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統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

 統合失調症の再発を繰り返す患者について、経口抗精神病薬(経口AP)から非定型持効性注射薬(非定型LAT)に切り替えた結果、再入院率および緊急救命室(ER)受診率が減少したことが、後ろ向きデータベース解析の結果から示された。カナダ・Groupe d’analyse社のMarie-Helene Lafeuille氏らがPremier Hospitalの過去5年間の電子カルテデータを解析して報告した。先行研究において非定型LATの有用性は示されているが、大半が再入院にのみ着目し入院やER受診については考慮されていなかった。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年9月10日号の掲載報告。 解析に用いられたのは、2006~2010年のPremier Hospitalデータベースの電子カルテデータであった。統合失調症関連の入院中に経口APを服用していた成人患者について、再発例(統合失調症による再入院)を特定し、また(a)非定型LATに切り替えた患者、(b)経口APを継続した患者、に階層化して評価した。評価は傾向スコアモデルを用いて、非定型LAT患者と経口AP患者を1対3の割合で適合させて行った。Andersen-Gill Cox比例ハザードモデルを用いて、時間経過に伴う複数回再発における全要因再入院率とER受診率への非定型LATの影響を評価した。多重性に関する調整は行われなかった。 主な結果は以下のとおり。・非定型LAT患者1,032例と適合した経口AP患者2,796例が評価に組み込まれた。両群の患者は、人口統計学的に釣り合いがとれており(平均年齢:42.1歳対42.4歳、p=0.5622/ 女性患者比:43.6%対44.6%、p=0.5345)、臨床的および入院先の病院特性も同様であった。・全体の追跡期間は平均30ヵ月間であった。その間に、非定型LAT群のほうが経口AP群と比較して、再入院(平均回数:1.25対1.61、p<0.0001)、ER受診(平均回数:2.33対2.67、p=0.0158)が有意に少なかった。同様に、入院日数も有意に少なかった(平均日数:13.46対15.69、p=0.0081)。・再入院率(HR:0.81、95%CI:0.76~0.87、p<0.0001)、ER受診率(同:0.88、0.87~0.93、p<0.0001)は、非定型LAT群のほうが経口AP群よりも有意に低下した。関連医療ニュース 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤 非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには

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女性のアルツハイマー病リスクに関与する遺伝子パターン

 アルツハイマー病(AD)の病因論に迫るため、ADの主要リスク因子が及ぼす影響に関与していると考えられているエストロゲン受容体(ER)の一塩基多型(SNP)の役割について、スペイン・クルセス大学病院のManuel Fernandez-Martinez氏らは、調査を行った。その結果、アポリポ蛋白E(APOE)遺伝子キャリアの女性において、健忘性の軽度認知障害(MCI)およびADに関連する、SNPの未発現の対立遺伝子の組み合わせがあることを明らかにした。なお、APOE遺伝子はAD発症に密接に関与しており、ADの強力な独立リスク因子の一つであるが、その関与は部分的で他の遺伝子または因子の関与が示唆されていた。BMJ Open誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。 研究グループは、ERのSNPの役割を明らかにすることを目的とした症例対照研究を行った。具体的には、rs9340799、rs2234693、rs2228480(ESR1遺伝子)とrs4986938(ESR2 遺伝子)について、MCIおよびADのリスク因子としての可能性と、APOE遺伝子との関連の可能性について調べた。被験者は、バスク地方の複数の病院の神経学部門から前向きに集められた、50歳以上の白人816例であった。それぞれの対立遺伝子、遺伝子型について調べ、MCIおよびADとの関連についてロジスティック回帰分析モデルを用いて検証した。 主な結果は以下のとおり。・被験者816例は、MCI患者204例、AD患者350例、健常対照262例であった(診断分類は臨床検査、神経心理学的検査に基づく)。・検証したSNPのESR1遺伝子とESR2遺伝子の対立遺伝子および遺伝子型はいずれも、MCIまたはADのリスクと独立した関連はみられなかった。・しかしながら、これらSNPの未発現対立遺伝子の組み合わせ(XPAAと表される)について、APOE*ε4対立遺伝子を有する女性において、MCI(OR:3.30、95%CI:1.28~8.54、p=0.014)およびAD(同:5.16、2.19~12.14、p<0.001)のリスク増大との関連が認められた。関連医療ニュース これからのアルツハイマー病治療薬はこう変わる アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定 アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか?

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人工膝関節置換術後の慢性疼痛を予測する術前検査

 人工膝関節置換術(TKR)後は、施術された患者の約20%に慢性痛がみられる。英国・ブリストル大学のVikki Wylde氏らは、術前の圧力痛覚測定で認められた広範囲の疼痛感作がTKR後の慢性痛と関連している可能性があることを明らかにした。今回の研究は予備的検討であり、さらなる研究が必要であるとまとめている。Osteoarthritis and Cartilage誌2013年9月号の掲載報告。 研究グループは、TKRの術前痛覚閾値と術後の慢性痛の関係について調べるため、TKRが予定されている変形性関節症患者51例を対象として、術前に定量的感覚検査(QST検査)を行い、患膝と前腕の圧痛覚閾値と熱痛覚閾値を評価するとともに、TKR後1年時点における患膝の疼痛をWOMAC疼痛スコアにて評価した。 術前のQST検査における閾値の対照として、データベースから得られた膝の疼痛がない健常者50人のデータを用いた。 主な結果は以下のとおり。・術前において、患者群は健常者群と比較し、圧刺激に対する疼痛感作が限局性(膝)および広範性(前腕)に認められた。・前腕の術前圧痛覚閾値が、1年後のWOMAC疼痛スコアと有意に相関していた(r=0.37、p=0.008)。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?

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元パワースポーツ選手の死亡率と自殺率

 身体的トレーニングは健常者の死亡率を減らすことが示されており、アスリートたちは現役引退後も、健常者に比べてより健康的なライフスタイルを過ごしている。一方、1950年代以降、とくにパワースポーツの分野で、蛋白同化男性化ステロイド(AAS)が頻繁に使用された。 サールグレンスカ大学病院(スウェーデン)のA-S. Lindqvist氏らは、1960~1979年に現役で、AAS使用の疑いがある時期に、レスリング、パワーリフティング、ウエイトリフティング、投てき競技でスウェーデンの選抜選手だった男性アスリートにおいて、死因を含め、死亡率を調査した。Scandinavian journal of medicine & science in sports誌2013年9月12日号オンライン版の掲載報告。 主な結果は以下のとおり。・20~50代で45%前後の超過死亡がみられたが、調査期間全体では死亡率は増加していなかった。・自殺による死亡率は、30~50代では元アスリートは男性の一般集団と比較して2~4倍であった。AASの使用は1960~1979年に注目され、1975年まで使用禁止薬物とならなかったため、AAS使用による影響が死亡率と自殺率の増加につながった可能性が考えられる。・悪性腫瘍による死亡率は元アスリートで低かった。元アスリートたちの健康的なライフスタイルがその低さにつながったのかもしれない。

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Stand up for epilepsy with one voice

