心電図検査の予後評価は病歴聴取の域を出ない

提供元:ケアネット

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公開日:2008/12/12

 



狭心症疑いの外来患者への心電図検査(ECG)の予後評価は、病歴聴取で得られる情報に基づく予後評価の域を出ず、将来的に虚血性心疾患を発症するか否かにECGは、ほとんど役に立たない、Newham University Hospital(イギリス)のNeha Sekhri氏らがコホート調査の結果として報告した。ECGはイギリスの胸痛クリニックでは59%の実施率、最近のEuro heart surveyでは76%と臨床現場では慣例化している。BMJ誌2008年11月29日号(オンライン版2008年11月13日号)掲載より。

8,176例を登録し追跡




調査はイギリスの6つの胸痛クリニックに狭心症疑いで紹介されてきた、心疾患の既往のない外来患者8,176例を登録し追跡した。

全例に安静時ECGと、年齢、性別、症状の継続期間、喫煙有無、高血圧歴、服用薬など通常の臨床評価を行い記録。また運動負荷ECGも行った患者(4,873例)については、そのうち4,848例で結果(虚血性:陽性、陰性、不明)の「サマリー」を記録、1,422例では結果の「詳細」を記録し、追跡期間中央値2.46年の間の、虚血性心疾患による死亡、非致死性の急性冠動脈症候群発症との複合を評価した。

もっと効果的な適用患者の層別化を検討すべき




ROC曲線解析によるC統計量での評価で、臨床評価のみのモデルと安静時ECGの結果を有するモデルとはほとんど違いが見られなかった。

運動負荷ECGのC統計量については、「サマリー」記録群は0.74(同群で臨床評価のみの場合0.70)、「詳細」記録群は0.78(同0.74)であった。

しかし、「臨床評価のみ」「臨床評価+安静時ECG」「臨床評価+安静時/運動負荷ECG」のいずれにおいても、1年時点、6年時点の主要エンドポイントのリスク層別化の累積確率はほとんど相違が示されなかった。

Sekhri氏は「安静時ECGと運動負荷ECGの予後評価は、基本的な臨床評価の域を出ない」と結論。「ECG検査は広く一般的に行われているが、もっと有意義となるよう適用患者の層別化を検討するべきだ」と提言している。