サイト内検索|page:174

検索結果 合計:4321件 表示位置:3461 - 3480

3461.

小児結核、遺伝子診断で鑑別精度改善へ/NEJM

 英国・サセックス大学のSuzanne T. Anderson氏ら共同研究グループ(ILULU Consortium and KIDS TB Study Group)は、アフリカにおける小児結核の診断について、他疾患との鑑別に有用なデータが得られたことを報告した。小児結核については、微生物学的診断の困難さから真の世界的負荷はどれぐらいなのか明らかとなっていない。また過小診断により重篤になってからや死亡後に結核であったと確認されることも少なくなく、診断の改善が求められている。研究グループは、宿主血液の転写シグネチャーを用いることで、HIV感染の有無を問わずアフリカの小児における結核と他の疾患との鑑別が可能であるという仮説を立て検証試験を行った。NEJM誌2014年5月1日号掲載の報告より。診断シグネチャーを、宿主血液のRNA発現ゲノムワイド解析により特定 研究グループは、2008年2月~2011年1月にかけて、結核の疑いありとして評価を受けた南アフリカの小児655例、マラウイの小児701例、ケニアの小児1,599例について前向きコホート研究を行った。 被験児を診断結果に基づき、培養で確認された結核群、培養陰性の結核群、結核以外の疾患群、潜在性結核感染群に分類。結核とその他の疾患および潜在性結核感染とを鑑別した診断シグネチャーを、宿主血液のRNA発現ゲノムワイド解析により特定を行った。他疾患との鑑別感度82.9%、特異度83.6% 結果、南アフリカとマラウイの患児において、結核と他の疾患とを鑑別した51の転写シグネチャーを特定した(開発コホート)。 同データに基づくリスクスコアを、ケニアの患児(検証コホート)に当てはめて分析した結果、培養で確認された結核の診断に対して、感度は82.9%(95%信頼区間[CI]:68.6~94.3%)、特異度は83.6%(同:74.6~92.7%)を示した。 Mycobacterium tuberculosis培養陰性だったが結核治療を受けた患児(結核の可能性が非常に高い/可能性が高い/可能性がある患児)では、感度(実際の結核有病率との推定比較で算出)は、それぞれ62.5~82.3%、42.1~80.8%、35.3~79.6%だった。 対照的に、M. tuberculosisのDNA分子を検出するXpert MTB/RIF検査の感度は、培養で確認された結核群では54.3%(95%CI:37.1~68.6%)だった。また、培養陰性だったが結核治療を受けた患児のサブグループ群ではそれぞれ25.0~35.7%、5.3~13.3%、0%だった。同検査の特異度は100%だった。 これらの結果から著者は、「RNA発現シグネチャーから、アフリカの小児においてHIV感染の有無を問わず、結核と他の疾患との鑑別に有用なデータが得られた」と結論している。

3462.

出生前後のプロバイオティクス投与がアトピーの一次予防の可能性

 一般集団およびアレルギーリスクがある集団のいずれにおいても、生誕前後にプロバイオティクスを与えることが、アトピー性皮膚炎(AD)の発症予防に役立つ可能性が、ルーマニアのキャロル・デイビラ・ユニバーシティ・オブ・メディスン・アンド・ファーマシーのM. Panduru氏らにより報告された。AD発症率は上昇しているが、ADという疾患の真の原因は明らかになっていない。プロバイオティクスは、AD予防に関与している可能性が示唆されているが、その役割については議論の的となっていた。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。 研究グループは、AD発症におけるプロバイオティクスの役割評価を目的としたレビューを行った。国際的なデータベース(PubMed、Scopus、Web of Knowledge、EBSCO、ARTO、Google Scholar、ClinicalTrials.gov)を用いて、同トピックについて広範囲に検索し、分析が行われていた試験だけを選択。それらの試験について、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・データベースの検索により1,513本の論文をみつけた。そのうち26本が適格条件を満たしていたが、同一集団の試験を除外し、最終的に16本の試験を分析に含んだ。・メタ解析の結果、プロバイオティクスを与えることは、AD発症を予防することが明らかになった(OR:0.56、p=0.0001)。・サブグループメタ解析の結果、一般集団およびアレルギー高リスク集団において、乳酸菌のみを与えること(OR:0.76、p=0.04)、および乳酸菌+ビフィズス菌を与えること(OR:0.54、p=0.001)が、ADの発症を予防することが示された。・さらなるサブグループ解析で、プロバイオティクスの出生前投与と出生後投与が有効であることが示された(OR:0.54、p=0.001)。出生後投与だけの場合は有効性は有意ではなかった(OR:0.89、p=0.59)。・最後に、投与タイプ別に行ったサブグループ解析で、乳酸菌のみを与えること(OR:0.75、p=0.03)、および乳酸菌+ビフィズス菌を与えること(OR:0.54、p=0.0001)のいずれもが、ADを予防することが示された。

3463.

てんかん患者 発作後の運転再開時期は

 てんかん患者が、原因が明らかな誘発性発作もしくは、非誘発性発作を初めて起こしてから運転を再開できる時期に関する定量的なデータが、オーストラリア・Royal Perth HospitalのBrown JW氏らによって示された。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌オンライン版4月25日掲載の報告。 初発発作後にてんかんを再発するリスクは40~50%であり、このリスクが最も高い初発発作後早期の段階で運転を制限することは正当な指導である。しかしながら、この制限は、患者が運転する資格がないために生じる、職業的、教育的、社会的な制約とのバランスを考慮する必要がある。初発発作後の運転制限推奨期間は、事故の許容可能な相対リスク(事故リスク比:ARR)に関する社会の認識を含むさまざまな要因の影響を受け、管轄区域によっても大きく異なっている。運転制限の設定にあたり、個別化されたリスク評価や全面的なガイドラインに基づくなどのアプローチも考えられるが、どちらも発作再発リスクの正確なデータが必要となる。 本研究では、初発発作を起こした1,386例のてんかん患者を前向きに調査・解析を行った。発作の再発は、生存分析を用いて評価された。発作の再発リスクの範囲およびARRから求められる運転すべきでない期間を算出した。加えて、実際に運転中に起きた発作についても、追跡期間中、前向きに観察された。 主な結果は以下のとおり。・非誘発性発作を初めて起こした患者の運転制限期間8ヵ月の間、および原因が明らかな誘発性発作を初めて起こした患者の運転制限期間5ヵ月の間、運転中の発作リスクは、1,000人あたり1.04人、ARRは2.6であり、発作の再発リスクは、1ヵ月ごとに2.5%ずつ減少した。・発作が再発した患者のうち、月次リスクが1/1,000以下に減少した6ヵ月後に、14例(2%)が運転中に発作を再発した。

3464.

