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日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学

 抗うつ療法(ADT)を施行した日本人の大うつ病性障害(MDD)患者におけるアリピプラゾール補助療法を検討した無作為化プラセボ対照試験であるADMIRE研究において、アリピプラゾール補助療法はADT単独よりも優れ、忍容性も良好であったことが報告されている。名古屋大学の尾崎 紀夫氏らは、人口統計学的因子および疾患関連因子の影響、また各症状の改善とMDD全体の改善との関連についてサブ解析を実施した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2014年6月26日号の報告。  ADMIRE研究のデータを分析した。サブグループ解析は、一次評価項目である最終時点のMADRS合計スコアの平均変化量を用い実施した。主な結果は以下のとおり。・MADRS合計スコアの変化は、各サブグループにおいて、アリピプラゾール群ではプラセボ群と比較し一貫して大きかった。・有効性に以下の項目は関連していなかった[性別、年齢、現エピソードに対する十分なADT施行数、MDD診断、うつ病エピソード数、現エピソードの期間、うつ病発症年齢、うつ病罹病期間、抗うつ薬(SSRI/SNRI)の種類および治療終了時点での重症度]。・アリピプラゾール群ではプラセボ群と比較し、MADRAS10項目のうち悲しみ(sadness)を含めた7項目に対し、有意かつ迅速な改善を示した。 著者らは、これらの結果から「SSRI/SNRIで効果不十分な日本人MDD患者に対し、アリピプラゾール補助療法は有効であり、うつ病の主症状に対し大幅かつ急速な効果が期待できることが示唆された」としている。関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか  担当者へのご意見箱はこちら

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日本人成人アトピー性皮膚炎に有望な新たな塗布薬開発

 日本人アトピー性皮膚炎成人患者に対する新しいホスホジエステラーゼ4阻害薬E6005について、多施設共同無作為化溶媒対照試験の結果、塗布群でアトピー性皮膚炎重症度スコアの有意な低下が示された。九州大学皮膚科 教授の古江 増隆氏ら研究開発グループによる報告で、「今回の結果、アトピー性皮膚炎治療のE6005局所薬開発のためのさらなる裏付けが得られた」とまとめている。Journal of Dermatology誌オンライン版2014年6月18日号の掲載報告。 E6005塗布薬の安全性と有効性を検討する試験は、78例の患者を対象に行われた。被験者は2対1の割合で、0.2%E6005軟膏剤または溶媒(E6005非含有)塗布群に割り付けられた。 4週間のランダムフェーズに引き続き、8週間の延長フェーズが行われた。延長フェーズでは、ランダムフェーズを完了した全67例が0.2%E6005軟膏剤の投与を受けた。 主な結果は以下のとおり。・4週間の1日2回E6005塗布は、安全であり忍容性は良好であった。・12週間の安全性プロファイルは、当初の4週間のものと同等であった。・死亡や重篤な有害事象は12週間の試験期間中、報告されなかった。・血中E6005値は、全被験者で全サンプリング時点において検出されなかった。一方で、ごく少量の血中E6005代謝物が、治療群の47%で検出された。・4週の試験終了時点で、Eczema Area and Severity Index(EASI)、Severity Scoring Atopic Dermatitis(SCORAD)- objective、SCORAD-C(そう痒と不眠の視覚アナログスケール)、引っ掻き行動尺度、ターゲット湿疹部位重症度は、E6005塗布群で溶媒群と比べて改善の傾向が認められた(統計的有意差はなし)。・12週時点では、E6005塗布群のスコアはベースライン時から有意に低下したことが示された。EASI(p=0.030)、SCORAD-objective(p<0.001)、SCORAD-C(p=0.038)。

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抗精神病薬の多剤大量処方からの安全で現実的な減量法~日本精神神経学会学術総会より

 現在、わが国では抗精神病薬の多剤大量処方を是正する動きがある。今年4月の診療報酬改定においては、非定型精神病薬加算が見直され、3種類以上の処方で10点の加算が削除、2種類以下の15点加算のみになった。しかし、すでに多剤大量処方されている場合には処方薬の種類を減らすことは簡単ではない。このようななか、第110回日本精神神経学会学術総会(2014年6月26~28日)にて、国立精神・神経医療研究センターの山之内 芳雄氏が「抗精神病薬多剤大量処方からの安全で現実的な減量法」と題して講演し、SCAP法(Safety Correction of Antipsychotics Poly-pharmacy and hi-dose)による減量試験の結果を紹介した。 SCAP法とは、3~6ヵ月かけて、1種類ずつ、ごく少量ずつ、減量を休むことも戻すことも可能という、非常にゆっくり減量する方法である。3剤以上の処方薬剤からの減量を検討したいくつかの研究において、成功例の減量速度がクロルプロマジン(CP)換算で約40mg/週、悪化例は約100mg/週であったことから、SCAP法では減量速度を高力価薬でCP換算50mg/週以内、低力価薬で同25mg/週以内として臨床研究を行った(厚生労働科学研究「抗精神病薬の多剤大量処方の安全で効果的な是正に関する臨床研究」、代表:藤田保健衛生大学教授 岩田 仲生氏)。 本研究では、2剤以上の抗精神病薬(CP換算500~1,500mg/日)が処方されていた入院・外来の統合失調症患者(55施設、163例)を、減量群101例と対照(経過観察)群62例に単純ランダム化で割り付けた。減量群では、3~6ヵ月で1種類ずつ上記の減量速度で順番に減らし、それぞれマンチェスタースケール(慢性精神病尺度)、DIEPSS(薬原性錐体外路症状評価尺度)、EuroQOL(QOL尺度)などの変化を検討した。 その結果、症状、副作用、QOLのいずれも両群で差はなく、SCAP法を用いることにより、減量してもしなくても変わらないという結果が得られた。試験に参加した主治医に対するアンケートでは、開始前に減量への不安があった医師は、「症例によりあり」を含めて約7割に上っていたが、減量後は63%が「大丈夫だった」と回答している。また、「多剤大量の是正は必要か」との質問には、91%が「はい」と回答していた。 本研究では減量群101例中脱落例が24例と多いが、この理由について山之内氏は、24例のうち17例が減らし過ぎによる脱落であり、それほどゆっくりした減量ペースのプロトコールであると説明した。本研究での減量ペースはCP換算平均9mg/週で、処方にあたりいくつかの薬剤で粉砕が必要とのことである。どの薬剤から減らすかについては医師の判断によるが、山之内氏は「力価が低いものから減量する」「主剤を選び、それを残す」とアドバイスしている。 なお、国立精神・神経医療センター精神保健研究所のホームページには、精神科医療関係者向けの「SCAP法による抗精神病薬減量支援シート」のページがあり、SCAP法の説明や使い方の閲覧、処方計画シートのダウンロードが可能である。

