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オキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者の症状を改善

 統合失調症患者に対して、オキシトシンを投与することで症状改善につながるとの先行研究がある。しかし、それらは短期間の研究にとどまっており、統合失調症患者に対するオキシトシン投与について、3週間超のエビデンスは存在しなかった。イラン・テヘラン医科大学Roozbeh精神病院のAmirhossein Modabbernia氏らは、リスペリドンによる治療を受けている統合失調症患者にオキシトシン鼻腔内スプレーを8週間併用し、有効性と忍容性についてプラセボと比較検討した。その結果、オキシトシン鼻腔内投与により統合失調症患者の症状、なかでも陽性症状が著明に改善されることを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2012年12月12日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症患者におけるオキシトシン鼻腔内スプレーの有効性と忍容性を評価することを目的とした、8週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験。DSM-IV-TRにて統合失調症と診断され、リスペリドン固定用量(5または6mg/日)の治療を少なくとも1ヵ月以上受けている患者40例(18~50歳男女)を対象とし、オキシトシン群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。オキシトシン鼻腔内スプレーは、最初の1週間は20 IU(5スプレー)を1日2回投与し、以降は40 IU(10スプレー)を1日2回、7週間投与した。ベースライン時、2、4、6、8週後に、陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Syndrome Scale:PANSS)により評価を行った。主要アウトカムは、治療終了時におけるPANSSスコアの2群間の差とした。主な結果は以下のとおり。・全患者がベースライン後1回以上の評価を受け、37例(オキシトシン群19例、プラセボ群18例)が試験を完了した。・反復測定分散分析によると、PANSS総スコア[F(2.291,87.065) = 22.124、p<0.001]および陽性スコア[F(1.285,48.825) = 11.655、p = 0.001]、陰性スコア[F(2.754,104.649) = 11.818、 p < 0.001]、総合精神病理[F(1.627,61.839) = 4.022、 p = 0.03]サブスケールについて、相互作用による有意な効果がみられた。・8週後までに、オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSサブスケールの陽性症状について著明かつ有意な改善を示した(Cohen's d=1.2、スコアの減少20%vs. 4%、p<0.001)。・オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSサブスケールの陰性症状(Cohen's d=1.4、スコアの減少7%vs. 2%、p<0.001)、総合精神病理(Cohen's d=0.8、スコアの減少8%vs. 2%、p=0.021)においても統計学的に有意な改善を示したが、臨床的にはその差が実感されなかった。・オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSの総スコア(Cohen's d=1.9、スコアの減少11%vs. 2%、p<0.001)において有意な改善を示した。・有害事象の発現状況は、2群間で同程度であった。・以上のことから、リスペリドン併用下のオキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者のとくに陽性症状を、忍容性を保ちつつ有効に改善することが示された。・本パイロット試験で得られた興味深い知見は、より大規模な母集団を用いて再現する必要がある。関連医療ニュース ・統合失調症治療にニコチン作動薬が有効である理由とは? ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

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中等度~重度のにきび、家族歴、BMI、食生活が影響?

 イタリアのAnna Di Landro氏らGISED Acne Study Groupは、にきびの原因には、遺伝的要因と環境的要因が関与している可能性があるとして、思春期および若年成人を対象に、それら要因と中等度~重度にきびリスクとの関係について調べた。その結果、家族歴とBMI、食事内容が中等度~重度にきびのリスクに影響を与えている可能性が示されたと報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌2012年12月号の掲載報告。 GISED(Gruppo Italiano Studi Epidemiologici in Dermatologia)は、中等度~重度のにきびの新規診断症例に関して、家族歴、個人の習慣、食事性因子、月経歴の影響を評価するため、イタリアの皮膚科外来診療所で症例対照研究を行った。 症例は、中等度~重度のにきびと新規診断された患者205例で、対照被験者は、にきび以外で受診した、にきびがない(あるいは、あっても軽症の)患者358例であった。 主な結果は以下のとおり。・中等度~重度のにきびは、一等親血縁者でのにきび既往歴と強い関連が認められた(オッズ比:3.41、95%CI:2.31~5.05)。・リスクは、BMIが低い人では低下し、女性よりも男性で顕著な影響が認められた。・喫煙による関連は、みられなかった。・牛乳を週に3ポーション以上消費する人では、消費量が多いほどリスクが上昇した(オッズ比:1.78、95%CI:1.22~2.59)。・その関連は、全乳よりもスキムミルクでより特徴的であった。・魚の消費は、保護作用と関連していた(オッズ比:0.68、95%CI:0.47~0.99)。・月経変数と、にきびリスクとの関連はみられなかった。・本試験は、皮膚科学的対照被験者の選択において、また対照群の軽症患者の組み込みで一部オーバーマッチングの可能性があった。・以上の結果から、家族歴、BMI、食生活は、中等度~重度にきびのリスクに影響する可能性があった。環境および食事要因による影響について、さらに調査を行う必要がある。

3723.

統合失調症治療にニコチン作動薬が有効である理由とは?

