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金属がなくてもMRIで熱傷を起こすことがある【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第14回

金属がなくてもMRIで熱傷を起こすことがあるMRIを撮影する際、体に金属が入っていないか皆さんは慎重に問診すると思います。ほかにも刺青の入っている患者さんでも注意が必要です。最近はタトゥーを入れている患者さんもちらほらいますので、刺青(いれずみ)という言葉よりもタトゥーのほうが通じやすいですね。海外ではタトゥーの比率が高いので注意しながらMRIを撮影していることがほとんどですが、あまり熱傷を高率に起こすわけではなさそうです。MRIによる熱傷は、どれだけ注意しても盲点になるものが存在します。たとえば今回ご紹介する論文。放射線科医にとっては当たり前のことかもしれませんが、私のような内科医にとってはびっくり医学論文の1つでした。Jacob ZC, et al.MR imaging-related electrical thermal injury complicated by acute carpal tunnel and compartment syndrome: case report. Radiology. 2010 ;254:846-850.これは、別に金属でも何でもない患者識別タグを手首に巻いた状態でMRIを撮影された患者さんに起こった不思議な症例報告です。症例は61歳の男性で、極度の閉所恐怖症であったため、麻酔をかけたうえ人工呼吸器を装着してMRI撮影に臨んだようです。右手首には患者識別タグを巻いていました。MRIの撮影が終わると、右手首に水疱と熱傷がみられました。その後、正中神経障害と思われる右手の運動障害を発症し、急性手根管症候群に類似した病態であると診断されました。この男性は、緊急手術を施されました。術中の観察では同部位の筋肉、正中神経まで障害を受けていることがわかり、とくに正中神経はかなり膨張していました。筋膜切開と手根管の開放を行い、デブリドマンされました。術後しばらく右手の運動機能が低下していたそうですが、徐々に快方に向かったと論文には記載されていました。この症例報告における患者識別タグの傷害の原因はほとんど不明であるとされていますが、タグが比較的長い時間つけられていたため、汗などで偶発的に電気伝導ループを形成したのではないかと考察されています。MRIを撮影している際の温度上昇の原因としてラジオ波による人体に吸収されて熱となる比率(Specific Absorption Rate:SAR)がポイントになります。しかしながら、伝導ケーブルなどが関与せずに、規制値内SARで局所的に温度が上昇して熱傷を発症させたという報告は過去にいくつかあります(Radiology. 1996;200:572-575、日磁医誌. 2004; 24: 88-91.)。つまり、汗かきの患者さんは、運が悪ければ偶発的な電気伝導ループによって熱傷を来すこともありうる……ということになります。知り合いの放射線科医に聞いたところ、そんな事態になるのはかなりレアケースだそうですが。ただ、この症例報告のように手首にバンドを巻いているだけでも電気伝導ループを形成してしまう可能性があるため、どのような状況であってもMRIの撮影時には熱傷を発症する可能性があることを知っておく必要がありますね。

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統合失調症の殺人再犯率は公表データよりも低い

 オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAndrei Golenkov氏らは、統合失調症を有する殺人者の殺人再犯率を推定することを目的とした、システマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、公表されている報告が示唆するよりも統合失調症殺人者の殺人再犯性は低いことが示唆されたという。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年2月18日号の掲載報告。 本検討は、Medline、PsychINFO、Embaseをソースとして、1960~2013年11月に発表された殺人と統合失調症の関連研究についてシステマティックレビューとメタ解析を行った。分析では公表データに、論文執筆者から入手した未公表データを加え、ランダムエフェクトメタ解析にて、殺人再犯率のプール推定値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症を有する殺人者の早期殺人再犯率を報告していた研究は3件で、それぞれ4.3%、4.5%、10.7%であったと報告していた。・未公表のデータは11件の研究各著者から入手できた。11件は、1980~2013年に英語で発表された統合失調症を有する殺人者に関する研究であった。そのうち2件は再度の殺人を犯した1例をそれぞれ報告しており、9件では報告はなかった。・試験間の殺人再犯率のバラツキは大きかった(I-square=79)。・統合失調症を有する殺人者の早期殺人再犯率(いずれの試験でも図示はされていなかった)のプール推定値は、2.3%(95%信頼区間[CI]:0.07~7.2%)であった。・公表データからの殺人再犯率のプール推定値は8.6%(95%CI:5.7~12.9%)であったが、個別に提供されたデータからのプール推定値は0.06%(同:0.02~1.8%)で、前者の推定値との間に10倍以上の開きがあった。・以上から著者は、「司法権が及ぶ大半の区域において、統合失調症を有する人の殺人の再犯性は、公表されているほど一般的ではない」と結論している。また、研究間の殺人再犯率のバラツキの理由は不明であるが、「大半の区域で、釈放後の長期にわたるきちんとした治療と監督が殺人の再犯防止に効果を発揮していると思われた」と述べ、「前向きな大規模集団または複数地域での長期にわたる研究を行うことで、統合失調症の人による殺人の再犯リスクをより正確に推定できると思われる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか

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The long and winding road(コメンテーター:岡村 毅 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(180)より-