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トラスツズマブ、長期補助療法での心イベント発症は?(BIG1-01)

 トラスツズマブの忍容性は一般的に高いものの、心機能障害については、とくにアントラサイクリンベースの化学療法との併用において、議論となっている。今回の研究は、トラスツズマブの補助療法を評価する世界的臨床試験HERA(Herceptin Adjuvant )トライアルの8年にわたる観察期間における心イベント発症について、ベルギー・Jules Bordet InstituteのEvandro de Azambuja氏らが検討している。Journal of clinical oncology誌オンライン版2014年6月9日号の掲載報告。 対象は2001年12月から2005年6月の間に登録されたHER2陽性の早期乳がん患者。初期治療で手術、術前・術後化学療法、(±放射線療法)を受けており、登録時の適格基準はLVEF(左室駆出率)55%以上である。これらの患者を無作為に観察群(1,744例)、トラスツズマブ1年投与群(1,682例)、2年投与群(1,673例)に割り付け、2012年4月まで観察している(観察期間の中央値は8年)。 主要エンドポイントは心臓死、NYHA(ニューヨーク心臓協会)心機能分類III~IVの重症うっ血性心不全(以下CHF)発症。副次的エンドポイントは、著明なLVEF低下(LVEF絶対値のベースラインから10%ポイント以上の低下およびLVEF値50%未満の低下)である。また、トラスツズマブ中止後の急速回復例(投与中止後連続2回以上50%以上のLVEF値を記録した例)の割合を評価している。 主な結果は以下のとおり。・初期治療における化学療法の96%は、アントラサイクリンを含むレジメンであった。・投与中止を引き起こした心臓有害事象の発症は2年投与群で9.4%、1年投与群では5.2%であった。・心臓死は、2年投与群0.2%、1年投与群0%、観察群0.1%であった。・重症CHF発症は、2年投与群0.8%、1年投与群0.8%、観察群0%であった。・著明なLVEF低下は2年投与群7.2%、1年投与群4.1%、観察群0.9%であった。2年投与群vs 1年投与群の絶対値差3.1%(95% CI:1.5~4.6、p<0.001)。・急速回復例は、2年投与群で87.2%(心エンドポイント発症133例中116例)、1年投与群で79.5%(心エンドポイント発症83例中66例)であった。・心イベント発症のリスク因子は、試験登録時におけるLVEF低値であった。 HERAトライアルの中央値8年の長期評価においても、トラスツズマブ補助療法における心イベントの発生は低く、また多くは可逆的であった。ただし、発症率の低さは確認されたものの、早期に心イベントを見つけ適切な処置を行うため、トラスツズマブの使用にあたっては使用前、使用中の心機能評価を行うべき、としている。

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統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は

 カナダ・Institut Universitaire en Sante Mentale de MontrealのStephane Potvin氏らは、統合失調症にみられる認知機能低下に関わる因子について検討を行った。その結果、陰性症状および年齢や性別などの社会人口統計学的特徴が認知パフォーマンスと関連していること、抗精神病薬に誘発されるパーキンソニズムが作業記憶に関連していることを報告した。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。 統合失調症における著しい認知機能低下、およびそれが患者の社会的・職業的機能に及ぼす影響、そして抗精神病薬に誘発される錐体外路症状が統合失調症の認知機能に及ぼす影響については十分に理解されていない。本研究では、統合失調症患者の認知能力を予測する臨床的、社会人口統計学的および神経学的因子を特定するため、検討を行った。統合失調症スペクトラム(DSM-IV分類)の外来患者82例を登録し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、統合失調症に関するカルガリーうつ病尺度(CDSS)により精神症状を評価した。また、錐体外路症状評価尺度(ESRS)により錐体外路症状を、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)により空間作業記憶、プランニング能力、視覚的対連合学習を評価し、ストループ検査も実施。多変量階層線形回帰解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症の陰性症状は、認知的柔軟性、プランニング、視覚的学習および作業記憶と関連していた。・年齢、性別、入院回数および抗精神病薬の種類も有意な予測因子であった。・さらに、抗精神病薬に誘発されるパーキンソニズムと作業記憶が有意に関連していた。・統合失調症の陰性症状と社会人口統計学的特徴が認知パフォーマンスを予測するという事実は、過去の文献と一致していた。・結果を踏まえて著者は「作業記憶障害は統合失調症の中間表現型と考えられており、患者の社会的および職業的機能を損なうことが知られているため、パーキンソニズムと作業記憶との関連は臨床的意義のある知見と思われる」とまとめている。・また今回の結果については「より大規模な患者集団を用いた長期研究により、追試する必要がある」と指摘している。関連医療ニュース 統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

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隔年マンモグラフィ検診導入後、乳がん死は約3割減/BMJ

