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境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連

 Edward A. Selby氏は、境界性パーソナリティ障害(BPD)と睡眠障害の関連について、レトロスペクティブに検討を行った。その結果、BPDと睡眠障害との間に関連が認められ、両者が相互に悪影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。これまで、BPDにおける慢性睡眠障害の状況を検討した研究は少なかった。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。 睡眠と感情の制御およびストレス管理との関連を明らかにしてこれらの関係を立証することは、現在の治療の向上につながりうる。本研究で著者は、パーソナリティ障害と睡眠障害について評価しているNational Comorbidity Survey-Replication(NCS-R)Part IIの母集団(Kessler & Merikangas、2004のデータ[5,692例])を解析し、慢性睡眠障害の程度(入眠困難、睡眠維持困難、早期覚醒)と、その結果としての浅眠について検討した。 慢性的な健康の問題、Axis Iの合併症、過去1年間の自殺企図および社会人口統計学的な項目を踏まえたうえで、BPDの診断項目と症状を用いてロジスティックおよび線形回帰解析を行い、睡眠と関連する問題の予測を行った。 主な結果は以下のとおり。・BPDは、慢性の睡眠に関連する3つの問題すべてと有意に関連しており、その結果として不眠症とも関連していた。・BPDと睡眠の問題との関連の程度は、従来より示されているAxis I障害と睡眠の問題との関連の程度に匹敵するものであった。・BPDの症状は慢性の睡眠の問題と相互に作用し、社会的/感情障害、認知障害、自己管理障害に関連していることが予測された。・以上より著者は、「睡眠障害とBPD症状との間には一貫した関連がみられ、日中の浅眠につながっている。そして浅眠によりBPD症状が悪化するという悪循環が、高レベルの機能障害につながっている」とまとめ、「BPD患者の睡眠状況を日常的に評価すべきであり、慢性の睡眠問題の解決は、感情コントロールの改善、治療スキルの実施を通して治療の向上につながる可能性がある」と考察している。関連医療ニュース 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには 双極性障害の自殺予防に求められるのは・・・ 検証!統合失調症患者の睡眠状態とは

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治療抵抗性統合失調症患者の脳は、特徴的な所見を示す

 統合失調症では最大3分の1の患者が治療抵抗性を示す。ブラジル・サンパウロ連邦大学のAndre Zugman氏らは非治療抵抗性および健常対照との比較で、それら治療抵抗性患者の脳皮質厚の特徴を調べた。その結果、統合失調症では特異的所見かつ、より重症であることを示す皮質厚の特徴として、背外側前頭前皮質(DLPFC)の減少がみられたことを報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年5月27日号の掲載報告。 研究グループは、治療抵抗性統合失調症における生物学的基本過程の理解を深めることは、治療改善につながる可能性があるとして本検討を行った。治療抵抗性統合失調症(SCZ)患者、非治療抵抗性SCZ患者、健常対照の3群を設定し、それぞれの患者の構造的MRIスキャン画像データを入手し検討した。スキャン画像は皮質表面モデリング(freesurferパッケージで実施)にて解析し、皮質厚の群間差異を特定した。統計的有意差は、モンテカルロシミュレーションにて評価し、補正後p<0.01とした。 主な結果は以下のとおり。・治療抵抗性SCZ患者は、両側性に広範囲にわたる領域(前頭・頭頂・側頭・後頭)での皮質厚の減少がみられた。・非治療抵抗性SCZ患者は、2つの領域(左上前頭前皮質、左尾中前頭皮質)での皮質厚の減少がみられた。・また、治療抵抗性SCZ患者は非治療抵抗性SCZ患者と比較して、背外側前頭前皮質(DLPFC)の減少も認められた。・以上の結果を踏まえて著者は、「この脳領域の変化が、治療抵抗性のいわゆるマーカーとなりうるかを調べるべきであろう」と述べ、「この仮説を検証するため、初回エピソードから治療抵抗性SCZの診断確定までを個人追跡した前向き研究が必要である」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症の重症度・社会性の低下は、海馬体積の減少と関連 新知見!慢性期統合失調症患者では意志作用感が減退:慶応義塾大学 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

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手の手術後の複合性局所疼痛症候群(CRPS)が明らかに

 CRPSの研究は、利用可能な試験コホートにおける不均一性により難しいとされている。米国・スタンフォード大学のAlison Pepper氏らは、手の手術を受けた患者における、早期にみられる複合性局所疼痛症候群(CRPS)様症状の特色を特徴づけることを試みた。その結果、共通してみられることとして、点刺激や圧刺激、寒冷刺激に対する感度が高いことなどを明らかにした。The Journal of Pain誌2013年5月号(オンライン版2013年2月28日号)の掲載報告。 研究グループは、手の外科クリニックにおいて選択的手術とキャスト固定法を受けた43例の患者を集めた。 キャスト除去日に、患者は定量的感覚テスト(quantitative sensory testing:QST)によって、血管運動、発汗促進、栄養変化および水腫、疼痛感度について評価を受けた。疼痛強度は、キャスト除去時とさらに1ヵ月後に評価を行った。Leeds Assessment of Neuropathic Symptoms and Signs(LANSS)スケールを用いて痛みの特徴を評価した。また、皮膚生検を行い、炎症性メディエーターの発現を分析した。 主な結果は以下のとおり。・大半の患者の手術を受けた手における、血管性および栄養的変化を同定した。・概して同様に、点状、圧、寒冷の刺激に対する感度の増大が観察された。・さらに、手術を受けた側の手の皮膚において、IL-6値、TNF-α、肥満細胞マーカーのトリプターゼの上昇が認められた。・中等度から重度の疼痛は、手術を受けた側の手についてはキャスト除去後1ヵ月時点においても持続していた。・探索的解析の結果、身体、QSTと遺伝子発現の変化および疼痛関連アウトカムの間における相互関係が示唆された。・本研究は、手術とその後に固定術を受けた患者の四肢におけるCRPS様症状の特色を同定した。今回の被験者を対象としたさらなる研究は、CRPSメカニズムの理解を深め、同状態における治療に役立つ可能性がある。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる

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急性脳内出血後の降圧治療、積極的降圧vs.ガイドライン推奨/NEJM

 発症6時間以内の急性脳内出血患者に対して、1時間以内の収縮期血圧目標値<140mmHgとした積極的降圧治療と、ガイドラインで推奨されている同<180mmHgの場合を比較した、オーストラリア・シドニー大学のCraig S. Anderson氏らによるINTERACT2試験の結果が報告された。死亡および重度身体障害発生の主要転帰について、積極的降圧治療の有意な低下は示されなかったが、試験課程で脳卒中試験に認められたRankinスコアの順序尺度解析(ordinal analysis)では、機能的転帰の改善が示されたという。NEJM誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。目標<140mmHgとガイドライン推奨<180mmHgを比較 INTERACT2(Intensive Blood Pressure Reduction in Acute Cerebral Hemorrhage Trial 2)は、脳内出血患者への早期の積極的降圧治療の有効性と安全性を評価することを目的に、2008年10月~2012年8月に21ヵ国144病院から被験者を募り行われた国際多施設共同前向き無作為化非盲検試験だった。 被験者は、発症6時間以内の脳内出血患者は2,839例(平均年齢63.5歳、男性62.9%)で、無作為に、積極的降圧治療を受ける群(1時間以内の収縮期血圧目標値<140mmHg、1,403例)またはガイドライン推奨治療(1時間以内の収縮期血圧目標値<180mmHg、1,436例)に割り付けられた。使用する降圧治療は医師の選択にて行われた。 主要転帰は90日時点での、修正Rankinスケールのスコア3~6で定義される死亡(スコア6)または重大な身体障害(スコア5)とした。また、修正Rankinスコアの事前規定順序尺度解析も行い副次アウトカムとして評価した(スコア0~6の全7段階の身体的機能評価)。その他に重度有害事象イベントの発生率について両群間で比較した。順序解析で積極的降圧治療による機能的転帰の改善が示される 主要転帰の判定を受けたのは2,794例だった。<140mmHg群での主要転帰発生は、719/1,382例(52.0%)、ガイドライン推奨治療群は785/1,412例(55.6%)で、<140mmHg群のオッズ比は0.87(95%信頼区間[CI]:0.75~1.01、p=0.06)で有意差はみられなかった。 一方で、順序解析の結果、修正Rankinスコアの低下は、<140mmHg群が有意であった(より重大な障害に関するオッズ比:0.87、95%CI:0.77~1.00、p=0.04)。 死亡率は、<140mmHg群11.9%、ガイドライン推奨治療群12.0%だった(p=0.96)。 また、非致死的重大有害事象の発生は、それぞれ23.3%、23.6%だった(p=0.92)。 これらの結果から著者は、「積極的降圧治療は、主要転帰を有意に減少しなかった。修正Rankinスコアによる順序解析では、積極的降圧治療による機能的転帰の改善が示された」と結論している。

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NSAIDsは血管・消化管イベントリスクを増大、心不全は約2倍に/Lancet

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与により、血管・消化管イベントリスクは増大することが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のColin Baigent氏らCoxib and traditional NSAID Trialists’(CNT)共同研究グループが、メタ解析の結果、報告した。これまでCOX-2選択的阻害薬や従来型NSAIDs(tNSAIDs)を含むNSAIDsの血管・消化管への影響は、とくに血管疾患を有する患者において明らかではなかった。Lancet誌2013年5月30日号掲載の報告より。合計754件のプラセボ対照試験とNSAIDs間比較試験についてメタ解析 研究グループは、NSAIDsとプラセボについて行った無作為化プラセボ対照比較試験280件(被験者総数12万4,513例)と、NSAIDs間(1種類対その他種類)について行った無作為化比較試験474件(同22万9,296例)について、メタ解析を行い、NSAIDsの血管・消化管イベントリスクへの影響について分析した。 主要アウトカムは、重大血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致的死脳卒中、血管死)、重大冠動脈イベント(非致死的心筋梗塞または冠動脈死)、脳卒中、死亡、心不全、上部消化管合併症(穿孔、閉塞、出血)とした。ナプロキセンは重大血管イベントが増加せず 解析の結果、重大血管イベント発生率は、プラセボとの比較で、COX-2とジクロフェナクで3割増しと増大が大きく、率比はそれぞれ1.37(95%信頼区間[CI]:1.14~1.66、p=0.0009)と1.41(同:1.12~1.78、p=0.0036)だった。同リスクの増加は主に、重大冠動脈イベントリスクの増大によるもので、COX-2とジクロフェナクの同イベント率比は1.76(p=0.0001)と1.70(p=0.0032)だった。 プラセボとの比較で、COX-2とジクロフェナクに割り付けられた被験者1,000例のうち、年間で3例以上が重大血管イベントを発症し、うち1例は致死的であった。 イブプロフェンは、重大冠動脈イベントの発生リスクは有意に増大したが(率比:2.22、95%CI:1.10~4.48、p=0.0253)、重大血管イベント発生リスクは有意な増大は認められなかった(同:1.44、95%CI:0.89~2.33)。ナプロキセンも、重大血管イベント発生リスクについて、有意な増大はみられなかった(同:0.93、0.69~1.27)。 血管死リスクは、COX-2(率比1.58、99%CI:1.00~2.49、p=0.0103)とジクロフェナク(同:1.65、0.95~2.85、p=0.0187)で有意な増大がみられた。イブプロフェンでは有意差はみられず(同:1.90、0.56~6.41、p=0.17)、ナプロキセンでは、同リスクが増大しなかった(同:1.08、0.48~2.47、p=0.80)。 なお、重大血管イベントへの影響の割合は、ベースラインでの特性(血管リスクを含む)とは関連していなかった。 心不全発症リスクについては、すべてのNSAIDsでおよそ2倍に増大した。 またすべてのNSAIDsで、上部消化管合併症リスクの増大がみられた。各率比はそれぞれCOX-2が1.81(p=0.0070)、ジクロフェナク1.89(p=0.0106)、イブプロフェン3.97(p<0.0001)、ナプロキセン4.22(p<0.0001)だった。 著者は「高用量のジクロフェナクとおそらくイブプロフェンは、COX-2と比べて血管リスクが高いこと、一方で高用量ナプロキセンはその他のNSAIDsと比べて血管リスクは低いことが示された。NSAIDsは血管・消化管イベントリスクを増大する。しかしそのリスクの大きさは予測可能であり、臨床意思決定に役立つだろう」と報告をまとめている。

