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早期肺がん、肺葉切除か区域切除か

 肺葉切除と縮小手術を比較したLung Cancer Study Groupの試験結果などから、現在の肺がんの標準術式は肺葉手術となっている。しかし、近年の後ろ向き観察試験では、区域切除の予後成績が、肺葉切除に近づいてきたとの報告もある。 この試験では、傾向スコアマッチング法によって、ステージI非小細胞肺がんにおける、この2つの切除手技の予後を比較している。米国・ピッツバーグ大学のRodney J Landreneau氏らによる研究。Journal of clinical oncology誌 オンライン版 2014年6月30日の掲載報告。 ピッツバーグ大学の肺がんデータベースから、後ろ向きに区域切除または肺葉切除を実施したステージI非小細胞肺がん患者、それぞれ392例と800例を解析し、術前の患者の交絡因子を組み入れた傾向スコアマッチングアルゴリズムを用いて、傾向スコアの対応した肺区域切除実施例と肺葉切除実施例を各312例特定した。主要評価項目は、無再発率と全生存率。生存期間に影響する因子は、cox回帰分析とカプランマイヤー推定法で評価した。 主な結果は以下のとおり。・周術期死亡率(30日)は、区域切除群1.2%、肺葉切除群2.5%(p=0.38)であった。・同(90日)は、区域切除群2.6%、肺葉切除群4.8%(p=0.20)であった。・観察期間中央値5.4年における局所再発率は、区域切除群5.5%、肺葉切除群5.1%(p=1.00)であった。・同期間における遠隔再発率は、区域切除群14.8%、肺葉切除群11.6%(p=0.29)であった。・5年無再発率は、区域切除群70%、肺葉切除群71%(p=0.467)であった。・5年生存率は、区域切除群54%、肺葉切除群60%(p=0.258)であった。・肺区域切除は、独立した再発因子にはならなかった(HR=1.11, 95%CI: 0.87~1.40)。また、独立した生存期間の影響因子にもならなかった(HR=1.17, 95%CI: 0.89~1.52)。 この傾向スコアマッチング法による比較では、肺葉切除は肺区域切除に比べ、統計学的に有意な無再発率と生存率の増加を示すことはなかった。区域が限定された末梢の小さな腫瘍における、肺区域切除の可能性を示唆するものであった。この結果を踏まえ、今後は前向き無作為化比較試験による検証が必要であろう。

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双極性障害へのDBT追加療法、自殺念慮の改善も

 米国・ピッツバーグ大学医療センターのTina R Goldstein氏らは、思春期双極性障害(BP)に対する弁証法的行動療法(DBT)の有用性を明らかにするため、通常の心理社会的治療(TAU)との無作為化パイロット試験を行った。その結果、薬物治療にDBTを追加することで、うつ症状および自殺念慮の改善傾向がみられることを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2014年7月10日号の掲載報告。 試験は、小児専門クリニックの12~18歳の新規BP患者(I、II、または他に分類されない[NOS])を対象とし、適格例をDBT群または心理社会的TAU群に2対1で無作為化した。全例で、試験に関与する精神科医により薬物療法が行われ、DBT群には年間36セッション(個人トレーニング18、家族のスキルトレーニング18)の介入が、TAU群には、精神教育、サポーティブケア、認知行動テクニックといった広範な精神療法アプローチが行われた。任意の評価者が盲検下にて、感情的な症状、自殺念慮および行動、自殺を目的としない自傷行為(NSSI)、感情調節障害などのアウトカムを年4回評価した。  主な結果は以下のとおり。・DBTを受けた思春期患者(14例)は、TAUを受けた患者(6例)に比べ、1年を通して治療への参加が有意に多かった。・両治療とも、患者ならびに両親の受容度は高かった。・追跡期間中DBT群はTAU群に比較して、うつ症状は有意に軽度であり、自殺念慮の改善傾向は3倍近く高かった。・モデルにおけるエフェクトサイズは大きく、DBT群の追跡期間中の躁うつ寛解期(週)はより長期にわたった。・躁症状または感情調節障害に群間差は認められなかったが、DBT群では躁症状および感情調節障害の両方において、治療前と比べて治療後は改善がみられた。・以上より、思春期BPのうつ症状および自殺念慮の治療において、薬物療法にDBTを追加する方法は有望と思われた。・著者は、「DBTを治療の1つとして着目することは、早期発症BPの治療において重要な意味を持つと思われる。さらなる大規模な比較試験で、有効性の確立、自殺行動への影響の検討、ならびに費用対効果を明らかにする必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか うつ病患者の自殺企図、遺伝的な関連性は 入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか  担当者へのご意見箱はこちら

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なぜコーヒーでがんリスクが低下?

 習慣的なコーヒー摂取はいくつかのがんのリスク低下に関連付けられている。その機序として、コーヒー摂取により発がんの重要な経路である酸化的DNA損傷が減少する可能性がある。国立国際医療研究センター 客員研究員の堀 愛氏らは、コーヒー摂取と、体内の酸化的DNA損傷・修復のバイオマーカーである尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)濃度の関連を調査した。その結果、女性ではコーヒー摂取により体内貯蔵鉄が減少し、このことが体内の酸化的DNA損傷の減少に関連している可能性が示唆された。Nutrition and Cancer誌オンライン版2014年7月25日号に掲載。 著者らは、健常人507人(21~67歳、男性298人・女性209人)において、多変数回帰モデルで、年齢、性別、喫煙状況、BMI、仕事のタイプ、空腹時血糖を調整し、コーヒー摂取量と尿中8-OHdG濃度の関連性を調べた。また、緑茶の摂取量との関連も評価した。 主な結果は以下のとおり。・女性では、尿中8-OHdG濃度がコーヒー摂取により減少する傾向が認められ(傾向のp=0.046)、1日2~3杯を摂取する女性で尿中8-OHdG濃度平均値が最も低かった。・この関連は、体内の貯蔵鉄のマーカーである血清フェリチン濃度による調整後に、大きく減弱した(傾向のp=0.96)。・緑茶の摂取量は尿中8-OHdG濃度と関連していなかった。

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アポ蛋白C3は動脈硬化性疾患の新たな治療標的か?(解説:山下 静也 氏)-229