英国で明らかになった外国人医師登録制度の改善点/BMJ

 英国・ダラム大学のPaul A Tiffin氏らは、PLAB(Professional and Linguistic Assessment Board)試験に合格した外国人医師(英国以外の医学校卒業生)と、ARCP(Annual Review of Competence Progression)による評価を受けた英国の医学卒業生を比較する検討を行った。PLABは、外国人医師が英国で医師登録(General Medical Council:GMCに登録)をして働くための第一関門となる試験で、言語力と臨床能力がチェックされる。ARCPは、2007年8月1日に導入された臨床研修制度の評価プログラム(英国では全医師が定期的に評価を受けることになっている)で、PLAB合格者は、臨床1年目のARCP評価をクリアしているとみなされる仕組みとなっていた。BMJ誌オンライン版2014年4月17日号掲載の報告より。英国人医師と外国人医師に対する臨床研修評価を比較 英国では2012年現在、GMCに占めるPLAB合格者医師の割合は37%(うち27%が欧州経済領域外の卒業者)とグローバル化が進んでいるという。そうしたなかで、PLAB合格者医師について、専門性を身につけるために進学する王立大学院への合格率が低いといった傾向がみられることや、GMCに対して実地医療への適合性に関する懸念が寄せられていることから、研究グループは、PLAB制度の改善点を明らかにするため、ARCPの評価成績データと関連づけて分析する観察研究を行った。 対象者は、ARCP評価を少なくとも1回受け2010~2012年にGMC登録医となった5万3,436人で、うち4万2,017人は英国の医学校卒業者、1万1,419人はPLAB制度を介して登録していた外国人医師だった。 主要アウトカムは、英国で医師として登録後の、ARCP評価がより低いか高いかの確率とした。言語力と臨床能力をいかに適正に評価できるかが課題 対象者について、外国人医師のほうが英国医学校卒業医師(以下、英国人医師)よりも、年齢が高く、男性が多い、英国での臨床経験が短く、非白人が多く、ARCPを受けた頻度が高いという傾向があった。 分析の結果、外国人医師は、英国人医師よりもARCP評価が低い傾向がみられた。その傾向は、性別、年齢、英国での臨床期間、人種、評価の免除で補正後も、維持されたままだった(オッズ比:1.63、95%信頼区間[CI]:1.30~2.06)。 しかし、外国人医師のうち、PLABパート1試験(医学的知識を評価)で12分位範囲のうち最高位(合格点よりも32点以上高い)群に属する人は、ARCP評価において、英国人医師と有意な差はみられなかった。 これらの結果から著者は、「外国人医師を登録するためのPLAB試験は、英国人医師に対する要件を満たしているとは言えないことが示された」と結論したうえで、「ARCPで明らかになった両者の臨床研修時における差をなくすためには、英語力の標準点とPLABパート2試験(14の臨床能力試験でパート1合格後3年以内に合格しなければならない)の合格点を引き上げる必要があるのかもしれない。あるいは異なるシステムを導入するという選択肢もあるだろう」とまとめている。

3465.

脳卒中対応救急車の導入による効果/JAMA

 CT機器や遠隔医療接続装置などを備えた脳卒中対応救急車、通信指令係の段階でのスクリーニングなどの専門的システムの構築により、急性虚血性脳卒中に対する通報から血栓溶解療法開始までの所要時間は、有害イベントの増大なく15~25分短縮したことが報告された。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のMartin Ebinger氏らが、6,000例超について行った試験で明らかにした。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。CTやポイント・オブ・ケア検査、遠隔医療接続を装備 研究グループはベルリンにおいて2011年5月~2013年1月にかけて、CTやポイント・オブ・ケア検査、遠隔医療接続装置などを備えた脳卒中救急対応のための救急車「Stroke Emergency Mobile」(STEMO)の導入効果について検討するオープンラベルの無作為化試験「PHANTOM-S(Prehospital Acute Neurological Treatment and Optimization of Medical care in Stroke Study)」を行った。試験期間中に設定したSTEMO導入期間と非導入期間(コントロール)について比較し、専門的救急車導入ケアシステムが、血栓溶解療法の開始遅延を減少するかを評価した。 STEMO導入時には、通信指令係の段階でアルゴリズムにより脳卒中をスクリーニングし、病院外脳卒中治療チームがケアを実行。虚血性脳卒中が確認され、禁忌症が除外された人については、ただちに血栓溶解療法が開始された。 被験者は、脳卒中による救急搬送を要すると判断されベルリンにある14の脳卒中専門施設に搬送された6,182例だった。STEMO導入期間中の被験者は、平均年齢73.9歳、男性は44.3%、コントロール期間中の被験者はそれぞれ74.3歳、45.2%だった。 主要アウトカムは、通報から血栓溶解療法を開始するまでの所要時間だった。虚血性脳卒中への血栓溶解実施率、STEMO導入期間29%、コントロール期間21% 結果、同所要時間は、STEMO導入期間中(3,213例)、およびSTEMO導入期間で実際に同システムが活用された人(1,804例)ともに、コントロール期間に比べ有意に短縮した。具体的には、コントロール期間群の平均同所要時間は76.3分に対し、STEMO導入期間群は61.4分、STEMO導入期間・活用群では51.8分と、コントロール期間群に比べそれぞれ15分、25分短縮した。 また、虚血性脳卒中に対する血栓溶解療法の実施率についても、STEMO導入期間群は29%、STEMO導入期間・活用群では33%だったのに対し、コントロール期間群は21%と有意差がみられた(いずれも、p<0.001)。 一方で、STEMO導入による脳内出血リスクの増大は認められなかった。STEMO導入期間・活用群のコントロール期間群に対する補正後オッズ比(OR)は0.42(95%信頼区間[CI]:0.18~1.03、p=0.06)だった。また、7日死亡率も減少したが、有意差はみられなかった(補正後OR:0.76、95%CI:0.31~1.82、p=0.53)。著者は、「さらなる検討を行い、臨床転帰への効果について評価することが必要だ」と述べている。

3466.