国際抗てんかん連盟(ILAE)は、「てんかんが生活の妨げとなることのない世界」を目指して1909年に設立された組織である。ILAEで前理事長を務めたSolomon L. Moshé氏(アルバート・アインシュタイン医科大学 教授)は、てんかんをめぐる現在の課題とILAEの今後の取り組みについて講演した。ILAEは、世界各国の医療従事者・患者とそのケアを担う人々・行政機関・一般市民に対し、てんかんに関する教育と研究リソースを提供することを使命とし、「医療従事者にてんかんの予防・診断・治療・研究のための最新の知見を提供すること」、「最適かつ包括的なてんかんケアを支援すること」を目標として活動を行ってきた。しかし、現状では問題が山積しているという。てんかんは、一般の人々からの理解が乏しく、偏見の対象となりやすい疾患である。患者やその家族は、自分たちの状況を人目にさらしたがらず、このことは患者の治療・ケア・早期診断・医学研究・人権擁護―すなわち患者・家族の生活そのものに影響を与えている。また、研究・薬剤開発においては、「てんかん予備群を同定できる信頼性の高いバイオマーカーがなく、てんかんの予防医療を開発するうえでの重大な制約となっている」、「過去20年間に開発された薬剤は薬剤抵抗性てんかんにはほとんど効果がない」などの壁に突き当たっている。Moshé氏は、今後、治療・ケアの面での課題を国際的に解決していくには、「てんかん患者、NGOおよびWHO」「政府機関」「医療従事者」「研究者」の4者の連携が不可欠であることを強調。その理由として、てんかんの未知の原因の特定や新たな治療法・予防医療戦略の開発にはさらなる共同研究が必要であることを挙げ、連携により「各国の認可治療による知見への理解や専門性の高い研究活動への参加」、さらに「各国のさまざまな衛生調査・医療福祉サービスの理解」などが可能となるだろう、と展望を述べた。薬剤抵抗性てんかんについては前述のような問題はあるものの、近年の病態生理研究の進展とともに、薬剤抵抗性のメカニズムが解明されつつある。Moshé氏は、「研究が進展している今こそ、てんかんを取り巻く諸問題の改善のため、研究資金提供者を含めた関係者間の連携およびコミュニケーションが重要である」と訴え講演を結んだ。(ケアネット 萩原 充)

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利用環境/動画視聴について

ご利用環境/動画視聴についてCareNet.comが正しく表示されません動画が再生できませんCareNet.comが正しく表示されません当サイトを快適にご覧いただくため、以下の環境での閲覧を推奨しております。動画が再生できません動画が再生できない場合には複数の原因が考えられます。下記のトラブルシューティングの内容を実行すると、問題を解決できる場合があります。はじめに:下の「再生確認用サンプル」は再生できますか?#FAQbackground { clear: both; width: 100%; padding-top: 10px; padding-right: 0px;}#FAQmovie { width: 300px; margin: 0 auto; clear: both; padding-bottom: 10px; padding-left: 0px;} 再生確認用サンプル動画 再生できなかった場合:以下の全ての手順をお試しください。再生できた場合:以下の2、3、4、5、7をお試しください。(1)ブラウザ以外のアプリケーションを停止し、ブラウザのウインドウやタブを閉じてみる。複数のアプリケーションが動作していたり、ブラウザが複数のウインドウやタブを開いていたりすると、PCに負荷がかかり動画が再生されない場合があります。(2)PCを再起動してみる。PCやデバイス側が不安定になっている場合にはPCの再起動で回復する可能性があります。(3)ブラウザの一時ファイル(キャッシュファイル)やCookieを削除する。再生に必要なデータが不完全な状態でブラウザに保存されてしまうと動画やデータの再読み込みができなくなる事があります。ブラウザの一時ファイル(キャッシュファイル)やCookieを削除してください。ブラウザの一時ファイルやCookieの削除の方法はご利用のブラウザのヘルプなどをご確認ください。(4)ブラウザのプラグインや拡張機能を無効にする。ブラウザのプラグインや拡張機能の影響で動画が再生されない場合があります。特に広告ブロック(AdBlock等)のプラグインによる影響が考えられます。プラグインや拡張機能を無効にし、ブラウザを再起動してください。(5)ブラウザのセキュリティーレベル設定を確認する。ブラウザのセキュリティーレベルの設定や、特定の項目の設定をすることにより、動画の再生ができないことがあります。セキュリティーレベルの設定を厳しく(高く)設定していないか確認し、CookieやJavaScriptの使用を禁止している場合は許可するように設定を変更してください。(6)インターネットの回線速度を確認する。動画の視聴には最低限500kbps以上の安定した回線速度が必要です。また、快適にご覧いただくには2Mbps以上の環境をお勧めします。視聴環境の回線速度を調べるには検索サイト(Google等)で「インターネット速度テスト」を検索し、回線速度テストサイトでテストを行ってください。また、CookieやJavaScriptの使用を禁止していても再生ができません。セキュリティーレベルの設定を確認し、拒否や制限をしていれば許可するように変更してください。(7)セキュリティーソフトやネットワーク機器、ご利用のプロバイダの設定を確認する。セキュリティーソフトやネットワーク機器、プロバイダの設定で動画の再生を制限していることや、特定のサイトからの動画配信を拒否している場合があります。動画再生の設定や制限をご確認いただき、特定のサイトからの動画配信を拒否している場合には、以下のサイト(ドメイン)からの配信を許可するようにしてください。carenet.commrp.carenet.com*.brightcove.com*.api.brightcove.complayers.brightcove.netedge.api.brightcove.comhls.ak.o.brightcove.comuds.ak.o.brightcove.com※セキュリティーソフトやネットワーク機器、プロバイダの設定の詳細はマニュアルや販売・提供元のサイトなどを参照ください。※プロバイダで「ぷらら(Plala)」を利用している場合、動画配信制限設定がされているケースがあります。設定・変更方法はぷららのヘルプページをご参照ください。(8)別のブラウザを利用してみる。各ブラウザの設定やバージョンにより、動画の再生できない場合があります。他のブラウザで再生できた場合、再生できなかったブラウザの設定を変更したり、最新版にアップデートしたりすると問題が解決する可能性があります。※ブラウザを新しく入手するには下記のリンクをご参照ください。Edge(Chromium版)/Chrome上記を試しても解決されない場合には、ケアネットカスタマーセンターへお問い合せください。※使用ブラウザ、OSのバージョン、画面の表示内容等をお伝えください。※Chromeをご利用の方は接続ログファイル(HARファイル)をお送りいただければ、より詳細な調査が可能となります。--- 接続ログファイル(HARファイル)の作成方法 -----------------■Windowsをご利用の場合a.Google Chromeを起動します。b.動画が再生できないページにアクセスします。c.キーボードの"F12 キー"を押し、画面下部にデベロッパーツール画面を表示します。d.デベロッパーツール画面、上部からタブから"Network"タブを選択します。e.ページをリロード(再読み込み "Ctrl+R"または"F5キー")します。f.事象が再現されることを確認します。g.Networkタブ内にて、右クリックし、「Save as HAR with content(HAR形式にて保存)」を選択します。h.保存したファイルを添付してカスタマーセンターへお送りください。【(Windows版)接続ログファイル作成方法.pdf】も合わせてご参考ください。■MacOSをご利用の場合a.Google Chromeを起動します。b.動画が再生できないページにアクセスします。c.メニューの「表示」->「開発/管理」->「デベロッパツール」を開きます。(もしくは、Command + Option + i キーを同時に押します。)d.デベロッパーツールの「Network」タブを選択します。e.Command + R を押し、ページを再読み込みします。f.マウスの右ボタンをクリックし(トラックパッドの場合は指2本でクリックし)、「Save as HAR with Content」(HAR形式にて保存)を選択します。g.保存したファイルを添付してカスタマーセンターへお送りください。【(MacOS版)接続ログファイル作成方法.pdf】も合わせてご参考ください。