 マンモグラフィ検診導入前後の乳がん死亡率比を検討した結果、導入後は乳がん死が約28%減少したことが、ノルウェー科学技術大学のHarald Weedon-Fekjaer氏らによる住民前向き追跡コホート研究から報告された。1970~80年代に行われた無作為化試験でマンモグラフィ検診は、乳がん死を予防可能であることが示され、ノルウェーでは1995~2005年に順次検診プログラムが導入されている。しかしその後、初期に行われた試験の方法論に問題があることが指摘され、結果の妥当性に疑念が及ぶこととなった。研究グループは、検診導入効果を検討する新たな試験を行うことは非現実的であるとして、今回観察研究のアップデートにより検診群と非検診群の比較を行い検討した。BMJ誌オンライン版2014年6月17日号掲載の報告より。 1986~2009年に全ノルウェー女性を前向きに追跡 前向きコホート研究は、1986~2009年に全ノルウェー女性を追跡して行われた。その間1995~2005年に、50~69歳の女性を対象に全国的なマンモグラフィ検診が隔年で行われた。 ポアソン重回帰分析により推算した乳がん死亡率比で、検診招待群vs. 非検診招待群(検診招待効果を評価)を評価し、また、乳がんが診断されたケースの初回検診招待前(検診効果が期待できなかった)vs. 初回検診招待後(同効果が期待できた)の検討で明確な差を評価した。分析ではさらなる追跡で他の原因で死亡した女性は除外した。 また、2009年のノルウェーにおける全死因死亡および乳がん特異的死亡の複合で観察された死亡率の低下をベースとし、CISNET(Cancer Intervention and Surveillance Modeling Network)Stanfordシミュレーションモデルを用いて、50~69歳の女性が生涯、隔年で何回マンモグラフィ検診に招待される必要があるか(必要検診招待数)を推算した。 検診招待368例につき乳がん死1例予防 1986~2009年に観察された1,519万3,034人年のうち、乳がん死は初回検診招待後に診断された女性では1,175例、招待されることなく診断された女性では8,996例だった。 年齢、出生コホート、居住地、全国的な乳がん死の傾向で補正後、検診招待の死亡率比は0.72(95%信頼区間[CI]:0.64~0.79)であった。すなわち、検診に招待された女性は招待されなかった女性と比べて、乳がん死リスクが28%減少したことが示された。 検診招待終了後(70歳時)も、乳がん死亡率に対する有益性が持続することが認められた。ただし有益性は時間とともに低下する可能性も認められ、招待終了5~10年後の補正後死亡率は、0.79(95%CI:0.57~1.01)となっていた。 必要検診招待数の検討では、乳がん死を1例予防するために、女性368例を検診に招待する必要があることが示された。 さらに、実際に検診を受けた女性(招待された女性の約76%)のマンモグラフィ効果については、乳がん死亡率は37%減少、乳がん死1例予防のための必要検診受診数は280例であると推算されている。

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APOC3遺伝子の突然変異、冠動脈疾患リスクの低下と関連/NEJM

 血漿トリグリセライド(TG)値の低下に、アポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子(APOC3遺伝子)の機能欠失型変異が関与しており、この突然変異のキャリアでは冠動脈疾患のリスクが低いことが明らかにされた。米国・マサチューセッツ総合病院のSekar Kathiresan氏らThe TG and HDL Working Group of the Exome Sequencing Project(米国立心臓・肺・血液研究所による)が報告した。これまでにTG値は遺伝性のもので、冠動脈疾患リスクと関連していることは判明していた。NEJM誌オンライン版2014年6月18日号掲載の報告より。3,734人、1万8,666個の遺伝子を解析 研究グループは、Exome Sequencing Projectの参加者でヨーロッパ系またはアフリカ系の3,734人、1万8,666個の遺伝子領域の蛋白コードを解析し、表現型に多大な影響を有するまれな突然変異の存在の特定と、その突然変異が血漿TG値に関与しているかを調べた。 また同関連が、冠動脈疾患リスクと関連しているかについて、11万970人を対象とした評価も行った。変異キャリアはノンキャリアと比べて冠動脈疾患リスクは40%低下APOC3 結果、APOC3遺伝子エンコードにおけるまれな突然変異の集積が、血中TG値の低下と関連していることが判明した。突然変異は4つが特定された。3つは機能欠失型変異で、1つはナンセンス変異(R19X)であり、残る2つはスプライス部位突然変異(IVS2+1G→AとIVS3+1G→T)であった。なおもう1つの突然変異は、ミスセンス変異(A43T)であった。 また、約150人に1人の割合で4つのうちの1つの突然変異を有するヘテロ接合キャリアが存在することが明らかになった。 キャリアのTG値は、ノンキャリアの人と比べて39%低く(p<1×10-20)、同様にAPOC3値は46%低かった(p=8×10-10)。 すべてのAPOC3変異キャリア(498人)は、ノンキャリア(11万472人)と比べて、冠動脈疾患リスクは40%低かった(オッズ比:0.60、95%信頼区間:0.47~0.75、p=4×10-6)。

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唐辛子は胃がんのリスク?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第22回

唐辛子は胃がんのリスク? 写真注:ハラペーニョ(Wikipediaより引用)唐辛子の辛味成分は、カプサイシンが主であることはよく知られています。大量のカプサイシンを食べると、カプサイシン感受性神経の機能が障害され、胃潰瘍を引き起こすとされています。では、唐辛子をたくさん食べると胃がんになりやすいのでしょうか?Lopez-Carrillo L, et al.Capsaicin consumption, Helicobacter pylori positivity and gastric cancer in Mexico.Int J Cancer. 2003;106:277-282.この研究は唐辛子の摂取量と発がん率を調べたもので、胃がんを有する234人とコントロール患者として468人が登録されました。唐辛子を大量に摂取している人(1日あたりハラペーニョ9~25本相当)は、低摂取の人(ハラペーニョ0~3本相当)と比較して、胃がんを発症するリスクが有意に高いことがわかりました(オッズ比 1.71、95%信頼区間:0.76~3.88、p=0.026)。ハラペーニョで換算するあたり、まさにメキシコの研究といった感じですね(それにしてもハラペーニョを1日10本、20本と食べる人が本当にいるのでしょうか)。また、唐辛子の摂取量とヘリコバクター・ピロリの感染の有無が胃がんの発症リスクに与える影響には関連性はみられず、メキシコにおける唐辛子の摂取は胃がん発症の独立危険因子であると考えられました。そのため、この研究ではハラペーニョなどの唐辛子の食べ過ぎには注意が必要であると警告されています。韓国のキムチも辛い料理として有名ですが、これも胃がんのリスクではないかと論じられた研究があります(World J Gastroenterol. 2005;11:3175-3181.)。余談ですが、キムチは英語表記でkimchiと書きます。kimuchiと書かれることもありますが、1996年3月に国際食品規格委員会(CODEX)のアジア部会で正式にkimchiの英語表記が認められました。

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炎症性腸疾患へのTNF-α阻害薬、がんリスクは増大せず/JAMA