APOC3は血清アポリポ蛋白(アポ)C3をコードする遺伝子であり、アポC3はトリグリセライド(TG)リッチリポ蛋白、とくに動脈硬化惹起性の強いレムナントリポ蛋白の蛋白成分の1つである。カイロミクロン、VLDLなどのTGリッチリポ蛋白のTGが、リポ蛋白リパーゼ(LPL)の働きで分解され、遊離脂肪酸を放出してレムナントリポ蛋白となる過程で、アポC3はLPLによる加水分解を阻害することにより血清TGレベルを上昇させる1)。この作用はアポC2のLPL活性化作用とはまったく逆である。さらに、アポC3はTGリッチレムナントリポ蛋白の肝臓での取り込みを抑制する2)。したがって、アポC3の過剰は高TG血症、高レムナント血症、食後高脂血症を引き起こすことが知られている。 一方、アポC3の細胞内での作用として、アポC3がTG合成を促進し、肝臓でのVLDLのアセンブリーと分泌を増加させることも知られている3)。また、マウスでAPOC3遺伝子を欠損させると血清TGが低下し、食後高脂血症が防御されることも報告されている4)。ヒトではLancaster Amish の約5%がAPOC3遺伝子の欠失変異であるR19Xのヘテロ接合体であり、これらの症例ではアポC3濃度が半減し、空腹時および食後のTG値が有意に低く、冠動脈石灰化の頻度が60%も低いことが示されている5)。 このコペンハーゲン大学のJorgensen氏らの論文では、デンマークの2つの地域住民を対象とした前向き調査、すなわちCopenhagen City Heart Study(CCHS)とCopenhagen General Population Study(CGPS)とに参加した7万5,725人(CCHS:1万333人、CGPS:6万5,392人)のデータが前向きに解析され、APOC3遺伝子変異を保因するため生涯にわたりTGが低値の集団が、虚血性心血管疾患のリスクが低いか否かについて初めて検討された。 この中で虚血性血管疾患とは、虚血性心疾患または虚血性脳血管疾患と定義されている。その結果、虚血性血管疾患および虚血性心疾患のリスクは、ベースラインの非空腹時TG値の低下に伴って減少し、<1.00mmol/L(90mg/dL)の被験者は≧4.00mmol/L(350mg/dL)の場合に比べ発症率が有意に低かった(虚血性血管疾患のHR=0.43、虚血性心疾患のHR=0.40)。 遺伝子解析の結果、APOC3遺伝子の3つのヘテロ接合体の機能欠失変異(R19X、IVS2+1G→A、A43T)の保有者では、変異のない被験者に比べて非空腹時TGが平均44%低値であり、虚血性血管疾患および虚血性心疾患の発症は有意に少なく、リスク減少率はそれぞれ41%、36%であった。したがって、APOC3遺伝子の機能欠失型変異はTG値の低下および虚血性血管疾患のリスク減少と関連し、APOC3は心血管リスクの低減を目的とする薬剤の有望な新たな標的と考えられた。しかしながら、これらのAPOC3遺伝子の変異がなぜ同じようにTG値を低下させるのかは不明である。本報告はこれまでの疫学的な成績をさらに遺伝的なレベルまで詳細に確認した貴重なデータであり、類似論文が別の集団でN Engl J Medに発表されている6)。 本論文では各遺伝子変異に伴う、アポC3の血中レベルの変化と虚血性血管疾患との関係については示されていない。また、non-functionalな変異と考えられるAPOC3遺伝子のV50M変異では低TG血症は認められなかったにもかかわらず、虚血性血管疾患の減少傾向が認められたことから、APOC3遺伝子と虚血性血管疾患の関係は必ずしもアポC3の血中レベルとは関係せず、アポC3の血管壁細胞への直接作用が影響している可能性も考えられる。 また、本論文ではAPOC3遺伝子変異に伴う非空腹時TG値の低下と、虚血性血管疾患との関連性が示されたが、同様にAPOC3遺伝子変異に伴う空腹時TG値の変化と虚血性血管疾患との関連性についてはデータが示されていない。つまり、APOC3遺伝子変異による食後高脂血症の抑制が虚血性血管疾患を減少させたのか、空腹時TG値も減らして虚血性血管疾患を減少させたのかについては今後の検討が必要であろう。さらに、APOC3遺伝子変異が虚血性脳血管疾患単独の発症に及ぼす影響については記載がないが、興味ある点である。 一方、タイトルではアポC3の機能欠失型変異となっているが、R19X、IVS2+1G→A、A43Tの変異のすべてがアポC3の持つさまざまな機能を同様に欠失しているのか否かについても検討が必要であろう。最も重要な点は、Supplemental Figure S14に示されているように、APOC3遺伝子変異が虚血性血管疾患を抑制したにもかかわらず、総死亡率にはまったく影響がなかったという点であろう。今後、アポC3が動脈硬化性疾患の新たな薬物治療の標的となるためには、アポC3の他の多面的作用の解析とこの疑問点に対する真摯な検討がなされることが必要であろう。【参考文献はこちら】1)Ginsberg HN, et al. J Clin Invest. 1986; 78: 1287-1295. 2)Windler E and Havel RJ. J Lipid Res. 1985; 26: 556-565. 3)Qin W, et al. J Biol Chem. 2011; 286: 27769-27780.4)Maeda N, et al. J Biol Chem. 1994; 269: 23610-23616.5)Pollin TI, et al. Science. 2008; 322: 1702-1705.6)TG and HDL Working Group of the Exome Sequencing Project, National Heart, Lung, and Blood Institute, et al. N Engl J Med. 2014; 371: 22-31.

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トリプルネガティブ乳がんでのCOX-2発現

 エストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PR)、HER2がすべて陰性のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)とシクロオキシゲナーゼ(COX)-2過剰発現は、ともに原発性乳がんにおける予後不良マーカーとして知られている。 米国MDアンダーソンがんセンターのKailash Mosalpuria氏らは、TNBC患者の原発腫瘍でCOX-2蛋白が過剰発現しているとの仮説を立て検証した結果、非転移性TNBCと原発腫瘍のCOX-2蛋白過剰発現との関連を認めた。今回の知見は、切除可能なTNBC患者におけるCOX-2標的治療について、さらなる研究を支持するものである。Molecular and clinical oncology誌2014年9月号(オンライン版2014年6月23日号)に掲載。 著者らは、2005年2月~2007年10月に治療されたステージI~III乳がん患者125例の原発腫瘍サンプルにおけるCOX-2発現レベルを、前向きに検討した。臨床病理学的要因に関する情報は前向きのデータベースから取得した。ベースラインの腫瘍特性と患者属性におけるTNBCと非TNBCとの比較は、カイ2乗およびFisherの正確確率検定を用いて行った。 主な結果は以下のとおり。・患者のうち、ER陽性が60.8%、PR陽性が51.2%、HER2/neu増幅が14.4%、TNBC が28.0%であった。・COX-2過剰発現が33.0%に認められた。・TNBCは、COX-2過剰発現(p=0.009)、PR発現(p=0.048)、高グレード(p=0.001)と関連していた。・年齢、閉経状態、BMI、リンパ節転移状況、術前化学療法の調整後、TNBCはCOX-2過剰発現の独立予測因子であった(p=0.01)。

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認知症にスタチンは有用か

 アルツハイマー病(AD)や血管性認知症(VaD)へのスタチン治療は、比較的未開拓の領域である。先行文献において、ADではβ-アミロイド(Aβ)が細胞外プラークとして沈着し、Aβ生成はコレステロールに依存することが確認されている。また、VaDの病因に高コレステロール血症が関与していることも知られている。そこで、英国・Belfast Health and Social Care TrustのBernadette McGuinness氏らは、認知症に対するスタチン治療の有益性について、システマティックレビューとメタ解析により検討を行った。Cochrane Database Systematic Review誌オンライン版2014年7月8日号の掲載報告。 研究グループは、スタチンがコレステロールを低下させることから、ADやVaDの治療において有効であることが期待できるとして、臨床的有効性および安全性を評価した。今回の検討では、ADおよびVaDの治療におけるスタチンの効果が、コレステロール値、ApoE遺伝子型、認知レベルに左右されるかどうかを評価した。2014年1月20日時点で、ALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement GroupのSpecialized Register、Cochrane Library、MEDLINEなどを検索。認知症と診断された人に6ヵ月以上スタチンを投与していた二重盲検無作為化臨床比較試験を適格とした。2名の著者がそれぞれデータの抽出と評価を行い、研究グループは必要に応じてデータをプールしメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・検索で特定したのは、4試験(被験者1,154例、年齢50~90歳)であった。著者らは、全試験のバイアスリスクは低いと評価した。・全被験者が、標準的な診断基準によりADがほぼ確実もしく疑いがあった(possible/ probable AD)。また、これらは、ほとんどの被験者でコリンエステラーゼ阻害因子に基づき確認されていた。・全試験が、ADAS-Cogのベースライン時からの変化を主要アウトカムとしていた。プールデータ解析の結果、ADAS-Cogへのスタチンによる有意な有益性は認められなかった(平均差:-0.26、95%信頼区間[CI]:-1.05~0.52、p=0.51)。・また、全試験で、MMSEのベースライン時からの変化が報告されていた。プールデータ解析の結果、MMSEへのスタチンによる有意な有益性はみられなかった(平均差:-0.32、95%CI:-0.71~0.06、p=0.10)。・治療関連の有害事象は、3試験で報告されていた。プールデータ解析の結果、スタチンとプラセボで有意差はみられなかった(オッズ比:1.09、95%CI:0.58~2.06、p=0.78)。・スタチンとプラセボとの間に、行動、全体的機能やADLに有意差はみられなかった。・VaDの治療におけるスタチンの役割について評価した試験は見つからなかった。関連医療ニュース スタチン使用で認知症入院リスク減少 アルツハイマーの予防にスタチン 認知症予防効果を降圧薬に期待してよいのか

