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親に医療保険がありながら子どもが無保険の割合は3%:米国

米国で、少なくとも片方の親が医療保険に加入している場合でも、その子ども(19歳未満)の約3.3%(95%信頼区間:3.0~3.6)が無保険であることがわかった。これは、米国Oregon Health and Science大学のJennifer E. DeVoe氏らが、2002~2005年の全米の医療費に関するデータベース、Medical Expenditure Panel Survey(MEPS)の約4万人について、横断研究を行い明らかにしたもの。これまでの研究で、親が無保険の場合に、子どもが無保険になる割合が極めて高いことは知られているが、親に保険がある場合に子どもが無保険である割合についての研究は珍しい。JAMA誌2008年10月22日号より。低・中間所得者層や1人親の子どもに高率親に保険がありながら子どもが無保険だったグループについて、詳しく調べてみると、低所得者層では同割合は高所得者層の2.02倍(95%信頼区間:1.42~2.88)、中間所得者層では同1.48倍(同:1.09~2.03)と高かった。1人親の家庭でも、両親のいる家庭に比べ、同割合は1.99倍(同:1.59~2.49)だった。また親の教育レベルについて見てみると、少なくとも親の1人が高校を卒業している家庭に比べ、そうでない家庭では同割合が1.44倍(同:1.10~1.89)となっている。人種別では、ヒスパニック系がそうでない場合に比べ、同割合が1.58倍(同:1.23~2.03)と高かった。一方で、親が公的医療保険に加入している場合には、私的保険に加入している場合と比べ、子どもが無保険の割合は0.64倍(同:0.43~0.96)と少なかった。全米で推定300万人の子どもが親に保険がありながら無保険こうした結果を元に推定すると、親に保険がありながら、一時的にでも保険がない状態に陥った子どもは、全米で約300万人にも上ることがわかった。このうち、1年を通じて保険がない子どもは100万人超と予想される。同氏らは、こうした実態の原因として、親の収入が、公的保険を受けられるほど低くはないものの、私的保険の子どもの保険料を支払う余裕があるほど高くはないグループが少なくないことなどを挙げている。なお、全米の無保険の子どもの数は、900万人を超えるという。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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尊厳死を選択した末期患者の中には、うつが原因の例も

医師による死亡支援を求める末期患者におけるうつの有病率は高くはないが、現行のオレゴン州の尊厳死法下ではうつの影響で致死的薬剤の処方を選択した患者を保護できない可能性があることが、同州で実施された横断的調査で明らかとなった。1997年、同州では医師による死亡支援が合法化された。しかし、末期患者が死亡支援を求める決断をする背景には、治療可能な精神疾患の影響も考えられるため議論が続いているという。アメリカPortland在郷軍人局医療センターのLinda Ganzini氏が、BMJ誌2008年10月25日号(オンライン版2008年10月8日号)で報告した。死亡支援を求める末期患者におけるうつ、不安の有病率を調査研究グループは、医師に死亡支援を求める末期患者におけるうつおよび不安の有病率の調査を目的とした横断的研究を実施した。対象は、医師による死亡支援を求めているか、あるいは死亡支援組織と連絡を取っているオレゴン州在住の末期患者。登録された58例は、平均年齢66歳、女性31例、既婚者22例、ホスピス入所者21例であった。44例が末期癌患者、7例は筋萎縮性側索硬化症患者であり、面接時に明確な死亡支援を表明したのは46例であった。主要評価項目は、「病院不安およびうつスケール(HADS)」あるいは「精神疾患の分類と診断マニュアル(DSM)」の臨床面接におけるうつあるいは不安の診断とした。致死性薬剤の処方を受けた18例中うつは3例、いずれも服薬で死亡58例中うつの「事例性(caseness)」の判定基準を満たした患者が15例、不安の事例性判定基準を満たしたのは13例であった。試験終了までに42例が死亡した。そのうち尊厳死法下に致死性薬剤の処方を受けていたのは18例で、実際に薬剤の経口摂取によって死亡したのは9例であった。処方を受けた18例のうち15例はうつの判定基準を満たさなかった。残りのうつと診断された3例は、いずれも面接から2ヵ月以内に薬剤を服用して死亡した。著者は、「死亡支援を求めたオレゴン州在住の末期患者のうち、うつ状態と診断された患者の割合は6例に1例と多くはないが、現行の尊厳死法下ではうつの影響で致死性薬剤の処方を選択した患者を保護できない可能性がある」と結論している。なお、「驚いたことに、死の希求度は致死性薬剤の処方を受けた患者よりも受けていない患者で有意に高かった(p=0.004)」という。(菅野守:医学ライター)