線維筋痛症患者、自殺念慮を3割超が有する

 線維筋痛症は、経過とともに自殺を図る患者の割合が増加することが知られている。スペイン・サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学のYolanda Trinanes氏らによる検討の結果、線維筋痛症患者の自殺念虜は、うつや不安、日常生活への支障と密接に関連していることが明らかにされた。Pain Practice誌オンライン版2014年4月1日号の掲載報告。自殺念虜を有している線維筋痛症患者の割合は32.5% 研究グループは、線維筋痛症における自殺念虜と、さまざまな社会人口統計学的、臨床的および心理的変数との関連を分析する目的で、線維筋痛症の女性患者117例を対象に調査を行った。 評価項目は、睡眠障害(ピッツバーグ睡眠質問票)、うつ(ベックうつ病調査票:BDI)、健康関連QOL(SF-36および線維筋痛症質問票:FIQ)、疼痛(視覚的アナログ尺度)などであった。BDIの9番目の項目で自殺念慮を評価し、すべての変数について自殺念虜のある患者とない患者を比較した。 線維筋痛症における自殺念虜を調査した主な結果は以下のとおり。・自殺念虜を有している線維筋痛症患者の割合は、32.5%だった。・自殺念虜の有無でさまざまなうつ病の指標に有意差が認められた。・また、自殺念虜を有している線維筋痛症患者では、不安レベルが高く、眠気のため日中の機能が障害され、感情的および身体的問題のため限界を感じていた。・BDIにおける自己非難のクラスターでわかるような、認知的抑うつ症状が自殺念慮と密接に関連していた。

3467.

特発性頭蓋内圧亢進症、アセタゾラミド投与のエビデンス/JAMA

 軽度視力低下を有する特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)患者への、減量目的の減塩食療法+アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)治療は、減塩減量食単独療法と比較して、わずかだが視野の改善に結びついたことが示された。米国・アイオワ大学のMichael Wall氏らNORDIC Idiopathic Intracranial Hypertension研究グループが、165例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IIHは主に妊娠可能年齢の肥満女性にみられる。治療薬として一般にアセタゾラミドが用いられているが、使用の根拠を裏付ける情報は十分とは言えなかった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。平均29歳、165例(うち男性4例)を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験 研究グループは、アセタゾラミドの視力改善への有益性を調べるため、2010年3月~2012年11月の間に、北米にある大学病院および民間病院38ヵ所で軽度視力を有するIHH患者165例を登録し、減塩減量食+アセタゾラミド(最大4g/日)群、または減塩減量食+プラセボ群に無作為に割り付け、6ヵ月間にわたり治療と評価を行った。評価は月1回外来受診時に行った。被験者は、IIHの改訂Dandy基準を満たし、周辺視野の平均偏差(PMD)値が-7~-2dBで、平均年齢は29歳、4例以外は女性であった。 事前に予定した主要アウトカムは、ベースライン時から6ヵ月時点までの患眼(視力喪失が大きい側)のPMDの変化(ハンフリー視野計で測定)だった。PMDは-32~2dBを範囲としてマイナスの値が大きいほど視力喪失が大きいとした。副次アウトカムには、6ヵ月時点の乳頭浮腫重症度、QOL(視覚機能質問票25[VFQ-25]、36項目簡易健康調査で測定)、頭痛、体重の変化などが含まれた。減塩食単独群よりもアセタゾラミド併用群で視野、視覚関連QOLなど有意に改善 結果、6ヵ月時点のPMDの改善は両群ともにみられたが、アセタゾラミド併用群が減塩減量食単独群よりも有意に大きかった。ベースライン時から6ヵ月時点までのPMDの変化は、アセタゾラミド群(86例)は1.43dB(平均値で-3.53dBから-2.10dBに改善)、プラセボ群(79例)は0.71dB(同-3.53dBから-2.82dBに)で、両群の差は0.71dB(95%信頼区間[CI]:0~1.43dB、p=0.050)だった。 また、乳頭浮腫重症度(治療効果:-0.70、95%CI:-0.99~-0.41、p<0.001)、国立眼研究所VFQ-25による視力関連QOL(同:6.35、2.22~10.47、p=0.003)、視神経に関する10項目QOL(同:8.23、3.89~12.56、p<0.001)についても、アセタゾラミド併用群で有意な改善がみられた。なおアセタゾラミド併用群のほうが、体重の減少が有意だった(同:-4.05kg、-6.27~-1.83kg、p<0.001)。 これらの結果を踏まえて著者は、「減塩減量食療法単独と比較して、アセタゾラミドの併用使用は、わずかだが視野の改善に結びついた」と結論。ただし、今回の試験では、解析においてアセタゾラミド併用群に中断者がより多く含まれており、改善結果が減弱されていた可能性があることや、PMDの推定治療効果の設定に難点があったなどとして、「試験結果として示された改善についての臨床的意義は決定的なものではなく、さらなる検討が必要である」と補足している。

3468.

トラスツズマブ抵抗性進行乳がんへのエベロリムスの追加(BOLERO-3)

 トラスツズマブ抵抗性の乳がんにおいては、細胞内PI3K/Akt/mTOR経路のシグナル活性化の関与が示唆されている。本研究は、パリ第11大学腫瘍内科のFabrice Andre氏らにより、mTOR阻害薬エベロリムス(商品名:アフィニトール)の追加投与によるトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)感受性回復を評価することを目的に行われた。Lancet Oncology誌オンライン版 2014年4月14日号の報告。 本試験は、プラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験として、タキサン治療歴のあるHER2陽性、トラスツズマブ抵抗性、進行乳がん患者を対象に行われた。 対象患者は、weeklyトラスツズマブ(2mg/kg)+ビノレルビン(商品名:ナベルビン)(25mg/m2)にdailyエベロリムス(5mg/日)を追加した群(以下エベロリムス群)、またはプラセボを追加した群(以下プラセボ群)に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)でintention to treatで評価された。 無増悪生存期間については最終的な分析報告を基にした(全生存率追跡調査は進行中)。 主な結果は以下のとおり。・2009年10月26日から2012年5月23日に569例が登録され、エベロリムス群(n=284)とプラセボ群(n=285)に無作為に割り付けられた。・PFS中央値はエベロリムス群、プラセボ群でそれぞれ7.00ヵ月(95%CI:6.74~8.18)、5.78ヵ月(95%CI:5.49~6.90)であり、ハザード比は0.78(95%CI:0.65~0.95、p=0.0067)であった。・主なグレード3/4の有害事象として、好中球減少症[エベロリムス群204例(73%)対 プラセボ群175例(62%)]、白血球減少症[106例(38%)対 82例(29%)]、発熱性好中球減少症[44例(16%)対 10例(4%)]、疲労感[34例(12%)対 11例(4%)]などであった。・重篤な有害事象の報告は、エベロリムス群117例(42%)、プラセボ群55例(20%)であった。 エベロリムスの追加投与は、タキサン治療歴のあるHER2陽性、トラスツズマブ抵抗性、進行乳がん患者のPFSを有意に延長した。しかしながら、臨床的な利益は、本集団の有害事象プロファイルに照らして考慮すべきであろう。

3469.

