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検索結果 合計:4227件 表示位置:3841 - 3860

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非小細胞肺癌治療剤「ザーコリ」 製造販売承認を取得

ファイザーは30日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC:Non-Small Cell Lung Cancer)の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」(一般名:クリゾチニブ、以下、ザーコリ)の製造販売承認を取得したと発表した。ザーコリは、ALKを阻害する世界初の化合物。ALK遺伝子変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)などの腫瘍の発生や形成に関わる重要な因子である。肺がんにおけるALK融合遺伝子の存在は日本人研究者によって発見され、2007年に初めて発表された。予備的な疫学調査ではNSCLC患者の約3~5%がALK融合遺伝子陽性とされている。ザーコリは、ALK融合蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍細胞の成長と生存に必要な細胞内シグナル伝達経路を遮断します。国内においては、2010年3月より非小細胞肺がん患者を対象とした治験を開始し、2011年1月には希少疾病用医薬品(オーファンドラック)に指定された。第1相臨床試験の成績については、2010年10月28日付のNew England Journal of Medicine(NEJM)誌に発表されておりまた、米国臨床腫瘍学会(ASCO)や欧州臨床腫瘍学会(ESMO)などの学会において、第1相試験および第2相試験の結果が発表されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_03_30.html

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英国NHSで導入された簡易院内死亡率指数SHMIの特徴

英国・シェフィールド大学のMichael J Campbell氏らは、透明性、再現性、可視化に優れた、英国内全病院の入院データから導き出した簡易院内死亡率指数(summary hospital mortality index:SHMI)を開発した。これまでにも院内標準死亡率指数(hospital standardised mortality ratio:HSMR)など死亡率指数はいくつかあったが、SHMIはそれらと違い全入院・死亡データおよび退院30日以内データに基づくもので、2011年10月からNHS(英国保健サービス)の病院評価指標として採用されているという。BMJ誌2012年3月17日号(オンライン版2012年3月1日号)掲載報告より。5年間分の英国全入院データから導き出した指数Campbell氏らはSHMI開発に当たって、5年間分の英国内全入院データを用いて後ろ向き横断調査を行った。具体的には、2005年4月1日から2010年9月30日の、Hospital episode statistics for Englandのデータと英国統計局の死亡データとを突き合わせ、院内死亡と退院30日以内の死亡を主要評価項目として評価を行った。対象に含まれたのは、146の総合病院および72の専門病院に入院した3,650万例分のデータであった。簡易な予測因子で評価が可能評価を行った最終モデルで予測因子として含まれたのは、入院診断名、年齢、性、入院タイプ、共存症であった。院内死亡または退院30日以内死亡は、男性入院患者では4.2%、女性では4.5%で認められた。全入院の75%が救急入院で、それらの人での院内死亡は5.5%だった。対照的に、選択的入院者での院内死亡は0.8%だった。チャールソン共存症スコア0の院内死亡者の割合は2%であったのに対し、スコアが5以上の院内死亡者の割合は15%だった。これらの変数を用いると、地域性や救急外来の既往回数で補正後も、相対的標準院内死亡率が著しく変わることはなかった。Campbell氏らは、これらの予測因子を用いてSHMIを開発。その指数は、標準を逸脱するような病院を特定したり、また以前からの院内死亡率指数を強固なものとすることが示されたと述べている。

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無作為化臨床試験での非盲検評価のバイアス効果は?

バイナリアウトカムの無作為化試験で多用される非盲検評価は、推定治療効果に大幅なバイアス効果をもたらしており、オッズ比評価で約36%過大に評価していることが明らかにされた。ノルディック・コクラン・センター(デンマーク)のAsbjorn Hrobjartsson氏らが、同じバイナリアウトカムの盲検と非盲検の試験の評価についてシステマティックレビューを行った結果による。非盲検評価についてはバイアスを疑うことが賢明だとされているが、その影響については明らかではなかった。BMJ誌2012年3月17日号(オンライン版2012年2月27日号)掲載報告より。同じバイナリアウトカムによる盲検評価と非盲検評価のオッズ比を検証Hrobjartsson氏らは、PubMed、Embase、PsycINFO、CINAHL、Cochrane Central Register of Controlled Trials、HighWire Press, and Google Scholarから、同じバイナリアウトカムによる盲検と非盲検による無作為化試験を選出し、推定治療効果に及ぼす非盲検アウトカム評価者の影響を調べた。各々の試験について、非盲検評価者のオッズ比と盲検評価者のオッズ比とを比較し、その比率が<1の場合は、非盲検評価が盲検評価者よりも推定効果をオプティミステッィクに作成したことを示したとした。逆分散ランダム効果メタ解析による個々のオッズ比比率をプールし、メタ回帰分析によるオッズ比比率の変化の理由を調べ、また、盲検評価者と非盲検評価者間での一致率を分析し、バイアスを中和するための再分類に必要な患者数を割り出した。非盲検は平均36%過大に評価、一方で非盲検と盲検評価の一致率78%主要解析の対象となったのは21試験(4,391例)だった。そのうち8件は、個々の患者データが入手可能だった。また大部分の試験のアウトカムは、患者機能の質的評価など主観的なものだった。そのオッズ比比率は、0.02から14.4までの幅が認められた。また、プールされたオッズ比比率は0.64(95%信頼区間:0.43~0.96)であり、非盲検法ではオッズ比を平均36%過大に評価していることが示された。オッズ比比率の低値と主観的アウトカムとの有意な関連は認められなかった(P=0.27)。試験への非盲検評価者の全体的な関与(P=0.60)、また、非盲検被験者のアウトカムに対する脆弱性についても(P=0.52)、有意な関連は認められなかった。データが活用できた12件の試験では、盲検評価者と非盲検評価者の評価の一致率は、中央値78%だった(四分位範囲:64~90%)。また、非盲検評価者による治療効果の過大評価は、1試験で中央値3%(1~7%)の評価患者の誤分類によるものであることが示された。Hrobjartsson氏は、「非盲検のアウトカム評価は大幅なバイアス効果をもたらしているが、一方で、盲検評価者と非盲検評価者との高いアウトカムの一致が認められ、わずかな患者の誤分類によって修正されるものである」と結論している。

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ACC 2012 速報 "On-pump" CABGに対する "Off-pump”の優越性示せず:CORONARY試験