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リハビリ介入は認知症患者には効果が乏しい

要介護高齢者へのリハビリプログラムの効果について、認知機能正常な場合はわずかだが効果は認められるが、認知機能低下が認められる高齢者にはベネフィットがないことが、オークランド大学(ニュージーランド)のNgaire Kerse氏らによって報告された。BMJ誌2008年10月18日号(オンライン版2008年10月9日号)より。41ヵ所の施設入所者対象に集団無作為化試験Kerse氏らは、長期療養施設に入所する要介護高齢者へのリハビリプログラム実施が、機能・QOL・転倒改善に効果があるかを、集団無作為化試験にて1年間追跡調査し検討した。対象としたのはニュージーランドにある41ヵ所の軽度要介護入所施設。試験参加者は65歳以上682例で、このうち330例は、老人看護専門看護師によって改善目標の設定と、個別ADL活動プログラムが提供され、日々の介入がヘルスケア・アシスタントによって提供された。352例は、施設介護を受け続けた。主要評価項目は、機能・QOL・転倒指標の変化について。機能は、LLFDI(生命機能低下と能力障害指標)、EMS(高齢者可動スケール:スコア16以下の割合)、FICSIT-4(平衡機能検査指標:直立10秒以上の割合)、TUG(timed up and go検査:秒)の変化を、QOLはLSI(生活満足度指標:判定スコア最大20)、EuroQol(判定スコア最大12)の変化を、転倒は12ヵ月の転倒回数の変化を評価した。副次評価項目は、抑うつ症状と入院とした。認知機能が正常な入所者にはわずかだがベネフィットがある試験を完了した入所者は437例(70%)だった。全体的にプログラム介入の影響は認められなかったが、介入群の中で、認知機能障害のある入所者と比べて認知機能が正常な入所者は全体的に機能の維持(LLFDIによる総合的な機能評価、P=0.024)、下肢機能の維持(LLFDIによる下肢機能評価、P=0.015)が認められた。また介入群で認知機能障害のある入所者では、うつ病の可能性が増大することが認められた。その他の転帰については両群間で差異はなかった。Kerse氏は、「施設に入所する要介護高齢者に対する機能改善のリハビリテーションプログラムは、認知機能が正常であれば多少なりとも影響はあるが、認知機能が低下した入所者にとってベネフィットはない」と結論している。

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COPDの早期治療は必要か? ―大規模臨床試験が示すもの―

2008年10月29日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に対する大規模臨床試験UPLIFT(Understanding Potential Long-term Impacts on Function with Tiotropium)の結果発表を受けて、COPD治療薬チオトロピウム(商品名:スピリーバ)の販売会社である日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社による記者会見が、久留米大学医学部内科学講座 呼吸器・神経・膠原病内科主任教授 相澤久道氏(=写真)を迎えて開催された。日本呼吸器学会理事も務めている相澤氏はUPLIFTの結果紹介に先立ち、COPDにおける現状について、『開業医の身近にある疾患にもかかわらず、多くのCOPD患者が見逃されている』、『重症ほど医療費が大きくなる』ことを紹介し、積極的な治療が必要であることを強く訴えた。UPLIFTはCOPDに関する臨床試験の中では最大規模の5,993名の患者が参加し、最長試験期間である4年間にわたって実施された。日本から約100名の患者が参加したこと、通常治療をベースとした試験デザインが採用されたことも本試験の特徴である。特に、チオトロピウム群およびコントロール群の双方で、長時間作用型β2刺激薬(LABA)や吸入ステロイド(ICS)、テオフィリンなど、吸入抗コリン薬以外のすべての薬剤使用が許可されていた点が他の臨床試験と大きく異なり、注目すべきと相澤氏が強調した。UPLIFTの主要評価項目は、FEV1(一秒量)の経年的低下量であった。副次的評価項目は、その他の呼吸機能、増悪、健康関連QOL、すべての有害事象、すべての原因による死亡患者数、呼吸器疾患による死亡患者数であった。UPLIFTの結果では、チオトロピウム群はコントロール群に比べ、FEV1の低下率に差はみられなかったものの、FEV1を試験開始30日時点で有意に改善し、その差は4年間の試験期間にわたって維持された(気管支拡張薬投与前87~103 mL、気管支拡張薬投与後47~65 mL、P

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宇宙戦艦ヤマト~歩いてイスカンダルへ~

株式会社バンダイは、楽しみながらウォーキングを継続できる歩数計をコンセプトに、『遊歩計 宇宙戦艦ヤマト~歩いてイスカンダルへ~』『遊歩計 母をたずねて三千里~お母さんに会うまで僕は絶対にあきらめない!!~』(2種/各4,725円・税込)を12月6日に発売すると発表した。 目標歩数を歩くと、それぞれのTVアニメの世界観を生かしたイベントが発生し、ストーリーが進行するという。また、目標地点までの到達日数が90日間となっており、自分の決めた毎日の目標歩数とその達成状況によってエンディングが変わる。ヤマト世代をくすぐる内容。詳細はプレスリリースへhttp://www.bandai.co.jp/releases/J2008100601.html

4166.

COPD治療薬チオトロピウムの長期臨床試験報告

慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬チオトロピウムが、COPD患者の複数のエンドポイントを改善することは先行研究で示されているが、吸入用抗コリン薬を除くすべての呼吸器疾患の薬物治療を許されたプラセボ群を対照に、チオトロピウム治療の4年間にわたる長期的な効果を検証していた米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部のDonald P. Tashkin氏らが主要な治療指標であるFEV1低下率や肺機能、QOL、増悪について報告を行った。NEJM誌2008年10月9日号(オンライン版2008年10月5日号)より。患者5,993例を4年間にわたり無作為化二重盲検プラセボ対照試験UPLIFT試験(Understanding Potential Long-Term Impacts on Function with Tiotropium)は無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、吸入用抗コリン薬を除くすべての呼吸器疾患の薬物治療を許されたCOPD患者を対象に、チオトロピウムまたはプラセボに割り付け4年にわたって投与し比較された。対照患者は日本を含む37ヵ国から登録された、40歳以上、気管支拡張薬投与後のFEV1は70%以下、FVCに対するFEV1の比率は70%以下等の条件を満たした5,993例。主要エンドポイントは、試験開始30日時点で測定した気管支拡張薬投与前後のFEV1平均低下率。副次エンドポイントは、FVC測定値、QOL評価表のSGRQ(St. George's Respiratory Questionnaire)に対する回答の変化、COPDの増悪と死亡率を含めた。FEV1低下率、肺機能、QOLの改善効果は?対象患者5,993例(平均年齢65±8歳)は、気管支拡張薬投与後の平均FEV1が1.32±0.44 L(予測値の48%)で、このうち2,987例をチオトロピウム群、3,006例をプラセボ群に無作為に割り付けた。FEV1の絶対改善平均値は試験期間を通じて、チオトロピウム群のほうがプラセボ群より維持された(気管支拡張薬投与前87~103 mL、気管支拡張薬投与後47~65 mL、P