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Cookie設定方法について

Cookie設定方法についてWindowsにおける設定方法EdgeGoogle ChromeMacintoshにおける設定方法SafariGoogle Chromeスマートフォン・タブレット端末における設定方法iOS SafariAndroid 標準ブラウザWindowsにおける設定方法<Edgeの場合>1.ブラウザ右上部にある[…]アイコン → 設定を選択してください。2.[設定]メニュー内の[詳細設定を表示]を選択してください。3.メニュー内の[Cookie]の状態を[Cookieをブロックしない]に選択すると設定完了です。<Chromeの場合>1.ブラウザ右上部にある[︙]アイコン → [設定]を選択します。2.[プライバシーとセキュリティ]メニューをクリックして、[サイトの設定]をクリックします。3.[サイトの設定]セクションにある[権限][Cookieとサイトデータ]をクリックします。4.[サイトにCookieデータの保存と読み取りを許可する(推奨)]をオンにします。Macintoshにおける設定方法<Safariの場合>1.ブラウザ上部メニューの[Safari] → [環境設定]を選択してください。2.[プライバシー]タブ内の「CookieとWebサイトのデータ」で[すべてのCookieをブロック]のチェックを外し、ウィンドウを閉じれば設定完了です。<Chromeの場合>1.ブラウザ右上部にある[︙]アイコン → [設定]を選択します。2.[プライバシーとセキュリティ]メニューをクリックして、[サイトの設定]をクリックします。3.[サイトの設定]セクションにある[権限][Cookieとサイトデータ]をクリックします。4.[サイトにCookieデータの保存と読み取りを許可する(推奨)]をオンにします。スマートフォン・タブレット端末における設定方法<iPhone Safariの場合>1.ホーム画面で「設定」を選択します。2.「Safari」を選択します。3.「すべてのCookie をブロック」をオフにします。<Android 標準ブラウザの設定>1.標準ブラウザの画面で、メニューボタンを選択します。2.「設定」を選択します。3.「プライバシーとセキュリティ」の「Cookieを許可」を、チェックします。

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ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか

 ヨガは、うつ病患者またはうつレベルが高い人の補助的治療の選択肢となりうることが、ドイツ・デュイスブルグ-エッセン大学のHolger Cramer氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。心身医学的介入は、うつ病への対応として一般的に用いられており、なかでもヨガは最も高頻度に用いられる心身医学的介入の1つである。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年8月6日号の掲載報告。 研究グループは、2013年1月時点でのMedline/PubMed、Scopus、Cochrane Library、PsycINFO、IndMEDを介して、うつ病障害を有する患者またはうつレベルが高い人に対するヨガ介入の無作為化比較試験(RCT)を検索した。主要アウトカムは、うつ病重症度と寛解率、副次アウトカムは、不安症、QOL、安全性についてであった。 主な結果は以下のとおり。・12件のRCT、被験者合計619例が解析に組み込まれた。3件のRCTは、バイアスリスクが低かった。・うつ病重症度に関しては、ヨガのほうが通常ケアと比較して、わずかだが短期的効果のエビデンスが認められた(標準化平均差[SMD]:-0.69、95%信頼区間[CI]:-0.99~-0.39、p<0.001)。・リラクゼーション法との比較(SMD:-0.62、95%CI:-1.03~-0.22、p=0.003)、また有酸素運動との比較(同:-0.59、-0.99~-0.18、p=0.004)に関するエビデンスは限定的であった。・不安症に関して、リラクゼーション法と比較したヨガの短期的効果のエビデンスも限定的であった(同:-0.79、-1.3~-0.26、p=0.004)。・サブグループ解析では、うつ病性障害を有する患者、うつレベルの高い人への効果に関するエビデンスが示された。・長期的効果についてのメタ解析は、RCTの不足と不均一性により実行できなかった。また安全性については、データ報告をしたRCTがなかった。・上記を踏まえて著者は、「解析に含んだ試験には方法論的欠陥があるが、ヨガはうつ病患者およびうつレベルの高い人に対する補助的治療の選択肢と考えられた」と結論している。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学  担当者へのご意見箱はこちら

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急性心筋梗塞の再潅流療法において血栓吸引は有用か?(コメンテーター:上田 恭敬 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(131)より-

本論文は、スウェーデンの国家的レジストリーであるSwedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry(SCAAR)に登録されている患者に加えて、デンマークの追加施設から同レジストリーシステムへ登録される患者を対象として行われた多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験Thrombus Aspiration in ST-Elevation Myocardial Infarction in Scandinavia(TASTE) trialの結果についての報告である。 対象症例は発症24時間以内のST上昇型急性心筋梗塞であり、マニュアルによる血栓吸引療法の有用性を30日以内の全死亡(一次エンドポイント)で評価している。二次エンドポイントは、30日以内の再梗塞による入院、ステント血栓症、標的血管再血行再建術(TVR)施行、標的病変再血行再建術(TLR)施行、および全死亡と再梗塞の複合エンドポイントとしている。7,244例がランダム化され、結果としてはいずれのエンドポイントにも群間に有意差を認めなかったことから、血栓吸引療法に有用性を認めないとしている。 たしかに、ここで設定されたエンドポイントに著明な有意差がつくほどの効果はないのであろう。しかし、もともと血栓吸引療法をしない場合に、血栓の末梢塞栓やslow flow/no flowが生じてSTの再上昇や梗塞サイズの増大を生じたと思われる症例はまれであり、さらにそれらを生じた症例中にはプラーク内容物の末梢塞栓が原因で、血栓吸引療法では予防できない症例も含まれていることを考慮すると、血栓吸引療法が単独で心機能保護に役立つ症例は非常にまれと思われ、死亡率低下にまで役立つ症例はさらにまれと思われる。ただし、末梢の血管構築が見えるようになることで、その後のPCI手技が容易になるために合併症が減るといった効果も、とくに未熟な術者に対しては期待される。 さらに、特定のサブ集団では血栓吸引療法の有用性が示される可能性も残されていると考える。実際、この試験において4,697例がランダム化されずに除外されており、血栓吸引療法が必要との判断で除外された症例も7%含まれることや、血栓吸引療法非施行群に割り付けられたのに実際には施行された症例や、その逆のクロスオーバー症例がそれぞれ5%、6%含まれることが記載されており、これらのために血栓吸引療法の効果が過小評価されてしまったのではないかとの危惧が残る。 これらのことを考慮すれば、本試験の結果の解釈は、血栓吸引療法には「ルーチン使用した場合に死亡などのアウトカムを有意に改善するほどの著明な効果はないが、逆に有害でもない」、さらに「有用性が示される特定のサブ集団が存在するか否かについてはさらに検討が必要である」とすべきである。有害でないことが示され、有用性が完全には否定されていないと思われる血栓吸引療法に関しては、現時点ではその施行を容認すべきではないだろうか。 同様の状況は末梢保護デバイスについてもあてはまる。これまでに存在するエビデンスからは、急性冠症候群や安定狭心症症例全体において末梢保護デバイスの有用性は示されていないが、slow flow/no flowの高リスク症例を対象とすることによってその有用性を示そうとする臨床試験がいくつか進行中である。末梢保護デバイスが有用な症例が存在することは、経験的には多くの循環器専門医が認めるだろうが、それをエビデンスとして示すことは難しいようである。 本当にその治療法を必要とする対象をランダム化できない限り、その効果を正しく判断することはできない。本論文のような結果に基づいて血栓吸引療法をすべきでないと短絡的に主張する者が現れ、実際は有用である可能性がある治療法を葬り去ることにならないかと危惧する。

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“心が痛い”と“身体が痛い”