 米国・Western New York Stem Cell Culture and Analysis CenterのM.K. Stachowiak氏らは、マウス試験の結果、FGF受容体シグナル伝達の変異が統合失調症に結びつく発達異常の中心的な役割を果たしており、統合失調症の治療についてニコチン作動薬が有効であることを示唆する知見を得た。Schizophrenia Research誌オンライン版2012年12月8日号の掲載報告。 統合失調症は、複数の神経システムの構造や結びつき、化学的作用を特徴とする神経発達障害であり、脳の発達障害は、成人期の初期に表れる臨床的な疾患症状よりずっと以前の妊娠期間中に確立されるとみられている。一方で、統合失調症には多数の遺伝子が関連しており、大半の患者に共通してみられる変異遺伝子の存在が認められていない。著者は、さまざまな変異遺伝子が統合失調症患者の脳でみられる複合的な一連の障害にどのように結びつくのかを検証した。 主な内容は以下のとおり。・著者は、さまざまな変異遺伝子からつくられるタンパク質が、共通の神経発達経路に収束し、複数の神経回路や神経伝達システムの発達に影響するのではないかと仮説を立てた。・そのような神経発達経路は、Integrative Nuclear FGFR1 Signaling(INFS)であった。・INFSには多様な神経性シグナル(直接的な遺伝子再プログラミングで、有糸分裂後に肝幹細胞や神経前駆細胞、未成熟な神経細胞の成長に直接働きかける)が集積される。・さらに、FGFR1とそのパートナータンパク質は、統合失調症と結びついた遺伝子が機能する複数の上位経路と結びつき、それらの遺伝子と直接的に影響し合う。・FGF受容体シグナル伝達の障害があるトランスジェニックマウスにより、複数の重要なヒト擬態統合失調症の特徴(神経発生的成因、出生時の解剖学的異常、行動症状の遅延発症、疾患の複数領域にわたる欠損、定型・非定型抗精神病薬とセロトニン拮抗薬およびニコチン受容体作動薬による症状の改善)が実証された。関連医療ニュース ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 ・日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

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双極性障害の再発予防に対し、認知療法は有効か?

 双極性障害患者は薬物療法を継続してもなお、再発するケースが少なくない。再発抑制を目指し、近年注目されているのがマインドフルネス認知療法(MBCT)である。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のT Perich氏らは、12ヵ月間のフォローアップを行ったランダム化比較試験により、双極性障害患者の治療におけるMBCTの有用性を検証した。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年12月9日号の報告。 対象はDSM-IVで双極性障害と診断された患者95例。通常療法+MBCT実施群48例と通常療法単独群47例に無作為に割り付けた。主要評価項目は、DSM-IVの大うつ病、軽躁、軽躁エピソードの再発までの期間、モントゴメリー/アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)とした。副次的評価項目は再発回数、うつ病・不安ストレススケール(DASS)、特性不安尺度(STAI)とした。 主な結果は以下のとおり。・気分エピソードの最初の再発までの期間、12ヵ月間の再発合計回数は両群間で有意な差が認められなかった(ITT解析)。・MADRS、YMRSのスコアも両群間で有意な差は認められなかった。・STAIの不安状態スコアにおいては、両群間に有意な差が認められた。・DASSのアチーブメントサブスケールの治療反応時間に有意な差が認められた。・今回の試験では、MBCTは主要評価項目に対する有用性は認められなかったものの、双極性障害に併存する不安症状の軽減に対し有効である可能性が示唆された。関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける? ・双極性I型障害におけるアリピプラゾールの有効性-AMAZE試験より-

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前立腺がんに対する術後放射線療法の長期結果:EORTC trial 22911/Lancet

 前立腺がんに対する根治的前立腺全摘術後の放射線療法により、10年後の生化学的無増悪生存が経過観察よりも改善したが、有害事象の発現率が高く、70歳以上では死亡率が有意に上昇したことが、フランス・A Michallon大学病院のMichel Bolla氏らが実施したEORTC trial 22911の長期追跡の結果から明らかとなった。前立腺がんは前立腺被膜を超えて進展したり、精嚢浸潤がみられる場合(pT3)は局所再発リスクが10~50%と報告されている。本試験の5年の追跡結果では、術後放射線療法により生化学的および臨床的な無増悪生存がいずれも有意に改善することが示されている。Lancet誌2012年12月8日号(オンライン版2012年10月19日号)掲載の報告。無作為化第III相試験の長期追跡結果 EORTC trial 22911は、未治療の前立腺がんに対する術後放射線療法の有用性を、経過観察(wait-and-see)との比較において検討した無作為化対照比較第III相試験。研究グループは、今回、5年追跡時の成果が10年後も維持されているかについて解析を行った。 対象は、75歳以下、cT0~3、全身状態(PS)0~1の前治療歴のない前立腺がん患者で、術後放射線療法を施行する群と経過観察群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 放射線療法は根治的前立腺全摘術後16週以内に開始し、腫瘍床に5週間で総線量50Gyを25回分割照射した後、ブースト照射として1週間で10Gyを5回分割照射した。経過観察は、生化学的な病勢進行[2週間以上の間隔を空けた2回の検査で前立腺特異抗原(PSA)値が0.2μg/L以上上昇]が確認されるまで継続することとした。 主要評価項目は生化学的な無増悪生存のイベント発生率とした。臨床的無増悪生存は臨床検査および画像検査で評価した。70歳以上ではむしろ有害な可能性も 1992年11月~2001年12月までに欧州の37施設から1,005例が登録され、術後放射線治療群に502例(年齢中央値65歳、PS0 93.8%、短期的術前ホルモン療法10.0%、術前PSA中央値12.3μg/L)が、経過観察群には503例(同:65歳、94.0%、10.1%、12.5μg/L)が割り付けられた。追跡期間中央値は10.6年(2ヵ月~16.6年)だった。 術後放射線治療群の生化学的無増悪生存関連のイベント発生率は39.4%(198/502例)と、経過観察群の61.8%(311/503例)に比べ有意に良好であった[ハザード比(HR):0.49、95%信頼区間(CI):0.41~0.59、p<0.0001]。 晩発性の有害事象(全Grade)の10年累積発現率は、術後放射線治療群が70.8%(95%CI:66.6~75.0)と、経過観察群の59.7%(同:55.3~64.1)に比し有意に高かった(p=0.001)。 著者は、「中央値10.6年の追跡結果により、標準的な術後放射線療法は経過観察に比べ生化学的無増悪生存や局所コントロールを有意に改善し、5年追跡時の成果が10年後も維持されていたが、臨床的無増悪生存の改善効果は持続していなかった」と結論し、「探索的解析では、術後放射線療法により70歳未満および切除断端陽性例で臨床的無増悪生存が改善されたが、70歳以上の患者では死亡率が経過観察よりも有意に高く(p<0.0001)、むしろ有害な可能性が示唆された」と考察している。

3726.