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乳幼児の骨折で原因が確認できない場合は虐待を疑うべき

子どもの骨折が虐待によるものなのか、骨折タイプから虐待の可能性を見極めることを目的とする骨折指標の同定作業が、公表論文のシステマティックレビューによって行われた。カーディフ大学(英国)ウェールズ・ヒースパーク大学病院臨床疫学学際研究グループ/ウェールズ児童保護システマティックレビューグループのAlison M Kemp氏らによる。研究報告は、BMJ誌2008年10月2日号に掲載された。システマティックレビューで異なる骨部位の骨折を比較研究レビューのデータソースは2007年5月までのMedline、Medline in Process、embase、Assia、Caredata、Child Data、CINAHL、ISI Proceedings、Sciences Citation、Social Science Citation Index、SIGLE、Scopus、TRIP、Social Care Onlineのオリジナル研究論文、参考文献、テキスト、要約を対象とし言語文献検索(32のキーワード)された。選択された研究は、異なる骨部位の骨折(身体的虐待によるもの、および18歳未満の子どもに起きたその他ケースを含む)を比較研究したもの。総説、専門家の意見、検死研究、成人対象の研究は除外された。各論文を2人ないしは議論の余地がある場合は3人の異なる専門家(小児科医、小児レントゲン技師、整形外科医、児童保護に任ぜられている看護師のいずれか)によってレビューし行われた。またレビューではNHS Reviews and Disseminationセンターのガイダンスをベースとするデータ抽出シート、評価査定用紙、エビデンスシートが用いられた。メタ解析は可能な限り行われ、研究間の異質性を説明するため変量効果モデルで適合を図った。部位、骨折タイプ、発育段階も含めて判断することが大切選択された研究は32。乳児(1歳未満)と幼児(1~3歳)で頻繁に、虐待から生じている骨折が全身にわたって見受けられた。共通して見られたのが多発性骨折だった。自動車事故、虐待の証拠があった外傷を除き、虐待によると思われる骨折の可能性の確率が最も高かったのが肋骨骨折だった(0.71、95%信頼区間0.42~0.91)。虐待の定義付けに基づき、上腕骨骨折が虐待による確率は0.48(0.06~0.94)と0.54(0.20~0.88)の間だった。骨折タイプの解析は、子どもが転倒などで負いやすい上腕骨顆上骨折によってうまくいきそうもなかった。虐待の定義付けに基づき、大腿骨骨折が虐待による確率は0.28(0.15~0.44)と0.43(0.32~0.54)の間にあった。そして小児の発育段階は重要な選定要因であることが示された。頭蓋骨折が虐待による確率は0.30(0.19~0.46)で、虐待による骨折で最もよく見られた。虐待と無関係な骨折は線状骨折であった。本研究では、虐待による骨折の可能性の確率を算出するには、他の骨折タイプのデータが不十分だった。Kemp氏は「乳児や幼児の骨折で原因が確認できない場合は、身体的な虐待があることを潜在原因として考えなければならない。骨折それ自体だけでは、虐待によるものなのかそうでないかは区別できない。個々の骨折の評価では、部位、骨折タイプ、発育段階が、虐待可能性の判定を助けてくれる」と結論。「この分野の質の高い比較研究は限られている。さらなる前向きな疫学研究の必要が示される」と提言している。

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小児の解熱にパラセタモール+イブプロフェン併用が経済的:PITCH

本論は、イギリスの国民医療保健サービス(NHS)で、就学前の小児の解熱によく処方されるパラセタモール(別名アセトアミノフェン)とイブプロフェンに関する有効性等の比較研究(PITCH:Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children)の報告の一つ。Sandra Hollinghurst氏ら効果とコストについて分析結果で、「両剤の併用がコスト面では最も効果が大きい」と報告した。 BMJ誌2008年9月9日号に掲載された。48時間と5日後の効果と費用を比較検討3肢無作為化試験の一部として、コスト分析と費用対効果分析を行った。対象はプライマリ・ケアおよび地域から集められた、腋窩体温が37.8度以上41度以下の生後6ヵ月~6歳児で、パラセタモールとイブプロフェンを単独または併用で投与した。主要転帰尺度は、NHSと保護者が投じたコスト。コストと体温、不快感、活力、食欲、睡眠状態との比較を、投与後48時間時点と5日時点とで行ったコスト分析と、48時間時点のコストと小児が回復した割合とを比較した費用対効果分析を行った。併用は効果もありNHSと親の費用負担を軽減NHSの負担するコストは、48時間時点では、パラセタモール単独投与が11.33ポンド、イブプロフェン単独投与が8.49ポンド、併用は8.16ポンドだった。5日時点ではそれぞれ19.63ポンド、18.36ポンド、13.92ポンドに増加した。保護者が支払う経費は、48時間では、パラセタモール単独が23.86ポンド、イブプロフェン単独が20.60ポンド、併用では25.07ポンドだった、5日時点ではそれぞれ26.35ポンド、29.90ポンド、24.02ポンド。48時間時点、5日時点で示された結果では不十分で、結論を断定するには至らず、特に48時間時点の費用対効果分析は、ある処置選択が他方より有意に費用対効果があったというエビデンスを得ることはほとんどできなかった。しかし4時間時点では、解熱時間を評価する主要項目に関して、イブプロフェン単独投与と併用治療は、パラセタモール単独投与より優れており、24時間時点では、併用治療が、この項目では最も効果があることが示された。各処置間にコストの違いに関する明確なエビデンスはないが、臨床データおよびコストデータともに、両剤併用が最も費用対効果に優れていることを示唆した。Hollinghurst氏は「この処置選択は、ヘルスケア資源の消費がより少なく済みかつ効果があり、NHSと保護者とのに負担が軽減される」と結論している。