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アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか?

 アミロイドβ(Aβ)堆積はアルツハイマー病の特徴の1つである。Vincent Dore氏らは、アルツハイマー病患者と健常高齢者を対象とした断面研究および長期追跡の解析から、Aβが同疾患ステージの早期で認知障害を呈する前から灰白質萎縮を加速することを明らかにした。また海馬、後帯状、楔前部領域での萎縮の速度が速いことも明らかにした。得られた所見を踏まえて著者は、「早期ステージで抗Aβ治療を行うことは高い効果を得られる見込みが高いという考え方を支持するものである」と報告している。JAMA Neurology誌オンライン版2013年5月27日号の掲載報告。 アルツハイマー病発症前の段階で、個人のリスクを同定することは、不可逆的なシナプスやニューロンの損失が起きる前に早期の治療介入が可能となるため、興味深い重大研究である。そこでDore氏らは、PiB-PET(Pittsburgh compound B positron emission tomography)検査にてアルツハイマー病の病理学的評価を行った無症候性の被験者を対象に、Aβ堆積と灰白質萎縮および認知障害との関連を調べた。 被験者は、オーストラリア・メルボルンのオースティン病院で集められたAustralian Imaging, Biomarkers, and Lifestyle Study of Agingのコホートからアルツハイマー病患者40例と、対照の健常高齢者93例で、全員が神経心理学的評価とMRIおよびPiB-PET検査を受けた。また、対照群のうち54例は、18ヵ月後と36ヵ月後に再度の神経心理学的評価を受けた。主要評価項目は、皮質表面で行った局所解析による、皮質厚とPiB蓄積、エピソード記憶との関連であった。 主な結果は以下のとおり。・対照のPiB蓄積陰性(NC-)群と比較して、対照のPiB蓄積陽性(NC+)群では、楔前部領域と海馬において皮質厚の有意な減少がみられ、エピソード記憶との関連が認められた。・また皮質厚は、NC+群の新皮質PiB蓄積と負の相関がみられた。・長期解析の結果、NC+群の側頭葉と海馬における灰白質萎縮がより速いことが示された。灰白質萎縮は、NC+群では時間とともに、とくに側頭葉における拡大が認められた。・以上のように、無症候性被験者において、Aβ堆積が灰白質萎縮および記憶障害と関連していることが明らかになった。・また灰白質萎縮の早期徴候が、海馬と後帯状、楔前部領域で検出された。さらに、疾患の進行とともに灰白質萎縮は側頭葉で拡大していった。・これらの所見は、Aβ堆積は良好なプロセスではなく、早期ステージでの抗Aβ治療による介入は効果的となる見込みが高いとの考え方を支持するものであった。関連医療ニュース 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か? Aβ沈着は認知機能にどのような影響を与えるか 入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学

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妊娠初期のヨウ素欠乏、出生児の低い言語・読解力と関連/Lancet

 英国・サリー大学のSarah C Bath氏らは、母体の妊娠初期の尿中ヨウ素量と、出生児の8歳時の知能指数(IQ)および9歳時の読解力との関連を調べた結果、150μg/g未満群は同量以上群と比べて、出生児のIQなどが低いことを明らかにした。甲状腺ホルモンの構成成分であるヨウ素は、胎児の発育に欠かせないもので、英国では長い間、母体のヨウ素量は充足していると考えられていた。しかし近年、軽度に欠乏している可能性を示唆するエビデンスが増えていたという。今回の結果を踏まえて著者は「英国の妊産婦のヨウ素欠乏について、注意を要する重大な公衆衛生問題として対策を行う必要がある」と提言している。Lancet誌オンライン版2013年5月22日号掲載の報告より。妊娠第一期の母体ヨウ素状態と出生児の8歳時IQおよび9歳時読解力の関連を検討 本検討は、イングランド南西部のエイボン地方で1991年4月1日~1992年12月31日に出産予定があった母子を対象としたAvon Longitudinal Study of Parents and Children の参加者コホート(ALSPAC、妊婦1万4,541人、出生児1万3,988人が登録)を対象とした。そのうち妊娠第一期(≦13週と定義、中央値10週、IQR:9~12)の尿サンプルと出生児のIQのデータ(8歳時)が入手できた1,040例を解析対象として特定した。 WHO基準に即して、ヨウ素/クレアチニン比150μg/g未満(妊娠中のヨウ素欠乏)群と150μg/g以上(同ヨウ素充足)群に分類し、母体のヨウ素状態と出生児の8歳時のIQおよび9歳時の読解力との関連を評価した。評価は、21の社会経済学的および両親、子どもに関する交絡因子を考慮して行った。欠乏群は充足群と比べ言語性IQ、正確に読む力、読んで理解する力が低い(1.54~1.69倍) 解析対象1,040例のうち、77例は尿中ヨウ素濃度500μg/L以上であり、分類解析から除外した。残る958例は、ヨウ素欠乏群646例、ヨウ素充足群312例に分類され、尿中ヨウ素濃度中央値は91.1μg/L(IQR:53.8~143)、ヨウ素/クレアチニン比は110μg/g(同:74~170)で、全体的に軽度~中等度のヨウ素欠乏状態であることが示された。 交絡因子で調整後、ヨウ素欠乏群の子どもはヨウ素充足群の子どもよりも、言語性IQ(オッズ比:1.58、95%信頼区間[CI]:1.09~2.30、p=0.02)、正確に読む力(同:1.69、1.15~2.49、p=0.007)、読んで理解する力(同:1.54、1.06~2.23、p=0.02)について最低四分位範囲のスコアを有する傾向が認められた。 さらにヨウ素欠乏群を再分類した結果、150μg/g以上群と比べて、50~150μg/g群、50μg/g未満と数値が下がるほどスコアが悪かった。

