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炎症性腸疾患へのTNF-α阻害薬、がんリスクは増大せず/JAMA

 炎症性腸疾患(IBD)患者に対するTNF-α阻害薬投与は、がんリスク増大と関連していないことが、デンマーク・血清研究所(Statens Serum Institut)のNynne Nyboe Andersen氏らによる同国レジストリ患者対象コホート研究の結果、報告された。追跡期間中央値3.7年で、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群の補正後がん発症率比は1.07であったという。TNF-α阻害薬治療後のがんリスクを含む有害事象の検討については、コクランレビューとネットワークメタ解析の結果、全国レジストリの大規模データベースに基づく評価が適切であるとの結論が示されていた。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より。デンマークIBD患者5万6,146例を対象にTNF-α阻害薬曝露群と非曝露群を比較 被験者は、1999~2012年のデンマーク全国レジストリで15歳以上のIBD患者であると特定された5万6,146例だった。TNF-α阻害薬曝露群は4,553例(8.1%)であった。同曝露群のIBDサブタイプはクローン病54%、潰瘍性大腸炎46%。診断時年齢は33.7歳だった。 がん症例については、デンマークがんレジストリで特定した。 主要評価項目は、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群を比較したがん発症率比(RR)で、ポアソン回帰分析を用いて、年齢、暦年、罹患期間、傾向スコア、その他のIBD薬使用について補正後に評価した。追跡期間中央値3.7年、曝露群の発症率比は1.07 総計48万9,433人年(追跡期間中央値9.3年、四分位範囲[IQR]:4.2~14.0年)において、がんを発症したのは、曝露群81/4,553例(1.8%)(追跡期間中央値3.7年、IQR:1.8~6.0年)、非曝露群3,465/5万1,593例(6.7%)で、補正後RRは1.07(95%信頼区間[CI]:0.85~1.36)だった。 がんリスクは、初回TNF-α阻害薬曝露以降の時間経過により分析した結果においても有意な増大は認められなかった。すなわち、1年未満1.10(95%CI:0.67~1.81、1~2年未満1.22(同:0.77~1.93)、2~5年未満0.82(同:0.54~1.24)、5年以上1.33(同:0.88~2.03)だった。 また、TNF-α阻害薬投与量別の解析でも有意なリスク増大はみられなかった。RRは1~3剤1.02(95%CI:0.71~1.47)、4~7剤0.89(同:0.55~1.42)、8剤以上1.29(同:0.90~1.85)だった。 完全補正後モデルの分析の結果、特定部位のがんが有意に多いということも認められなかった。 なお研究グループは、「今回の追跡期間中央値3.7年の検討においては、TNF-α阻害薬の使用とがんリスクの増大の関連はみられなかったが、より長期間の曝露とリスク増大との関連を除外することはできない」とまとめている。

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HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与は有効か?(解説:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(220)より-

結核は依然としてHIV感染患者における重要な日和見疾患である。今までにsystematic reviewや後ろ向き観察研究などで、イソニアジド単独、あるいはイソニアジド+抗HIV療法によって結核発病のリスクを低減できることが示されてきた。WHOが途上国に向けて発信したガイドラインでは、HIV感染患者全例にイソニアジドの予防投与を行うことを推奨している。 しかしながら、抗HIV療法を施行している患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性について、強いエビデンスは存在しなかった。 本研究は、抗HIV療法施行中のHIV感染患者に対するイソニアジドの結核予防効果を検討したランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。エイズ、結核罹患率の高い南アフリカケープタウン近郊のカエリチャで実施された。 被験者を(1)イソニアジドを12ヵ月間予防投与する群(662例)と、(2)プラセボを投与する群(667例)に無作為に割り付けし、3,227人年が解析対象となった。スクリーニングの喀痰抗酸菌培養検査で判明した結核例は除外した。プライマリエンドポイントは、結核の発症(疑い例や不確定例も含む)とした。 その結果、イソニアジド群はプラセボ群と比較して37%結核発症率を低下させた(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.41~0.94)。Grade 3または4のALT値上昇のため試験薬投与を中断した患者数は、2群間で有意差を認めなかった(リスク比:1.9、95%信頼区間:0.90~4.09)。また、イソニアジド予防投与の効果が、ツベルクリン反応検査あるいはインターフェロンγ遊離試験が陽性の患者に限定されるというエビデンスは観察されなかった。 これらの結果を踏まえて、著者らは「結核発生リスクの高い地域では、ツベルクリン反応テストやインターフェロンγ遊離試験の結果にかかわらず、抗HIV療法を受けている患者全員に対してイソニアジドの予防投与を推奨すべきである」と提言している。 日本は先進国の中では結核罹患率の高い国ではあるが、アフリカ諸国などと比較すると低く、本試験の結果をそのまま日本での診療に当てはめることはできない。 しかしながら、米国のガイドラインでも潜在性結核感染を認めるHIV感染患者に対してはイソニアジドの投与を推奨しており、本邦でも潜在性結核感染と診断された場合には、イソニアジドの投与を検討してもよいかもしれない。ただし、イソニアジドの投与期間はガイドライン等によって異なり、議論の余地があると思われる。 HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性を検討したBOTUSA study1)では、主にツベルクリン反応陽性者において結核発症率の低下を示したが、本研究では、結核予防効果がツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験の結果に左右されず、対照的な結果となった。 結核が蔓延している国では、おそらく多くの結核例が新たな感染や再感染によるので、イソニアジドは潜在性結核感染の治療だけでなく、新規感染や再感染の予防や治療の役割を果たしていたのかもしれない。また、ツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験は、免疫不全が進行すると偽陰性となりやすいため、本試験の患者に偽陰性が多かった可能性は考えられる。【参考文献はこちら】1) Samandari T, et al. Lancet. 2011;377:1588-1598.