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テルミサルタン、有意な予後改善効果はない:TRANSCEND試験

アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)テルミサルタンは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に不耐用な心血管疾患患者で良好な耐用性を示すものの有意な予後改善効果はないことが、カナダMcMaster大学のSalim Yusuf氏らTRANSCEND試験の研究グループによって報告された。ACE阻害薬は主要な心血管イベントを抑制するが患者の約20%は耐用性がない。不耐用のおもな原因は咳嗽で、特に女性やアジア人に不耐用例が多いという。Lancet誌2008年9月27日号(オンライン版2008年8月31日号)掲載の報告。約6,000例が参加した大規模な無作為化対照比較試験Telmisartan Randomised AssessmeNt Study in ACE iNtolerant subjects with cardiovascular Disease(TRANSCEND)試験は、心血管疾患および臓器障害を有する糖尿病のうちACE阻害薬に不耐用な患者を対象に、テルミサルタンの有用性を検討する無作為化対照比較試験。2001年11月~2004年5月の間に40ヵ国630施設から5,926例が登録された。3週間のrun-in期間ののち、テルミサルタン群(80mg/日、2,954例)あるいはプラセボ群(2,972例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院の複合エンドポイントとした。耐用性は良好だが、主要評価項目に有意差なしフォローアップ期間中央値は56ヵ月、全例で有効性解析が可能であった。平均血圧は試験期間中を通じてプラセボ群よりもテルミサルタン群で低かった[重み付けされた両群間の差の平均値:4.0/2.2(SD 19.6/12.0)mmHg]。主要評価項目の発生率はプラセボ群17.0%(504例)、テルミサルタン群15.7%(465例)と、両群で同等であった(ハザード比:0.92、95%信頼区間:0.81~1.05、p=0.216)。副次評価項目である心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントの発生率は、プラセボ群の14.8%(440例)に対しテルミサルタン群は13.0%(384例)と有意に低かった(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.76~1.00、非補正p値=0.048)が、補正後は有意差が消失した(p=0.068)。心血管疾患による入院率は、プラセボ群の33.0%(980例)に対しテルミサルタン群は30.3%(894例)と有意に優れた(相対リスク:0.92、95%信頼区間:0.85~0.99、p=0.025)。薬剤の恒久的な中止例は、プラセボ群よりもテルミサルタン群で少ない傾向が見られた[21.6%(639例) vs. 23.8%(705例)、p=0.055]。もっとも高頻度な中止理由は血圧低下症状であった[プラセボ群:0.54%(16例)、テルミサルタン群:0.98%(29例)]。併用投与でベネフィットをもたらす可能性も研究グループは、「テルミサルタンはACE阻害薬に不耐用な心血管疾患および糖尿病患者で良好な耐用性を示した。心不全による入院を含めた主要評価項目に有意差は認めなかったが、副次評価項目である心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントのリスクはテルミサルタン群で中等度に低下する傾向が見られた」と結論している。また、「今回の結果に加えPRoFESS、HOPE、LIFE、ADVANCE、ONTARGETなどの知見を考慮すると、他の確立された治療法と併用すればテルミサルタンは中等度の付加的なベネフィットをもたらすことが示唆される。薬剤の耐用性と心血管イベントに対する効果の観点からは、ACE阻害薬に不耐用な心血管疾患患者、高リスク糖尿病患者の治療薬となる可能性もある」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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UPLIFT発表!チオトロピウムは心血管疾患のリスクを増大させない

10月5日、欧州呼吸器学会議(ERS2008)において、COPDのファーストライン治療として用いられる長時間作用型抗コリン薬の大規模試験UPLIFT(Understanding Potential Long-term Impacts on Function with Tiotropium)の結果が発表された。その中で、呼吸機能を4年間継続して有意に改善するとともに、有意な死亡率の低下が初めて認められたと報告された。また、最近注目を集めた安全性の問題に関しても、JAMAに掲載された「抗コリン薬がCOPD患者の心血管系副作用リスクを増加させる」とのメタ解析に対して、今回のUPLIFT試験では、心疾患や脳卒中などに関してチオトロピウムによる有意なリスク増大はみられず、むしろ心筋梗塞などに関してはリスクが低下したと報告された。  ●詳細なレポート(和歌山県立医科大学内科学第三講座教授一ノ瀬正和先生のインタビュー)は下記からご覧くださいhttp://www.carenet.com/pulmonol/ers2008/interview01.html

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エンブレルとメトトレキサートの併用療法が医療面と経済面で効果