わが国の冠動脈バイパス術(CABG)において、off-pump CABGの施行数はon-pumpをしのぐ。一方、off-pumpの予後改善作用がon-pumpを超えるとのエビデンスはない。Late Breaking Clinical Trialsセッションで報告されたCORONARY試験(CABG Off or On Pump Revascularization Study)もまた、off-pumpとon-pumpを比較した過去最大の試験ながら、off-pumpの優越性は証明されなかった。カナダ・マクマスター大学のAndré Lamy氏が報告した。CORONARY試験の対象は、正中胸骨切開によるCABGの適応がある4,752例。いずれも、「末梢血管疾患」、「腎機能低下」、「70歳以上」、「70歳未満だが危険因子保有」などのリスクを有する。試験開始時の平均年齢は68歳、男性が80%を占めた。EuroSCOREは「0~2」〔低リスク〕が3割弱、「3~5」〔中等リスク〕が半数強だった。また、40%弱は緊急手術例である。さらに、60%近くが3枝病変、20%弱が2枝病変例だった。これら4,752例が、”Off-pump”CABG群(2,375例)と"On-pump"CABG群(2,377例)に無作為化された。CABG術者は、off-pump、on-pumpともそれぞれ100例以上の経験がある、2年以上のキャリアを有する心臓外科医である。この点は、先に報告されているROOBY試験と大きく異なる。30日間追跡後、一次評価項目である「死亡、脳卒中、非致死性心筋梗塞、新規腎不全」発生率は、off-pump群:9,8%、on-pump群:10.3%で両群間に有意差はなかった(ハザード比:0.95、95%信頼区間:0.79~1.14、p=0.59)。内訳を比較しても、いずれかの群で有意に減少していたイベントはなかった。ただし、血行再建術再施行は、off-pump群で有意に多かった。一方、輸血の必要、急性腎傷害はon-pump群で有意に多かった。Lamy氏は上記から、「熟練者が行う限り、off-pump、on-pumpいずれのCABGも合理的な選択肢」と結論した。これに対し壇上のパネリストからは「本試験はoff-pumpの優越性を証明できなかっただけであり、off-pumpとon-pumpの同等性は証明されているのか」との疑問の声があがった。確かに、当初仮説は「off-pump群で28%のリスク減少が見られる」というものである。これに対しLamy氏は、両群の結果の類似性を強調していた。なお、本試験には、もう一つの一次評価項目、「5年間の死亡、脳卒中、非致死性心筋梗塞、新規腎不全と冠血行再建術再施行」が設定されている。長期追跡によりoff-pumpとon-pumpの予後に差がつく可能性は否定できない。公表予定は2016年。結果が待たれる。

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両腕のSBP差15mmHg以上、血管疾患や死亡の指標に

両腕の収縮期血圧(SBP)の差が10mmHg以上の場合、末梢血管疾患などを想定した精査が必要で、差が15mmHg以上になると血管疾患や死亡の指標となる可能性があることが、英エクセター大学のChristopher E Clark氏らの検討で示された。末梢血管疾患は心血管イベントや死亡のリスク因子だが、早期に検出されれば禁煙、降圧治療、スタチン治療などの介入によって予後の改善が可能となる。両腕のSBP差が10~15mmHg以上の場合、末梢血管疾患や鎖骨下動脈狭窄との関連が指摘されており、これらの病態の早期発見の指標となる可能性があるという。Lancet誌2012年3月10日号(オンライン版2012年1月30日号)掲載の報告。両腕の血圧差と血管疾患、死亡率との関連をメタ解析で検証研究グループは、両腕の血圧差と血管疾患、死亡率との関連を検証するために、系統的なレビューとメタ解析を行った。Medline、Embase、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literatureなどの医学関連データベースを検索して、2011年7月までに公表された文献を抽出した。対象は、両腕のSBPの差と鎖骨下動脈狭窄、末梢血管疾患、脳血管疾患、心血管疾患、生存のデータを含む論文とした。変量効果を用いたメタ解析を行い、両腕のSBP差と各アウトカムの関連について評価した。10mmHg以上の差があると、鎖骨下動脈狭窄のリスクが約9倍に28編の論文がレビューの条件を満たし、そのうち20編がメタ解析の対象となった。血管造影法を用いた侵襲的な試験では、狭窄率>50%の鎖骨下動脈狭窄の患者における両腕のSBP差の平均値は36.9mmHg(95%信頼区間[CI]:35.4~38.4)であり、10mmHg以上の差は鎖骨下動脈狭窄の存在と強い関連を示した(リスク比[RR]:8.8、95%CI:3.6~21.2)。非侵襲的な試験の統合解析では、両腕SBPの15mmHg以上の差は、末梢血管疾患(RR:2.5、95%CI:1.6~3.8、感度:15%、特異度:96%)、脳血管疾患の既往(RR:1.6、95%CI:1.1~2.4、感度:8%、特異度:93%)、心血管死の増加(ハザード比[HR]:1.7、95%CI:1.1~2.5)、全死因死亡(HR:1.6、95%CI:1.1~2.3)と関連を示した。10mmHg以上の差は末梢血管疾患と関連した(RR:2.4、95%CI:1.5~3.9、感度:32%、特異度:91%)。著者は、「両腕のSBPの10mmHg以上または15mmHg以上の差は血管の精査を要する患者の同定に役立ち、15mmHg以上の差は血管疾患や死亡の有用な指標となる可能性がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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Y染色体ハプログループIの男性、冠動脈疾患リスクが有意に高い

Y染色体ハプログループIの男性は、他のY染色体系統の男性に比べ冠動脈疾患リスクが50%以上高いことが、オーストラリア・バララト大学のFadi J Charchar氏らの検討で示された。冠動脈疾患の発生率や有病率には性差がみられ、男性は女性に比べて頻度が高い。Y染色体の主要部分(男性特異的領域:MSY)は父親から息子へと完全なかたちで伝えられるが、Y染色体が心血管系(心血管死や血圧など)や血中コレステロール濃度に影響を及ぼすことを示すデータが報告されているという。Lancet誌2012年3月10日号(オンライン版2012年2月9日号)掲載の報告。約3,200人の男性で冠動脈疾患とY染色体の関連を評価研究グループは、性差による不均衡に基づき、冠動脈疾患におけるY染色体の役割について検討した。対象は、3つのコホート(British Heart Foundation Family Heart Study[BHF-FHS]、West of Scotland Coronary Prevention Study[WOSCOPS]、Cardiogenics Study)に登録された生物学的に血縁関係のないイギリス人男性3,233人。Y染色体のハプログループと冠動脈疾患のリスクの関連を評価し、次いでこのY染色体の系統と冠動脈疾患の発現の関連について検討した。さらに、単球やマクロファージのトランスクリプトーム(特定の状態にある細胞内のすべての遺伝子転写産物[mRNA]を要素とする集合)に及ぼすY染色体の影響について機能分析を行った。炎症や免疫関連遺伝子との相互関連も同定された9つのハプログループのうち2つ(R1b1b2とI)が、Y染色体の約90%に認められた。ハプログループIのキャリアは、他のY染色体系統に比べ冠動脈疾患の年齢調整リスクが50%以上高かった(BHF-FHSコホート:オッズ比[OR];1.75、95%信頼区間[CI];1.20~2.54、p=0.004、WOSCOPSコホート:OR;1.45、95%CI;1.08~1.95、p=0.012、2つのコホートの統合解析:OR;1.56、95%CI;1.24~1.97、p=0.0002)。ハプログループIと冠動脈疾患リスクの増加の関連には、従来の冠動脈リスク因子や社会経済的リスク因子の影響はなかった。Cardiogenics Studyコホートにおけるマクロファージのトランスクリプトーム解析では、ハプログループIと他のY染色体系統の男性間で発現状況が著しく異なる19の分子経路が同定されたが、これらは炎症や免疫関連遺伝子と相互関連を示し、そのうちいくつかはアテローム性動脈硬化と強い関連を示した。著者は、「ヒトのY染色体はヨーロッパ系の男性の冠動脈疾患リスクと関連しており、この関連性は免疫系や炎症との相互作用を介する可能性がある」と結論付けている。(菅野守:医学ライター)