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乾癬へのセクキヌマブの有効性/NEJM

 中等症~重症の局面型乾癬に対し、新規開発中のインターロイキン-17A阻害薬セクキヌマブ(secukinumab、国内承認申請中)を投与することで、12週間後に症状が75%以上改善した人は約7割に上ることが示された。カナダ・ダルハウジー大学のRichard G. Langley氏らが、2件の第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験、「ERASURE」と「FIXTURE」の結果、報告したもので、著者は、「中等症~重症の局面型乾癬に対し、セクキヌマブは有効であることが示された」とまとめている。NEJM誌オンライン版2014年7月9日号掲載の報告より。12週間後のPASI 75の割合を比較 ERASURE(Efficacy of Response and Safety of Two Fixed Secukinumab Regimens in Psoriasis)試験では、中等症~重症の局面型乾癬の患者738例を無作為に3群に分け、それぞれセクキヌマブを300mg、150mgまたはプラセボ(5週間は週1回、その後は4週ごと)をそれぞれ投与した。FIXTURE(Full Year Investigative Examination of Secukinumab vs. Etanercept Using Two Dosing Regimens to Determine Efficacy in Psoriasis)試験では、1,306例を無作為に4群に分け、セクキヌマブ300mg、150mg、プラセボと、エタネルセプト(50mg、12週間は週2回、その後は週1回)をそれぞれ投与した。 主要評価項目は、PASI(psoriasis area-and-severity index)スコアがベースライン時から75%以上改善(PASI 75)した人と、5ポイント修正IGA(investigator’s global assessment、研究者による皮膚症状の重症度の包括的な評価尺度)のスコアが0(寛解)または1(ほぼ寛解)の割合だった。PASI 75達成患者、セクキヌマブ群7~8割、エタネルセプト群4割 結果、12週間後にPASI 75だった患者の割合は、セクキヌマブ群がプラセボ群、エタネルセプト群よりも有意に高率だった。具体的には、ERASURE試験では、セクキヌマブ300mg群が81.6%、同150mg群が71.6%に対し、プラセボ群が4.5%だった。FIXTURE試験では、セクキヌマブ300mg群が77.1%、150mg群が67.0%に対し、エタネルセプト群44.0%、プラセボ群4.9%だった(両試験ともセクキヌマブ群vs. 比較群のp<0.001)。 また、修正IGAスコアが0または1の人の割合も、セクキヌマブ群でプラセボ群やエタネルセプト群より有意に高率だった。各試験の結果は、ERASURE試験では、セクキヌマブ300mg群が65.3%、同150mg群が51.2%、プラセボ群は2.4%だった。FIXTURE試験では、セクキヌマブ300mg群が62.5%、150mg群が51.1%、エタネルセプト群が27.2%、プラセボ群が2.8%だった(同p

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Vol. 2 No. 3 肺高血圧症とは 肺高血圧症の発症機序に関する最新知見と臨床分類