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APOC3遺伝子変異による低TG値でも虚血性血管疾患リスク減/NEJM

 APOC3遺伝子の機能欠失型変異により血漿トリグリセライド(TG)値が低下し、虚血性血管疾患のリスクが減少することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAnders Berg Jorgensen氏らの検討で示された。非空腹時の血漿TG高値は虚血性心血管疾患のリスクを増大させることが知られている。APOC3遺伝子はアポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子で、その変異により非空腹時血漿TG値が低下するが、APOC3遺伝子変異を保因するため生涯にわたり低TG値の集団は、虚血性心血管疾患のリスクが低いか否かは、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2014年6月18日号掲載の報告。約7万6,000人を34年追跡し、変異とTG値、疾患の関連を解析 研究グループは、非空腹時TG低値と虚血性心血管疾患のリスク減少との関連を検討し、次いでAPOC3遺伝子の機能欠失型変異とこれらの疾患の関連を調査した。 解析には、デンマークで行われた2つの地域住民を対象とした前向き調査(Copenhagen City Heart Study[CCHS]、Copenhagen General Population Study[CGPS])に参加した7万5,725人(CCHS:1万333人、CGPS:6万5,392人)のデータを用いた。虚血性血管疾患は、虚血性心疾患または虚血性脳血管疾患と定義した。 フォローアップ期間中央値は34年で、この間に1万797人の被験者が虚血性血管疾患を発症し、このうち虚血性心疾患は7,557人であった。DNA検査は被験者全員で行われ、脂質検査は98%以上で実施された。TGだけでなく、HDLコレステロールやアポリポ蛋白A1、Bも良好 虚血性血管疾患および虚血性心疾患のリスクは、ベースラインの非空腹時TG値が低下するに従って段階的に減少し、<1.00mmol/L(90mg/dL)の被験者は≧4.00mmol/L(350mg/dL)の場合に比べ発症率が有意に低かった(虚血性血管疾患のハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.35~0.54、虚血性心疾患のHR:0.40、95%CI:0.31~0.52)。 APOC3遺伝子の3つのヘテロ接合型変異(R19X、IVS2+1G→A、A43T)が、非空腹時TG低値と実質的に関連していた(保因者260人、290人に1人の割合)。なお、CCHSの被験者の解析では、IVS2+1G→AとA43TはHDLコレステロールおよびアポリポ蛋白A1の増加とも関連していた。 これらAPOC3遺伝子のヘテロ接合性の機能欠失型変異の保因者は、APOC3遺伝子に変異のない被験者に比べ、非空腹時TG値が平均44%(0.77mmol/L[70mg/dL])低かった(p<0.001)。このTG値低下率は3つの変異型でほぼ同じだった(44~48%、いずれもp<0.001)。また、保因者は非保因者に比し、アポリポ蛋白Bが平均16%(17mg/dL)低く、HDLコレステロールが24%(0.38mmol/L[15mg/dL])、アポリポ蛋白A1が9%(15mg/dL)高かった。 虚血性血管疾患および虚血性心疾患の発症は、ヘテロ接合型変異の保因者で有意に少なく(それぞれp=0.009、p=0.05)、リスク減少率はそれぞれ41%(HR:0.59、95%CI:0.41~0.86、p=0.007)、36%(HR:0.64、95%CI:0.41~0.99、p=0.04)であった。 著者は、「APOC3遺伝子の機能欠失型変異は、TG値の低下および虚血性血管疾患のリスク減少と関連する」と結論し、「APOC3遺伝子は、心血管リスクの低減を目的とする薬剤の標的として有望と考えられる」と指摘している。最近、アンチセンス・オリゴヌクレオチドによりAPOC3遺伝子を阻害すると、アポリポ蛋白C3とTGが低下することが、動物実験やヒトの第I相試験で確認されているという。

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にきび治療への有効性を比較、抗菌薬 vs ピル

 米国ハーバード・メディカル・スクールのEubee Baughn Koo氏らは、にきび治療における、抗菌薬と経口避妊薬(OCP)の有効性を比較するメタ解析を行った。両者がにきび治療に有効であることは判明しており広く使用されているが、有効性について直接比較した検討はほとんど行われていなかった。結果、3ヵ月時点では抗菌薬が優れていたが、6ヵ月時点では同等であることが示され、著者は、「女性における長期のにきび治療では、ピルがファーストライン治療薬として全身性の抗菌薬の代わりとなるだろう」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年5月28号の掲載報告。 メタ解析は、Preferred Reporting Items for Systematic ReviewsとMeta-Analyses and Cochrane collaboration guidelinesに則して行われた。 226本の刊行レビューから、包含基準を満たした32本の無作為化試験を解析に組み込み分析した。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月時点と6ヵ月時点で、抗菌薬およびOCPはいずれもプラセボと比較して、炎症性病変、非炎症性病変、全病変の減少率がより大きかった。・各評価時点の抗菌薬およびOCP治療は、3ヵ月時点における全病変の減少率が抗菌薬のほうがOCPよりも優れていたが、それ以外は下記のように統計的に同等であることが示された。 加重平均炎症性病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬53.2%、OCP 35.6%、プラセボ26.4%  6ヵ月時点:抗菌薬57.9%、OCP 61.9%、プラセボ34.2% 加重平均非炎症性病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬41.9%、OCP 32.6%、プラセボ17.1%  6ヵ月時点:抗菌薬56.4%、OCP 49.1%、プラセボ23.4% 加重平均全病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬48.0%、OCP 37.3%、プラセボ24.5%  6ヵ月時点:抗菌薬52.8%、OCP 55.0%、プラセボ28.6%・本検討は、試験治療の不均一性および刊行バイアスの点で限定的である。

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日本人の気質は精神状態にどう影響するのか:順天堂大学

 状態ではなく気質を同定するよう設計されているTEMPS-A 気質評価質問紙(Temperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris and San Diego-auto questionnaire)について、これまでに、非臨床集団では精神状態が影響を及ぼす可能性が示唆されていた。順天堂大学の馬場 元氏らはTEMPS-Aの完全バージョンとさまざまな抑うつ尺度、あるいは躁病評価尺度との関連性を調べた。Journal of Affective Disorders誌2014年6月号の掲載報告。 検討は、ベックうつ病評価尺度(BDI)、自己記入式簡易抑うつ症状尺度・日本語版(QIDS-SR-J)、患者健康質問票-9(PHQ-9)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)などの精神評価スコアと気質スコアとの関連を調べるため、314人の医学生および職員を対象に行われた。 主な結果は以下のとおり。・抑うつ状態スコアは、TEMPS-Aの抑うつ気質、不安気質、憂鬱と陽気さを繰り返す循環気質、焦燥気質スコアと、有意に明らかに関連していた。・一方で、閾値下の低躁状態スコアは、TEMPS-Aの焦燥気質と有意に明らかに関連していた。・抑うつ状態あるいは閾値下の低躁状態スコアと発揚気質スコアとの間に関連はみられなかった。・本検討は次の点で限定的なものであった。すなわち、断面的な研究であったこと、抑うつ/低躁状態スコアが気質スコアに影響を及ぼすのか、またはその逆で、気質スコアが抑うつ/低躁状態スコアに影響しているのかは判明しなかったこと。さらに、サンプルが必ずしも代表的集団ではなかったこと、日本人における所見が日本以外でも適用可能であるとのエビデンスはない点である。 以上を踏まえて、著者は「非臨床集団であってもTEMPS-Aの気質スコアへの精神状態の影響を検討することは意義深いことである」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場 出産後のうつ病リスクは「10~15%」新スクリーニングツール期待 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能  担当者へのご意見箱はこちら