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統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター

 統合失調症患者に対し抗精神病薬は、単剤かつ適切な用量で使用されるべきである。国立精神・神経医療研究センターの藤田 純一氏らは、抗精神病薬を必要に応じて追加すること(p.r.n)で、過量投与(CP換算値1,000mg以上)や多剤併用リスクを増加させるかを検討した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年5月28日号の報告。 対象は、統合失調症患者413例(9病院、17の精神科急性期病棟より抽出)。調査日の24時間にわたる、定期処方の投薬データとp.r.nの使用データを回収した。分析には興奮を呈する患者におけるp.r.nに焦点を当てた。p.r.n前後(定期処方の投薬時 vs 追加投与時)での過量投与、多剤併用の比率の差を検討した。分析には、McNemar's testを用いた。 主な結果は以下のとおり。・興奮症状発現時、312例(75.5%)において、追加投与が行われた。そのうち、281例(90.1%)では、抗精神病薬が併用されていた。・抗精神病薬を追加投与した患者では、しなかった患者と比較し、総投与量が有意に多くまた併用率もより高かった。・興奮症状発現時における、併用薬を含む抗精神病薬の合計投与量は過量投与であり、かつ多剤併用であることが示された。関連医療ニュース 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待! 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は

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検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク

 南オーストラリア大学のNicole Pratt氏らは、AsPEN (Asian Pharmacoepidemiology Network)の一環として、抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスクを評価した。本研究では、日本を含む世界各国約2億人のデータを用いた。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2013年5月21日号の掲載報告。 Pratt氏らは、抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスクを検討することを目的に多国間研究を行った。一般的かつ小規模のデータセットを用いて、prescription sequence symmetry analysis(PSSA)により、抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスクを評価した。緊急のインスリン処方を急性高血糖症の代替指標とした。データセットへの参加国および人数は、オーストラリア(30万人)、日本I(30万人)、日本II(20万人)、韓国(5,300万人)、台湾(100万人)、スウェーデン(900万人)、USA-Public(8,700万人)、USA-Private(4,700万人)であった。 主な結果は以下のとおり。・大半のデータベースで、オランザピンにより急性高血糖症のリスクが高まる傾向がみられた。USA-Public(Adjusted sequence ratio[ASR]: 1.14、95%CI:1.10~1.17)およびスウェーデン(ASR: 1.53、95%CI:1.13~2.06)のデータベースでは有意差が認められた。・ハロペリドール、クエチアピンおよびリスペリドンに関しては、急性高血糖症のリスクと関連なし、あるいは負の関連が認められた。・急性高血糖症はオランザピンの使用と関連していると思われるが、その影響は2つの大きなデータベースで確認されたにとどまった。・各抗精神病薬に関するPSSAの解析結果は、抗精神病薬、インスリンともに使用パターンはさまざまであったが、大半の国で質的には同程度であった。・PSSAと既存の方法との組み合わせは、多国間薬剤安全性モニタリングをさらにサポートする簡便かつタイムリーな方法になりうる可能性がある。関連医療ニュース 第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・ 薬剤誘発性高プロラクチン血症への対処は? 第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学

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アレルギーのフェノタイプがCOPDに及ぼす影響は?

 COPDと喘息は、いずれも種々の外来因子(アレルゲン、喫煙など)に肺組織が反応する病態である。オランダ仮説のように、これら2つの疾患は気道組織の傷害に対する感受性が亢進し、気道リモデリングが起こりやすいという共通病態に基づいた症候群であり、両疾患は単に表現型の違いを見ているにすぎないとする考え方もある。 このような背景の中、米国のジョンズ・ホプキンス大学Daniel B. Jamieson氏らにより、COPDとアレルギーのフェノタイプ(表現型)がどのように関係しているかについて研究が行われた。American journal of respiratory and critical care medicine誌オンライン版2013年5月13日号の掲載報告。 本研究はNHANES III(国民健康栄養調査)とCODE(COPD・国内エンドトキシン コホート)の2つを分析したものである。NHANES III からは、40歳超で喫煙歴があり、FEV1/FVCが70%未満かつ喘息と診断されていないCOPD患者1,381例が選ばれた。医師による花粉症、もしくはアレルギー性の上気道症状の診断を受けた患者について、アレルギーのフェノタイプありと定義した。CODEでは、喫煙歴を有するCOPD患者77例を抽出し、通年性のアレルゲンに対する特異的IgE反応検査によりアレルギー感作を評価した。アレルギーのフェノタイプが呼吸器症状やCOPD増悪と関係しているかの評価には、二変量解析または多変量解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・NHANES IIIの多変量解析の結果、アレルギーのフェノタイプを有する患者(296例)では、喘鳴、慢性的な咳、慢性的な喀痰が有意に多く(それぞれ、オッズ比[OR]:2.1, p<0.01、OR:1.9, p=0.01、OR:1.5, p<0.05)、医師の迅速な処置を要するCOPD増悪のリスクも有意に高かった(OR:1.7, p=0.04)・CODEの多変量解析の結果、アレルギー感作を有する患者は喘鳴、咳による夜間の目覚め、医師の迅速な訪問が有意に多く(それぞれ、OR:5.91, p<0.01、OR:4.20, p=0.03、OR:11.05, p<0.01)、抗菌薬を必要とするCOPD増悪のリスクも有意に高かった(OR:3.79, p=0.02) このように、COPD患者では、アレルギーのフェノタイプが呼吸器症状の悪化やCOPD増悪のリスクと関連していることが示唆された。