女性の顔の肝斑、なぜ起きる?

 ブラジル・FMB-UnespのHandel A.C.氏らは、ケースコントロール研究により、女性の顔の肝斑発生のリスク因子を調べた。その結果、色素沈着耐久力、先祖、慢性的な日光曝露、性ホルモン薬、向精神薬、不安気質が、それぞれ独立して関連していることを明らかにした。肝斑は成人女性によくみられる慢性局所的な後天性の黒皮症で、人生の質に重大な影響をもたらす。認知されているトリガー要因はあるが、その病理は明らかになっていなかった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年4月19日号の掲載報告。 検討は、年齢で対応させた顔に肝斑がある成人女性とない成人女性を対比させて検討した。個人的特性データ、曝露変数で分類し、ホルモン刺激やIDATE-T質問票(state-trait anxiety inventory)と関連付けを行い、条件付き多重ロジスティック回帰法にて分析した。 主な結果は以下のとおり。・207例の患者と207例の対照を評価した。平均年齢は38.7歳であった。・症例群と対照群は、フォトタイプに関して差があることが判明した。すなわち祖先が米国インディアン(OR:2.59)、海岸に居住あるいは地方に居住(同:1.06)、職業的な日光に曝露される時間(同:1.59)、余暇で日光に曝露される時間(同:1.04)、抗うつ薬/抗不安薬を服用(同:4.96)、月経不順(同:3.83)、妊娠歴(同:3.59)、経口避妊薬服用年数(同:1.23)、不安症スコア(同:1.08)。・肝斑の家族歴は、患者群では61%があると報告した一方、対照群では13%であった(OR:10.4)。

3470.

無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与

 加糖飲料やコーヒー、紅茶は最も消費されているノンアルコール飲料であり、健康に対し重大な影響を及ぼす。米国Westat社のXuguang Guo氏らは、さまざまな飲料の消費量とうつ病との関連を検討した。PloS one誌オンライン版2014年4月17日号の報告。 対象はNIH-AARP Diet and Health Study(食事・健康調査)に参加した26万3,923人。1995~1996年に摂取したさまざまな種類の飲料を評価し、2000年以降に自己申告によるうつ病診断を実施した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)は、多変量ロジスティック回帰分析から導いた。 主な結果は以下のとおり。・1日当たり4缶または4杯以上摂取している場合とまったく摂取しない場合とを比較したORは、ソフトドリンク1.30(95%CI:1.17~1.44)、フルーツドリンク1.38(1.15~1.65)、コーヒー0.91(0.84~0.98)であった(すべてのp for trend<0.0001)。・アイスティーとホットティーでは関連はなかった。・主にダイエット飲料を飲む人 vs 通常の飲料を飲む人による層別解析でのORは、ソフトドリンクで1.31(1.16~1.47) vs 1.22(1.03~1.45)、フルーツドリンクで1.51(1.18~1.92) vs 1.08(0.79~1.46)、加糖アイスティーで1.25(1.10~1.41) vs 0.94(0.83~1.08)であった。・飲料の非摂取者と比較し、無糖のコーヒーや紅茶を飲んでいた人では、うつ病のリスク低下と関連していた。一方、砂糖や蜂蜜ではない人工甘味料を添加していた人では、リスク上昇と関連していた。・加糖飲料(とくにダイエット飲料)の頻繁な消費が高齢者のうつ病リスクを高める一方で、コーヒーはリスクを軽減させる可能性があることが示唆された。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 少し歩くだけでもうつ病は予防できる

3471.

このstudyはnegative studyであり、また説明不足である(コメンテーター:野間 重孝 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(198)より-

本稿は論文評であってreviewではないが、多くの専門外の先生方にとってheart failure and preserved ejection fraction (HFpEF)という概念自体が大変にわかりにくいのではないかと考えるので、まずHFpEFとはどのような病態概念なのかを簡単に説明することから始めたい。 まず慢性心不全を定義してみると、心ポンプ機能の低下により全身の組織代謝の恒常性を保つために必要な血液量(心拍出量)を送り出すことができない、もしくは種々の代償機転が動員されており、容易にうっ血性心不全状態に陥ったり、重症不整脈の発生がみられたりする予後不良な状態。として、大筋において異論のある方はおられないと思う。 多くの専門外の先生方にとってわかりにくいのは、駆出率(EF)が保たれているということは心ポンプ機能がある程度以上保たれているということであり、それならばなぜ非代償性心不全状態に陥ることがあるのか、という点だろう。もう一度定義を読み直していただきたいのだが、保たれていなければならないのは“心拍出量(CO)”であって、駆出率ではない。 左室拡張末期容量をLVEDVとすると、三者の間には、   (1回の)CO = LVEDV × EFという関係がある。 つまりEFが保たれていても、COを大量に必要とする状態やLVEDVを必要なだけ確保できない状態が出現すれば、EFは保たれていても心不全症状は出現しうるのである。 たとえば強い左室肥大や肥大型心筋症では左室の拡張期の拡がりが悪いためLVEDVを確保しようとすると高い流入圧が必要となる、これがback pressureとなって肺うっ血が出現し、心不全状態に陥る。慢性的にこのような不安定な状態が続く病態をHFpEFと呼ぶとご理解願いたい。 実際疫学的には心不全で入院する患者さんの半数近くがEFの低下が軽度~中等度であることが知られている。我々は各瞬間の心室内や血管内容量の測定が難しかった(実は現在でも難しい)ためにEFを心機能の代替え指標として使用しているうちに、いつの間にかEF絶対主義に陥ってしまっていたのである。 以上から考えるとHFpEF≒拡張障害という理解が当然のように感じられるだろう。しかし、ここからが謎なのである。つまり正確な割合はわかっていないがHFpEFといわれる病態の患者さんの3割程度は拡張障害を有していないのではないかといわれているからである。HFpEFはその本態がまだ正確には把握されているとはいえない病態であって、かつEFの低下した心不全(HF and reduced EF、HFrEF)との連続性があるのかないのかも実はわかっていない。 とはいっても心臓の拡張能がHFpEFの病態に深く関係しているであろうことは疫学的にも明らかである。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)は心筋の肥大、間質の線維化、炎症、血管内膜損傷などに深く関わっており、この経路をどこかの段階で有効に遮断することが、心室の拡張能改善につながる可能性があることは容易に想像できるのではないかと思われるが、現在までトランドラプリル、イルベサルタンを用いた臨床研究が行われたものの、いずれにおいても有効であるとのデータは得られなかった。今回のTOPCAT試験はスピロノラクトンを用いてその最終作用物質であるアルドステロンを阻害することにより、HFpEFの病態の改善が得られるか否かを検討したもので、複合エンドポイントとして心血管死、蘇生された心停止、心不全による入院の三者が選択された。この試験の結果については本サイトに武藤 まき氏による大変よくまとまった抄訳が掲載されているので、参照していただきたい。駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?(4月23日掲載) わたくしが本日の議論でぜひ述べておきたい点が2点ある。 第1点は、本試験はnegative studyであるということである。医師の判断の介在しやすい心不全による入院をエンドポイントとしてよいのかという議論があったことも存じている。実際この項目について米国の結果とヨーロッパの結果にかなりズレがあった点も指摘されている。 しかし重要なことは、複合エンドポイントはいったん決められたら1つのエンドポイントと同様にみなされて扱われなくてはならず、バラバラに検討するのはサブ解析の段階ですべき事柄だということである。 死亡と心停止については差が出なかったが、入院ではややスピロノラクトン群が有利であった、といった議論は誤りである。この点を無視して、HFpEFの病態を疑う患者をみたら、スピロノラクトンを投与することが入院防止の観点から有効であるといった議論をする向きを目にするが、サブ解析の結果として参考にするならばそれもよいが、メイン解析の結果をして論ずるなら誤りである。 第2点は、本試験の施行目的が明確でないことである。著者らは論文中で彼ら自身がHFpEFについてどのように理解し、このたびなぜスピロノラクトンを対象とした大規模臨床試験を計画したのかについて明確な記述をまったくしていない。本日のわたくしの概説の部分は相当穴だらけだったことを専門の先生なら指摘されるだろう。diastolic failureといってもactive phaseのfailureなのかpassive stiffnessが上がっているのか、いや概念的な論争はともかくとして臨床上そんなに信用できる拡張期指標はそもそも存在するのか等々。スピロノラクトンはどのphaseの何を改善すると著者らは考えているのか。著者らはこれだけの大規模試験を立ち上げるのならば、説明義務を負っているとわたくしは考える。 近年統計的に完成度が高いことばかりがひたすら求められ、概念的な骨太さが置き去りにされているような試験が多いように感じるのは、わたくしだけではないと愚考するが、いかがだろうか。