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iPadを使ったインフォームドコンセントは有用【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第21回

iPadを使ったインフォームドコンセントは有用医師が行うインフォームドコンセントは治療内容であったり臨床試験であったり、まちまちです。研究や医療に参加する患者さんや被験者は、その仔細を完全に理解しているわけではなく同意書にサインをしてしまいます。というのも、医療従事者でなければその根幹を理解することは不可能だからです。そのため、医療従事者はできるだけわかりやすく説明をする必要があります。コンピューターを使ったインフォームドコンセントが有用であるとする報告はいくつかありますが(Arch Intern Med. 2009;169:1907-1914. )、iPadのような新しいデバイスを用いた研究はほとんどありません。私の恩師である先生はiPadを自由自在に用いて患者さんに説明しておられますが、私はプライベート以外でiPadを使ったことは一度もありません。プライベートといっても、息子の写真を保存しているだけで、まったく使いこなせていないのが正直なところです。最近ようやくWi-Fi(ワイファイ)という言葉を覚えたくらいで、「クラウド」とかまた新しい言葉が出てきて困っているところです。さて、今回紹介する論文は、臨床研究についての同意を得る際にiPadを用いたほうがよいのではないかと結論づけたものです。Rowbotham MC, et al.Interactive informed consent: randomized comparison with paper consents.PLoS One. 2013;8:e58603.このプロスペクティブランダム化比較試験は、 実際の臨床試験(抗がん剤の神経障害について)の内容を伝える方法として、iPadと紙ベースを比較したものです。この比較試験の被験者として、研究者と患者の双方に参加してもらいました。90人の参加者のうち、69人がオンラインテストを完遂しました。オンラインテストは、当該研究の目的、研究内容に質問があった場合に誰に尋ねるか、試験期間の長さなどを答える一問一答形式です。研究者14人では、iPadで説明を受けた人のほうがオンラインテストの点数がいい傾向にあったそうです (平均正答率77% vs 57%、p =0.07)。一方、患者55人では、iPadによる説明を受けた場合のオンラインテストの点数は、紙ベースの説明を受けた場合よりも有意に高いという結果が得られました(平均正答率75% vs 58%、 p<0.001)。また、紙ベースの場合、iPadと違って閲覧時間が非常に短いという結果も得られました。最近は、学校でもタブレットを使って授業を行うところもあるそうですね。目にやさしいディスプレイだから大丈夫、などとも言われていますが、なんとなく抵抗感を覚えるのは私だけでしょうか? 何でもかんでも次世代機器というのはケシカラン!と言うと、自分が時代遅れのオジサンになってしまった気がして、ちょっぴりさびしい気もします。

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COPDと糖尿病の合併例にメトホルミンは安全か

 COPDと2型糖尿病の合併例へのメトホルミン使用について、COPDであることを研究的・臨床的使用の障壁とすべきではないとの検討結果を、英国ロンドン大学セント・ジョージ校のAndrew W. Hitchings氏らが報告した。Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease誌オンライン版2014年6月10日号の掲載報告。 2型糖尿病とCOPDは一般的に関連があるとされている。メトホルミンは2型糖尿病に対して意義のある治療であるが、COPDに対してもベネフィットがあるかもしれない。しかしながら、メトホルミンのまれな副作用として乳酸アシドーシスの報告があることから、COPDにおける安全性については明らかになっていない。 そこで、過去にCOPD増悪で入院を経験したことのある2型糖尿病患者130例をレトロスペクティブに抽出し、乳酸濃度(プライマリーエンドポイント)と生存率(セカンダリーエンドポイント)をメトホルミン投与群と非投与群で比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は73.0±9.8歳、47例(36%)は女性だった。・120例の動脈血ガスを測定し、88例(73%)は低酸素血症、45例(38%)は呼吸不全、33例(28%)は呼吸性アシドーシスであった。・メトホルミン投与群51例(39%)における乳酸濃度の中央値(四分位範囲)は1.45mmol/L(1.10~2.05)であり、非投与群では1.10mmol/L(0.80~1.50)であった(p=0.012)。・生存期間の中央値は投与群で5.2年(95%CI:4.5~5.8)、非投与群で1.9年(95%CI:1.1~2.6)であった(ハザード比:0.57、95%CI:0.35~0.94)。これらは測定可能な交絡因子で調整した多変量モデルにおいても、有意なままであった。 今回、乳酸蓄積のリスクの高いCOPD患者において、メトホルミン療法は臨床的意義の不確かな、乳酸濃度のやや高値と関連していることが示された。これらのことから、著者は「メトホルミンは生存ベネフィットの観点でみると恩恵はあるが、測定不可能な交絡因子によって起こりうる影響も考えられるため、本検討の結果は慎重に解釈すべきである」としている。■「メトホルミン」関連記事eGFRが30未満は禁忌-メトホルミンの適正使用に関する Recommendation

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血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet

 30歳以上(最高95歳)の血圧値と12の心血管疾患との関連を分析した結果、どの年齢でも強い相関性が認められ、現状の高血圧治療戦略では生涯負荷が大きいことが明らかにされた。英国・Farr Institute of Health Informatics ResearchのEleni Rapsomaniki氏らが、同国プライマリ・ケア登録患者から抽出した125万例のデータを分析して報告した。著者は「今回の結果は、新たな降圧治療戦略の必要性を強調するものであり、その評価のための無作為化試験をデザインする際の有用な情報になると思われる」とまとめている。本報告は、血圧と心血管疾患との関連に関する最新の集団比較研究である。Lancet誌2014年5月31日号掲載の報告より。プライマリ・ケア登録125万例のデータを用いて分析 調査対象とした12の心血管疾患は、安定・不安定狭心症、心筋梗塞、予測していなかった冠動脈疾患死、心不全、心停止/突然死、一過性脳虚血発作、詳細不明の脳梗塞と脳卒中、くも膜下出血、脳内出血、末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤)だった。 被験者データは、1997年1月~2010年3月にCALIBER(CArdiovascular research using LInked Bespoke studies and Electronic health Records)プログラムへと、225人のプライマリ・ケア医により登録された125万例分を用いた。被験者は30歳以上で、登録時は心血管疾患がなく、約5分の1(26万5,473例)が降圧治療を受けていた。 これらのデータについて、エンドポイントを12の心血管疾患の初発とし、臨床的に測定した血圧値と12の急性・慢性心血管疾患との関連を年齢特異的に比較検討した。また、生涯リスク(最高年齢95歳まで)と、その他リスク因子補正後の30歳、60歳、80歳時における心血管疾患発症の早まりを推算した。関連が低かったのは各年齢とも90~114/60~74mmHg、J曲線関連はみられず 追跡期間中央値5.2年の間に、8万3,098件の初発心血管疾患が記録されていた。 心血管疾患リスクが最も低かったのは、各年齢群とも、収縮期血圧値90~114mmHg、拡張期血圧60~74mmHgの人で、血圧低値群ではリスクが増大するというJ曲線関連のエビデンスはみられなかった。 また高血圧の影響は、心血管疾患エンドポイントでばらつきがあり、強く明白な影響が認められる一方で、まったく影響が認められない場合もあった。 収縮期血圧高値との関連が最も強かったのは、脳内出血(リスク比:1.44、95%信頼区間[CI]:1.32~1.58)、くも膜下出血(同:1.43、1.25~1.63)、安定狭心症(同:1.41、1.36~1.46)だった。逆に最も弱かったのは、腹部大動脈瘤(同:1.08、1.00~1.17)。 拡張期血圧と収縮期血圧の影響を比較した分析では、収縮期血圧上昇の影響が大きかったのは、安定狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患だった。一方、拡張期血圧上昇の影響が大きかったのは腹部大動脈瘤であった。 脈圧の影響に関する分析では、腹部大動脈瘤だけが唯一、高値ほどアウトカムが良好となる逆相関がみられた(10mmHg上昇ごとのHR:0.91、95%CI:0.86~0.98)。なお脈圧の影響が最も強かったのは、末梢動脈疾患(HR:1.23、95%CI:1.20~1.27)だった。 高血圧症の人(血圧値140/90mmHg以上または降圧薬服用者)の30歳時における全心血管疾患発症の生涯リスクは63.3%(95%CI:62.9~63.8%)であるのに対して、正常血圧の人では46.1%(同:45.5~46.8%)だった。同年齢において高血圧は心血管疾患の発症を5.0年(95%CI:4.8~5.2年)早めることが示され、狭心症の発症が最も多かった(43%;安定狭心症22%、不安定狭心症21%)。 一方80歳時では、高血圧の影響による発症の早まりは1.6年(95%CI:1.5~1.7年)で、心不全、安定狭心症(それぞれ19%)が最も多かった。

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喫煙者では血清尿酸値が低いと肺がんになりやすい?

 血清尿酸値が低い喫煙群ではCOPDと肺がんの有病率が高かったことが英国Research Department of Primary Care and Population HealthのLaura J Horsfall氏らにより報告された。Thorax誌オンライン版2014年6月5日の掲載報告。 人間の血清中で抗酸化作用のある分子で最も数の多いものは尿酸である。今回、血清尿酸値と呼吸器疾患の有病率との間に関係があるのか、さらに喫煙状況による影響の変化も含めて調査した。 2000年1月1日~2012年12月31日の間に血清尿酸値が測定されていたコホートを「The Health Improvement Network(THIN)英国プライマリ・ケア・データベース」より抽出した。新たにCOPDと肺がんを診断する場合は診療記録の診断コードで確認した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中の対象人数は100万2,496人年であり、そのうちCOPDは3,901例、肺がんは1,015例であった。・多変量解析の結果、喫煙群において血清尿酸値と呼吸器疾患の有病率との間に強い負の相関が認められたが(p<0.001)、非喫煙群や過去に喫煙歴のあった群(現在は非喫煙)では、その関係が認められなかった。・1日に20本以上喫煙する群における肺がんで最も強い負の相関が認められ、血清尿酸値が100~250 µmol/Lの群では1万例あたり97例だったのに対し(95%CI:68~126)、438~700 µmol/Lの群では1万例あたり28例であった(95%CI:14~41)。

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職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大

 職場におけるジョブコントロールとソーシャルサポートが、うつ病、燃え尽き症候群、不眠症に相乗効果をもたらすことが、旭川医科大学の西條 泰明氏らによる調査研究の結果、明らかにされた。またその効果は、仕事の要求度による層別化後、男女間で差があることも明らかになった。この結果を踏まえて著者は、「仕事の要求度およびコントロールだけでなく、仕事のコントロールとソーシャルサポートの相乗効果も考慮することが、仕事のストレスを評価するためには必要である」とまとめている。International Archives of Occupational and Environmental Health誌オンライン版2014年5月23日号の掲載報告。 調査は、旭川市の地方公務員2,121人を対象に行われた。職業性ストレス簡易調査票(Brief Job Stress Questionnaire)を用いて、仕事の要求度、ジョブコントロール、ソーシャルサポートについて評価した。また、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いてうつ病を、マスラック・バーンアウト尺度(MBI-GS)で燃え尽き症候群を、アテネ不眠尺度(AIS)を用いて不眠症に関する評価を行った。考えられる交絡因子で補正したロジスティック回帰分析にて、うつ病、燃え尽き症候群、不眠症に関するオッズ比を求め、職場でのジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗効果指数を評価した。 主な結果は以下のとおり。・相乗効果指数は、うつ病については男性2.08(80%信頼区間[CI]:1.01~4.27)、女性1.98(同:0.67~5.89)、燃え尽き症候群についてはそれぞれ1.79(同:1.28~2.51)、2.62(同:1.07~6.40)、不眠症は1.92(同:1.22~3.02)、2.77(同:0.43~18.01)であった。・仕事の要求度が高い男性は、要求度が低い男性と比べて、うつ病、燃え尽き症候群に関してジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗的相互効果が高かった。・一方、女性は、仕事の要求度が低い場合に、要求度が高い女性と比べて、燃え尽き症候群、不眠症に関してジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗効果が高かった。関連医療ニュース 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学 仕事と家庭の両立への悩み、女性ではうつ病リスク 厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ  担当者へのご意見箱はこちら