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dupilumab、好酸球数増多を伴う喘息患者の増悪を抑制/NEJM

 新たな抗体医薬dupilumabは、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2刺激薬(LABA)でコントロール不十分な好酸球増多を伴う中等症~重症の持続型喘息患者の治療において、これらの併用薬を中止後もプラセボに比べ増悪を高度に抑制することが、米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らの検討で示された。dupilumabはインターロイキン(IL)-4受容体のαサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT(Th2)細胞経路の主要なサイトカインであるIL-4およびIL-13双方のシグナル伝達を遮断することから、Th2細胞経路関連疾患の治療薬としての評価が進められている。本報告は第109回米国胸部学会(ATS、5月17~22日、フィラデルフィア)で発表され、NEJM誌オンライン版2013年5月21日号に掲載された。増悪抑制効果をプラセボ対照無作為化第IIA相試験で評価 研究グループは、好酸球増多を伴う中等症~重症の持続型喘息患者に対するdupilumabの有効性および安全性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第IIa相試験を実施した。 対象は、18~65歳、中~高用量の吸入ステロイド薬(フルチカゾン)+LABA(サルメテロール)でコントロールが不十分な、血中好酸球数≧300/μLまたは喀痰中好酸球濃度≧3%の中等症~重症の持続型喘息患者。これらの患者が、dupilumab群(300mg)またはプラセボを週1回皮下投与する群に無作為に割り付けられ、12週の治療が行われた。 割り付けから4週後にLABAを中止、6週後から3週をかけて吸入ステロイド薬を漸減して9週目に中止し、以降はdupilumabのみを12週目まで投与した。 主要評価項目は喘息の増悪、副次的評価項目は喘息コントロールの指標とし、Th2細胞関連バイオマーカーや安全性についても検討を行った増悪を87%抑制、FEV1、起床時PEF、ACQ5スコアも改善 2011年3月~2012年10月までに米国の28施設から104例が登録され、dupilumab群に52例(平均年齢37.8歳、男性50%、喘息罹患期間24.2年、過去2年間の平均喘息増悪回数1.4回、血中好酸球数0.55×10-9/L)、プラセボ群にも52例[41.6歳、50%、26.9年、1.4回、0.47×10-9/L(p=0.04)]が割り付けられた。 喘息増悪の発症率はdupilumab群が6%(3/52例)と、プラセボ群の44%(23/52例)に比べ有意に低下した(オッズ比[OR]:0.08、95%信頼区間[CI]:0.02~0.28、p<0.001)。これは、dupilumabにより増悪のリスクが87%抑制されたことを意味するという。増悪による入院例は両群ともにみられなかった。 増悪までの期間はdupilumab群がプラセボ群に比べ延長し、Kaplan-Meier解析による12週時の増悪率はdupilumab群が有意に良好だった(0.06 vs 0.46、OR:0.10、95%CI:0.03~0.34、p<0.001)。すべての副次的評価項目がdupilumab群で良好で、ベースラインから12週までの1秒量(FEV1)の変化(p<0.001)のほか、起床時最大呼気流量(PEF)(p=0.005)、5項目からなる喘息コントロール質問票(ACQ5)スコア(p=0.001)などには有意差が認められた。 12週後の呼気中一酸化窒素濃度(FENO)、TARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)、eotaxin-3(CCL26)、IgEは、いずれもdupilumab群がプラセボ群よりも有意に低下した(すべてp<0.001)。YKL-40、がん胎児性抗原(CEA)には有意差はみられなかった。 治療関連有害事象の発現率はdupilumab群が81%、プラセボ群は77%であった。このうち重篤な有害事象はそれぞれ2%、6%、有害事象による治療中止は6%、6%だった。dupilumab群で多い有害事象として、注射部位反応(29 vs 10%)、鼻咽頭炎(13 vs 4%)、悪心(8 vs 2%)、頭痛(12 vs 6%)などが確認された。 著者は、「吸入ステロイド薬+LABA投与中の好酸球数増多を伴う中等症~重症の持続型喘息患者の治療において、dupilumabはこれらの併用薬を中止後もプラセボに比べ増悪を高度に抑制し、Th2細胞関連炎症マーカーを低下させた」と結論している。

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うつ病や不安障害患者は、季節性の症状変化を実感!

 うつ病や不安障害患者は健常人に比べて季節性の変化を実感しやすく、とくに冬期に“気分の落ち込み”を感じる割合が多いことが、オランダ・フローニンゲン大学のWim H. Winthorst氏らによる調査の結果、明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「医師は、季節が患者の健康 状態に影響を及ぼしうることを考慮に入れるべきである」と結論している。一般集団および精神疾患患者を問わず、気分や行動の季節的な変化は一般的と考えられている。しかしこれまでの研究では、この季節性があまり考慮されていない可能性があることから、Winthorst氏らは、気分や行動の季節性に焦点を絞った検討を行った。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年5月21日号の掲載報告。 本研究では、うつ病患者(D)、不安障害患者(A)、うつ病と不安障害を併存している患者(DA)、健常対照(HC)について、本人の訴えによるうつ症状の季節性を検討した。オランダうつ病・不安障害患者研究(Netherlands Study of Depression and Anxiety:NESDA)に参加した2,168例について、国際比較診断用構造化面接(CIDI)によりDSM-IV分類に基づく診断を行った。気分および行動の変化は、Seasonal Pattern Assessment Questionnaire(SPAQ)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・2,168例のうち、53.5%が気分の季節性を報告した。・「気分の落ち込み」の割合が最も高かったのは冬期であった。・このパターンはすべての群でみられたが、D群、A群およびDA群では有意に季節性を実感しやすかった(p<0.001)。・活力、社会活動、睡眠、食欲、体重およびGlobal Seasonality Scoreにおいても、季節性の変化が認められた。・気分と行動の季節性変化はすべての群で認められたが、不安障害やうつ病(両方またはどちらかの)患者は、より季節性変化を実感しやすいことが示された。・なお本研究は、横断研究デザインという点で限界があった。関連医療ニュース ・低緯度地域では発揚気質が増強される可能性あり:大分大学 ・空中浮遊微粒子濃度は自殺企図・統合失調症増悪に影響を及ぼす ・うつ病治療にビタミンD投与は有用か?

