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教授 川合眞一先生「関節リウマチ治療にパラダイムシフトをもたらした生物学的製剤」

1977年慶應義塾大学医学部卒業。79年同大学内科リウマチ研究室。87年東京都立大塚病院リウマチ膠原病科医長。91年聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター講師。94年同助教授。99年同教授。2004年、東邦大学医学部付属大森病院膠原病科教授、09年同副医学部長。日本リウマチ学会理事、日本臨床薬理学会評議員前理事長、日本炎症・再生医学会理事、他。日進月歩の関節リウマチ研究関節リウマチは、滑膜が異常に増殖してパンヌスと呼ばれる塊ができます。パンヌスには、リンパ球T細胞やB細胞、マクロファージなどたくさんの細胞が集まって、炎症の元になる物質を作り出すという病態はわかっています。この炎症の元の代表的なものが、TNF-αを中心とした炎症性サイトカインです。この炎症性サイトカインを抑えることが、関節リウマチの治療に有効であり、ここ10年間で効果の高い治療薬が使えるようになり、早期に発見できれば格段に症状を抑えることができるようになりました。リウマチは中世から関節疾患として認識されています。長い歴史を持つ病気ですから、長期にわたり多くの学者によって研究されているにもかかわらず、いまだにその原因は解明されていません。診断基準にしても、これまでは1987年にアメリカで発表された分類基準でした。それが昨年、23年ぶりに米国リウマチ学会と欧州リウマチ連盟が共同で新しい診断基準を提唱しました。これによって、早期診断が可能となり、速やかに治療できるようになりました。この診断基準の一番のポイントは、早期から関節リウマチと診断してもよいところにあるのですが、他の膠原病ではないと否定しなければならないことが大前提です。そこで専門医の知識が必要となります。全身性エリテマトーデスにしても、強皮症にしても関節炎は主要な症状として現れますが、それ以外の疾患の特徴によって鑑別することが可能になります。特に初期症状は、関節リウマチとよく似ていることもあり、簡単に診断してしまい実はSLEであったとわかった場合、本来の疾患の治療が手遅れになり、結果的に、腎臓が悪くなったり肺が悪くなったりして臓器病変を引き起こしてしまう可能性があります。生物学的製剤によって改善された患者さんのQOLメトトレキサートと生物学的製剤の併用によって飛躍的に治療は進歩しましたが、関節リウマチ全体でみると、3割の人には効きません。また、効果があった7割の中でも、その効果はまちまちで、劇的に効いて完治に近い状態の人もいれば、現状維持にとどまっている人など結果に幅があります。もちろん、今まで大きな効果を得る治療法がなかったのですから、それに比べれば改善されましたが、今までが悪すぎたからともいえる結果なのです。それでも、患者さんのQOLは飛躍的に改善されています。数十年前は、関節リウマチに罹患することによって、職業を持つ若い女性が痛みによって仕事ができなくなり、既婚者であれば主婦としての仕事がままならなくなり場合によっては離婚につながることもありました。しかし、今は仕事上何の制約もなく働くことができ、結婚し出産して一般的な生活をおくれる人が増えました。QOLの視点から考えると、やはり画期的な治療ができているといえるのではないかと思います。ただ、薬価が高いという問題は残っています。メトトレキサートの場合は、妊娠を考えたら計画的に投薬をストップしなくてはいけませんが、生物学的製剤、一部の抗リウマチ薬や免疫抑制剤については妊婦への処方もリスクが高くないとの報告もあります。ただし、まだデータが不十分なので、現状では妊娠したら薬は中断しています。もしも妊娠中に痛みがひどくなった場合はステロイドホルモンを使い、出産後、抗リウマチ薬に戻します。このように、妊娠を恐れることなく治療できるようになったのは女性の患者さんにとって朗報だと思います。関節リウマチの場合、人によっては妊娠すると一時的に痛みが治まることがあるのですが、分娩後には症状が悪化することがあるので、元の治療に戻すことが必要です。関節リウマチの治療薬は、ここ数十年で飛躍的に進歩していて、種類も多くそれぞれの特徴も複雑になってきているので、専門医でなければ適切な治療は難しいと思います。だからこそ疑わしいと思ったら専門医に相談してほしいのです。滑膜組織の炎症機序を探る関節リウマチは滑膜細胞が増殖することが問題で、その増殖した滑膜細胞から様々な炎症関連物質が分泌され、炎症の悪循環を作ります。糖代謝の領域ではよいとされるアディポネクチンという脂肪細胞が分泌するサイトカインを使ってみたら、炎症を悪化させてしまいました。これは東邦大学の我々のグループが見つけた結果なのですが、当大学の発表から少し遅れてドイツからも報告されました。アディポネクチンは一方では糖代謝をよくする動脈硬化についてはよいファクターであるのに、局所では炎症を悪化させるという二面性があり、これらの詳細な機序を明らかにするのが現在の研究テーマの一つです。早期発見で3ヵ月以内に抗リウマチ薬を投与リウマチと診断されたら3ヵ月を待たず、すぐに抗リウマチ薬を使うのは大原則となっています。これは大切なポイントで難しいところもあります。元は抗がん薬として使われていたメトトレキサートが週1日少量をリウマチの患者さんに使うと、症状が改善されるということがわかり、アメリカでは1988年、日本では1999年にリウマチの治療薬として認められました。さらに2000年代になって生物学的製剤ができ、リウマチ治療においてパラダイムシフトをもたらしたのです。関節リウマチによる変形は、炎症が続いて初めて変形していくわけで、炎症の初期段階で発見してそれを抑えることができれば、高い率で制することができます。しかし、中にはどうしても抑えることができない患者さんのケースもありますので、さらなる薬の研究、開発が待たれるところです。現在でも治療に難渋している率は2割から3割なのですが、7割から8割の患者さんは薬の進歩や治療でコントロールできています。関節リウマチは長期にわたる病気なので、すでに関節破壊が始まってしまった患者さんに関しては進行させない。早期に発見された患者さんの現状維持はもちろん、それ以上進行させない。すでに進行してしまっていても、関節破壊を起こさせないことが重要です。関節が痛くなったその時が発症と考えていいのですが、ただの痛みか関節リウマチなのかわからない期間はあります。痛みを重視するよりは、関節が腫れ始めて慢性的(数週間)に続いたら疑うべきです。以前は多関節に症状があることが基準となっていましたが、今は一関節でも慢性的な関節腫脹がみられ、リウマトイド因子が陽性であったり、抗CCPが陽性であるなどの検査値の異常を考慮した上で、関節リウマチと診断されるようになりました。昔よりもより早期に診断して、治療介入する方向になっています。ですが、患者さん自身がいつから腫れ始めたのかよくわかっていない場合もあります。とにかく関節が慢性的に腫脹していたら、専門医に診てもらうことをお勧めします。専門医ではなく整骨院で治療を始めて、痛みが治まらないので総合病院へ行ったが関節リウマチとは診断されず、治療が遅れてしまったというケースは、少なくありません。リウマトイド因子が陽性でないからリウマチじゃない、といわれることも多いのです。実は、このリウマトイド因子は関節リウマチ患者の7から8割しか陽性反応がでません。陰性反応だったあとの2から3割の人はリウマトイド因子は陰性なのに関節リウマチなのです。つまり、検査の数字だけに頼っていては、正確な判断は難しいといわざるを得ません。坑CCP抗体は関節リウマチには出ますが、全身性エリテマトーデスには出ないという特異性は確かにありますが、この検査ですら2から3割の人は陰性です。つまり、検査数値の結果が100%ではないことを念頭におかなければならないのです。医学生のみなさんへ関節リウマチは未知の病気ですので、やらなければいけない研究課題は山積しています。東邦医大大森病院では医師2名にスタッフ1名でのスタートでしたが、現在は12名に増えました。免疫疾患、慢性疾患なので、一般には循環器、消化器のような急変する病気ではありませんが、慢性的な病気の患者さんを長期にわたって管理して、病気をコントロールしていくというのは、医者の醍醐味でもあり使命でもあると思います。そのためには知識がなければ管理できませんし、世界の文献を調べて研究し自分なりに解釈して治療を行うというステップが必要なのです。それとともに、病気の原因を究明するための基礎研究もでき、臨床研究もできる。患者さんにも協力していただいて研究していくのは、今後のリウマチ治療研究において意味のあることです。学生にとっては治療も研究も両方を体験できる科であると思います。東邦大学はそこに力を注いでいます。私が当大学に来たのもそこが一番の理由で、臨床に携わりながら研究をし、多くの学生に教えていきたいと考えたからです。そして、立派なリウマチ専門医を育てたいと希望しています。私の教育方針としては、実際に患者さんを診てもらうようにしています。たとえば強皮症の場合、写真では見たことがあるかもしれませんが、実際に診て触ったことがなければ正確な鑑別診断はできません。臨床の所見をとることが、目で見て触ってというクラシカルな行為が、関節リウマチの診断に最も重要なことなのです。これは臨床の現場で教えないとなかなか伝わりません。研修の段階で一番重視している教育の一つです。また、鑑別診断では、総合的な視点が重要です。膠原病は様々な症状を引き起こします。関節だけでなく、心臓も肺も悪くなって皮膚病変もあった場合、科学技術や検査結果にのみ頼るのではなく"診る""触る"などの最も初歩的でクラシカルな診断力が必要とされます。診察所見を大事にする。これが臨床医の本流だと考えています。質問と回答を公開中!