ワイス株式会社は、韓国ソウルで開催された「薬剤経済学及びアウトカム研究国際学会(ISPOR)第3回アジア太平洋会議」において、関節リウマチ患者に対するエンブレル(一般名: エタネルセプト)とメトトレキサートの併用療法が、関節リウマチの進行を食い止めるだけでなく、患者本人および政府にかかる経済的負担を軽減することが報告されたと発表した。報告はCOMET試験(COmbination of Methotrexate and ETanercept in Active Early Rheumatoid Arthritis: 早期活動性関節リウマチ患者を対象としたエンブレルとメトトレキサートの併用に関する臨床試験)の結果で、エンブレルとメトトレキサートの併用群のうち、50%の患者が「寛解」(疾患活動性スコアDAS28が2.6未満)に到達したという。 また、身体機能改善(HAQが0.5未満)に到達した割合は、メトトレキサート単独投与群では28%と39%だったのに対し、エンブレルとメトトレキサート併用群では55%近くを占めた。 さらに、1年目の段階で「画像的寛解」(TSSが0.5以下。X線検査で関節破壊の進行が認められなかった状態)に到達した割合は、メトトレキサート単独投与群では59%に留まったが、エンブレルとメトトレキサート併用群では初めて80%に達した。そして、併用群の労働損失日数は、メトトレキサート単独投与群のおよそ半分で、英国国立臨床研究所(NICE)のモデルによると、質調整生存年(QALY)当たりの費用も低減したという。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2008/0926.asp

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7価小児用肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)の定期接種が高い費用対効果を示す

ワイス株式会社は、韓国ソウルで開催された「第3回国際薬剤経済学・アウトカム研究学会(International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research、略称:ISPOR)」において、7価小児用肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)の定期予防接種が、医学的にも経済的にも大きな利益をもたらすことを改めて示したと発表した。特に香港、シンガポール、台湾のデータは、これらの国々で乳幼児に対しPCV7の定期予防接種を実施した場合、小児および成人の双方において侵襲性・非侵襲性の肺炎球菌感染症の頻度が大幅に減少する可能性があることを示したという。さらに、PCV7を乳幼児に定期接種することで、間接的な予防効果が成人にも及び、その結果数百万ドルのコスト削減が達成できると考えられるとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2008/0929.asp

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小児喘息の新たなリスク因子を同定か:ISAACプログラム第III相試験

1歳になる前にアセトアミノフェン(別名パラセタモール)を使用すると、6~7歳時の喘息、鼻結膜炎、湿疹のリスクが増大することが、20万人以上の小児の横断的研究で明らかとなった。喘息発症のリスク因子の検討は数多く行われてきたがいまだ明確なエビデンスはなく、胎生期にアセトアミノフェンに曝露すると小児期および成人期の喘息発症リスクが高まる可能性が指摘されていた。ニュージーランド医学研究所のRichard Beasley氏が、Lancet誌2008年9月20日号で報告した。31ヵ国73施設が参加した国際的な大規模試験研究グループは、International Study of Asthma and Allergies in Childhood (ISAAC)プログラムの第III相試験に登録された6~7歳の小児を対象に、アセトアミノフェンと喘息の関連について検討を行った。31カ国73施設に登録された20万5,487人の小児が解析の対象となった。両親あるいは保護者に、喘息、鼻結膜炎、湿疹の症状、および0歳時の発熱に対するアセトアミノフェンの使用、最近1年間におけるアセトアミノフェンの使用頻度などのリスク因子に関する質問票に記入してもらった。主要評価項目は、0歳時の発熱に対するアセトアミノフェンの使用に関連した喘息症状のオッズ比とし、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。0歳時、現行の使用で喘息リスクが有意に増大、さらなる検証が必要多変量解析では、0歳時の発熱に対するアセトアミノフェンの使用は6~7歳時の喘息症状の発現リスクを有意に増大させた(オッズ比1.46、95%信頼区間1.36~1.56)。現行のアセトアミノフェン使用によっても、用量依存性に喘息症状の発現リスクが上昇した(非使用に対する中用量使用小児のオッズ比1.61、95%信頼区間1.46~1.77、高用量使用小児のオッズ比3.23、95%信頼区間2.91~3.60)。アセトアミノフェンの使用は重症喘息のリスクとも相関を示し、人口寄与リスク(一般集団の疾患リスクのうち当該リスク因子が原因である割合)は0歳時の使用が22%、現行の使用が38%であった。また、0歳時および6~7歳時のアセトアミノフェン使用はいずれも、鼻結膜炎および湿疹症状の発現リスクをも有意に上昇させた。著者は、「0歳時および現行のアセトアミノフェン使用は6~7歳時の喘息、鼻結膜炎、湿疹のリスクと相関した。本試験のデザインでは因果関係を確立することはできないが、アセトアミノフェンへの曝露は小児喘息のリスク因子の可能性がある」と結論したうえで、「両親や医療従事者に、アセトアミノフェンのリスク対ベネフィットや、他の治療アプローチとの比較における効果、安全性について勧告するには、エビデンスとして十分ではない。早急に無作為化対照比較試験などで検証する必要がある」としている。(菅野守:医学ライター)

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小児ケアの質はヘルスワーカーの訓練期間の長さで異なるか?