中村 一文 氏岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学はじめに肺高血圧症の発症機序に関する肺循環生理の3つの特徴を述べたあと、肺動脈内腔の狭窄を引き起こす3つの発症機序について概説する。また、receptor for advanced glycation endo-products(RAGE)の関与など最新の知見についても説明する。さらに、ニース会議における肺高血圧症の臨床分類の従来との変更点を簡単に説明し、最後に3系統の薬剤を使用したあとにわかった最近の話題を述べる。肺循環の生理と肺高血圧1. 低圧系・低抵抗系かつコンプライアンスが大きい肺循環系は体循環系と比べ低血圧系であり、安静時肺動脈圧の正常値は収縮期圧20〜30mmHg、平均圧10〜15mmHg程度である。肺血管抵抗は、全身血管抵抗の約1/5~1/6と低い。肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension: PAH)の診断を行う場合には、安静時に平均肺動脈圧25mmHg以上で肺動脈楔入圧が15mmHg以下と定義されている。さらに、肺循環系の特徴はコンプライアンスが大きいことである。運動など肺血流量の増大時は、肺血管は容易に伸展し、受動的な拡張(distension)が生じる。また、それまで血流のなかった血管に再疎通(recruitment)が生じる。このように肺血管床は予備血管床が多いので、肺動脈に器質的狭窄が起こってきたとき、有効肺血管床が1/3以下に減少するまで安静時の肺動脈圧の上昇はみられないと考えられている1)。したがって、肺高血圧はカテーテルにて診断された時点で病像はかなり進んでいるということを認識して、治療にあたる必要がある。2. 低酸素性肺血管攣縮肺胞換気量の低下などにより肺胞気酸素分圧が低下すると、その肺胞領域を灌流する細小動脈に血管収縮が生じ、血流が減少する。これは低酸素性肺血管攣縮(hypoxic pulmonary vasoconstriction: HPV)といわれ、換気のよい肺胞により多くの血液が流れるようにする自己調節機能である。この肺血管収縮は、低酸素を伴う肺疾患などの病気においては肺高血圧の原因の1つになる。したがって、低酸素を予防するため、肺高血圧治療の一般的ケアとして酸素が用いられる。3. 生理活性物質による肺循環の調節血管内皮細胞から産生される血管拡張因子であるnitric oxide(NO)とprostaglandin I2(PGI2)、さらに血管収縮因子であるエンドセリンは、血管平滑筋に作用してそれぞれ血管を弛緩・収縮させる。NOならびにそのシグナル伝達物質であるcGMPの分解を抑制するホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害薬、そしてPGI2は、肺高血圧の治療に応用されている。また、血管収縮因子であるエンドセリン受容体の拮抗薬も肺高血圧の治療に使用されている。肺動脈性肺高血圧症の発症機序PAHの病態の主体は肺動脈内腔の狭窄で、主に3つの要因により生じる。1つは血管内皮細胞および平滑筋細胞などの過剰増殖とアポトーシス抵抗性による血管リモデリング、2つ目は血管拡張因子と血管収縮因子のアンバランスによる血管収縮、3つ目は凝固系の異常による病変部での血栓形成である。以上の結果、肺血管抵抗が上昇し、肺動脈圧の上昇や右心不全を引き起こす。前述の肺循環生理の破綻がそこにはある。1. 血管リモデリング診断時に行われる急性血管拡張試験で陽性例が少ないこと、薬剤治療(PGI2、エンドセリン受容体拮抗薬、PDE-5阻害薬)により速やかには改善しないこと、叢状病変(plexiform lesion)には異常増殖性・アポトーシス抵抗性・増殖因子に対する異常反応などの性質を持つ内皮細胞が認められることから、細胞の腫瘍性増殖による血管リモデリングがPAHの主要な原因と考えられている(cancer paradigm)2)。【血管内皮細胞の異常増殖とパラクリン作用】叢状病変の形成には、内皮細胞の異常な増殖が関与する。PAHの血管内皮細胞は単一性増殖(monoclonal proliferation)、すなわち腫瘍性増殖を示す。PAHの血管内皮細胞はFGF2などを過剰に発現しており、そのパラクリン作用が肺動脈平滑筋細胞の増殖を促す。【平滑筋細胞の過剰増殖】肺動脈は本来非筋性の径20~30μmの細動脈(arteriole)レベルまで筋層が発達し(muscularization of arteriole)、内膜や中膜の肥厚により狭窄・閉塞を示す。走査型電子顕微鏡で見ると毛細血管に至るまでに一部動脈が閉塞し、枯れ枝状になっている(本誌p.10図を参照)3, 4)。PAH肺動脈平滑筋細胞におけるbone morphogenetic protein(BMP)シグナル異常が、細胞の異常増殖に関与している。肺高血圧のない対照者由来の肺動脈平滑筋細胞では、BMPリガンド刺激は平滑筋細胞の増殖を抑制するのに対し、PAH肺動脈平滑筋細胞ではこの抑制効果が欠如している。このBMPによる増殖抑制効果の低下は、BMP2型受容体(BMPR2)遺伝子異常の有無にかかわらず認められる。血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)刺激への過剰反応も認められる。PAH肺動脈平滑筋細胞において、PDGF刺激による増殖が、肺高血圧のない対照者のものより亢進している5, 6)。PDGF受容体アンタゴニストのイマチ二ブは、PAH肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制作用を有する6)。イマチニブとプラセボを比較した第Ⅲ相臨床試験(IMPRES study)では、6分間歩行距離が有意に増加し(primary endpoint)、PVRが有意に減少したが、残念ながら副作用発現や治療継続困難な例が多く、臨床応用は困難となっている7)。【平滑筋細胞のアポトーシス抵抗性】PAH患者の肺組織ではproapoptotic/antiapoptotic遺伝子の比が減少しており、PAH患者の肺動脈平滑筋細胞はアポトーシス抵抗性が亢進している8)。また、正常または二次性肺高血圧の肺動脈平滑筋細胞では、BMP-2,-7によりアポトーシスが誘導されるが、PAH肺動脈平滑筋細胞では誘導されない。このアポトーシス抵抗性の機序の1つとして、電位依存性カリウムチャネル(Kvチャネル)電流の低下が考えられている。細胞内カリウム(K)イオン濃度の増加によりカスパーゼ活性が抑制され、アポトーシス抵抗性となる9)。他の機序としてアポトーシス抑制蛋白であるsurvivinの発現亢進も認める。高用量のPGI2療法は臨床上有効であり10)、肺動脈平滑筋細胞にFasリガンドのupregulateを介しアポトーシスを引き起こす(本誌p.11 図を参照)11)。【PAH平滑筋細胞におけるRAGEの関与】終末糖化産物受容体(RAGE)はイムノグロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通型の蛋白で、終末糖化産物(advanced glycation endo-products: AGE)のほか、免疫系細胞から分泌されるS100蛋白などが結合する。PAH患者の肺動脈平滑筋細胞ではRAGEの発現が亢進している12)。それはSTAT3の活性化、BMPR2とPPARγの減少につながり、過剰増殖とアポトーシス抵抗性を引き起こしている。モノクロタリンとSugen誘発性PAHモデルラットにおいて、siRNAにてRAGEの発現を抑制したところ、肺動脈圧の減少効果が認められ、RAGEは今後の治療標的として注目されている。糖尿病治療では、初期からの厳格な血糖管理が、長期にわたり血管合併症に関して抑制的に作用する遺産効果(legacy effects)があるといわれている。この効果にAGE/RAGEの初期からの長期にわたる抑制が関与すると考えられている。肺高血圧治療に「legacy effectsは存在するのか?」さらに「それにRAGEは関与するのか?」、興味がつきないところである。【CTEPH細胞】慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の器質化血栓から単離した細胞(CTEPH細胞)は増殖能が高く、PDGF受容体の発現が増加しており、正常平滑筋細胞とは異なる性質を持つ。OgawaらはPDGFにより増殖が亢進し、ストア作動性カルシウム流入が亢進することなどを報告している13)。この細胞の特性を明らかにすることはCTEPHの病変進行の機序の解明につながると期待されている。2. 血管収縮PAHでは血管拡張因子と血管収縮因子のアンバランスもある。血管拡張につながる内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現低下と、血管収縮につながるエンドセリン-1の発現亢進がみられる。さらにPGI2 合成酵素の発現低下によるPGI2の低下も認められる14)。原子間力顕微鏡を用いて、肺動脈平滑筋細胞の弾性率を検討したところ、コントロール状態(=無刺激時)の弾性率はPAH肺動脈平滑筋細胞と肺高血圧のない対照者の肺動脈平滑筋細胞間で差はなかったが、NOに対する反応をみると、対照者の細胞では弾性率が低下するのに対し、PAH細胞では弾性率に変化が認められなかった(本誌p.12図を参照)15)。すなわち、PAH肺動脈平滑筋細胞は生体内の血管弛緩物質であるNOに対して反応しにくい細胞であると考えられる。3. 血栓形成PAH患者の内皮においては、血小板の凝集につながるトロンボキサンA2が増加し、抗凝集につながるプロスタサイクリン(PGI2)の減少を認める。肺高血圧症の臨床分類2013年2月、ニースにおいて第5回肺高血圧症ワールドシンポジウムが開催された。そこで提唱された分類は、2008年のDana Point分類と大きな違いはなかったが、新生児遷延性肺高血圧症は第1群の亜型に、溶血性貧血は第5群に移動となっている(表)。表 肺高血圧症の臨床分類(ニース会議2013)画像を拡大する最近の話題現在使用されているPGI2(とその誘導体)、PDE-5阻害薬、エンドセリン受容体拮抗薬は、血管拡張作用のみならず肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制作用も有する。また、高用量のPGI2は肺動脈平滑筋細胞にアポトーシスも引き起こす11)。このような薬剤を使用されている状況下で肺移植を受けた62名の患者の肺動脈病理が最近報告された16)。PAHの肺動脈では内膜と中膜の肥厚を認めたが、内膜の肥厚が優性であった。血管周囲の炎症細胞浸潤も著しかった。叢状病変もよく認められたが、PGI2治療を受けていない人の方が少なかった。この結果から、現状の3系統の薬剤治療にて、中膜平滑筋の増殖は抑制できうるが、内膜の肥厚と叢状病変は抑えきれないことがわかる。また炎症細胞浸潤が病態の進行に関与していることも示唆される。残るこれらの病変の機序の解明とそれらを標的とした治療法の開発が期待される。文献1)国枝武義. 「肺高血圧症の概念, 病態, 治療体制の確立に向けて」基調講演. Ther Res 2005; 26 :2012-2021.2)Rai PR et al. The cancer paradigm of severe pulmonary arterial hypertension. Am J Respir Crit Care Med 2008; 178: 558-564.3)Miura A et al. Three-dimensional structure of pulmonary capillary vessels in patients with pulmonary hypertension. Circulation 2010;121: 2151-2153.4)Miura A et al. Different sizes of centrilobular ground-glass opacities in chest high-resolution computed tomography of patients with pulmonary veno-occlusive disease and patients with pulmonary capillary hemangiomatosis. Cardiovasc Pathol 2013; 22: 287-293.5)Ogawa A et al. Prednisolone inhibits proliferation of cultured pulmonary artery smooth muscle cells of patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Circulation 2005; 112: 1806-1812.6)Nakamura K et al. Pro-apoptotic effects of imatinib on PDGFstimulated pulmonary artery smooth muscle cells from patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Int J Cardiol 2012; 159: 100-106.7)Hoeper MM et al. Imatinib mesylate as add-on therapy for pulmonary arterial hypertension: results of the randomized IMPRES study. Circulation 2013; 127: 1128-1138.8)Geraci MW et al. Gene expression patterns in the lungs of patients with primary pulmonary hypertension: a gene microarray analysis. Circ Res 2001; 88: 555-562.9)Remillard CV et al. Activation of K+ channels: an essential pathway in programmed cell death. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2004; 286: L49-67.10)Akagi S et al. Marked hemodynamic improvements by high-dose epoprostenol therapy in patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Circ J 2010; 74: 2200-2205.11)Akagi S et al. Prostaglandin I2 induces apoptosis via upregulation of Fas ligand in pulmonary artery smooth muscle cells from patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Int J Cardiol 2013; 165: 499-505.12)Meloche J et al. Critical role for the advanced glycation end-products receptor in pulmonary arterial hypertension etiology. J Am Heart Assoc 2013; 2: e005157.13)Ogawa A et al. Inhibition of mTOR attenuates store-operated Ca2+ entry in cells from endarterectomized tissues of patients with chronic thromboembolic pulmonary hypertension. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2009; 297: L666-676.14)Christman BW et al. An imbalance between the excretion of thromboxane and prostacyclin metabolites in pulmonary hypertension. N Engl J Med 1992; 327: 70-75.15)Nakamura K et al. Altered nano/micro-order elasticity of pulmonary artery smooth muscle cells of patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Int J Cardiol. 2010; 140: 102-107.16)Stacher E et al. Modern age pathology of pulmonary arterial hypertension. Am J Respir Crit Care Med 2012; 186: 261-272.