すでにご承知とは思うが、アルツハイマー型認知症とは認知症の原因疾患の中で最も多くを占める代表的認知症疾患である。脳内にアミロイドβ蛋白が蓄積し、そののちにリン酸化タウ蛋白が蓄積することが病態生理の中心とされている。これはアミロイドカスケード仮説などと呼ばれる。私達がすでに使っているドネペジルなどの認知症治療薬は、この病態仮説とはあまり関係がない「対症療法薬」にすぎない。 そこで現在、このアミロイドカスケードの病態の本丸に作用する薬が開発されている・・・というのが、これまで患者さんや家族にしていた大体の説明である。これからは「しかし、それは完全に失敗している」と付け加えなければならないかもしれない。このBapineuzumabに関しては、APOEの有無を考慮し2つのフェーズ3トライアルを施行したものの、いずれも認知機能に差が出ないという完全なる敗北である。ADNI研究が明らかにしたように、前駆期にすでにアミロイドの病理は完成しており、発症以降の介入は無理があるのかもしれない。絶望的なまでに大きな課題が残された。 よく言われることだが、認知症はこれから私達の社会が直面する最重要の課題である。経済負担も膨大である。病院中心から地域包括ケアへ、急性期から慢性期へ、生命維持から質を考慮した終末期医療へ、などの医療体制の大転換も必要そうだ。 つまり、私たちの社会の総力戦なのである。その中で私達の精鋭部隊(神経学や薬学の優秀な研究者の皆さん)を投入したアミロイド戦線は大いに異状ありということだ(私は平和主義者であるが、わかりやすくするための比喩としてこのような表現を許していただきたい)。今後は根本治療薬の開発の揚げ足を取るような動きもあるかもしれない。しかし、私は「世界中の薬学・神経学者の皆さん、雑音に惑わされず、頑張って!」と声を大にして応援したい。未来の患者さんたちの幸福のために日夜自己犠牲をいとわず働いている研究者の方が意気消沈してしまうことを危惧する。根本治療薬は、すでに30代半ばの私にはおそらく恩恵のない話であるが、私の子供の世代の認知症予防にはきっと役立つだろう。 私は認知症ケアや社会的排除の研究者の端くれであるが、今回のBapineuzumabの敗戦を見て、薬学・神経学の戦友たちに心からのエールを送りたい。社会的支援に関しては、例えばホームレス支援団体が斬新なモデルで高齢者地域支援を始めるなど、イノベーションがおきつつある。しかし創薬を疎かにしてはならない。(くどいようだが)総力戦なのである。嵐の夜もあるかも知れないが、根本治療薬という長く困難な道は、きっと患者さんの幸福に辿り着く道である。

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統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大

 統合失調症患者における認知機能障害を改善する手段に関する研究には、強い関心が寄せられている。奈良県立医科大学の松田 康裕氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬治療と認知機能リハビリテーションとの相乗効果について調べた。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2014年2月10日号の掲載報告。 研究グループは、認知機能リハビリテーションの有効性について検討した無作為化試験や、裏付けのための準無作為化実験的試験の参加者で、統合失調症または統合失調感情障害と診断された患者を対象とし、認知機能リハビリテーションへのアリピプラゾールとリスペリドンとの影響について検討した。被験者(43例)を、(1)対照-リスペリドン(CR群、13例)、(2)リハビリテーション-リスペリドン(RR群、9例)、(3)対照-アリピプラゾール(CA群、10例)、(4)リハビリテーション-アリピプラゾール(RA群、11例)に分類し、リハビリテーション群の被験者は、コンピュータベースの認知エクササイズ(24セッション)をブリッジング(12セッション)とともに12週間受けた。ベースライン時と12週時点で、精神症状、認知機能および社会的機能の評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・認知機能リハビリテーションと抗精神病薬投与を2要因とした分散分析の結果、運動速度について有意な相互作用の効果があることが判明した。・作業記憶と運動速度は、CA群と比較してRA群において有意に向上した。・CR群とRR群の間には、有意な改善がみられなかった。・アリピプラゾール治療患者における認知機能リハビリテーションとの相乗効果は、運動速度の改善として観察された。・アリピプラゾール治療患者において、認知機能リハビリテーションは、作業記憶と運動速度を改善すると思われた。・今回の結果を確認するために、抗精神病薬投与と認知機能リハビリテーションの相乗効果について、さらなる研究が必要である。関連医療ニュース 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症患者は処理速度が著しく低下、日本人でも明らかに:大阪大学 統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大

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たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる

 心理社会的要因はしばしば慢性腰痛発症のリスク因子となり、また治療の予測因子ともなることから、その要因を明らかにする目的で質問票が用いられることがあるが、日常診療ではより簡単な質問票が使いやすい。ノルウェー・Uni Research のSilje Endresen Reme氏らは、うつや不安の評価について、単一質問によるスクリーニングと、一般によく用いられているHospital Anxiety and Depression scale(HADS)やHopkins Symptom Checklist(HSCL)とを比較した。その結果、うつ病性障害に対しては、単一質問によるスクリーニングのほうが、感度が高かったことを報告した。Spine誌オンライン版2014年1月29日号の掲載報告。 研究グループは、慢性腰痛患者におけるうつ病性障害と不安障害の評価における質問票の感度について検討した。 対象は過去2~10ヵ月のうち半分以上を非特異的腰痛で病欠した腰痛患者であった。 検討はまず精神疾患簡易構造化面接法(MINI)を行い、次いで主観的健康不満尺度(Subjective Health Complaint Inventory)の中のうつおよび不安に関する単一質問、ならびに2つのより長い質問票(HADS、HSCL)の結果とMINIの結果を比較し、ROC曲線より感度と特異度を求めた。 主な結果は以下のとおり。・対象被験者は564例であった。・MINIにおいて、うつ病性障害の有病率は4%、不安障害の有病率は12%であった。・単一質問によるスクリーニングの感度および特異度は、うつ病性障害がそれぞれ95%および56%、不安障害が68%および85%であった。・HADSの感度および特異度は、うつ病性障害が91%および85%、不安障害が58%および83%であった。・HSCLの感度および特異度は、うつ病性障害が86%および74%、不安障害が67%および87%であった。・不安障害のうち3つ(パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害)、うつ病性障害のうち2つ(大うつ病性障害、気分変調性障害)に関しては、単一質問によるスクリーニングの感度は100%であった。

