rosiglitazoneが心血管リスクの増加に関連

提供元:ケアネット

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公開日:2007/12/25

 

2型糖尿病の治療に用いられるインスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジン系薬剤(TZDs)は、一方でうっ血性心不全、あるいは急性心筋梗塞のリスクとの関連が指摘される。本報告は、「コホートレベルで関連を調べた研究は少ない」としてTZDsとリスクの関連について後ろ向きコホート研究を行った、カナダ・オンタリオ州Institute for Clinical Evaluative Sciences のLorraine L. Lipscombe氏らによる研究報告。JAMA誌12月12日号掲載より。

66歳以上16万の糖尿病患者コホートを解析




TZDと他の経口血糖降下薬治療との比較で、うっ血性心不全との間の関連、急性心筋梗塞と死亡率を調査することを目的とする本研究は、カナダ・オンタリの保健データベースを利用し行われた。解析はネステッド・ケースコントロールにて実施。

対象は2002年から2005年にかけて、少なくとも1つの経口血糖降下薬の投与を受けた66歳以上の糖尿病患者(N=159,026)で、2006年3月31日まで追跡した。

主要評価項目は、うっ血性心不全による救急来院または入院、副次評価項目は急性心筋梗塞による救急来院と全原因死亡率とした。これらイベントのリスク因子を特定するため、TZDs(rosiglitazoneとピオグリタゾン)単独療法を受けた患者と、他の経口血糖降下薬の併用療法を受けた患者とを調整後に比較した。

TZD単独療法は有意に心血管リスクを増加




追跡期間中央値3.8年の間に12,491例(7.9%)がうっ血性心不全で病院を受診、12,578例(7.9%)が急性心筋梗塞、30,265例(19%)が死亡した。一般に行われるTZD単独療法は他の経口血糖降下薬併用療法(うっ血性心不全3,478例、急性心筋梗塞3,695例、死亡5,529例)と比較して、うっ血性心不全(78例、調整リスク比:1.60、 95%信頼区間:1.21-2.10、P<0.001)、急性心筋梗塞(65例、同1.40、1.05-1.6、P=0.02)、死亡(102例、同1.29、1.02-1.62、P=0.03)で、有意なリスク増大と関連していた。TZD使用に関連したうっ血性心不全、急性心筋梗塞ならびに死亡率のリスク増はrosiglitazoneだけにみられた。

研究者らは、このコホート研究によって、高齢糖尿病患者に対する主にrosiglitazoneによるTZD療法は他の経口血糖降下薬併用療法と比較して、うっ血性心不全、急性心筋梗塞、死亡率のリスク増加と関連していたと結論づけている。

(朝田哲明:医療ライター)