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いぼの治療にMMRワクチンが有効

 疣贅(ゆうぜい=いぼ)へのMMRワクチンを用いた病巣内免疫療法は、忍容性があり効果的であることが、韓国・朝鮮大学校医学部のC. H. Na氏らによる検討の結果、示された。現状で有用な疣贅治療は、冷凍療法、レーザー治療、電気外科治療、角質溶解薬の局所塗布などがあるが、痛みを伴うことが多く治療部位が瘢痕となる可能性がある。一方で近年、皮膚反応検査の抗原やワクチンを用いた病巣内免疫療法が疣贅治療に有効であることが示されていた。Clinical and Experimental Dermatology誌2014年7月号の掲載報告。 研究グループは、疣贅の新たな病巣内免疫療法として、MMRワクチンを用いた治療法の有効性を評価する後ろ向き検討を行った。 さまざまなタイプの疣贅を有する136例を登録し、2年間にわたって評価。患者は、2週間に1回、計6回にわたって治療を受けた。 治療反応は、疣贅の大きさ、数の減少を3段階で分類し評価した。また、完全奏効(CR)を再発で確認。写真とカルテで臨床評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・被験者136例の半数(51.5%)が、疣贅の大きさ・数について50%超の減少を認めた。・被験者の46.7%が異なる部位に疣贅が拡散していたが、良好な治療反応を示した。・一般的な疣贅は、その他のタイプの疣贅と比べて治療反応が有意に高率であった(p<0.05)。しかし、有効であることを示すその他の臨床変数は認められなかった。・ほとんどすべての患者は接種時に軽度の痛みを報告したが、その他の副作用はほとんど観察されなかった。・CRが確認された患者のうち、6ヵ月後に疣贅再発を呈したのはわずかに5.6%であった。・著者は、「痛みに敏感で副作用を心配する一般的な疣贅患者には、MMRワクチンを用いた病巣内免疫療法が、忍容性があり有効であることを提案する」とまとめている。・「治療反応は、接種回数を増やすことで改善する」としている。

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うつ寛解のポイントは疲労感

 大うつ病性障害(MMD)患者に対する、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療のアウトカムに、疲労感はどのような影響を及ぼすのだろうか。この疑問を明らかにすべく、M. Ferguson氏らはSTAR*Dの二次解析により検討を行った。その結果、ベースライン時の疲労感が軽度であること、および治療中の疲労回復は、うつ症状の寛解、および良好な機能やQOLと関連していることが示された。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2014年7月4日号掲載の報告。 研究グループは、STAR*Dのレベル1治療(14週以下のシタロプラム単独療法)のデータを解析した。疲労感は、16項目のうつ症状簡易自己評価票(QIDS-SR16)から活力(energy)レベルに関係していた項目14で、前向きに評価した(スコア0~3、0は疲労感なし、3は疲労感が最大)。評価は、レベル1治療の導入および終了時に行った(疲労感なし/ 治療により疲労感が出現/ 疲労感が軽減/ 疲労感が残る)。 主要評価項目は、抑うつ症状の寛解(17項目のハミルトンうつ病評価尺度で7以下、またはQIDS-SR16で5以下)、生活の質に関する楽しみと満足感の簡易質問票(Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire-Short Form)の評価、簡易健康調査の精神・身体的サブスケール(Short-Form Health Survey Mental and Physical subscales)、仕事と社会性の調整尺度(Work and Social Adjustment Scale;WSAS)であった。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時2,868例の患者が、解析に組み込まれた。QIDS-SR16の項目14のスコアが0であった患者は5.5%、1は22.9%、2は53.6%、3は18.0%であった。・レベル1の治療中、疲労感なしであった患者は3.5%、治療により疲労感が出現は2.1%、治療中に疲労感が軽減33.6%、疲労感が残った患者は60.8%であった。・「女性」「失業中」「教育を受けた期間が短い」「月収が低い」が、ベースライン時の疲労感と有意に関連していた(すべてp<0.0001)。・ベースライン時の疲労感レベルが高かった人または疲労感が継続した人は、寛解の尤度が低く、あらゆる満足感が低かった(p<0.0001)。治療アウトカムにおける精神的・身体的機能が低く(p≦0.005)、WSAS総スコアも高い(p<0.0001)ことから、機能障害がより重度であることが示唆された。・一方、ベースライン時の疲労感レベルが低く抗うつ薬治療中に疲労感が軽減したMMD患者は、うつ症状寛解率が高く、機能およびQOLも良好であった。・本検討は、STAR*Dのレベル1サンプル(抗うつ薬がシタロプラムのみであった)を採用していたこと、活力/疲労感の代替指標を用いていたこと(QIDS-SR16の項目14)、副次的な事後解析デザインであることから限定的であった。関連医療ニュース うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 「笑い」でうつ病診断が可能に うつ病患者、SSRI治療開始1年以内に約半数がセカンド治療に  担当者へのご意見箱はこちら

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湿疹がある男子は恋愛に奥手?