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米国住民の7.6%が食物アレルギー

 米国・マウントサイナイ医科大学のScott H. Sicherer氏らは、アレルギー性皮膚疾患とアナフィラキシーに関する最新の研究進捗状況を、2013年に発表された報告を基に概観した。食物アレルギーの研究から、米国住民の7.6%がその影響を受けていることが明らかになったこと、またアトピー性皮膚炎については、表皮細胞の分化における遺伝子や免疫メディエーターの欠損が重症度と関連していることが明らかになるなどの成果がみられたことを報告している。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌2014年2月号(オンライン版2013年12月27日号)の掲載報告。 Sicherer氏らは本レビューにおいて、アナフィラキシー(食物、薬物、昆虫に対する過敏反応)およびアレルギー性皮膚疾患研究の進捗状況を明らかにすることを目的とした。2013年に雑誌に発表された論文をレビューした。 主な内容は以下のとおり。・食物アレルギーに関する研究によって以下の7点が示唆された。(1)米国住民の7.6%が食物アレルギーをもっている。(2)“ヘルシー”な朝食は食物アレルギーを予防する可能性がある。(3)皮膚は重要な感作ルートの可能性がある。(4)アレルゲン成分テストは、診断に役立つ可能性がある。(5)牛乳アレルギーは、早めの検査により予測できる可能性がある。(6)経口あるいは舌下免疫療法は、有望であるが注意も必要である。(7)プレ臨床研究により免疫療法と減感作の有望な代替法が示唆された。・好酸球性食道炎の研究において、成人における結合組織疾患との関連および食事管理が治療に影響を与えることが示唆された。・アナフィラキシー重症度マーカーが明らかになり、潜在的な診断および治療ターゲットが判明する可能性が示唆された。・薬物、昆虫アレルギーの血清検査における洞察が、診断の改善に結びつく可能性が示唆された。・アトピー性皮膚炎の重症度に、表皮細胞の遺伝子および免疫メディエーターの欠損が関与していることが示唆された。

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病的なギャンブラーは、視床下部-下垂体-副腎系の反応が低下している【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第13回

病的なギャンブラーは、視床下部-下垂体-副腎系の反応が低下しているギャンブルといえば、カジノです。超党派の国会議員による国際観光産業振興議員連盟(IR議連=通称・カジノ議連)が、カジノ解禁推進法案を提出したことは知っている方も多いでしょう。ギャンブルには中毒性がありますが、その病態(病態と言っていいのか語弊がありますが)はいまだに詳しく解明されていません。Paris JJ, et al.Gambling pathology is associated with dampened cortisol response among men and women.Physiol Behav. 2010;99:230-233.病的なギャンブルは、薬物中毒と類似している点が多いとされています。そのため、ギャンブルに没頭する被験者に対して、これまで視床下部-下垂体-副腎系のさまざまな検査が行われてきました。この研究は、男女間においてこれらの機能に差がみられるかどうかを主に検証したものです。レクリエーションの一環としてギャンブルを好む21人と病的なギャンブラーである21人を集め(いずれも15人が男性、6人が女性)、彼らが好きなギャンブルのビデオ(スロットマシン、競馬、スクラッチ、ブラックジャックなど)を見せ、唾液中のコルチゾルを調べました。ギャンブル以外のジェットコースターのビデオも見せて、その差をみました。0点から10点までのスケールで興奮度合いをチェックすると、ギャンブルで勝つシーンを含むビデオとジェットコースターのビデオでは点数が高いという結果でした(負けるシナリオでは興奮しにくいようです)。ベースのコルチゾル値は、レクリエーションの一環としてギャンブルを好む人と病的なギャンブラーでは差はみられませんでした。しかしながら、ビデオを視聴し始めると、ギャンブラーの唾液中のコルチゾルは増加しました。しかし、病的なギャンブラーはさほど上昇しないという結果でした(図)。 画像を拡大する (文献より引用)著者らは、病的ギャンブラーは視床下部-下垂体-副腎系の反応が弱いということを指摘しています。すなわち、刺激が日常化しすぎて体が慣れてしまっているということでしょうか。かなり数が少ない被験者での検討ですので、これ以上は言及を避けますが。ベテランの競馬ファンがゴール前で「差せ!差せ!」と興奮して応援している姿もよくテレビで映っていますので、こればかりは個人の性格による差が大きいのではないかと思っています。

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新規開発のEMA401、帯状疱疹後神経痛に有望/Lancet

 新規の神経障害性疼痛治療薬として開発中のアンジオテンシンIIタイプ2型受容体(AT2R)拮抗薬EMA401は、帯状疱疹後神経痛(PHN)の疼痛改善に有望であることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAndrew S C Rice氏らによる第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。1日2回100mgの経口投与による28日間の試験終了時点で、プラセボと比較してPHNの有意な緩和が認められ、忍容性も良好であった。PHNおよび一般的な神経障害性疼痛に対する既存治療は、効果がわずかで好ましくない副作用がある。AT2Rは、神経障害性疼痛の新しいターゲットで、EMA401はこのAT2Rに高い選択性を有するという。Lancet誌オンライン版2014年2月5日号掲載の報告より。6ヵ国29施設でPHN患者183例を対象に第2相無作為化試験 試験は、PHNを有する患者において、EMA401の治療薬としての可能性を評価することを目的とし、6ヵ国29施設の多施設共同にて、22~89歳で6ヵ月以上のPHNを有する患者を登録して行われた。 183例の患者を無作為に、EMA401(1日2回100mg)かプラセボを投与する群に割り付け、28日間治療を行った(EMA401群92例、プラセボ群91例)。患者と各試験サイトのスタッフは割り付け情報は知らされなかった。 EMA401の有効性、安全性、薬物動態を評価。主要有効性エンドポイントは、ベースライン時と投薬最終週(22~28日)との間の、平均疼痛強度[11ポイントの数値的評価スケール(NRS)で測定]の変化であった。プラセボ群と比べて疼痛スコア変化が有意に低下 結果、EMA401群はプラセボ群と比べて、同変化値が有意に低かった。平均疼痛スコアの低下は-2.29[SD 1.75] vs. -1.60 [1.66]、最小二乗平均値補正後の両群差は-0.69[SE 0.25](95%信頼区間[CI]:-1.19~-0.20、p=0.0066)だった。 EMA401に関連した重篤な有害事象は、発生がみられなかった。治療関連の有害事象はEMA401群で32例の患者が56件報告、プラセボ群でも29例の患者が45件報告した。