 炎症性腸疾患(IBD)患者に対するTNF-α阻害薬投与は、がんリスク増大と関連していないことが、デンマーク・血清研究所(Statens Serum Institut)のNynne Nyboe Andersen氏らによる同国レジストリ患者対象コホート研究の結果、報告された。追跡期間中央値3.7年で、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群の補正後がん発症率比は1.07であったという。TNF-α阻害薬治療後のがんリスクを含む有害事象の検討については、コクランレビューとネットワークメタ解析の結果、全国レジストリの大規模データベースに基づく評価が適切であるとの結論が示されていた。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より。デンマークIBD患者5万6,146例を対象にTNF-α阻害薬曝露群と非曝露群を比較 被験者は、1999~2012年のデンマーク全国レジストリで15歳以上のIBD患者であると特定された5万6,146例だった。TNF-α阻害薬曝露群は4,553例(8.1%)であった。同曝露群のIBDサブタイプはクローン病54%、潰瘍性大腸炎46%。診断時年齢は33.7歳だった。 がん症例については、デンマークがんレジストリで特定した。 主要評価項目は、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群を比較したがん発症率比(RR)で、ポアソン回帰分析を用いて、年齢、暦年、罹患期間、傾向スコア、その他のIBD薬使用について補正後に評価した。追跡期間中央値3.7年、曝露群の発症率比は1.07 総計48万9,433人年(追跡期間中央値9.3年、四分位範囲[IQR]:4.2~14.0年)において、がんを発症したのは、曝露群81/4,553例(1.8%)(追跡期間中央値3.7年、IQR:1.8~6.0年)、非曝露群3,465/5万1,593例(6.7%)で、補正後RRは1.07(95%信頼区間[CI]:0.85~1.36)だった。 がんリスクは、初回TNF-α阻害薬曝露以降の時間経過により分析した結果においても有意な増大は認められなかった。すなわち、1年未満1.10(95%CI:0.67~1.81、1~2年未満1.22(同:0.77~1.93)、2~5年未満0.82(同:0.54~1.24)、5年以上1.33(同:0.88~2.03)だった。 また、TNF-α阻害薬投与量別の解析でも有意なリスク増大はみられなかった。RRは1~3剤1.02(95%CI:0.71~1.47)、4~7剤0.89(同:0.55~1.42)、8剤以上1.29(同:0.90~1.85)だった。 完全補正後モデルの分析の結果、特定部位のがんが有意に多いということも認められなかった。 なお研究グループは、「今回の追跡期間中央値3.7年の検討においては、TNF-α阻害薬の使用とがんリスクの増大の関連はみられなかったが、より長期間の曝露とリスク増大との関連を除外することはできない」とまとめている。

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HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与は有効か?(解説:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(220)より-

結核は依然としてHIV感染患者における重要な日和見疾患である。今までにsystematic reviewや後ろ向き観察研究などで、イソニアジド単独、あるいはイソニアジド+抗HIV療法によって結核発病のリスクを低減できることが示されてきた。WHOが途上国に向けて発信したガイドラインでは、HIV感染患者全例にイソニアジドの予防投与を行うことを推奨している。 しかしながら、抗HIV療法を施行している患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性について、強いエビデンスは存在しなかった。 本研究は、抗HIV療法施行中のHIV感染患者に対するイソニアジドの結核予防効果を検討したランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。エイズ、結核罹患率の高い南アフリカケープタウン近郊のカエリチャで実施された。 被験者を(1)イソニアジドを12ヵ月間予防投与する群(662例)と、(2)プラセボを投与する群(667例)に無作為に割り付けし、3,227人年が解析対象となった。スクリーニングの喀痰抗酸菌培養検査で判明した結核例は除外した。プライマリエンドポイントは、結核の発症(疑い例や不確定例も含む)とした。 その結果、イソニアジド群はプラセボ群と比較して37%結核発症率を低下させた(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.41~0.94)。Grade 3または4のALT値上昇のため試験薬投与を中断した患者数は、2群間で有意差を認めなかった(リスク比:1.9、95%信頼区間:0.90~4.09)。また、イソニアジド予防投与の効果が、ツベルクリン反応検査あるいはインターフェロンγ遊離試験が陽性の患者に限定されるというエビデンスは観察されなかった。 これらの結果を踏まえて、著者らは「結核発生リスクの高い地域では、ツベルクリン反応テストやインターフェロンγ遊離試験の結果にかかわらず、抗HIV療法を受けている患者全員に対してイソニアジドの予防投与を推奨すべきである」と提言している。 日本は先進国の中では結核罹患率の高い国ではあるが、アフリカ諸国などと比較すると低く、本試験の結果をそのまま日本での診療に当てはめることはできない。 しかしながら、米国のガイドラインでも潜在性結核感染を認めるHIV感染患者に対してはイソニアジドの投与を推奨しており、本邦でも潜在性結核感染と診断された場合には、イソニアジドの投与を検討してもよいかもしれない。ただし、イソニアジドの投与期間はガイドライン等によって異なり、議論の余地があると思われる。 HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性を検討したBOTUSA study1)では、主にツベルクリン反応陽性者において結核発症率の低下を示したが、本研究では、結核予防効果がツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験の結果に左右されず、対照的な結果となった。 結核が蔓延している国では、おそらく多くの結核例が新たな感染や再感染によるので、イソニアジドは潜在性結核感染の治療だけでなく、新規感染や再感染の予防や治療の役割を果たしていたのかもしれない。また、ツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験は、免疫不全が進行すると偽陰性となりやすいため、本試験の患者に偽陰性が多かった可能性は考えられる。【参考文献はこちら】1) Samandari T, et al. Lancet. 2011;377:1588-1598.