手術待機中のOA患者が心に描く期待はICFモデルと合致

 変形性膝関節症(OA)患者が心に描く疾患描写(mental representations)は、国際生活機能分類(International Classification of Functioning Disability and Health:ICF)の機能・障害・健康モデルで用いられる用語と整合性が取れており、ICFの3つの構成概念(障害度、活動度、社会参加)がOA患者にとって重要であることが明らかにされた。英国・アバディーン大学のBeth Pollard氏らが、両者の一致について検証した研究の結果、報告した。Disability and Rehabilitation誌オンライン版2012年11月21日号の掲載報告。 本研究は、OA患者が心に描く疾患描写とICFモデルとの整合性について調べることを目的とし、人工関節置換術を受けることになっているOA患者202例を対象に郵送アンケートにて行われた。 アンケートでは被験者に、人工関節置換術に期待していることを尋ね、心に描く疾患描写(心象)を測った。2人の専門家が、それらを判定して、主要なICFの構成概念[障害(I)、活動性の制限(A)、社会参加への制限(P)]の該当項目に分類した。 主な結果は以下のとおり。・2人の専門家による判定の一致度は高かった。また、各ICF構成概念に分類された被験者の心的表象数は同程度であった。・手術待機中の患者の心象と、主なICFモデルのバイオメディカルな路線とは一致していた(IからA、次いでPへなど)。・そのことは、OA患者は暗黙のうちに、バイオメディカルな障害発生モデルを適用していることを示唆した。そのモデルは、治療や介入が、障害から回復するためだけでなく、活動性の制限、さらには間接的に社会参加への制限に効果をもたらす可能性があるというものであった。・一方で、その方法は、ICFモデルの3つの構成概念の発生要因の関連を調べる新たな道筋を提供するものでもあった。

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検証!結婚できない男性の精神的健康状態

 中国は100人の女性あたり118人の男児を出産する、世界中で最も男児の出生が過剰な国であり、現在、生殖年齢に達する男性は2,000万人も過剰となっている。そのため、結婚できない男性が少なくない。これらかなりの数の結婚できない男性の精神的健康(well-being)における影響は不明である。Xudong Zhou氏らは、30~40歳の未婚男性についてうつ病の発症リスク、自尊心、攻撃性に関する検証を行った。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2012年12月12日号の報告。 男性比率の高い農村部(雲南省と貴州省)で、自己記入式アンケートを用いた横断的調査を行った。評価には、ベックのうつ病調査票、Rosenbergの自尊心尺度、Bryant-Smithの攻撃性アンケートを用いた。 主な結果は以下のとおり。・30~40歳の未婚男性1,059名、既婚男性1,066名が調査を完了した。・未婚男性は既婚男性と比較して、経済的に劣っており、教育水準が低かった。・年齢、教育、所得を調整した結果、未婚男性は既婚男性と比較して、低い自尊心のスコア、高い抑うつスコア、高い攻撃性スコアを示す傾向が有意に高く、自殺念慮や自殺願望を有する傾向が高かった(各々p

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慢性不眠症患者の中途覚醒の原因は?

 これまで、慢性不眠症患者の中途覚醒の原因調査はほとんど行われていなかった。この度、米国・Sleep and Human Health InstituteのBarry Krakow氏らが慢性不眠症患者を前向きに調査した結果、報告した。Sleep誌2012年12月1日号の掲載報告。 調査は、地域密着型の民間睡眠医療センターで、不眠症患者を対象に、中途覚醒の原因を主観的および客観的に、前向きに評価し行われた。対象は、2008年4月~2010年2月の間に登録された慢性不眠症患者(不眠症疾患診断基準を満たす)20例、これまで睡眠専門医や睡眠検査の受診歴がなく、睡眠を障害する典型的な呼吸器症状もみられなかった患者である。被験者の不眠症、眠気、機能障害、不安、うつ症状、QOLについて規定スケールで評価し、覚醒に関する主観的理由をインタビューで評価するとともに、覚醒や不眠の誘発について客観的に評価した。 主な内容は以下のとおり。・主観的および客観的データは、臨床的に認められる不眠症の存在(主に睡眠維持障害)を示した。・自己申告による覚醒理由のうち、最も頻度が高かったのは、「原因不明(50%)」であり、次いで「悪夢(45%)」「夜間頻尿(35%)」「寝室が騒がしい(20%)」「疼痛(15%)」であった。また、呼吸器症状が原因であると回答した患者はいなかった。・客観的評価では、全サンプルから531件の覚醒エピソードが観察され、478件(90%)において睡眠時の呼吸イベント(無呼吸、低呼吸、呼吸努力に関連したイベント)が認められた。その他の覚醒因子は下肢の痙攣(7例)、特発性(14例)、ラボ誘発性(32例)であった。・5分間以上の覚醒(不眠エピソードの傾向といえる)は30例で、いずれも呼吸イベントに続いてみられた。関連医療ニュース ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続 ・夢遊病にビペリデンは有望!? ・睡眠時間が短いと脂質異常症のリスク上昇―日本の男性労働者を対象とした研究―

3729.