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低用量デキサメタゾンの予防的投与はTKAの術後悪心・嘔吐および疼痛軽減に有効

 デキサメタゾン(商品名:デカドロンほか)は強力な鎮痛薬であり、かつ制吐薬である。人工膝関節置換術(TKA)後のデキサメタゾン投与の利点は不明であったが、韓国・カトリック大学校議政府聖母病院のIn Jun Koh氏らは無作為化試験にて、ラモセトロン(同:ナゼアほか)単独投与に比べ、ラモセトロン+デキサメタゾンの予防的投与のほうが、創傷合併症のリスクが増加することなく術後嘔吐および疼痛が減少することを明らかにした。Clinical Orthopaedics and Related Research誌オンライン版2013年5月4日号の掲載報告。 本研究の目的は、ラモセトロン+デキサメタゾンの予防的投与がラモセトロン単独投与と比較して、術後悪心・嘔吐(PONV)ならびに術後疼痛を減少させ、TKA後の創傷合併症のリスクを増加させるかどうかを評価することであった。 TKA施行予定患者269例を、手術1時間前にデキサメタゾン10mgを投与し手術直後にラモセトロンを投与する群(Dexa-Ra群、135例)と、ラモセトロン単独投与群(Ra群、134例)に無作為化し、術後0~6時間、6~24時間、24~48時間および48~72時間におけるPONV発生率、悪心の重症度、制吐薬の要求頻度、完全抑制率、疼痛の程度およびオピオイド使用量を調べた。  また、術後少なくとも1年以内に、創傷合併症および人工関節術後感染について評価した。 主な結果は以下のとおり。・Dexa-Ra群では、術後72時間までのPONV発生率が低かった。また、術後0~6時間における悪心の重症度が低かったが、6~72時間においてはそうではなかった。・概して制吐薬のレスキュー使用は少なく、完全抑制率はDexa-Ra群で高かった。・Dexa-Ra群は疼痛の程度が低く、術後6~24時間および全期間を通してオピオイド使用量が少なかった。・両群間で創傷合併症の頻度に差はなかった。人工関節周囲感染症は各群1例ずつにみられた。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

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日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発

 産後うつ病(PPD)は世界中でみられ、日本においては出産後1ヵ月間で約20%の母親が経験している。そこで、一次予防のために、妊娠中および出産後早期にリスクを特定するスクリーニング法が必要とされていた。東京大学の池田 真理氏らは、日本語版・産後うつ病予測尺度「Japanese version of the Postpartum Depression Predictors Inventory-Revised(PDPI-R-J)」を開発し、その予測妥当性を検証した。BMC Pregnancy and Childbirth誌オンライン版2013年5月14日号の掲載報告。 PDPI-R-Jの開発と、妥当性の検証(妊娠中と出産後1ヵ月におけるその予測妥当性)は、次のような方法にて行われた。 評価項目を開発するために、2人のバイリンガル翻訳者が、PDPI-Rを日本語に翻訳した。その後、翻訳をフィードバックし、オリジナル開発者とディスカッションを行い、語意の同等性を確認した。そのようにして開発したPDPI-R-Jについて、前向きにデザインしたコホートに適用し妥当性を検証する試験を行った。被験者は妊娠8ヵ月の妊婦84例であった。このうち76例が、出産後1ヵ月のPDPI-R-J評価も完了した。被験者は出産後1ヵ月時点で、軽度あるいは重度のうつ病が認められるか、精神疾患簡易構造化面接法(MINI)を用いて診断された。この結果をROC曲線に描出し、PDPI-R-Jの予測能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・出産後1ヵ月間にPDPI-R-J評価を完了した76例のうち、PPD診断基準に該当したのは16例(21%)であった。・妊娠中に行われたPDPI-R-J出産前版による、PPD予測は62.8%(95%CI:0.48~0.77)であった。出産後1ヵ月間に行われたPDPI-R-J出産後版による、同予測は82.0%(同:0.71~0.93)であった。・カットオフ値は、出産前版は5.5、出産後版は7.5であった。・新生児期に関する項目を含むPDPI-R-J出産後版は、PPDの予測妥当性を増大した(0.67~0.82)。・PDPI-R-Jの利用がある被験者からのコメントとして、「PDPI-R-Jの利用によって、うつ病の病歴やリスクについて研究者とオープンに語り合う機会が増えた」とあった。・以上から、著者は「PDPI-R-JはPPD予測に有用かつ有効なスクリーニングツールであることが明らかとなった。また、PPDには出産と新生児関連の因子が反映している可能性があり、出産前と出産後の両方のバージョンを連続的に適用することが必要である」と結論している。関連医療ニュース ・日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき ・抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮 ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける?