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更年期症状に悩む女性に適切なアドバイス可能な研究成果が報告

女性が経験する自然閉経前後の症状を特徴づけ、症状のプロファイルや変遷別に階層化すること、また各症状プロファイルと社会統計学的因子や健康への取り組みとを関連づけることを目的とする前向きコホート研究が英国で行われた。同国University College and Royal Free Medical SchoolのGita D Mishra氏らによるもので、「医療従事者が自然閉経を迎えさまざまな症状を経験する女性に対し、個々に見合った適切なアドバイスを提供するのに役立つ結果が得られた」と報告している。BMJ誌2012年3月3日号(オンライン版2012年2月8日号)掲載報告より。47~54歳女性695例について閉経前後の不快症状を収集・分析Mishra氏らは、イングランド、スコットランド、ウェールズに住む女性の代表を対象とした全英代表コホート研究を行った。被験者は、1946年生まれの女性695例で、47~54歳で自然閉経を迎えるまでの間について追跡された。その間に収集された20の一般的な健康関連症状(睡眠障害、頭痛・関節痛、乳房痛、ほてりなど)について分析を行った。主要評価項目は、報告された長期にわたる不快症状プロファイルとした。その結果、20の症状のうち18の症状は、4つの症候群(精神的、身体的、血管運動性、性的不快感)に分類できた。潜在クラス分析の結果、身体的症候群を除くその他3群の症状については、閉経期における明白な関連性がかなりの女性で認められた。精神的、血管運動性、性的不快感の各症状について閉経期との関連性が明快に例えば、重度の精神的症状プロファイルが閉経時またはその後にピークが認められたが、その割合は小さかった(10%、n=63)。血管運動性症状は、閉経後早期にピークがあり、その後は顕著に減少していた早期重症プロファイルを示した女性が14%(n=83)いた一方で、閉経期に急増し、閉経後4年間以上やっかいな症状が続いた遅延性重症プロファイルを示した女性が11%(n=67)だった。また、重度の血管運動性症状は、非単純労働者階級(オッズ比:0.79、95%信頼区間:0.57~1.01)や、有資格・免許者(同:0.37、0.18~0.77)の場合は低かった。性的不快感に関しては、閉経までに症状が増大し閉経後も同程度持続していた遅延性重症プロファイルを示した女性が14%(n=85)だった。既婚女性は、遅延性の重度あるいは中程度のプロファイルを示す傾向が、その他の婚姻状態の女性と比べて認められた(同:2.40、1.30~4.41)。身体的症状は、軽度、中程度、重度、重篤の4つに特徴づけられたが、暦年齢や閉経時年齢分けはできなかった。

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心筋梗塞、女性は胸痛少なく、若年の院内死亡率は高率

女性の心筋梗塞は、男性に比べ胸痛のない割合が高く、若年での院内死亡率はより高いという特徴が明らかにされた。ただしこうした傾向は年齢によって変化し、65歳以上では、院内死亡率は男性のほうが高かった。米国・Watson Clinic and Lakeland Regional Medical CenterのJohn G. Canto氏らが、心筋梗塞の入院患者114万人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月22日合併号で発表した。胸痛のない心筋梗塞、女性が42%に対し男性は31%研究グループは、1994~2006年の心筋梗塞に関する全米の患者データベース、National Registry of Myocardial Infarctionに登録した、114万3,513人(女性48万1,581人、男性66万1,932人)について観察研究を行った。主要アウトカムは、胸痛のない心筋梗塞の予測因子と、年齢、性別と院内死亡率との関連だった。結果、胸痛のない心筋梗塞は、女性で42.0%(95%信頼区間:41.8~42.1)と、男性の30.7%(同:30.6~30.8)に比べ有意に高率だった(p<0.001)。この傾向は、年齢が若いほど顕著に認められた。女性の男性に対する、胸痛が認められない点に関する年齢毎の補正後オッズ比は、45歳未満で1.30(同:1.23~1.36)、45~54歳で1.26(同:1.22~1.30)、55~64歳で1.24(同:1.21~1.27)、65~74歳で1.13(同:1.11~1.15)、75歳以上で1.03(同:1.02~1.04)であり、性別と年齢の2要素の連関は、有意に胸痛のない心筋梗塞を予測した(P<0.001)。院内死亡率、54歳までは女性が、65歳以上は男性がそれぞれ高率院内死亡率は、女性が14.6%と、男性の10.3%より高率だった。若い女性で胸痛がない場合は、若い男性で胸痛がない場合に比べて院内死亡率は高く、年齢が上がるにつれてこの傾向は薄れ、55~64歳で同等にない、65~74歳と75歳以上では逆転した。胸痛がない場合の院内死亡に関する、女性の男性に対するオッズ比は、45歳未満が1.18(同:1.00~1.39)、45~54歳が1.13(同:1.02~1.26)、55~64歳が1.02(同:0.96~1.09)、65~74歳が0.91(同:0.88~0.95)、75歳以上が0.81(同:0.79~0.83)であり、性別と年齢、胸痛の3要素は、有意に死亡を予測した(p