 18~19歳の若者4,744例を対象に、湿疹の有病率と自殺念慮、精神衛生問題および社会的機能との関連を調べた結果、有病率は約10%であり、湿疹を有する若者は自殺念慮が、とくに男子で高いこと、また湿疹を有する男子では恋愛経験がない割合が高いこと(30%、オッズ比1.92)などが明らかにされた。ノルウェー・オスロ大学のJon A Halvorsen氏らによる住民ベースコホート研究の結果で、著者は、「思春期後半の湿疹は、自殺念慮や精神衛生問題と関連しており、一部の社会的機能との関連も認められた。今回の結果は、湿疹を有する若者に対する精神衛生問題に取り組むことの重要性を示すものである」とまとめている。これまで、湿疹を有する若者と心理社会的問題との関連はほとんど検討されていなかった。Journal of Investigative Dermatology誌2014年7月号(オンライン版2014年2月4日号)の掲載報告。 研究グループは、オスロに住む若者(18~19歳)を対象とした断面アンケート調査(健康・ライフスタイルに関する200超の質問項目からなるアンケートで、一部に心理社会的因子と皮膚問題を含んでいた)を行った。 検討の主要目的は、湿疹と自殺念慮、精神衛生問題、社会的機能との関連を調べることであった。副次目的は、湿疹+かゆみと自殺念慮、精神衛生問題との関連を調べることだった。 社会的機能については、5つの質問項目(家族との関係性、友人との関係性、学校での積極性、いじめの経験、恋愛関係)で評価した。 主な結果は以下のとおり。・調査は4,744例に対して行われ、全体の有効回答率は80%(3,775例)であった。・湿疹の有病率(有効回答3,556例)は、9.7%であった(女子11.9%、男子7.0%)。・湿疹を有する若者で自殺念慮を報告したのは15.5%であった。一方、湿疹を有さない若者では9.1%であり、多変量モデルにおいて湿疹を有する若者と自殺念慮との有意な関連が認められた(オッズ比[OR]:1.87、95%信頼区間[CI]:1.31~2.68)。性別では、女子のORは1.74、男子のORは2.29であった。・サブグループ分析において、自殺念慮の有病率は、湿疹とかゆみがある若者では23.8%と、湿疹のない若者と比較して有意な関連が認められた(OR:3.57、95%CI:2.46~5.67)。・湿疹は、精神衛生問題とも関連していた。Strength and Difficulties Questionnaire評価ではORは1.72(95%CI:1.21~2.45)、Hopkins Symptom Checklist 10評価ではORは1.63(同:1.23~2.16)であった。・湿疹を有する男子は恋愛経験者が少ない傾向が認められた。恋愛経験がないと回答したのは、湿疹を有する男子では30%、湿疹がない男子では23%であった(補正後OR:1.93、95%CI:1.21~3.08)。なお、女子では関連はみられなかった。

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睡眠時持続性棘徐波への対処は

 現在のところ睡眠時持続性棘徐波(CSWS)の治療に関して、エビデンスに基づくアプローチは文献で明らかにされていない。米国ハーバード・メディカル・スクールのIvan Sanchez Fernandez氏らは、CSWSの治療選択について、アメリカてんかん学会(AES)の会員を対象にアンケート調査を実施した。その結果、約8割が「顕著な睡眠-増強てんかん様活動に対して治療を行うべき」と回答し、第1選択薬として最も多く挙げられたのは高用量ベンゾジアゼピン(47%)で、次いでバルプロ酸(26%)、コルチコステロイド(15%)であったという。Epilepsia誌オンライン版2014年6月10日号の掲載報告。 本研究の目的は、北米のCSWS患者のケアにおける臨床医の治療選択を明らかにすることであった。CSWSに対する治療選択に関する24の質問からなる調査票をAESの会員に配布。調査票には臨床例を提示し、それに対する治療選択を問いかけた。自己記入方式を用いた、ウェブサイトによるオンライン調査とした。 主な結果は以下のとおり。・232例が質問票に全回答した。・顕著な波睡眠-増強に対し、「治療は妥当である」と回答したのは81%であった。・波睡眠-増強に対する有効な治療中に認知機能改善を認めた患者の割合について、「>75%」と回答した者が16%、「25~75%」が52%、「25%未満」が20%、そして「認知機能の変化なしまたは不明」とした者が12%であった。・睡眠-増強てんかん様活動の軽減に対する第1選択薬として挙げられたのは、高用量ベンゾジアゼピン(47%)、バルプロ酸(26%)、コルチコステロイド (15%)であった。・第2選択薬は、バルプロ酸(26%)、高用量ベンゾジアゼピン (24%)、コルチコステロイド(23%)であった。・高用量ベンゾジアゼピンとしての選択が多かったのは、ジアゼパム1mg/kg夜1回、以降0.5mg/kg/日であった。・バルプロ酸の用量で選択が多かったのは、30~49mg/kg/日であった。・同じくコルチコステロイドは、経口プレドニゾン2mg/kg/日であった。・最も一般的な有効性のエンドポイントは、多い順に、脳波(EEG)におけるてんかん様活動の反応性、認知機能、発作の減少であった。・回答者らの習熟度および臨床経験はさまざまであったが、本研究で得られた結果には一貫性がみられた。・神経科医の中でも扱う患者が小児または成人かで、方針および治療アプローチに相違がみられた。・大半の臨床医が、顕著な睡眠-増強てんかん様活動は治療すべきだと考えていた。最良の治療について見解の一致は得られていないが、高用量ベンゾジアゼピン、バルプロ酸、レベチラセタムおよびコルチコステロイドなどは有望な候補となることが示された。関連医療ニュース 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か てんかんにVNSは有効、長期発作抑制効果も てんかん患者の50%以上が不眠症を合併  担当者へのご意見箱はこちら

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火のついたカクテルを飲む場合、熱傷に注意すべき【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第23回

火のついたカクテルを飲む場合、熱傷に注意すべき私には、バーに立ち寄ったら一度は言ってみたいセリフがあります。「マスター、いつもの」と言ってみたいのです。いやあ、なんか憧れるじゃないですか。現実的には、行きつけの床屋で「おっちゃん、いつもの髪型で」と言うくらいです。そんな床屋の論文……じゃなくて、バーに関する論文をご紹介しましょう。Mowatt DJ, et al.Burns due to flaming alcoholic beverages in the UK: a mini series and experimental study.Burns. 2008;34:281-283.バーやラウンジでは、いろいろな飲み物が出されます。シャレた店なんかでは、カクテルに花火がついていたりすることもありますよね。といっても、お酒があまり得意ではない私は、バーやラウンジなんて数えるくらいしか行ったことがないのですが。海外では、グラスの中のアルコールに火をつけて出すような店もあるようです。料理のフランベみたいな感じでしょうか。グラスのアルコールが飛んでしまわないのか気になるところです。さて、そんな火のついたグラスの中に、追加でアルコールを注いだらどうなるでしょう。火に油を注ぐようなもので、アルコール度数の高い飲み物であれば爆発するかもしれませんね。紹介する論文は、そんな熱傷の報告をした4例のケースシリーズです。そんなの危ないに決まってるだろうとあきれる報告ばかりです。火のついたグラスに口をつけて、あまりの熱さにびっくりしてアルコールを体に浴びて熱傷を起こしたケースもあります。過去の報告もあわせて読んでみると、店員の落ち度でカウンターにいた客に着火した事例もありますが、グラスについた火が何らかの原因で飛び火したものがほとんどであることがわかります。いずれの論文も、このような熱傷は「preventable(予防できる)」と断言していますので、皆さんもバーカウンターでの火の取り扱いには注意してください。ちなみに燃えるカクテルの中には、「火山ドリンク(volcano drink)」という火山に見立てたカクテルがあります。その名のとおり、カップの中央にあいた穴から炎が燃えさかるカクテルのことですが、この仰天カクテルを注文して重度の熱傷を負った症例報告もあります(Am Surg. 1997;63:252-254.)。

