第7回「身体診察のコツ(2)肘・手首・手」
関節リウマチや変形性関節症で手の痛みを訴える患者さんは多く、頭を悩ませることが多いでしょう。そのような時には、第6回で解説した三つの基本「視診」、「可動域(Range of motion)」、「触診」を思い出してください。三つの基本を押さえれば診療の現場で迷うことはありません。 そのほか、特に「手」の診察で重要なのが「分布」です。難しい検査や神経所見をとらなくても、分布を押さえるだけで簡単に診断がつくことがしばしばあります。これも覚えておけばきっと役に立ちます。
第8回「身体診察のコツ(3)腰・股関節」
腰痛は非常に多い訴えで、一説には 9割もの人が腰痛の経験があると言われています。「腰が痛い」という患者に対し、原因は腰椎なのか、仙腸関節なのか、あるいは坐骨神経なのかを見分ける必要があります。実は股関節やその周囲の筋肉や滑液包の痛みであることもあります。まず、どこが痛いのか患者さんに指でしっかり指し示してもらうことが重要です。 今回の診察も基本は三つ「視診」「可動域(Range of motion)」「触診」です。また、簡単にできる試験を多数ご紹介します。これを見れば、あいまいだった腰痛の診察に自信がつきます。
第9回「身体診察のコツ(4)膝・足」
体の全体重がかかる膝は、老若男女問わず特に痛めやすい箇所です。しかし一概に「膝が痛い」と言っても原因はさまざま。膝関節の他、いろいろな腱や靭帯、半月体、滑液包のうち、どこに障害があるのか見極めることが診断の第一歩です。 また、足を診るときは手と同様に患部関節の分布が重要です。これを押さえておくと難しかった診断が一目でついてしまうことも! 診察の基本は「視診、可動域(Range of motion)、触診」、そして簡単にできる試験も多数ご紹介します。
第10回「多関節炎へのアプローチ」
これまでの9回で、関節痛に対する病歴の取り方、診察の仕方、そして診断に至る考え方を解説しましたが、最終回ではここで習得した知識を総動員して「多関節炎」にチャレンジします。 多関節でも、考え方は単関節、少関節の延長です。まずは丁寧に病歴聴取、身体診察を行っていきます。その上で経過や分布に注目しましょう。そして、やはり大事なのは、炎症性なのか、非炎症性なのかを見分けることです。また、炎症性なら末梢性なのか、あるいは軸関節まで侵しているのかが重要な手がかりになります。 他にも関節リウマチの診断と治療について詳しく解説します。「膠原病は難しくない、病歴と診察で診断がつく“楽しい”疾患」という岸本先生の熱いメッセージを受け取ってください。