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カテーテルアブレーション後の再発リスクの予測精度を上げる方法/JAMA

 心房細動(AF)患者における遅延造影MRI上の心房組織の線維化は、カテーテルアブレーション施行後の不整脈再発リスクの独立の予測因子であることが、米国・ユタ大学のNassir F Marrouche氏らが行ったDECAAF試験で示された。AF患者では左心房線維症が高頻度にみられる。遅延造影MRIで同定された心房組織の線維症は、AFに対するカテーテルアブレーションの不良な転帰と関連することが示唆されている。JAMA誌2014年2月5日号掲載の報告。MRI所見とAFアブレーションの転帰との関連を前向き観察コホート試験で評価 DECAAF試験は、遅延造影MRIによる心房組織線維症の評価の実行可能性およびそのAFアブレーションの転帰との関連をプロスペクティブに検証する多施設共同観察コホート試験。Heart Rhythm Society Task Force on Catheter and Surgical Ablation of Atrial Fibrillation(2012年)の判定基準で発作性および持続性AFと診断され、初回カテーテルアブレーションが予定されている患者を対象とした。 アブレーション施行前30日以内に遅延造影MRIが実施された。線維化の定量は、参加施設やアブレーションの方法、アウトカムをブラインドした状態で中央判定によって行われた。また、治療医をブラインドした状態で、線維化をStage 1(心房壁の10%未満)、2(10~20%)、3(20~30%)、4(30%以上)に分類した。アブレーション施行後は、12誘導または携帯型心電図を用いて再発性不整脈の発生を追跡し、その結果について中央判定を行った。 アブレーション施行後90日間は、アブレーション誘導性の炎症関連不整脈の収束期間とし、その後325日、475日目のステージ別の累積不整脈再発率と再発リスクを評価した。再発予測モデルへの線維化の付加により予測精度が改善 2010年8月~2011年8月までに6ヵ国15施設から329例が登録され、MRIの質が不良と判定された57例(17.3%)などを除く260例が最終的な解析の対象となった。これら260例の平均年齢は59.1歳(SD 10.7)、女性が31.5%、発作性AFが64.6%で、アブレーション前に63.9%が抗不整脈薬の投与を受けていた。冠動脈疾患の既往歴は10.0%に認められ、うっ血性心不全が5.8%、糖尿病が12.3%にみられた。16例(6.2%)には冷却バルーンアブレーションが、それ以外の症例にはラジオ波アブレーションが施行された。 左心房線維化の1%増加ごとの再発性不整脈の未調整ハザード比は1.06(95%信頼区間[CI]:1.03~1.08、p<0.001)であった。325日後の未調整の推定累積不整脈再発率は、ステージ1の線維化が15.3%、ステージ2が32.6%、ステージ3が45.9%、ステージ4は51.1%であり、475日後はそれぞれ15.3%、35.8%、45.9%、69.4%だった。調整後の結果もほぼ同様であった。 従来の再発予測モデルの臨床的共変量に線維化を加えると、HarrellのC統計量が0.65から0.69へと上昇し(リスク差:0.05、95%CI:0.01~0.09)、予測精度が有意に改善した。 著者は、「カテーテルアブレーションを施行されたAF患者では、遅延造影MRIで判定された心房組織線維症は再発性不整脈の独立の予測因子であることが示された」とまとめ、「本研究は、われわれの知る限り、アブレーションが予定されているAF患者の管理における3次元遅延造影MRIの実行可能性と臨床的有用性を示した初めての多施設共同試験である」としている。

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小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬

 米国・ヒューストン薬科大学のHua Chen氏らは、小児および思春期の双極性障害患者に対する非定型抗精神病薬と気分安定薬の有効性と安全性を比較検討する、後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、非定型抗精神病薬は気分安定薬に比べ、治療中止や治療増強が少なく、より効果的で安全な治療選択肢となりうることが判明したと報告した。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2014年1月24日号の掲載報告。 小児および思春期の双極性障害患者における非定型抗精神病薬(SGA)と従来薬である気分安定薬(MS)の、有効性と安全性の検討は、2003~2007年の5年間の、地域特性の異なる4州の医療請求書を基に後ろ向きコホート研究にて実施された。双極性障害に対してSGAまたはMSによる新たな治療を開始した6~18歳の小児および思春期患者を対象とし、12ヵ月間追跡して小児双極性障害(PBD)における2つの治療群の有効性と安全性を比較した。主要評価項目は、精神科病院への入院、あらゆる原因による治療中止および治療増強とした。未観察の交絡に起因する選択バイアスの可能性を、医師の処方傾向およびコホート登録時の年齢などの変数を用いて操作変数法で検討した。また、感度分析にて、PBD診断の不確実性に対する頑健性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・小児および思春期の双極性障害は、7,423例が特定された。そのうち66.60%がSGA、33.40%がMSにより治療を開始していた。・MS群とSGA群で、精神科病院への入院リスクは同程度であった(HR:1.172、95%信頼区間[CI]:0.827~1.660)。・SGA群はMS群に比べ、治療中止(HR:0.634、95%CI:0.419~0.961)および治療増強(同:0.223、0.103~0.484)が少ない傾向にあった。・以上より、PBDにおいては、MS単独療法に比べてSGA単独療法のほうがより効果的で安全な治療選択肢になりうると考えられた。関連医療ニュース 小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は? うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は 双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分