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ここがポイント!第76回日本循環器学会学術集会

2012年3月16日(金)~18日(日)の3日間、第76回日本循環器学会学術集会(JCS)が開催される。開催に先立ち2月29日(水)に都内でプレスカンファレンスが行われ、会長の鄭 忠和氏(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学 教授)が今回の学術集会のみどころを語った。【大筋でつかむ、本学会のみどころ】新幹線が全線開通し、全県に空港も整備される九州はアジアの交流拠点として急速に活性化している。今回の学会は、そんなアジアの窓口、福岡で開催される。『愛と情熱: アジアから世界へ』をメインテーマに掲げるだけに各国との交流が期待される。【4つの会長特別企画】会長特別企画は以下の4つを予定。 1.第16回アジア太平洋ドップラー・心エコー図学会との同時開催2.久山町研究50周年記念シンポジウム3.東南アジア諸国12カ国の若手医師による症例発表「Asian Joint Case-Conference」4.日野原重明氏の100歳記念講演:『後輩へのメッセージ‐私が生涯を通して学んだこと‐』中でも久山町研究50周年記念シンポジウムでは、半世紀にわたる偉大な研究成果を確認できると期待される。また若手医師による症例発表ではアジア各国の医師の間で活発な交流が実現するだろう。【今年の真下記念講演・美甘レクチャーは?】17日午前には2010年のノーベル化学賞受賞者、鈴木章氏による真下記念講演も予定。研究者である鈴木氏の話に注目が集まりそうだ。鈴木氏の講演の後に予定される、心エコー図学の世界的権威であるPravin M. Shah氏(Hoag Heart Valve Center,米国) による美甘レクチャーも必見である。【「特別講演」では海外の一流医師が発表 】海外の一流医師が行う特別講演にも注目だ。ハーバード大学(米国)のEugene Braunwald博士の衛星中継(16日午前)や、ブルガダ症候群で知られるバルセロナ大学(スペイン)Josep Brugada教授の特別講演(17日午後)など、海外の一流医師の講演を聴く機会が設けられる。【東日本大震災を受けた発表も予定】また、東日本大震災の経験を踏まえ、震災と循環器疾患の関係についての発表も予定されている。Late Breaking Clinical Trials 3 (18日午前)では、東北大学 下川氏による「The East Japan Earthquake Disaster and Cardiovascular Diseases」 が予定されるほか、18日午後のセッションでも「震災時の心血管イベントへの対応」が取り上げられる予定である。【新研修医制度の抱える問題点をクローズアップ】そのほか変わり種だが、17日の午後に予定されるMeet the Expert6 「新研修医制度による地方医療の崩壊」では、厚生労働省 医政局医事課医師臨床研修推進室の植木氏が講演する。厚生労働省職員である植木氏の講演は、質疑応答も含め注目したい。このように今回も、魅力的な演題が多数予定されている。メインテーマの『愛と情熱』にふさわしい、熱く刺激的な学術集会が期待できそうである。【JCS参加者は、こちらの情報もチェック】今回の学会から「電子抄録アプリ」が採用されている。会場には無線LANコーナーがあり、スマートフォンやタブレット端末を用いれば、会場内でも気になるセッションや演題の検索ができる。登録セッションの10分前にアラームメールが送信されるので、聴き逃す心配はなくなりそうだ。なお、抄録集は今年から冊子ではなくCD-ROMでの販売になる。その場で内容を確認したい方にはCD-ROM再生用のデバイスを持参することをお勧めする。【鹿児島グルメと会場間の移動手段について】3月16日(金)~18日(日)の3日間、マリンメッセ福岡では、主催校がある鹿児島の味を提供する「鹿児島グルメ横丁」が開催される。本場の鹿児島食文化をリーズナブルに体験する機会となるだろう。「鹿児島グルメ横丁」のあるマリンメッセ福岡と福岡国際会議場とは少々距離があるが、開催期間中は参加者専用移動サービスとして無料ベロタクシーが用意される。ベロタクシーとは環境に優しい自転車タクシーのこと。運用台数に限りはあるがシャトルバス以外の移動手段として利用可能だ。【参加登録は前日がお勧め】初日の参加登録は混雑が予定されるが、会期前日の3月15日(木)14:00~21:00であれば、博多駅10FのJR博多シティ会議室でも参加受付が可能 (ただし、日本循環器学会会員、非会員医師および医療関係者のみの受付)。前日の夜に早めの受付を済ませておくことで、初日から時間を有効に使えるのではないだろうか。第76回日本循環器学会学術集会(JCS)を開催初日から満喫し、会場で有意義な時間を過ごすための手段としてご提案したい。 《関連コンテンツ》「ケアネットフラッシュ」3月16日~開催!第76回JCSの見どころhttp://www.carenet.com/utility/carenetflash/movie/04.html(ケアネット 佐藤寿美)

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大腸内視鏡的ポリープ切除、大腸がん死亡を長期に予防

大腸腺腫性ポリープの内視鏡的切除は、長期的に大腸がんによる死亡を予防し得ることが示された。米国・マウントサイナイ医療センターのAnn G. Zauber氏らが、全米ポリープ研究(National Polyp Study;NPS)の被験者を23年にわたり前向きに追跡し、内視鏡的ポリープ切除が大腸がん死亡に与える長期的な影響について解析した結果による。NEJM誌2012年2月23日号掲載報告より。NPS参加者を23年間前向きに追跡研究グループは、1980~1990年の間に、NPS参加医療施設で初回大腸内視鏡検査を受け、ポリープ(腺腫性と非腺腫性)が認められたすべての患者を解析の対象とした。死亡の確認と死因の判定はNational Death Indexに基づいて行われ、フォローアップは23年間に及んだ。解析は、腺腫性ポリープを除去した患者の大腸がん死亡率について、一般集団における大腸がん発生率に基づく期待死亡率[SEER(Surveillance Epidemiology and End Results)プログラムで推定]、および非腺腫性ポリープ患者(内部対照群)の観察から推定された大腸がん死亡率と比較した。内視鏡的ポリープ切除で大腸がん死亡率は53%低下本研究への参加期間中に腺腫を除去したのは2,602例で、そのうち中央値15.8年後に、1,246例は何らかの原因によって死亡しており、大腸がんで死亡したのは12例だった。一方、一般集団の大腸がんによる死亡は推定25.4で、大腸内視鏡的ポリープ切除による発生率ベースの標準化死亡指数は0.47(95%信頼区間:0.26~0.80)であり、死亡率の53%低下が示唆された。ポリープ切除後の当初10年間の大腸がん死亡率は、腺腫性ポリープ患者と非腺腫性ポリープ患者とで同程度だった(相対リスク:1.2、95%信頼区間:0.1~10.6)。(朝田哲明:医療ライター)

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医学ジャーナルのプレスリリースは、新聞報道に影響するか?