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神経障害性疼痛は過少治療もしくは未治療である可能性が高い

 神経障害性疼痛の有病率は、痛みの特徴から神経障害性疼痛の可能性を判断するスクリーニングツールを用いた研究によって推定されているが、激しいあるいは長期にわたる神経障害性疼痛を経験している患者の割合や標準治療に抵抗性の難治性疼痛患者の割合は知られていない。英国・ダンディー大学のNicola Torrance氏らは、地域の家庭医に登録している患者を対象にアンケート調査を行い、慢性疼痛を有する患者は非常に多く、難治性の神経障害性疼痛はまれであるものの、神経障害性疼痛は過少治療もしくは未治療である可能性が高いことを明らかにした。Pain誌2013年5月号(オンライン版2013年1月23日)の掲載報告。 本研究は、難治性疼痛患者における神経障害性疼痛の割合を推定し、臨床および人口統計学的特徴との関連を定量化することが目的であった。 英国5地域の一般診療所計10施設から、無作為に選択した成人患者1万例を対象に自己記入式質問票を送付した。質問内容は、慢性疼痛の同定や重症度に関する質問、痛みの原因、SF-12、EQ-5D、S-LANSS(Self-administered Leeds Assessment of Neuropathic Signs and Symptoms)、PSEQ(Pain Self-Efficacy Questionnaire)、薬物治療および医療の利用についてなどであった。 さらに、国際的な専門家のデルファイ調査によって確認されている特徴にしたがって“難治性”神経障害性疼痛の存在と特徴を調べ、これらのデータを組み合わせた。また、難治性の基準を組み入れ、神経障害性の特徴の有無による慢性疼痛のカテゴリ分類を行った。 主な結果は以下のとおり。・4,451例から回答があった(回答率47%)。・「神経障害性疼痛の特徴を有する慢性疼痛(S-LANSS陽性)」に該当した患者は399例(回答者の8.9%)で、そのうち215人(S-LANSS陽性者の53.9%)は「S-LANSS陽性+関連した既往歴あり(神経障害性疼痛の可能性が高い)」であった。・98例(慢性疼痛があると回答した患者の4.5%)は、1剤以上の神経障害性疼痛治療薬を服薬していた(神経障害性疼痛の治療を受けていると考えられる)。 ・難治性患者の大部分は、身体的健康および精神的健康が著しく不良で、痛みに対する自己効力感が低く、痛みの程度が強く、痛みに関連した障害が強く、さらに医療の利用が多かった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる

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統合失調症に「サッカー療法」その効果は?

 イタリア・パレルモ大学のGiuseppe Battaglia氏らは、精神疾患を有する患者について、QOLとスポーツパフォーマンス(SP)における“サッカープラクティス”の効果を調べる無作為化介入試験を行った。その結果、サッカーで身体を動かす介入プログラムが、統合失調症患者における抗精神病薬関連の体重増加を抑制することや、自己申告の健康関連の生活の質(SRHQL)やSPを改善可能であることが示されたと報告した。身体活動は誰にとっても健康のために重要であるが、とりわけ生活習慣が不健全となりがちな精神疾患を有する患者にとって重要である。研究グループは近年、重度の精神疾患患者の健康面を改善する手段としてサッカーに注目が集まっていることから本検討を行ったという。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2013年5月号(オンライン版2013年5月3日号)の掲載報告。 試験は、統合失調症とした診断された男性患者18例を対象とした。研究グループは被験者を無作為に、12週間にわたる週2回のサーカートレーニングセッションを受けるトレーニング介入群と、試験期間中にとくに定期的なスポーツ活動を行わない対照群に割り付け、試験期間前後に、身体測定、SRHQL、30m走の記録、ドリブルのスラロームテストを行い評価した。SRHQLは、SF-12質問票の身体・精神的スコアにて評価した。 主な結果は以下のとおり。・トレーニング期間終了後、介入群は体重とBMIがベースライン時より4.6%減少した。・一方で、対照群はベースラインから試験終了までに、体重、BMIが1.8%増大した。12週間後に、対照群は介入群と比較して体重が有意に増大したことが認められた(Δ=5.4%、p<0.05)。・トレーニング期間終了後、介入群のSF-12質問票スコアはベースラインと比べて、身体的領域については10.5%、精神的領域は10.8%改善したことが認められた。また、30m走とドリブルスラロームテストの記録も、対照群と比較した場合、ベースラインから介入後に有意な改善が認められた。・“サッカープラクティス”は、統合失調症患者の身体面および精神面の健康を改善することが示唆された。関連医療ニュース ・統合失調症患者とタバコ、どのような影響を及ぼすのか? ・この25年間で統合失調症患者の治療や生活環境はどう変わったのか? ・うつ病治療に「チューインガム」が良い!?

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ICDのVT検出インターバル、長期vs.標準設定/JAMA

 植込み型除細動器(ICD)について、心室不整脈(VT)検出インターバルを30~40に設定すると、標準設定の18~24と比べ、ATPやショック発生リスク、不適切なショック発生リスクのいずれもが、有意に減少することが明らかになった。一方で、死亡率については両者で有意差はなかった。イタリア・Humanitas Clinical and Research CenterのMaurizio Gasparini氏らによる無作為化単盲検試験「ADVANCE III」の結果で、著者は、「標準設定よりも長期インターバルの設定とする戦略は、適正な選択肢となりうる可能性がある」と結論している。JAMA誌2013年5月8日号掲載の報告より。ATPとショックの発生回数を主要エンドポイントに Gasparini氏らは2008~2010年にかけて、虚血性・非虚血性病因により、一次・二次予防を目的にICDを初めて装着した1,902例について、無作為化単盲検試験を開始した。一方の群(長期インターバル群:948例)は、突発性fast VTが発生した際、ICDのVT検出インターバルを30~40とし、もう一方の群(標準インターバル群:954例)は、同インターバルを18~24に設定した。 被験者の平均年齢は65歳(標準偏差:11)、一次予防のためにICDを装着した人は全体の75%だった。 主要エンドポイントは、抗頻拍ペーシング(ATP)とショックの発生回数とし、不適切なショック数、死亡率、失神発生率を副次エンドポイントとした。ATP/ショック発生リスクは長期インターバル群でおよそ4割減 追跡期間の中央値は12ヵ月だった。標準インターバル群では、ATPまたはショックの回数は557回(67回/100人・年、95%信頼区間:62~73)だったのに対し、長期インターバル群は346回(42回/100人・年、同:38~47)であり、発生率比は0.63(同:0.51~0.78、p<0.001)だった。 ATP回数は、標準インターバル群37回/100人・年に対し、長期インターバル群では23回/100人・年であり、罹患率比は0.58(同:0.47~0.72、p<0.001)だった。 また、ショック数は、標準インターバル群30回/100人・年、長期インターバル群19回/100人・年であり、発生率比は0.77(同:0.59~1.01、p=0.06)だった。 不適切なショックの初回発生リスクについては、長期インターバル群の標準インターバル群に対する発生率比は0.55(p=0.008)とおよそ半減した。 一方、死亡率と失神発生率については、いずれも両群で有意差はみられなかった。