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心血管疾患の生涯リスクを予測する新たなQRISKモデル

新たに開発されたQRISKの心血管疾患に関する生涯リスクスコア(http://www.qrisk.org/lifetime/)は、従来のQRISKモデルの10年リスクスコアでは確認し得ない、より若い年齢層における高リスク例の同定を可能にすることが、イギリス・Nottingham大学プライマリ・ケア科のJulia Hippisley-Cox氏らの検討で示された。QRISK2などのリスク予測アルゴリズムは、通常、心血管疾患の10年絶対リスク≧20%の場合に高リスク例と判定しているが、この20%という閾値では、若年者のうち10年絶対リスクは低いものの相対的に高リスクな例を見逃す懸念がある。生涯リスクによる予測は、特に若年例についてより多くの情報をもたらし、マネジメントの決定やライフスタイルの改善に役立つ可能性があるという。BMJ誌2011年1月8日号(オンライン版2010年12月9日号)掲載の報告。ルーチンのプライマリ・ケア・データを用いた前向きコホート試験研究グループは、心血管疾患の生涯リスクを予測する新たなQRISKモデルを開発し、その妥当性を検証、評価するためのプロスペクティブなコホート試験を実施した。解析には、イングランドとウェールズの一般医(GP)563名からルーチンに登録されたQResearchデータベースのプライマリ・ケア・データを用いた。対象は、1994年1月1日~2010年4月30日までに登録された30~84歳の患者で、心血管疾患の既往歴がなく、スタチンの処方歴がない例とした(導出コホート:234万3,759例、検証コホート:126万7,159例 )。生涯リスクの推算に用いた因子は、喫煙状況、人種、収縮期血圧、総コレステロール/HDLコレステロール比、BMI、冠動脈心疾患の家族歴(60歳未満で発症した一親等内の親族の有無)、Townsend貧困スコア、治療中の高血圧、関節リウマチ、慢性腎疾患、2型糖尿病、心房細動であった。生涯リスクに基づく介入が有益か否かは、さらなる検討を要する検証コホート126万7,159例のデータセットの解析では、生涯リスクが50パーセンタイルの場合の心血管疾患の生涯リスクは31%であり、75パーセンタイルの場合は39%、90パーセンタイルでは50%、95パーセンタイルでは57%であった。検証コホートにおいて生涯リスクモデルあるいは10年リスクモデルのいずれかでリスクが最上位の10%に相当すると判定された例のうち、双方のモデルのどちらもが高リスクと判定した例は14.5%(1万8,385例)にすぎなかった。10年リスクモデルで高リスクと判定された例に比べ、生涯リスクモデルで高リスクと判定された患者は、より若く、少数民族に属する例が多く、冠動脈心疾患の家族歴を有する傾向が強かった。著者は、「新たなQRISKの生涯リスクスコアを用いれば、QRISKモデルの10年リスクスコアでは確認し得ない、より若い年齢層における高リスク例の同定が可能になる」と結論する一方で、「より若い年代でのライフスタイルへの介入は有益な可能性があるが、65歳未満ではその恩恵は小さく、薬物による介入には薬物そのもののリスクが伴う。今後、生涯リスクスコアに基づく介入の費用効果や、このアプローチが許容可能か否かにつき、詳細な検討を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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優れた臨床家は、睡眠、健康と表情の手がかりを結び付ける術を知っている