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未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)の長期アウトカム、保存療法が良好(コメンテーター:中川原 譲二 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(214)より-

未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)の治療については、ARUBA試験〔死亡または脳卒中リスクに関して、保存療法と介入療法とを比較することを目的とした多施設共同非盲検無作為化試験:Lancet誌オンライン版2013年11月19日号掲載〕により、短期的には保存療法のほうが介入療法よりも優れていることが明らかにされたが、保存療法の優位性は長期の比較データがなかったために不明であった。スコットランド・エディンバラ大学のRustam Al-Shahi Salman氏らが、204例について行った住民ベースの発端コホート試験の結果、保存療法の長期アウトカムは介入療法よりも良好であることが明らかにされた(JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より)。16歳以上のbAVMsの204例を最長12年間追跡 研究グループは、1999~2003年または2006~2010年にbAVMsの診断を受けた、スコットランドに住む16歳以上の患者204例について、最長12年間追跡した。血管内塞栓術、脳外科的切除または定位放射線治療の単独または複合治療が行われた介入群と、行わなかった保存群について、予後を比較した。主要アウトカムは、すべての死亡、または持続する障害〔Oxford Handicap Score(OHS)でスコア2以上が2年以上持続(スコア0=障害なし、6=死亡)〕とし、副次アウトカムは、非致死的症候性脳卒中、またはbAVMs、関連する動脈瘤、介入による死亡の複合発生率とした。主要アウトカムは保存群で0.59倍(4年間)、副次アウトカムは保存群で0.37倍(12年間) 204例中103例が積極的介入を受けていた。介入群は保存群に比べ、年齢が低く、発作症状を呈して診察を受けた割合が多く、大きなbAVMsが少ない傾向にあった。追跡期間の中央値は6.9年だった。当初4年間の主要アウトカムの発生件数は、保存群が36件に対し、介入群が39件と、保存群で低率だった(それぞれ、9.5/100人年、9.8/100人年)。保存群の介入群に対する補正後ハザード比は、0.59(95%信頼区間[CI]:0.35~0.99)だった。しかし、それ以降の発生率は同等だった。一方、副次アウトカムの発生件数は、12年間で保存群14件に対し介入群38件と、保存群で低率だった(それぞれ、1.6/100人年、3.3/100人年)。同ハザード比は、0.37(95%CI:0.19~0.72)だった。 著者らは、さらなる長期の追跡調査を行い、保存療法の利益が持続するかどうかを確認する必要があると述べている。

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統合失調症治療に園芸療法は好影響をもたらすのか

 園芸療法は、習熟したセラピストまたは医療者による助けのもと、特別な治療目標の達成または単に健康改善のために、果物、野菜、花、木などを利用するプロセスである。同療法は認知、身体的、社会的、感情的およびレクリエーションなどにおけるベネフィットを期待して、治療またはリハビリテーションプログラムとして用いられており、身体的、心理的、精神的状態を改善させるとされている。 中国人民解放軍総医院のYan Liu氏らは、統合失調症患者の5~15%は、薬物療法にもかかわらず症状の持続が認められ、望ましくない有害事象が起こる可能性もあることから、園芸療法が有意義な可能性があるとして、統合失調症または統合失調症様疾患に対する園芸療法の効果を標準治療または他の心理社会的介入とを比較し評価するためシステマティックレビューを行った。しかし、検索されたのは1件の無作為化比較試験で、同試験では、園芸療法+標準治療群のDepression Anxiety Stress Scale(DASS21)スコアの変化は、標準治療単独群に比べ大きいことが示されていたが、試験のエビデンスレベルがきわめて低く明確な結論を導くことはできなかったと報告した。結果を踏まえて著者は、「園芸療法は確立された治療ではなく、質の高いエビデンスを集積するにも、より多くの大規模無作為化試験が必要である」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年5月19日号の掲載報告。 2013年1月にCochrane Schizophrenia Group Trials Registerを検索し、代表的な試験の著者に問い合わせて補足を行い、参照リストの手作業による検索も行った。その結果、統合失調症患者に対する、園芸療法+標準治療と標準治療単独を比較する1件の無作為化比較試験(RCT)が選択された。試験の質を評価してデータを抽出し、連続アウトカムに対しては平均差(MD)、バイナリアウトカムに対してはリスク比(RR)を算出した(両者とも95%信頼区間[CI]も算出)。バイアスリスクを評価し、GRADE (Grades of Recommendation, Assessment, Development and Evaluation)アプローチを用いて、得られた成績のリストを作成した。 主な結果は以下のとおり。・1件の単盲検試験(合計24例)が選択された。・無作為化は適切であったが、試験のバイアスリスクは不明であった。・同試験では、1日1時間の園芸療法+標準治療を標準治療単独と比較していた。試験期間は長期ではなく2週間であった(連続10日間)。・レビューの結果、追跡不能は2例で、いずれも園芸療法群の症例であった(1 RCT、24例、RR:5.00、95%CI:0.27~94.34、エビデンスの質:きわめて低い)。・Personal Wellbeing Index(PWI-C)スコアの変化において、群間で明らかな差はみられなかったが、信頼区間は広かった(1 RCT、22例、MD:-0.90、95%CI:-10.35~8.55、エビデンスの質:きわめて低い)。・治療終了時における、園芸療法群のDASS21スコアの変化は、対照群に比べて大きかった(1 RCT、22例、MD:-23.70、95%CI:-35.37~-12.03、エビデンスの質:きわめて低い)。・介入に伴う有害事象の報告はなかった。・データの質がきわめて低いため、統合失調症患者に対する園芸療法のベネフィットまたは有害性に関する何らかの結論を下すには、エビデンスが不十分であった。関連医療ニュース 統合失調症に「サッカー療法」その効果は 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大  担当者へのご意見箱はこちら

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COPD合併肺がん患者、肺線維症で肺切除後の生存率が低下