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高齢の遅発統合失調症患者に対する漢方薬の効果は?

 統合失調症の発症年齢には個人差があるが、遅発性および超遅発性の統合失調症に関する研究は不十分であり、治療のさまざまな問題点は未解決のままである。島根大学の宮岡 剛氏らは、認知機能障害のない超遅発性統合失調症様精神障害の高齢患者に対する抑肝散(TJ-54)単独療法の有効性と安全性を評価した。Phytomedicine : international journal of phytotherapy and phytopharmacology誌2013年5月15日号の報告。 本試験は、最近の超遅発性統合失調症様精神病のコンセンサス基準およびDSM-IV-TR診断基準の両方を満たす患者(平均年齢73.1±4.8歳)40例を対象としたオープンラベル試験。簡易精神症状評価尺度、臨床全般印象重症度(CGI-SI)、PANSSについて、ベースライン時と抑肝散(2.5~7.5g/日)投与4週間後のスコアの変化量を評価した。加えて、異常不随意運動は、Scale Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度、Barnesアカシジア尺度、異常不随意運動評価尺度(AIMS)にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者において、精神症状の有意に高い改善が認められた(p<0.001)。・抑肝散の忍容性は良好であり、臨床的に有意な有害事象は認められなかった。・すべての異常な不随意運動に関するスコアは、抑肝散の投与前後で有意な差は認められなかった。・超遅発性統合失調症様精神病患者に対する抑肝散による治療は、有用かつ安全であることが示された。関連医療ニュース 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか? 統合失調症患者の社会的認知機能改善に期待「オキシトシン」

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高齢糖尿病患者の転倒予防に!TVゲームでエクササイズ

 テレビゲームを用いたバーチャルリアリティ・エクササイズ(VRE)プログラムは、2型糖尿病の高齢者における転倒リスクの減少に、実行可能かつ効果的であることが、韓国・三育保健大学 Sunwoo Lee氏らの研究で明らかになった。VREプログラムは、転倒リスクの高い高齢糖尿病患者をゲームに没頭させることで、エクササイズの効果を最大限に引き出し、バランス、いすから立ち上がる時間、歩行スピード、歩調、転倒回数を有意に改善させるという。Diabetes Technology & Therapeutics誌オンライン版2013年4月5日号の報告。 高齢者の糖尿病は、転倒リスクの上昇と関連があると報告されている。 本研究では、VREプログラムが糖尿病の高齢者のバランス、筋力、歩行の改善に効果があるかどうかを調査した。 65歳以上の糖尿病患者55例をVRE群(27例)と対照群(28例)に無作為に割り付け、VRE群はVREプログラムと糖尿病教育、対照群は糖尿病教育のみを受けた。VREプログラムは、テレビゲームを使用し(PlayStation®2、ソニー、東京、日本)、50分間ずつ、週2回、10週間行った。バランス、筋力、歩行、転倒に対する影響は、試験開始時と試験後に測定した。測定には、片足立ちテスト、Berg Balance Scaleによるバランス能力評価、FRT(Functional Reach test)、TUG(Timed Up-and-Go)、10 回いす立ち上がりテストなどの臨床検査、および歩行分析を用いた。転倒に対する影響を調査するために、自記式アンケートを使用した。 その結果、VRE群は対照群と比較し、バランス、いすから立ち上がる時間、歩行スピード、歩調、転倒回数が有意に改善した。

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初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は

 抗精神病薬による治療歴のない統合失調症患者において、薬物治療開始後6ヵ月間は臨床反応が一律ではないことが、フランス・INSERM 669(パリ第11大学とパリ第5大学)のC. Nordon氏らにより、明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「初回エピソード患者における治療戦略は、回復の機会を逸することのないよう、症状の重症度と治療早期の臨床反応に注意すべきである」と結論している。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2013年4月18日号の掲載報告。 本検討は、抗精神病薬未投与の統合失調症患者の投与開始6ヵ月間の臨床反応の不均一性を調べること、およびアウトカムの予測因子を評価することを目的とした。フランス国内における467例の被験者を対象とし、6ヵ月間にわたって追跡した。臨床反応の軌跡は、臨床上の医師の印象による重症度(CGI-S)スコアを用いて、ベースライン、1、3、6ヵ月時点で測定し、潜在クラス成長分析(LCGA)を行い検討した。また、回帰モデルを用いて軌道の予測因子を特定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者467例は、臨床反応によって5群に分類された。内訳は、迅速反応群(45例)、段階的反応群(204例)、症状軽度残存群(133例)、症状重度残存群(23例)、非持続的反応群(62例)であった。・6ヵ月間の臨床反応の予測因子は、ベースラインでのCGI-Sスコア(オッズ比[OR]:3.1、95%CI:2.1~4.4)と、陰性症状(同:1.5、1.2~1.9)であった。・段階的反応との比較における迅速反応の予測因子は、仕事を持っている(OR:2.5、95%CI:1.2~4.9)のみであった。関連医療ニュース ・抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? ・統合失調症患者の再発を予測することは可能か? ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析

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