観察することの訓練を受けていない人でも、睡眠不足の人を見ると、その人がきちんと寝ている時に比べ、健康を損ない魅力を失い、くたびれていると見て取れることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJohn Axelsson氏らによって実証された。Axelsson氏は、「この結果は、人が社会性や臨床的な判断をされる際に、見た目が影響していることを示すものである」としたうえで、「臨床診断において見た目がどれほど影響しているかを理解することの根拠となり、ひいては対診の際に見た目を情報として付加できる根拠ともなる」と結論している。本論は、BMJ誌年末恒例のクリスマス特集論文の1本で、2010年12月18日号(オンライン版2010年12月14日号)に掲載された。訓練を受けていない人が、写真を見て不健康などを認知できるか検証Axelsson氏らは、シャーロックホームズのモデルとして知られるジョセフ・ベル教授の「優れた観察と推論で」という臨床診断の教えを基に本試験を行った。試験は、観察の訓練を受けていない人が、睡眠不足時に撮影された写真を見て、健康や魅力を損なっており、より疲れていると認知するかを検証するというものであった。ストックホルムにある睡眠研究所で、23人の健康な成人(18~31歳、女性11人)と、訓練を受けていない観察者65人(18~61歳、大半がカロリンスカ研究所の学生、女性40人)が参加して行われた。被験者は、通常睡眠(8時間)後と、睡眠不足時(睡眠を5時間に減じられた上で眠らずに31時間後)にそれぞれ顔写真を撮影され、それら写真を観察者にランダムに示し評価をしてもらった。主要評価項目は、観察者が評価した睡眠不足時写真と通常睡眠時写真との、健康度、魅力度、疲労度に関する視覚的アナログスケール(VAS、100mm)の差とした。結果は睡眠と健康の既存モデルに合致結果、健康度に関する平均VASは、睡眠不足時63(SE 2)vs. 通常睡眠時68(SE 2)で、観察者は睡眠不足時の方を健康的ではないと捉えていたことが認められた(p<0.001)。疲労度についても、同53(SE 3)vs. 44(SE 3)、魅力度についても38(SE 2)vs. 40(SE 2)で、睡眠不足時の方が疲労度が高く、魅力に乏しいと捉えていたことが示された(いずれもP<0.001)。また、健康度の評価が低下することと、疲労度の評価の上昇および魅力度の評価の低下は関連していることが認められた。著者は「これら結果は、既存の睡眠と健康の関連モデルに合致していた。今後、臨床設定で、表情の手がかり(facial cue)について検証を行うことが必要と思われる。おそらく優れた臨床家は、睡眠や健康と表情の手がかりとを結び付ける術を知っており駆使しているからだ。このように我々の研究成果は、ベル教授の教えや、俗に言われる“beauty sleep”に隠された健康や魅力に関する判断への洞察を提示するものである」とまとめている。

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カテーテルベースの腎除神経術、治療抵抗性高血圧の降圧に有用

治療抵抗性の高血圧患者に対するカテーテルベースの腎除神経術は実質的な降圧効果を示し、安全に施行可能なことが、オーストラリアBaker IDI心臓・糖尿病研究所(メルボルン)のMurray D Esler氏らが行った「Symplicity HTN-2」試験で示された。腎臓の交感神経系の活性化は本態性高血圧の主病因とされる。降圧薬が一般化する以前から、重症高血圧の治療として非選択的な交感神経除去術の有効性が示されていたが、近年の血管内カテーテル技術の進歩により、腎動脈内腔にラジオ波を当てることで腎動脈外膜に局在する腎神経を選択的に除神経することが可能になった。Lancet誌2010年12月4日号(オンライン版2010年11月17日号)掲載の報告。腎除神経術の効果と安全性を評価する無作為化試験Symplicity HTN-2試験の研究グループは、治療抵抗性の高血圧患者に対する降圧療法としてのカテーテルベースの腎除神経術(Symplicityカテーテルシステム)の、効果と安全性を評価する目的で、プロスペクティブな無作為化試験を実施した。ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドの24の施設が参加し、3剤以上の降圧薬を服用してもベースラインの収縮期血圧が≧160mmHgの患者(2型糖尿病を合併する場合は≧150mmHg)が、これまでの治療に加え腎除神経術を施行する群あるいはこれまでの治療のみを継続する群(対照群)に無作為に割り付けられた。データ解析の担当者には治療割り付け情報が知らされなかった。効果に関する主要評価項目は6ヵ月後の診察室における坐位収縮期血圧の変化とし、6ヵ月の時点でフォローアップを継続中の全例が解析の対象となった。6ヵ月後には33/11mmHgの差が2009年6月9日~2010年1月15日までに、適格基準を満たした190例のうち106例(56%)が、腎除神経術群(52例)あるいは対照群(54例)に割り付けられた。6ヵ月後に主要評価項目の評価が可能だったのは、腎除神経術群49例(94%)、対照群51例(94%)であった。診察室血圧は、腎除神経術群がベースラインの178/96mmHg(SD 18/16mmHg)から32/12mmHg(SD 23/11mmHg、p<0.0001)低下したのに対し、対照群はベースラインの178/97mmHg(SD 17/16mmHg)から1/0mmHg(SD 21/10mmHg、収縮期:p=0.77、拡張期:p=0.83)しか変化しなかった。6ヵ月後の両群間の血圧の差は33/11mmHgであり、有意差を認めた(p<0.0001)。6ヵ月後に収縮期血圧が10mmHg以上低下した患者は、対照群が51例中18例(35%)にすぎなかったのに比べ、腎除神経術群は49例中41例(84%)に上った(p<0.0001)。手技あるいはデバイス関連の重篤な有害事象はみられず、有害事象の頻度は両群間で差はなかった。腎除神経群の1例で動脈硬化病変の進行がみられたが、治療の必要はなかった。(菅野守:医学ライター)

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スタチンの思わぬ効果・有害事象

スタチンの想定されていない効果および有害事象について検討する、英国人男女200万人超を対象とする前向きコホート研究が、英国ノッティンガム大学プライマリ・ケア部門のJulia Hippisley-Cox氏らにより行われた。思わぬ効果として、食道がんリスク低下の有益性が認められた一方、様々な有害事象リスク上昇との関連が確認されたという。BMJ誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月20日号)掲載より。スタチン各種、用量、投与期間ごとに効果・有害事象を定量化Hippisley-Cox氏らは、スタチンの思わぬ効果・有害事象について、種類・用量・投与期間別に定量化することを目的とし、イングランドおよびウェールズの開業医(GP)368人の診療データをQResearch databaseから収集し検討した。200万4,692例分の患者データ(30~84歳)のうち、スタチン服用新規患者は、22万5,922例(10.7%)だった。処方の内訳は、15万9,790(70.7%)がシンバスタチン(商品名:リポバスなど)、5万328例(22.3%)がアトルバスタチン(商品名:リピトール)、8,103例(3.6%)がプラバスタチン(商品名:メバロチンなど)、4,497例(1.9%)がロスバスタチン(商品名:クレストール)、3,204例(1.4%)がフルバスタチン(商品名:ローコールなど)だった。検討された主要評価項目は、心血管疾患の初回発生、中等度~重度ミオパシー、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、静脈血栓塞栓症、パーキンソン病、認知症、関節リウマチ、白内障、骨粗鬆症性骨折、胃がん、食道がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がん。食道がんリスク低下、肝機能障害・急性腎不全・ミオパシー・白内障リスク増大スタチンとの関連が有意ではなかったのは、パーキンソン病、関節リウマチ、静脈血栓塞栓症、認知症、骨粗鬆症性骨折、胃がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がんの各リスク。食道がんリスクについては低下が認められた。一方で、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、中等度~重度ミオパシー、白内障のリスクは増大することが認められた。有害事象は、スタチンの種類を問わず同等にみられた。ただし肝機能障害についてはフルバスタチンでリスクが高かった。用量反応効果は、急性腎不全、肝機能障害で明瞭だった。服用期間中の全リスク増加は、最初の1年目が最も高かった。白内障リスクは男女とも、服用中止後1年以内で標準に戻った。食道がんのリスクは、女性は1年以内に男性は1~3年以内で標準に戻った。急性腎不全リスクは、男女とも1~3年以内に、肝機能障害リスクは、女性は1~3年以内に男性は3年以降に標準に戻った。心疾患リスク20%閾値に基づく5年予防NNT(治療必要数、対患者1万例)は、女性の場合、心血管疾患が37例(95%信頼区間:27~64)、食道がんは1,266例(850~3,460)だった。男性はそれぞれ、33例(24~57)、1,082例(711~2,807)だった。一方、5年NNH(有害必要数、対患者1万例)は、女性の場合、急性腎不全が434例(284~783)、中等度~重度ミオパシーは259例(186~375)、中等度~重度肝機能障害136例(109~175)、白内障33例(28~38)だった。男性のNNHは、ミオパシーのNNHが91例(74~112)だった以外は、全体として女性と同等だった。Hippisley-Cox氏は、「食道がん以外の有益性は証拠立てることができなかったが、有害事象については母集団に潜在する事象が確認でき定量化できた。さらに、有害事象の最もリスクの高い患者をモニターできるよう個別リスクのさらなる検討を進める必要がある」と結論している。