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腰部脊柱管狭窄症へのステロイド併用/NEJM

 腰部脊柱管狭窄症に対し、グルココルチコイド+リドカイン硬膜外注射はリドカイン単独の硬膜外注射と比べて、ほとんどあるいはまったく短期的利益は得られなかったことが明らかにされた。米国・ワシントン大学のJanna L. Friedly氏らが、多施設共同二重盲検無作為化試験の結果、報告した。グルココルチコイド硬膜外注射は、腰部脊柱管狭窄症の治療に広く用いられているが、一方で高齢者の疼痛および障害を引き起こす頻度が高い。しかしその使用に関する有効性、安全性の厳密なデータは十分ではないのが現状であった。NEJM誌2014年7月3日号掲載の報告より。400例を併用群と単独群に無作為化し6週時点で有効性、安全性を評価 試験は2011年4月~2013年6月に、米国内16施設で被験者を募り行われた。2,224例がスクリーニングを受け、中心性腰部脊柱管狭窄症と中等度~重度の下肢疼痛および障害を有する患者400例を、グルココルチコイド+リドカイン硬膜外注射またはリドカイン単独硬膜外注射を受ける群に無作為に割り付け検討した。 患者は、主要アウトカム評価時(無作為化後または初回注射後6週時)までに1または2回の注射を受けた。 主要アウトカムは、Roland–Morris障害質問票スコア(RMDQ、スコア範囲0~24で高スコアほど身体障害が重度)、下肢疼痛強度(尺度0~10で、0は疼痛なし、10は“想定内では最大級の痛み”)であった。有効性、安全性ともに有意差みられず 6週時点で、RMDQスコア、下肢疼痛強度の評価ともに両群間に有意差はみられなかった。RMDQスコアについては、両群の平均治療効果の補正後の差は-0.1ポイント(95%信頼区間[CI]:-2.1~0.1、p=0.07)であり、下肢疼痛強度については、同-0.2ポイント(95%信頼区間[CI]:-0.8~0.4、p=0.48)であった。 同様に事前規定の注射タイプ別(経椎弓間vs. 経椎間孔)で層別化した副次サブグループ解析でも、6週時点の評価で有意差は認められなかった(RMDQスコアの相互作用p=0.73、下肢疼痛強度の相互作用p=0.99)。 1つ以上の有害事象を報告した患者の割合は、併用群21.5%、単独群15.5%だった(p=0.08)。患者当たり平均イベント数は、併用群のほうが多かった(p=0.02)。また注射タイプ別では、経椎間孔群のほうが経椎弓間群よりも高率だった。

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進行肝細胞がんへのエベロリムス投与/JAMA

 進行肝細胞がんでソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療が無効または不耐であった患者に対する、エベロリムス(同:アフィニトール)治療は全生存期間(OS)を改善しなかったことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏らが無作為化試験EVOLVE-1の結果、報告した。進行肝細胞がんに対し現状ではソラフェニブが唯一、OSを有意に改善するが、その有益性は一過性のわずかなものである。エベロリムスは、肝細胞がんの最大45%で活性が認められるmTORタンパク質を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。第I/II相試験において進行肝細胞がんへの効果が期待され、今回の臨床試験が行われた。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。17ヵ国546例を対象に二重盲検プラセボ対照試験 EVOLVE-1は、ソラフェニブ治療が無効または不耐であった進行肝細胞がん患者に対する、エベロリムス7.5mg/日の有効性と安全性を評価した第III相の国際無作為化二重盲検プラセボ対照試験であった。 被験者は、2010年5月~2012年3月に17ヵ国から登録された成人患者546例で、Barcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)ステージBまたはCの肝細胞がん、およびChild-Pugh Aの肝硬変を有していた。 無作為化は、地域(アジアvs. その他地域)および大血管浸潤(ありvs. なし)で層別化し、2対1の無作為化スキームにより、エベロリムス群に362例、適合プラセボ群に184例が割り付けられた。なお両群には、最善の支持療法も併せて行われた。 主要エンドポイントはOS、副次エンドポイントは、無増悪期間(TTP)、病勢コントロール率(DCR)(完全奏効[CR]、部分奏効[PR]、安定[SD]の患者の割合)などだった。OS中央値はエベロリムス群7.6ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月 結果、両群間でOSの有意差はみられなかった。エベロリムス群の死亡は303例(83.7%)、プラセボ群は151例(82.1%)で(ハザード比[HR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.86~1.27、p=0.68)、OS中央値はエベロリムス群7.6ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月であった。 無増悪期間の中央値は、エベロリムス群3.0ヵ月、プラセボ群2.6ヵ月であり(HR:0.93、95%CI:0.75~1.15)、病勢コントロール率はそれぞれ56.1%、45.1%であった(p=0.01)。 最も共通してみられたgrade 3または4の有害事象は、貧血症(エベロリムス群7.8%vs. プラセボ群3.3%)、無力症(7.8%vs. 5.5%)、食欲不振(6.1%vs. 0.5%)であった。 C型肝炎のフレアがみられた患者はいなかったが、中央検査室での結果、39例の患者(エベロリムス群29例、プラセボ群10例)でB型肝炎の再活性が認められた。全症例が無症候性であったが、エベロリムス投与群3例が治療を中止した。 なおサブグループ解析において、アジア人のエベロリムス群vs. プラセボ群のOSのHRは0.97(95%CI:0.61~1.52)であった。

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新規抗NGF抗体、膝痛を改善

 変形性膝関節症(膝OA)患者を対象とした完全ヒト型抗ヒト神経成長因子(NGF)モノクローナル抗体ファシヌマブ(fasinumab、REGN475、国内未承認)の安全性および有効性を検討した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果が発表された。米国・リジェネロン・ファーマシューティカルズ社のPaul J. Tiseo氏らによる報告で、ファシヌマブ静脈内投与はプラセボと比較して忍容性は良好であり、歩行時の膝痛を有意に改善することが認められたという。Pain誌2014年7月号(オンライン版2014年3月29日号)の掲載報告。 試験は、中等度~重度の疼痛を有する40~75歳の膝OA患者217例を対象に行われた。 ファシヌマブ0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kgまたはプラセボの4群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、試験第1日目および8週後(第57日目)に被験薬を静脈内投与した。 主要評価項目は、安全性(24週間における治療下で発現した有害事象の発現率で評価)で、副次的評価項目は歩行時の膝痛(数値的評価スケールを用いて毎日記録)、ならびにWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)のベースライン時からの変化量とした。 主な結果は以下のとおり。・24週後の有害事象発現率は、ファシヌマブ群66.1~75.0%、プラセボ群63.6%であった。・主な有害事象は、関節痛、知覚過敏、筋肉痛、末梢浮腫および関節腫脹であった。・有害事象のため試験を中止した患者の割合は、ファシヌマブ群5.6%、プラセボ群3.7%であった。・歩行時膝痛、WOMACの総スコアならびに疼痛、身体機能およびこわばりの各サブスケールスコアはいずれも、ファシヌマブの3群でプラセボ群より有意に改善した(p<0.05)。