 肺切除後のCOPD合併肺がん患者において、肺線維症は生存率を低下させる独立したリスクファクターとなることが、東京女子医科大学八千代医療センターの関根 康雄氏らにより報告された。The Thoracic and Cardiovascular Surgeon誌オンライン版2014年5月30日の掲載報告。 本研究の目的はCOPD合併肺がん患者を対象に、肺線維症の有無が肺切除術後合併症や長期の生存率にどれほどインパクトを与えるかを調べる事である。1990年~2005年の期間中に大学病院で肺がんによる肺切除が実施された患者のうち、COPDを合併していた380例を対象にレトロスペクティブなカルテレビューを行った。COPDの定義は術前の1秒率(FEV1/FVC)が70%未満で、肺線維症の定義はCTにより下肺野に明らかな両肺の線維化病変が認められた場合とした。 主な結果は以下のとおり。・COPD合併患者380例のうち、肺線維症が認められたのは41例(10.8%)で、339例(89.2%)では認められなかった。・術前の1秒量は肺線維症を有する患者群で有意に低かった(p<0.05)。・術後急性肺傷害(ALI)と在宅酸素療法は肺線維症を有する患者群で有意に高かったが、30日死亡率は同等であった。・3年間と5年間の累積の生存率は、肺線維症を有する患者群でそれぞれ53.6%、36.9%、肺線維症が認められない患者群では71.4%、66.1%であった(p=0.0009)。・加齢、BMI低値、病理病期の進行、肺線維症の存在は、生存率を低下させる独立したリスクファクターであった。

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MRIよりも膝の関節摩擦音、疼痛が病変予測に優れる?

 膝蓋大腿関節(PFJ)は変形性膝関節症(膝OA)の早期発見に重要であるが、特異的な臨床所見とPFJのMRI所見との関係についてはほとんどわかっていない。オランダ・エラスムス大学のDieuwke Schiphof氏らは、ロッテルダム研究のサブ研究において、摩擦音や膝蓋骨痛の既往歴はPFJのMRI所見と関連していることを明らかにした。著者らは、「今回得られた知見が、今後、膝OA早期診断の項目に加える価値があるかどうかを確認する必要がある」とまとめている。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年5月号(オンライン版2014年2月26日号)の掲載報告。 研究グループの目的は、膝蓋骨の臨床所見とPFJのMRI所見との関係を最近提案されたMRIの定義に基づいて検討することであった。 ロッテルダム研究のサブ研究として行われたもので、膝OA(PFJまたは脛骨大腿関節(TFJ)のOA)のない45~60歳の女性888人(1,776膝、平均55.1歳、平均BMI 27.0kg/m2)を対象に、PFJ MRI所見を半定量的スコアリングにて評価するとともに、膝蓋骨テストを行い、膝蓋骨痛の既往歴と現在の膝痛について調査した。 主な結果は以下のとおり。・摩擦音とPFJ MRI所見全項目との間に、有意な関連が認められた(オッズ比[OR]範囲:2.61~5.49)。・膝蓋骨痛の既往は、骨棘を除くPFJ MRI所見と関連していた(OR 軟骨:1.95、嚢胞:1.86、骨髄病変:1.83)。・臨床所見とTFJ MRI所見との間に、有意な関連はみられなかった。

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特発性肺線維症患者へのアセチルシステインは本当に有用か/NEJM

 肺機能障害が軽度~中等度の特発性肺線維症患者について、努力性肺活量(FVC)の維持に関してアセチルシステイン(商品名:ムコフィリンほか)は、プラセボと比べて有意なベネフィットをもたらさなかったことが、Fernando J. Martinez氏らIdiopathic Pulmonary Fibrosis Clinical Research Networkによる無作為化試験の結果、明らかにされた。これまでアセチルシステインは特発性肺線維症の治療として有用であることが示唆されていたが、プラセボ対照の試験データが不足していた。NEJM誌2014年5月29日号(オンライン版2014年5月18日号)掲載の報告より。60週間のFVCの変化を主要アウトカムに、プラセボ群と比較 検討は二重盲検プラセボ対照試験にて、当初は肺機能障害が軽度~中等度の特発性肺線維症患者を、3剤併用治療(プレドニゾン+アザチオプリン+アセチルシステイン)群、アセチルシステイン単独治療群、プラセボ群の3群に無作為に割り付け60週間追跡するプランであった。しかし3剤併用群で安全性への懸念が生じたため試験を中断し、同群を除外して2群(アセチルシステインvs. プラセボ)で試験を続行した(その他の条件などは変更せず)。 主要アウトカムは、60週間のFVCの変化であった。FVCの変化、および死亡率、急性増悪についても有意差なし アセチルシステイン群には133例が、プラセボ群には131例が登録された。ベースライン時の両群の被験者特性は類似しており、平均年齢67歳、女性が22%、平均FVCは予測値の73%、一酸化炭素拡散能は予測値の45%などであった。 結果、60週時点でアセチルシステイン群とプラセボ群との間にFVCの変化について、有意な差はみられなかった(-0.18L vs.-0.19L 、p=0.77)。 また、死亡率(4.9%vs. 2.5%、log-rank検定p=0.30)、急性増悪(両群とも2.3%、p>0.99)についても有意差はみられなかった。

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H.pyloriの除菌治療、アジア人胃がん発生を低下/BMJ