ヒスタミンは皮膚バリア機能を障害する? 顆粒層や角質層が50%減少

 ヒスタミンは、表皮ケラチノサイト分化を抑制し、皮膚バリア機能を障害するという新たなメカニズムが、ドイツ・ハノーバー医科大学のM. Gschwandtner氏らが行ったヒト皮膚モデルを用いた検討により示唆された。ケラチノサイト分化や皮膚バリアの障害は、アトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患の重大な特徴である。研究グループは、マスト細胞とその主要なメディエーターであるヒスタミンが炎症を起こした皮膚細胞に豊富に認められることから、それらが病因に関与している可能性について検討した。Allergy誌2013年1月号(オンライン版2012年11月15日号)の掲載報告。 研究グループは、ヒトの主要ケラチノサイトを、ヒスタミンの有無別による分化の促進状態下で、またヒスタミン受容体作動薬と拮抗薬による分化の促進状態下で培養した。そのうえで、分化に関連する遺伝子および表皮接合タンパク質の発現を、リアルタイムPCR、ウエスタンブロット、免疫蛍光検査ラベリングにより定量化した。 ヒトの皮膚モデルのバリア機能については、ビオチンをトレーサー分子として調べた。 主な結果は以下のとおり。・ヒトケラチノサイト培養組織および器官型皮膚モデルへのヒスタミン追加により、分化関連タンパク質ケラチン1/10、フィラグリン、ロリクリンの発現が、80~95%低下した。・さらに、皮膚モデルへのヒスタミンの追加により、50%の顆粒層の減少、および表皮と角質層の希薄化がみられた。・ヒスタミン受容体H1R作動薬2-pyridylethylamineのケラチノサイト分化の抑制は、ヒスタミンと匹敵するものであった。・同様に、ヒスタミン受容体H1R拮抗薬セチリジンは、ヒスタミンの作用を実質的に排除した。・タイトジャンクションタンパク質(TJP)のzona occludens-1、occludin、claudin-1、claudin-4)、およびデスモソーム結合タンパク質のcorneodesmosin、desmoglein-1はともに、ヒスタミンによって減少した。・トレーサー分子のビオチンは、ヒスタミンの発現が大きかった培養皮膚バリアのタイトジャンクションを容易に通過した。しかし、無処置のコントロール部分では完全に遮断された。

3730.

マンモ検診は、過剰診断を増やしただけ?/NEJM

 米国では1980年代からマンモグラフィによるスクリーニングが始まっており、その後の実施率増加とともに早期乳がん罹患率は大幅に増加したが、一方で進行期乳がん罹患率の減少は、ごくわずかであったことが報告された。また、マンモグラフィにより検出された早期乳がんの中には、その後臨床的症状を発症することがなかった、いわゆる過剰診断も多く、その数は過去30年間で130万人に上ると推定されたという。米国・Oregon Health and Science UniversityのArchie Bleyer氏らの調べで明らかになったもので、NEJM誌11月22日号で発表した。30年間で初期乳がん罹患率は10万人中122人増加 研究グループは、マンモグラフィ実施の乳がん発生率への影響を調べるため、サーベイランスや疫学調査などを元に、1976~2008年に40歳以上で乳がんの診断を受けた人について、早期乳がん(非浸潤性乳管がんと限局性がん)と進行期乳がん(局所性と遠隔転移)の罹患率を算出した。 その結果、早期乳がん罹患率は、1976年の女性10万人中112人から同234人へと、大幅に増大した(絶対増加幅:女性10万人中122人)。なかでも、1980年代から90年代初めにかけて、マンモグラフィによるスクリーニング実施率が増加するに伴い、早期乳がん罹患率も増加した。 一方で、進行期乳がんの罹患率は、女性10万人中102人から同94人へと、同期間で約8%の減少に留まった(絶対減少幅:女性10万人中8人)。乳がんの過剰診断、過去30年間で130万人 潜在的な疾病負担が変化していないと仮定すると、スクリーニングによりみつかるようになった早期乳がんのうち進行がんに進展したものの割合は、122人中8人に留まると考えられた。 ホルモン補充療法に関連した一時的な過剰罹患率などを補正した後、スクリーニングで検出されながらも、その後臨床的症状を発症しなかったであろうと考えられる、いわゆる乳がんの過剰診断を受けた人の数は、米国過去30年間で130万人に上ると見積もられた。また、2008年には、米国で乳がんの過剰診断を受けた女性は7万人で、乳がんの診断を受けた人の31%に上った。 これらの結果を踏まえて著者は「マンモグラフィ検診で早期乳がんの発見は大幅に増加したにもかかわらず、進行がんの受診率はわずかしか低下しないというアンバランスな状況が示された。どの状態の女性が影響を受けたのかは明らかではないが、新たに診断された乳がんのほぼ3分の1で大幅な過剰診断があり、マンモグラフィ検診の乳がん死亡率への影響はあったとしてもわずかであることが示唆された」と結論している。

3731.