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APOC3遺伝子変異による低TG値でも虚血性血管疾患リスク減/NEJM

 APOC3遺伝子の機能欠失型変異により血漿トリグリセライド(TG)値が低下し、虚血性血管疾患のリスクが減少することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAnders Berg Jorgensen氏らの検討で示された。非空腹時の血漿TG高値は虚血性心血管疾患のリスクを増大させることが知られている。APOC3遺伝子はアポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子で、その変異により非空腹時血漿TG値が低下するが、APOC3遺伝子変異を保因するため生涯にわたり低TG値の集団は、虚血性心血管疾患のリスクが低いか否かは、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2014年6月18日号掲載の報告。約7万6,000人を34年追跡し、変異とTG値、疾患の関連を解析 研究グループは、非空腹時TG低値と虚血性心血管疾患のリスク減少との関連を検討し、次いでAPOC3遺伝子の機能欠失型変異とこれらの疾患の関連を調査した。 解析には、デンマークで行われた2つの地域住民を対象とした前向き調査(Copenhagen City Heart Study[CCHS]、Copenhagen General Population Study[CGPS])に参加した7万5,725人(CCHS:1万333人、CGPS:6万5,392人)のデータを用いた。虚血性血管疾患は、虚血性心疾患または虚血性脳血管疾患と定義した。 フォローアップ期間中央値は34年で、この間に1万797人の被験者が虚血性血管疾患を発症し、このうち虚血性心疾患は7,557人であった。DNA検査は被験者全員で行われ、脂質検査は98%以上で実施された。TGだけでなく、HDLコレステロールやアポリポ蛋白A1、Bも良好 虚血性血管疾患および虚血性心疾患のリスクは、ベースラインの非空腹時TG値が低下するに従って段階的に減少し、<1.00mmol/L(90mg/dL)の被験者は≧4.00mmol/L(350mg/dL)の場合に比べ発症率が有意に低かった(虚血性血管疾患のハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.35~0.54、虚血性心疾患のHR:0.40、95%CI:0.31~0.52)。 APOC3遺伝子の3つのヘテロ接合型変異(R19X、IVS2+1G→A、A43T)が、非空腹時TG低値と実質的に関連していた(保因者260人、290人に1人の割合)。なお、CCHSの被験者の解析では、IVS2+1G→AとA43TはHDLコレステロールおよびアポリポ蛋白A1の増加とも関連していた。 これらAPOC3遺伝子のヘテロ接合性の機能欠失型変異の保因者は、APOC3遺伝子に変異のない被験者に比べ、非空腹時TG値が平均44%(0.77mmol/L[70mg/dL])低かった(p<0.001)。このTG値低下率は3つの変異型でほぼ同じだった(44~48%、いずれもp<0.001)。また、保因者は非保因者に比し、アポリポ蛋白Bが平均16%(17mg/dL)低く、HDLコレステロールが24%(0.38mmol/L[15mg/dL])、アポリポ蛋白A1が9%(15mg/dL)高かった。 虚血性血管疾患および虚血性心疾患の発症は、ヘテロ接合型変異の保因者で有意に少なく(それぞれp=0.009、p=0.05)、リスク減少率はそれぞれ41%(HR:0.59、95%CI:0.41~0.86、p=0.007)、36%(HR:0.64、95%CI:0.41~0.99、p=0.04)であった。 著者は、「APOC3遺伝子の機能欠失型変異は、TG値の低下および虚血性血管疾患のリスク減少と関連する」と結論し、「APOC3遺伝子は、心血管リスクの低減を目的とする薬剤の標的として有望と考えられる」と指摘している。最近、アンチセンス・オリゴヌクレオチドによりAPOC3遺伝子を阻害すると、アポリポ蛋白C3とTGが低下することが、動物実験やヒトの第I相試験で確認されているという。

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にきび治療への有効性を比較、抗菌薬 vs ピル

 米国ハーバード・メディカル・スクールのEubee Baughn Koo氏らは、にきび治療における、抗菌薬と経口避妊薬(OCP)の有効性を比較するメタ解析を行った。両者がにきび治療に有効であることは判明しており広く使用されているが、有効性について直接比較した検討はほとんど行われていなかった。結果、3ヵ月時点では抗菌薬が優れていたが、6ヵ月時点では同等であることが示され、著者は、「女性における長期のにきび治療では、ピルがファーストライン治療薬として全身性の抗菌薬の代わりとなるだろう」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年5月28号の掲載報告。 メタ解析は、Preferred Reporting Items for Systematic ReviewsとMeta-Analyses and Cochrane collaboration guidelinesに則して行われた。 226本の刊行レビューから、包含基準を満たした32本の無作為化試験を解析に組み込み分析した。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月時点と6ヵ月時点で、抗菌薬およびOCPはいずれもプラセボと比較して、炎症性病変、非炎症性病変、全病変の減少率がより大きかった。・各評価時点の抗菌薬およびOCP治療は、3ヵ月時点における全病変の減少率が抗菌薬のほうがOCPよりも優れていたが、それ以外は下記のように統計的に同等であることが示された。 加重平均炎症性病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬53.2%、OCP 35.6%、プラセボ26.4%  6ヵ月時点:抗菌薬57.9%、OCP 61.9%、プラセボ34.2% 加重平均非炎症性病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬41.9%、OCP 32.6%、プラセボ17.1%  6ヵ月時点:抗菌薬56.4%、OCP 49.1%、プラセボ23.4% 加重平均全病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬48.0%、OCP 37.3%、プラセボ24.5%  6ヵ月時点:抗菌薬52.8%、OCP 55.0%、プラセボ28.6%・本検討は、試験治療の不均一性および刊行バイアスの点で限定的である。

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日本人の気質は精神状態にどう影響するのか:順天堂大学

 状態ではなく気質を同定するよう設計されているTEMPS-A 気質評価質問紙(Temperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris and San Diego-auto questionnaire)について、これまでに、非臨床集団では精神状態が影響を及ぼす可能性が示唆されていた。順天堂大学の馬場 元氏らはTEMPS-Aの完全バージョンとさまざまな抑うつ尺度、あるいは躁病評価尺度との関連性を調べた。Journal of Affective Disorders誌2014年6月号の掲載報告。 検討は、ベックうつ病評価尺度(BDI)、自己記入式簡易抑うつ症状尺度・日本語版(QIDS-SR-J)、患者健康質問票-9(PHQ-9)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)などの精神評価スコアと気質スコアとの関連を調べるため、314人の医学生および職員を対象に行われた。 主な結果は以下のとおり。・抑うつ状態スコアは、TEMPS-Aの抑うつ気質、不安気質、憂鬱と陽気さを繰り返す循環気質、焦燥気質スコアと、有意に明らかに関連していた。・一方で、閾値下の低躁状態スコアは、TEMPS-Aの焦燥気質と有意に明らかに関連していた。・抑うつ状態あるいは閾値下の低躁状態スコアと発揚気質スコアとの間に関連はみられなかった。・本検討は次の点で限定的なものであった。すなわち、断面的な研究であったこと、抑うつ/低躁状態スコアが気質スコアに影響を及ぼすのか、またはその逆で、気質スコアが抑うつ/低躁状態スコアに影響しているのかは判明しなかったこと。さらに、サンプルが必ずしも代表的集団ではなかったこと、日本人における所見が日本以外でも適用可能であるとのエビデンスはない点である。 以上を踏まえて、著者は「非臨床集団であってもTEMPS-Aの気質スコアへの精神状態の影響を検討することは意義深いことである」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場 出産後のうつ病リスクは「10~15%」新スクリーニングツール期待 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能  担当者へのご意見箱はこちら