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個人向け睡眠計測サービス「SleepSign-home」(スリープサイン ホーム)提供開始

キッセイコムテック株式会社は2日、個人向け睡眠計測サービス「SleepSign-home」(スリープサイン ホーム)の提供を開始したと発表した。2週間、行動計を腰につけて過ごすだけで、睡眠状態がわかるというもの。このサービスは、スリープクリニック調布の遠藤拓郎氏との共同企画で、遠藤氏の睡眠医療における豊富な経験・見識と同社の睡眠解析ソフト開発ノウハウを融合することで実現したもの。サービス利用希望者は、同社のWebサイトより申し込み後、送付される行動計を身につけて生活し、2週間後に機器を返送すると、データを解析して遠藤氏監修の睡眠レポートを受け取ることができる。価格は5,250円(税込)。詳細はプレスリリースへhttp://www.kicnet.co.jp/news/press/press2009/20091202.html

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成人喘息、遺伝子型の違いでLABA+ICSの効果に差はない:LARGE試験

成人の中等度喘息の治療では、β2アドレナリン受容体遺伝子型の違いによって長時間作用型β2刺激薬(LABA)と吸入コルチコステロイド(ICS)の併用療法の効果に差はないことが、Harvard大学医学部Brigham and Women’s病院のMichael E Wechsler氏ら国立心肺血液研究所(NHLBI)喘息臨床研究ネットワークの検討で明らかとなった。β2アドレナリン受容体の16番目のアミノ酸の遺伝子型がアルギニンのホモ接合体(B16 Arg/Arg)の喘息患者は、グリシンのホモ接合体(B16 Gly/Gly)の患者に比べLABA+ICS併用療法の効果が劣ることが報告されていた。Lancet誌2009年11月21日号掲載の報告。遺伝子型の異なる患者をマッチさせたペアにおいてLABA+ICS併用とICS単独をクロスオーバー研究グループは、遺伝子型の違いによるLABA+ICS併用療法の効果の差について検討するために、LABA+ICS併用とICS単独の効果を比較する多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。対象は中等度喘息の成人患者で、β2アドレナリン受容体の遺伝子型がB16 Arg/Argの患者(42例)とB16 Gly/Glyの患者(45例)を、1秒量(FEV1.0)および人種でマッチさせたペアとして登録した。ペアの個々の患者は、二重盲検下に吸入LABA(サルメテロール50μg×2回/日)あるいはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、18週の治療が行われた。その後、8週のrun-out期間を置き、治療法をクロスオーバーしてさらに18週の治療が実施された。全症例に、治療開始時からオープンラベルにてICS(hydrofluoroalkane beclometasone 240μg×2回/日)が投与された。主要評価項目は起床時の最大呼気流量(PEF)。B16遺伝子型の違いにかかわらず、LABA+ICS併用療法をArg/Arg例における治療18週後の起床時平均PEFは、ICS単独群の401L/分に対し、LABA+ICS群は423L/分と21.4L/分高かった(p<0.0001)。Gly/Gly例の起床時平均PEFは、ICS単独群の405L/分に対しLABA+ICS群は426L/分とその差は21.5L/分であった(p<0.0001)。Arg/Arg例に対するGly/Gly例のPEF改善度(両群のPEFの差)は-0.1L/分であり、有意な差を認めなかった(p=0.99)。事前に規定された副次評価項目であるメサコリンPC20(FEV1.0の20%改善)は、Gly/Gly例ではLABA+ICS群がICS単独群の2.4倍であった(p<0.0001)。Arg/Arg例では、メサコリンに対する反応性は両群に差を認めなかった(p=0.87)。メサコリン反応性はGly/Gly例がArg/Arg例の2.5倍であった(p=0.0038)。Arg/Arg例の7例(ICS単独群:5例、LABA+ICS併用群:2例)、Gly/Gly例の6例(3例、3例)で喘息の増悪が見られた。重篤な有害事象は5例で認められた(pre-matchおよびオープンラベルのICSのrun-in期間中に1例ずつ、LABA+ICSの二重盲検治療中に2例、プラセボ+ICSの二重盲検治療中に1例)。喘息関連の有害事象は見られず、試験薬剤や処置に関連した有害事象も認めなかった。著者は、「B16 Arg/ArgおよびB16 Gly/Glyのいずれの遺伝子型の成人喘息患者においても、ICS単独よりもLABA+ICS併用のほうが気道機能の改善効果が有意に優れた」と結論し、「B16遺伝子型の違いにかかわらず、喘息患者ではLABA+ICS併用療法による治療を継続すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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プライマリ・ケアにおけるうつ病治療に、オンライン認知行動療法は有効か?

プライマリ・ケアにおけるうつ病治療では、セラピストがインターネット経由のオンラインでリアルタイムに実施する認知行動療法(cognitive-behavioural therapy; CBT)が有効であることが、イギリス国立ヘルス・リサーチ研究所(NIHR)プライマリ・ケア研究部のDavid Kessler氏らによる無作為化試験で明らかとなった。CBTは有効性に関する強力なエビデンスがあるにもかかわらずさほど普及していない。コンピュータ化されたプログラムによってCBTへの近接性(アクセスのしやすさ、accessibility)の改善が進められてきたが、これらの介入が個々の患者の必要性に対応するものか否かは明確でないという。Lancet誌2009年8月22日号掲載の報告。通常ケア+オンラインCBT群と通常ケア単独群を比較研究グループは、プライマリ・ケアにおいてセラピストがうつ病患者に対してオンラインで行うCBTの有効性について検討する無作為化対照比較試験を実施した。2005年10月~2008年2月までにブリストル市、ロンドン市、ウォリックシャー州の55の一般医(GP)施設から、ベックうつ評価尺度(Beck depression inventory; BDI)スコア≧14でうつ病の確定診断がなされた297例(18~75歳)が登録された。これらの患者が、GPによる通常のケアにセラピストによるオンラインCBTを併用する群(149例)あるいはオンラインCBTの待機中(8ヵ月間)にGPによる通常ケアのみを受ける群(148例)に無作為に割り付けられた。患者、登録に関係した研究者、セラピストには割り付けに関する情報は知らされなかった。主要評価項目は、4ヵ月後におけるうつ病の回復(BDIスコア<10)とした。回復率が有意に改善、効果は8ヵ月後も持続4ヵ月のフォローアップを完遂したのは、オンラインCBT併用群が113例、通常ケア単独群は97例であった。4ヵ月後におけるうつ病からの回復率は、通常ケア単独群の24%(23/97例)に対し、オンラインCBT併用群は38%(43/113例)と有意に優れていた(オッズ比:2.39、p=0.011)。8ヵ月後の回復率も、通常ケア単独群の26%(26/101例)に対し、オンラインCBT併用群は42%(46/109例)と有意差が認められた(オッズ比:2.07、p=0.023)。著者は、「プライマリ・ケアにおいてセラピストがオンラインでリアルタイムに実施するCBTは、うつ病治療として有効と考えられ、その効果は8ヵ月間にわたって持続した。インターネットを利用した方法は、CBTへのアクセスのしやすさを拡大する可能性がある」と結論している。また、「リアルタイムのオンラインCBTが実行可能でこれに魅力を感じる患者の増加が見込まれており、心理学的治療へのアクセスがしにくい地域や英語を母国語としない患者に対して有用となる可能性がある。対面方式のCBTの柔軟性や応答性も備えているため重症例にも適切な治療法と考えられ、さらなる効果の増強も期待できる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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禁煙は妊娠15週までに

