聴診部位によって異なる心音。その正常・異常の違いを、音楽に見立てて親しみながら理解できます。30種類の心音・心雑音を楽譜のようにグラフィック化したことで、音の大小やリズムを目で見て学べます。視覚的な表現で印象に残りやすいので、心音聴取を苦手にしていた人もきっと聴診が楽しくなります!上巻では、Ⅰ音とⅡ音の聴き分け、Ⅱ音の亢進と過剰心音、Ⅳ音の心尖拍動の触診方法などを解説します。
第1回「 I音とII音」
冒頭で「耳試し」と称する実際の心音の聴取テストをしてから、主に Ⅰ音とⅡ音について解説していきます。
Ⅰ音は心尖部と心基部でどう聴こえ方が違うのか?Ⅱ音の分裂と呼吸との関係は?Ⅱ音の識別方法は?など、曖昧にしがちな部分を音楽と楽譜的な図を使って次々にくっきり明快にしていきます。
特に今回はⅡ音に間違えられやすい「僧帽弁逸脱」「クリック音」「Ⅲ音」を「Ⅱ音の固定性分裂」と共に1つの音楽にまとめ、一目でⅡ音からの距離や音の性質が分かるように図示しました。
この機会に是非心音の基本であるⅠ音とⅡ音の聴き分けを自分のものにして下さい。
第2回「II音の亢進と過剰心音」
今回はII音の亢進と過剰心音について取り上げます。なぜII音の大動脈弁成分の亢進は単音しか聴かれず、肺動脈弁成分の亢進は2つの音が聴かれるのでしょうか?生理的III音と病的III音の違いは?重合奔馬調律は何音と何音が重なっているのでしょうか?そんな疑問に沢山先生が答えます。“心音の楽譜”ともいえる“sound file”を使えば、微妙な違いも一目瞭然!
またIV音の心尖拍動の触診の方法なども詳しく解説。「触診も併用して心音を聴くべき」とする“五感診療”をモットーとする先生の本領発揮です!明日から聴診器を片手に過剰心音を探したくなること請け合いです。