心療内科が痛みを診る:その理由心療内科が「疼痛」を診ることについては、馴染みのない方もいるかもしれないが、われわれにとっては自然なことである。当科で疼痛患者さんを多く診るようになったのは、当科の歴史的背景に起因する。初代教授である池見酉次郎先生は、早くから心と身体の結びつきに着目し、1961年に九州大学で精神身体医学研究施設を設立、1963年に「心療内科」という診療科名が冠された。「心療内科」が正式な標榜科として認可されたのは1996年であるから、それより30年以上前の話である。当初は過敏性腸症候群や気管支喘息、蕁麻疹など、内科的な分野を中心に研究が始まった。その後、当科の先輩である中井吉英先生(関西医科大学名誉教授/日本心療内科学会理事長)が慢性膵炎の研究の中で、腹痛についても積極的に取り組まれることとなる。また、ペインクリニックとの連携によって全身の痛みを扱うようになり、症例を重ねるうちに、さまざまな痛みに対して心身医学的アプローチが応用できることがわかってきた。こうした経緯から、当科は摂食障害、病的疲労、睡眠障害、生活習慣病などとともに、内科系でありながら慢性疼痛をもつ症例一般を治療対象とするようになってきている。心療内科のアプローチは身体医学とは異なる部分も含んでいる。身体医学では、ある時点での情報を重要視するが、心療内科では、その人の考え方、動き方、生き方(生活様式)の流れやそのルーツを重要視する。今はこういう状態だが以前はどうだったのか、何故そうなったのか、周囲の人たちとのつながりはどうなのか、など生活背景や流れに注目し、その患者さんの水面下にある苦悩を患者さんと一緒に対話するなかで見つけていき苦悩・苦痛の緩和をともに創造していくのである。画像を拡大する難治の慢性疼痛患者さんの傾向当科には全国から重症の疼痛を持つ患者さんが集まってくる。当科を受診する難治性の慢性疼痛患者さんを分析したところ、興味深いことに、厳しい被養育経験がトラウマになっているケースが多いことがわかってきた。厳しい体罰などの身体的虐待、言葉による心理的虐待、性的トラウマもあれば、親の過干渉や愛着障害もある。また、こういった患者さんには、大変な環境に過剰適応していくうちに「失感情症」という自らの気持ちを言葉で表現しにくい心理特性を持っている方が多い。さらに、病院を転々とし、医療に対し不信感を抱いている患者さんも多いのも特徴であろう。■失感情症と慢性疼痛の関係性われわれは日々の臨床経験を通して、失感情症が痛みに大きく影響していることを実感している。なぜ、そのようなことが起こるのだろうか?痛みの伝達には感覚系経路と情動系経路があることが知られている。感覚系は痛みの強さや位置を伝達し、情動系は不快感を伝え警報を鳴らす役割である。どんな痛みもこの感覚系と情動系の信号がミックスされている。情動系は脳の前部帯状回、島皮質、扁桃体、前頭前野を活性化する。この部位はまた、社会的ストレスによっても活性化されること(社会的痛みの体験)が明らかになっている。社会的ストレスに晒され不快情動系が活性化されていると、患者さんの頭の中で常に警報が鳴っている状態になると考えられ、社会的疎外感を感じている「いじめられ体験」にも通じる現象と考えられる。一方、失感情症の方は最近の脳画像研究で前部帯状回、島皮質などの上記の部位に異常があることがわかってきている。そのため、社会的ストレスが蓄積されると、不快情動の成分をしっかり体験しながらも感覚成分のみに注目がいき、身体的疼痛の訴えが強調され、「とにかく痛い、なんとかして」という切迫した訴え(破局化)につながると考えられる。自分の感情を自然に表現できない環境に育った失感情症の方は、「(心理的に)大丈夫です」といいながら、身体の痛みでSOSを出しているともいえる。実際、痛みという表面的な訴えの背景には不安・抑うつなどの否定的感情、虐待歴、社会的疎外感による心の痛みなど、患者さんの深い苦悩が存在することが多い。もうひとつ、医療不信についてお話しする。医療不信の方と信頼関係を構築して心境をうかがっていくと、両親との関係性に問題のある人間不信の方が多いことがわかる。医療不信は、身体的疼痛やそれに伴う心の苦しみを医師がきちんと診てくれないという思いから、ドクターショッピングを繰り返し成り立っていく。これは、子どもの頃、両親に一人の人間として自身の存在を大切にしてもらえなかった、という彼らの被養育体験からくる長年の人間不信の思いと共通する症例もある。久山町疫学研究における慢性疼痛と失感情症の調査からみえてきたこと失感情症と慢性疼痛の関連性については国際的なエビデンスはあるが、日本人に適用できるかどうかはまだ検証されていなかった。そこで本邦の心身症患者さんを対象とした検討を続ける一方で、一般住民を対象に慢性疼痛に関する心身医学的な疫学研究を行った。福岡県久山町の定期検診の際、40歳以上の一般住民において失感情症の質問紙TAS20のスコアと疼痛の有無の関係を調べたものである。被験者927名のなかで慢性疼痛(6ヵ月以上続く痛み)を有する割合は、失感情症なし群46%に対し、失感情症あり群では67%と、失感情症あり群で有意に多かった。さらに失感情症の程度を4分位し、慢性疼痛罹患リスクを解析した。罹患リスクは失感情症スコアが中央値を超えて重症化するにつれ上昇し、もっとも高い群(TAS20スコア 55以上)では、2.0倍(全体から急性疼痛あり群を除くと2.8倍)にも増加していた。さらに、慢性疼痛はQOL低下を招き、そこに失感情症を合併するとさらにQOLが低下することがわかった。また、慢性疼痛を有していても、失感情症がない場合は失感情症がある場合よりも生活満足度が高いという結果が出ている。画像を拡大する画像を拡大するTAS-20:トロント アレキシサイミア(失感情症)スケール日本人には、「つらくても表に出さずに耐え忍ぶ」「弱音は吐かない」といった国民性がある。これは日本文化では美徳とされるが、心身医学的な観点から言えば、失感情症につながるものであり、心身の健康という点からは決して喜ばしいものではない。QOL向上につながる失感情症のケアについては、今後さらに注目していくべきであると考える。慢性疼痛患者さんの診療におけるdos and don'ts慢性疼痛では、身体の訴えの強さと比較して基本にある身体的疼痛がみえにくいケースがある。そのような場合でも、始まりは社会的ストレスに伴った筋肉痛や関節痛などの機能性痛みが合併していたが、経過のなかで改善し、心理的苦悩の成分が残存していることがある。■まずは信頼関係の構築を心療内科では患者さんと医療者との信頼関係構築のため、初診の診療に時間をかける。一般の先生はわれわれのように長い時間をかけることはできないかもしれないが、せめて5分くらいは患者さんの顔を見て本人に自由に話していただく時間をとってほしい。そして患部を丁寧に診察する時間をつくっていただきたい。それだけでも患者さんは安心するものである。すぐに患者さんから話を聞き出すことができなくても、診察のたびに顔をみて話しかけていけば、徐々に信頼関係は構築されていく。そうすると、いざというときに患者さんの変化からSOSに気づくことができるし、治療効果を高めることにもつながる。もし一時的に状態が悪くなる時期があっても、「苦しい今をしのいで一緒に乗り越えていきましょう」と言えるような関係づくりが大切だと考える。■「痛くないはず」と思い込まないこと患者さんが強い痛みを訴えていても、医学的原因が判明しないことも少なくないが、それだけで、「痛くないはず」と治療者が思いこまないことは大切である。その際に、社会的疎外感だけでも身体的痛みのときと同様の苦しみを感じさせるという近年の知見を医学的情報として知っていることで病態評価が展開することがある。つまり、身体の痛みと感じている患者の体験は、身体の機能的異常とともに何らかの社会的疎外感を感じて苦しみが悪化しているのではないだろうかと考えて、生活環境の変化について、質問をしてみるとよい。そして患者さんには「最近は痛みに伴う心理的な要因を考慮した痛みの対処法が進んでいるから、専門の医師に相談してみてはどうか」とポジティブな言葉で専門医への紹介受診を促していただきたい。そうすれば「心が弱いから痛みが起こる」という誤解をすることなく、「がんばっている人の身体の痛みを社会的ストレスがより不快にする」という理解のもとに、患者さんは生活環境に合ったオーダーメイドの治療ステップへと進むことができるのである。■薬をむやみに切り替えないこと効かないからとすぐに薬を変更することは避けたいものである。プラセボ効果の反対で「ノセボ効果」という現象がある。「効かないだろう」という思い込みによって、効くはずの薬が効きにくくなってしまうのである。A先生に出してもらった薬はよく効いたが、同じ薬をB先生が出すと全然効かないというようなケースもある。同じ薬でも処方する医師への期待値によって効き方が違ってくる。その根底には医療あるいは医師への不信感がある。処方医に対して不信感があると薬の効果が減退してしまうのである。要するに、患者さんとの信頼関係が築けていない状況下では、どんなに薬を切り替えても適切な効果は期待できない。効果が出ずに投与量だけ増えている、というような場合には、まず患者さんとの信頼関係や服用のコンプライアンスを見直すところから始めてみてほしい。信頼関係なくしてよい治療は成り立たない。患者さんが安心して自分の気持ちを出せる場を提供し、信頼関係が築けたうえでその人に合うだろうという薬を少量から始める。そうすると、過去に効かなかった薬ですら効果が出る、ということも少なくない。患者さんと医療者との信頼関係が治療や予後に大きく影響するため、われわれは患者さんが話しやすい場をつくり、患者さんの人間としての全体像を知るように努めている。慢性疼痛においては、身体的な痛みについては標準的なアプローチは継続しながらも、対人交流不全の苦悩や、生活環境などによる社会的痛みや実存的な苦しみ(自尊心の問題)をターゲットとすることが効果的なことも多い。良好な患者ー医療者関係を築きながら、感情をうまく言葉にできず葛藤場面で適切な自己主張ができない患者さんの心身を疲弊させ、苦しめているものが具体的に何かを患者さんと一緒に探していくのである。慢性疼痛の心身医学的アプローチにより得られる知見が、今後一般診療にもさらに生かされ、患者・医療者がともに創り出す痛み治療に対して双方の満足感が増えることを期待したい。