妊娠中の喫煙と、自然未熟児出産および在胎期間に比べて小さい不当軽量児出産との関連は、すでに立証されており、妊娠した女性には禁煙が勧められる。しかしこれまで、妊娠初期に禁煙すれば、胎児への有害な影響が回避できるかどうかは検証されていなかった。オークランド大学(ニュージーランド)産科婦人科のLesley M E McCowan氏らは、妊娠15週までに禁煙した妊婦と非喫煙妊婦を対象とした前向きコホート試験を行った結果、有害転帰は両者で変わらなかったと報告した。BMJ誌2009年6月27日号(オンライン版2009年3月26日号)より。禁煙群、非喫煙群、喫煙群とで転帰を比較Screening for Pregnancy Endpoints(SCOPE)と命名された試験には、オークランド(ニュージーランド)とアデレード(オーストラリア)に住む2,504例の妊婦が参加した。内訳は、15週までに禁煙した妊婦群(禁煙群:10%、261例)と、非喫煙の妊婦群(非喫煙群:80%、1,992例)、15週時点でも喫煙中の妊婦群(喫煙群:10%、251例)。自然未熟児出産および不当軽量児出産(10ヵ月標準より小さい)の転帰に関して、禁煙群と非喫煙群とのオッズ比、および禁煙群と喫煙群とのオッズ比をそれぞれ比較した。禁煙群 vs. 非喫煙群、自然未熟児1.03、不当軽量児1.06自然未熟児については、禁煙群10例(4%)、非喫煙群88例(4%)、現在喫煙群25例(10%)で、禁煙群は、非喫煙群とで発生率に差異は見られなかった(オッズ比:1.03、95%信頼区間:0.49~2.18、P=0.66)。一方、現在喫煙群との比較では、現在喫煙群のほうがはるかに高い(3.21、1.42~7.23、P=0.006)。不当軽量児については、禁煙群27例(10%)、非喫煙群195例(10%)、現在喫煙群42例(17%)で、こちらも禁煙群は、非喫煙群とでは差異は見られなかったが(1.06、0.67~1.68、P=0.8)、現在喫煙群とでは約2倍近い差が見られた(1.76、1.03~3.02、P=0.03)。(朝田哲明:医療ライター)

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2型糖尿病の10年リスク予測スコアの決定版!? QDScore

広く認められ日常診療でも使用可能な2型糖尿病のリスク予測スコアのアルゴリズムは、いまだ開発されていない。イギリス、ノッティンガムの一般開業医Julia Hippisley-Coxらは、これまで開発されたアルゴリズムの反省点を踏まえ、人種および社会経済的に多様な集団を対象に、10年間の2型糖尿病診断結果を基にした新たな糖尿病10年リスク予測スコアのアルゴリズム(QDScore)を開発した。BMJ誌2009年4月4日号(オンライン版2009年3月17日号)で発表している。人種および社会経済的に多様な集団を対象に開発開発には、イングランドとウェールズの一般開業医が協力。スコア開発群として355人がデータを提供、一方で、スコア検証群として176人がデータを提供する前向きオープンコホート研究の方法を用いて行われた。最も関心が寄せられた転帰は、カルテに記された2型糖尿病のインシデント情報だった。また、Cox比例ハザードモデルを使い、リスク因子影響の評価と、リスク因子の男女差が調べられた。評価されたQDScoreの予測変数は、人種、年齢、性、BMI、喫煙状態、糖尿病の家族歴、T-スコア、高血圧と心血管疾患の治療歴、コルチコステロイドの現在使用である。開発群コホートに集まったデータは、25~79歳の254万753人(1,643万6,135人・年)。そのうち、7万8,081人が2型糖尿病のインシデントケースと診断された。一方、検証群コホートには、123万2,832人(764万3,037人・年)のデータが集まり、インシデントケースは、3万7,535人だった。WEBにあるので、いつでも誰もが気軽に評価の結果、2型糖尿病のリスクの人種間格差は、4倍から5倍に上ることが明らかになった。白人を基準とすると、バングラディッシュ人・女性は4.07倍(95%信頼区間:3.24~5.11)、同男性は4.53倍(3.67~5.59)、またパキスタン人・女性は2.15倍(1.84~2.52)、同男性は2.54倍(2.20~2.93)に上る。パキスタン人とバングラデシュ人の男性のリスクは、インド人の男性より有意に高率だった。アフリカ系黒人男性と中国人女性のリスクも、対応する白人の基準群と比較して高かった。また検証群のデータを使っての検定の結果、QDScoreの予測変数が、より優れていることが確認された。Hippisley-Cox氏は、「QDScoreは、前向きコホート研究を基礎とし、そして社会的格差や民族性を考慮した初の、2型糖尿病のための10年リスク予測アルゴリズムである。臨床検査を必要とせず、日常診療で使用でき、さらに、WEB(http://www.qdscore.org)上にもあるので、いつでも誰もが利用することができるものだ」とまとめている。

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減量は尿失禁改善に有効

過体重・肥満女性への尿失禁治療として、減量指導が有効なことが確認された。米国カリフォルニア大学のLeslee L. Subak氏らによる、半年間にわたる対照群との比較による無作為化臨床試験の結果。NEJM誌2009年1月29日号掲載より。強化減量プログラム群と対照群に割り付け6ヵ月間介入これまで観察研究や小規模試験などで、肥満は尿失禁のハイリスク因子である一方、減量による減少効果も認められており、Subak氏らは、尿失禁治療目的の減量効果のエビデンス確立を目的とする無作為化臨床試験を行った。対象は、週に10回は尿失禁がある肥満女性338例。平均年齢(±SD)は53±11歳。強化減量プログラム(食事療法、運動療法、行動変容)群(介入群:226例)と、一般的な教育プログラム群(対照群:112例)に無作為に割り付け6ヵ月間介入を行った。基線での介入群、対照群それぞれのBMI、失禁回数/週は、ほぼ同じだった(BMIは36±6と36±5、失禁回数/週は24±18と24±16)。減量により失禁回数/週が、介入群47%減少介入による両群の体重の平均減量率は、介入群8.0%(7.8kg)、対照群は1.6%(1.5kg)。6ヵ月後の失禁回数/週は、介入群は47%減少、対照群は28%減少していた(P=0.01)。対照群と比較すると介入群では、腹圧性尿失禁の頻度の減少が大きかった(P=0.02)。切迫性尿失禁についてはそれほどでもない(P=0.14)。また介入群では、全失禁(P