医学ジャーナルが特定の論文について発表したプレスリリースの質が高い場合は、それを報じる新聞記事の質も高くなるが、プレスリリースの質が低ければ関連新聞記事の質も低下することが、米在郷軍人局医療センターのLisa M Schwartz氏らの調査で明らかとなった。医学ジャーナルが発行するプレスリリースには質のばらつきがみられ、重要な要素が除外されたり、試験の重大な限界を伝えていないことが多いという。これらのプレスリリースが、新聞報道の質に及ぼす影響は不明であった。BMJ誌2012年2月18日号(オンライン版2012年1月27日号)掲載の報告。プレスリリースが新聞記事の質に及ぼす影響を後ろ向きに評価研究グループは、医学ジャーナルによるプレスリリースの質が、新聞の関連記事の質に及ぼす影響を評価するために、レトロスペクティブなコホート試験を実施した。医学ジャーナル主要5誌(Annals of Internal Medicine、BMJ、Journal of the National Cancer Institute、JAMA、New England Journal of Medicine)を2009年1月号から順に古い号へとレビューし、アウトカムの定量化が可能で、新聞で報道(100語以上の独自記事)された最新の原著論文100編を抽出した。オンラインデータベース(Lexis Nexis、Factiva)を検索して759本の新聞記事を同定し、Eurekalertと当該ジャーナルのウェブサイトを検索して68本のプレスリリースを抽出した。2名の研究者が別個に、論文、プレスリリース、関連新聞記事のサンプル(343本)の質の評価を行った。プレスリリース発表論文の新聞掲載率は71%1編の論文に関する新聞記事数の中央値は3本(1~72)であった。解析の対象となった新聞記事343本のうち、71%は医学ジャーナルがプレスリリースを発表した論文に関するものだった。絶対リスクを明示した主要結果を掲載した記事は、プレスリリースにその情報がない場合は9%、それがある場合は53%で(相対リスク:6.0、95%信頼区間:2.3~15.4)、プレスリリースそのものがない場合は20%であった(同:2.2、0.83~6.1)。記事の39%(133本)は有益な介入に関する研究を報じるものだった。プレスリリースが有害性に触れていない場合でもそれを報じた記事は24%で、プレスリリースが触れている場合は68%が有害性を報じており(相対リスク:2.8、95%信頼区間:1.1~7.4)、プレスリリースがない場合は36%であった(同:1.5、0.49~4.4)。研究に重大な限界がある場合にそれを報じた記事は75%(256本)であった。プレスリリースがそれに触れていなくても限界について報じた記事は16%、プレスリリースが触れていれば48%が報じていて(相対リスク:3.0、95%信頼区間:1.5~6.2)、プレスリリースが発表されていなくても限界を記載したのは21%だった(同:1.3、0.50~3.6)。これらの結果から、著者は「医学ジャーナルが発表した質の高いプレスリリースは関連新聞記事の質を高め、プレスリリースの質が低ければ新聞記事の質も低下すると考えられる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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成人とは異なる小児の肺高血圧症の臨床的特徴が明らかに

小児の肺高血圧症では、肺動脈性肺高血圧症(PAH)が多く、その半数以上を特発性(IPAH)や家族性(FPAH)が占めるなど、成人とは異なる臨床的特徴を示すことが、オランダ・フローニンゲン大学のRolf M F Berger氏らの検討で明らかとなった。肺血管抵抗増加をともなう肺高血圧症は、高い合併症罹患率や死亡率を示す重大な疾患だが、その臨床的特徴は十分には知られていない。成人と小児では病理生物学的、臨床的特徴が類似する部分もあるが、たとえばIPAHやFPAHは小児のほうが予後不良であり、成人に比べ治療法の開発も遅れているため、分けて考える必要があるという。Lancet誌2012年2月11日号(オンライン版2012年1月11日号)掲載の報告。19ヵ国31施設が参加する国際的レジストリー研究Tracking Outcomes and Practice in Pediatric Pulmonary Hypertension(TOPP)は、小児肺高血圧症の人口学的背景、治療、アウトカムに関する情報の提供を目的とする国際的な前向きレジストリー研究。2008年1月31日の開始から2010年2月15日までに、19ヵ国31施設から肺高血圧症または肺血管抵抗増加と診断された18歳未満の患者が登録された。患者背景および疾患特性として、診断時と登録時の年齢、性別、人種、主症状、肺高血圧症分類、併存疾患、病歴、家族歴、血行力学的指標、WHO機能分類クラスなどが記録された。フォローアップの決定は、個々の患者の医療ケアの必要性に応じて主治医が行った。88%がPAH、その57%がIPAHまたはFPAH、特定疾患によるものは先天性心疾患が多数456例が登録され、362例(79%)が肺高血圧症と確定された。317例(88%)がPAHと診断され、そのうち182例(57%)が特発性(IPAH)または家族性(FPAH)で、他の特定の疾患に起因した135例(43%)のうち115例(85%)は先天性心疾患が原因であった。42例(12%)は呼吸器疾患あるいは低酸素症に起因する肺高血圧症で、その多くに気管支肺異形成がみられた。慢性血栓塞栓性肺高血圧症あるいは他の原因による肺高血圧症は3例のみであった。染色体異常(主に21トリソミー)は47例(13%)で報告された。診断時年齢中央値は7歳(IQR:3~12)、59%(268/456例)が女児であった。呼吸困難と疲労が最も頻度の高い症状だったが、IPAHまたはFPAHの31%(57/182例)と、手術を受けた先天性心疾患患者の18%(8/45例)に失神が認められた。手術を受けていない先天性短絡性心疾患患者では失神はみられなかった。362例中230例(64%)は、重篤な肺高血圧症にもかかわらずWHO機能分類クラスI/IIであり、右心機能は一貫して保持されていた。著者は、「TOPP研究によって、小児肺高血圧症に特有の重要な臨床的特徴が同定された。これは、成人の試験のデータを外挿するよりも、小児特有のデータの必要性に関心を促すものだ」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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軽度~中等度パーキンソン病患者に太極拳が有益