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椎間関節の重度変形性関節症は高齢者腰痛の独立リスク因子

 高齢者の腰痛に、椎間関節の変形性関節症(OA)は関与しているのだろうか。米国・VA Puget Sound Healthcare System/ ワシントン大学のPradeep Suri氏らは、フラミンガム子孫コホートの高齢者を対象に検討した。その結果、CT画像で確認された重度椎間関節OAの存在と程度は、社会人口統計学的および健康要因や椎間板高とは独立して地域の高齢者の腰痛と関連していることが示されたと報告した。Osteoarthritis and Cartilage誌2013年9月号の掲載報告。 研究グループの目的は、CTによる椎間板高狭小化測定などを用いた評価で、椎間関節の重度OAと高齢者腰痛との関連を明らかにすることであった。 対象は、フラミンガム子孫コホートの高齢者252例(平均年齢67歳)で、CTによりL2~S1の椎間板高と腰部椎間関節OAを4段階の半定量的スケールで評価した。 腰痛は、患者報告にて過去12ヵ月間「ほぼ毎日」また「毎日」痛みがあるものと定義した。 主な結果は以下のとおり。・椎間関節の重度OAの頻度は、腰痛がある高齢者が、腰痛がない高齢者より高かった(63.2% vs 46.7%、p=0.03)。・多変量解析の結果、椎間関節の重度OAの存在は腰痛と有意に関連していた(オッズ比[OR]:2.15、95%信頼区間[CI]:1.13~4.08)。・重度OAの関節が増えるごとに、腰痛のリスクが大きくなった(1関節あたりのOR:1.20、95%CI:1.02~1.41)。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?

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ざ瘡瘢痕の治療間隔とその効果:フラクショナルCO2レーザー

 フラクショナルCO2レーザーを用いたざ瘡瘢痕治療について、治療間隔の違いによる効果と副作用が、デンマーク・オーフス大学病院のBjorn M氏らにより調査・報告された。その結果、フラクショナルCO2レーザー治療によりざ瘡瘢痕が改善したこと、治療間隔が1ヵ月であっても3ヵ月であっても、効果と副作用には影響しなかったことが示された。Lasers in Surgery and Medicine誌オンライン版2013年9月9日号掲載の報告。 これまで、ざ瘡瘢痕に対するフラクショナルCO2レーザーの有用性および忍容性は示されていたものの、治療間隔の影響については、十分に評価されていなかった。そのため、Bjorn M氏らは、フラクショナルCO2レーザーの照射が1ヵ月間隔と3ヵ月間隔の場合とで、有効性と安全性に影響が出るかどうか評価した。 被験者は、顔面中央または下部に、左右の対称的な萎縮性のざ瘡瘢痕を有する13例。フラクショナルCO2レーザーによる治療を1ヵ月間隔群と3ヵ月間隔群に無作為に割り当てた。最終照射から1ヵ月後、6ヵ月後に、盲検下にて評価(10ポイントスケール)を実施した。評価項目は、瘢痕萎縮度、患者満足度、副作用であった。 主な結果は以下のとおり。・フラクショナルCO2レーザー施術前のざ瘡瘢痕の重症度は中程度であった(5.86±1.87)。・最終照射から1ヵ月後では、1ヵ月間隔群と3ヵ月間隔群ともに瘢痕が改善していた(1ヵ月間隔群:1.96±1.23、p<0.0001、3ヵ月間隔群:1.82±1.08、p=0.0006)。・最終照射から6ヵ月後でも、1ヵ月間隔群と3ヵ月間隔群ともに瘢痕が改善していた(1ヵ月間隔群:1.56±1.24、p=0.0021、3ヵ月間隔群:1.33±1.66、p=0.0002)。・治療間隔の違いは、治療後のいずれの時点においても、ざ瘡瘢痕の改善度に影響していなかった(p=0.81)。・被験者は治療結果に対して、どちらの治療間隔であっても中程度に満足していた(p=0.93)。・治療による副作用は少数であり、それには治療間隔(3ヵ月/ 6ヵ月)による差はみられなかった。