Integrated Management of Childhood Illness(IMCI)の訓練は、ヘルスワーカーの訓練の期間の長さやレベルにかかわらず、小児のケアにおいてほぼ同等の質をもたらすことが、中~低所得の4ヵ国における1次医療施設のデータ解析で判明した。小児死亡率の高い国は、質の高いヘルスワーカーが不足している傾向がある。一方、ヘルスワーカーのケアの質を評価した高度なエビデンスはほとんどないという。ペルー・サンマルコス国立大学のLuis Huicho氏が、Lancet誌2008年9月13日号で報告した。訓練期間の異なるヘルスワーカーによるケアの質をIMCIガイドラインで評価研究グループは、100ヵ国以上が導入しているIMCIの訓練を受けたヘルスワーカーの能力を個々のカテゴリー別(医師、看護師、看護助手、医療補助員など)に評価した。バングラデシュ(2003年)、ブラジル(2000年)、ウガンダ(2002年)、タンザニア(2000年)の1次医療施設から得られたデータについて解析を行った。ヘルスワーカーの臨床能力を、訓練期間が長い群[中等教育終了後4年以上の訓練(ブラジル)あるいは3年以上の訓練(他の3ヵ国)]および短い群(それ以外の全ヘルスワーカー)で比較した。IMCIガイドラインに従い、ヘルスワーカーのケアの質を疾病に罹患した小児の評価、分類、管理の指標によって数値化した。全患児が、IMCIに基づく訓練を受けたヘルスワーカーとgold standardを体得したスーパーバイザーによる診査を受けた。短期訓練ヘルスワーカーも十分な役割を果たしうる対象となった小児はバングラデシュが272例、ブラジルが147例、タンザニアが231例、ウガンダが612例であった。ブラジルでは、長期訓練ヘルスワーカーによる管理を受けた患児が57.8%(43例)であったのに対し、短期訓練ヘルスワーカーによる管理を受けた患児は83.7%(61例)であり(p=0.008)、ウガンダではそれぞれ23.1%(47例)、32.6%(134例)であった(p=0.03)。ブラジルでは、患児の評価と管理の能力は医師よりも看護師のほうが優れており、分類の正確さについても両者でほぼ同等であった。ウガンダでは、短期訓練群のほうが長期訓練群よりも管理能力が優れていたが、いずれの群も他国に比べ劣っていた。バングラデシュでは、いずれの臨床業務の能力も両群でほぼ同等であった。タンザニアでは、長期訓練群は短期訓練群に比べ患児の総合評価の能力が有意に優れていた(p=0.004)。それ以外の臨床業務については、4ヵ国のヘルスワーカーの能力に有意な差は認めなかった。著者は、「IMCIの訓練は、個々のカテゴリーのヘルスワーカーの訓練期間の長さやレベルにかかわらず、ほぼ同等の小児ケアの質をもたらした」と結論し、「医療サービスの不足している地域で短期の訓練しか受けていないヘルスワーカーも、IMCIの拡大戦略や他の小児死亡率の抑制策において十分な役割を果たす可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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変形性膝関節症の治療に関節鏡視下手術を併用しても利益なし

変形性膝関節症の治療に関節鏡視下手術を併用することは広く行われているが、その有効性を支持するエビデンスは乏しい。カナダ・西オンタリオ大学のAlexandra Kirkley氏らは、中等度から重度の変形性膝関節症患者を対象に、関節鏡視下手術の単一施設無作為化比較試験を行った結果、「理学療法と薬物療法に関節鏡下手術を加えても、それによる利益は生じない」と報告した。JAMA誌2008年9月11日号より。理学・薬物療法との併用の有無で2年後に効果を比較患者は無作為に、理学療法と薬物療法および関節鏡下手術(外科的洗浄と壊死組織切除)の併用群(手術併用群)と、理学療法と薬物療法だけの対照群に割り付けた。主要転帰は、2年時点の追跡調査で測定したWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)の合計スコアとした(range=0~2,400、高値ほど重症)。副次転帰はShort Form-36(SF-36)Physical Component Summaryスコア(range=0~100、高値ほど良好なQOL)とした。手術併用の優位性示されず手術に割り付けられた患者は92例。このうち6例は手術を受けなかった。比較対照群の86例は、全員が理学療法と薬物療法だけを受けた。2年時点のWOMACスコアの平均値(±SD)は、手術併用群は874±624だったが、対照群は897±583だった。手術併用群スコアから対照群スコアを差し引いた絶対差は-23±605だった(95%信頼区間:-208~161、ベースラインのスコアと重症度で補正した後のP = 0.22)。SF-36スコアは、手術併用群が37.0±11.4、対照群が37.2±10.6だった(絶対差:-0.2±11.1、95%信頼区間:-3.6~3.2、P = 0.93)。中間受診の際のWOMACスコアと他の副次転帰を分析しても、手術併用の優位性を示すことはできず、Kirkley氏は「変形性膝関節症に対して、関節鏡視下手術を理学療法と薬物療法に併用し行っても、付加的利益は示されなかった」と結論付けている。(武藤まき:医療ライター)

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最近のMD/PhD選択者の特性と職業意識

MD/PhDプログラムの選択者は米国医学生全体からみればごく一部に過ぎないが、彼らは将来、医師の間で主要な役割を演じることが期待されている。米国・ワシントン大学医学部のDorothy A. Andriole氏らは、このMD/PhDプログラム選択者の特性と職業意識について、MDプログラム卒業生との比較調査を行った。JAMA誌2008年9月10日号より。米国医科大学卒業生8万8千人余りの調査データを分析最近の医科大学卒業生にとってMD/PhDプログラム選択に働く要因は何なのかを特定するため、Andriole氏らは2000年~2006年の米国医科大学卒業生8万8,575人分のサンプルデータを分析した。データは各大学共通で用いた調査用紙Association of American Medical Colleges Graduation Questionnaireからサンプリングした。学位取得プログラムの違いと結びついた卒業生の特徴やキャリアプランに関係する項目への回答を検証するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いて変数ごとに補正オッズ比を示した。主要評価項目はMD/PhDプログラムによる学位取得。MD/PhDプログラム選択の動機は研究への関与、少ない就学負担など完全なデータが揃った7万9,104人(2000~2006年の卒業生の71.7%)の回答者のうち、1,833人(2.3%)がMD/PhDプログラムの卒業生だった。MD/PhDプログラム選択に、より強く関連する変数には次のようなものが含まれた。研究業務への深い関与(オッズ比:10.30)、就学負担(15万ドル以上と比較して10万~14万9,999ドル:1.85、5万~9万9,999ドル:5.50、1~4万9,999ドル:17.50、負債なし:17.41)、医学部奨学金または研究費の受領(3.22)などとなっている。内科学の修練と比較して、MD/PhD卒業生は皮膚科学、神経学、眼科学、病理学、小児科学または放射線学の修練と正の関連が見られた。MD/PhD選択とあまり関連しない変数としては、女性であること(オッズ比:0.68)、少数民族であること(0.64)、救急医学(0.58)、外科学(0.70)の修練(内科学と比べて)だった。これらの結果からAndriole氏は、MD/PhD卒業生はMDプログラムの卒業生と比較して、人種・民族的多様性がなく、就学負担を抑えること、専門分野への独特の嗜好があり、研究業務への関与に強い関心をもつ傾向があること、などを指摘している。(朝田哲明:医療ライター)