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小児喘息の新たなリスク因子を同定か:ISAACプログラム第III相試験

1歳になる前にアセトアミノフェン(別名パラセタモール)を使用すると、6~7歳時の喘息、鼻結膜炎、湿疹のリスクが増大することが、20万人以上の小児の横断的研究で明らかとなった。喘息発症のリスク因子の検討は数多く行われてきたがいまだ明確なエビデンスはなく、胎生期にアセトアミノフェンに曝露すると小児期および成人期の喘息発症リスクが高まる可能性が指摘されていた。ニュージーランド医学研究所のRichard Beasley氏が、Lancet誌2008年9月20日号で報告した。31ヵ国73施設が参加した国際的な大規模試験研究グループは、International Study of Asthma and Allergies in Childhood (ISAAC)プログラムの第III相試験に登録された6~7歳の小児を対象に、アセトアミノフェンと喘息の関連について検討を行った。31カ国73施設に登録された20万5,487人の小児が解析の対象となった。両親あるいは保護者に、喘息、鼻結膜炎、湿疹の症状、および0歳時の発熱に対するアセトアミノフェンの使用、最近1年間におけるアセトアミノフェンの使用頻度などのリスク因子に関する質問票に記入してもらった。主要評価項目は、0歳時の発熱に対するアセトアミノフェンの使用に関連した喘息症状のオッズ比とし、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。0歳時、現行の使用で喘息リスクが有意に増大、さらなる検証が必要多変量解析では、0歳時の発熱に対するアセトアミノフェンの使用は6~7歳時の喘息症状の発現リスクを有意に増大させた(オッズ比1.46、95%信頼区間1.36~1.56)。現行のアセトアミノフェン使用によっても、用量依存性に喘息症状の発現リスクが上昇した(非使用に対する中用量使用小児のオッズ比1.61、95%信頼区間1.46~1.77、高用量使用小児のオッズ比3.23、95%信頼区間2.91~3.60)。アセトアミノフェンの使用は重症喘息のリスクとも相関を示し、人口寄与リスク(一般集団の疾患リスクのうち当該リスク因子が原因である割合)は0歳時の使用が22%、現行の使用が38%であった。また、0歳時および6~7歳時のアセトアミノフェン使用はいずれも、鼻結膜炎および湿疹症状の発現リスクをも有意に上昇させた。著者は、「0歳時および現行のアセトアミノフェン使用は6~7歳時の喘息、鼻結膜炎、湿疹のリスクと相関した。本試験のデザインでは因果関係を確立することはできないが、アセトアミノフェンへの曝露は小児喘息のリスク因子の可能性がある」と結論したうえで、「両親や医療従事者に、アセトアミノフェンのリスク対ベネフィットや、他の治療アプローチとの比較における効果、安全性について勧告するには、エビデンスとして十分ではない。早急に無作為化対照比較試験などで検証する必要がある」としている。(菅野守:医学ライター)

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診察前に患者に十分な情報提供を行っても…

診察の前にあらかじめ患者に情報提供を行っても、患者満足やコンプライアンス向上などには結びつかないことが、カーディフ大学(イギリス)医学部のPaul Kinnersley氏らによるシステマティックレビューの結果として報告された。BMJ誌2008年7月16日号掲載より。33の無作為化試験をメタ解析患者は医師や看護師からの詳細な情報提供を望むが、通常提供される情報量は少ない。情報提供は治療の鍵(患者満足、コンプライアンス向上、認知、理解)となり、症状改善、入院期間等にも関わる一方、情報提供を行わないこと、あるいは患者にとって不要な情報を提供することはリスク増大につながる。そこでKinnersley氏らは、情報を集められる事前相談の介入ヘルスケアシステムが、患者・臨床家に及ぼす影響と、それらが患者や家族にとって助けとなっているのかを調査した。メタ解析によるシステマティックレビューで、コクランライブラリー等7つの電子文献ソースから、8,244例が関与していた33の無作為化試験を選定し行われた。主要評価項目は、患者からの質問(患者の不安、認識、満足の程度を評価)、および診察時間。患者ベネフィットはわずか33の無作為化試験のうち、メタ解析に有効な試験はわずかだった。メタ解析の結果、わずかではあったが統計学的に有意な増加が、患者からの質問(平均値差:0.27)と患者満足(0.09)にみられた。また非統計学的だが有意な変化が、診察前の患者の不安(加重平均差:-1.56)、診察後の患者の不安(平均差:-0.08)、患者の認識(-0.34)、診察時間(0.10)にみられた。文書等による事前介入は、患者からの質問、診察時間、患者満足感に患者指導でもたらされるのと同様の効果があった。臨床家がさらなるトレーニングを積んでの介入よりも、患者を絞り込んで介入することのほうが、患者満足や診察時間に効果があった。Kinnersley氏は「事前介入による患者ベネフィットはわずかである。これらは診察時の患者と臨床家の態度を変えることの難しさを証明する。質問が増えないのはアウトカムが顕著に変わることがないからだろう」と結論している。

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QRISK2は心血管系イベントのハイリスクの予測に優れている