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PCI前の血栓吸引、STEMI患者の予後を改善しない/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行前の血栓吸引はPCI単独に比べ、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の予後を改善しないことが、スウェーデン・エーレブルー大学病院のOle Frobert氏らが実施したTASTE試験で示された。STEMI患者に対する初回PCI前の冠動脈内血栓吸引は、血流やST上昇を改善する可能性があり、簡便で迅速に施行可能で、相対的に安価との指摘があるが、これは一般的な見解ではないという。1,071例を対象に単施設で行われたTAPAS試験では、STEMI患者における生存ベネフィットが示唆されているが、むしろ高額であるとの指摘や、脳卒中リスクを増大させるとのメタ解析の結果が報告されていた。本研究は、2013年9月1日、オランダ・アムステルダム市で開催された欧州心臓病学会(ESC)で発表され、同日付けのNEJM誌オンライン版に掲載された。血栓吸引追加の効果をレジストリに基づく無作為化試験で評価 TASTE試験は、STEMI患者に対するPCI前の血栓吸引の有用性を評価する非盲検の前向き無作為化試験で、患者登録やデータ収集にSwedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry(SCAAR)と呼ばれるオンラインシステムに基づく地域住民ベースのレジストリを利用している。 対象は、冠動脈造影所見によりPCIの施行が予定されているSTEMI患者で、入院前に30分以上持続する心筋梗塞を疑わせる胸痛がみられ、症状発現から24時間以内、心電図検査で新たなST上昇または左脚ブロックを認めた場合とした。 被験者は、血栓吸引後にPCIを施行する群またはPCIのみを行う群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は30日全死因死亡とした。全死因死亡率:2.8 vs 3.0%、心筋梗塞再発による再入院率:0.5 vs 0.9% SCAARに参加する30のPCI施設(スウェーデン29施設、アイスランド1施設)およびデンマークの1施設から合計7,244例が登録され、血栓吸引群に3,621例(平均年齢66.5歳、男性75.1%、症状発現からPCI施行までの時間中央値185分、心電図による診断からPCI施行までの時間中央値67分)が、PCI単独群には3,623例(65.9歳、74.6%、182分、66分)が割り付けられた。 30日全死因死亡率は、血栓吸引群が2.8%(103例)、PCI単独群は3.0%(110例)で、両群間に有意な差はなかった(ハザード比[HR]:0.94、95%信頼区間[CI]:0.72~1.22、p=0.63)。事前および事後に規定されたサブグループ解析でも、有意差のあるサブグループは認めなかった。 30日後までの心筋梗塞の再発による再入院率は、血栓吸引群が0.5%、PCI単独群は0.9%(HR:0.61、95%CI:0.34~1.07、p=0.09)で、ステント血栓症の発症率はそれぞれ0.2%、0.5%(同:0.47、0.20~1.02、p=0.06)であり、いずれも両群間に有意な差はみられなかった。 標的病変の血行再建術の施行率(1.1 vs 1.2%、p=0.57)や、脳卒中または神経学的合併症の発症率(0.5 vs 0.5%、p=0.87)も、両群間で同程度であった。 著者は、「PCI前の血栓吸引はSTEMI患者の30日死亡率を改善しなかった」とし、「レジストリベースの無作為化試験には、患者選択基準の幅が広いため臨床的適用性が拡大する、フォローアップ率が高く脱落例が少ないなどの利点があるが、本試験の場合は固有の限界点があるため、参加者がすべての患者を完全に代表しているとはいえない」と指摘している。

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てんかんにVNSは有効、長期発作抑制効果も

 現在、12歳以上のてんかん部分発作に対する補助療法として承認されている迷走神経刺激療法(VNS)。Aurora Epilepsy CenterのGeorge L. Morris III氏らは、VNSに関する一連のエビデンスを評価した。その結果、VNSは小児の発作、レノックス・ガストー症候群(LGS)関連発作、成人てんかんの気分障害の改善に効果が期待できること、また治療継続により発作抑制効果が高まることが示唆され、これらをエビデンスレベルCとして推奨した。Neurology誌オンライン版2013年8月28日号の掲載報告。 本研究では、VNSの有効性と安全性に関する1999年以降のエビデンスを評価することを目的とした。文献レビューを行い代表的な試験を選出し、米国神経学会(American Academy of Neurology)のevidence-based methodologyに従って分類した。 主な結果は以下のとおり。・VNSにより、部分てんかんまたは全般てんかんを有する小児470例の55%(95%信頼区間[CI]:50~59%)において、50%超の発作減少が認められた(13試験:Class III)。・VNSにより、LGSを有する患者113例の55%(95%CI:46~64%)において、50%超の発作減少が認められた(4試験:Class III)。・VNS装置の植込手術後1~5年の間に、発作が50%以上減少する患者の割合が7%増加した(2試験:Class III)。・成人てんかん患者31例において、VNSにより気分障害の指標であるstandard mood scaleの有意な改善が認められた(2試験:Class III)。・小児におけるVNS植込手術部位の感染リスクは、成人に比べ増加した(オッズ比:3.4、95%CI:1.0~11.2)。・VNSは、小児の発作(部分および全般)、LGS関連発作、成人てんかんの気分障害に対して有効な可能性がある。・VNSにより長期の発作抑制効果が期待される。・以上のことから、次の推奨が示された。「VNSは、小児の発作、LGS関連発作、成人てんかんの気分障害の改善に考慮されうる」(Level C)「VNSは長期発作抑制効果が期待できる」(Level C)「小児に対するVNS植込手術後は、局所感染を注意深くモニターすべきである」関連医療ニュース 難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は?/a> 抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証 セロトニンが重要な役割を果たす!うつ病合併側頭葉てんかん

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トラスツズマブ術後治療1年投与と2年投与の比較-ランドマーク解析-(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(129)より-

乳がん治療は、ここ10年間で大きく変革した。それは、乳がんの増殖因子であるHER2に対する抗体治療薬であるトラスツズマブの登場による。従来の抗がん剤治療は、殺細胞薬といって、がん細胞も正常細胞も見境なく殺してしまうものしかなく、患者は副作用に苦しむことを余儀なくされていた。1990年代後半から、がん細胞に特異的に発現しているさまざまな分子に対する分子標的治療薬の開発が行われ、分子標的治療薬は、副作用が少ない治療薬ということで注目を浴びた。血液腫瘍ではグリベックが開発され、固形腫瘍で最初に開発された薬剤が、トラスツズマブである。 トラスツズマブは、HER2陽性転移性乳がんのRCT(ランダム化比較試験)で全生存期間の改善を証明し1)、乳がん治療の歴史を変えた。続いて、術後補助療法のRCTでも無病生存率の改善を示し2), 3)、乳がん治療のスタンダードとなった。本論文は、乳がん術後補助療法のRCTのHERA study3)の追跡結果の報告である。 追跡期間の中央値8年での結果であるが、トラスツズマブ1年間投与群と、2年間投与群の比較をランドマーク法を用いて解析している。ランドマーク法とは、経過観察中のある時点(ランドマーク)までにイベントが発生したかどうかにより対象症例を群分けし、その時点から生存曲線を描く手法である4)。治療開始から1年の時点を起算日(ランドマーク)にして解析を行った結果、1年と2年での無病生存期間には差はなかった(HR 0.99, 95%CI 0.85-1.14, P=0.86)。ランドマーク解析はITT解析ではなく、本来のITT populationから、それぞれの群で、147例、150例除外されて解析されている(Figure 1)ので、バイアスがかかるのではないか?という懸念がある。この試験は、RCTであるので、わざわざランドマーク解析を行わなくてよいと思われる。実際には、最初の1年間は、トラスツズマブを同様に投与されるので、バイアスがかかる余地はほとんどないと思われるが、ITT解析の結果も示して、同様の結果になったといって欲しかったところである。 この試験のもう1つのポイントは、8年のフォローアップ後、トラスツズマブ1年投与群と投与しなかった群と比べて、全生存期間でトラスツズマブ群が優っていたという点である。実は、セカンダリーエンドポイントである全生存期間については、これまでに、追跡期間中央値で1年、2年、4年の時点の3回の報告がある3), 5), 6) 。全生存期間のHR(ハザード比)は、1年、2年、4年、今回の8年のフォローアップ時点で、それぞれ、0.76, 0.66, 0.85, 0.76とかなり変動していて、1年時3)と、4年時6)では、P値がそれぞれP=0.26, P=0.1087と、有意差がない状況になっている。4年時に全生存期間に有意差がなかったことに対する解釈としては、トラスツズマブ投与なし群の患者が、かなりクロスオーバーしてトラスツズマブを受けたことによるのであろうと考察されていた。しかし、8年時の今回の解析では、有意差がついた結果(P=0.0005)となった。 本論文では、クロスオーバーがあったとしてもやはり、トラスツズマブが有効であり、早く治療することが良かったのであろうと考察されている。8年時の今回の解析が行われず、4年時の解析で終わっていたとすれば、トラスツズマブが全生存期間を改善することはできなかったと解釈されていた恐れがある。また、今後さらなる長期フォローアップがなされたら、データが変わってくる可能性も考えられる。 臨床試験のセカンダリーエンドポイントやサブグループ解析の解釈や、生存解析を何度も行っている場合の解釈には慎重でなければならない。臨床試験の解析は、基本的には、プライマリーエンドポイントに対する解析のみ統計学的に正当化される。サブグループ解析を繰り返すと、多重解析となり、偽陽性や偽陰性を引き起こすことが多くなるため、注意が必要である。Japanese Journal of Clinical Oncology投稿に際しての統計解析結果のレポートに関するガイドラインhttp://www.oxfordjournals.org/our_journals/jjco/for_authors/jap.guideline.pdf参考文献1) Slamon DJ et al. N Engl J Med. 2001; 344: 783-792.2) Romond EH et al. N Engl J Med. 2005; 353: 1673-1684.3) Piccart-Gebhart MJ et al. N Engl J Med. 2005; 353: 1659-1672.4) Anderson JR et al. J Clin Oncol. 1983; 1: 710-7195) Smith I et al. Lancet. 2007; 369: 29-36.6) Gianni L et al. Lancet Oncol. 2011; 12: 236-244勝俣 範之先生のブログはこちら