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認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か

 英国・ロンドン大学のVasiliki Orgeta氏らは、認知症に対する標準的ケアに精神療法を追加することで、併存することの多い不安や抑うつに有効であるか否かを明らかにするため、システマティックレビューを行った。その結果、抑うつおよび医師評価による不安は精神療法により軽減すること、その一方で自己評価あるいは介護者評価による不安の軽減には有効性を認めなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年1月22日号の掲載報告。 認知症および軽度認知障害(MCI)を有する者は不安や抑うつを非常によく経験するため、精神的な介入が有用な治療とされてきた。また最近の研究で、認知症およびMCIではwell-beingの改善を目的とした精神療法の機会が限られていることが示唆されている。したがって、アウトカム改善および将来的な実臨床での推奨という観点から、精神療法の有効性に関するエビデンスを把握するためのシステマティックレビューは有用だと考えられる。このような背景からOrgeta氏らは、認知症またはMCIにおける不安および抑うつの軽減を目的とした精神療法の有効性を評価するため、レビューを行った。 Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group Specialized Registerおよび公開・未公開データの情報も検索し、認知症またはMCIに対する標準的ケアまたはプラセボ(計画的でない突発的な対応:コントロール群)と、それらに精神療法を追加した場合を比較検討する無作為化対照試験(RCT)をレビューの対象として選択した。試験の選択、データの抽出、試験のバイアス評価は、2名のレビュワーが独立して行った。公表されている記事から情報が得られない場合は、著者をたどってさらに調査した。 主な結果は以下のとおり。・RCT 6件の認知症被験者439例についてレビューを行った。MCIはいずれの試験にも含まれていなかった。試験実施国は数ヵ国にわたり、認知症患者は地域在住または施設に入所中であった。・試験のバイアスが低かったのは1件のみで、残りの5件については、無作為化、盲検化、結果の報告に関する偏りなどのためバイアスリスクは不明または高かった。・認知行動療法(CBT)、対人関係療法およびカウンセリングの方法は、試験によりさまざまであった。・特別な精神療法を含め、数種類の介入を行っていた試験が2件あった。精神療法を追加した比較群では、標準的ケアに加えて注意-制御教育プログラム、診断のフィードバックや診断サービスなど、標準的ケアに比べやや多くのサービスが提供された。・メタ解析により、うつ(6試験、439例、平均標準差[SMD]:-0.22、95%信頼区間[CI]:-0.41~-0.03、エビデンスの質中等度)および医師評価による不安(2試験、65例、平均差[MD]:-4.57、95%CI:-7.81~-1.32、エビデンスの質は低)において、精神療法のポジティブな効果が示された。・一方、自己評価による不安(2試験、SMD:0.05、95%CI:-0.44~0.54)、介護者評価による不安(1試験、MD:-2.40、95%CI:-4.96~0.16)においては、精神療法のポジティブな効果は示されなかった。・患者QOL、日常生活動作(ADL)、神経精神症状、認知機能、介護者評価による抑うつ症状などの副次評価項目については、ベネフィットとハームのバランスがとれていた。ただし、試験の大半はこれらアウトカムの評価を行っていなかった。・有害事象の報告はなかった。・認知症の標準的ケアに精神療法を追加することで、うつ症状の軽減、医師評価による不安の軽減につながるというエビデンスが認められ、精神療法は患者のwell-beingを改善しうると考えられた。最も効果的な治療法の検討、ならびにMCIへの精神療法の有効性を評価するには、さらに質の高い研究が求められる。関連医療ニュース 認知症高齢者5人に1人が抗コリン薬を使用 認知症患者の約2割にせん妄が発現 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学

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変形性膝関節症へのヒアルロン酸関節注射、ステロイドと同程度に有効

 変形性膝関節症(膝OA)に対する非動物性の安定化ヒアルロン酸(non-animal stabilized hyaluronic acid:NASHA)ゲル単回関節内投与の有効性および安全性をメチルプレドニゾロンと比較検討する臨床試験が、カナダ・エリザベス女王(QEII)ヘルスサイエンスセンターのRoss K. Leighton氏らによって行われた。結果、12週時点のNASHAのメチルプレドニゾロンに対する非劣性が示された。NASHAの効果は持続的で忍容性も良好であったという。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年1月号(オンライン版2013年11月1日号)の掲載報告。 研究グループは、疼痛を有する片側膝OA患者442例を対象に、NASHA単回関節内投与のメチルプレドニゾロンに対する非劣性を検証する26週間の多施設共同無作為化二重盲検試験を行った。 主要評価項目は、12週後の有効率(WOMAC疼痛スコアの試験開始時からの改善率が40%以上かつ絶対値で5ポイント以上低下した患者の割合)であった。 二重盲検試験終了後(26週後)は、全例にNASHAを投与し、さらに非盲検にて26週間追跡する延長試験が行われた。 主な結果は以下のとおり。・12週後の有効率は、NASHA群44.6%、メチルプレドニゾロン群46.2%で、群間差は1.6%(95%信頼区間[CI]:-11.2~7.9%)で、非劣性が示された。・12~26週において、WOMACの疼痛スコア、身体機能、こわばりに関する有効性は、NASHA群がメチルプレドニゾロン群より大きかった。・延長試験では、初期治療に関係なくNASHA投与後26週間の持続的な改善効果が示された。・治療に関連する重篤な有害事象は報告されなかった。