アレムツズマブ、再発寛解型多発性硬化症の再発を抑制:CARE-MS I試験/Lancet

 活動性の早期再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の治療において、アレムツズマブ(alemtuzumab:国内未承認)はインターフェロンβ1aに比べ再発を有意に抑制するが、障害の集積の抑制効果には差がないことが、米国・クリーブランド・クリニックのJeffrey A Cohen氏らが行ったCARE-MS I試験で示された。ヒト化抗CD52モノクローナル抗体であるアレムツズマブは、血中のTリンパ球およびBリンパ球を枯渇させ、結果としてその再生を促すことで効力を発揮すると考えられる。未治療RRMSを対象とした第II相試験では、その疾患活動性の抑制効果が確認されている。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月1日号)掲載の報告。アレムツズマブの有用性を無作為化第III相試験で評価 CARE-MS I(Comparison of alemtuzumab and Rebif Efficacy in Multiple Sclerosis)試験は、未治療の活動性RRMSに対するアレムツズマブの有用性を、インターフェロンβ1aとの比較において評価する無作為化対照比較第III相試験。 対象は、18~50歳、McDonald診断基準(2005年)を満たし、総合障害度スケール(EDSS)3点以下で、MRIで脳病変が確認された未治療のRRMSとした。これらの患者が、アレムツズマブ(12mg/日、ベースライン時に1日1回5日間、12ヵ月後に1日1回3日間)を静注する群またはインターフェロンβ1a(用量漸増後、44μg、週3回)を皮下注する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、再発率と6ヵ月後の障害の持続的集積の複合エンドポイントとした。再発は、48時間以上持続するMSに起因する神経症状の新規発現または増悪とした。障害の持続的集積は、6ヵ月後のEDSSで1点以上の上昇と定義した。再発率が54.9%有意に改善、障害の持続的集積は30%改善したが有意差なし 2007年9月7日~2009年4月17日までに16ヵ国101施設から581例が登録された。アレムツズマブ群に386例、インターフェロンβ1a群には195例が割り付けられ、それぞれ376例(97%)(平均年齢33.0歳、女性65%)、187例(96%)(同:33.2歳、65%)が解析の対象となった。 アレムツズマブ群の再発率は22%(82/376例)であり、インターフェロンβ1a群の40%(75/187例)に比べ54.9%有意に改善された[イベント発生の率比:0.45、95%信頼区間(CI):0.32~0.63、p<0.0001]。Kaplan-Meier法による2年無再発率は、アレムツズマブ群が78%と、インターフェロンβ1a群の59%に比べ有意に良好だった(p<0.0001)。 障害の持続的集積は、アレムツズマブ群が8%(30/376例)と、インターフェロンβ1a群の11%(20/187例)よりも30%改善したが、両群間に有意な差はなかった[ハザード比(HR):0.70、95%CI:0.40~1.23、p=0.22]。 アレムツズマブ群の90%(338/376例)に注射関連反応がみられ、そのうち3%(12/376例)が重篤と判定された。感染症がアレムツズマブ群の67%(253/376例)、インターフェロンβ1a群の45%(85/187例)にみられたが、ほとんどが軽度~中等度だった。ヘルペスウイルス感染症(主に皮膚ヘルペス)が、それぞれ16%(62/376例)、2%(3/187例)に認められた。 2年間で甲状腺関連の有害事象がアレムツズマブ群の18%(68/376例)、インターフェロンβ1a群の6%(12/195例)にみられ、アレムツズマブ群では免疫性血小板減少が1%(3/376例)に発現した。アレムツズマブ群の2例は甲状腺乳頭がんを発症した。 著者は、「アレムツズマブの一貫性のある安全性プロフィールと再発抑制におけるベネフィットは、未治療のRRMS患者への使用を支持するものだが、以前の試験で認められた障害の抑制に関するベネフィットが今回は確認できなかった」と結論し、「アレムツズマブの重篤な有害事象のリスクは適切なモニタリングで管理でき、治療可能である。アレムツズマブはRRMS治療において実質的に有効であり、有害事象とのバランスを考慮して使用すべきである」と指摘する。

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Dr.林の笑劇的救急問答3

第1回「オオカミ少年は誰だ ? ウソっこ痙攣、ウソっこ麻痺」第2回「痛快、明快、失神救急 !」 第1回「オオカミ少年は誰だ?ウソっこ痙攣、ウソっこ麻痺」テーマは麻痺と痙攣ですが、通常の症例ではなく、ちょっと変わった患者さんが登場します。果たして研修医はどのように対応するのでしょうか? そしてDr.林の診断は? 救急処置室で大活躍する一風変わった美人(?)看護師さんにも要・注目 !75歳男性 老健施設から右片麻痺で搬送された。会話は問題ないが右半身の力が入らず感覚がないという。バイタルサインは安定している。研修医は脳梗塞を疑うが…? 26歳女性 コンビニエンスストアの前で痙攣を起こし救急車搬送された。激しく痙攣を続ける患者に救急処置室は大騒ぎ !第2回「痛快、明快、失神救急!」失神の患者さんをみた時、疑われるのはどんな疾患でしょうか。クモ膜下出血、虚血性心疾患、それとも迷走神経反射・・・・救急現場では患者さんの状態と危険度をきちんと把握して、入院が必要なのか、帰宅させても良いのかを判断しなくてはなりません。検査結果だけで安易に診断してしまうと思わぬ落とし穴にはまることも。今回もそんな落とし穴に嵌りそうになる研修医を、Dr.林が厳しく、そして優しく指導します!75歳男性 自宅で食後、意識消失し救急車搬送された。血圧150/70 脈拍52 体温36.7℃ SpO299% 心電図ではAf。研修医はTIAと診断するが? 35歳男性 宴会中にトイレで排尿中に失神し同僚が慌てて救急車を要請した。血圧110/80 脈拍90 体温36.5℃。本人いわく「まだ飲める !」

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T&A 動きながら考える救急初療 -プライマリ・ケア編- 

第3回「胸痛」 第4回「発熱・頭痛」 第5回「何となく変なんです! 在宅編」  第3回「胸痛」-心電図変化がはっきりしない!それでも急性冠症候群に気をつけろ!-診療所で遭遇する致死的胸痛疾患-4 killer chest pains-とは何か?開業医の日頃の悩みにズバッと答えます!診断特性はそれほど高くない急性冠症候群の陽性尤度比(LR+)を患者の病歴と身体所見から丁寧に集め、診断に近づいていくデモンストレーションは一見の価値あり!第4回「発熱・頭痛」-何をもって髄膜炎?後方病院へ紹介する判断基準とは?-毎日の外来で、発熱と頭痛に悩んでいる患者さんを診ない日はないかもしれません。同じ症状の中で「見逃してはいけない疾患」として髄膜炎を認識することから始まり、髄膜炎を疑った時にどのような病歴や身体所見にフォーカスを当てて診療を行うとよいのかについて考えていきます。第5回「何となく変なんです!在宅編」-プライマリ・ケア医の脳血管障害の見極め方-高齢化に伴い急速にニーズが高まっている在宅診療。往診先の患者家族からの「何となく変」という曖昧な訴えのとらえかた、そして意識障害の鑑別疾患を効率よく絞り込むフレームワークや往診先の限られた状況下で脳血管障害を疑うための重要な指標について解説します。T&A RAP  Triage and Action !