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葉酸摂取は双極性障害の治療に有効

双極性障害の治療に葉酸が有効である可能性について、米国・マサチューセッツ総合病院のJi Hyun Baek氏らがレビューを行った結果を報告した。葉酸は、気分障害の治療に最も広く用いられている栄養補助食品の1つである。Baek氏らは、葉酸の代謝について調べるとともに、双極性障害との関連およびその治療可能性について検討した。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年8月22日号の掲載報告。 レビューは、2012年までに発表されたPubMedおよびCochrane Libraryにて関連論文を検索し、背景情報、作用機序、臨床試験の結果をレビューした。得られた主な所見は以下のとおり。・葉酸は、モノアミン合成とホモシステイン調節にとって重大なメチル化反応に関係する基本的な補因子である。・メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(NAD(P)H)の共通の遺伝子異型(MTHFR)による機能的欠損が、双極性障害の症状に影響を及ぼすこともありうる。・双極性障害の治療に気分安定薬として一般的に用いられるバルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケンほか)とラモトリギン(同:ラミクタール)は、葉酸とホモシステイン代謝を潜在的に阻害する可能性がある。・先行研究において、うつ病治療についての葉酸の有効性は一貫して支持されている。1試験では、躁病の治療における有効性が示されていた。・生化学的な転換を必要としない葉酸製剤は、双極性障害の治療に有益となる可能性がある。・以上のようにレビューの結果、葉酸服用は、双極性障害の治療に有効な可能性があった。また、共通の遺伝子異型MTHFRが、葉酸服用の治療効果に影響する可能性があった。葉酸製剤は、気分安定薬に関連する葉酸欠乏を潜在的に修正することが可能であり、モノアミン合成の正常化に寄与し、アウトカムを改善する可能性があった。関連医療ニュース 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」 うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」

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ERS2013でTIOSPIR試験の全容を発表

 COPD治療の標準薬となっているチオトロピウム(商品名:スピリーバ)はハンディへラー(ドライパウダー製剤)とレスピマット(MDI:定量噴霧型製剤)の2つの吸入製剤を持つ。しかしながら、近年レスピマットにおいて死亡率増加の可能性を指摘するpooled analysisが発表された。そのため、COPD患者を対象としたチオトロピウムレスピマットの安全性および有効性に関する大規模試験TIOSPIR(TIOtropium Safety and Performance In Respimat)が行われた。New England Journal of Medicine誌にて報告されたその結果(http://www.carenet.com/news/head/carenet/36078)について、9月8日、2013年欧州呼吸器学会(ERS)にて、米国ジョンズ・ホプキンス大学のRobert A.Wise氏より発表された。 TIOSPIR試験は無作為二重盲検、スピリーバレスピマット2.5μgおよび5μg vsスピリーバハンディヘラー18μg の3アーム、ダブルダミーで行われた(レスピマット2.5μgは試験用量)。各群とも治療開始後6週目と12週目に評価し、その後は12週ごと2~3年間にわたり評価した。 プライマリエンドポイントは、死亡率(スピリーバレスピマット2.5μgおよび5μgのハンディヘラー18μgに対する非劣性)。および初回COPD増悪リスク(レスピマット5μgのハンディヘラー18μgに対する優越性)であった。患者条件は ・40歳以上の男女 ・10pack-years以上の喫煙歴を有する ・COPDと診断されている ・FEV1/FVC 70%以下 ・予測FEV1 70%以下 ・ハンディヘラー、レスピマットとも吸入可能などであった。また、実臨床に近い状況とするため、抗コリン薬以外のCOPD基礎治療薬は許可された。 一方、COPD以外の肺疾患、4週間以内の増悪、不安定な心臓疾患を有する患者(6ヵ月以内心臓発作、心筋梗塞、1年以内の致死的なうっ血性心不全、不整脈)、不定期なステロイドの使用例などは除外された。 2010年5月から2011年4月までの期間に患者登録され、50ヵ国1,200施設以上の医療機関で実施された。無作為割り付け対象は、17,183例で、治療17,135例であった。3群間の患者背景に差はなかった。治療期間の中央値は835日(約2.3年)と長期にわたった。<結果> 全死亡率はレスピマット2.5μg群 7.7%、レスピマット5μg群 7.4%、ハンディヘラー18μg群 7.7%で、対ハンディヘラー18μg群のHRはレスピマット2.5μg群 1.00(0.87~1.14)、レスピマット5μg群 0.96(0.84~1.09)であった。レスピマットはいずれの用量でもハンディヘラーとの非劣性が認められた(inferiority margin 1.25)。  死亡例のうち心血管系による死亡は、レスピマット2.5μg群 2.1%、レスピマット5μg群 2.0%、ハンディヘラー18μg群 1.8%で、対ハンディヘラー18μg群のHRはレスピマット2.5μg群 1.17(0.90~1.53)、レスピマット5μg群 1.11(0.85~1.45)であった。なお、不整脈の既往のある患者の死亡は、レスピマット2.5μg群 13.1%(HR 1.02)、レスピマット5μg群 10.6%(HR 0.81)、ハンディヘラー18μg群 12.9%で、対ハンディヘラー18μg群のHRはレスピマット2.5μg 1.02(0.74~1.39)レスピマット5μg群 0.81(0.58~1.12)であった。 増悪については、レスピマット2.5μg群49.4%、レスピマット5μg群47.9%、ハンディヘラー8μg群48.9%で、レスピマット5μg群対ハンディヘラー18μg群のHRは 0.98(0.93~1.03)、p=0.42と同等の結果であった(2.5μg群は49.4%、HR 1.02 [0.96~1.07])。 以上の結果から、チオトロピウムレスピマット2.5μgと5μgはチオトロピウムハンディヘラー18μgと同等の安全性と有効性プロファイルを有する事が示されたとWise氏は述べた。 また、テキサス大学のAntonio Anzueto氏は、期間中に開催されたプレスセミナーにて、以下のようにコメントした。「過去のPooled Analysisは期間が長くなく、対象患者数も十分とはいえない。今回の1万7千例を超える患者を2年以上追跡したTIOSPIRの結果は、過去の報告結果とは一線を画すものだといえる。さらに、世界50ヵ国、1,200施設という非常に多様な患者を対象にした点はCOPDの多様性を反映しており、また実臨床の薬剤の使用も許可したという点で、Real Worldを反映している試験だといえよう。レスピマットの簡便性は患者にとっても恩恵であり、今回の試験結果で使用の障壁は下がる可能性がある。ただし、この試験結果がすべての患者をカバーできるわけではない、医師は各々の患者のリスクを評価して薬剤を使用すべきである」。