軽度~中等度のパーキンソン病患者に対し太極拳トレーニングを行うと、平衡障害が軽減し、運動能力の向上および転倒の減少という付加的なベネフィットが得られることが報告された。米国・ウィラメット大学のFuzhong Li氏らが行った無作為化試験の結果による。パーキンソン病患者では平衡障害が著しく、運動能力の低下と転倒リスクの増加が知られる。医療提供者によって常に運動が推奨されてきたが、これまで効果が実証された運動プログラムはほとんどなかった。NEJM誌2012年2月9日号掲載報告より。可動域と方向制御についてベースラインからの変化を比較研究グループは、オーダーメードの太極拳プログラムが特発性パーキンソン病患者の姿勢制御能力を高めることができるかどうかを評価する無作為化対照試験を行った。ホーエン・ヤールの重症度分類(1~5の範囲で、数値が大きいほど重篤であることを示す)で病期1~4の患者195例を、太極拳群、筋力トレーニング群、ストレッチ群の3つのプログラム群に無作為に割り付け、24週間にわたり、毎週2回60分の運動セッションが行われた。主要評価項目は、安定性限界テスト結果(Limits-of-Stability Test、最大可動域と方向制御について、範囲:0~100%)のベースラインからの変化量とした。副次評価項目は、歩行(歩幅と速度)、筋力(膝の伸筋・屈筋)、FRT(Functional-Reach test)とTUG(Timed Up-and-Go)の評価スコア、パーキンソン病評価統一尺度における運動スコア、転倒回数などだった。太極拳、最大可動域と方向制御はストレッチ、筋トレより優れる結果、最大可動域と方向制御について、太極拳群が、筋力トレーニング群、ストレッチ群より一貫してよい成績が示された。ベースラインからの変化量の群間差は、最大可動域が、対筋力トレーニング群5.55ポイント(95%信頼区間:1.12~9.97)、対ストレッチ群11.98ポイント(同:7.21~16.74)、方向制御が、それぞれ10.45ポイント(同:3.89~17.00)、11.38ポイント(同:5.50~17.27)だった。また太極拳群は、すべての副次評価項目について、ストレッチ群より成績がよかった。歩幅とFRTについては、筋力トレーニング群よりも成績が上回っていた。転倒の発生率は、太極拳群は他の2群より低かった。その差はストレッチ群とは有意だったが、筋力トレーニング群とは有意差ではなかった。太極拳訓練の効果は介入後3ヵ月間持続し、重篤な有害事象は観察されなかった。(朝田哲明:医療ライター)

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ポーランドのCHD死低下、リスク因子低減とEBMの寄与が大

ポーランドでは、2005年の冠動脈心疾患(CHD)による死亡数が1991年に比べて半減し、その要因は主要なリスク因子の低減とEBMの進展による治療法の進歩であることが、グダニスク医科大学のPiotr Bandosz氏らの検討で示された。ポーランドでは、1980年代にみられた若年層の心血管死の急増傾向が、市場経済導入後の1990年代初頭には急速に減少したという。社会経済的な変革によって、ライフスタイルの大きな変化や医療システムの実質的な改善がもたらされたと考えられる。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載の報告。CHD死低下の要因をモデル研究で評価研究グループは、1990年代初頭の政治的、社会的、経済的な変革を経たポーランドにおけるCHD死の急激な低下が、薬物療法や手術、心血管リスク因子の変化でどの程度説明が可能かを評価するために、モデルを用いた研究を行った。1991~2005年における25~74歳の地域住民を対象とし、解析には対照比較試験やメタ解析、全国調査、公式の統計解析などのデータを使用した。女性では血圧低下が、男性では喫煙率低下が良好な影響示すポーランドにおけるCHDによる死亡率は1991~2005年の間に半減し、2005年には25~74歳の集団のCHD死が2万6,200件減少した。このうち約91%(2万3,715件)が使用したモデルで説明可能だった。このCHD死低下の約37%は、心不全治療(12%)、急性冠症候群の初期治療(9%)、心筋梗塞や血行再建術後の2次予防治療(7%)、慢性狭心症治療(3%)、その他(6%)によるものであった。また、約54%はリスク因子の変化によるもので、総コレステロール値の低下(39%)と余暇の身体活動の増加(10%)が主であった。BMIや糖尿病の発症率は増加しており、死亡率には悪い影響を及ぼしていた(それぞれ-4%、-2%)。女性では、死亡率低下の約29%が血圧低下によるものであったが、男性の血圧は上昇しており、死亡率は増加していた(-8%)。男性では、観察された死亡率低下の約15%が喫煙率の低下に起因していたが、女性における喫煙の影響はわずかであった。著者は、「ポーランドでは、2005年のCHDによる死亡率が1991年に比べて半減し、その要因として主要なリスク因子の低減が半分以上を占め、約3分の1はEBMの進展による治療法の進歩に起因していた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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経口抗凝固療法の自己モニタリング、血栓塞栓イベントを低減

患者自身が検査や用量の調整を行う自己モニタリングによる経口抗凝固療法は、本療法が適応となる全年齢層の患者において安全な治療選択肢であることが、英国・オックスフォード大学のCarl Heneghan氏らの検討で示された。ビタミンK拮抗薬による経口抗凝固療法を受ける患者は増加し続けているが、治療域が狭いため目標とする国際標準化比(INR)を維持するには頻回の検査や適切な用量の調整などを要するという問題がある。自己モニタリングは、その有効性を示す優れたエビデンスがあるものの、臨床導入には相反する見解がみられるという。Lancet誌2012年1月28日号(オンライン版2011年12月1日号)掲載の報告。自己モニタリングの意義を検証するメタ解析研究グループは、経口抗凝固薬の患者自身による自己モニタリング(自己検査[検査は患者が行い用量は医師が決める]または自己管理[検査、用量調整とも患者が行う])の意義を検証するために、自己モニタリングと医師によるモニタリングの有効性を比較した無作為化試験のメタ解析を行った。Ovid versions of Embase(1980~2009年)とMedline(1966~2009年)を検索し、Cochrane Central Register of Controlled Trialsなどで検索結果を調整した。UK National Research Register and Trials Centralなどで未出版の試験も検索した。抽出された全試験の著者と連絡を取り、死亡までの期間、初回大出血、初回血栓塞栓イベントに関する個々の患者データの提供を求めた。機械弁置換や心房細動の患者についても解析した。年齢別、対照群のケアのタイプ(抗凝固療法専門施設とプライマリ・ケア施設)、自己検査と自己管理、性別について、事前に規定されたサブグループ解析を行った。変量効果モデルで統合ハザード比(HR)を算出した。 血栓塞栓イベントが半減、特に55歳未満と機械弁置換患者で高い効果1992~2006年に患者登録がなされ、2000~2010年に発表された11試験(6,417例、1万2,800人・年)が解析の対象となった。全体の平均年齢は65.0歳(17~94歳)、女性が22%、心房細動患者は53%、機械弁置換患者は35.0%であった。血栓塞栓イベントは、医師によるモニタリング群に比べ自己モニタリング群で有意に減少した(HR:0.51、95%信頼区間[CI]:0.31~0.85)が、大出血(同:0.88、0.74~1.06)と死亡率(同:0.82、0.62~1.09)は両群間に差はみられなかった。特に、55歳未満の患者(HR:0.33、95%CI:0.17~0.66)と機械弁置換患者(同:0.52、0.35~0.77)で血栓塞栓イベントの抑制効果が高かった。85歳以上の患者(99例)では、自己モニタリングによる合併症の増加はみられず、死亡率は有意に低下した(同:0.44、0.20~0.98)。著者は、「経口抗凝固療法の自己検査および自己管理は、本療法が適応となる全年齢層の患者において安全な治療選択肢である」と結論し、「自己管理の選択肢は、適切な医療支援による保護の元で患者に提供すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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重大な食品汚染物質PFCは、子どものワクチン接種効果を半減