 ヘリコバクター・ピロリ(以下、H.pylori)の除菌治療が、健康な無症候性感染者の胃がん発生を予防するのかについて検討した、英国・セントジェームズ大学病院のAlexander C Ford氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、アジア人については減少するという限定的で中程度のエビデンスが示されたことを報告した。理論上では、除菌治療により胃がんの発生率は低下するが、報告されているエビデンスは相反するものだった。BMJ誌オンライン版2014年5月20日号掲載の報告より。6試験をメタ解析 文献検索は、Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを介して2013年12月時点で行われ、また2001~2013年までの学会誌(手動検索にて)、さらに参考文献についても検索した。論文選定では言語は制限せず、H.pyloriが検査で陽性であった以外は健康な無症候性感染者の成人を対象とし、除菌治療を7日以上行いその後の胃がん発生について効果を調べた無作為化試験で、対照群にプラセボまたは未治療を設定しており、追跡期間が2年以上であった試験を適格とした。 主要アウトカムは、アプリオリに定義した、除菌治療のその後の胃がん発生への効果で、胃がん発生の相対的リスクを95%信頼区間(CI)とともに算出して評価した。 検索の結果1,560件の引用が特定された。そのうち適格条件を満たしたのは6件の無作為化対照試験だった。6本のうち4本は中国で、1本は日本で行われたもので、それ以外の地域で行われた試験は国民の胃がんリスクが高いコロンビアのもの1本だった。試験の追跡期間は、最長が14.7年、最短でも4年以上だった。胃がん発生相対リスクは0.66に、NNTは中国人男性で最も少なく15例 6試験の最終追跡時点データをプール解析した結果、胃がん発生例は、除菌治療を受けた健康な無症候性感染患者3,294例では51例(1.6%)であり、対照群3,203例では76例(2.4%)で、相対リスクは0.66(95%CI:0.46~0.95)だった。試験間の不均一性はみられなかった(I2=0%、p=0.60)。 同結果に基づく胃がん1例を予防するために必要な治療数(NNT)は、全体では124例(95%CI:78~843例)だったが、被験者の国別生涯リスクで検討した場合のNNTは、中国人男性で最も少なく15.1例、一方で最も多かったのは米国人女性で245.1例であった。なお日本人は男性15.3例、女性23.0例だった。 そのほか除菌治療の影響について、食道がん発生(評価が行われていたのは1試験のみ)が治療群0.2%(2/817例)、プラセボ群0.1%(1/813例)(p=0.57)であったこと、また、胃がんによる死亡に関しては3試験の評価で、治療群1.1%(24/2,242例)、プラセボ群1.6%(36/2,233例)であったこと、全死因死亡への影響については4試験の評価(各試験の追跡期間は6~14.7年)で、治療群7.3%(192/2,639例)、プラセボ・未治療群6.7%(175/2,614例)の発生であったことが報告されている。 有害事象についての報告は1試験のみ単独論文で報告をしていた。発疹を除外すれば、治療群3.1%、プラセボ群0.1%であり統計的な有意差は認められなかったという。

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変形性股関節症への理学療法、害あって利なし/JAMA

 痛みを伴う変形性股関節症成人患者への理学療法は、痛みや機能性の改善には結びつかないことがオーストラリア・メルボルン大学のKim L. Bennell氏らが行った無作為化試験の結果、示された。また軽度ではあったが有害事象の頻度が高く、著者は、「同患者に対する理学療法プログラムの有益性について疑問を呈する結果となった」とまとめている。症候性変形性股関節症に対してガイドラインでは、薬物治療ではなく理学療法を用いる保存治療が推奨されている。しかし理学療法は、コストがかかることに加えて有効性のエビデンスがそれほど確立されておらず限定的だった。JAMA誌2014年5月21日号掲載の報告より。102例を無作為化し、12週の理学療法介入とシャム介入を行い追跡 変形性股関節症患者への痛みと身体機能に関する理学療法の有効性を評価する無作為化プラセボ対照試験(参加者、評価者ともに盲検化)は、股関節に痛み(100mm視覚アナログスケールで40mm超)を有し、またX線画像診断で股関節の変形が確認された102例の地域住民ボランティアが参加して行われた。 2010年5月~2013年2月に、49例が12週間の介入を受けその後24週間の追跡を受けた。53例は同様にシャム(プラセボ)介入を受けた。被験者は、12週間にわたって10の治療セッションに参加した。介入群には、教育、アドバイス、徒手的理学療法、自宅療法、該当者には歩行補助杖利用などが行われ、シャム群には非活動的な超音波療法とゲル薬の塗布が行われた。 治療後24週時点で、介入群は非管理下での自宅療法が続けられていた。一方シャム群は、週3回のゲル薬の自己塗布が行われていた。 主要アウトカムは、13週時点の平均疼痛度(0mmは痛みなし、100mmは最大級の痛みの可能性と定義し測定)、身体的機能(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index[WOMAC]で0[制限なし]~68[最大級の制限]と定義し測定)だった。副次アウトカムは、同36週時点の測定値、また13週および36週時点の身体的状態、全体的な変化、心理的状態、QOLについても評価した。痛み、身体的機能改善に有意差みられず、軽度だが有害事象報告は介入群が有意 13週時点の測定評価を完了したのは96例(94%)、36週時点については83例(81%)だった。 結果、両群間に痛みの改善について有意な差はみられなかった。介入群の視覚アナログスケールスコアの平均値(SD)は、ベースライン時58.8mm(13.3)、13週時点は40.1mm(24.6)だった。シャム群はそれぞれ58.0mm(11.6)、35.2mm(21.4)であり、平均差をみると、シャム群のほうが良好であった(6.9mm、95%信頼区間[CI]:-3.9~17.7)。 身体的機能のスコアも、両群間で有意な差はみられなかった。介入群のWOMACスコア(SD)は、ベースライン時32.3(9.2)、13週時点27.5(12.9)であり、シャム群はそれぞれ32.4(8.4)、26.4(11.3)であり、平均差はシャム群のほうが良好であった(1.4、95%CI:-3.8から6.5)。 副次アウトカムについても、バランスステップについて13週時点の改善が介入群で大きかったことを除き、両群間で差はみられなかった。 介入群46例のうち19例(41%)が、26件の軽度の有害事象を報告した。一方、シャム群は49例のうち7例(14%)が9件の同事象を報告した(p=0.003)。

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40)DPP-4阻害薬の副作用の上手な説明法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者この薬(DPP-4阻害薬)の副作用は何ですか? 医師他の糖尿病薬に比べると、低血糖、体重増加、むくみ、消化器症状などは少ないといわれています。 患者それでしたら、心配ないですね。 医師ただ、はっきりとはしていないんですが、この薬で膵炎になる人が増えることが、報告されています。 患者膵炎ですか? 医師そうですね。一般的に、膵炎になりやすい人は、お酒をよく飲む人です。 患者それは私ですね。 医師副作用が出ないように、お酒の量には注意してくださいね。 患者わかりました。(納得した顔)●ポイント薬の副作用を説明しながら、節酒指導も行います 1) Faillie JL, et al. Acta Diabetol. 2013 [Epub ahead of print] 2) Boland CL, et al. Ann Pharmacother. 2013; 47: 490-505.