3472.

疼痛解消に、NSAIDsと胃粘膜保護薬の配合剤登場が待たれる?

 胃粘膜保護薬は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)およびアスピリンの長期投与による合併症および死亡率を減少させることが知られているが、英国・オックスフォード大学のRobert Andrew Moore氏らによるレビューの結果、筋骨格系疾患では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果が不十分な患者がいることや、胃粘膜保護薬が必ずしも併用されていないことが示唆された。著者は、NSAIDsと胃粘膜保護薬の配合剤が1つの解決策となる、とまとめている。Pain Practice誌2014年4月号(オンライン版2013年8月13日号)の掲載報告。 研究グループの目的は、NSAIDsおよびNSAIDs起因性消化管傷害に対する保護薬のベネフィットとリスクを評価することであった。 PubMed(2012年12月までの発表論文)およびGoogle Scholarを用い、NSAIDsの有効性、疼痛軽減のベネフィット、胃粘膜保護の治療戦略、胃粘膜保護薬のアドヒアランス、NSAIDsならびに胃粘膜保護薬の重篤な有害事象に関する論文を検索し、関連論文や引用論文も含めて解析した。 主な結果は以下のとおり。・患者が必要としていることは、疼痛強度を半分に軽減することと、疲労・苦痛・QOLの改善であった。・筋骨格系疾患に対するNSAIDsの鎮痛効果は、二峰性の分布を示した。・プロトンポンプ阻害薬(PPI)と高用量ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)の胃粘膜保護効果は類似しており、高用量H2RAよりPPIのほうが有効であるという決定的なエビデンスはなかった。・2005年以降に発表された研究において、NSAIDsと胃粘膜保護薬の併用に関する指針に対するアドヒアランスは、処方者が49%、患者はほぼ100%であった。・長期間にわたる高用量PPIの使用は、骨折などの重篤な有害事象のリスクの増加と関連していた。

3473.

小児期早期のてんかん転倒発作、特徴が判明:東京女子医大

 東京女子医科大学の小国 弘量氏らは、小児期早期の症候性てんかんにおける転倒発作(epileptic drop attack:EDA)について、ミオクロニー失立発作(myoclonic-astatic epilepsy:MAE)との違いを明らかにする検討を行った。その結果、EDAは屈曲側でてんかん性スパスムス(ES)が起きる頻度が最も多く、MAEでみられるような典型的なけいれんの発生はまれであることを明らかにした。今回の所見を踏まえて著者は「臨床では、脳波所見でみられる棘徐波複合の周期的、限局的あるいは多巣性の発現が、ESによるEDAであることを示唆する可能性がある」とまとめている。Brain and Development誌オンライン版2014年4月11日号の掲載報告。 研究グループは、小児期の症候性てんかんにおけるEDAとMAEの違いを明らかにするため、ビデオポリグラフ試験の記録について、両者それぞれの人口統計学的データとともに比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、月齢7ヵ月~6歳までの間に症候性てんかんを有した21例と、EDAと記録され特発性MAEを有した20例であった。・ビデオポリグラフ試験でEDAが記録されたのは、症候性てんかん児においては総計188件(中央値8件)、特発性MAE児では182件(中央値7件)であった。・EDAが記録された症候性てんかん児における、EDAの発生はESによるものであった。そのうち15例の患者では、二相性の緩徐な弧を描く鋭徐波複合、あるいはフラットな背景脳波活動がみられ、4例において、atoticな発作に特徴的な棘徐波複合が、残り2例においてミオクロニー失立発作がみられた。・ESでのEDA発生は、15例のうち8例で周期的なものであった。また脳波検査において、限局性、多巣性、不規則多発性な棘徐波複合が判明した。・16例のMAE患者では、典型的な発作がみられたが、残り4例では、ミオクロニー屈曲発作がみられた。後者はいずれも、高振幅棘波あるいは多発棘波複合が単独でみられた。関連医療ニュース てんかんの原因遺伝子発見により臨床にどのような変化が起こったか 扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんの特徴は:国立精神・神経医療研究センター 小児外傷後てんかんの予防にレベチラセタムは有用

3474.

