置づけについて概説する。EPA製剤が推奨される各種ガイドライン本邦においてEPAに関してその臨床的有用性が明記されている各ガイドラインについて、表にまとめる。これまでの大規模臨床試験のエビデンス基づき、現在では『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版』、『循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(2009年改訂版)』、『心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改訂版)』、『脳卒中治療ガイドライン2009』の4種類のガイドラインに医療医薬品としての有用性が推奨グレードとともに記載されている。以下に具体的内容とエビデンスグレードを記す。『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版』の第7章「治療法 B 薬物療法におけるステートメント」として、「高リスクの高LDL-C(low density lipoprotein cholesterol)血症においては、スタチン投与に加えてEPAの投与を考慮する」とされている。推奨レベルIIa、エビデンスレベルAである。『循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(2009年改訂版)』の「Ⅲ. 各疾患における抗凝固・抗血小板療法 11 心血管疾患高リスク症例の一次予防」においては、「高リスクの脂質異常症におけるエイコサペント酸エチル投与の考慮」が記載され、クラス1のエビデンスレベルとして推奨されている。『心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2011年改訂版)』における「II. 薬物療法 3 脂質異常症改善薬」の項目では、「2. 高LDLコレステロール血症にはスタチンに加え高純度EPA製剤も考慮する」と記載され、エビデンスグレードはBである。『脳卒中治療ガイドライン2009』における「Ⅱ. 脳梗塞・TIA 4-1. 脳梗塞再発予防 (3)脂質異常症」の項目の中で、「3. 低用量スタチン系薬剤で脂質異常症を治療中の患者において、EPA製剤の併用が脳卒中再発予防に有用である」と記載されている。エビデンスグレードはBである。高濃度オメガ3製剤(EPA+DHA)に関しては、欧州(ノルウェー)では1994年に、アメリカでは2004年に使用されるようになっていたが、日本では2013年から使われるようになった。したがって、国内では高純度EPA製剤が主流であった過去の経緯から、各ガイドラインにおける記載は高純度EPA製剤のみなのが現状である。海外ガイドラインにおけるオメガ3系脂肪酸の臨床的位置づけとして、欧州・米国ではEPA・DHA製剤が中心であり、脂質異常症の管理および心不全の治療ガイドラインにおいて推奨されている(推奨レベルIIb、エビデンスレベルB)。今後、本邦においてもエビデンスのさらなる蓄積とガイドラインにおける位置づけが新たに追加されることが期待される。表 各種ガイドラインにおける脂質異常症治療薬の記載画像を拡大するJELISの概要と1次予防・2次予防サブ解析JELISは、日本人を対象に実臨床に近い条件の下で実施された前向き大規模臨床試験であり、各ガイドライン記載の根拠となる重要なエビデンスである1)。JELISは、日本人の脂質異常症患者(総コレステロール250mg/dl以上)において40~75歳の男性と、閉経後~75歳の女性18,645人(冠動脈疾患の1次予防14,981例、2次予防3,664例)を対象としている。プラバスタチン10mg/日またはシンバスタチン5mg/日を基本として、1.8gの高純度EPA製剤の投与群と非投与群を無作為に割り付けて、5年間の追跡調査し、主要冠動脈イベント(致死性心筋梗塞、非致死性心筋梗塞、心臓突然死、心血管再建術、新規狭心症の発症、不安定狭心症)について検討を行った試験である。その結果、主要冠動脈イベントを19%低下させ、EPA投与群では対象群に比べ虚血性心疾患の発症リスク比(95% CI)が0.81(0.68-0.96)であり、非致死性では0.81(0.68-0.96)と有意であった(本誌p.23図を参照)。興味深いことに、血清脂質変化を検討すると、EPA群と対象群においてLDLコレステロールの変化率に有意差を認めなかった。このことから、高純度EPA製剤の心血管イベント抑制効果は、LDLコレステロール値以外による機序が大きいと考えられている。<JELIS 1次予防サブ解析>冠動脈疾患の既往がない1次予防サブ解析(14,981例)では、主要冠動脈イベントの発生はEPA投与群で18%減少するものの、有意差を認めなかった。肥満・高TG (triglyceride)血症・低HDL(high density lipoprotein)血症・糖尿病・高血圧を、冠動脈イベントリスク因子としてそれらの重積と冠動脈イベント発生を検討した結果、対照群/EPA群の両者において発症率の上昇を認め、EPA群で抑制している傾向が見られた2)。また、登録時のTG値とHDL値の組み合わせで4群に分けて、冠動脈イベント発症リスクを比較検討した結果、高TG/低HDL-C血症群ではTG/HDL-C正常群に比較して、冠動脈イベント発生リスクはEPA投与群で53%もの低下を示し、高リスク群での抗動脈硬化作用による心血管イベントの発症抑制が期待されている1, 2)。<JELIS 2次予防サブ解析>冠動脈疾患の既往がある患者(3,664例)の2次予防サブ解析では、EPA投与群で23%のイベント発症抑制効果を認めた3)。インターベンション施行症例や心筋梗塞既往症例においても、EPA投与群でそれぞれ35%、27%のイベント発症の抑制を認めた3)。これらの結果は、高純度EPA製剤の投与はインターベンション施行例や心筋梗塞既往例の2次予防薬としての有用性を示している。