4177.

ivabradineによる心拍低下療法の心予後改善は?:BEAUTIFUL試験

 If電流阻害薬ivabradineは、安定型冠動脈疾患および左室収縮機能障害患者の心臓の予後を改善しないが、心拍数が≧70拍/分の患者では冠動脈疾患の発症を低下させることが、大規模な無作為化試験(BEAUTIFUL試験)で明らかとなった。安定型冠動脈疾患、左室収縮機能障害はいずれもイベント発生率が高く、安静時の高心拍数は冠動脈リスク因子に影響を及ぼす可能性がある。ivabradineは洞房結節のIf電流を阻害することで心拍を低下させるが、他の心機能には影響を及ぼさないという。イギリス・王立Brompton病院のKim Fox氏が、Lancet誌2008年9月6日号(オンライン版2008年8月29日号)で報告した。33ヵ国781施設が参加した国際的な無作為化試験 BEAUTIFUL(morBidity-mortality EvAlUaTion of the If inhibitor ivabradine in patients with coronary disease and left-ventricULar dysfunction)試験の研究グループは、ivabradineによる心拍低下療法が安定型冠動脈疾患および左室収縮機能障害患者の心血管疾患による死亡率および罹患率を改善するか検討を行った。本試験は、33ヵ国781施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2004年12月~2006年12月に1万2,473例をスクリーニングし、冠動脈疾患を有し左室駆出率<40%の1万917例を登録した。 ivabradine群(5mg×2回/日、2週間後に心拍数≧60拍/分の場合は7.5mg×2回/日に増量、<50拍/分となった時点で5mg×2回/日に減量)に5,479例が、プラセボ群には5,438例が無作為に割り付けられた。主要評価項目は、心血管死、急性心筋梗塞による入院、心不全の新たな発症あるいは増悪による入院の複合エンドポイントとした。複合エンドポイントに変化なし ベースラインにおける平均心拍数は71.6(SD 9.9)拍/分、フォローアップ期間中央値は19ヵ月であった。プラセボ群で補正した12ヵ月後のivabradine群の心拍数は6(SD 0.2)拍/分低下した。患者の87%がβ遮断薬を併用していたが、安全性にかかわる事象は認めなかった。 ivabradineは複合エンドポイントに影響を及ぼさなかった(ハザード比:1.00、95%信頼区間:0.91~1.1、p=0.94)。重篤な有害事象はivabradine群の22.5%(1,233例)、プラセボ群の22.8%(1,239例)に認められた(p=0.70)。事前に規定された心拍数≧70拍/分の患者においても、ivabradine治療は複合エンドポイントに影響しなかった(ハザード比:0.91、95%信頼区間:0.81~1.04、p=0.17)が、副次評価項目である致死的あるいは非致死的な心筋梗塞による入院(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.49~0.84、p=0.001)および冠動脈血行再建術の施行(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.52~0.93、p=0.016)を有意に低下させた。 著者は、「ivabradineによる心拍低下療法は安定型冠動脈疾患および左室収縮機能障害患者の心予後を改善しなかったが、心拍数≧70拍/分の患者では冠動脈疾患の発症を低下させる可能性がある」と結論し、複合エンドポイントに変化がみられなかった原因について「基礎疾患ごとに必要とされる心拍数の低下の程度が異なる可能性がある。心拍数は、心筋梗塞や狭心症などそれが直接的に影響する疾患よりも、心不全など生理的反応に影響を及ぼす疾患でより低下する可能性がある」と考察している。