未破裂脳動静脈奇形の長期アウトカム、保存療法が良好/JAMA

 未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)に対し、血管内塞栓術や神経外科的切除などを行った場合と比べて、行わないほうが長期アウトカムは良好であることが明らかにされた。スコットランド・エディンバラ大学のRustam Al-Shahi Salman氏らが、204例について行った住民ベースの発端コホート試験の結果、報告した。これまで介入治療が保存療法よりも優れているのかについては、長期比較のデータが不足していたため判明していなかった。JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より。bAVMsの204例を最長12年間追跡 研究グループは、1999~2003年または2006~2010年にbAVMsの診断を受けた、スコットランドに住む16歳以上の患者204例について、最長12年間追跡した。血管内塞栓術、神経外科的切除または定位放射線手術といった介入を行った群と、行わなかった群について、予後を比較した。 主要アウトカムは、死亡、病的状態の持続[Oxford Handicap Score(OHS)で連続2年以上2以上]とし、副次アウトカムは非致死症候性脳卒中またはbAVMs、関連動脈瘤、介入による死亡の各発生率などであった。4年間の主要アウトカム発生率、非介入群で介入群の0.59倍 被験者204例中、介入を行ったのは103例だった。介入群は非介入群に比べ、年齢は低く、発作症状を呈して診察を受けた割合が多く、大きなbAVMsのある人は少ない傾向にあった。 追跡期間の中央値は6.9年だった。当初4年間の主要アウトカム発生率は、非介入群が36件に対し、介入群が39件と、非介入群で低率だった(それぞれ、9.5/100人年、9.8/100人年)。非介入群の介入群に対する補正後ハザード比は、0.59(95%信頼区間[CI]:0.35~0.99)だった。この傾向は、それ以降も類似していた。 また、副次アウトカムの発生件数も、非介入群14件に対し介入群38件と、非介入群で低率だった(それぞれ、1.6/100人年、3.3/100人年)。同ハザード比は、0.37(95%CI:0.19~0.72)だった。 著者は、さらなる追跡調査を行い、この関連性が持続するかを確認する必要があると述べている。

3475.

50歳以上の潰瘍性大腸炎、発症の陰に「禁煙」

 日本における潰瘍性大腸炎(UC)の発症年齢は、欧米諸国と同様、青年期と中年期の二峰性分布を示すこと、また、禁煙は中年期(50歳以上)のUC発症を増加させる可能性があることが、福岡大学筑紫病院の高橋 晴彦氏らの研究により明らかになった。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版 2014年4月14日号の報告。 喫煙は、消化器系に悪影響を与えるという報告が多いが、UCに関しては、欧米において「喫煙がUCの発症抑制や病態改善につながる」、「禁煙がUCのリスク因子の1つである」といった報告がされている。また、欧米人ではUCの発症ピークが青年期と中年期の二峰性分布を示すというが、日本人を対象とした報告は少ない。 本研究では、日本の大学病院においてUC患者にアンケートを行い、発症年齢の分布および発症との関連が疑われる要因について調査した。 主な結果は以下のとおり。・465例のUC患者のうち、343例がアンケートに回答した。・発症年齢の分布は、大きなピークが10~20歳代、小さなピークが40~44歳、50~60歳代にみられた。・2001年以降にUCと診断された患者の発症年齢は、2000年以前に診断された患者のそれに比べて、高齢だった。・多変量解析の結果、50歳以上でUCを発症した患者は、2000年以前よりも、2001年以降のほうが多かった(オッズ比 4.98、95%CI: 2.21~11.25、p<0.01)。また、一度も喫煙したことのない患者と比べて、禁煙した患者のほうが多かった(オッズ比 2.93、95%CI: 1.40~6.14、p<0.01)。

3476.

食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ

 食事は、不良な健康状態の、修正可能な単一の主要因である。食事に含まれる特定の脂肪酸には健康に有益あるいは有害な作用があり、食事に起因する疾患には複合的な関連性があることが知られているが、食事由来の主要な脂肪酸/油脂の消費に関する全国的なデータを公表している国はほとんどないという。米国ハーバード公衆衛生大学院のRenata Micha氏らは、今回、大規模な調査を行い、食事由来の脂肪酸/油脂の世界的な摂取状況には、国によってきわめて大きな多様性があることを明らかにした。BMJ誌2014年4月15日号掲載の報告。約163万人のデータを国別、年齢別に解析 本試験は、1990年と2010年における食事由来の脂肪酸/油脂の世界的な摂取状況を定量的に検討することを目的に、2010 Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors(GBD)研究の一環としてNutrition and Chronic Diseases Expert Group(NutriCoDE)によって実施された。 世界の食事関連調査の文献を同定し、健康に影響を及ぼす主要な食事由来脂肪酸(飽和、ω-6、魚介由来ω-3、植物由来ω-3、トランス)とコレステロールに関するデータを抽出し、国別、年齢別、性別の評価を行った。 成人を対象とした266の調査(221[83%]件が全国代表的調査)に参加した163万69人(世界187ヵ国中113ヵ国、世界人口の82%に相当)のデータを使用し、解析には多段階階層ベイズモデルを用いた。全般に推奨値の達成度は不十分だが、必須脂肪酸の摂取量は増加傾向に 2010年の世界における、飽和脂肪酸の1日総エネルギー摂取量に占める割合(%E)の平均値は9.4%Eであり、ガイドラインなどで推奨される適正摂取量(<10%E)を満たしていたが、187ヵ国間で2.3~27.5%Eと大きなばらつき(最大が最小の12.2倍)がみられ、<10%Eの推奨値を満たしたのは75ヵ国(世界全体の61.8%に相当)であった。 ω-6多価不飽和脂肪酸の摂取率の世界的な平均値は5.9%Eで、推奨値(≧12%E)の半分に過ぎず、国別で1.2~12.5%Eと広範囲(10.5倍)にわたり、≧12%Eを満たしたのは187ヵ国中1国(ブルガリア、0.1%)のみであった。また、≧5%Eを満たした国も94ヵ国(52.4%)に過ぎなかった。 トランス脂肪酸の平均摂取率は1.4%Eと、推奨値(<0.5%E)を超えており、国別範囲は0.2~6.5%E(28.1倍)で、<0.5%Eを満たしたのは12ヵ国(0.6%)のみであった。 一方、食事由来コレステロールの世界的な1日平均摂取量は228mg/日で、国別間で97~440mg/日と差があり(4.5倍)、推奨値(<300/mg/日)を満たしたのは155ヵ国(87.6%)であった。日本(347mg/日)は推奨値を上回っており、パラグアイと並び世界で7番目に摂取が過剰な国であった。 魚介由来ω-3多価不飽和脂肪酸の平均摂取量は163mg/日、国別の範囲は5~3,886mg/日(840倍)で、推奨値(≧250mg/日)を満たしたのは45ヵ国(18.9%)であった。日本は718mg/日で世界8位であり、冠動脈疾患リスクとの関連の解析では994.6mg/日で世界3位であった。 植物由来ω-3多価不飽和脂肪酸は1,371mg/日、2~5,542mg/日(2,731倍)で、52ヵ国(43.9%)が推奨値(≧0.5%Eまたは食事2,000kcal/日当たり1,100mg以上)を満たしていた。 全般に、トランス脂肪酸の摂取量は若年層で多く、食事由来コレステロールや魚介由来ω-3多価不飽和脂肪酸は高齢層で多い傾向がみられた。また、摂取量に性差は認められなかった。 1990年と2010年とでは、飽和脂肪酸や食事由来コレステロール、トランス脂肪酸の摂取量に大きな変化はなかったが、ω-6多価不飽和脂肪酸や魚介由来、植物由来のω-3多価不飽和脂肪酸の摂取量は20年間で増加していた。 著者は、「食事に含まれる脂肪酸/油脂の摂取状況は、国によってきわめて大きな差があることが明らかとなった」とまとめ、「これらの新たなデータは、国際保健の改善に向けた施策や優先度を検討する際に有用な情報となるだろう」と指摘している。