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開発中のブレクスピプラゾール、その実力は

 新規開発中のブレクスピプラゾール(brexpiprazole、OPC-34712)について、同薬は抗精神病作用を有し、錐体外路症状の副作用リスクは低いこと、統合失調症に関連する認知障害に有効である可能性などが、動物実験の結果、示唆された。同薬を開発する大塚製薬のMaeda Kenji氏らが報告した。Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics誌オンライン版2014年6月19日号の掲載報告。 ブレクスピプラゾール(7-{4-[4-(1-benzothiophen-4-yl)piperazin-1-yl]butoxy}quinolin-2(1H)-one)は、セロトニン-ドーパミン活性のモジュレーターであり、5-HT1Aおよび D2/3受容体に結合してパーシャルアゴニストとして働くほか、5-HT2A、α1B-およびα2C-アドレナリン受容体に結合してアンタゴニストとして働く。本検討で研究グループは、動物モデルを用いて、ブレクスピプラゾールの行動薬理学的特性を評価し、さらに他の2種の第二世代抗精神病薬(アリピプラゾール、リスペリドン)との比較を行った。 主な知見は、以下のとおり。・ブレクスピプラゾールは、臨床的に意味のあるD2受容体占拠状況下において、ラットの条件回避反応を阻害したほか(ED506.0mg/kg)、アポモルフィンまたはd-アンフェタミン誘発過活動の阻害(それぞれED502.3 および0.90)、アポモルフィン誘発性常同行動の阻害(ED502.9)することが示された。・また、サルにおいて、アポモルフィン誘発性のまばたきも強力に阻害した。・これらの結果から、ブレクスピプラゾールが抗精神病作用を有することが示唆された。・ブレクスピプラゾールは、臨床的に意味のあるD2受容体占拠を超える濃度でカタレプシーを誘発したことから(ED5020)、錐体外路症状の副作用リスクは低いことが示唆された。・ラットにおいて、フェンサイクリジン(PCP)による亜慢性治療が認知障害を引き起こすことが、novel object recognition(NOR)テストとattentional set-shifting(ID-ED)テストの両方で示された。・PCPに誘発される認知障害は、NORテストにおいてはブレクスピプラゾール1.0および3.0mg/kgで、ID-EDテストにおいては1.0 mg/kgで改善することが確認された。・一方で、アリピプラゾール(10mg/kg)は、臨床的に意味のあるD2受容体占拠を示していたにもかかわらず、PCP誘発の認知障害に対する効果は確認されなかった。・5-HT1A アゴニストのbuspironeおよび 5-HT2A アンタゴニストのM100907は、部分的ではあるが、PCP誘発性障害を有意に改善することがNORテストにより確認された。・さらに、ブレクスピプラゾールの効果は5-HT1AアンタゴニストのWAY-100635と併用した際に消失した。・上記のように、ブレクスピプラゾールは抗精神病薬様活性を有し、統合失調症に関連する認知障害モデルに対する強力な効果があることが示された。・また、認知テストにおいてブレクスピプラゾールの有効性は、アリピプラゾールよりも優れていることが示された。・ブレクスピプラゾールの薬理学的プロファイルは、5-HT1A 、D2受容体に及ぼす影響と5-HT2A受容体に及ぼす影響との良好なバランスに基づくものであり、その他のモノアミン受容体の活性を調節できる可能性があると考えられた。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 急性期の新たな治療選択となりうるか?非定型抗精神病薬ルラシドン 新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

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妊娠初期のうつ・不安へどう対処する

 うつ症状を有する妊娠中の女性について、妊娠初期に血清ビタミンD値が低いほどそのリスクが高い逆相関の関連性があることがエビデンスとして示された。また同関連は、身体活動度によって修正可能であることも示された。米国・ワシントン大学のJonathan Y. Huang氏らが報告した。Journal of Women's Health誌オンライン版2014年6月11日号の掲載報告。 本検討は、妊娠初期の血清ビタミンD値とうつ症状、不安症との関連、およびその潜在的修正因子との関連を明らかにすることを目的とし、妊婦コホート(498例)を対象に妊娠初期(平均15.4週)の血清25[OH]D値とうつ症状および不安症との関連について断面調査を行った。症状の評価は、Depression, Anxiety, and Stress Scales(DASS-21)とPatient Health Questionnaire Depression Module(PHQ-9)が用いられた。妊娠前BMI、余暇の身体活動度(LTPA)による適合・効果修正を行った回帰モデルを用い、相互作用と層別化解析にて評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・血清25[OH]D値の平均値は34.4ng/mLであった。・約12%が、「中等度」の不安症(スコア10以上)とうつ症状(スコア10以上)を有していた。・血清25[OH]D値1ng/mL低下につき、DASS-21 Anxietyスコアは0.043上昇(p=0.052)、PHQ-9は0.040上昇(p=0.029)と関連していた。・血清25[OH]D値の四分位範囲最低位(28.9ng/mL未満)群は、同最高位(39.5ng/mL以上)群よりも、PHQ-9スコアは1.11高かった(p<0.05)。・一方で、完全補正後モデルでは、関連性は弱まり統計的に有意ではなくなった。・血清25[OH]D値とうつ症状の逆相関の関連性は、LTPAを報告しなかった被験者においては有意であったが、同報告がある患者ではいずれの活動度においても有意差はみられなかった(相互作用p=0.018)。関連医療ニュース スタイルを気にしすぎる女性はうつに注意を 日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発 SSRIは月経前症候群の治療に有用か?  担当者へのご意見箱はこちら

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EBMがもたらした、究極の“心血管イベント抑制”薬ポリピルは、実現するか(解説:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(224)より-

Lawらは、2009年BMJ誌に、冠動脈疾患、脳卒中の発症の予防に対する異なるクラスの降圧薬の効果を定量的に決定するとともに、降圧薬治療の適切な対象を検討する目的で、5種類の主要降圧薬群(チアジド系薬剤、β遮断薬、ACE阻害薬、ARB、Ca拮抗薬)を対象にした、1966年~2007年の間の臨床試験、全147試験のメタ解析を行った結果を報告した1)。 そのなかで、コホートデータと短期間の介入研究のデータから、降圧薬の効果は、年齢、治療前血圧、降圧薬服薬数にかかわらず、降圧(収縮期、拡張期)の程度に依存していることを明らかにするとともに、3種類の降圧薬を各標準用量の半量で併用すれば、同じ対象集団にいずれかの降圧薬を単剤標準用量にて投与した場合に比べ、冠動脈疾患・脳卒中のリスクはより低下するだろうと予測している。著者らはこの結果から、個々に血圧を測定し適応患者のみを治療するのではなく、一定の年齢を超えたらすべての人を対象に血圧を下げることを提案している。 同時期のLancet誌には、固定用量配合剤(Polypill)を用いた、The Indian Polycap Study(TIPS)の結果が報告されている2)。TIPSの観察値は、Law and Waldらの理論値と、必ずしも一致していないが、両論文によって生活習慣病に対する“populational approach”による、心血管病リスク抑制の戦略の正当性が、一部証明されたといえる。 ニュージーランドで行われた、Selakらの研究は、Polypillをプライマリ・ケアの現場で行った最新の研究の結果を報告している3)。アドヒアランスの改善はもたらされているものの、リスク因子のコントロール、心血管イベントの抑制には差がない。Polypill群で、37%が投与を中断しており、副作用による中断が72%であった。 Polypillは、公衆衛生的な効果をもたらしても、個人衛生には直結しないことを、あらためて示唆している。当分の間は、生活習慣病に対する医師の個々の裁量は、尊重されるのだろうか。

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うつ病と脳卒中リスクの関連、男性のほうが強い

 うつ病と脳卒中リスク増加との関連に人口統計学的および社会経済的要因が影響するかどうかについて、島根大学プロジェクト研究推進機構の濱野 強氏らが検討した。その結果、うつ病の脳卒中に対する影響は男性のほうが大きいことが示され、著者らは「男女における根本的なメカニズムを調べるためにさらなる研究が必要」としている。Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry誌オンライン版2014年6月26日号に掲載。 この研究は、スウェーデンの一次医療センターの全国における症例のうち、30歳以上の男性13万7,305人と女性18万8,924人の追跡研究である。著者らは、追跡期間(2005~2007年)に、初発脳卒中4,718人(男性2,217人、女性2,501人)を同定した。うつ病と脳卒中との関連が人口統計学的または社会経済的要因によって異なるかどうかを評価するために、マルチレベルロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比(OR)の計算と相互作用の検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・潜在的な交絡因子の調整後、うつ病は脳卒中リスクと有意に関連していた(OR 1.22、95%CI:1.08~1.38)。・うつ病の脳卒中に対する影響は女性より男性で大きいことが、相互作用試験により示された(男女間のORの差 1.30、95%CI:1.01~1.68)。すなわち、うつ病と脳卒中との関連は性別によって異なっていた。

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