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てんかん治療の改善は健康教育から始まる

 てんかん治療の格差は貧困国において最も大きい。ケニア・KEMRI(Kenyan Medical Research Institute)のFredrick Ibinda氏らは、健康教育プログラムにより治療アドヒアランスが改善するのか、無作為化試験にて評価を行った。農村地帯への1日の介入で行われた検討の結果、健康教育がてんかんに関する知識を向上することが示された。しかし1日だけの教育では、アドヒアランスの改善には結びつかなかったことも判明し、著者は「継続的な教育がアドヒアランスを改善する可能性があり、さらなる研究が必要である」と述べている。Epilepsia誌オンライン版2014年1月21日号の掲載報告。 ケニアの農村地帯への1日健康教育プログラム(キリフィてんかん教育プログラム)の有効性について検討した無作為化試験は、738例のてんかん患者を介入群と非介入(対照)群に割り付けて行われた。主要アウトカムは、抗てんかん薬(AED)のアドヒアランス状況で、血中薬物濃度(標準的な血液アッセイで測定、検査技師は割り付けをマスキング)にて評価した。副次アウトカムは、てんかん発作の頻度とKilifi Epilepsy Beliefs and Attitudes Scores(KEBAS)(訓練された介入スタッフにより行われた質問アンケートで評価)であった。データは、ベースライン時と介入群への教育介入後1年時点に集め分析した。また事後解析として、修正ポアソン回帰分析にて、アドヒアランス改善(AEDのベースライン時の非至適血中濃度からの変化で評価)、発作の減少、KEBASの改善に関連した因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時と介入後1年時点の両時点で評価が行われたのは581例であった。・試験終了時点で血液サンプルが入手できたのは、介入群105例、対照群86例であった。解析は、最もよく服用されていたAED(フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン)について行われた。・結果、AED血中濃度ベースのアドヒアランスについて、介入群と対照群で有意差はみられなかった(オッズ比[OR]:1.46、95%信頼区間[CI]:0.74~2.90、p=0.28)。自己報告でみた場合も同様であった(同:1.00、0.71~1.40、p=1.00)。・一方で、介入群のほうが対照群よりも、てんかんの原因についての伝承、民間療法、ネガティブなステレオタイプに対する固定観念を持っている人が有意に少なかった。・発作の頻度については、差がなかった。・ベースライン時とフォローアップ時のデータを比較した結果、アドヒアランス(血中濃度で評価)は介入群(36%から81%、p<0.001)、対照群(38%から74%、p<0.001)ともに有意に増大した。・発作頻度が減少した(直近3ヵ月で3回以下)患者数は、介入群は62%から80%(p=0.002)、対照群67%から75%(p=0.04)と増大した。・治療アドヒアランスの改善(両群を統合して検討)は、てんかんリスクについてのポジティブな信条への変化(リスク比[RR]:2.00、95%CI:1.03~3.95)、および非伝統的宗教的信条への変化(同:2.01、1.01~3.99)と明らかな関連がみられた。・発作頻度の減少は、アドヒアランスの改善と関連していた(RR:1.72、95%CI:1.19~2.47)。・KEBASのポジティブな変化は、高次教育を受けたことと関連していた(非教育との比較でのRR:1.09、95%CI:1.05~1.14)。・以上のように、健康教育はてんかんについての知識を改善するが、1回だけではアドヒアランスは改善しないことが示された。しかしながら、将来的な検討で継続的教育はアドヒアランスを改善する可能性がある。関連医療ニュース ベンゾジアゼピン部分アゴニスト、新たなてんかん治療薬として期待 日本の高齢者てんかん新規発症、半数以上が原因不明:産業医大 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か

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統合失調症患者は処理速度が著しく低下、日本人でも明らかに:大阪大学

 統合失調症患者は文化的要因が影響する神経心理学的検査において、統合失調症でない患者と比較してパフォーマンスが劣ることが報告されている。大阪大学の藤野 陽生氏らは、ウェクスラー成人知能検査(WAIS-III)日本語版を用いて、統合失調症患者のパフォーマンスを検討した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年1月22日号の報告。 日本人統合失調症患者157例と健常者264例を対象に、WAIS-IIIでのパフォーマンスを評価した。WAIS-IIIから得られた、すべての知能指数スコアと4群指数(言語理解、知覚統合、作動記憶、処理速度)により比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は健常者と比較し、すべての知能指数スコアと4群指数が損なわれていた。・とくに処理速度は、健常者よりも約2SD低かった。・13のサブテストのなかで、理解(z = -1.70、d = 1.55)、符号(z =-1.84、d = 1.88)、記号探し(z-1.85、d = 1.77)は健常者と比較し著しく損なわれていた。・日本人統合失調症患者におけるWAIS-IIIによって評価された障害のタイプや程度は、これまで英語圏で報告されたものと同様であった。また、機能的転帰に関連するいくつかの神経心理学的分野の障害は、統合失調症の普遍的な特徴であると考えられる。関連医療ニュース 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大 統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大