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リウマチ膠原病セミナー

④「リウマチ性多発筋痛症(RS3PE)/側頭動脈炎」⑤「RA診察~Hands-onセッション:5分診療でできるDASチェック・関節穿刺のポイント~」⑥「RAの診断と治療戦略」 リウマチ膠原病セミナーリウマチ膠原病の専門医によって開催された本セミナーは、「日常診療で最低限の初期診断、フォローアップができること」を到達目標にしています。プライマリ・ケア医が効率よい診断かつマネジメントを必要とされるリウマチ性筋痛症(PMR)の診断と治療、関連疾患である側頭動脈炎(GCA)の臨床所見・診断・治療について、またRA診察と関節穿刺について実際に関節に触れてポイントをお伝えします。さらにRA診断の総論として、リウマチの最前線から是非知っておいていただきたい治療戦略までお届けします。Advanceなトピックだけにとどまらず、臨床内科医として本当に知っておかなければいけない情報が満載です。※本DVDに収録したセミナーは、2009年6月に亀田総合病院にて収録されたものです。④「リウマチ性多発筋痛症(RS3PE)/側頭動脈炎」講師 : 金城 光代氏(沖縄県立中部病院 総合内科)⑤「RA診察~Hands-onセッション:5分診療でできるDASチェック・関節穿刺のポイント~」講師 : 岸本 暢将氏 (聖路加国際病院 アレルギー・膠原病科(成人、小児)副医長)⑥「RAの診断と治療戦略」講師 : 岡田 正人氏 (聖路加国際病院 アレルギー・膠原病科(成人、小児)部長)

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表面置換型人工股関節置換術、とくに女性で再置換率が高い/Lancet

 表面置換型人工股関節置換術のインプラント残存率は、大腿骨頭径が大きな男性では全置換型人工股関節置換術とほぼ同等だが、それ以外の患者では全般に不良で、とくに女性で劣ることが、英国ブリストル大学のAlison J Smith氏らの検討で示された。従来の全置換型人工股関節のインプラント残存率は年齢が若い患者で不良なことが多いという。そのため、個々の患者の大腿骨頭に合わせた種々のサイズがある表面置換型の人工股関節など、新たなインプラントの開発が進められている。Lancet誌2012年11月17日号(オンライン版2012年10月2日号)掲載の報告。表面置換型と全置換型の再置換率を比較 研究グループは、種々の大腿骨頭径(36~62mm、9サイズ)のmetal-on-metal表面置換型人工股関節の残存状況(再置換率)を評価し、従来の全置換型人工股関節(ceramic-on-ceramic式:28~40mm、3サイズ、metal-on-polyethylene式:28mm未満、28~44mm、4サイズ)と比較した。 人工関節の初回置換術施行例のレジストリーであるNational Joint Registry of England and Walesの2003年4月~2011年9月までの登録データについて解析を行った。multivariable flexible parametric survival modelを用いて、共変量で調整した再置換術の累積発生率を推計した。女性と大腿骨頭径の小さい男性で残存率が不良 初回手術例は43万4,560例で、そのうち表面置換型人工股関節置換術を受けたのは3万1,932例(平均年齢54.1歳、60歳未満71.7%、男性69.1%)であった。全置換型人工股関節置換術を受けた患者のうち、ceramic-on-ceramic式が5万7,748例(同:59.6歳、44.7%、43.8%)、metal-on-polyethylene式は22万6,165例(同:72.7歳、6.7%、34.9%)だった。 女性では、すべてのサイズの表面置換型が、全置換型よりもインプラント残存率が不良であった。55歳女性の5年再置換率の予測値は、大腿骨頭径42mmの表面置換型が8.3%、46mm表面置換型が6.1%であったのに対し、28mmのmetal-on-polyethylene全置換型は1.5%だった。 大腿骨頭径が小さい男性でも、表面置換型でインプラント残存率が低かった。55歳男性の5年再置換率の予測値は、大腿骨頭径46mmの表面置換型が4.1%、54mm表面置換型は2.6%で、28mmのmetal-on-polyethylene全置換型は1.9%だった。表面置換型の男性の場合、全般にサイズが大きいほど再置換率は低い傾向が認められた。54mm以上の大きなサイズの男性は23%と少なかったが、再置換率は最も良好だった。 著者は、「表面置換型人工股関節は、大腿骨頭径が大きな男性ではインプラント残存率が比較的良好であったが、それ以外の患者では不良であり、とくに女性で劣っていた」と結論し、「表面型人工股関節置換術は女性には施行せず、男性でも術前に大腿骨頭径を測定して適合性の評価を行うことが推奨される。新たなインプラント技術を導入する前に、表面置換型と全置換型の人工股関節の教訓を学ぶべきだ」と指摘している。

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心房細動の脳卒中予防について新規抗凝固薬3剤を間接比較/BMJ

 心房細動患者の脳卒中予防について、新規抗凝固薬の間接的な比較解析が、デンマーク・Aalborg UniversityのLars Hvilsted Rasmussen氏らによって行われた。検討されたのは、アピキサバンとダビガトラン(商品名:プラザキサ)またはリバーロキサバン(同:イグザレルト)との比較、リバーロキサバンとダビガトランの比較についてで、相互間の相対的な有効性と安全性について、主として2次予防に焦点を当てて解析が行われた。BMJ誌2012年11月17日号(オンライン版2012年11月5日号)掲載より。2次予防について、3剤間に有効性と大半の安全性に有意差みられず 研究グループは、2012年6月までにアップされたMedline and Centralや臨床試験レジスターなどをデータソースとして、心房細動の脳卒中予防についてリバーロキサバン、ダビガトラン、アピキサバンとワルファリンとを比較した無作為化対照試験を選んだ。 解析は、アピキサバンとダビガトラン(110mgを1日2回投与または150mgを1日2回投与の2つの投与量)の比較試験と、リバーロキサバンとダビガトラン(同2投与量)の比較試験について行い、2次予防コホートの解析を行ったのち、1次予防コホートについても同様に解析を行った。 結果、2次予防(脳卒中既往)群について、アピキサバンとダビガトラン(2投与量)との比較では、有効性および安全性のエンドポイントについて有意差が認められたのは、アピキサバンとダビガトラン150mgとの比較での心筋梗塞(ハザード比:0.39、95%信頼区間:0.16~0.95)に関してのみであった。 アピキサバンあるいはダビガトラン150mgとリバーロキサバンについて、有効性と大半の安全性のエンドポイントに有意差は認められなかった。 ダビガトラン110mgとリバーロキサバンとの比較では、ダビガトラン110mgで出血性脳卒中(ハザード比:0.15、95%信頼区間:0.03~0.66)、血管系による死亡(同:0.64、0.42~0.99)、大出血(同:0.68、0.47~0.99)、頭蓋内出血(同:0.27、0.10~0.73)が少なかった。1次予防は多少の差があるが、直接比較の無作為化試験で確認すべき 1次予防(脳卒中既往なし)群については、アピキサバンがダビガトラン110mgよりも身体障害あるいは致死的脳卒中の発生に関しては優れていた(同:0.53、0.36~0.97)。 またダビガトラン150mgとの比較では、アピキサバンのほうが脳卒中の発生が多かったが(同:1.45、1.01~2.08)、大出血(同:0.75、0.60~0.94)、消化管出血(同:0.61、0.42~0.89)、その他出血(同:0.74、0.58~0.94)は少なかった。 リバーロキサバンとの比較では、ダビガトラン110mgのほうが心筋梗塞イベントの発生が多かった。 ダビガトラン150mgとリバーロキサバンの主要有効性と安全性には有意差はみられなかった。 アピキサバンとリバーロキサバンとの有効性についても有意差はみられなかったが、アピキサバンはリバーロキサバンよりも大出血が少なかった(同:0.61、0.48~0.78)。 これら結果を踏まえて著者は、「アピキサバン、リバーロキサバン、ダビガトランの主要有効性エンドポイントは概して同程度であったが、出血性脳卒中、血管系による死亡、大出血、頭蓋内出血のエンドポイントについて、リバーロキサバンよりもダビガトラン(1日2回110mg)のほうが低かった。また1次予防については3剤間で有効性および出血に関して多少の差異が認められた」とまとめたうえで、「これらの結果は、仮説を生み出したに過ぎず、直接比較の無作為化試験で確認すべきである」と結論している。