心血管系イベントの予測ツールとして、英国人データを基に開発されたQRISK(10年間心血管系イベント率予測スコア)(2007年8月10日配信号参照)。その進化バージョンQRISK2(心血管疾患リスクアルゴリズム)の開発・検証報告が、英国ノッチンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らにより発表された。QRISK2は、英国立医療技術評価機構(NICE)が推奨するFraminghamスコア補正バージョンよりもパフォーマンスが優れたもの、イングランドとウェールズ特異の人種コホートを鑑み心血管リスクの正確な推定値を提供できることを目的とし開発された。BMJ誌2008年6月28日号(オンライン版2008年6月23日号)掲載より。英国のQRESEARCHで登録された230万人を基にツール開発は、QRESEARCHでデータベース登録された35~74歳の230万人(1,600万人 年超)、心血管イベント14万件を基とする。全母集団(開発コホートと検証コホート合わせて)のうち、222万人が白人または人種不明の集団で、22,013人が南アジア人、11,595人がアフリカ系黒人、10,402人がカリブ系黒人、19,792人が中国系またはその他アジア系で構成されていた。主要評価項目は、心血管疾患(虚血性心疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作)の初回診断(インシデント報告)記録。リスク因子は、自己申告を含む民族性、年齢、性、喫煙状態、収縮期血圧、血清総コレステロール、BMI、60歳未満家族(一親等)の虚血性心疾患歴、貧困スコア、および高血圧、2型糖尿病、腎疾患、心房細動、関節リウマチの治療歴。Framinghamスコアよりも優れている検証の結果、QRISK2はFraminghamスコアよりも優れていることを示した。R2乗検定によるモデル適合度は、QRISK2(女性43% 、男性38%)vs. Framingham(39%、35%)。ハイリスク群(10年リスクが20%以上)にFraminghamで分類されたのは112,156人だったが、QRISK2で検証するとそのうちの46,094人(41.1%)にとどまる。そしてこのうち実際の10年リスクは16.6%で、20%閾値以下だった。一方QRISK2でハイリスクに分類されたのは78,024人。Framinghamで分類できたのはそのうち11,962(15.3%)人、実際の10年リスクは23.3%で20%閾値を上回っていた。検証コホートにおいて、年間インシデント20%以上と予測されたのは、QRISK2では女性で30.6/1,000人年、男性で32.5/1,000人年。一方、Framinghamでは、26.4/1,000人年、25.7/1,000人年で、実際の20%以上のイベント発生はQRISK2で予測された集団のほうが高かった。これらからCox氏は「QRISK2は特に“20%”を閾値とするハイリスク群の選定に優れ、心血管疾患の第一次予防のためのより効果的なツールである」と結論した。また、検証グループの属性を変えてさらなる妥当性の検証を行う必要性も述べている。

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無作為割り付け、二重盲検化いずれかを欠く試験では「客観的」評価項目が肝要

無作為割り付けが適切になされていない、あるいは二重盲検ではない介入試験では、主観的評価項目に対する介入の効果が強調されていることが明らかになった。University of Bristol(英国)のLesley Wood氏らによる報告がBMJ誌HPで早期公開(2008年3月3日付、本誌3月15日号に収載)された。メタ解析の対象となった試験で検討検討の対象となったのは、予後に対する介入の影響を検討した1,346試験を対象としたメタ解析146件。「適切な無作為割り付けの有無」、「二重盲検化の有無」で試験を分け、介入に対する評価が異なるかを検討した。「適切な無作為割り付け」とは参加者や登録者が事前に割り付け群が分からぬよう行なわれる割り付け、「二重盲検化」とは完全な患者、治療者だけでなく、イベント判定者も治療内容を知り得ない状況とされた。 非無作為、非盲検化で増強するのは「主観的」評価項目への作用「無作為割り付けの適切さ」は804件の試験で検討された。その結果、無作為割り付けが「適切」だった272試験(34%)に比べ「不適切」な試験では介入の効果が相対的に17%、有意に大きかった(評価項目オッズ比:0.83、95%信頼区間:0.74~0.93)。しかし、評価項目を「主観的」、「客観的」に分けると、不適切な無作為割り付け」により介入の効果が有意に増大していたのは「主観的」評価項目だけだった(オッズ比:0.69、95%信頼区間:0.59~0.82。客観的評価項目オッズ比:0.91、95%信頼区間:0.80~1.03)。「二重盲検の有無」を評価できたのは746試験だった。二重盲検化されていた432試験(58%)に比べ、非二重盲検試験では介入の効果が相対的に7%増強されていたが、有意ではなかった。しかし「主観的」評価項目に限れば、非二重盲検試験では介入により有意にリスクは減少していた(オッズ比:0.75、95%信頼区間:0.61~0.93)。最後に、「適切な無作為割り付けの有無」「二重盲検化の有無」を変数として同じ回帰分析に入れてみた。その結果、総死亡、「客観的」評価項目に対してはいずれも有意な因子ではなかったが、「主観的」評価項目のリスクは「適切ではない無作為割り付け試験」(オッズ比:0.75、95%信頼区間:0.63~0.88)、「非二重盲検化試験」(同0.77、0.65~0.91)のいずれにおいても介入により有意に低下していた。 「客観的」評価項目の採用が重要二重盲検試験でも有害事象により患者の割り付け群が分かる場合は珍しくない。Wood氏らはそれを踏まえ、臨床試験では客観的な評価項目を必ず設ける必要があるとしている。最近増えている複合評価項目では、どれほど客観的な項目が含まれているか確認する必要があるということだろう。オープン試験でイベント判定だけを盲検化するPROBE法を用いた大規模臨床試験ではなおさらである。Wood氏らまた、メタ解析を行う場合、このようなバイアスにも留意して解析対象の試験を選択するよう呼びかけている。たとえば高血圧領域なら、1日3回服用のACE阻害薬の1日服用量を1回で服用させたCAPPP試験、また、長時間Ca拮抗薬の有用性を確認したとされるSyst-EUR研究(プラセボ群は追加薬のACE阻害薬、利尿薬もプラセボ)あたりは、特に薬剤間の比較を行うメタ解析からは除外を検討する余地はあるのではないだろうか。(宇津貴史:医学レポーター)

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植込型除細動器使用は女性で低い

JAMA誌10月3日号に寄せられた本論は、植込型除細動器(ICD)使用の性差に着目した、複数年にわたる患者追跡調査を踏まえた研究報告で、米国デューク医科大学クリニカルリサーチ研究所のLesley H. Curtis氏らによる。一次あるいは二次予防目的使用群ごと複数年にわたって検証Curtis氏らは、心突然死の一次予防もしくは二次予防を目的にICD使用が適用された患者群を追い検証した。連邦機関の一つであるCMMS(Centers for Medicare & Medicaid Services:旧保健医療財政局)から得られた1991年~2005年の間の調査定義可能な5%相当の全国サンプルを解析。メディケアに該当する65歳以上患者で、急性心筋梗塞、心機能不全あるいは心筋症と診断された(心停止、心室頻拍は除く)男性65,917例、女性70,504例を一次予防コホート群として、心停止または心室頻拍と診断された男性52,252例、女性47,411例を二次予防コホート群として解析が行われた。主要評価項目は、1999年から2005年までの1年ごとのICD治療の受療状況と全死亡率。ICD治療群と未治療群との死亡率の有意差が少ないのは性差のせい?2005年時の一次予防コホート群で、コホートエントリー1年以内でICD治療を受けていたのは男性が32.3/1,000例、女性は8.6/1,000例。多変量解析によって、男性のほうが女性よりもICD治療を受けている傾向が強かった(ハザード比3.15、95%信頼区間2.86-3.47)。またコホートエントリー180日時点で存命のICD未治療群とICD治療群との、1年以内の死亡率に有意差はなかった(ハザード比1.01、95%信頼区間0.82-1.23)。一方、2005年時の二次予防コホート群は、男性102.2/1,000例、女性38.4/1,000例がICD治療を受けていた。人口統計学的変数および共存症の有無で調整後、男性のほうが女性よりもICD治療を受けている傾向が強いことが明らかとなった(ハザード比2.44、95%信頼区間2.30-2.59)。またコホートエントリー30日時点で存命だったICD未治療群とICD治療群との、1年以内の死亡率は、治療群のほうが有意に低かった(ハザード比0.65、95%信頼区間0.60-0.71)。Curtis氏らは、メディケア集団においては、一次予防もしくは二次予防目的いずれでも、女性のほうがICD治療を男性よりも受けていないという性差が見いだされたと報告。これまでの報告ではギャップは少ないとされていたが、性差があると認識することが死亡率改善のためにも必要だと述べている。(武藤まき:医療ライター)