3477.

カルボプラチン+パクリタキセルは3週ごと?毎週?:進行卵巣がん(MITO-7試験)

 3週ごとカルボプラチン+パクリタキセル(3wCP)は、進行卵巣がん患者の一次治療標準療法である。一方、毎週パクリタキセル+ 3週ごとカルボプラチン療法は、日本の第III相試験で無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を延長している。本研究は、イタリアのSandro Pignata 氏らにより、毎週カルボプラチン+パクリタキセル(wCP)の3wCPと比較した有効性を評価することを目的に行われた。The Lancet Oncology誌2014年4月15日号(オンライン版2014年2月28日号)の掲載報告。 試験は、多施設無作為化オープンラベル第III相試験として、イタリアとフランスの67施設で行われた。FIGOステージIC-IV期の卵巣がん患者は、3wCP(カルボプラチンAUC 6mg/mL/分+パクリタキセル175mg/m2)6サイクル群とwCP(カルボプラチンAUC 2mg/mL/分+パクリタキセル60mg/m2)18週群に無作為に割り当てられた。プライマリエンドポイントはPFSとQOL(FACT-O/TOIスコアにて評価)であった。分析はintention to treatで行われた。 2008年11月20日から2012年3月1日の間に822例の患者が登録された。分析適応は810例で、404例が3wCP群に、406例がwCP群に割り当てられた。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値22.3ヵ月で、無増悪生存は449例であった。・PFS中央値は、3wCP群、wCP群でそれぞれ17.3ヵ月(95%CI:15.2~20.2)、18.3ヵ月(95%CI:16.8~20.9)であり、ハザード比は 0.96(95%CI:0.80~1.16、p=0.66)であった。・QOL(FACT-O/TOIスコア)は、3wCP群では各サイクルごとに悪化したが、wCP群では1週目に一時的に悪化したものの、その後は安定しており、2群間に有意な差があった(treatment by time interaction p<0.0001)・好中球減少(グレード3~4)は、3wCP群、wCP群でそれぞれ200/400例(50%)、167/399例(42%)。発熱性好中球減少症はそれぞれ11例(3%)、2例(0.5%)であった。・血小板減少(グレード3~4)は、3wCP群、wCP群でそれぞれ27例(7%)、4例(1%)であった。・神経障害(グレード2以上)は、3wCP群、wCP群でそれぞれ68例(17%)、24例(6%)であった。

3478.

小児時のアトピーは大人になっても治らない?

 米国・ペンシルベニア大学のJacob S. Margolis氏らは、全米から長期にわたり被験者を募って行われている前向き観察コホート研究のPediatric Eczema Elective Registry(PEER)登録患者について分析し、アトピー性皮膚炎(AD)の自然経過を評価し、症状の持続性について明らかにする検討を行った。その結果、すべての年齢(2~26歳)で、登録被験者の80%超がADの症状を有しているか治療を受けていたことが判明したという。ADは小児のありふれた疾患の1つであり、2歳までに発症し、増悪と寛解(waxing and waning)を繰り返し、多くは10歳までに治癒すると報告されていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年4月2日号の掲載報告。 ADは遺伝的素因と環境的要因が複雑に作用して発症すると考えられているが、これまで、ADの自然経過や、遺伝的または環境的要因と「増悪と寛解」という性質とがどのように関連しているかについてはほとんど研究されていなかった。 一方で10年前にアトピー性皮膚炎の治療薬として承認された局所免疫抑制薬について、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)は製薬メーカーに対して、長期の市販後安全性試験を行うことを義務づけた。PEERは、その1つピメクロリムス(国内未承認)の試験。 研究グループはPEERが軽度~中等度ADの自然経過の評価に適していることから同研究参加者を対象に検討を行った。主要評価項目は、6ヵ月ごとに評価した自己報告に基づくアウトカムで、6ヵ月間AD症状がなかったことであった。 主な結果は以下のとおり。・PEERは2004年に開始され(登録時の適格年齢は2~17歳)、現在まで約10年間参加者を追跡している前向き観察コホート研究である。・分析時点において7,157例登録されており、総観察人年は2万2,550人年であった。4,248例が2年以上、2,416例が5年以上追跡を受けていた。・被験者のAD発症時の平均年齢は1.7歳、試験登録時の平均年齢は7.4歳であった。6ヵ月間隔のサーベイを中央値5回受けていた。・複数の人口統計学的および曝露変数が、ADの持続と関連していた。・すべての年齢(すなわち2~26歳)で、PEER参加者の80%超がAD症状を有していたおよび/またはADの薬物治療を受けていた。・6ヵ月間の無症状または無治療期間を1回以上有した患者の割合が、50%に達することは、20歳前はなかった。 今回の大規模長期コホート研究により、ADに関連した症状は、20歳までの小児期およびそれ以上の長期にわたり持続する可能性が示唆された。著者は、「アトピー性皮膚炎は、おそらく生涯にわたる疾患であると思われる」とまとめている。

3479.