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日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに

 日本人女性の統合失調症発症に、ITGA8遺伝子ミスセンス突然変異が関与している可能性があることが明らかにされた。神戸大学大学院のIrwan Supriyanto氏らが、京都の遺伝子データベース「KEGG」で報告された情報と統合失調症患者との関連を調べ報告した。Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry誌オンライン版2012年11月12日号の掲載報告。ITGA8遺伝子は中枢神経系の発達に重要な役割を果たし統合失調症の病態生理での関与が認められる細胞接着分子(CAMs)であり、CAMs遺伝子のミスセンス突然変異は統合失調症を発症しやすくする可能性が示唆されていた。 研究グループは、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)の報告から中枢神経系のCAMs遺伝子の15の突然変異を選択し、これら遺伝子と統合失調症患者(278例)および対照被験者(284例)との関連を調べた(第1検討群)。また、患者567例と対照被験者710例の陽性SNP遺伝子型についても調べ(第2検討群)、患者635例と対照被験者639例による再検証試験も行った(複製標本群)。 主な内容は以下のとおり。・統合失調症患者と対照群では、ITGA8遺伝子におけるrs2298033の遺伝子型分布および対立遺伝子分布が有意に異なることが示された(それぞれp=0.005、p=0.007)。・性差に基づいた解析の結果、ITGA8遺伝子におけるrs2298033の対立遺伝子および遺伝子型の分布は、第1および第2検討群の女性において患者群と対照群とでは有意差がみられた(それぞれp=0.010、p=0.011とp=0.0086、p=0.010)。しかし男性の被験者群では有意差はみられなかった。・複製標本群のrs2298033の複合解析では、より有意な差がみられた(全被験者群ではp=0.0032、p=0.0035、女性被験者群ではp=0.0024、p=0.0025)。・NFASC遺伝子のrs2802808は、第1検討群の女性被験者群でのみ有意差がみられた。・上記の結果は、ITGA8遺伝子は、女性においてのみ統合失調症発症に関与する可能性があることを示す。さらなる再検証試験や機能的研究により、今回得られた知見を確認することが求められる。関連医療ニュース ・統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが ・初回エピソード統合失調症患者におけるGABA機能への影響 ・精神科学会レポート

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慢性の首の痛みに対するヨガの効果、無作為化試験で確認

 慢性腰痛に対するヨガの効果は知られているが、ヨガは慢性頸痛に対しても鎮痛効果や機能改善効果があり治療オプションとして有用であることが、ドイツ・シャリテ大学病院のAndreas Michalsen氏らによる無作為化試験の結果、報告された。Journal of Pain誌11月号の掲載報告。 研究グループは、慢性頸痛に対するアイアンガー・ヨガの有効性を評価するパイロット無作為化試験を行った。 100mm視覚的アナログ・スケール(VAS)スコアで、>40mmであった慢性頸痛を有する77例の患者(47.9±7.9歳、女性67例)を、9週間のアイアンガー・ヨガプログラム(毎週90分クラス)を受講する群(38例)と、セルフケア・運動プログラムを行う群(38例)に無作為化した。被験者は、ベースラインと4、10週間後に評価を受けた。 主要アウトカムは、ベースラインから10週時点までのVASでみた平均安静時疼痛スコアの変化であった。副次アウトカムは、運動時疼痛、身体機能障害、QOL、精神的アウトカムなどであった。 主な結果は以下のとおり。・ヨガ群のうち12例とセルフケア群のうち11例は、フォローアップが完了しなかった。介入に関するアドヒアランスはセルフケア群のほうが低かった(5例vs. 10例)。・10週時点までに平均安静時疼痛スコアは、ヨガ群は44.3±20.1から13.0±11.6へ低下し、セルフケア群は41.9±21.9から34.4±21.1へ低下した。ヨガ群変化とセルフケア群変化の差は、-20.1(95%CI:-30.1~-10.1)でヨガ群のほうで有意な低下がみられた(p<0.001)。・10週時点までに運動時疼痛スコアは、ヨガ群は53.4±18.5から22.4±18.7へと低下し、セルフケア群は49.4±22.8から39.9±21.5へ低下した。両群の変化の差は、-18.7(同:-29.3~-8.1、p<0.001)であった。・ヨガの有意な治療効果は、疼痛関連の懸念、身体機能障害、QOL、精神的アウトカムにおいても認められた。・感度解析の結果、試験脱落者の影響は小さいことが示された。・介入プログラムは両群とも忍容性は良好であった。・今回の予備的研究では、ヨガは慢性頸痛の効果的治療となる可能性が示され、精神面やQOLへもよい効果をもたらす可能性が認められた。さらに観察期間がより長期の比較試験を行い有効性を検証すべきである。