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肝移植のための緊急性の指標に血清ナトリウム濃度も

現行の肝臓移植ガイドラインでは、移植用臓器は死亡リスクが最も高い患者に提供されることになっている。米国では肝移植のための移植片は医学的な緊急性に基づいて配分されるが、その緊急性は2002年からModel for End-Stage Liver Disease(MELD)スコアを基に判定されている。MELDスコアは短期間の予後予測に使われるもので、血清ビリルビン濃度、プロトロンビン時間、血清クレアチニン濃度の3つを指標とし、スコア40以上で3ヵ月後の死亡率80%以上と判定するが、さらに最近、肝硬変患者にとって血清ナトリウム濃度が重要な予後因子であることが認められつつあり、MELDスコアとの関係が議論されている。本論は、メイヨー・クリニック医科大学のW. Ray Kim氏らの研究グループによる、血清ナトリウム濃度の指標としての有用性についての報告。NEJM誌2008年9月4日号より。MELDスコアに血清ナトリウム濃度を死亡予測変数に追加Kim氏らの研究グループは、2005年と2006年に米国のOPTN(the Organ Procurement and Transplantation Network:臓器提供ネットワーク)に登録され、初めて肝臓移植を受けた全成人のデータを用いて、登録後90日の死亡率を予測する多変量生存者モデルを開発・検証した。予測因子変数は、MELDスコアに対する血清ナトリウム濃度の追加の有無。MELDスコア(6~40のスケールで、値が高いほど重篤)は血清ビリルビン濃度、クレアチニン濃度、それと国際標準比に基づくプロトロンビン時間で算出した。2005年、OPTNのウェイティングリスト登録者は6,769人だった(肝移植を受けた1,781人と、登録後90日以内に死亡した422人を含む)。MELDNaスコアはMELDスコア単独より高率で死亡を予測解析結果から、MELDスコアと血清ナトリウム濃度はいずれも死亡率と有意に関連していることが明らかになった(死亡危険率はMELDポイントにつき1.21、血清ナトリウム濃度125~140mmol/Lの範囲内で1単位減少につき1.05、いずれの変数もP

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診療の質に応じた報奨制度が医療格差の解消に寄与

イギリスの診療の質に応じた報奨制度は、貧困に関連した医療格差の解消に実質的に寄与することが、制度開始3年間のデータ解析から明らかとなった。“quality and outcomes framework”はイギリスの一般医に対する診療報酬支払い制度で、診療の質的な指標に対する達成度の評価に基づく。しかし、貧困地域よりも富裕地域の診療報酬が高いという事態になれば、この制度はケア提供の格差をむしろ増大させかねないという。Manchester大学国立プライマリ・ケア研究/開発センターのTim Doran氏が、Lancet誌2008年8月30日号(オンライン版2008年8月11日号)で報告した。経済的な差と診療の質の関連を評価研究グループは、“quality and outcomes framework”の開始から3年間における社会経済的な差と提供された診療の質の関連について評価した。解析には、イギリスの一般診療に導入されたコンピュータシステムから自動的に抽出された7,637件のデータ、国勢調査、2006年度一般医療総計データベースの診療および患者の背景データが用いられた。各地域の経済的な差に基づいて診療状況を同じサイズの5つの群に分けた。診療達成度は、診療目標が的確に達成された患者の割合と定義した。“quality and outcomes framework”の開始から3年間(2004~05年度、2005~06年度、2006~07年度)における48項目の診療活動指標についてその全体的な達成度を算出した。診療達成度は年ごとに改善、医療格差も短縮報告された全体の診療達成度の中央値は、1年目が85.1%、2年目が89.3%、3年目が90.8%であった。1年目は、貧困度が高い地域ほど診療の達成度が低かった[五分位の第1群(経済的に最も裕福なグループ):86.8%~第5群(最も貧困なグループ):82.8%]。1年目に比べ3年目では、診療達成度の中央値は第1群が4.4%上昇し、第5群は7.6%増加しており、両群間の格差は1年目の4.0%から3年目には0.8%にまで短縮した。著者は、「意図しない結果に陥る危険はまだある」としつつも、「この診療の質に応じた診療報奨制度は、貧困に関連したケア提供の格差の解消に、実質的に寄与する可能性が示唆された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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タミフルは有効:インドネシアの鳥インフルエンザ感染実態調査を踏まえて

インドネシアで実施された高病原性鳥インフルエンザA (H5N1型インフルエンザ)感染死の実態調査により、感染例を同定するにはより優れた診断法の開発と患者管理法の改善が必要であり、それによってオセルタミビル(販売名:タミフル)による早期治療が可能となり死亡率の低下につながることが示された。H5N1型インフルエンザ感染例は致死率がきわめて高く、そのほとんどがインドネシアで発見されている。同国保健省疾病管理・環境衛生総局のI Nyoman Kandun氏が、Lancet誌2008年8月30日号(オンライン版2008年8月14日号)で報告した。127例を対象に死亡関連因子を調査研究グループは、インドネシアにおけるH5N1型インフルエンザによる死亡関連因子について調査した。2005年6月~2008年2月の間に、127例のH5N1感染例が同定された。個々の症例の調査・管理を行うチームが派遣され、症例調査報告や患者、家族、鍵となる人物へのインタビューにより疫学および臨床データが収集された。死亡率81%、早期治療により死亡率が低下H5N1型インフルエンザ感染例127例のうち103例(81%)が死亡した。入院までに要した時間の中央値は6日(1~16日)であった。データが得られた入院患者122例ののうち、発熱が121例(99%)、咳嗽が107例(88%)、呼吸困難が103例(84%)に見られたが、発症から2日間はほとんどの患者が非特異的な症状を呈し、発熱と咳嗽の双方が見られたのは31例、発熱と呼吸困難を示したのは9例にすぎなかった。発症からタミフル治療までに要した時間の中央値は7日(0~21日)であった。発症後2日以内に治療が開始された1例は生存しており、2~4日に治療を受けた11例のうちでは4例(36.4%)が、5~6日に治療を受けた16例では6例(37.5%)が、7日以降の44例では10例(18.5%)が生存していた(p=0.03)。2日以内に治療を開始した場合は、5~6日以降に開始した症例に比べ死亡率が有意に低かった(p<0.0001)。これらの結果をふまえ、著者は「早期にタミフル治療を開始すれば死亡率が低減する可能性があり、H5N1型インフルエンザ感染例を同定するにはより優れた診断法を開発し、患者管理法を改善する必要がある」としている。(菅野守:医学ライター)

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