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iPadを使ったインフォームドコンセントは有用【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第21回

iPadを使ったインフォームドコンセントは有用医師が行うインフォームドコンセントは治療内容であったり臨床試験であったり、まちまちです。研究や医療に参加する患者さんや被験者は、その仔細を完全に理解しているわけではなく同意書にサインをしてしまいます。というのも、医療従事者でなければその根幹を理解することは不可能だからです。そのため、医療従事者はできるだけわかりやすく説明をする必要があります。コンピューターを使ったインフォームドコンセントが有用であるとする報告はいくつかありますが(Arch Intern Med. 2009;169:1907-1914. )、iPadのような新しいデバイスを用いた研究はほとんどありません。私の恩師である先生はiPadを自由自在に用いて患者さんに説明しておられますが、私はプライベート以外でiPadを使ったことは一度もありません。プライベートといっても、息子の写真を保存しているだけで、まったく使いこなせていないのが正直なところです。最近ようやくWi-Fi(ワイファイ)という言葉を覚えたくらいで、「クラウド」とかまた新しい言葉が出てきて困っているところです。さて、今回紹介する論文は、臨床研究についての同意を得る際にiPadを用いたほうがよいのではないかと結論づけたものです。Rowbotham MC, et al.Interactive informed consent: randomized comparison with paper consents.PLoS One. 2013;8:e58603.このプロスペクティブランダム化比較試験は、 実際の臨床試験(抗がん剤の神経障害について)の内容を伝える方法として、iPadと紙ベースを比較したものです。この比較試験の被験者として、研究者と患者の双方に参加してもらいました。90人の参加者のうち、69人がオンラインテストを完遂しました。オンラインテストは、当該研究の目的、研究内容に質問があった場合に誰に尋ねるか、試験期間の長さなどを答える一問一答形式です。研究者14人では、iPadで説明を受けた人のほうがオンラインテストの点数がいい傾向にあったそうです (平均正答率77% vs 57%、p =0.07)。一方、患者55人では、iPadによる説明を受けた場合のオンラインテストの点数は、紙ベースの説明を受けた場合よりも有意に高いという結果が得られました(平均正答率75% vs 58%、 p<0.001)。また、紙ベースの場合、iPadと違って閲覧時間が非常に短いという結果も得られました。最近は、学校でもタブレットを使って授業を行うところもあるそうですね。目にやさしいディスプレイだから大丈夫、などとも言われていますが、なんとなく抵抗感を覚えるのは私だけでしょうか? 何でもかんでも次世代機器というのはケシカラン!と言うと、自分が時代遅れのオジサンになってしまった気がして、ちょっぴりさびしい気もします。

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COPDと糖尿病の合併例にメトホルミンは安全か

 COPDと2型糖尿病の合併例へのメトホルミン使用について、COPDであることを研究的・臨床的使用の障壁とすべきではないとの検討結果を、英国ロンドン大学セント・ジョージ校のAndrew W. Hitchings氏らが報告した。Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease誌オンライン版2014年6月10日号の掲載報告。 2型糖尿病とCOPDは一般的に関連があるとされている。メトホルミンは2型糖尿病に対して意義のある治療であるが、COPDに対してもベネフィットがあるかもしれない。しかしながら、メトホルミンのまれな副作用として乳酸アシドーシスの報告があることから、COPDにおける安全性については明らかになっていない。 そこで、過去にCOPD増悪で入院を経験したことのある2型糖尿病患者130例をレトロスペクティブに抽出し、乳酸濃度(プライマリーエンドポイント)と生存率(セカンダリーエンドポイント)をメトホルミン投与群と非投与群で比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は73.0±9.8歳、47例(36%)は女性だった。・120例の動脈血ガスを測定し、88例(73%)は低酸素血症、45例(38%)は呼吸不全、33例(28%)は呼吸性アシドーシスであった。・メトホルミン投与群51例(39%)における乳酸濃度の中央値(四分位範囲)は1.45mmol/L(1.10~2.05)であり、非投与群では1.10mmol/L(0.80~1.50)であった(p=0.012)。・生存期間の中央値は投与群で5.2年(95%CI:4.5~5.8)、非投与群で1.9年(95%CI:1.1~2.6)であった(ハザード比:0.57、95%CI:0.35~0.94)。これらは測定可能な交絡因子で調整した多変量モデルにおいても、有意なままであった。 今回、乳酸蓄積のリスクの高いCOPD患者において、メトホルミン療法は臨床的意義の不確かな、乳酸濃度のやや高値と関連していることが示された。これらのことから、著者は「メトホルミンは生存ベネフィットの観点でみると恩恵はあるが、測定不可能な交絡因子によって起こりうる影響も考えられるため、本検討の結果は慎重に解釈すべきである」としている。■「メトホルミン」関連記事eGFRが30未満は禁忌-メトホルミンの適正使用に関する Recommendation

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血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet

 30歳以上(最高95歳)の血圧値と12の心血管疾患との関連を分析した結果、どの年齢でも強い相関性が認められ、現状の高血圧治療戦略では生涯負荷が大きいことが明らかにされた。英国・Farr Institute of Health Informatics ResearchのEleni Rapsomaniki氏らが、同国プライマリ・ケア登録患者から抽出した125万例のデータを分析して報告した。著者は「今回の結果は、新たな降圧治療戦略の必要性を強調するものであり、その評価のための無作為化試験をデザインする際の有用な情報になると思われる」とまとめている。本報告は、血圧と心血管疾患との関連に関する最新の集団比較研究である。Lancet誌2014年5月31日号掲載の報告より。プライマリ・ケア登録125万例のデータを用いて分析 調査対象とした12の心血管疾患は、安定・不安定狭心症、心筋梗塞、予測していなかった冠動脈疾患死、心不全、心停止/突然死、一過性脳虚血発作、詳細不明の脳梗塞と脳卒中、くも膜下出血、脳内出血、末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤)だった。 被験者データは、1997年1月~2010年3月にCALIBER(CArdiovascular research using LInked Bespoke studies and Electronic health Records)プログラムへと、225人のプライマリ・ケア医により登録された125万例分を用いた。被験者は30歳以上で、登録時は心血管疾患がなく、約5分の1(26万5,473例)が降圧治療を受けていた。 これらのデータについて、エンドポイントを12の心血管疾患の初発とし、臨床的に測定した血圧値と12の急性・慢性心血管疾患との関連を年齢特異的に比較検討した。また、生涯リスク(最高年齢95歳まで)と、その他リスク因子補正後の30歳、60歳、80歳時における心血管疾患発症の早まりを推算した。関連が低かったのは各年齢とも90~114/60~74mmHg、J曲線関連はみられず 追跡期間中央値5.2年の間に、8万3,098件の初発心血管疾患が記録されていた。 心血管疾患リスクが最も低かったのは、各年齢群とも、収縮期血圧値90~114mmHg、拡張期血圧60~74mmHgの人で、血圧低値群ではリスクが増大するというJ曲線関連のエビデンスはみられなかった。 また高血圧の影響は、心血管疾患エンドポイントでばらつきがあり、強く明白な影響が認められる一方で、まったく影響が認められない場合もあった。 収縮期血圧高値との関連が最も強かったのは、脳内出血(リスク比:1.44、95%信頼区間[CI]:1.32~1.58)、くも膜下出血(同:1.43、1.25~1.63)、安定狭心症(同:1.41、1.36~1.46)だった。逆に最も弱かったのは、腹部大動脈瘤(同:1.08、1.00~1.17)。 拡張期血圧と収縮期血圧の影響を比較した分析では、収縮期血圧上昇の影響が大きかったのは、安定狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患だった。一方、拡張期血圧上昇の影響が大きかったのは腹部大動脈瘤であった。 脈圧の影響に関する分析では、腹部大動脈瘤だけが唯一、高値ほどアウトカムが良好となる逆相関がみられた(10mmHg上昇ごとのHR:0.91、95%CI:0.86~0.98)。なお脈圧の影響が最も強かったのは、末梢動脈疾患(HR:1.23、95%CI:1.20~1.27)だった。 高血圧症の人(血圧値140/90mmHg以上または降圧薬服用者)の30歳時における全心血管疾患発症の生涯リスクは63.3%(95%CI:62.9~63.8%)であるのに対して、正常血圧の人では46.1%(同:45.5~46.8%)だった。同年齢において高血圧は心血管疾患の発症を5.0年(95%CI:4.8~5.2年)早めることが示され、狭心症の発症が最も多かった(43%;安定狭心症22%、不安定狭心症21%)。 一方80歳時では、高血圧の影響による発症の早まりは1.6年(95%CI:1.5~1.7年)で、心不全、安定狭心症(それぞれ19%)が最も多かった。

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喫煙者では血清尿酸値が低いと肺がんになりやすい?

 血清尿酸値が低い喫煙群ではCOPDと肺がんの有病率が高かったことが英国Research Department of Primary Care and Population HealthのLaura J Horsfall氏らにより報告された。Thorax誌オンライン版2014年6月5日の掲載報告。 人間の血清中で抗酸化作用のある分子で最も数の多いものは尿酸である。今回、血清尿酸値と呼吸器疾患の有病率との間に関係があるのか、さらに喫煙状況による影響の変化も含めて調査した。 2000年1月1日~2012年12月31日の間に血清尿酸値が測定されていたコホートを「The Health Improvement Network(THIN)英国プライマリ・ケア・データベース」より抽出した。新たにCOPDと肺がんを診断する場合は診療記録の診断コードで確認した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中の対象人数は100万2,496人年であり、そのうちCOPDは3,901例、肺がんは1,015例であった。・多変量解析の結果、喫煙群において血清尿酸値と呼吸器疾患の有病率との間に強い負の相関が認められたが(p<0.001)、非喫煙群や過去に喫煙歴のあった群(現在は非喫煙)では、その関係が認められなかった。・1日に20本以上喫煙する群における肺がんで最も強い負の相関が認められ、血清尿酸値が100~250 µmol/Lの群では1万例あたり97例だったのに対し(95%CI:68~126)、438~700 µmol/Lの群では1万例あたり28例であった(95%CI:14~41)。

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職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大

 職場におけるジョブコントロールとソーシャルサポートが、うつ病、燃え尽き症候群、不眠症に相乗効果をもたらすことが、旭川医科大学の西條 泰明氏らによる調査研究の結果、明らかにされた。またその効果は、仕事の要求度による層別化後、男女間で差があることも明らかになった。この結果を踏まえて著者は、「仕事の要求度およびコントロールだけでなく、仕事のコントロールとソーシャルサポートの相乗効果も考慮することが、仕事のストレスを評価するためには必要である」とまとめている。International Archives of Occupational and Environmental Health誌オンライン版2014年5月23日号の掲載報告。 調査は、旭川市の地方公務員2,121人を対象に行われた。職業性ストレス簡易調査票(Brief Job Stress Questionnaire)を用いて、仕事の要求度、ジョブコントロール、ソーシャルサポートについて評価した。また、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いてうつ病を、マスラック・バーンアウト尺度(MBI-GS)で燃え尽き症候群を、アテネ不眠尺度(AIS)を用いて不眠症に関する評価を行った。考えられる交絡因子で補正したロジスティック回帰分析にて、うつ病、燃え尽き症候群、不眠症に関するオッズ比を求め、職場でのジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗効果指数を評価した。 主な結果は以下のとおり。・相乗効果指数は、うつ病については男性2.08(80%信頼区間[CI]:1.01~4.27)、女性1.98(同:0.67~5.89)、燃え尽き症候群についてはそれぞれ1.79(同:1.28~2.51)、2.62(同:1.07~6.40)、不眠症は1.92(同:1.22~3.02)、2.77(同:0.43~18.01)であった。・仕事の要求度が高い男性は、要求度が低い男性と比べて、うつ病、燃え尽き症候群に関してジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗的相互効果が高かった。・一方、女性は、仕事の要求度が低い場合に、要求度が高い女性と比べて、燃え尽き症候群、不眠症に関してジョブコントロールとソーシャルサポートの相乗効果が高かった。関連医療ニュース 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学 仕事と家庭の両立への悩み、女性ではうつ病リスク 厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ  担当者へのご意見箱はこちら

