バクロフェンはアルコール性肝硬変患者の断酒推進に有効だ

提供元:ケアネット

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公開日:2007/12/20

 

アルコール性肝硬変患者の最も効果的な治療は「断酒」である。ここ数十年の間に、断酒や飲酒再発予防への作用効果が期待される薬がいくつか登場しているが、薬剤性肝障害などを引き起こす可能性が高いことから、薬理学的試験でアルコール性肝硬変患者の飲酒に関しては決まって対象外とされている。ローマ・カトリック大学内科のGiovanni Addolorato氏らは、γアミノ酪酸(GABA:脳や脊髄に存在するアミノ酸の一種で主要な神経伝達物質)受容体作用薬で、日本では抗痙縮薬として保険収載されているバクロフェンの、アルコール性肝硬変患者の断酒効果と安全性について臨床試験を行った。LANCET誌12月8日号より。

低肝代謝に着目、プラセボ対照無作為化試験




バクロフェンに着目した背景としてAddolorato氏らは、肝代謝が15%と低く大半が腎から排出される点、またアルコール依存症患者あるいは中枢神経疾患患者でいずれも副作用としての肝障害が報告されていないことを挙げている。

治験は2003年10月~2006年11月の間にローマ・カトリック大学内科に紹介されてきたアルコール性肝硬変患者148例を対象に行われた。このうち84例を、経口バクロフェン投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り付け、12週間投与が行われた。

主要評価項目は、断酒を成し遂げ維持できている患者の比率。断酒できた患者総数と断酒継続期間の結果を、外来来診時に評価する方法で行われた。飲酒再発とは、最低1ヵ月の間に、1日4杯以上飲酒もしくは週に14杯以上飲酒した場合と定義された。

断酒率71% vs 29%、継続期間は62.8日 vs 30.8日




断酒を成し遂げ維持できていた患者は、バクロフェン投与群71%(30/42例)、プラセボ投与群は29%(12/42例)で、オッズ比は6.3(95%信頼区間:2.4-16.1、p=0.0001)。

脱落者(治療打ち切り)数は、バクロフェン投与群14%(6/42例)に対しプラセボ投与群は31%(13/42例)だった(p=0.12)。

断酒継続期間は、バクロフェン投与群の平均値は62.8日(SE 5.4)で、プラセボ投与群の30.8日(SE 5.5)に比べ約2倍だった(p=0.001)。肝性の副作用は記録されていない。

以上からAddolorato氏らは、「バクロフェンは、アルコール性肝硬変患者の断酒推進に有効だ。薬剤として十分通用し、治療において重大な効果を発揮するだろう」と結論づけている。