血漿EPAとアラキドン酸(AA)の比の変化を観察すると、試験開始時に両群共にEPA/AA比は0.6であったのに対して、EPA投与群では1年後に1.3まで上昇していた3)。試験終了時のEPA/AA比と冠動脈イベント再発の関連性を解析した結果、EPA/AA比が高いほど、イベント発生の相対リスクが低下していることが明らかとなった。<JELIS脳卒中サブ解析>JELIS試験においては、2次評価項目として脳卒中(脳血栓、脳塞栓、判別不能の脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳出血、くも膜下出血)の発症が検討された。患者背景として、脳卒中の既往はEPA群で485例(5%)であり、対照群で457例(5%)に認められ、その内訳は閉塞性脳血管障害がそれぞれ74%、75%で、両群間に有意差を認めなかった4)。脳卒中の1次予防に関しては、対照群およびEPA投与群ともに、脳卒中発症頻度が低かったため、両群間に明らかな差を認めなかった。実際、対照群における脳卒中累積発症率が5年間で1.3%ととても低値であったことが大きな要因と考えられている。また、JELIS以外に国内で施行された冠動脈疾患や脳卒中の既往のない高コレステロール患者を対象としたMEGA試験では、プラバスタチンの投与で有意に発症を抑制したことが報告されている。つまり、JELISにおけるスタチン投与の背景がすでに脳卒中発症をかなり予防していたことが推察され、EPAの有用性を否定するものではない結果といえよう。脳卒中既往歴のある2次予防については、EPA投与群において20%の有意な脳卒中発症抑制効果(発症リスク比0.80、95% CI:0.64-0.997)が認められた4)。この脳卒中発症抑制に関しては、number to treat(NNT=疫学の指標の1つで、エンドポイントに到達する患者を1人減らすために何人の患者の治療を必要とするかを表したもの)は27であった。興味深いことに、同時期に欧米で施行されたSPARCL試験5)では、アトルバスタチンの5年間の投与による脳卒中2次予防効果のNNTは46であり、高用量スタチンより優れた結果を示唆するものであった。単純比較はできないが、EPA製剤(スタチン併用)の脳卒中2次予防効果における臨床的有用性を示すと考えられている。登録時のHDL-C値と脳卒中発症の関係を解析した結果、対照群ではHDL-C値が低いことに相関して脳卒中再発率が有意に増加するが、EPA投与群ではHDL-C値と独立して脳卒中再発予防効果を認めた。また臨床的なポイントとして、JELISにおける脳卒中の疾患別検討では、EPA効果がより高い群として脳梗塞、特に脳血栓症の抑制が明らかであった。またEPA服薬良好群では、36%の顕著な再発低下(5年間のNNTは16)を示した6)。EPAの特徴の1つである血小板凝集抑制作用を介したアテローム血栓予防効果が大きな役割を果たしている可能性が高い。GISSI-Prevenzione Trial7)と海外のエビデンスイタリアで行われたGISSI-Prevenzione Trialは、急性心筋梗塞発症後3か月以内の高リスク患者11,324症例を対象とした2次予防試験であり、オメガ3系多価不飽和脂肪酸1g/日のカプセルと抗酸化作用を持つビタミンE 300mg/日を内服する群を、オメガ3系多価不飽和脂肪酸のみ内服する群、ビタミンEのみ内服する群、両方内服する群、両方内服しない群に分けて3.5年間介入し検討を行った試験である7)。その結果、オメガ3系多価不飽和脂肪酸を内服している群は対象群に比べ、全死亡の相対リスク(95% CI)が0.80(0.67-0.94)と低下を認め、特に突然死においては0.55(0.40-0.76)と大きく抑制され、突然死においては治療開始後早期の120日ですでに有意な相対リスクの低下(0.47(0.22-0.99)、p=0.048)が認められた(本誌p.24図を参照)7)。また、心不全患者を対象に行ったGISSI-HF Trialでも、オメガ3系多価不飽和脂肪酸の投与は、有意に心血管イベントの発症を抑制した8)。コホート試験である13試験を用いて、魚摂取・魚食頻度と冠動脈疾患による死亡率との関連について検討した結果(222,364症例のメタ解析)、魚摂取は冠動脈疾患による死亡率を有意に低下させることが明らかとなった9)。さらに、脂質低下療法に関する97ランダム化大規模臨床試験のメタ解析の結果から、スタチンとオメガ3系多価不飽和脂肪酸製剤は、心臓死および総死亡のイベントリスクを低下させることが示された10)。これらのエビデンスから、ハイリスクの脂質異常患者に対してスタチンにEPA製剤を加えることで、さらなる心血管イベント抑制効果が期待できると考えられる。おわりに高純度EPA製剤は、心血管イベントおよび脳血管イベントの1次予防・2次予防戦略を考えるうえで重要な薬剤であることはいうまでもない。大規模臨床試験のエビデンスをベースとした各ガイドラインを見てわかるように、脂質異常症のゴールデンスタンダードであるスタチンに加えて、EPA製剤の併用効果が証明され、臨床的意義づけが確立している。JELISによる日本人のエビデンスに裏づけされた内科的戦略の1つとして、心血管・脳血管イベントのハイリスク症例やスタチン投与による脂質管理下でもイベント発生を抑制できない症例に対して、積極的な使用が推奨される。またEPA・DHA製剤についても、ようやく国内で使用することができるようになった。日本人のエビデンスはまだ十分ではなく、ガイドラインにおける位置づけは現時点では明確ではないが、欧米におけるエビデンスと使用経験から本邦でも十分に期待できるものと思われる。EPA製剤との違いや臨床的使い分けなど、今後のさらなるエビデンスの蓄積が必要であろう。文献1)Yokoyama M et al. Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis. Lancet 2007; 369: 1090-1098.2)Saito Y et al. Effect of EPA on coronary artery disease in hypercholesterolemic patients with multiple risk factors: sub-analysis of primary prevention cases from the Japan EPA Lipid Intervention Study (JELIS). Atherosclerosis 2008; 200: 135-140.3)Matsuzaki M et al. Incremental effect of eicosapentaenoic acid on cardiovascular events in statin-treated patients with coronary artery disease. Circ J 2009; 73: 1283-1290.4)Tanaka K et al. Reduction in the recurrence of stroke by eicosapentaenoic acid for hypercholesterolemic patients : subanalysis of the JELIS trial. Stroke 2008; 39: 2052-2058.5)Amarenco P et al. High-dose atrovastatin after stroke or transient ischemic attack. N Engl J Med 2006; 355: 549-559.6)田中耕太郎ほか. 高コレステロール血症患者の脳卒中発症に対するEPAの効果-JELISサブ解析結果. 脳卒中2007; 29: 762-766.7)Marchioli R et al. Early protection against sudden death by n-3 polyunsaturated fatty acids after myocardial infarction: time-course analysis of the results of the Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell'Infarto Miocardico (GISSI)-Prevenzione. Circulation 2002; 105: 1897-1903.8)Gissi HFI et al. Effect of n-3 polyunsaturated fatty acids in patients with chronic heart failure (the GISSI-HF trial): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2008; 372: 1223-1230.9)He K et al. Accumulated evidence on fish oil consumption and coronary heart disease mortality : a meta-analysis of cohort studies. Circulation 2004; 109: 2705-2711.10)Studer M et al. Effect of different antilipidemic agents and diets on mortality : a systematic review. Arch Intern Med 2005; 165: 725-730.

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高骨量と股関節OAは正の相関

 英国・ブリストル大学のS.A. Hardcastle氏らによる住民ベース研究の結果、高骨量(HBM)例で変形性股関節症(股関節OA)や骨棘症の有病率が有意に高いことが明らかにされた。これまで疫学研究において、骨密度(BMD)増大とOAの関連は示唆されていた。著者は「今回の所見はHBMとOAには正の関連性があり、HBMにおけるOAは肥大性表現型であることを示すものだ」とまとめている。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年8月号(オンライン版2014年6月24日号)の掲載報告。 研究グループは、HBMの人では対照群と比べ股関節OAの有病率が高いかを調べるため、新たな質問アプローチを用いた本検討を行った。 BMD Zスコアで定義されたHBM症例を、英国での研究例から集め、一方でファミリー対照として、指数に影響がない関連症例を集めた。さらに、年齢で層別化されたランダム検体をChingford and Hertfordshireコホート研究の一般集団から選定して分析に含んだ。 骨盤X線像を、症例-対照について盲検化された観察者1人がプールし評価を行った。分析はロジスティック回帰法を用いて、年齢、性別、BMIで補正をして行われた。 主な結果は以下のとおり。・分析に含まれたのは、症例群が272人・HBM股関節530例、対照群が863人・1,702例であった。平均年齢は64.8歳、女性が84%であった。・X線画像診断(Croftスコアで3以上)によるOA有病率は、症例群20.0%、対照群13.6%で前者が有意に高かった(補正後オッズ比[OR]:1.52、1.09~2.11、p=0.013)。・骨棘症(OR:2.12、1.61~2.79、p<0.001)、軟骨下骨硬化(同:2.78、1.49~5.18、p=0.001)も症例群での有病率が有意に高値であった。・一方で、関節腔狭小化(JSN)有病率の差は有意ではなかった(OR:0.97、0.72~1.33、p=0.869)。

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