重大な食品汚染物質であることが明らかとなっているペルフルオロ化合物(PFC)は、子どもの免疫力を低下することが明らかとなった。米国・ハーバード大学公衆衛生院のPhilippe Grandjean氏らが、約600人の子どもの血中PFC値とワクチン効果との関連について行った、前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、5歳時で同値が高い子どもは、7歳時のジフテリアや破傷風抗体レベルの低下するなどが認められたという。PFCは防水・防虫剤として食品包装材などに広く使われている。これまでの研究で、免疫応答が低下した齧歯目モデルの血中濃度と同レベルの血中濃度が米国人においても認められるが、PFC曝露の健康被害への影響については十分には解明されていなかった。JAMA誌2012年1月25日号掲載報告より。出生前後の血中PFC値と、5歳、7歳時の血中ワクチン抗体レベルとの関連を分析研究グループは、PFC曝露が幼児期のワクチン接種に対する免疫応答に影響するかを調べるため、1999~2001年にかけて、フェロー諸島で生まれた単胎児656例について追跡調査を行った。被験児の母親について妊娠32週時点で、および出生した被験児が5歳時に血中PFC値の測定をそれぞれ行った。被験児は全員、ジフテリアや破傷風などの予防接種を受けており、その血中ワクチン抗体レベルを5歳時、7歳時に調べ、PFC値との関連を分析した。被験児のうち587例が2008年まで追跡された。母親の血中PFOSレベルが2倍高い群では、5歳時のジフテリア抗体濃度は39%減少結果、PFCのうち最も血中レベルが高かったのは、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA)だった。この結果は、以前に報告された弁国での研究結果と同じだった。母親のPFCレベルと5歳児の抗体レベルとの逆相関が最も強かったのは、PFOSレベルで、母親の同値が2倍増大すると、子どもの5歳時のジフテリア抗体レベルは、39%減少(95%信頼区間:-55~-17)した。また、子どもの5歳時の主なPFCレベルが2倍増大すると、7歳時のジフテリア・破傷風の抗体レベルは49%(同:-67~-23)減少した。5歳時点で血中PFOS濃度と血中PFOA濃度が2倍増大すると、7歳時の抗体レベルが臨床的防御値である0.1 IU/mLを下回るオッズ比は、ジフテリアについては2.38(同:0.89~6.35)、破傷風については4.20(同:1.54~11.44)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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前立腺生検、有害事象が再生検への消極性を招く

前立腺生検の忍容性は全般に良好だが、一部では疼痛や感染などの有害事象による重大な症状をもたらし、再生検に対する消極性や、プライマリ・ケアにおける医療資源の使用を促進することが、英国Sheffield大学のDerek J Rosario氏らが行ったProBE試験で明らかとなった。前立腺がんの診断では前立腺生検が重要だが、被験者の受容性(acceptability)や有害事象の影響、その結果としての医療資源の使用状況をプロスペクティブに検討した試験はほとんどないという。BMJ誌2012年1月21日号(オンライン版2012年1月9日号)掲載の報告。無作為化試験に組み込まれた前向きコホート研究ProBE(Prostate Biopsy Effects)試験は、進行中の多施設共同無作為化対照比較試験であるProtecT(Prostate Testing for Cancer and Treatment)試験の登録患者を対象に行われたプロスペクティブなコホート研究。経直腸的超音波ガイド下生検(TRUS-Bx)から35日以内に発現した有害事象の影響の評価を目的とした。ProtecT試験では、50~69歳の地域住民男性22万7,000人が前立腺特異抗原(PSA)検査のカウンセリングを受けるよう招聘された。そのうち11万1,148人がPSA検査を受け、PSA値 3~20ng/mLの1万297人がTRUS-Bxを推奨された。このうち、2006年2月~2008年5月までに8施設で抗菌薬併用下にTRUS-Bxを受けた1,753人(平均年齢:62.1歳、平均PSA値:5.4ng/mL)がProBE試験の適格例とされ、試験参加に同意した1,147人(65%、平均年齢:62.1歳、平均PSA値:4.2ng/mL)が登録された。生検時、7日目、35日目に、質問票を用いて疼痛、感染、出血の頻度と関連症状の影響を評価した。生検直後と7日目に再生検に対する患者の受容性を調査し、35日までの医療資源の使用状況を評価した。有害事象関連症状が大きな問題になることは少ない生検後35日までに疼痛を訴えたのは43.6%、発熱の訴えは17.5%、血尿が65.8%、血便が36.8%、血性精液は92.6%であった。これらの症状が中等度~重度の問題となったと答えた患者は少なく、疼痛が7.3%、発熱は5.5%、血尿は6.2%、血便は2.5%、血性精液は26.6%であった。生検直後に、中等度~重度の問題が生じた場合は再生検を考慮すると答えた患者は10.9%で、7日後には19.6%に増加した。再生検に対する消極的な姿勢は、初回生検時の好ましくない経験、特に生検時疼痛(p<0.001)、感染関連症状(p<0.001)、出血(p<0.001)と有意な関連がみられ、明らかな施設間差が認められた(p<0.001)。10.4%が医療施設(通常は担当GP)を受診しており、最も頻度が高かったのは感染関連症状であった。有害事象の重症度は再生検に対する消極的な姿勢と有意な関連を示した(p<0.001)。著者は、「前立腺生検は全般に良好な忍容性を示したが、一部では有害事象による重大な症状をもたらし、再生検への受容性やプライマリ・ケアにおける医療資源の使用に影響を及ぼした」と結論し、「有害事象プロフィールの施設間差は、局所麻酔薬や抗菌薬をより効果的に使用すれば患者のアウトカムが改善され、医療資源の使用が抑制される可能性を示唆する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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転移性乳がんに対する第一選択治療としてpertuzumab+トラスツズマブ+ドセタキセル併用療法