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未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)の長期アウトカム、保存療法が良好(コメンテーター:中川原 譲二 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(214)より-

未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)の治療については、ARUBA試験〔死亡または脳卒中リスクに関して、保存療法と介入療法とを比較することを目的とした多施設共同非盲検無作為化試験:Lancet誌オンライン版2013年11月19日号掲載〕により、短期的には保存療法のほうが介入療法よりも優れていることが明らかにされたが、保存療法の優位性は長期の比較データがなかったために不明であった。スコットランド・エディンバラ大学のRustam Al-Shahi Salman氏らが、204例について行った住民ベースの発端コホート試験の結果、保存療法の長期アウトカムは介入療法よりも良好であることが明らかにされた(JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より)。16歳以上のbAVMsの204例を最長12年間追跡 研究グループは、1999~2003年または2006~2010年にbAVMsの診断を受けた、スコットランドに住む16歳以上の患者204例について、最長12年間追跡した。血管内塞栓術、脳外科的切除または定位放射線治療の単独または複合治療が行われた介入群と、行わなかった保存群について、予後を比較した。主要アウトカムは、すべての死亡、または持続する障害〔Oxford Handicap Score(OHS)でスコア2以上が2年以上持続(スコア0=障害なし、6=死亡)〕とし、副次アウトカムは、非致死的症候性脳卒中、またはbAVMs、関連する動脈瘤、介入による死亡の複合発生率とした。主要アウトカムは保存群で0.59倍(4年間)、副次アウトカムは保存群で0.37倍(12年間) 204例中103例が積極的介入を受けていた。介入群は保存群に比べ、年齢が低く、発作症状を呈して診察を受けた割合が多く、大きなbAVMsが少ない傾向にあった。追跡期間の中央値は6.9年だった。当初4年間の主要アウトカムの発生件数は、保存群が36件に対し、介入群が39件と、保存群で低率だった(それぞれ、9.5/100人年、9.8/100人年)。保存群の介入群に対する補正後ハザード比は、0.59(95%信頼区間[CI]:0.35~0.99)だった。しかし、それ以降の発生率は同等だった。一方、副次アウトカムの発生件数は、12年間で保存群14件に対し介入群38件と、保存群で低率だった(それぞれ、1.6/100人年、3.3/100人年)。同ハザード比は、0.37(95%CI:0.19~0.72)だった。 著者らは、さらなる長期の追跡調査を行い、保存療法の利益が持続するかどうかを確認する必要があると述べている。

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統合失調症治療に園芸療法は好影響をもたらすのか

 園芸療法は、習熟したセラピストまたは医療者による助けのもと、特別な治療目標の達成または単に健康改善のために、果物、野菜、花、木などを利用するプロセスである。同療法は認知、身体的、社会的、感情的およびレクリエーションなどにおけるベネフィットを期待して、治療またはリハビリテーションプログラムとして用いられており、身体的、心理的、精神的状態を改善させるとされている。 中国人民解放軍総医院のYan Liu氏らは、統合失調症患者の5~15%は、薬物療法にもかかわらず症状の持続が認められ、望ましくない有害事象が起こる可能性もあることから、園芸療法が有意義な可能性があるとして、統合失調症または統合失調症様疾患に対する園芸療法の効果を標準治療または他の心理社会的介入とを比較し評価するためシステマティックレビューを行った。しかし、検索されたのは1件の無作為化比較試験で、同試験では、園芸療法+標準治療群のDepression Anxiety Stress Scale(DASS21)スコアの変化は、標準治療単独群に比べ大きいことが示されていたが、試験のエビデンスレベルがきわめて低く明確な結論を導くことはできなかったと報告した。結果を踏まえて著者は、「園芸療法は確立された治療ではなく、質の高いエビデンスを集積するにも、より多くの大規模無作為化試験が必要である」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年5月19日号の掲載報告。 2013年1月にCochrane Schizophrenia Group Trials Registerを検索し、代表的な試験の著者に問い合わせて補足を行い、参照リストの手作業による検索も行った。その結果、統合失調症患者に対する、園芸療法+標準治療と標準治療単独を比較する1件の無作為化比較試験(RCT)が選択された。試験の質を評価してデータを抽出し、連続アウトカムに対しては平均差(MD)、バイナリアウトカムに対してはリスク比(RR)を算出した(両者とも95%信頼区間[CI]も算出)。バイアスリスクを評価し、GRADE (Grades of Recommendation, Assessment, Development and Evaluation)アプローチを用いて、得られた成績のリストを作成した。 主な結果は以下のとおり。・1件の単盲検試験(合計24例)が選択された。・無作為化は適切であったが、試験のバイアスリスクは不明であった。・同試験では、1日1時間の園芸療法+標準治療を標準治療単独と比較していた。試験期間は長期ではなく2週間であった(連続10日間)。・レビューの結果、追跡不能は2例で、いずれも園芸療法群の症例であった(1 RCT、24例、RR:5.00、95%CI:0.27~94.34、エビデンスの質:きわめて低い)。・Personal Wellbeing Index(PWI-C)スコアの変化において、群間で明らかな差はみられなかったが、信頼区間は広かった(1 RCT、22例、MD:-0.90、95%CI:-10.35~8.55、エビデンスの質:きわめて低い)。・治療終了時における、園芸療法群のDASS21スコアの変化は、対照群に比べて大きかった(1 RCT、22例、MD:-23.70、95%CI:-35.37~-12.03、エビデンスの質:きわめて低い)。・介入に伴う有害事象の報告はなかった。・データの質がきわめて低いため、統合失調症患者に対する園芸療法のベネフィットまたは有害性に関する何らかの結論を下すには、エビデンスが不十分であった。関連医療ニュース 統合失調症に「サッカー療法」その効果は 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大  担当者へのご意見箱はこちら

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