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STAT4と関節リウマチや全身性エリテマトーデスのリスク

 関節リウマチは重要な遺伝的要因をもつ慢性炎症性疾患である。疾患に対する感受性は、染色体2q上の領域と関連付けられてきた。特に、Jakキナーゼアとともにサイトカインシグナルの伝達経路となるSTAT 分子は7種類あることがわかっており、Th1反応を起こすIL-12に反応するSTAT4 の役割の解明に注目が集まっている。 アメリカ国立衛生研究所関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所のElaine F. Remmers氏らは、すでに関節リウマチと関連づけられている染色体2q領域中の13の候補遺伝子の内外にある一塩基多型(SNP)を調べた。NEJM誌9月6日号の報告から。STAT4 第3イントロン(*1)のSNPハプロタイプ(*2)の関連を示唆 研究グループは、関節リウマチと診断された北米の症例患者群1,620例と対照群2,635例についてSTAT1-STAT4 領域の微細な遺伝子マッピングを実施した。関連するSNPについては独立したケース-対照群シリーズから、スウェーデンの初期関節リウマチ患者群 1,529例と対照群881例、さらに全身性エリテマトーデス(SLE)患者については3シリーズから計患者群1,039例と対照群1,248例を登録し、調査した。その結果、STAT4 の第3イントロンにおけるSNPハプロタイプが、関節リウマチとSLE両方の感受性と関連していることがわかった。ハプロタイプを定義しているSNPのマイナー対立遺伝子は、診断が確定した関節リウマチ患者群の染色体の27%に存在する一方、対照群では22%であった(関連が最も強く示されたIDナンバー SNP rs7574865についてP= 2.81×10(-7)、対照群に対して患者群が染色体にリスク対立遺伝子を持つオッズ比1.32)。この関連はスウェーデンの最近の初発関節リウマチ患者で繰り返され(P = 0.02)、対照群とも合致した。STAT4 は関節リウマチ・SLE双方に共通の伝達経路 rs7574865 でマークされたハプロタイプはSLEの主症状である狼瘡と強い関連があり、症例患者群31%の染色体上に存在し、対照群では22%だった(P=1.87× 10(-9)、対照群と比較して患者の染色体にリスク対立遺伝子が存在するオッズ比1.55)。リスク対立遺伝子のホモ接合性は、対立遺伝子の欠如と比較して、狼瘡では2倍のリスクと、関節リウマチでは60%のリスク増加と関連していた。これらの結果から研究グループは、STAT4 のハプロタイプは関節リウマチとSLEの両方のリスク増加と関連しており、これらの疾患には共通の経路があることが示唆されたとしている。*1 遺伝子中でタンパク質を作るための情報をもたない部分*2 同一染色体上で、遺伝的に連鎖している多型(一塩基多型:SNPなど)の組み合わせ(朝田哲明:医療ライター)

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米国高齢者の性

人口の高齢化にもかかわらず、高齢者の性行動と性機能についてはあまり知られていない。シカゴ大学プリッツカー医科大学院で医療倫理学を扱うStacy Tessler Lindau氏らは、米国内で57~85歳の3,005人(女性1,550人と男性1,455人)をランダムに抽出。性行動、活動性、問題点の出現率について報告するとともに、これらの変数が年齢や健康状態とどのように関連するのかについて報告した。NEJM誌8月23日号より。高齢者の性問題、女性は性欲低下、男性は勃起不全抽出したサンプルの非加重平均応答率は74.8%で、加重平均応答率は75.5%だった。回答者の性行動に関する応答率は年齢と共に減少した(57~64歳で73%、65~74歳で53%、75~85歳で26%)。女性は全年齢の男性より性行動に関する回答が有意に少なかった。性的にアクティブな回答者では、男女とも半数は少なくとも1つの性に関する面倒な問題があると回答した。女性にとって最もポピュラーな性の問題は、性欲低下(43%)、膣潤滑不全(39%)、不感症(34%)。男性では勃起不全(37%)であった。そして男性の14%は、性機能を高めるために薬物療法または補助食品を使用すると答えた。男女とも、自分が健康でないと考えている人ほど性的にアクティブではなく、性的にアクティブだと答えた回答者ほど性の問題に積極的に回答を寄せていた。性について問題を抱えてはいるが医師に相談する高齢者は少ない高齢者は全般に性的にアクティブではあることはわかったが、女性は男性より夫婦生活やそれに類した関係を持つこと、そして性的にアクティブになることについて積極的でないことも明らかになった。また男性の38%、女性の22%が50歳頃から、性行動について医師に相談していると回答。高齢者において性の問題はしばしば起こるが、そうした問題について医師と話し合われる機会は少ないことも判明した。Lindau氏らは報告の中で、「医師には、高齢者の一般的な健康問題や臨床上で治療可能な性の問題を見つける能力とともに、性に関する指導やカウンセリングができる能力も磨いてほしい」と述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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英国独自の心血管系リスクスコア・QRISKの有効性確認される

英国人のデータから作成された「10年間心血管系イベント率予測スコア」であるQRISKは、米国人データを基にしたFraminghamスコアに比べリスク予測がより正確であるとする論文がBMJ誌HPで早期公開された(オンライン版7月5日号、本誌7月21日号掲載)。英国University ParkのJulia Hippisley-Cox氏らによる研究だが、背景には「より適切なリスク評価による医療費削減」という狙いもあるという。「家族歴」だけでなく「貧富」もリスクにQRISKの基になったのはQRESEARCHと呼ばれる電子データベースである。17年間にわたり蓄積された英国529件の一般医を受診したおよそ1千万人のデータが蓄積されている。この中から初診時35~74歳で心血管系疾患と糖尿病を認めなかった約130万例を抽出し、その後10年間の心血管系イベント発生率とリスク因子を検討した。その結果QRISKでは、年齢、LDLコレステロール/総コレステロール比、喫煙、収縮期血圧(SBP)に加え、「降圧薬服用の有無」と「SBPと降圧治療の相互作用項」、さらに「家族歴」と「貧富」が有意な因子となっていた。後者4要因は、Framinghamリスクスコアでは評価されない。なおサッチャー政権以前は「ゆりかごから墓場まで」と言われていた英国において、現在では「貧富」が有意なリスクとなっている点も感慨深い。Framinghamリスクスコアよりも英国人には適している次にこのQRISKの妥当性をQSEARCH内61万例で検討したところ、QRISKによるイベント発生予測率は実際のイベント発生率を相対的に0.4%上回ったのみだった。一方Framinghamリスクスコアでは、実際のイベント発生リスクよりも相対的に35%の過大評価となった。またD statisticとR2 statisticを用いて検討したモデルの適合度も、Framinghamに比べQRISKで高かった。「治療方針の決定にあたりQRISKはより適したツールであろう」と筆者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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