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早食いは肥満のもと―日本の子どもを対象とした報告―

 子どもは食べる速度が速いと肥満のリスクが有意に高まるという研究結果が、東京大学 村上健太郎氏らにより示された。Journal of Nutritional Science and Vitaminology誌 2012年58巻4号掲載の報告。 沖縄県那覇市の小学校35校、中学校17校の生徒と名護市の小学校17校、中学校8校の生徒を対象に、子供の食べる速度と肥満の関連性について横断的研究が行われた(Ryukyus child health study)。調査期間は2004年9月から2005年1月。 6~11歳の男女15,974人(男児7,956人、女児8,018人)、12~15歳の男女8,202人(男子3,944人、女子4,258人)が登録された。 自己申告による食べる速度に応じて、5群(食べる速度がとても遅い群、比較的遅い群、普通、比較的速い群、非常に速い群)に分けられた。BMIは自己申告された体重と身長から算出した。過体重の診断基準は、国際肥満タスクフォース(IOTF)のガイドラインに基づき、年齢と性別による特定のBMIカットオフ値に応じて定義した。 主な結果は以下のとおり。・過体重は全体の13.2%であった。・食べる速度は過体重のリスクと正の相関を認めた。タンパク質、脂肪、食物繊維の摂取量とは無関係であった。・過体重の多変量オッズ比(95%CI)は以下のとおり(すべて傾向性のp<0.0001)。<6~11歳男児>食べる速度がとても遅い群:0.31 (0.20~0.49)比較的遅い群:0.49 (0.40~0.60) 普通:1 (reference)比較的速い群:2.81 (2.42~3.26)非常に速い群:4.49 (3.47~5.81)<6~11歳女児>食べる速度がとても遅い群:0.42 (0.31~0.58)比較的遅い群:0.49 (0.41~0.59) 普通:1(reference), 比較的速い群:2.74 (2.27~3.31)非常に速い群:5.69 (3.75~8.63)<12~15歳男子>食べる速度がとても遅い群:0.13 (0.03~0.54)比較的遅い群:0.43 (0.28~0.65) 普通:1 (reference)比較的速い群:2.31 (1.88~2.84)非常に速い群:3.84 (2.77~5.31)<12~15歳女子>食べる速度がとても遅い群:0.55 (0.30~1.01)比較的遅い群:0.46 (0.33~0.65) 普通:1(reference)比較的速い群:1.30 (0.99~1.71)非常に速い群:1.49 (0.84~2.65)

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認知症の進行予防にビタミンEは有効か?

 アルツハイマー型認知症(AD)および軽度認知障害(MCI)進行予防としてのビタミンEについて、ベネフィットがあるという確実なエビデンスはみつからなかったと、英国・サセックス大学のNicolas Farina氏らが報告した。結果を受けて著者は、「今後の試験では、ADにおけるビタミンEの評価をα‐トコフェロールに限定しないで行うべきかもしれない」と提言している。本研究は、ビタミンEにはフリーラジカルを消失する抗酸化作用があり、一方でフリーラジカルがADなど病理学的な認知障害プロセスに寄与するとのエビデンスがあることを踏まえて行われた。Cochrane database of systematic reviews 2012年11月14日掲載の報告。認知症進行予防としてビタミンEとプラセボを比較 Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group(ALOIS)、The Cochrane Library、MEDLINEなどSpecialized Register(2012年6月25日時点)で、「Vitamin E」「vitamin-E」「alpha-tocopherol」の単語を用いて文献検索を行い、非交絡で二重盲検の無作為化試験(ADまたはMCI患者を対象に、あらゆる投与量でのビタミンE投与とプラセボを比較した試験)を同定した。レビュワー2名が個別に選択基準を適用して試験の質を評価し、データの抽出と解析を行った。各転帰尺度は無作為化された患者ごとに調べ、データ抽出をできる患者がいなくなった時点で解析を行った。プール解析は試験間で比較可能な転帰尺度が不足していたため行われなかった。 主な内容は以下のとおり。・認知症進行予防のためのビタミンE投与の選定基準を満たしたのは3試験だけであった(AD集団について2試験、MCI集団について1試験)。・1つ目のAD試験(佐野、1996)では著者は、ビタミンE投与(2,000 IU/日)は若干のベネフィットがあったこと[2年以内の、死亡・施設収容・CDR(Clinical Dementia Rating)スコア3のエンドポイントに達成した患者がより少なく、基本日常生活動作の低下も少なかった]を報告していた。・投与を完了した患者において、エンドポイント達成について、ビタミンE群58%(45/77)に対しプラセボ群は74%(58/78)であった[オッズ比(OR):0.49、信頼区間(CI):0.25~0.96]。・2つ目のAD試験(Lloret、2009)は、酸化ストレスとの関連でビタミンE(800 IU/日)投与の認知障害の進行に対する効果を検討したものであった。結果、ビタミンE投与で患者は酸化ストレスマーカーが低下したが、MMSEスコア変化率(ベースラインから6ヵ月間、対プラセボ)の有意差は認められなかった。・MCI試験(Petersen、2005)の主要な目的は、MCIからのADを含む認知症の変化・進行までの時間についてビタミンE投与(2,000 IU/日)の効果を検討したものであった。結果、被験者総計769例のうち214例が認知症へと進行し、そのうち212例はADがほぼ確実もしくはその可能性が高いと分類された。・MCIからADへの進行の可能性についてビタミンE群とプラセボ群で有意差はみられなかった(ハザード比:1.02、95%CI:0.74~1.41、p=0.91)。

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