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脂漏性皮膚炎への経口抗真菌薬の使用実態が明らかに

 カナダ・トロント大学のA.K. Gupta氏らは、脂漏性皮膚炎に対する経口薬治療について発表された文献数とその質について系統的レビューを行った。脂漏性皮膚炎は通常、局所ステロイドまたは抗真菌薬による治療が行われ、重症例もしくは治療抵抗性の場合には経口薬治療が可能とされている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌2014年1月号の掲載報告。 Gupta氏らによる系統的レビューは、MEDLINE、Embaseのデータベースおよび文献参照リストを探索して行われた。脂漏性皮膚炎の経口薬治療に関するあらゆる報告を対象とした。 文献の質について、Downs&Black修正27項目チェックリストを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・検索により、8つの経口薬治療(イトラコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール、ケトコナゾール、プラミコナゾール、プレドニゾン、イソトレチノイン(国内未承認)、ホメオパシー療法)をカバーした21本の報告(無作為化対照試験、非盲検試験、症例報告)が特定された。・大半の報告は、経口抗真菌薬について検討していたが、その質は概して低かった。・臨床的有効性アウトカムは、試験間でかなりのばらつきがあり、統計解析と治療間の直接比較は難しかった。・その中で、ケトコナゾール治療は、ほかの経口薬治療と比較して脂漏性皮膚炎再発との関連がより大きかった。・イトラコナゾールの投与量は通常、最初の1ヵ月の第一週は200mg/日、2~11ヵ月は、月初めの2日間に200mg/日が投与されていた。・テルビナフィンは、250mg/日を連続投与(4~6週)もしくは間欠投与(月に12日間を3ヵ月)で処方されていた。・フルコナゾールは、連日投与(50mg/日を2週間)もしくは毎週投与(200~300mg)を2~4週で設定されていた。・ケトコナゾールの投与レジメンは1日200mgを4週間であった。・プラミコナゾールは、200mg単回投与であった。・著者は、「今回のレビューにより、将来、試験をデザインする際に考慮すべきキー領域が明らかになった」とまとめている。

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イブプロフェン塩速効性製剤vs.標準製剤

 Cochraneレビューにおいて、速やかに吸収されるイブプロフェン塩(速効性製剤)は遊離酸形態のイブプロフェン(標準製剤)より優れた鎮痛効果を発揮することが示唆されている。英国・オックスフォード大学のR. Andrew Moore氏らは,イブプロフェンの各種経口製剤の薬物動態および臨床効果についてシステマティックレビューを行い、速効性製剤は有害事象の発現を増加させることなく速やかに吸収され、優れた鎮痛効果を発揮することをあらためて示した。鎮痛薬にとって製剤学は重要と考えられるとまとめている。PAIN誌2014年1月号(オンライン版2013年8月21日号)の掲載報告。 本レビューでは、イブプロフェン速効性製剤の利点を調べることを目的に、PubMedにて「イブプロフェン」「リジン」「アルギニン」「ナトリウム」「液剤」「可溶性」「発泡性」「薬物動態」などをキーワードにして論文検索が行われた。 薬物動態に関するレビューには30試験、被験者1,015例、臨床効果に関するレビューには被験者1万例以上のデータが組み込まれた。 主な結果は以下のとおり。・最大血漿中濃度中央値の到達時間は、標準製剤より速効性製剤は約50分も早かった(標準製剤:90分、アルギニン塩、リジン塩およびナトリウム塩製剤:29~35分)・間接比較および直接比較のいずれにおいても、速効性製剤は標準製剤より鎮痛効果が有意に優れ再投与も少なかった。・歯痛に関する研究では、鎮痛作用の発現は速効性製剤200mg(治療必要数[NNT]:2.1、95%信頼区間[CI]:1.9~2.4)と標準製剤400 mg(NNT:2.4、95%CI:2.2~2.5)が同程度で、投与後60分以内の疼痛強度の低下と投与後6時間の有効性に強い相関がみられた。・投与後初期の疼痛強度の速やかな低下は、再投与の減少と関連していた。 ・速効性製剤で有害事象を報告した患者の割合は、標準製剤より高くなかった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」・腰痛診療の変化を考える~腰痛診療ガイドライン発行一年を経て~・知っておいて損はない運動器慢性痛の知識・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識

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早漏症にSSRI、NO濃度との関連を確認

 トルコ・Sisli Etfal研究教育病院のS. L. Kirecci氏らは、精漿中の一酸化窒素(NO)レベルと、早漏症に対するSSRIの有効性との関連について検討を行った。その結果、早漏症は精漿中NO濃度高値と関連しており、SSRI投与により精漿中NO濃度が減少し、さらに膣内挿入から射精までの時間が延長することを報告し、SSRIが早漏症に有効な可能性を示唆した。Andrologia誌オンライン版2013年12月20日号の掲載報告。 本研究の目的は、精漿中のNOレベルと、早漏症に対するSSRIの有効性との関連を明らかにすることであった。原発性早漏症(膣内挿入から射精までの時間[IELT]<1分)の男性16例(32.18±3.32歳)および健常男性11例(コントロール群)が登録された。健常男性はグループ1に、早漏症患者はグループ2と3の2群に無作為に割り付けられた。グループ2にはパロキセチン20mg/日、グループ3にはセルトラリン50mg/日がそれぞれ4週間投与された。ベースライン時および治療後の所見を3群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・早漏症患者におけるベースライン時の平均精漿中NO濃度は、健常男性と比較して有意に高かった(32.24±5.61μmL-1対19.71±3.50μmL-1)(p<0.001)。・IIEFスコア、IELTスコアとNO濃度との関連において、パロキセチンおよびセルトラリン群の間で有意な差は認められなかった。・最初の1ヵ月の最終日において、パロキセチンおよびセルトラリン群における平均IELTスコアは、ベースライン値と比較して有意に改善していた(p<0.001)。・パロキセチンおよびセルトラリンによる治療後、NO濃度はベースラインと比較し減少していた。・以上より、早漏症は精漿中NO濃度高値と有意に関連していることが示唆された。SSRI投与後の精漿中NO濃度の減少は、射精を遅らせる可能性がある。これらの結果を確認するため、また病態生理におけるNOの役割、早漏症治療について明らかにするためにさらなる研究が必要である。関連医療ニュース 早漏治療にはSSRI、トラマドールが有効?! 閉経期ホットフラッシュにSSRIが有効 片頭痛の予防に抗てんかん薬、どの程度有用か