パロキセチンは他の抗うつ薬よりも優れているのか

 パロキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)の中で最も強力な作用を有し、多くの無作為化比較試験(RCTs)で検討されてきた。しかし、これらの比較結果やRCTsのシステマティックレビューは、通常、SSRIsに分類される薬剤全体のエビデンスであり、パロキセチン単独に適用可能なものではない。そこで、イタリア・ヴェローナ大学のMarianna Purgato氏らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを、三環系抗うつ薬(TCAs)、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するシステマティックレビューを行った。その結果、治療1~4週の早期の治療効果において、パロキセチンはレボキセチン(国内未承認)よりも効果が高く、ミルタザピンより低いなど、いくつかのエビデンスは示されたものの、他の抗うつ薬との有効性の相違に関する明確なエビデンスは得られなかったことを報告した。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2014年4月3日号の掲載報告。パロキセチンとその他の抗うつ薬、従来の薬剤、非従来型の薬剤を比較検討 著者らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを TCAs、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するためシステマティックレビューを行った。具体的には、(1)大うつ病性障害の急性症状軽減効果、(2)治療の受容性、(3)有害事象発現状況、を比較検討した。2012年9月30日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialized Register(CCDANCTR)を検索した。同レジスターには、代表的な無作為化比較試験が含まれていた(The Cochrane Library:全年、EMBASE:1974年以降、MEDLINE:1950年以降、PsycINFO:1967年以降)。また、代表的な文献と過去のシステマティックレビューの参考リストを手作業で検索し、パロキセチン販売メーカーおよび同領域の専門家らに連絡を取り、補足データを収集した。 大うつ病患者を対象に、パロキセチンとその他の抗うつ薬(ADs)、従来の薬剤(TCAs、SSRIsなど)、新規または天然ハーブのヒペリカムのような非従来型の薬剤を比較検討した、すべての無作為化比較試験を検索対象とした。クロスオーバーデザインの試験については、最初の無作為化期間における結果のみを考慮に入れた。独立した2名のレビュワーが適格性をチェックし、試験、患者背景、介入の詳細、試験のセッティング、有効性、受容性、忍容性などの情報を抽出した。パロキセチンはレボキセチンと比較して早期に反応する患者が多い パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルの主な結果は以下のとおり。・115件の無作為化比較試験(2万6,134例)が選択された。内訳は、パロキセチンvs. 旧来ADs:54件、vs. その他SSRI:21件、vs. 新規または非従来型SSRI以外の抗うつ薬:40件であった。・主要アウトカム(治療反応性)において、パロキセチンはレボキセチンと比較して早期に反応する患者が多く(オッズ比[OR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.50~0.87/ ベネフィットを得るための治療必要数(NNTb)=16、95%CI:10~50/ 1~4週時、3試験、1,375例、エビデンスの質:中等度)、ミルタザピンと比較して少なかった(OR:2.39、95%CI:1.42~4.02/ NNTb=8、95%CI:5~14/ 1~4週時、3試験、726例、エビデンスの質:中等度)。・パロキセチンは、治療反応性の改善においてシタロプラムと比較して効果が低かった (OR:1.54、95%CI:1.04~2.28/ NNTb=9、95%CI:5~102/ 6~12週時、1試験、406例、エビデンスの質:中等度)。・急性期(6~12週)、早期(1~4週時)または長期(4~6ヵ月)において、治療反応性の向上に関して、パロキセチンがその他の抗うつ薬と比較して有効性が高い(または低い)という明らかなエビデンスは見出せなかった。・パロキセチンは、アミトリプチリン、イミプラミンおよび旧来ADsと比較して、有害事象の発現頻度が低かったが、アゴメラチン(国内未承認)およびヒペリカムと比べ忍容性は不良であった。・検討対象とした試験は、無作為化の詳細やアウトカムの評価が不明、アウトカムの報告が不十分なため、概してバイアスが不明確または高かった。・パロキセチンとその他のADsとの間に、臨床的に意味のある差がいくつかみられたが、これらから明確な結論を導くことはできなかった。反応性については、パロキセチンに比較してシタロプラムが急性期(6~12週)において有効というエビデンス(質:中等度)が示されたが、これは1件の試験データのみによるものであった。・早期の治療効果(1~4週時)に関しては、パロキセチンはレボキセチンよりも効果が高く、ミルタザピンより低いというエビデンス(質:中等度)が示されたが、各評価時点でパロキセチンがその他の抗うつ薬と比較して反応性が良好または不良であることを示す明らかなエビデンスはなかった。・いくつかの差が認められたものの、本レビューは仮説の検証という以前の、あくまで仮説構築の域を超えないものであり、将来の試験で再現可能な結論を見出すために再検証すべきであることが示唆された。また、対象とした試験の大半はバイアスが不明または高く、メーカー主導であり、治療効果が過大評価された可能性がある点に留意する必要があった。

3480.

効かないGERD治療は日本人の労働生産性低下と有意に関連

 胃食道逆流症(GERD)は、仕事や日常生活の労働生産性に大きな負荷をかける疾患であり、効果のないGERDの治療は、労働生産性のより大きな損失と有意な関連があることが、慶應義塾大学の鈴木 秀和氏らによる研究で明らかになった。Neurogastroenterology and motility誌オンライン版 2014年2月25日号の報告。 GERDは生活の質を損なう。しかし、日本におけるGERDと労働生産性との関連については、十分に調査されていない。本研究では、日本の労働者を対象にWEBベースの横断研究を行い、治療によりGERDの症状が軽減した群と、なお症状が持続している群とで労働生産性に対する影響を比較した。GERDの労働生産性への影響は、WEB上のWPAI問診票(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire)およびGERD臨床徴候重症度アンケートにより評価した。人口統計情報、病歴、薬物療法に対する満足度も調査した。 主な結果は以下のとおり。・研究に登録された2万例のうち、胃腸の悪性腫瘍、消化性潰瘍、上部消化管手術の既往がある患者、就労していない人を除外した650例について分析した。・治療してもGERDの症状が持続している群は、症状が軽減した群と比較し、労働生産性(11.4±13.4時間/週)が有意に低く、absenteeism※1(0.7±3.1時間/週)、presenteeism※2(10.7±12.6時間/週)、コスト(2万100±2万6,800円/週)、日常生活の労働生産性(71.3% [95%CI: 69.0~73.7])の面でも劣っていた。・GERD症状が持続している群におけるGERD治療に対する不満レベルは、仕事および日常生活の労働生産性の低下と有意な相関を認めた(p <0.001)。※1 absenteeism:就業中の患者が、障害が原因で休業をすることにより生じる生産性の損失※2 presenteeism:就業中の患者が、就業はしているものの、障害がない状態と比べて生産性が落ちていることによってもたらされる生産性の損失

検索結果 合計:4321件 表示位置:3461 - 3480