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マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに

 これまで、うつ病の一因としてマグネシウム(Mg2+)の1日摂取量の減少が示唆されており、前臨床試験において食事性マグネシウム摂取の制限(MgR)により、うつ病様行動を増強させることが実証されていた。オーストリア・ウィーン大学医学部のMaryam Ghafari氏らは、マウス実験の結果、MgRは脳内のGluN1を含むNMDA受容体複合体を変化させることを報告した。Brain Structure and Function誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。 Mg2+はNMDA受容体の活性を抑制することが示されていたが、食事で摂取するMg2+が、脳内のNMDA受容体複合体に影響を及ぼすのかについては明らかになっていなかった。研究グループはマウスを用いて、食事性MgRが、脳内のNMDA受容体サブユニット構造体の変化を誘発し、NMDA受容体調節機能を変化するかを調べた。 主な結果は以下のとおり。・MgRは、GluN1を含むNMDA複合体の扁桃体-視床下部タンパク質量の減少と関連していることが示され、うつ病様行動強化を誘発したことが明らかになった。・食事で摂取するMg2+の減少によるGluN1 mRNA値の変化はみられず、転写後の変化は認められなかった。・タンパク質同士の相互作用の可能性を明らかにするために、GluN1の免疫沈降法およびPLA(proximity ligation assays)を行った。予想されたGluN1サブユニットとGluN2A、GluN2Bの関連が明らかになり、また既知の下流シグナルタンパク質に加えて新たにGluA1、GluA2との相互作用も明らかになった。・MgRマウスへのパロキセチン長期投与は、強化されたうつ病様行動を正常化したが、GluN1を含むNMDA受容体量は変化せず、NMDA受容体の下流にターゲットがあることが示された。・現時点のデータから、食事性MgRは脳のGluN1ほかGluN2A、GluN2B、AMPA受容体GluA1、GluA2といくつかのプロテインキナーゼなどを含むNMDA受容体複合体量を変化させたことが示された。・これらのデータは、食事性Mg2+摂取の調節が、MgRにより誘発・強化されたうつ病様行動との関与を示す受容体複合体の機能とシグナルを変化しうることを示すものであった。関連医療ニュース 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 小児ADHD、食事パターンで予防可能か NMDA拮抗薬メマンチンによる再発低血糖症の拮抗ホルモン減弱のメカニズム  担当者へのご意見箱はこちら

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高齢心不全患者に対する植込み型除細動器、バイアスの影響で過少適用に/BMJ

 高齢心不全患者に対する植込み型除細動器(ICD)の臨床効果の評価では、ベースライン時に評価が行われない健康状態の因子が影響を及ぼし、その適用が過少となっている実情が、アメリカ・ハーバード大学医学部のSoko Setoguchi氏らの調査で示された。ICDの臨床試験では、併発疾患を有する高齢患者は、病態が過度に不良と評価される傾向にある。また、観察試験では、測定が行われない背景因子が比較効果(comparative effectiveness)の評価に影響を及ぼしており、薬剤疫学におけるhealthy user biasや、職業性疾患疫学におけるhealthy worker effectに類似のバイアス(healthy candidate bias)を考慮する必要があるという。BMJ誌オンライン版2014年5月8日号掲載の報告より。患者選択に及ぼす非評価因子の影響を後ろ向きコホート試験で評価 研究グループは、高齢心不全患者に対するICD施行の患者選択において、評価が行われない背景因子が及ぼす影響を検討するために、ICDでは改善されないと考えられるアウトカムのリスクを、ICD施行の有無別に比較するレトロスペクティブなコホート試験を実施した。 解析には、ICDレジストリー(2005~2008年)および心不全レジストリー(2005~2008年)のデータと、メディケア(2004~2009年)のICD診療報酬請求データを連関させたデータベースを使用した。ICDの適応と判定された66歳以上の心不全患者2万9,426例が対象となった。 ICDの施行により改善される可能性のないアウトカムとして、非外傷性大腿骨頸部骨折による入院、高度看護施設(老人介護ホーム)への入所、30日死亡率の3項目について評価を行った。ICD非関連イベントの発生リスクがICD施行例で実質的に低い ICD施行例(1万1,573例)はICD非施行例(1万7,853例)に比べ、平均年齢が若く(75.0 vs. 80.0歳)、男性が多く(74 vs. 52%)、白人が多かった(87 vs. 84%)。 また、ICD施行例は非施行例よりも左室駆出率中央値が低く(25 vs. 29%)、心不全による入院歴のある患者(19 vs. 16%)や心不全の病因が虚血性の患者が多かった(87 vs. 79%)。一方、ICD施行例は、非心疾患による入院歴(28 vs. 36%)や、慢性腎臓病(33 vs. 45%)、慢性閉塞性肺疾患(42 vs. 46%)、認知症(8 vs. 20%)、うつ(11 vs. 16%)、転移性がん(1 vs. 3%)などの併発疾患の有病率が低かった。 年齢および性別で補正済みの3つのICD非関連イベントの発生率は、いずれもICD施行例で有意に低かった。すなわち、非外傷性大腿骨頸部骨折による入院のハザード比(HR)は0.77(95%信頼区間[CI]:0.64~0.92)、高度看護施設への入所のHRは0.53(95%CI:0.50~0.55)、30日死亡率のHRは0.12(95%CI:0.10~0.15)だった。 また、駆出率、収縮期血圧、血清ナトリウム、血清脳性ナトリウム利尿ペプチド、推定糸球体濾過量など、すべての背景因子で補正済みのイベント発生率のHRは、非外傷性大腿骨頸部骨折による入院が0.84(95%CI:0.66~1.05)、高度看護施設への入所が0.71(95%CI:0.67~0.76)、30日死亡率は0.20(95%CI:0.17、0~0.24)であり、骨折で有意差が消失したものの、実質的にICD施行例でリスクが低かった。 著者は、「ICD施行例と非施行例間の生存の差には、ICD施行例で非外傷性大腿骨頸部骨折や高度看護施設入所、30日死亡のリスクが低いなど、ベースライン時に評価されない健康状態の因子が影響している」とまとめ、「このようなhealthy candidate biasが、個々の治療法のアウトカムに関する比較効果の観察的解析では落とし穴となる可能性がある。また、高齢患者におけるICDの活用が不十分であることは明白で、これは医師が臨床的な意思決定を行う際に、高価な治療法はベネフィットを受ける可能性が最も高い患者に適用しようと、虚弱などの背景因子を過度に慎重に考慮している実情を反映するものと考えられる」と指摘している。

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