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痩身クリームの効果は-0.46cm

 イタリア・ミラノ大学のF. Turati氏らは、塗るだけでセルライトを減らす(cellulite reduction)効果をうたうコスメ製品について、システマティックレビューとメタ解析を行った。同製品の有効性を調べたオリジナル研究論文は、過去10年間で急速に増加したが、これまでシステマティックレビューとメタ解析は行われていなかった。検討の結果、有効性は大腿囲減少についてわずかに認められるとする知見が得られたことを報告した。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌2014年1月号の掲載報告。 研究グループは、PRISMAガイドラインを適用しているヒトに対するin vivo のシステマティックレビューを行った。また、メタ解析的アプローチを用いて、1アーム10例以上の被験者を組み込み、転帰尺度として大腿囲減少を用いていた対照試験から痩身クリームの全体的な有効性を推算した。 主な結果は以下のとおり。・Medline、Embaseにより2012年8月までに発表された論文から適格試験を検索した。・結果、オリジナル試験は21件であった。全試験が臨床試験であり、大半は女性だけを対象としており、67%は患者内試験として設計されたものであった。・検証されていた痩身クリーム製品の約半数は、キサンテン、ハーブあるいはレチノイドのうち1種類の活性成分を含むだけのものであった。・その他の試験では、痩身クリームをより複雑な手法で検証していたが、試験対象の大部分がキサンテンを含むものであった。・メタ解析の適格基準を満たした対照試験は計7件であった。・治療群と対照群間の大腿囲減少のプール平均差は、-0.46cm(95%信頼区間[CI]:-0.85~-0.08)であった。試験間の不均一性は有意であった(p<0.001)。・以上を踏まえて著者は、「本稿は、セルライトを減らすというコスメ製品の有効性について、科学的エビデンスの系統的な評価を示すとともに、大腿囲減少の効果がわずかにあることを支持するものである」とまとめている。

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変性椎間板の有病率、50歳以上で90%超:Wakayama Spine Study

 これまで、一般地域住民を対象に全脊柱レベルでMRIを撮像し変性椎間板の分布や有病率などについて調べた報告はなかった。和歌山県立医科大学の寺口 真年氏、同講師・橋爪 洋氏、同主任教授・吉田 宗人氏らは、初めてこの課題に取り組み、その結果、変性椎間板の有病率は非常に高く、頚椎、胸椎および腰椎の各部位で椎間板変性はそれぞれC5/6、T6/7およびL4/5に最も多く分布していることを明らかにした。今回の知見は、椎間板変性の原因やメカニズムを解明するうえで有益な情報になると考えられる。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年1月号(オンライン版2013年12月5日号)の掲載報告。 研究グループは、MRIを用い全脊柱における変性椎間板の分布と有病率、ならびにその関連因子などについて調べた。 対象は、Wakayama Spine Studyに参加した21~97歳の一般住民975例(男性:324例、平均67.2歳/女性:651例、平均66.6歳)である。 MRIのT2強調矢状断面像をPfirrmann分類に従って評価し、グレード4および5を「椎間板変性あり」として、頚椎、胸椎、腰椎および全脊柱における変性椎間板の有病率を算出するとともに、症状ならびに関連因子について解析した。 主な結果は以下のとおり。・全脊柱における変性椎間板有病率は、50歳未満で男性71%、女性77%、50歳以上では男女ともに90%超であった。・各部位における変性椎間板の有病率は 、頚椎ではC5/6(男性:51.5%、女性:46%)、胸椎ではT6/7(男性:32.4%、女性:37.7%)、腰椎ではL4/5(男性:69.1% 、女性:75.8%)が最も高かった。・すべての部位で、年齢および肥満が変性椎間板の存在と関連していた。・腰痛は、腰椎において変性椎間板の存在と関連していた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」・腰痛診療の変化を考える~腰痛診療ガイドライン発行一年を経て~・知っておいて損はない運動器慢性痛の知識・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識

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ビタミンD不足の成人、アトピー性皮膚炎罹患が1.5倍

 韓国の一般成人において、ビタミンD不足の人にはアトピー性皮膚炎が多くみられる傾向が判明した。ビタミンD値が十分な人と比較して約1.5倍であった。同関連は、喘息やアレルギー性鼻炎、IgE感作とのあいだではみられなかった。オーストラリア・ロイヤル・パース病院のHui Mei Cheng氏らが報告した。アレルギー性疾患におけるビタミンDの影響は明らかではなく、とくに成人アジア人について大規模住民ベースで検討された研究はなかったという。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2013年12月30日号の掲載報告。 韓国の一般成人におけるビタミンDとアレルギー性疾患との関連の評価は、断面調査にて行われた。具体的には、2008~2010年に国民健康栄養調査に参加した19歳以上の1万5,212人のデータを分析した。 交絡因子補正後血清25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値とアレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎と、増大した総血清IgEおよびアレルゲン特異的血清IgE値を含む)との関連を、重回帰分析法を用いて比較した。 血清25(OH)D値が十分、不十分、不足であるかを、交絡因子補正後の多重ロジスティック回帰分析を用いた推定オッズ比(OR)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・交絡因子補正後、平均血清25(OH)D値は、アトピー性皮膚炎と診断されている被験者が同診断をされていない被験者よりも、有意に低値であった(平均±SE値:18.58±0.29ng/mL対19.20±0.15ng/mL、p=0.02)。・ビタミンD値が十分であった被験者と比較して、アトピー性皮膚炎の補正後ORは、不十分であった被験者(12~19.99ng/mL、OR:1.50、95%CI:1.10~2.06)、不足していた被験者(<12 ng/mL、同:1.48、1.04~2.12)で有意に高値であった(いずれもp=0.02)。・これらの関連は、他のアレルギー性疾患を有する被験者ではみられなかった。

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