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仕事と家庭の両立への悩み、女性ではうつ病リスク

 「仕事-家庭葛藤(Work-home interference: WHI)」すなわち仕事と家庭の両立における葛藤の程度には男女差がみられ、WHIが高度な女性は大うつ病になりやすいことなどが、スウェーデン・ストックホルム大学のMagnusson Hanson LL氏らによる長期研究の結果、示された。WHIとうつ病性障害が関連するか否かに関する長期研究は、これまでほとんど行われていないという。Scandinavian Journal of Work, Environment and Health誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 研究グループは、国民を代表する集団を対象に、WHIと大うつ病指標の関連についてプロスペクティブな評価を行った。具体的には、Swedish Longitudinal Occupational Survey of Health(SLOSH)に参加した大うつ病歴および抗うつ薬使用歴のない就労者、男性1,576例、女性1,678例を対象とし、多重ロジスティックおよびCox回帰モデルを用いて、自己報告によるWHIと大うつ病疑い[(Hopkins)Symptom Checklistに基づく簡易自己報告スケールが高スコア]ならびに抗うつ薬による新規治療(処方薬レジスターに基づく)との関連を調べた。観察期間は2年間であった。 主な結果は以下のとおり。・WHIが高度(かなりしばしば/常時)の例が7%、中程度(時々)の例が32%にみられた。・解析結果から、とくに高度WHIと大うつ病や抗うつ薬治療(両方またはどちらか)とがプロスペクティブに関連することが示唆された。同関連は、仕事の時間要因や裁量度(demands、control、support、overtime)などの就労状況で調整した場合も同様であった。・「大うつ病疑い」が惹起される状況に、性別による相違がみられた。別の解析により、WHIが高度な女性においてのみ、大うつ病が有意に惹起されやすいことが示唆された。・また、とりわけ男性で抗うつ薬治療率が高く、これは仕事の内容と一部関連していること、大うつ病は高度のWHIと関連していることなども示唆された。・以上のように、2年間の観察において、高度のWHIは大うつ病と抗うつ薬治療(両方またはどちらか)と関連しており、その影響は性別により若干異なることが明らかになった。関連医療ニュース SRIは月経前症候群の治療に有用か? 「抑うつ+過度な飲酒」その影響は? 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学

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乾癬が就業に与えるリアルな影響

 イタリア・ナポリ大学のAyala.F氏らによって、中等症~重症乾癬患者における、就業への影響が調査された。それによると、乾癬の罹患が患者の就業に対して深刻な影響を及ぼし、雇用の機会、就業日数、将来への期待、収入を得る機会に影響することが報告された。乾癬が及ぼす身体的、心理社会的な影響のため、患者さんは充実した生活を送るのが難しいことがあるが、これまで就業関連への影響については、調査が十分とはいえなかった。J Eur Acad Dermatol Venereolオンライン版2013年8月21日掲載報告。 調査はイタリアの29施設の皮膚科で行われ、787例の被験者が登録された。被験者情報は、来院時の調査票により収集された。 主な結果は以下のとおり。・被験者787例は平均年齢50歳、64%が男性であった。なお、最も多く見られた病型は、尋常性乾癬であった(91.2%)。・調査時点の平均PASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコアは10点、平均罹病期間は19年であった。・喫煙者は非喫煙者に比べ、PASIスコアが高かった(10.8 vs 9.4、p=0.02)・55%の被験者ではキャリアアップへの期待が少なかった。・42%の被験者が雇用状態改善の見込みが少なく、35%の被験者が収入を得る機会が減少していると回答した。・約60%の被験者が、乾癬の症状が手足に存在すると、就業が制限されると回答した一方で、実際に退職したのは約25%であった。・約37%の被験者が、検査や治療のために過去3ヵ月間で3~10日仕事を休んだ。・ロジスティック回帰分析によると、就業制限の有意な予測因子は性別、低学歴、病変の数、羞恥心、怒り、自尊心であった。

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小腸用カプセル内視鏡は胃食道病変も見つけられるのか?

 小腸用カプセル内視鏡検査(CE)は、門脈圧亢進症における小腸病変のスクリーニングだけでなく、F2/F3およびLs/Lmの食道静脈瘤、胃体部の門脈圧亢進症性胃症の診断においても信頼性が高いことが、広島大学大学院 消化器・代謝内科の青山 大輝氏らによる研究で明らかになった。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2013年8月23日号の報告。 門脈圧亢進症における小腸病変のスクリーニングに対するCEの有効性が、いくつか報告されている。しかし、胃食道病変のスクリーニングに対する有効性を検討した報告は少ない。そこで、本研究では、CEが門脈圧亢進症における胃食道病変の検出に有用であるかどうかを評価した。 対象は門脈圧亢進症患者119例。全例、食道胃十二指腸内視鏡検査を受けた上でCEを行い、門脈圧亢進症の合併症である食道静脈瘤、胃静脈瘤、門脈圧亢進症性胃症の診断率を評価した。また、静脈瘤の形態、占拠部位、重症度、門脈圧亢進症性胃症の範囲ごとに診断率を評価した。 主な結果は以下のとおり。 <食道静脈瘤>・食道胃十二指腸内視鏡検査により食道静脈瘤と診断されたのは、71例であった。そのうち、CEでも食道静脈瘤と診断できたのは72%(71例中51例)であった。・CEによる食道静脈瘤の形態別の診断率は、F1(直線的で細い)よりもF2(連珠状で中等度)/F3(結節状あるいは腫瘤状)で有意に高かった(87% vs 61%、p=0.03)。・CEによる食道静脈瘤の占拠部位別の診断率は、Li(下部)よりもLs(上部)/ Lm(中部)で有意に高かった(85% vs 55%、p=0.01)。<胃静脈瘤>・食道胃十二指腸内視鏡検査により胃静脈瘤と診断されたのは、29例であった。そのうちCEでも胃静脈瘤と診断できたのはわずか1例であった(29例中1例)。<門脈圧亢進症性胃症>・食道胃十二指腸内視鏡検査により門脈圧亢進症性胃症と診断されたのは35例であった。そのうち、CEでも門脈圧亢進症性胃症と診断できたのは69%(35例中24例)であった。・門脈圧亢進症性胃症の診断率は、重症群と軽症群で有意な差を認めなかった(重症群82% vs 軽症群 63%、p=0.44)。・CEによる門脈圧亢進症性胃症の占拠部位別の診断率は、胃底部よりも胃体部で有意に高かった(胃体部100% vs 胃底部48%、p=0.0009)。 以上の結果より、CEは、門脈圧亢進症におけるF2/F3および上部/中部の食道静脈瘤、胃体部の門脈圧亢進症性胃症の診断において信頼性が高いことが明らかになった。

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