HER2陽性転移性乳がんに対する第一選択治療として、pertuzumab+トラスツズマブ+ドセタキセルの併用療法は、トラスツズマブ+ドセタキセルと比較して、心毒性作用の増加を伴うことなく有意に無増悪生存期間を延長したことが、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのJose Baselga氏らによる第3相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CLEOPATRA」の結果、報告された。pertuzumabは、トラスツズマブと相補的な作用機序を持つ抗HER2ヒト化モノクローナル抗体で、第2相試験で、両剤での併用療法が有望な活性作用と忍容可能な安全性プロファイルを示すことが報告されていた。NEJM誌2012年1月12日号(オンライン版2011年12月7日号)掲載報告より。pertuzumab+トラスツズマブ+ドセタキセル対プラセボ+トラスツズマブ+ドセタキセルCLEOPATRA(Clinical Evaluation of Pertuzumab and Trastuzumab)試験は、2008年2月~2010年7月にかけて25ヵ国204施設から登録されたHER2陽性転移性乳がん患者808例を対象に行われた。pertuzumab+トラスツズマブ+ドセタキセル(pertuzumab群、402例)またはプラセボ+トラスツズマブ+ドセタキセル(対照群、406例)のいずれかを第一選択治療となるよう被験者を無作為に割り付け、疾患増悪または有効的に管理できない毒性作用が発現するまで投与を継続した。主要エンドポイントは、独立に評価された無増悪生存期間とした。副次エンドポイントは、全生存期間、研究者が評価した無増悪生存、客観的奏効率、安全性とした。無増悪生存期間、プラセボ群12.4ヵ月に対しpertuzumab群18.5ヵ月に延長結果、無増悪生存期間の中央値は、対照群12.4ヵ月に対して、pertuzumab群は18.5ヵ月だった(増悪または死亡のハザード比:0.62、95%信頼区間:0.51~0.75、P<0.001)。全生存期間の中間解析の結果、pertuzumab+トラスツズマブ+ドセタキセルの優越性が強い傾向が示された。安全性プロファイルは全般的に両群で同程度であり、左室収縮期の機能障害の増加は認められなかった。また、グレード3以上の発熱性好中球減少症と下痢の発現率は、対照群よりpertuzumab群で高かった。(朝田哲明:医療ライター)

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治験報告、最も質が高いのは治験総括報告書

治験報告の質について、文書タイプ[治験レジストリ報告書(registry report)、治験総括報告書(clinical study report)、学術誌投稿論文]の違いを比較した結果、治験総括報告書が最も質が高いことが明らかにされた。ドイツ・Quality and Efficiency in Health Care研究所のBeate Wieseler氏らが後ろ向き解析の結果、報告した。レジストリ報告書と投稿論文については相互に弱い部分が異なり、レジストリ報告書は、アウトカムは十分報告されていたが方法論の報告は乏しく、学術誌はその反対であったという。BMJ誌2012年1月7日号(オンライン版2012年1月3日号)掲載報告より。治験報告内容の質を文書タイプの違いで比較Wieseler氏らは、治験報告の質について、実施された治験を評価するのに十分な情報が報告されているかを、文書タイプの違いで比較する検討を行った。ドイツ・Quality and Efficiency in Health Care研究所が行っている16の創薬医療技術評価から、2006年~2011年2月の間の主要研究と、関連している文書を収集した。それら各文書の研究報告と有効性報告の質について、方法論に関して6項目、アウトカムに関して6項目で評価を行い、「報告が完全である」と「報告が不十分」の2つに分けた。文書タイプごとに、方法論とアウトカムの報告が完全であった文書の割合を、項目ごとでおよび全体的に算出して、見いだされた所見を比較した。レジストリ報告書と投稿論文は、質の優劣項目が相互に逆転268の研究が検索され、解析に有効であったのは、投稿論文192(72%)、治験総括報告書101(38%)、レジストリ報告書78(29%)だった。結果、質が最も高かったのは治験総括報告書で、方法論およびアウトカムの全項目の約90%(1,086/1,212)について「情報が完全である」と評価された。レジストリ報告書は、アウトカム項目[全体の330/468(71%)]のほうが方法論項目[同147/468(31%)]より「情報が完全である」と評価された割合が高かった。投稿論文でも同様の傾向が認められた[594/1,152(52%)vs. 458/1,152(40%)]。マッチドペア分析の結果では、レジストリ報告書の質は、方法論およびアウトカムの項目全体で、治験総括報告書よりも劣っていた(各症例P<0.001)。一方でレジストリ報告書は、投稿論文と比べて、方法論項目全体では劣っていたが(P<0.001)、アウトカム項目全体では優れていた(P=0.005)。これら所見を踏まえてWieseler氏は最後に、「報告書を改善するには、結果登録の基準順守を世界的に義務化させる必要がある」とまとめている。

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プライマリ・ケア保健師の導入が非伝染性疾患の管理に有効

訓練を受けた地域保健師が、確立されたガイドラインに基づいて行うイランのプライマリ・ケア・システム(「Behvarzシステム」と呼ばれる)は、非伝染性疾患の予防や管理に有効なことが、イラン・テヘラン医科大学のFarshad Farzadfar氏らの調査で示された。イランなどの中所得国では、非伝染性疾患やそのリスク因子が疾病負担の主な要因となっている。非伝染性疾患やそのリスク因子の地域住民レベルにおけるマネジメントが、プライマリ・ケア・システムによって可能か否かに関するエビデンスはほとんどないという。Lancet誌2012年1月7日号(オンライン版2011年12月9日号)掲載の報告。Behvarzシステムの効果と地域保健師の数との関連を検討する観察試験研究グループは、イラン農村部の糖尿病および高血圧の管理におけるプライマリ・ケア・システム(Behvarzシステム)の効果を評価し、地域保健師の数との関連について検討する観察試験を行った。2005年非伝染性疾患サーベイランス調査(NCDSS)から、空腹時血糖(FPG)、収縮期血圧(SBP)、BMI、薬物の使用、社会人口学的変数のデータを得た。Behvarzの保健師数のデータは、2006年Population and Housing Censusおよび2005年Outpatient Care Centre Mapping Surveyから収集した。FPG、SBP、FPGとSBPの関連、Behvarzの保健師数を2つの統計学的手法を用いて解析した。保健師プログラムの数や範囲を拡張すべきNCDSSから25歳以上の6万5,619人(農村部地域:1万1,686人)のデータが得られた。このうちSBPのデータが6万4,694人(同:1万1,521人)から、FPGのデータは5万202人(同:9,337人)から得られた。糖尿病患者の39.2%、高血圧患者の35.7%が治療を受け、男性よりも女性で、農村部よりも都市部で受療率が高かった。治療により、平均FPGは農村部で1.34mmol/L低下し、都市部では0.21mmol/L低下した。治療を受けた都市部の高血圧患者は、治療を受けなかった患者に比べSBPが3.8mmHg低下した。成人1,000人当たりのBehvarz保健師が1人増えるごとに、地区平均でFPGが0.09mmol/L低下し(p=0.02)、SBPは0.53mmHg低下した(p=0.28)。著者は、「訓練を受けた地域保健師が、確立されたガイドラインに基づいて行うプライマリ・ケア・システムは、非伝染性疾患の予防や管理に有効である」と結論し、「イランのプライマリ・ケア・システムは、人員の少ない地域の診療能を改善するために、保健師によるプログラムの数や対象とする範囲を拡張すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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